2021-011167
物品包装用容器
- 審判番号
- 2021-011167
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-200894外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月23日
- 審決日
- 2023年01月04日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、平成28年10月12日に出願された特願2016-200894号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】サンドイッチ、ケーキ及びこれらと同程度の柔らかさの物品を安定的に姿態保持しつつ内包して、陳列販売に供するためのプラスチック製物品包装用容器であって、前記包装用容器は少なくとも前記物品を収める容体部を有し、前記容体部は、対向する一対の側面に内方に円弧状に張り出す弾性支持面を備えており、前記弾性支持面は、前記側面の全長に亘り、あるいは、前記側面の中間部に形成された、断面が半円を連ねて成る若しくは波板状の縦リブ面により構成されていることを特徴とする物品包装用容器。」
第3 拒絶の理由
令和4年6月28日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
第4 引用文献の記載及び引用発明1
1 引用文献1
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は具を内側にしてパンを巻いたサンドイッチやタコス、クレープあるいは巻き寿司などの略逆円錐形状の食料品やその他の物品を収納する包装容器に関するものである。【0002】【発明が解決しようとする課題】従来から、スーパーやコンビニエンスストアなどで商品を展示する場合、その商品の主要な部分が客側から目に付き易くなる並べ方が工夫されており、菓子類などのパッケージされた商品にあっては商品全体が見易くなるようにするために縦置き状態にして並べ置かれることが多い。また、縦置きによる展示効果が高いことから食料品関係の商品においても縦置きして並べられることがあり、例えば単品で包装されたおにぎりなどでは商品棚の奥行方向に複数個を列にして立て並べるようにしている。そして、このおにぎり自体が単独では縦置き状態での座り性が悪いことから、おにぎりの形状に対応した容器本体と蓋体とからなる有形の容器にておにぎりを包装し、容器の座りを工夫することでおにぎり一個でも縦置き展示できるようにしした工夫がある(特開平9-165070号公報参照)。一方、おにぎりなどと同じように手軽に食すことのできる食料品として、ハム、野菜などの具を内側にしてこれをパンで巻いたサンドイッチやタコス、クレープそして手巻き寿司などの巻き物形態の食品が提案されるようになり、食品自体の形状や食するときの持ち易さなどから、一端側を具が見えるように開いた太部とするとともに他端側を持ち易くなるように細部とした略逆円錐形状としている。しかしながら、このような比較的縦長で逆円錐形状をとる食料品では、商品棚に展示する場合に縦置きできずに横置きしなければならないという問題がある。そして、このような異形の食料品を収納して縦置きできる包装容器がいままではなかったことから、人目に付き易い縦置き展示を行なえないという不都合があった。そこで本発明は上記事情に鑑み、略逆錐形状とした食料品やその他の物品を縦置き状態で容器に収めるようにすることを課題とし、この略逆錐形状物品を縦置き状態にして展示することを目的とするものである。」
「【0004】【発明の実施の形態】つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は包装容器で、該包装容器1は上述したように具を中心にしてパンで巻いた略逆円錐形状のサンドイッチ(以下、ラップサンドと称する)、タコス、手巻き寿司などの一端を太くし他端を細くして立ち姿において太部が上方側に位置する略逆錐形状の食料品を収納物Aとしてこれを包装するものであり、この収納物Aを入れることのできる容器本体2と前記収納物Aを入れた容器本体2に取り付けることのできる蓋体3とを備えてなるものである。容器本体2は縦長に成形されたもので、例えばプラスチックシートを真空成型してなるものであり、前記収納物Aを立て入れできるように容器背方に膨出成形された縦長の容器側収納空間4を備えていて、図3に示されているように容器背方への突出度合いを変えて生じさせた中段の段差部分5を境にして上収納凹部6と下収納凹部7とに分けられている。前記上収納凹部6は容器側収納空間4の開口8側から見た正面視形状を上広がりの逆錐形状にしており、上記収納物Aの太部Bが配置できるように設けられてる。また、下収納凹部7にあっては開口8側から見た正面視形状を裾広がりの錐形状にして収納物Aの細部Cが配置できるように設けられていて、前記上収納凹部6とこの下収納凹部7とは前記段差部分5において内幅寸法を小さくした狭部9を介して上下に連続している。そして、前記上収納凹部6から下収納凹部7にかけて容器背方への突出量が大きくなるように成形されていて、前記狭部9の位置においては収納物Aを挟持状態にして保持するに足る奥行深さを有するようになり、この狭部9に位置する収納物Aを両側壁9aにて保持できるようにしている。【0005】上記上収納凹部6では図示されているように開口8側から見た略逆錐形状をほぼ維持した状態で容器背方に凹んだ形状としているとともに、この上収納凹部6の上端側では一段さらに深くなるようにして容器背方側に凹んでなる凹部10が容器幅方向に亘って形成されていて、仮に収納物Aを収納したこの包装容器1が横置きされてその収納物Aの上部側に位置する具から汁類がこぼれ出たときにはこの凹部10に溜まるようにし、さらに、包装容器1を横置きした際に上収納凹部6での背壁11が上記下収納部7とこの凹部10とを脚としてほぼ水平にされ、収納物Aの上部側をほぼ水平としてその上部が下がる傾斜状態とならないように設けられている(図5参照)。上記下収納凹部7も同様にして開口8側から見た略錐形状をほぼ維持した状態で容器背方に凹んだ形状としていて、上記段差部分5を境にして上記上収納凹部6より一段さらに深くなるように凹んだ形状としている。これによって、開口8から容器背方への突出量を上収納凹部6の背板11の位置より大きくし、上述したように、この包装容器1を横置きしたときに背板11がほぼ水平となり、収納物Aの上部側がほぼ水平となるようにしている。そして、この下収納凹部7では深く凹んだ形状とすることで内容積を増やし、収納した収納物Aにおける細部B周りに隙間空間Dを形成して食するときに使用するカラシ小袋や醤油小袋を置くことができる。さらに容器幅方向と容器奥行方向とにある程度の長さを確保した底板12を有していて、容器前後方向にある程度離れたこの底板12の後端13と容器本体2の下縁14とが接地することで包装容器1の縦置きが可能に設けられている(図6参照)。【0006】一方、上記蓋体3は収納した収納物Aがこの蓋体3を通して見えるように、透明なプラスチックシートを真空成型してなるものであり、外縁形状を上記容器本体2の開口8の周りにおける外縁形状に合致させて縦長に形成されているとともに、前記容器本体2の開口8の周りにおける段状フランジ15に合致する段状フランジ16がこの蓋体3の外縁に形成されていて、段状フランジ15、16を合わせるようにして蓋体3を容器本体2に被せ付けることで容器本体2の開口8を開閉可能に覆うようにしており、前記開口8に配置された収納物Aを蓋体3により覆うことができる。さらに、蓋体3は容器前方に膨出成形された蓋体側収納空間17を備えていて、前記蓋体側収納空間17は立ち姿とした収納物Aの形状に対応するように正面視形状を上広がりの逆錐形状にして設けられており、上記容器本体2の上収納凹部6と下収納凹部7とに亘って対応位置している。そして、容器本体2の容器側収納空間4に配置された収納物Aがその容器側収納空間4の開口8から前方にはみ出る部分がこの蓋体3における蓋体側収納空間17に収まるものであって、容器側収納空間4の開口8からはみ出る度合いの大きい収納物Aの上部Bを確実に、また型崩れしないように収めるために、容器側収納空間4の上収納凹部6に対応する部分18における蓋体側収納空間17の開口19からの突出量が、この蓋体側収納空間17の他の部分における開口19からの突出量より大きくなるようにしている。さらにこの蓋体側収納空間17では図示されているように容器本体2側に向けて突出する凸部20が中段部分にあって蓋体幅方向に亘って設けられており、この蓋体3を容器本体2に取り付けることで前記凸部20が収納物Aを容器本体2側に押さえ付けて安定させるようにしている。なお、凸部20は蓋体幅方向の全体に亘って設けたが、中段の一部分のみに設けたりしてもよく、また、この凸部自体を設けないようにしてもよい。【0007】図において、21は容器本体2や蓋体3に設けた補強用のリブを示している。また、22は蓋体3の上部隅部において側方に張り出た舌片であり、舌片22を持って容器本体2側から引き離すように操作することで蓋体3が容易に取り外せるようにしたものである。上記の実施例では容器本体2と蓋体3とを別体としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セルフヒンジを介して容器本体と蓋体とが一体となるように構成してもよい。例えば、図示実施例の容器本体2の下縁14とこれに対応する蓋体3の下縁部分とをセルフヒンジにより連設することができる。また、図示の実施例のフランジ15、16の外縁形状を長方形とし、その一側縁をセルフヒンジ形式などとして連設することにより容器本体2と蓋体3とを左右方向に開閉可能とした一体形状とすることもできる。」
「【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係る包装容器の一例を示す説明図である。【図2】一例における蓋体を示す説明図である。【図3】容器本体を正面と側面とから示す説明図である。【図4】蓋体を正面と側面とから示す説明図である。【図5】横置きした状態を断面で示す説明図である。【図6】縦置きした状態を断面で示す説明図である。【図7】展示状態を示す説明図である。」
「[図:0001394495000001.jpg]」
「[図:0001394495000002.jpg]」
「[図:0001394495000003.jpg]」
(2)引用文献1に記載された事項について
ア 段落【0002】には、引用文献1の包装容器が「従来から、スーパーやコンビニエンスストアなどで商品を展示する場合、その商品の主要な部分が客側から目に付き易くなる並べ方が工夫されており、菓子類などのパッケージされた商品にあっては商品全体が見易くなるようにするために縦置き状態にして並べ置かれることが多い」ことを背景として、「略逆錐形状とした食料品やその他の物品を縦置き状態で容器に収めるようにすることを課題とし、この略逆錐形状物品を縦置き状態にして展示することを目的とするものである」ことが記載されている。また、【図面の簡単な説明】には図7が「展示状態を示す説明図」であることが記載されており、図7には、包装容器が列をなして展示されていることが示されている。
すると、引用文献1には、包装容器を、スーパーやコンビニエンスストアにおいて商品を展示することに用いることが記載されているといえ、また、列をなして展示することが記載されているといえるから、包装容器は収容物を陳列販売に供するためのものであるといえる。
イ 図3、6には、容器本体2において、縦置きしたときに下となる側面の奥行きが深く、上となる側面の奥行きが浅いことが示されている。
ウ 図3~4、6に示される容器本体2の段状フランジ15と蓋体3の段状フランジ16の形状、及び、段落【0006】における「段状フランジ15、16を合わせるようにして蓋体3を容器本体2に被せ付ける」との記載とを考慮すれば、段状フランジ15の外周面は蓋体内に嵌合しているといえる。
エ 図1、3に示される段状フランジ15、開口8の形状を考慮すると、段状フランジ15の天面は、段状フランジ15の外周面から開口8まで内方に延設されているといえる。
オ 段落【0006】には、「容器本体2の容器側収納空間4に配置された収納物Aがその容器側収納空間4の開口8から前方にはみ出る部分がこの蓋体3における蓋体側収納空間17に収まるものであって、容器側収納空間4の開口8からはみ出る度合いの大きい収納物Aの上部Bを確実に、また型崩れしないように収めるために、容器側収納空間4の上収納凹部6に対応する部分18における蓋体側収納空間17の開口19からの突出量が、この蓋体側収納空間17の他の部分における開口19からの突出量より大きくなるようにしている」ことが記載されている。当該記載と、図4,6に示される蓋体の形状とを考慮すると、蓋体は、縦置きしたときに下となる側が浅く、縦置きしたときに下となる側が深くなる形状であるといえる。
(3)上記(1)及び(2)から、引用文献1には以下の引用発明が記載されていると認められる。
<引用発明>
「サンドイッチやタコス、クレープあるいは巻き寿司などの略逆円錐形状の食料品やその他の物品を収納する包装容器の容器本体と、収納物を入れた容器本体に取り付けることのできる蓋体と、を備えてなり、収納物を陳列販売に供するための包装容器であって、容器本体は、プラスチックシートを真空成型してなるものであり、容器本体は、前記収納物を立て入れできるように容器背方に膨出成形された縦長の容器側収納空間を備えていて、容器背方への突出度合いを変えて生じさせた中段の段差部分を境にして上収納凹部と下収納凹部とに分けられており、上収納凹部は容器側収納空間の開口側から見た正面視形状を上広がりの逆錐形状にしており、下収納凹部にあっては開口側から見た正面視形状を裾広がりの錐形状にしており、上収納凹部とこの下収納凹部とは段差部分において内幅寸法を小さくした狭部を介して上下に連続しており、そして、上収納凹部から下収納凹部にかけて容器背方への突出量が大きくなるように成形されていて、狭部の位置においては収納物を挟持状態にして保持するに足る奥行深さを有するようになり、この狭部に位置する収納物を両側壁にて保持でき、続きを表示(全12行)容器本体には補強用のリブが設けられ、下収容部の底板の後端と容器本体の下縁とが接地することで包装容器の縦置きが可能であり、容器本体において、縦置きしたときに下となる側面の奥行きが深く、上となる側面の奥行きが浅く、上記蓋体は、透明なプラスチックシートを真空成型してなるものであり、外縁形状を容器本体の開口の周りにおける外縁形状に合致させて縦長に形成されているとともに、容器本体の開口の周りにおける段状フランジに合致する段状フランジがこの蓋体の外縁に形成されていて、容器本体の段状フランジと蓋体の段状フランジを合わせるようにして蓋体を容器本体に被せ付けることで容器本体の開口を開閉可能に覆うようにしており、容器本体の段状フランジの外周面は蓋体内に嵌合しており、容器本体の段状フランジの天面は、段状フランジの外周面から開口まで内方に延設されていて、蓋体は、縦置きしたときに下となる側が浅く、上となる側が深くなる形状である、包装容器。」
2 引用文献2
(1)引用文献2には以下の記載がある。
「(産業上の利用分野)本考案は、一枚の合成樹脂シートによって成形される包装用容器に関し、豆腐やショートケーキ等の軟らかいものを収納するのに適した包装用容器に関するものである。(従来の技術)一枚の合成樹脂シートによって成形される包装用容器は、内容物を衛生的に包装することができること、安価かつ大量に供給することができること等から、近年においてはあらゆる商品用のものとして多用されているものである。一方、この種の合成樹脂シートによって形成した包装用容器は、その剛性が比較的小さいことから、種々な補強用リブを形成して内容物を保護するようにしている。従来のこの種包装用容器における補強用リブは、例えば第6図に示すような形状のものとして形成されているのが一般的である。すなわち、第6図に示した補強用リブは、剛性樹脂シートに一定の幅を有する凹凸を形成して、その断面が波状になるようにしたものであるが、一般的には例えば底面から壁面に至る単なる直線状のものとして形成されているものである。」(1ページ下から5行目~2ページ下から2行目)
(2)以上から、引用文献2には、従来技術として、ショートケーキ等の軟らかいものを収納するのに適した包装用容器として、合成樹脂シートによって成形される包装用容器の壁面に、一定の幅を有する凹凸を形成してその断面が波状になるようにした補強用リブを設けるという事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2記載事項」という。)。
第5 対比、判断
1 対比
引用発明の「包装容器」は、その容器本体と蓋体がプラスチックシートを真空成型してなるものであり、収納物を包装するものであるから、本願発明の「プラスチック製物品包装用容器」に相当する。
引用発明の「サンドイッチやタコス、クレープあるいは巻き寿司などの略逆円錐形状の食料品やその他の物品」は、本願発明の「サンドイッチ、ケーキ及びこれらと同程度の柔らかさの物品」に、「サンドイッチなどの物品」という限りにおいて一致する。
引用発明の「容器本体」、「収納」、「収納物を入れた」は、本願発明の「容体部」、「内包」、「物品を納める」にそれぞれ相当する。
引用発明の包装容器の「狭部の位置においては収納物を挟持状態にして保持するに足る奥行深さを有するようになり、この狭部に位置する収納物を両側壁にて保持でき」ることは、両側壁の保持により安定的に姿態を保持できることが明らかであるから、本願発明の包装用容器の「物品を安定的に姿態保持」することに相当する。
引用発明の「容器本体」の、「上収納凹部」の「容器側収納空間の開口側から見た正面視形状」における「上広がりの逆錐形状」と、「狭部」と、「下収納凹部」の「開口側から見た正面視形状」における「裾広がりの錐形状」とからなり、「狭部に位置する収納物を保持でき」る「両側壁」は、本願発明の「対向する一対の側面に内方に円弧状に張り出す弾性支持面」と、「対向する一対の側面に内方に張り出す」「支持面」である限りにおいて一致する。
したがって、本願発明と、引用発明とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
「サンドイッチなどの物品を安定的に姿態保持しつつ内包して、陳列販売に供するためのプラスチック製物品包装用容器であって、前記包装用容器は少なくとも物品を収める容体部を有し、前記容体部は、対向する一対の側面に内方に張り出す支持面を備える物品包装用容器。」
<相違点1>
安定的に姿態保持しつつ内包されるサンドイッチなどの物品について、本願発明が「サンドイッチ、ケーキ及びこれらと同程度の柔らかさの物品」であるのに対し、引用発明が「サンドイッチやタコス、クレープあるいは巻き寿司などの略逆円錐形状の食料品やその他の物品」である点。
<相違点2>
対向する一対の側面に内方に張り出す支持面について、本願発明においては「対向する一対の側面に内方に円弧状に張り出す弾性支持面」であるのに対し、引用発明においては「逆錐形状」、「狭部」の「両側壁」及び「錐形状」を備えるものであり、弾性を有するか否かについて不明である点。
<相違点3>
本願発明においては、弾性支持面が、「前記側面の全長に亘り、あるいは、前記側面の中間部に形成された、断面が半円を連ねて成る若しくは波板状の縦リブ面により構成され」るのに対し、引用発明においては、補強用のリブが設けられるものの、縦リブ面に係る構成を有しない点。
2 判断
(1)相違点1及び相違点2について
ア 検討その1
引用発明は、サンドイッチのほかにタコスやクレープを収納対象としており、これらの収納物の表面が柔らかいことは自明であるから、相違点1は実質的な相違点とはいえないし、またサンドイッチと同程度の柔らかさの物品をも収納対象とすることに当業者の格別の創意は要しないといえる。
加えて、引用発明の「逆錐形状」は「狭部」の「両側壁」にそれぞれ連なる側壁を備える幅の広い部分であり、続く「狭部」の「両側壁」は幅の狭い部分であり、続く「錐形状」は「狭部」の「両側壁」にそれぞれ連なる側壁を備える幅の広い部分であるところ、その幅寸法の関係から考慮される全体形状は、本願発明の「対向する一対の側面に内方に円弧状に張り出す弾性支持面」と、広い部分、狭い部分及び広い部分を有することで全体形状が共通し、更に狭い部分の一対の面によりサンドイッチ等の柔らかい物品を安定的に姿態保持することでも両者は共通するものである。
そして、収納物を陳列販売に供する透明なプラスチックシートの容器が、壁面のたわみ変形を含め全体が変形可能であり、当該変形後に元の形状に戻るといった弾性を有するものであることは、当業者のみならず一般消費者であっても認識し得る技術常識であるし、同容器におけるリブ及びリブ周辺についても同様の変形が起こることは自明である。
また、収納且つ姿態保持する対象としてサンドイッチ等の柔らかいものを採用するのであれば、引用発明の「狭部」の「両側壁」を角のある形状とすることはなく、丸みを帯びた曲面からなる形状とし、「狭部」に連なる「逆錐形状」及び「錐形状」の側壁についても連続して曲面として、全体を円弧状とすることは、技術の具体化に際し当業者が適宜採用し得る設計事項である。
イ 検討その2
他方、本願発明の「対向する一対の側面に内方に円弧状に張り出す弾性支持面」との特定事項は、必ずしも側面の全長に亘って円弧状とすることを特定するものとはいえないから、引用発明の「狭部」の「両側壁」を曲面とすることで足りるものである。
この点、後述する相違点3に係る本願発明の構成を参照すると、本願発明の弾性支持面は、側面の全長に亘るものではなく、側面の中間部に形成されたものをも想定していることから、上記のとおり本願発明は側面中間部の一部の円弧状で足りる構成を含むものである。
そうすると、引用発明の少なくとも「狭部」の「両側壁」を曲面とするものは、「対向する一対の側面に内方に円弧状に張り出す弾性支持面」といえるものである。
ウ 小括
以上から、相違点1及び2に係る本願発明の構成は、引用発明に基づき、当業者が容易に想到し得たものである。
(2)相違点3について
相違点1及び2の検討で述べたとおり、合成樹脂シートからなる容器が、弾性を有することは、当業者のみならず一般消費者であっても認識し得る技術常識であるし、リブ及びリブ周辺が弾性を有することも自明であるところ、引用文献2記載事項の波状の補強用リブも同様であることは明らかである。
引用文献2は、ショートケーキ等の軟らかいものを収納対象とし、合成樹脂シートにより包装用容器を形成することで引用発明と技術が共通するものであるし、引用発明の適宜箇所に配置される補強用のリブ(【0007】並びに図1及び図3)を併せて考慮すると、引用発明に引用文献2記載事項の波状の補強リブを追加することの動機付けはあるといえる。
そして、合成樹脂シートの剛性は比較的小さいことから(引用文献2:2ページ7~8行)、重さのある収納物を安定して保持するために、引用発明の「狭部」の「両側壁」を含めて、必要箇所に引用文献2記載事項の補強リブを追加することは、技術の具体化に際し当業者が適宜採用し得る設計事項である。
したがって、相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づき、当業者が容易に想到し得たものである。
(3)作用効果
相違点1~3に係る本願発明の構成は、全体として考慮しても、上記述べたとおり、当業者が容易に想到し得たものであるといえるし、本願発明の作用効果については、引用発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測可能な範囲内のものといえる。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-011167