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特許拒絶査定不服審判

2021-011936

中間ユニット、後処理装置、及び印刷装置

審判番号
2021-011936
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-089382外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年09月08日
審決日
2022年11月01日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B41J) / P18 .56 -Z (B41J) / P18 .57 -Z (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 89382「中間ユニット、後処理装置、及び印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月 1日出願公開、特開2018- 16068〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年4月28日(優先権主張平成28年7月13日)の出願であって、令和2年3月17日に手続補正書が提出され、令和3年1月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年2月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月16日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、同年9月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和3年9月8日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和3年9月8日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものであるところ、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年2月17日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至19を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至19へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)

(1)本件補正前の特許請求の範囲

「【請求項1】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する中間ユニットであって、
前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられ、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする中間ユニット。
続きを表示(全54行)
【請求項2】
複数の前記反転経路を有し、
前記乾燥ユニットは、前記複数の反転経路のうち特定の前記反転経路に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中間ユニット。
【請求項3】
前記印刷データに応じて、前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間ユニット。
【請求項4】
前記印刷データに基づく、前記印刷完了後の前記媒体の表裏の水分量の差が所定閾値以上であるか否かを判定し、所定閾値以上であれば前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項3に記載の中間ユニット。
【請求項5】
前記印刷データに応じて、前記媒体を反転させる経路として前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を選択することを特徴とする請求項2に記載の中間ユニット。
【請求項6】
前記印刷データに応じて、前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項5に記載の中間ユニット。
【請求項7】
前記印刷データに基づく、前記印刷完了後の前記媒体の表裏の水分量の差が所定閾値以上であるか否かを判定し、所定閾値以上であれば前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項6に記載の中間ユニット。
【請求項8】
前記印刷データに基づく、前記印刷完了後の前記媒体の表裏の水分量に応じて所定閾値以上の前記媒体は、前記特定の反転経路を搬送し、前記印刷データが所定閾値未満の前記媒体は、前記特定の反転経路を除く前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を搬送することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項9】
前記乾燥ユニットは、前記媒体の一方の面に対向する第1乾燥ユニットと、前記媒体の他方の面に対向する第2乾燥ユニットと、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の中間ユニット。
【請求項10】
前記印刷データに応じて、前記第1乾燥ユニットと前記第2乾燥ユニットとの駆動をそれぞれ独立して制御することを特徴とする請求項9に記載の中間ユニット。
【請求項11】
前記印刷データに応じて、前記乾燥ユニットの乾燥条件を調整可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項12】
前記乾燥ユニットは、送風機を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項13】
前記送風機が設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、
前記反転経路には、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記送風機よりも下流側に、前記反転経路に進入した前記媒体を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記媒体が前記反転経路に進入する方向における前記媒体の先端側よりも前記媒体の後端側に近い部分で前記媒体を保持することを特徴とする請求項12に記載の中間ユニット。
【請求項14】
前記反転経路において、前記乾燥ユニットによる乾燥が省略される前記媒体に対して、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項15】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理装置であって、
前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記後処理部に搬送可能な搬送経路と、を有し、
前記搬送経路は、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路を備え、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする後処理装置。
【請求項16】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷部と、
前記印刷部で印刷完了後の前記媒体に後処理を施す後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記印刷部から前記後処理部に搬送可能な搬送経路と、を有し、
前記搬送経路は、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路を含み、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項17】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットで印刷された前記媒体を、前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する中間ユニットであって、
前記搬送経路は、前記媒体の表裏を反転させる複数の反転経路を有し、
前記媒体に前記搬送経路に沿った張力を付与することで前記媒体の変形を抑制する張力付与機構が、前記複数の反転経路のうち特定の前記反転経路に設けられており、
前記印刷データに応じて、前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を選択することを特徴とする中間ユニット。
【請求項18】
前記印刷データに応じて、前記媒体に付与する張力の大きさを変化させることを特徴とする請求項17に記載の中間ユニット。
【請求項19】
前記張力付与機構は加圧ローラーを有しており、前記加圧ローラーで前記媒体に張力を付与することを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の中間ユニット。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲

「【請求項1】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有し、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える中間ユニットであって、
前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられ、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする中間ユニット。
続きを表示(全54行)
【請求項2】
複数の前記反転経路を有し、
前記乾燥ユニットは、前記複数の反転経路のうち特定の前記反転経路に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中間ユニット。
【請求項3】
前記印刷データに応じて、前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間ユニット。
【請求項4】
前記印刷データに基づく、前記印刷完了後の前記媒体の表裏の水分量の差が所定閾値以上であるか否かを判定し、所定閾値以上であれば前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項3に記載の中間ユニット。
【請求項5】
前記印刷データに応じて、前記媒体を反転させる経路として前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を選択することを特徴とする請求項2に記載の中間ユニット。
【請求項6】
前記印刷データに応じて、前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項5に記載の中間ユニット。
【請求項7】
前記印刷データに基づく、前記印刷完了後の前記媒体の表裏の水分量の差が所定閾値以上であるか否かを判定し、所定閾値以上であれば前記乾燥ユニットを駆動させることを特徴とする請求項6に記載の中間ユニット。
【請求項8】
前記印刷データに基づく、前記印刷完了後の前記媒体の表裏の水分量に応じて所定閾値以上の前記媒体は、前記特定の反転経路を搬送し、前記印刷データが所定閾値未満の前記媒体は、前記特定の反転経路を除く前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を搬送することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項9】
前記乾燥ユニットは、前記媒体の一方の面に対向する第1乾燥ユニットと、前記媒体の他方の面に対向する第2乾燥ユニットと、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の中間ユニット。
【請求項10】
前記印刷データに応じて、前記第1乾燥ユニットと前記第2乾燥ユニットとの駆動をそれぞれ独立して制御することを特徴とする請求項9に記載の中間ユニット。
【請求項11】
前記印刷データに応じて、前記乾燥ユニットの乾燥条件を調整可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項12】
前記乾燥ユニットは、送風機を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項13】
前記送風機が設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、
前記反転経路には、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記送風機よりも下流側に、前記反転経路に進入した前記媒体を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記媒体が前記反転経路に進入する方向における前記媒体の先端側よりも前記媒体の後端側に近い部分で前記媒体を保持することを特徴とする請求項12に記載の中間ユニット。
【請求項14】
前記反転経路において、前記乾燥ユニットによる乾燥が省略される前記媒体に対して、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項15】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理装置であって、
前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記後処理部に搬送可能であり、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える搬送経路と、を有し、
前記搬送経路は、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路を備え、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする後処理装置。
【請求項16】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷部と、
前記印刷部で印刷完了後の前記媒体に後処理を施す後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記印刷部から前記後処理部に搬送可能であり、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える搬送経路と、を有し、
前記搬送経路は、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路を含み、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項17】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットで印刷された前記媒体を、前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する中間ユニットであって、
前記搬送経路は、前記媒体の表裏を反転させる複数の反転経路を有し、
前記媒体に前記搬送経路に沿った張力を付与することで前記媒体の変形を抑制する張力付与機構が、前記複数の反転経路のうち特定の前記反転経路に設けられており、
前記印刷データに応じて、前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を選択することを特徴とする中間ユニット。
【請求項18】
前記印刷データに応じて、前記媒体に付与する張力の大きさを変化させることを特徴とする請求項17に記載の中間ユニット。
【請求項19】
前記張力付与機構は加圧ローラーを有しており、前記加圧ローラーで前記媒体に張力を付与することを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の中間ユニット。」

2 補正の適否について

(1)本件補正事項

本件補正により、本件補正前の請求項1の「中間ユニット」について、「し、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備え」との補正事項(以下「補正事項1」という。)が追加され、本件補正前の請求項15の「後処理装置」について、「であり、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える」との補正事項(以下「補正事項2」という。)が追加され、本件補正前の請求項16の「印刷装置」について、「であり、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える」との補正事項(以下「補正事項3」という。)が追加された。

(2)補正目的について

特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。

そこで、本件補正事項について検討するにあたり、上記本件補正事項1乃至3は、実質的に同内容の補正であることから、以下、本件補正事項1について検討する。

ア 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の「中間ユニット」には、「前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路」及び「前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニット」が設けられていることが特定されている。

イ ここで、上記本件補正前の請求項1の「反転経路」は、「前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる」ものであるから、「媒体を反転させる反転機能」を備えていることは明らかである。

ウ また、上記本件補正前の請求項1の「乾燥ユニット」は、「前記反転経路において、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる」ものであるところ、媒体が静止したままでは、乾燥ユニットにより乾燥が可能な範囲にある媒体の一部分しか乾燥させることが出来ないことは明らかであるから、媒体の乾燥にあたっては、反転経路での媒体の搬送を伴うものといえるし、さらに、搬送経路が所定長を備えることからすれば、媒体を搬送する際に乾燥させることは明らかである。してみると、上記本件補正前の請求項1の「乾燥ユニット」は、「前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能」を備えていることは明らかである。

エ そうすると、本件補正後の請求項1に新たに追加された「し、前記媒体を搬送させることで乾燥させる乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備え」とは、本件補正前の請求項1に、実質的に記載されていたものと認められる。

そうすると、本件補正事項1は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項をさらに限定するものとはいえないのであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。

また、本件補正事項1が、同項第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。

してみると、本件補正事項1は、同項第1号ないし4号に掲げられたいずれを目的とするものにも該当しない。

よって、本件補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。

3 むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年2月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する中間ユニットであって、
前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられ、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする中間ユニット。」(以下「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、令和3年1月21日付けの拒絶理由通知書により通知された次に示すものを含むものである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項 1・引用文献等 1及び2

<引用文献等一覧>

1.特開2016-84236号公報

2.特開2014-233879号公報

3 引用例

(1)引用例1

本願の優先日前に頒布された公開公報である特開2016-84236号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置された第1スイッチバック経路と、
続きを表示(全17行)
前記上流経路よりも下流側に配置された第2スイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1スイッチバック経路へ導く第1案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2スイッチバック経路へ導く第2案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が前記第1案内経路及び前記第2案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1スイッチバック経路から前記媒体が排出される第1排出経路と、
前記第2スイッチバック経路から前記媒体が排出される第2排出経路と、
前記第1スイッチバック経路と前記第2スイッチバック経路との間を通り、前記第1排出経路と前記第2排出経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がる下流経路とを備え、
前記第1排出経路の長さが前記第1スイッチバック経路の長さよりも短いという条件及び前記第2排出経路の長さが前記第2スイッチバック経路の長さよりも短いという条件のうちの少なくとも一方の条件を満たすことを特徴とする媒体搬送ユニット。
…
【請求項5】
媒体に記録を行う記録ユニットと、
前記記録ユニットにより記録が実行された前記媒体に後処理を行う後処理ユニットと、を備え、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の媒体搬送ユニットにより、前記記録ユニットと前記後処理ユニットが連結されていることを特徴とする記録装置。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば用紙などの媒体を搬送する媒体搬送ユニット、媒体搬送ユニットを備えた記録装置、及び媒体搬送ユニットを備えた画像読取装置に関する。」
ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のような用紙反転装置では、第三の用紙搬送路及び第四の用紙搬送路がそれぞれ第一の反転用紙ガイド及び第二の反転用紙ガイドの外側を通るように構成されているので、第三の用紙搬送路及び第四の用紙搬送路がそれぞれ第一の反転用紙ガイド及び第二の反転用紙ガイドの長さよりも格段に長くなってしまう。このため、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、小型化することが可能な媒体搬送ユニット、記録装置、及び画像読取装置を提供することにある。」
エ 「【0023】
以下、記録装置の一実施形態を、図面に従って説明する。
図1に示すように、記録装置11は、記録ユニットとしてのプリンター部12と、プリンター部12上に配置されたスキャナー部13と、スキャナー部13上に配置された自動給紙装置14と、プリンター部12の側部に配置された媒体搬送ユニット15と、媒体搬送ユニット15におけるプリンター部12側とは反対側の側部に配置された後処理ユニットとしてのフィニッシャー16とを備えている。プリンター部12上におけるスキャナー部13の隣には、記録装置11の各種の操作を行うための操作部17が設けられている。
…
【0025】
プリンター部12は、図2における紙面と直交する方向を用紙Pの幅方向Xとし、この幅方向Xと交差する方向を搬送方向として用紙Pを支持台22上及び媒体搬送路20に沿って搬送する。記録部23は、用紙Pの搬送方向と交差する幅方向Xの略全域に渡ってインクを同時に噴射可能な液体噴射ヘッドとしてのラインヘッドを下部に備え、支持台22上を搬送される用紙Pに対して鉛直方向Zの上側からインクを噴射して付着させることによって画像を印刷する。」
オ 「【0053】
次に、媒体搬送ユニット15の構成について詳述する。
図3に示すように、媒体搬送ユニット15は、直方体状の本体ケース70を備えている。本体ケース70内の上部には、上流側となるプリンター部12側から下流側となるフィニッシャー16側へ向かって延びる上流経路71が設けられている。上流経路71は、その上流端が連絡経路62の下流端と繋がっており、連絡経路62から搬送されてきた用紙Pが搬送される。
…
【0056】
上流経路71の下流端には、第1案内経路75の上流端、第2案内経路76の上流端、及び中間経路77の上流端がそれぞれ繋がっている。第1案内経路75は、上流経路71の下流端からフィニッシャー16側へ向かって延びながら下方に向かって湾曲している。第2案内経路76は、上流経路71の下流端からプリンター部12側へ向かって延びながら下方に向かって湾曲している。中間経路77は、上流経路71の下流端から下方に向かって真っ直ぐに延びており、第1案内経路75と第2案内経路76との間に配置されている。
…
【0058】
第1案内経路75の下流端には、第1スイッチバック経路79の上流端が繋がっている。したがって、第1案内経路75は、上流経路71の用紙Pを上流経路71よりも下流側に配置された第1スイッチバック経路79へ導くようになっている。第1スイッチバック経路79は、第1案内経路75の下流端から下方に向かって真っ直ぐに延びている。第1スイッチバック経路79は、その下流端が開放されており、記録部23(図2参照)で印刷可能(記録可能)な最大サイズの用紙Pを受け入れ可能に構成されている。」
カ 「【0079】
続いて、図4(c)に示すように、用紙P2が上流経路71を通り過ぎると、上流経路71へ3枚目の用紙P3が搬送されるとともに、一対の案内フラップ78が上流経路71の用紙P3を第1案内経路75へ導く位置に変位される。一方、第1スイッチバックローラー対82が逆回転されると、第1スイッチバック経路79の用紙P1が第1排出経路80を通って下流経路90へと搬送され、この搬送過程で用紙P1が反転される。このとき、第2案内経路76へ搬送された用紙P2は、正回転する第2スイッチバックローラー対88によって第2スイッチバック経路85へと搬送される。
…
【0081】
続いて、図5(b)に示すように、用紙P3が上流経路71を通り過ぎると、上流経路71へ4枚目の用紙P4が搬送されるとともに、一対の案内フラップ78が上流経路71の用紙P4を第2案内経路76へ導く位置に変位される。一方、第2スイッチバックローラー対88が逆回転されると、第2スイッチバック経路85の用紙P2が第2排出経路86を通って下流経路90へと搬送され、この搬送過程で用紙P2が反転される。
【0082】
このとき、第1案内経路75へ搬送された用紙P3は、正回転する第1スイッチバックローラー対82によって第1スイッチバック経路79へと搬送される。さらにこのとき、用紙P1は下流経路90に沿ってさらに下流側へと搬送される。」
キ 「【0091】
(6)記録部23は、高速に搬送される用紙Pに対して、幅方向Xの略全域に渡ってインクを同時に噴射可能なラインヘッドを下部に備える。そのため、用紙Pは、短時間で広い面積に亘ってインクを吸収するため、断面が波状に湾曲したカール形状となりやすい。用紙Pがカール形状になると、搬送経路の途中で用紙Pが詰まったり、フィニッシャー16において、ソート、折り畳みなどの後処理が行われなくなる。本実施形態では、媒体搬送ユニット15を備えることにより、印刷された用紙Pが、媒体搬送ユニット15に設けられた搬送経路を搬送される間に乾燥し、用紙Pは、カール形状がなくなり、元の形状に戻ることができる。」

ク 【図3】

[図:0001392641000001.jpg]

ケ 上記カより、第1案内経路、第1スイッチバック経路及び第1排出経路により用紙は反転され、第2案内経路、第2スイッチバック経路及び第2排出経路により用紙は反転されるといえる。

コ 上記アより、媒体搬送ユニットは、媒体に記録を実行する記録ユニットと、媒体に後処理を行う後処理ユニットとを連結するものといえる。

サ 図3より、媒体搬送ユニットの搬送経路は、上流経路と、第1スイッチバック経路と、第2スイッチバック経路と、第1案内経路と、第2案内経路と、案内切替部と、第1排出経路と、第2排出経路と、下流経路と、から構成されると看取できる。

そうすると、上記記載事項ア乃至ク及び認定事項ケ乃至サより、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「媒体に液体噴射ヘッドにより記録を実行する記録ユニットと、媒体に後処理を行う後処理ユニットとを連結する媒体搬送ユニットであって、
媒体搬送ユニットの搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置された第1スイッチバック経路と、
続きを表示(全14行)
前記上流経路よりも下流側に配置された第2スイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1スイッチバック経路へ導く第1案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2スイッチバック経路へ導く第2案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が前記第1案内経路及び前記第2案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1スイッチバック経路から前記媒体が排出される第1排出経路と、
前記第2スイッチバック経路から前記媒体が排出される第2排出経路と、
前記第1スイッチバック経路と前記第2スイッチバック経路との間を通り、前記第1排出経路と前記第2排出経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がる下流経路とから構成され、
前記第1排出経路の長さが前記第1スイッチバック経路の長さよりも短いという条件及び前記第2排出経路の長さが前記第2スイッチバック経路の長さよりも短いという条件のうちの少なくとも一方の条件を満たし、
第1案内経路、第1スイッチバック経路及び第1排出経路により用紙は反転され、第2案内経路、第2スイッチバック経路及び第2排出経路により用紙は反転され、搬送経路を搬送される間に乾燥し、用紙は、カール形状がなくなり、元の形状に戻ることができる、
媒体搬送ユニット。」

(2)引用例2

本願の優先日前に頒布された公開公報である特開2014-233879号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出装置に関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒータ73をOFFにしてから排紙ローラ72が常温に戻るまでには、ある程度の時間が必要となる。そのため、上記のような、排紙ローラ72が用紙3の後端を挟持した状態で排紙ローラ72の回転方向を逆転させる構成では、ヒータ73をOFFするタイミングに関わらず、用紙3の後端に、用紙3のその他の領域と比較して、多くの熱量が付与される。そのため、記録媒体(用紙3)の乾燥度合にムラが生じ、ひいては、記録媒体にカールや変色が生じ得る。
【0006】
本発明の目的は、記録媒体における乾燥度合のムラを抑制することができる、液体吐出装置を提供することである。」
ウ 「【0026】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間には、インクジェットヘッド10、プラテン7、搬送ユニット20、乾燥部50、センサ32、給紙ユニット1c、コントローラ1p等が収容されている。筐体1aの内部空間には、給紙ユニット1cから排紙部31に向けて、図1に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される搬送経路が形成されている。また、筐体1aには、ヘッド10に供給されるブラックインクを貯留したカートリッジ(図示略)が着脱可能に設けられている。カートリッジは、チューブ等を介してヘッド10と接続され、ヘッド10にインクを供給する。」
エ 「【0029】搬送ユニット20は、第1搬送部20a、第2搬送部20b、及び、第3搬送部20cを含む。第1搬送部20aは、給紙ユニット1cから送り出された用紙Pを記録位置P1に向けて第1方向(図1に黒塗り矢印で示す方向)D1に搬送するように構成されており、ローラ対22?24及びガイド29a?29cを含む。記録位置P1は、プラテン7の表面7xにおける複数の吐出口14aと対向する位置である。第2搬送部20bは、記録位置P1よりも第1方向D1下流側に配置され、第1搬送部20aによって搬送された用紙Pを第1方向D1及び第1方向D1とは逆の第2方向(図1に白抜き矢印で示す方向)D2に搬送するように構成されており、ローラ対25?27及びガイド29d、29eを含む。3つのローラ対25?27のうち、2つのローラ対26、27は、正逆回転可能な正逆転ローラ対である。ローラ対27は、本発明の第1正逆転ローラ対の一例であり、ローラ対26は、本発明の第2正逆転ローラ対の一例である。第3搬送部20cは、第2搬送部20bによって第2方向D2に搬送された用紙Pを、記録位置P1よりも第1方向D1上流側の位置(ローラ対22のすぐ上流側)に向けて搬送し、第1搬送部20aによる用紙Pの搬送経路に合流させるように構成されており、カセット21、ローラ対28、及びガイド29f?29hを含む。
…
【0031】
乾燥部50は、第2搬送部20bによって搬送される用紙Pを、記録位置P1よりも第1方向D1下流側の乾燥位置P3において乾燥させるように構成されており、ローラ対26及びヒータ26ah(図5参照)を含む。ヒータ26ahは、ローラ対26を構成する2つのローラ26a、26bののうちの一方のローラ26aを加熱する。コントローラ1pによる制御の下、ヒータ26ahがONになると、ローラ26aが加熱され、用紙Pにおけるローラ対26に挟持された部分に熱が付与され、当該部分が乾燥する。換言すると、ローラ26aは、用紙Pの一方の面に接触して用紙Pに熱を付与する接触部材である。乾燥位置P3は、ローラ対26による用紙Pの挟持点である。」
オ 「【0036】
コントローラ1pによる制御の下、給紙ユニット1cから送り出された用紙Pは、第1搬送部20aによって第1方向D1に搬送される。用紙Pが記録位置P1を通過する際に、コントローラ1pの制御によりヘッド10が駆動し、吐出口14a(図4参照)から用紙Pの表面(第1面)(給紙トレイ1c1内で下方を向く面)に向けてインクが吐出されることで、用紙Pの表面に画像が記録される。その後用紙Pは、用紙Pの表面に画像が記録される片面記録の場合、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31に排出される。用紙Pの表面及び裏面(第2面)の両方に画像が記録される両面記録の場合、コントローラ1pは、用紙Pがローラ対27に挟持されているときに、ローラ対26、27の回転方向を反転させる。これにより、用紙Pは、第2搬送部20bによって第2方向D2に搬送され、第3搬送部20cに送り込まれる。第3搬送部20cにより搬送された用紙Pは、記録位置P1よりも第1方向D1上流側の位置(ローラ対22のすぐ上流側)において、第1搬送部20aの搬送経路に合流する。そして用紙Pは、再び第1搬送部20aによって第1方向D1に搬送され、記録位置P1を通過する際に裏面に画像が記録された後、開口30から排紙部31に排出される。片面記録又は両面記録の指令は、記録指令に含まれる。」

そうすると、上記記載事項ア乃至オより、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「プリンタの筐体に設けられている搬送ユニット及び乾燥部であって、
搬送ユニットは、第1搬送部、第2搬送部、及び、第3搬送部を含み、
乾燥部は、第2搬送部によって搬送される用紙を、記録位置よりも第1方向下流側の乾燥位置において乾燥させるように構成されており、ローラ対及びヒータを含み、
用紙の表面及び裏面(第2面)の両方に画像が記録される両面記録の場合、コントローラは、用紙がローラ対に挟持されているときに、ローラ対の回転方向を反転させ、用紙は、第2搬送部によって第2方向に搬送され、第3搬送部に送り込まれ、第3搬送部により搬送された用紙は、記録位置よりも第1方向上流側の位置において、第1搬送部の搬送経路に合流し、用紙は、再び第1搬送部によって第1方向に搬送され、記録位置を通過する際に裏面に画像が記録された後、開口から排紙部に排出される、
搬送ユニット及び乾燥部。」

4 当審の判断

(1)本願発明と引用発明1との対比

ア 後者の「媒体に液体噴射ヘッドにより記録を実行する記録ユニット」、「媒体に後処理を行う後処理ユニット」、「媒体に後処理を行う後処理ユニット」、「媒体搬送ユニット」及び「搬送経路」は、それぞれ、前者の「印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニット」、「搬送経路を有する中間ユニット」及び「搬送経路」に相当する。

イ 後者の「媒体搬送ユニット」は、記録ユニットと、媒体に後処理を行う後処理ユニットとを連結するものであるところ、媒体は記録ユニットで記録が行われ、媒体搬送ユニットを介して後処理ユニットへ搬送されることは明らかであることからすれば、前者の「中間ユニット」と後者の「媒体搬送ユニット」とは、「印刷ユニットによって印刷完了後の媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する」点で一致する。

ウ 後者の「中間ユニット」における「第1案内経路、第1スイッチバック経路及び第1排出経路」及び「第2案内経路、第2スイッチバック経路及び第2排出経路」により用紙は反転されるのであるから、前者の「中間ユニット」と後者の「媒体搬送ユニット」とは、「搬送経路に、印刷完了後の媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられ」ている点で一致する。

イ 本願発明と引用発明1の一致点と相違点について

上記アの対比を踏まえると、本願発明と引用発明1とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。

[一致点]

「印刷データに基づいて媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する中間ユニットであって、
前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられている中間ユニット。」

[相違点]

本願発明が、「反転経路に、印刷完了後の媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられ」ているのに対し、引用発明1は、用紙が搬送経路を搬送される間に乾燥し、カール形状がなくなり、元の形状に戻ることができるものである点。

ウ 相違点についての検討

(ア)引用発明2の「乾燥部」は、本願発明の「乾燥ユニット」に相当するところ、引用発明2において、両面記録の場合は、乾燥部であるヒータが設けられたローラ対で挟持された用紙を反転搬送させることから、引用発明2の「搬送ユニット及び乾燥部」が、本願発明の「反転経路」を備えているといえる。

(イ)してみると、引用発明2には、上記相違点に係る構成が示されているといえる。

(ウ)そして、引用発明1も引用発明2も、液体吐出装置の技術分野に属する点で共通する。

(エ)引用発明2は、記録媒体にカールや変色が生じることなく、ムラなく乾燥させることを解決しようとする課題としているところ、引用発明1が、用紙を、カール形状がなくなり、元の形状に戻るよう乾燥させていることからすると、引用発明1も引用発明2も、ムラなく乾燥させることの作用・機能を備えている点で共通するから、引用発明1の媒体搬送ユニットに、引用発明2の技術を適用する動機付けがあるといえる。

(オ)そして、引用発明1において、搬送経路を搬送される間に乾燥させていることからすると、引用発明1の媒体搬送ユニットの第1案内経路、第1スイッチバック経路及び第1排出経路、並びに第2案内経路、第2スイッチバック経路及び第2排出経路に、引用発明2の乾燥部を適用することにより、上記相違点の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。

(カ)そうすると、本願発明は、引用発明1及び引用発明2から、当業者が容易に発明できたものである。

(キ)そして、本願発明の効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測し得る程度のものといえる。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-011936

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