2021-011400
無線通信システムにおけるLTE/NRインターワーキングのサポートのためのインターフェースを管理する方法及び装置
- 審判番号
- 2021-011400
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-536912外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月26日
- 審決日
- 2022年04月19日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (H04W) / P18 .537-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)1月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2017年1月6日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 7月30日付け 拒絶理由通知書
令和 2年11月 6日 手続補正書、意見書の提出
令和 2年12月 1日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和 3年 3月 5日 手続補正書、意見書の提出
令和 3年 4月 2日付け 令和3年3月5日になされた手続補正の却
下の決定、拒絶査定
令和 3年 8月26日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和3年4月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(特許法第36条第6項第1号)について
・請求項 1-14
請求項1には、
(a)『前記第1のRANノードのID及び前記第2のRANノードのIDは、前記第1のRANノード及び前記第2のRANノードが、それぞれ前記eNB又は前記gNBであるか否かに基づき』
と記載されている。そして令和2年11月6日付け意見書において、請求項1の構成(a)は明細書の段落[0103],[0104],[0106],[0107]の記載に基づく旨の説明をしている。
しかし明細書の上記段落の記載から、どのように請求項1の上記(a)の構成が導かれるのかが不明である。(特に下線部)
請求項8、及びこれらの請求項を引用する請求項2-7,9-14も、同様である。
●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1ないし14
・引用文献等 1ないし4
<引用文献等一覧>
1.特開2015-185938号公報
2.3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); X2 application protocol (X2AP) (Release 14),3GPP TS36.423,3GPP,2016年9月,V14.0.0,pp.161,162
3.Huawei,Xx interface justification and functionalities[online],3GPP TSG-RAN WG3#93bis,3GPP,2016年10月1日アップロード,R3-162356,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_93bis/Docs/R3-162356.zip>
4.Ericsson,Response to R3-162741[online],3GPP TSG RAN WG3 #94,3GPP,2016年11月10日アップロード,R3-163074,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_94/Docs/R3-163074.zip>
第3 本願発明について
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和3年8月26日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。(下線は請求人が付したものであり補正箇所を示す。)
「 【請求項1】無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノードによるX2設定手続きを行う方法において、前記X2設定手続きをトリガーするステップと、前記第1のRANノードのID(identifier)を含むX2設定要請メッセージを第2のRANノードに送信するステップと、続きを表示(全28行)前記第2のRANノードのIDを含むX2設定応答メッセージを前記第2のRANノードから受信するステップと、を含み、前記第1のRANノードは、LTEのeNB(eNodeB)又はNR(new radio access technology)のgNBの一方のRANノードであり、前記第2のRANノードは、前記eNB又は前記gNBのうち、前記第1のRANノードと異なるRANノードであり、前記第1のRANノードが前記eNBであり、前記第2のRANノードが前記gNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはeNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第1のRANノードが前記gNBであり、前記第2のRANノードが前記eNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはeNB IDであり、前記X2設定要請メッセージ及び前記X2設定応答メッセージは、前記LTEと前記NRとの間のE-UTRAN(evolved-UMTS terrestrial radio access)-NR二重連結(EN-DC;E-UTRAN-NR dual connectivity)に対して、送信及び受信される、方法。【請求項2】 前記X2設定要請メッセージはEN-DC X2設定要請メッセージであり、前記X2設定応答メッセージはEN-DC X2設定応答メッセージである、請求項1に記載の方法。【請求項3】 X2設定応答メッセージに基づいて、前記EN-DCと関連した二重連結手続きをトリガーするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。【請求項4】 無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノードにおいて、メモリと、前記メモリと動作可能に連結されるプロセッサと、を含み、前記プロセッサは、X2設定手続きをトリガーし、前記第1のRANノードのID(identifier)を含むX2設定要請メッセージを第2のRANノードに送信するよう前記第1のRANノードを制御し、前記第2のRANノードのIDを含むX2設定応答メッセージを前記第2のRANノードから受信するよう前記第1のRANノードを制御するよう構成され、前記第1のRANノードは、LTEのeNB(eNodeB)又はNR(new radio access technology)のgNBの一方のRANノードであり、前記第2のRANノードは、前記eNB又は前記gNBのうち、前記第1のRANノードと異なるRANノードであり、前記第1のRANノードが前記eNBであり、前記第2のRANノードが前記gNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはeNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第1のRANノードが前記gNBであり、前記第2のRANノードが前記eNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはeNB IDであり、前記X2設定要請メッセージ及び前記X2設定応答メッセージは、前記LTEと前記NRとの間のE-UTRAN(evolved-UMTS terrestrial radio access)-NR二重連結(EN-DC;E-UTRAN-NR dual connectivity)に対して、送信及び受信される、第1のRANノード。【請求項5】 前記X2設定要請メッセージはEN-DC X2設定要請メッセージであり、前記X2設定応答メッセージはEN-DC X2設定応答メッセージである、請求項4に記載の第1のRANノード。【請求項6】 前記プロセッサは、X2設定応答メッセージに基づいて、前記EN-DCと関連した二重連結手続きをトリガーする、請求項4に記載の第1のRANノード。」
第4 引用例の記載事項及び引用発明
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1.引用例1について
原査定の拒絶理由で引用された、特開2015-185938号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
(1) 「【0002】標準化団体「3GPP(3rd Generation Partnership Project)」により標準化が行われたLTE(Long Term Evolution)と呼ばれるセルラネットワークシステム(以下、LTEシステムと称する)が知られている。図5は、LTEシステムの一構成例を示す概念図である。図5において、基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNB_mは、それぞれセルCell_mを提供する。」
(2) 「[図:0001383948000001.jpg]」(図5)
(3) 「【0007】上述したアーキテクチャ1A,3Cのように、端末装置UEが複数の基地局装置eNBを経由して通信装置S-GWとの間でベアラを確立することを、デュアル・コネクティビティ(Dual connectivity)と呼ぶ。」
(4) 「【0024】記憶部14は、サポートアーキテクチャ情報141とアーキテクチャ情報142を有する。サポートアーキテクチャ情報141は、自基地局装置eNBがサポートするアーキテクチャを示す。本実施形態に係るLTEシステムでは、2つのアーキテクチャ1A(図7参照),3C(図8参照)を併用する。このため、サポートアーキテクチャ情報141は、自基地局装置eNBが、アーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャ(1A若しくは3C、又は、1Aと3Cの両方)をサポートするのかを示す。【0025】アーキテクチャ情報142は、他の基地局装置eNBがサポートするアーキテクチャを示す。具体的には、他の基地局装置eNBが、アーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャ(1A若しくは3C、又は、1Aと3Cの両方)をサポートするのかを示す。続きを表示(全12行)【0026】次に図2を参照して、第1実施形態での制御部13のアーキテクチャ情報取得に係る動作を説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係るアーキテクチャ情報取得方法の手順を示すシーケンスチャートである。第1実施形態に係るアーキテクチャ情報取得方法では、X2回線確立手順を利用する。【0027】(ステップS11) まず基地局装置eNB(a)の制御部13が、通信部12により、X2回線セットアップ・リクエストメッセージを基地局装置eNB(b)へ送信する。このとき、基地局装置eNB(a)の制御部13は、記憶部14に記憶されるサポートアーキテクチャ情報141(基地局装置eNB(a)のサポートするアーキテクチャを示す情報)を、X2回線セットアップ・リクエストメッセージに含めて、基地局装置eNB(b)へ送信する。【0028】基地局装置eNB(b)の制御部13は、基地局装置eNB(a)から受信したX2回線セットアップ・リクエストメッセージに含まれるサポートアーキテクチャ情報(基地局装置eNB(a)のサポートするアーキテクチャを示す情報)を、基地局装置eNB(a)のアーキテクチャ情報142として記憶部14へ格納する。【0029】(ステップS12) 基地局装置eNB(b)の制御部13が、基地局装置eNB(a)からのX2回線セットアップ・リクエストに応じて、通信部12により、X2回線セットアップ・レスポンスメッセージを基地局装置eNB(a)へ送信する。」
(5) 「[図:0001383948000002.jpg]」(図2)
引用例1の上記記載、及び無線通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記(4)には、「アーキテクチャ情報取得方法では、X2回線確立手順を利用する」ことが記載されているから、引用例1には、X2回線確立手順を利用するアーキテクチャ情報取得方法が記載されている。
イ 上記(1)には、「LTE・・・と呼ばれるセルラネットワークシステム(以下、LTEシステムと称する)・・・図5は、LTEシステムの一構成例を示す・・・図5において、基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNB_mは、それぞれセルCell_mを提供する。」と記載されており、また上記(2)よりLTEシステムの一構成例は基地局装置eNB_mを含むことが見て取れるから、引用例1には、基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNBは、LTEと呼ばれるセルラネットワークシステムの構成要素であることが記載されているといえる。
ウ 上記(4)には、「まず・・・基地局装置eNB(a)・・・は、・・・サポートアーキテクチャ情報141・・・を、X2回線セットアップ・リクエストメッセージに含めて、基地局装置eNB(b)へ送信する」ことが記載されているから、引用例1には、まず基地局装置eNB(a)は、サポートアーキテクチャ情報を含むX2回線セットアップ・リクエストメッセージを、基地局装置eNB(b)へ送信する」ことが記載されている。
エ 上記(4)には、「サポートアーキテクチャ情報141は、自基地局装置eNBが、アーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャ・・・をサポートするのかを示す」ことが記載されており、また上記(3)には、「アーキテクチャ1A,3Cのように、端末装置UEが複数の基地局装置eNBを経由して通信装置S-GWとの間でベアラを確立することを、デュアル・コネクティビティ・・・と呼ぶ」ことが記載されている。
そして上記「ウ」の内容も考慮すると、引用例1には、前記サポートアーキテクチャ情報は、自基地局装置eNB(a)が、デュアル・コネクティビティと呼ばれるアーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャをサポートするのかを示すことが記載されているといえる。
以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 X2回線確立手順を利用するアーキテクチャ情報取得方法において、基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNBは、LTEと呼ばれるセルラネットワークシステムの構成要素であり、まず基地局装置eNB(a)は、サポートアーキテクチャ情報を含むX2回線セットアップ・リクエストメッセージを、基地局装置eNB(b)へ送信し、前記サポートアーキテクチャ情報は、自基地局装置eNB(a)が、デュアル・コネクティビティと呼ばれるアーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャをサポートするのかを示す、方法。」
2.引用例2について
原査定の拒絶理由で引用された、3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); X2 application protocol (X2AP) (Release 14),3GPP TS36.423,3GPP,2016年9月,V14.0.0,pp.161,162(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある(強調表示は当審で付した。)。
「[図:0001383948000003.jpg]」(161ページ)
そうすると、引用例2には、「X2 SETUP REQUEST及びX2 SETUP RESPONSEには、id-GlobalENB-IDという項目が含まれる。」という技術的事項が記載されていると認められる。
3.引用例3について
原査定の拒絶理由で引用された、Huawei,Xx interface justification and functionalities[online],3GPP TSG-RAN WG3#93bis,3GPP,2016年10月1日アップロード,R3-162356,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_93bis/Docs/R3-162356.zip>(以下、「引用例3」という。)には、以下の記載がある。
「As captured in TR38.301, Xx interface will be applied in Option 3/3a as depicted in Figure2. For control plane connectivity, Xx should support the LTE-NR DC function, which may include the procedures listed in Section 7.1.2.2 [1].」(1ページ下から4行目ないし下から2行目)
(当審訳:TR38.301で取り上げられたように、Xxインターフェースは、図2に示すように、オプション3/3Aに適用される。コントロールプレーン接続の場合、XxはLTE-NR DC機能をサポートし、これはセクション7.1.2.2 [1]にリストされた手順を含めることができる。)
「[図:0001383948000004.jpg]」
「By taking the functions of X2 interface as the baseline, the followings can be discussed whether they should be supported by Xx interface or not. Details are listed in Table 1 according to TS 36.423.」(2ページ5及び6行)
(当審訳:X2インターフェースの機能をベースラインとして取得することによって、それらがXxインターフェースによってサポートされるべきかどうかについて検討することができる。TS36.423に準拠した表1に詳細を示す。)
「[図:0001383948000005.jpg]」
(当審訳:
[図:0001383948000006.jpg]
)
そうすると、引用例3には、「コントロールプレーン接続の場合、XxはLTE-NR DC機能をサポートし、X2機能のうち二重接続やX2セットアップは、Xxによりサポートされるべきである。」という技術的事項が記載されていると認められる。
4.引用例4について
原査定の拒絶理由で引用された、Ericsson,Response to R3-162741[online],3GPP TSG RAN WG3 #94,3GPP,2016年11月10日アップロード,R3-163074,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_94/Docs/R3-163074.zip>(以下、「引用例4」という。)には、以下の記載がある。
「A. The Unique Identifier ImpactsFor the one logical node for co-sited gNB and eNB, it includes the eNB cell and gNB cell. Generally, the unique cell ID includes the node ID. So both the eNB cell’ID and gNB cell’s ID includes the same ID of one logical node. Then it requires both gNB’ ID and eNB’s ID should has the same structure.- Use the eNB ID to identify the one logical node. That means the one logical node’ ID should not only be unique with the other eNBs but also unique with other gNBs.」
(当審訳:A.固有識別子のインパクト
gNB及びeNBが同じ場所に位置する1つの論理ノードについて、当該論理ノードはeNBセルとgNBセルを含む。一般的に、固有セルIDはノードIDを含む。このため、eNBセルのIDとgNBセルのIDの両方は、1つの論理ノードの同一のIDを含む。したがって、gNBのIDとeNBのIDの両方が同一の構造を持つべきことが要求される。
- 1つの論理ノードを識別するためにeNB IDを使用する。これは、1つの論理ノードのIDが、その他のeNBに対して固有であるのみならず、その他のgNBに対しても固有であるべきことを意味する。)
そうすると、引用例4には、「gNB及びeNBが同じ場所に位置する1つの論理ノードについて、1つの論理ノードを識別するためにeNB IDを使用する場合には、1つの論理ノードのIDは、その他のeNBに対して固有であるのみならず、その他のgNBに対しても固有であるべきである。」という技術的事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明を対比する。
(1) 「LTEと呼ばれるセルラネットワークシステム」が「無線通信システム」に含まれること、及び「基地局装置(E-UTRAN NodeB)」がEvolved-UMTS Terrestrial Radio Access NetworkにおけるノードBを意味することは、いずれも無線通信分野における技術常識であるから、X2回線セットアップ・リクエストメッセージを他の基地局装置へ送信する、引用発明の「基地局装置eNB(a)」は、本願発明1の「無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノード」に含まれるといえる。
また、前記X2回線セットアップ・リクエストメッセージの送信先である、引用発明の「基地局装置eNB(b)」は、本願発明1の「第2のRANノード」に含まれるといえる。
さらに、引用発明の「X2回線セットアップ・リクエストメッセージ」を送信することは、X2回線セットアップ、すなわちX2回線設定を要求することを意味し、本願発明1の「X2設定手続きを行う」ことに含まれることは、明らかである。
そうすると、「基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNBは、LTEと呼ばれるセルラネットワークシステムの構成要素であり、まず基地局装置eNB(a)は、サポートアーキテクチャ情報を含むX2回線セットアップ・リクエストメッセージを、基地局装置eNB(b)へ送信」することを含む、引用発明の「X2回線確立手順を利用するアーキテクチャ情報取得方法」は、本願発明1の「無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノードによるX2設定手続きを行う方法」に含まれるといえる。
(2) 上記(1)で検討したとおり、引用発明の「基地局装置eNB(a)」及び「基地局装置eNB(b)」は、それぞれ本願発明1の「第1のRANノード」及び「第2のRANノード」に含まれるといえる。
また、引用発明の「X2回線セットアップ・リクエストメッセージ」は、X2回線の設定を要請するメッセージを意味することが明らかであるから、本願発明1の「X2設定要請メッセージ」に含まれるといえる。
さらに、X2回線セットアップ・リクエストメッセージの送信は、X2回線セットアップの手続の最初に行われることが技術常識であるところ、基地局装置eNB(a)の内部では、当該送信の前に送信準備がなされることが自明であり、当該送信準備は、X2回線セットアップ、すなわちX2回線設定、の手続をトリガーするものといえる。
そうすると、引用発明の「まず基地局装置eNB(a)は、サポートアーキテクチャ情報を含むX2回線セットアップ・リクエストメッセージを、基地局装置eNB(b)へ送信」することは、「前記X2設定手続きをトリガーするステップと、X2設定要請メッセージを第2のRANノードに送信するステップ」である点で、本願発明1と共通する。
(3) 上記(1)で検討したとおり、引用発明の「基地局装置eNB(a)」は、本願発明1の「第1のRANノード」に含まれるといえる。
そして、引用発明の「基地局装置eNB(a)」について、「基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNBは、LTEと呼ばれるセルラネットワークシステムの構成要素であ」ることは、本願発明1の「前記第1のRANノードは、LTEのeNB(eNodeB)又はNR(new radio access technology)のgNBの一方のRANノードであ」ることに含まれる。
(4) 引用発明の「サポートアーキテクチャ情報を含むX2回線セットアップ・リクエストメッセージ」は、上記(2)で検討したとおり、本願発明1の「X2設定要請メッセージ」に含まれるといえる。
ここで、「前記サポートアーキテクチャ情報は、自基地局装置eNB(a)が、デュアル・コネクティビティと呼ばれるアーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャをサポートするのかを示す」ものであり、また、「デュアル・コネクティビティ」が「二重連結」を意味することは無線通信分野における技術常識である。
そうすると、本願発明1の「前記X2設定要請メッセージ及び前記X2設定応答メッセージは、前記LTEと前記NRとの間のE-UTRAN(evolved-UMTS terrestrial radio access)-NR二重連結(EN-DC;E-UTRAN-NR dual connectivity)に対して、送信及び受信される」ことと、引用発明の「まず基地局装置eNB(a)は、サポートアーキテクチャ情報を含むX2回線セットアップ・リクエストメッセージを、基地局装置eNB(b)へ送信し、前記サポートアーキテクチャ情報は、自基地局装置eNB(a)が、デュアル・コネクティビティと呼ばれるアーキテクチャ1A,3Cのうちどのアーキテクチャをサポートするのかを示す」こととは、前記X2設定要請メッセージは、二重連結に関連して、送信される点で、共通するといえる。
以上のことから、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「 無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノードによるX2設定手続きを行う方法において、前記X2設定手続きをトリガーするステップと、X2設定要請メッセージを第2のRANノードに送信するステップと、を含み、前記第1のRANノードは、LTEのeNB(eNodeB)又はNR(new radio access technology)のgNBの一方のRANノードであり、前記X2設定要請メッセージは、二重連結に関連して、送信される、方法。」
(相違点1)
「X2設定要請メッセージ」について、本願発明1は「前記第1のRANノードのID(identifier)を含む」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1は、「前記第2のRANノードのIDを含むX2設定応答メッセージを前記第2のRANノードから受信するステップ」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1は、「前記第2のRANノードは、前記eNB又は前記gNBのうち、前記第1のRANノードと異なるRANノードであ」るという発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点4)
本願発明1は、
「前記第1のRANノードが前記eNBであり、前記第2のRANノードが前記gNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはeNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第1のRANノードが前記gNBであり、前記第2のRANノードが前記eNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはeNB IDであ」
るという発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点5)
本願発明1は、「前記X2設定要請メッセージ及び前記X2設定応答メッセージは、前記LTEと前記NRとの間のE-UTRAN(evolved-UMTS terrestrial radio access)-NR二重連結(EN-DC;E-UTRAN-NR dual connectivity)に対して、送信及び受信される」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、前記X2設定要請メッセージは二重連結に関連して送信されるものではあるが、当該発明特定事項が特定されていない点。
上記相違点1ないし5について検討する上で、事案に鑑みて、相違点3に係る発明特定事項について、検討する。
引用発明における基地局装置eNB(a)及び基地局装置eNB(b)は、いずれもLTEと呼ばれるセルラネットワークシステムの基地局装置(E-UTRAN NodeB)eNBであるところ、X2回線セットアップ・リクエストメッセージを送信する宛先の基地局装置eNB(b)を、「前記eNB又は前記gNBのうち、前記第1のRANノードと異なるRANノード」すなわち「NR(new radio access technology)のgNB」とする動機付けとなりうる技術的事項は、引用例1ないし4のいずれにも記載されておらず、また技術常識であるともいえない。
そうすると、相違点1、2、4、及び5に係る発明特定事項について論及するまでもなく、引用発明に基づいて、上記相違点1ないし5に係る発明特定事項を含むものとすることは、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易になし得たこととはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.本願発明4ないし6について
本願発明4は、「無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノードによるX2設定手続きを行う方法」の発明である本願発明1を、「無線通信システムにおける第1のRAN(radio access network)ノード」の発明としたものである。
そして、本願発明4は、上記「1.」で検討した(相違点3)に係る発明特定事項と同じ、「前記第2のRANノードは、前記eNB又は前記gNBのうち、前記第1のRANノードと異なるRANノードであ」るという発明特定事項を含むから、本願発明4は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
そして、本願発明5及び6は、本願発明4の発明特定事項を全て含むから、本願発明4と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 原査定についての判断
1.理由1(特許法第36条第6項第1号)について
本件補正前の請求項1に記載された、
「前記第1のRANノードのID及び前記第2のRANノードのIDは、前記第1のRANノード及び前記第2のRANノードが、それぞれ前記eNB又は前記gNBであるか否かに基づき」
という発明特定事項は、本件補正により
「前記第1のRANノードが前記eNBであり、前記第2のRANノードが前記gNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはeNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第1のRANノードが前記gNBであり、前記第2のRANノードが前記eNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはeNB IDであり、」
へと補正された。
一方、発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「具体的に、図7の実施形態によってeNBがEN?DC X2設定要請メッセージを送信する場合、EN?DC X2設定要請メッセージはグローバルeNB IDを含むことができる。図8の実施形態に従ってgNBがEN?DC X2設定要請メッセージを送信する場合、EN?DC X2設定要請メッセージはグローバルgNB IDを含むことができる。」(段落【0104】)
「具体的に、図7の実施形態に従ってgNBがEN?DC X2応答メッセージを送信する場合、EN?DC X2設定応答メッセージはグローバルgNB IDを含むことができる。図8の実施形態によってeNBがEN?DC X2設定応答メッセージを送信する場合、EN?DC X2設定応答メッセージはグローバルeNB IDを含むことができる。」(段落【0107】)
そうすると、本件補正後の請求項1に記載された
「前記第1のRANノードが前記eNBであり、前記第2のRANノードが前記gNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはeNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第1のRANノードが前記gNBであり、前記第2のRANノードが前記eNBであることに基づいて、前記第1のRANノードのIDはグローバルgNB IDであり、前記第2のRANノードのIDはeNB IDであり、」
という発明特定事項について、発明の詳細な説明に記載されたものでない、とはいえない。
2.理由2(特許法第29条第2項)について
本願発明1ないし6は、上記「第5」の「1.」ないし「3.」のとおり、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.まとめ
したがって、原査定の理由1及び2は、いずれも維持することができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし6は、発明の詳細な説明に記載されたものでないとはいえず、かつ、当業者であっても、引用例1に記載された発明、及び引用例2ないし4のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-011400