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特許拒絶査定不服審判

2021-000714

工業印刷システムにおける液滴パラメータの高速測定

審判番号
2021-000714
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-511904
請求日
2021年01月18日
審決日
2022年03月15日
公報発行日
2022年09月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】カティーバ, インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】岡東 保
審判長/審判官
  • 審判長 藤本 義仁
  • 審判官 佐々木 創太郎
  • 審判官 吉村 尚
分類
P18 .121-Z (B41J) / P18 .56 -Z (B41J) / P18 .575-Z (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第184条の6第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-511904「工業印刷システムにおける液滴パラメータの高速測定」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月10日国際公開、WO2016/036646、平成29年 9月 7日国内公表、特表2017-525600〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成27年8月31日(パリ条約による優先権主張2014年9月2日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和1年8月28日付けで拒絶理由が通知され、同年11月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年4月17日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月15日付けで令和2年4月17日付け手続補正書による補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされたのに対し、令和3年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和4年1月14日付けで上申書が提出されたものである。 第2 令和3年1月18日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和3年1月18日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和1年11月14日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1へと補正することを含むものである。(下線は当審決で付した。以下同じ。) (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられるパラメータを測定する際に使用するためのモジュール式システムであって、前記モジュール式システムは、 前記モジュール式システムのためのシャーシであって、前記シャーシは、上面と、前記上面内の窓とを画定する、シャーシと、 第1の側面および第2の側面を有するフィルムであって、前記第2の側面は、前記上面によって支持され、前記第1の側面は、前記ノズルからインク液滴を受容する基板を提供するように、前記プリントヘッドと前記窓との間の前記フィルムの部分において前記プリントヘッドに近接して位置付けられる、フィルムと、 前記シャーシに結合された画像捕捉サブシステムであって、前記画像捕捉サブシステムは、前記フィルムの前記第2の側面を通しておよび前記窓を通して第1の画像を捕捉するように位置付けられ、前記第1の画像は、前記プリントヘッドの第1のセットのノズルのそれぞれに対する位置において前記第1のセットのノズルから受容される第1の複数の前記インク液滴を表し、前記画像捕捉サブシステムは、前記第1の画像を画像処理システムに伝えるように出力信号を生成する、画像捕捉サブシステムと、 第2の複数の液滴が前記プリントヘッドの第2のセットのノズルから前記フィルムの前記第1の側面上に受容される次の画像捕捉プロセスのために、前記フィルムの未使用部分を位置付けるように前記窓に対して前記フィルムを前進させるように前記シャーシに結合された機構であって、前記フィルムの前進は、前記プリントヘッドおよび前記画像捕捉サブシステムのいずれの再配置も必要としない、機構と を備える、モジュール式システム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられるパラメータを測定する際に使用するためのモジュール式システムであって、前記モジュール式システムは、 前記モジュール式システムのためのシャーシであって、前記シャーシは、上面を画定し、前記上面内に配置された固形窓部材を有する、シャーシと、 第1の側面および第2の側面を有するフィルムであって、前記第2の側面は、前記上面によって支持され、前記第1の側面は、前記ノズルからインク液滴を受容する基板を提供するように、前記プリントヘッドと前記固形窓部材との間の前記フィルムの部分において前記プリントヘッドに近接して位置付けられる、フィルムと、 前記シャーシに結合された画像捕捉サブシステムであって、前記画像捕捉サブシステムは、前記フィルムの前記第2の側面を通しておよび前記固形窓部材を通して第1の画像を捕捉するように位置付けられ、前記第1の画像は、前記プリントヘッドの第1のセットのノズルのそれぞれに対する位置において前記第1のセットのノズルから受容される第1の複数の前記インク液滴を表し、前記画像捕捉サブシステムは、前記第1の画像を画像処理システムに伝えるように出力信号を生成する、画像捕捉サブシステムと、 第2の複数の液滴が前記プリントヘッドの第2のセットのノズルから前記フィルムの前記第1の側面上に受容される次の画像捕捉プロセスのために、前記フィルムの未使用部分を位置付けるように前記固形窓部材に対して前記フィルムを前進させるように前記シャーシに結合された機構であって、前記フィルムの前進は、前記プリントヘッドおよび前記画像捕捉サブシステムのいずれの再配置も必要としない、機構と を備える、モジュール式システム。」 2 本件補正の適否について 本件補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「シャーシ」について、「上面と、前記上面内の窓とを画定する」とされていたものを、「上面を画定し、前記上面内に配置された固形窓部材を有する」とすることで、「シャーシ」が「上面内」に「窓」を画定するだけでなく、「上面内」に配置された「固形窓部材」を有するとの限定を付加するものである。 また、本件補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項の「窓」を「固形窓部材」とすることで、「窓」が「固形窓部材」であるとの限定を付加するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書(特許法第184条の6第2項の規定によりみなされたもの)の 「【0026】 図2は、第1のそのようなシステム201の近接図を示す。本図は、数字205によって表されるベクトルに沿って、それを通して画像が捕捉される、測定窓203(例えば、ガラスで覆われた視認窓)を描写する。光学検出器、例えば、カメラが、システム201内に位置し、矢印205の方向に沿って、本窓203を通して写真を撮影する。動作中に、ロール207からの透明フィルムテープが、本窓を経由して前進させられ、真空ポート209のセットによって窓に対して緊密に保持される。各測定後に、本テープは、キャプスタン211の方向に前進させられ、液滴測定システムのシャーシ213内で保持される廃棄ロール(見えていない)の中に蓄積させられる。描写されたシステムは、モジュルール式であり、例えば、プリントヘッドのノズルプレートに対する「標準堆積深度」で、測定される任意のプリントヘッドノズルに近接近して測定窓203(および本窓によって画定される関連測定領域)を位置付けるように、ユニットとして移動させられることに留意されたい。随意の実施形態では、液滴測定システム201は、本システムが他のノズルセットに隣接して配置されることができるように、また、所望に応じて堆積高さを変動させるよう、3次元で関節動作させられることができる。」 との記載及び図2に基づいており、「ガラス」は「固形」であると認められることも踏まえると、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について 本件補正の目的が、特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。 (2)引用例1 原査定の拒絶の理由において引用された再公表特許2010/090080号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が示されている。 ア 「【0001】 本発明は、インクジェット方式による、例えば、カラーフィルタ、液晶パネル配向膜、有機EL素子、薄膜トランジスタ、配線基板、マイクロレンズ等の電子デバイスの製造技術に関し、特に、電子デバイスを製造するためのインク塗布装置に使用されるインクジェットヘッドのインク液吐出状態の検査方法および検査装置に関する。」 イ 「【0028】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例であるインクジェットヘッドの吐出状態検査装置(以下、吐出検査装置と略記する)の構成を示す説明図である。図1の吐出検査装置1は、インクジェット方式により、カラーフィルタ用透明基板や有機EL素子用基板等の電子デバイス基材に所望のパターンを印刷する、電子デバイス製造のためのインク塗布装置に使用される。吐出検査装置1では、インクジェットヘッド2(以下、ヘッド2と略記する)のノズルから吐出されるインク液の吐出状態を検査し、ノズルの良・不良を判定する。吐出検査装置1は、電子デバイス製造用のインク塗布装置の一部に設置されている。なお、図1には、電子デバイス製造用のインク塗布装置における吐出検査装置1の部分のみが示されている。 【0029】 図1の吐出検査装置1は、受像用高透過度テストフィルム3(受像用テストメディア、以下、テストフィルム3と略記する)と、撮像装置である撮像用カメラ4(以下、カメラ4と略記する)および照明(照明装置)5を備えている。吐出検査装置1では、ヘッド2からテストフィルム3にインク液を吐出させ、インク液の着弾画像をカメラ4にて撮影してインク液の吐出状態を検査する。吐出検査装置1には、検査可能領域6が設けられている。検査可能領域6では、インク液の着弾画像をカメラ4によって有効に撮像、検出可能となっている。検査可能領域6は、電子デバイス製造のためのインク塗布装置における本番印刷領域(電子デバイス基材に実際に印刷を行う領域)に隣接して配置されている。ヘッド2は、検査可能領域6と本番印刷領域とを自在に行き来できるようになっている。なお、図1では、本番印刷領域は省略されている。 【0030】 図1に示すように、検査可能領域6は、ヘッド駆動方向の前方に設けられている。検査可能領域6では、テストフィルム3の下方に、カメラ4と照明5が配置されている。カメラ4は、検査可能領域6内をヘッド2の駆動方向と直交方向に移動する。カメラ4としては、例えば、CCDカメラが使用される。カメラ4の画素分解能は、ヘッド2からのインク吐出量測定精度や着弾位置測定精度にもよるが、電子デバイス製造用のインク塗布装置のインクジェットヘッド吐出検査用としては2μm以下であることが望ましい。」 ウ 「【0033】 テストフィルム3とヘッド2のノズルとの間の距離は、正確な吐出情報を取得するため、ノズルと電子デバイス基材との間の距離と等しいことが求められる。また、ノズル-テストフィルム3間の距離が、少なくとも検査可能領域6では常に一定になるような平面度を有するように、テストフィルム3を固定することも必要となる。さらに、電子デバイス製造のインク塗布工程前に吐出検査工程を行うことを考慮すると、吐出検査装置1は、テストフィルム3の固定工程と破棄工程が連続して行えることが望ましい。 【0034】 そこで、当該吐出検査装置1では、前述の要件を満たすべく、図2のようなRtoR(Roll to Roll)構成のフィルム搬送機構(メディア固定装置)10を使用している。フィルム搬送機構10では、ヘッド2を支持するフレーム等とテストフィルム3との距離が、本番印刷領域における前記フレーム等と電子デバイス基材との距離と同一となるように設定されている。また、ヘッド2の動作速度や他の印刷条件も、本番印刷と同様の状態でテスト印刷ができるようになっている。つまり、吐出検査装置1は、テストと本番との間で着弾状態に差異が無いように設定されている。 【0035】 図2に示すように、フィルム搬送機構10は、モータ11a,11bによって駆動される搬送ローラ12a,12bを備えている。検査可能領域6には、アイドルローラ13a,13bが設けられている。テストフィルム3は、アイドルローラ13a,13bを介して、搬送ローラ12a,12bの間に張った状態で配置される。フィルム搬送機構10には、テストフィルム3に接触するようにテンションゲージ14が設けられている。テンションゲージ14は、テストフィルム3の張力を検出する。そして、テストフィルム3の張力が設定した値になるようにモータ11a,11bを適宜駆動し、テストフィルム3を所定張力にて固定する。これにより、検査可能領域6において、テストフィルム3は、アイドルローラ13a,13bの間に所定の平面度で固定される。 【0036】 一方、カメラ4は、画像データ処理装置(画像評価装置)21に接続されている。画像データ処理装置21は、撮像したインク液の着弾画像を解析してノズルの良・不良を判定する。図1に示すように、画像データ処理装置21は、画像処理部22と、制御部23および検査処理部24を備えている。画像処理部22は、カメラ4から送られてきた画像データを取得し、所定の検査前処理を実施する。検査処理部24は、画像処理部22にて前処理が施された画像データを分析し、インク液吐出状態に関する情報を算出する。制御部23は、画像処理部22から画像データを取得すると共に、検査処理部24との間でデータのやり取りを行い、各ノズルの良・不良状態を判断する。」 エ 「【0038】 次に、このような吐出検査装置1における検査処理について、カラーフィルタのインク塗布工程を例にとって説明する。ここではまず、フィルム搬送機構10を駆動させ、テストフィルム3を所定張力にてセットする。テストフィルム3をセット後、ヘッド2を駆動し、検査可能領域6にてノズルからインク液を吐出させ、テストフィルム3に検査用パターン7を形成する。インク液の吐出は、R,G,Bの各色のヘッド2について、1色ずつ複数回(例えば、3回)行われる。つまり、1回のヘッド走査にて、ノズル数×吐出回数のインク液のドットが形成される。なお、インク液の吐出を複数回実施するのは、データ精度を上げるべく、複数のサンプルを採取するためである。従って、インク液の吐出回数自体には、特に制限や限定はない。 【0039】 検査可能領域6は、カメラ4の視野内に設定されている。従って、検査用パターン7は、カメラ4の視野内に収まるように形成される。検査用パターン7を形成した後、照明5を点灯させ、カメラ4にて検査用パターン7を撮像する。ヘッド2のノズルは、ヘッド2の駆動方向と概ね直交する方向に並んでいる。従って、検査用パターン7も、ヘッド駆動方向と概ね直交する方向に並んで形成される。吐出検査装置1では、カメラ4をヘッド駆動方向と直交方向に移動させ、1回の走査によって全ての検査用パターン7を撮像する。 【0040】 検査用パターン7の撮像画像データは、画像処理部22に送られる。画像データは、画像処理部22にて検査前処理を実施した後、制御部23に転送される。制御部23は、検査処理部24に画像データを送る。画像データは、検査処理部24にて検出、分別され、インク液の吐出状態情報が形成される。制御部23は、検査処理部24から吐出状態情報を受け取り、各ノズルの良・不良状態を判断する。図3は、検査用パターン7の撮像画像の一例を示す説明図である。図3のパターンは、R色ヘッドの9個のノズル(3個のノズルを備えたヘッドが3個)にて、インク液を3回吐出させた検査例を示している。 【0041】 図3に示すように、着弾したインクドット31はそれぞれ、径や面積、形状、重心位置などが異なっている。検査処理部24は、径や面積等を、各ノズル毎にドット形態情報として取得する。検査処理部24は、このドット形態情報に基づき、A~C範囲のそれぞれについて、吐出量のバラツキ((1).吐出量検査)や、(2).着弾位置検査、(3).チリ・サテライト・形状検査の各検査を行う。制御部23は、この検査結果に基づいて、吐出不良ノズルを特定する。なお、画像データには、例えば、図3の8番ノズルのA範囲のように、前処理にて異物を除去しきれなかったものが含まれている可能性がある。従って、ドット形態情報作成に際し、検査処理部24は、A~C範囲の全て、または、その内の2つの範囲において吐出不良が生じている場合、そのノズルを不良ノズルと見なす処理を行う。」 オ 「【0048】 これらの検査結果は、制御部23によって検査結果出力部26に出力され、各ノズルに関する良・不良状態がモニタ等に示される。そして、R,G,Bの各ヘッド2の各ノズルの吐出検査を行った後、フィルム搬送機構10のモータ11a,11bを駆動してテストフィルム3を搬送する。すなわち、テストフィルム3は、R,G,Bの各ヘッド2の検査が終了するまで移動させずに固定状態を維持される。検査用パターン7の印刷は、非常に微小な部分での印刷となるため、複数のヘッドについて、複数回テスト印刷を行い、テストフィルム3を移動させる前に撮像して検査を行う。これは、各色ヘッドの 吐出が全て終了する前にテストフィルム3を移動させると検査精度が低下するためである。これにより、フィルム移動精度の影響を避けることでき、カメラ4の移動精 度を確保すれば高精度の吐出検査処理が可能となる。」 カ 上記ウの記載及び図2より、テストフィルム3は上面及び下面を有し、テストフィルム3の下面は、フィルム搬送機構10を構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14により支持されていると認められ、図2より、テストフィルム3の上面にヘッド2からインク液を吐出させていることが看取できる。 キ フィルム搬送機構10を構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14と、カメラ4が、(何らかの)筐体によって支持されていることは自明である。 ク 本願の発明の詳細な説明の段落【0026】及び図2においては、「213」の番号が付された部材を「シャーシ」としている一方で、本願補正発明において、「シャーシ」は、固形窓部材を有し、フィルムを支持する部分(図2における「測定窓203」や「真空ポート209」を有する部分に対応するもの)を含むものであることから、本願補正発明において「シャーシ」とは、(図2において「213」の番号が付された部材のような)単なる筐体ではなく、「(モジュール式システムの)枠組みを構成する部材」、という意味で用いられていると認められる。 そうすると、引用文献1に記載された発明において、フィルム搬送機構10を構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14は、吐出検査装置1の枠組みを構成しているといえるから、上記筐体と共に、「シャーシ」を構成していると認められる。 ケ 上記クの記載及び図2より、「シャーシ」を構成するアイドルローラ13a、13bは、「シャーシ」の上部を画定していると認められる。 コ 図2より、アイドルローラ13a、13bの間の領域は、検査可能領域6となっており、カメラ4により撮像可能なようになっていると認められることから、アイドルローラ13a、13bの間の領域には、光を通過可能とし撮像を可能とする部分が設けられていると認められ、「シャーシ」は、アイドルローラ13a、13bの間の領域内に配置された「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」を有し、カメラ4は当該「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」を通して撮像を行っていると認められる。 サ 図2より、上記「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」が設けられていると認められる箇所とヘッド2との間において、テストフィルム3はヘッド2に近接して位置付けられていることが看取できる。 シ 上記オの記載、図1及び図2より、テストフィルム3を搬送する際には、フィルム搬送機構10のモータ11a,11bを駆動するだけであるから、ヘッド2及びカメラ4の移動を必要としないものと認められる。 そうすると、上記事項ア~シより、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が示されているものと認められる。 「インクジェットヘッドのインク液吐出状態を検査する吐出検査装置1であって、 インクジェットヘッド2のノズルから吐出されるインク液の吐出状態を検査し、ノズルの良・不良を判定する吐出検査装置1であって、 電子デバイス製造用のインク塗布装置の一部に設置されており、 吐出検査装置1は、テストフィルム3と、カメラ4を備えており、吐出検査装置1では、ヘッド2からテストフィルム3にインク液を吐出させ、インク液の着弾画像をカメラ4にて撮影してインク液の吐出状態を検査し、 テストフィルム3の下方に、カメラ4が配置されており、 フィルム搬送機構10は、モータ11a,11bによって駆動される搬送ローラ12a,12bを備えており、検査可能領域6には、アイドルローラ13a,13bが設けられており、テストフィルム3は、アイドルローラ13a,13bを介して、搬送ローラ12a,12bの間に張った状態で配置され、フィルム搬送機構10には、テストフィルム3に接触するようにテンションゲージ14が設けられており、 カメラ4は、画像データ処理装置(画像評価装置)21に接続されており、画像データ処理装置21は、撮像したインク液の着弾画像を解析してノズルの良・不良を判定し、画像データ処理装置21は、画像処理部22と、制御部23および検査処理部24を備えており、画像処理部22は、カメラ4から送られてきた画像データを取得し、所定の検査前処理を実施し、 インク液の吐出は、R,G,Bの各色のヘッド2について、1色ずつ複数回(例えば、3回)行われ、1回のヘッド走査にて、ノズル数×吐出回数のインク液のドットが形成され、 検査処理部24は、着弾したインクドット31の径や面積等を、各ノズル毎にドット形態情報として取得し、検査処理部24は、このドット形態情報に基づき、吐出量検査や、着弾位置検査、チリ・サテライト・形状検査の各検査を行い、 R,G,Bの各ヘッド2の各ノズルの吐出検査を行った後、フィルム搬送機構10のモータ11a,11bを駆動してテストフィルム3を搬送し、 テストフィルム3は上面及び下面を有し、テストフィルム3の下面は、フィルム搬送機構10を構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14により支持され、 テストフィルム3の上面にヘッド2からインク液を吐出させ、 フィルム搬送機構10を構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14と、カメラ4は、筐体によって支持され、フィルム搬送機構10を構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14は、上記筐体と共に、シャーシを構成しており、 当該シャーシを構成するアイドルローラ13a、13bは、当該シャーシの上部を画定しており、 シャーシは、アイドルローラ13a、13bの間の領域内に配置された光を通過可能とし撮像を可能とする部分を有し、 カメラ4は当該光を通過可能とし撮像を可能とする部分を通して撮像を行い、 当該光を通過可能とし撮像を可能とする部分とヘッド2との間において、テストフィルム3はヘッド2に近接して位置付けられて、 テストフィルム3を搬送する際に、ヘッド2及びカメラ4の移動を必要としない、 インクジェットヘッドのインク液吐出状態を検査する吐出検査装置1。」 (3)引用例5 原査定の拒絶の理由において引用された特開2013-228368公報(以下「引用例5」と いう。)には、次の事項が示されている。 ア 「【0001】 本発明は、撮像ユニット、測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法に関する。」 イ 「【0030】 キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20は、図3に示すように、それぞれの記録ヘッド20y、20m、20c、20kが、複数のノズル列で構成されている。プラテン14上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像が形成される。キャリッジ6の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、画像形成装置1は、キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載している。また、黒の印字速度を向上させるために、カラーのインクを吐出する記録ヘッド20y、20m、20cの2倍の数の記録ヘッド20kがキャリッジ6に搭載されている。さらに、記録ヘッド20y、20mは、キャリッジ6の往復動作で色の重ね順を合わせて、往路と復路とで色が変わらないようにするために、主走査方向に分割されて隣接する状態で配置されている。記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kの配置は、図3に示す配置に限るものではない。 【0031】 キャリッジ6には、図2に示したように、撮像ユニット(撮像装置)30が取り付けられている。撮像ユニット30は、後述する色調整処理時に被写体(測色対象物)を測色するために、被写体を撮像する。 【0032】 撮像ユニット30は、平面図である図4、図4のA-A矢視断面図である図5、図5のB-B矢視断面図である図6及び図4のC-C矢視断面図である図7に示すように、基板31に、基板31側の面が開放されている四角の箱形状の枠体32が、締結部材33によって固定されている。基板31は、図1に示したキャリッジ6に固定されている。なお、枠体32は、四角の箱形状に限るものではなく、例えば、開口部32b、32cの形成されている底面部32aを有する円筒の箱形状や楕円筒の箱形状等であってもよい。 【0033】 撮像ユニット30は、基板31の枠体32側の面であってその中央部に、イメージセンサ部34が配設されている。イメージセンサ部(センサ部)34は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の2次元イメージセンサ35とレンズ36を備えている。 【0034】 撮像ユニット30は、枠体32が、その基板31とは反対側の面部(以下、底面部という。)32aの下面が、所定の間隔dを有してプラテン14上の記録媒体Pと対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられている。該底面部(対向面)32aには、中心線Loを中心として、主走査方向にそれぞれ略長方形状の開口部32bと開口部32cが、所定幅の正反射吸収用の底面部32aaを挟んで、形成されている。なお、この底面部32aaは、正反射光を吸収する所定の表面処理等が施されていてもよい。 【0035】 間隙dは、後述するように、2次元イメージセンサ35に対する焦点距離を考慮して、小さい方が好ましい。記録媒体Pの平面性との関係から、枠体32の下面と記録媒体Pとが接触しない大きさ、例えば、1mm~2mm程度に設定されている。 【0036】 開口部32cは、後述するように、記録媒体Pに形成されている撮像対象体(被写体)である基準シートKS(図10参照)の基準色パッチKP(図10参照)及び測色調整シートCS(図5参照)の測色調整色パッチCP(図5参照)を撮像するのに用いられる。開口部32cは、少なくとも、撮像対象の画像を全て撮像可能な大きさであればよい。枠体32と撮像対象との間に間隙dがあるため、開口部32cの周辺に発生する影を考慮して、撮像対象の撮像領域の大きさよりも若干大きめの開口状態で形成されている。」 そうすると、上記事項ア~イより、引用例5には、次の発明(以下「引用発明5」という。)が示されているものと認められる。 「プラテン14上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像が形成され、 キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載した画像形成装置1の撮像ユニット30であって、 キャリッジ6に取り付けられており、 色調整処理時に被写体を測色するために、被写体を撮像し、基板31に、基板31側の面が開放されている四角の箱形状の枠体32が、締結部材33によって固定されており、 枠体32が、その基板31とは反対側の底面部32aの下面が、所定の間隔dを有してプラテン14上の記録媒体Pと対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられており、該底面部32aには、主走査方向に略長方形状の開口部32cが形成されており、 開口部32cは、記録媒体Pに形成されている撮像対象体(被写体)である基準シートKSの基準色パッチKP及び測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像するのに用いられる、 ノズル列からインクを吐出することで記録媒体Pに画像を形成する画像形成装置1の撮像ユニット30。」 (4)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 ア 後者の「テストフィルム3」及び「フィルム搬送機構10」は、前者の「フィルム」及び「機構」に相当する。 イ 後者の「電子デバイス製造用のインク塗布装置」は、前者の「印刷システム」に相当するから、前者の「ノズル」と、後者の「ノズル」は、「印刷システムにおけるプリントヘッド」のものである点で共通する。 ウ 後者の「吐出検査装置1」は、「インクジェットヘッド2のノズルから吐出されるインク液の吐出状態を検査し、ノズルの良・不良を判定する」ものであり、「径や面積等を、各ノズル毎にドット形態情報として取得」し、「このドット形態情報に基づき、吐出量検査や、着弾位置検査、チリ・サテライト・形状検査の各検査を行」うものであるから、前者の「パラメータ」と、後者の「ドット形態情報」は、「印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられる」ものである点で共通する。 エ 後者の「吐出検査装置1」は、「電子デバイス製造用のインク塗布装置の一部に設置されて」いるものであり、一つのまとまりを持った装置であるといえるから、前者の「システム」と、後者の「吐出検査装置1」は、「モジュール式」である点で共通し、上記イ及びウとあわせて、前者の「システム」と、後者の「吐出検査装置1」は、「印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられるパラメータを測定する際に使用するための」ものであり、「モジュール式」である点で共通する。 オ 後者の「シャーシ」は、吐出検査装置1を構成するものであり、当該シャーシを構成するアイドルローラ13a、13bは、当該シャーシの上部を画定しており、シャーシは、アイドルローラ13a、13bの間の領域内に配置された「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」(すなわち「窓」)を有するのであるから、前者の「シャーシ」と後者の「シャーシ」は、「モジュール式システムのためのシャーシであって」、「上部を画定し」、「上部内に配置された」「窓」「を有する」点で共通する。 カ 後者の「テストフィルム3」は、上面及び下面を有し、下面がシャーシを構成する搬送ローラ12a、12b、アイドルローラ13a、13b及びテンションゲージ14により支持されるものであり、上面にヘッド2からインク液を吐出させるものであり、「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」とヘッド2との間において、テストフィルム3はヘッド2に近接して位置付けられるものであるから、前者の「フィルム」と、後者の「テストフィルム3」は、「第1の側面および第2の側面を有」し、「第2の側面」は、「上部によって支持され」、「第1の側面」は、「ノズルからインク液滴を受容する基板を提供するように、前記プリントヘッドと」「窓」「との間の前記フィルムの部分において前記プリントヘッドに近接して位置付けられる」点で共通する。 キ 後者の「カメラ4」は、「テストフィルム3の下方に」「配置されて」いるものであり、「ヘッド2からテストフィルム3にインク液を吐出させ、インク液の着弾画像を」「撮影してインク液の吐出状態を検査」するものであり、「画像データ処理装置(画像評価装置)21に接続されており、画像データ処理装置21は、撮像したインク液の着弾画像を解析してノズルの良・不良を判定し、画像データ処理装置21は、画像処理部22と、制御部23および検査処理部24を備えており」、「画像処理部22は、カメラ4から送られてきた画像データを取得し、所定の検査前処理を実施し、インク液の吐出は、R,G,Bの各色のヘッド2について、1色ずつ複数回(例えば、3回)行われ、1回のヘッド走査にて、ノズル数×吐出回数のインク液のドットが形成され、1回のヘッド走査にて、ノズル数×吐出回数のインク液のドットが形成され」るものであり、シャーシによって支持されており、アイドルローラ13a、13bの間に設けられた光を通過可能とし撮像を可能とする部分を通して撮像を行うものであるから、前者の「画像補足サブシステム」と、後者の「カメラ4」は、「シャーシに結合された」ものである点及び「前記フィルムの前記第2の側面を通して」、「窓」「を通して」「第1の画像を捕捉するように位置付けられ、前記第1の画像は、前記プリントヘッドの第1のセットのノズルのそれぞれに対する位置において前記第1のセットのノズルから受容される第1の複数の前記インク液滴を表し、前記画像捕捉サブシステムは、前記第1の画像を画像処理システムに伝えるように出力信号を生成する」ものである点で共通する。 ク 後者の「フィルム搬送機構10」は、「R,G,Bの各ヘッド2の各ノズルの吐出検査を行った後、フィルム搬送機構10のモータ11a,11bを駆動してテストフィルム3を搬送する」ものであり、「フィルム搬送機構10」はシャーシに支持されるものであり、テストフィルム3を搬送する際に、ヘッド2及びカメラ4の移動を必要としないものである。 そして、引用発明1においても、R,G,Bの各ヘッド2の各ノズルの吐出検査を行い、テストフィルム3が搬送されたあと、いずれかのタイミングにおいて、再びR,G,Bの各ヘッド2の各ノズルの吐出検査を行うものと認められる。 そして、本願補正発明において、「プリントヘッドの第1のセット」と「プリントヘッドの第2のセット」が同じ「プリントヘッド」の「セット」である場合が含まれることを考慮すると、前者の「機構」と、後者の「フィルム搬送機構10」は、「第2の複数の液滴が前記プリントヘッドの第2のセットのノズルから前記フィルムの前記第1の側面上に受容される次の画像捕捉プロセスのために、前記フィルムの未使用部分を位置付けるように前記固形窓部材に対して前記フィルムを前進させるように前記シャーシに結合された機構であって、前記フィルムの前進は、前記プリントヘッドおよび前記画像捕捉サブシステムのいずれの再配置も必要としない点」で共通する。 したがって、両者は、 「印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられるパラメータを測定する際に使用するためのモジュール式システムであって、前記モジュール式システムは、 前記モジュール式システムのためのシャーシであって、前記シャーシは、上部を画定し、前記上部内に配置された窓を有する、シャーシと、 第1の側面および第2の側面を有するフィルムであって、前記第2の側面は、前記上面によって支持され、前記第1の側面は、前記ノズルからインク液滴を受容する基板を提供するように、前記プリントヘッドと前記窓との間の前記フィルムの部分において前記プリントヘッドに近接して位置付けられる、フィルムと、 前記シャーシに結合された画像捕捉サブシステムであって、前記画像捕捉サブシステムは、前記フィルムの前記第2の側面を通しておよび前記窓を通して第1の画像を捕捉するように位置付けられ、前記第1の画像は、前記プリントヘッドの第1のセットのノズルのそれぞれに対する位置において前記第1のセットのノズルから受容される第1の複数の前記インク液滴を表し、前記画像捕捉サブシステムは、前記第1の画像を画像処理システムに伝えるように出力信号を生成する、画像捕捉サブシステムと、 第2の複数の液滴が前記プリントヘッドの第2のセットのノズルから前記フィルムの前記第1の側面上に受容される次の画像捕捉プロセスのために、前記フィルムの未使用部分を位置付けるように前記窓に対して前記フィルムを前進させるように前記シャーシに結合された機構であって、前記フィルムの前進は、前記プリントヘッドおよび前記画像捕捉サブシステムのいずれの再配置も必要としない、機構と を備える、モジュール式システム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、シャーシが「上面」を画定するものであるのに対し、引用発明1は、シャーシが「上部」を画定するものであるものの、「面」を画定するものであるとは特定されていない点。 [相違点2] 本願補正発明は、「シャーシ」が「前記上面内に配置された固形窓部材を有する」のに対し、引用発明1は、「シャーシ」が、「上部内」に配置された「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」を有するものの、「面内」に有しているとは特定されていない点。 [相違点3] 本願補正発明は、「フィルム」の「第2の側面」が、「シャーシ」の「上面によって支持され」るのに対し、引用発明1は、「テストフィルム3」の「下面」が、「シャーシ」の「上部によって支持され」るものであるものの「面」によって支持されるとは特定されていない点。 [相違点4] 本願補正発明は、「シャーシ」が「前記上面内に配置された固形窓部材を有する」のに対し、引用発明1は、「シャーシ」が「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」を有するものの、「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」が「固形窓部材」であるとは特定されていない点。 [相違点5] 本願補正発明は、「フィルム」について、「プリントヘッドに近接して位置付けられる」のが、「固形窓部材との間」であるのに対し、引用発明1は、「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」との間ではあるものの「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」が「固形窓部材」とは特定されていない点。 [相違点6] 本願補正発明は、「画像捕捉サブシステム」が、「前記固形窓部材を通して」「第1の画像を捕捉するように位置付けられ」るのに対し、引用発明1は、「画像捕捉サブシステム」が、「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」「を通して」「第1の画像を捕捉するように位置付けられ」るものではあるものの、「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」が「固形窓部材」であるとは特定されていない点。 [相違点7] 本願補正発明は、「前記フィルムを前進させる」のが、「前記固形窓部材に対して」であるのに対し、引用発明1は、「前記フィルムを前進させる」のが、「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」「に対して」ではあるものの「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」が「固形窓部材」であるとは特定されていない点。 (5)判断 まず、相違点1乃至3は何れも、「シャーシ」の「上部」に関わる発明特定事項であることから、以下、あわせて検討する。 引用発明5は、枠体32(「シャーシ」に対応)が開口部32c(「窓」に対応)を有する底面部32(「面」に対応)を備え、当該開口部32cを通して撮像を行う発明であるといえ、「面状の部材」を設けることにより「シャーシ」が「面」を画定し、当該「面内」に「窓」を有しているという、相違点1及び相違点2に係る構成を有しているといえる。 ここで、引用発明1は「インクジェットヘッドのインク液吐出状態を検査する吐出検査装置1」の発明であり、引用発明5は「ノズル列からインクを吐出することで記録媒体Pに画像を形成する画像形成装置1の撮像ユニット30」の発明であるから、両者は、「インクを吐出するシステムに用いられる検知装置」という共通の技術分野に属するものであり、引用発明1の「シャーシ」の「上部」に対し、「アイドルローラ13a、13b」に付加するかたちで引用発明5の「面状の部材」を設けることにより「シャーシ」が「面」を画定し、当該「面内」に「窓」を有しているという構成を適用することで、相違点1及び相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことであり、「アイドルローラ13a、13b」に付加するかたちで「面状の部材」を設けたことにより、「テストフィルム3」の「下面」は、「アイドルローラ13a、13b」と「面状の部材」からなる「面」によって支持されるものとなることから、自ずと相違点3に係る構成が採用されることになると認められる。 してみると、引用発明1において、引用発明5を適用することで、相違点1乃至3の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 次に、相違点4乃至7は何れも「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」に関わる発明特定事項であることから、以下、あわせて検討する。 例えば、特開2006-187979号公報(段落【0011】、【0050】、図8等を参照)、特開平4-40164号公報(第5頁右下欄第9行-第6頁左上欄第1行、第1B図等を参照)、特開2013-39776号公報(段落【0053】、図2等を参照)に記載されているように、インク吐出に関する装置の技術分野において、「光を通過可能とすることで光による検知を可能とする部分」をガラス等の「固形窓部材」とする技術は、周知技術である。 してみると、引用発明1において、上記周知技術を適用することで、相違点4乃至7の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明5及び上記周知技術から、当業者が容易に想到し得たものである。 (6)請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、 ア 「引用発明1では、テンションゲージ14、モータ11a,および11bにより、検査可能領域6において、テストフィルム3は、アイドルローラ13a,13bの間に所定の平面度で固定される。そうすると、当業者にとって、テストフィルム3とカメラ4の間に「固形窓部材」に相当するものを挿入する動機付けは生じないと思料する。またこれを示唆する記載も引用発明1には記載されていないと思料する。」 イ 「引用発明5図5を参照すると、少なくとも、本願請求項1の発明の特徴である特徴(A)すなわち、「前記モジュール式システムのためのシャーシであって、前記シャーシは、上面を画定し、前記上面内に配置された固形窓部材を有する、シャーシ」は、記載されていないと思料する。少なくとも、「固形窓部材」は記載されていない。 引用発明5において、開口部32は、単に、測色調整色パッチCPを撮像するための開口部である。引用発明5の課題を考慮すると、この開口部に、「固形窓部材」を挿入する動機付けは生じないと思料する。」 と主張する。 そこで、前記主張ア及びイについて以下、検討する。 例えば、特開2006-187979号公報(段落【0011】、【0050】、図8等を参照)、特開平4-40164号公報(第5頁右下欄第9行-第6頁左上欄第1行、第1B図等を参照)に記載されているように、検知部材がインクミストによって汚染されるのを防ぐという課題は、周知の課題であり、また、当該課題を解決するために、「光を通過可能とすることで光による検知を可能とする部分」を「固形窓部材」とする技術も周知である。 そうすると、検知部材がインクミストによって汚染されるのを防ぐという上記周知の課題は、当然、当業者の念頭にあった課題であると認められるから、引用発明1において、上記周知技術を適用するのに十分な動機付けが存在していたものと認められる。 してみると、引用発明1や引用発明5に「固形窓部材」に相当する構成や「固形窓部材」を挿入する動機付けがないことを根拠に、本願補正発明を当業者が容易に想到し得たものではないとする請求人の主張は採用できない。 よって、請求人の主張ア及びイは採用できない。 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない発明であって、特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してされたものである。 (7)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和1年11月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられるパラメータを測定する際に使用するためのモジュール式システムであって、前記モジュール式システムは、 前記モジュール式システムのためのシャーシであって、前記シャーシは、上面と、前記上面内の窓とを画定する、シャーシと、 第1の側面および第2の側面を有するフィルムであって、前記第2の側面は、前記上面によって支持され、前記第1の側面は、前記ノズルからインク液滴を受容する基板を提供するように、前記プリントヘッドと前記窓との間の前記フィルムの部分において前記プリントヘッドに近接して位置付けられる、フィルムと、 前記シャーシに結合された画像捕捉サブシステムであって、前記画像捕捉サブシステムは、前記フィルムの前記第2の側面を通しておよび前記窓を通して第1の画像を捕捉するように位置付けられ、前記第1の画像は、前記プリントヘッドの第1のセットのノズルのそれぞれに対する位置において前記第1のセットのノズルから受容される第1の複数の前記インク液滴を表し、前記画像捕捉サブシステムは、前記第1の画像を画像処理システムに伝えるように出力信号を生成する、画像捕捉サブシステムと、 第2の複数の液滴が前記プリントヘッドの第2のセットのノズルから前記フィルムの前記第1の側面上に受容される次の画像捕捉プロセスのために、前記フィルムの未使用部分を位置付けるように前記窓に対して前記フィルムを前進させるように前記シャーシに結合された機構であって、前記フィルムの前進は、前記プリントヘッドおよび前記画像捕捉サブシステムのいずれの再配置も必要としない、機構と を備える、モジュール式システム。」(以下「本願発明」という。) 2 原査定の拒絶の理由 原査定の理由は、 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用例1及び下記引用例5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用例1.再公表特許2010/090080号公報 引用例5.特開2013-228368公報 3 引用例 令和2年2月28日付けの拒絶理由通知に引用された引用例1、引用例5、及び、これらの記載内容は上記「第2 3 (2)及び(3)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、実質的に、本願補正発明の「前記シャーシは、上面を画定し、前記上面内に配置された固形窓部材を有する」との記載を「前記シャーシは、上面と、前記上面内の窓とを画定する」とし、「固形窓部材」を「窓」としたものである。 上記の点を踏まえ、本願発明と引用発明1を対比すると、両者は以下の点で一致し、以下の点で相違する。 [一致点] 「印刷システムにおけるプリントヘッドのノズルによる液滴放出と関連付けられるパラメータを測定する際に使用するためのモジュール式システムであって、前記モジュール式システムは、 前記モジュール式システムのためのシャーシであって、前記シャーシは、上部と、前記上部内の窓とを画定する、シャーシと、 第1の側面および第2の側面を有するフィルムであって、前記第2の側面は、前記上部によって支持され、前記第1の側面は、前記ノズルからインク液滴を受容する基板を提供するように、前記プリントヘッドと前記窓との間の前記フィルムの部分において前記プリントヘッドに近接して位置付けられる、フィルムと、 前記シャーシに結合された画像捕捉サブシステムであって、前記画像捕捉サブシステムは、前記フィルムの前記第2の側面を通しておよび前記窓を通して第1の画像を捕捉するように位置付けられ、前記第1の画像は、前記プリントヘッドの第1のセットのノズルのそれぞれに対する位置において前記第1のセットのノズルから受容される第1の複数の前記インク液滴を表し、前記画像捕捉サブシステムは、前記第1の画像を画像処理システムに伝えるように出力信号を生成する、画像捕捉サブシステムと、 第2の複数の液滴が前記プリントヘッドの第2のセットのノズルから前記フィルムの前記第1の側面上に受容される次の画像捕捉プロセスのために、前記フィルムの未使用部分を位置付けるように前記窓に対して前記フィルムを前進させるように前記シャーシに結合された機構であって、前記フィルムの前進は、前記プリントヘッドおよび前記画像捕捉サブシステムのいずれの再配置も必要としない、機構と を備える、モジュール式システム。」 [相違点1A] 本願発明は、シャーシが「上面」を画定するものであるのに対し、引用発明1は、シャーシが「上部」を画定するものであるものの、「面」を画定するものであるとは特定されていない点。 [相違点2A] 本願発明は、「シャーシ」が「上面内の窓」を画定するものであるのに対し、引用発明1は、「シャーシ」が、「上部内」の「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」を画定するものであるものの、「面内」の「光を通過可能とし撮像を可能とする部分」を画定するものであるものとは特定されていない点。 [相違点3A] 本願発明は、「フィルム」の「第2の側面」が、「シャーシ」の「上面によって支持され」るのに対し、引用発明1は、「テストフィルム3」の「下面」が、「シャーシ」の「上部によって支持され」るものであるものの「面」によって支持されるとは特定されていない点。 相違点1A、相違点2A及び相違点3Aについて検討する。 引用発明5は、枠体32(「シャーシ」に対応)が開口部32c(「窓」に対応)を有する底面部32(「面」に対応)を備え、当該開口部32cを通して撮像を行う発明であるといえ、「面状の部材」を設けることにより「シャーシ」が「面」を画定し、当該「面内」の「窓」を画定するものであるという、相違点1A及び相違点2Aに係る構成を有しているといえる。 そして、「第2 3(5)」における検討と同様に、引用発明1の「シャーシ」の「上部」に対し、「アイドルローラ13a、13b」に付加するかたちで引用発明5の「面状の部材」を設けることにより「シャーシ」が「面」を画定し、当該「面内」の「窓」を画定するものであるという構成を適用することで、相違点1A及び相違点2Aに係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことであり、「アイドルローラ13a、13b」に付加するかたちで「面状の部材」を設けたことにより、「テストフィルム3」の「下面」は、「アイドルローラ13a、13b」と「面状の部材」からなる「面」によって支持されるものとなることから、自ずと相違点3Aに係る構成が採用されることになると認められる。 してみると、引用発明1において、引用発明5を適用することで、相違点1A、相違点2A及び相違点3Aの構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、本願発明は、引用発明1及び引用発明5により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-000714

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