2021-010382
情報処理装置、その制御方法及びプログラム
- 審判番号
- 2021-010382
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-189139外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月04日
- 審決日
- 2022年04月08日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】キヤノン株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は,平成30年10月4日の出願であって,令和1年7月12日付けで手続補正がされ,令和2年9月23日付けで拒絶理由が通知され,令和2年11月26日付けで手続補正がされ,令和3年4月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和3年8月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和4年2月9日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,令和4年2月22日付けで手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は,令和4年2月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】USB接続に対応するネットワークアダプタを接続することが可能な外部USBポートを複数有する情報処理装置であって、第1の条件又は第2の条件が満たされる場合に、前記ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行う通知手段を有し、前記第1の条件は、前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されている場合であって、前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数が所定の上限に達している場合であり、前記第2の条件は、前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されている場合であって、前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数がゼロの場合であり、前記通知手段は、前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されていない場合、前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数がゼロの場合であっても前記ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行わないことを特徴とする情報処理装置。」
なお,本願発明2-11は,本願発明1を減縮した発明である。
また,本願発明12は,本願発明1に対応するプログラムの発明であり,本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第3 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2017-209837号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)
ア 「【0015】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る印刷システム1の各装置の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、印刷システム1は、印刷装置10と、印刷装置10に対するホストコンピューターとして機能するタブレット端末11とを備える。続きを表示(全19行)印刷システム1は、タブレット端末11の制御で、印刷装置10が印刷を実行するシステムである。印刷システム1は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店や、居酒屋や喫茶店等の飲食店等の店舗のレジカウンターに設けられ、レジカウンターにおける会計に応じて、レシートを発行する。【0016】印刷装置10は、印刷媒体を収容し、印刷媒体に印刷する機能を有する装置である。図1に示すように、印刷装置10は、制御部20と、印刷部21と、記憶部22と、印刷装置タッチパネル23と、USB通信インターフェース24と、を備える。【0017】制御部20は、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路等を備え、印刷装置10を制御する。制御部20は、CPUによるプログラムの実行や、制御回路による信号処理等、ハードウェア及びソフトウェアにより、印刷装置10を制御する。印刷部21は、印刷装置10に収容された印刷媒体を搬送する搬送機構や、印刷ヘッドにより印刷媒体に画像を印刷する印刷機構等の、印刷媒体への印刷に係る機構を備える。印刷部21は、制御部20の制御で、各種機構を動作させて、印刷媒体に画像を印刷する。【0018】記憶部22は、不揮発性メモリーを備え、各種情報を記憶する。印刷装置タッチパネル23は、印刷装置10の筐体に設けられたタッチパネルである。印刷装置タッチパネル23は、液晶表示パネル等の表示パネルと、表示パネルに重ねて設けられたタッチセンサーとを備える。表示パネルは、制御部20の制御で、各種画像を表示する。タッチセンサーは、タッチ操作を検出し、制御部20に出力する。制御部20は、タッチセンサーからの入力に基づいて、ユーザーによるタッチ操作に対応する処理を実行する。【0019】USB通信インターフェース24は、USBの仕様に従って通信を行うUSBコントローラー等のUSBによる通信に係る構成を有するインターフェースボードを備える。USB通信インターフェース24は、複数(本実施形態では、3個。)のUSBポートPT1(接続部)、USBポートPT2(接続部)、USBポートPT3(接続部)を備える。以下、USBポートPT1、USBポートPT2、及び、USBポートPT3を区別しない場合、「USBポートPT」と表現する。USB通信インターフェース24は、制御部20の制御で、USBポートPTに接続されたUSBデバイスと通信する。印刷装置10のUSB通信インターフェース24には、USBデバイスとして、無線LANアダプターAD(無線通信アダプター)が接続可能である。無線LANアダプターADは、無線LANに対応する所定の無線通信規格(本例では、Wi-Fi(登録商標)であるものとする。)に従って無線通信する機能を有する外付けのアダプターである。」
イ 「【0042】次に、起動している間に、1つの無線LANアダプターADが使用可能な状態で接続されているときの印刷装置10の動作について説明する。印刷装置10は、動作モードとして、モードM1と、モードM2とを有する。以下、動作モードがモードM1のときの印刷装置10の動作について説明し、次いで、動作モードがモードM2のときの印刷装置10の動作について説明する。動作モードは、所定の手段により、ユーザーが切り替えることができる。【0043】続きを表示(全15行)図4のフローチャートFCは、動作モードがモードM1のときの印刷装置10の動作を示すフローチャートである。図4のフローチャートFCの開始時点では、印刷装置10に1つの無線LANアダプターADが接続され、その無線LANアダプターADが使用可能な状態である。図4に示すように、モードM1において、印刷装置10の制御部20は、いずれかのUSBポートPTに、新たに、無線LANアダプターADが接続されたか否かを監視する(ステップSC1)。新たに無線LANアダプターADが接続された場合、印刷装置10に複数の無線LANアダプターADが接続された状態となる。【0044】新たに無線LANアダプターADが接続されたことを検出した場合(ステップSC1:YES)、制御部20は、既に接続された状態であった無線LANアダプターAD、及び、新たに接続された無線LANアダプターADの両方について、使用不可能な状態とする(ステップSC2)。上述したように、制御部20は、デバイスドライバーをアンロードすることによって、無線LANアダプターADを使用不可能な状態とする。ステップSC2の処理により、印刷装置10は、無線LANアダプターADを介した外部の装置との通信ができない状態となる。【0045】次いで、制御部20は、印刷部21を制御して、印刷媒体に、無線LANアダプターADが、複数、接続されたため、いずれの無線LANアダプターADも使用不可能な状態としたこと、及び、再起動を促す情報を少なくとも含む情報を印刷させる(ステップSC3)。図5は、ステップSC3で印刷媒体に印刷される情報の一例を示す。ユーザーは、印刷媒体に印刷された情報を視認により確認することにより、印刷装置が無線LANアダプターADを介した外部の装置との通信ができない状態であること、及び、再起動を実行すべきことを、迅速に認識できる。また、ユーザーは、当該認識に基づいて、印刷装置10の再起動を実行できる。なお、上述したように、印刷装置10が再起動された場合、再起動に伴って印刷装置10により接続状態管理処理が実行され、高機能アダプターが使用可能であり、低機能アダプターが使用不可能な状態とされる。【0046】以上説明したモードM1によれば、印刷装置10が起動している間に、印刷装置10に新たに無線LANアダプターADが接続された場合に、複数の無線LANアダプターADが使用可能な状態で印刷装置10に接続されたときに生じ得る不具合を確実に防止した上で、起動時に接続状態管理処理が実行されることを好適に利用して、無線LANアダプターADを介して外部の装置と通信可能な状態へとスムーズに移行できる。」
ウ 「図1[図:0001383924000001.jpg]」
エ 「図4[図:0001383924000002.jpg]」
(2)引用発明
上記(1)アないしエの記載から,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「制御部20とUSB通信インターフェース24を備える印刷装置10であって,(段落0016,図1)USB通信インターフェース24は,複数のUSBポートPT1ないしPT3を備え,(段落0019,図1)USB通信インターフェース24には,無線LANアダプターAD(無線通信アダプター)が接続可能であり,(段落0019,図1)無線LANアダプターADは,無線LANに対応する所定の無線通信規格に従って無線通信する機能を有する外付けのアダプターであり,(段落0019,図1)続きを表示(全11行)1つの無線LANアダプターADが接続され,その無線LANアダプターADが使用可能な状態であるとき,(段落0043,図4)印刷装置10の制御部20は,(段落0043,図4)いずれかのUSBポートPTに,新たに,無線LANアダプターADが接続されたか否かを監視し,(段落0043,図4のステップSC1)新たに無線LANアダプターADが接続されたことを検出した場合(ステップSC1:YES),既に接続された状態であった無線LANアダプターAD,及び,新たに接続された無線LANアダプターADの両方について,使用不可能な状態とし,(段落0044,図4のステップSC2)次いで,印刷部21を制御して,印刷媒体に,無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報を印刷させ,(段落0045,図4のステップSC3)ユーザーは,印刷媒体に印刷された情報を視認により確認することにより,印刷装置が無線LANアダプターADを介した外部の装置との通信ができない状態であることを迅速に認識できる(段落0045)印刷装置10。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2006-185218号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)
ア 「【要約】【課題】不必要な接続デバイスの利用を防止する。【解決手段】許可リスト設定手段1cにより、接続を許可する接続デバイスを規定する接続許可リスト1aが設定され、リスト記憶手段1bに格納される。接続制限手段1dでは、接続ポート2a、2b、2cを介して接続デバイスが接続されると、その接続デバイスからデバイス情報を取り出し、デバイス情報と接続許可リスト1aとを照合し、この接続デバイスが接続許可デバイスに相当するがどうかを判定する。そして、接続デバイスが接続許可デバイスに相当する場合は接続を許可し、相当しない場合は接続を禁止する。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2010-191717号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)
ア 「【要約】【課題】USBデバイスの利用において、その利便性ゆえに様々な脅威も想定される。そのために、USBデバイスを接続する際の利用管理が重要となる。よって、USBデバイスのUSBホスト接続に際し、利便性を損なわない接続の管理方法を実現する。【解決手段】USB接続に対応したデバイスとUSB接続が可能な情報処理装置であって、前記USB接続をした場合にデバイスドライバを有効化するか否かを示すドライバ情報を管理する管理手段と、前記デバイスが有するデバイス情報を取得するデバイス情報取得手段と、前記ドライバ情報と前記デバイス情報とが対応する際、当該ドライバ情報に対応するデバイスドライバを用いて前記デバイスを制御させるように、前記ドライバのセットアップをUSBコアドライバの制御下にて行う設定手段とを有する。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(富士ゼロックス株式会社,ApeosPort-VI C7771/C6671/C5571/C4471/C3371/C2271 DocuCentre-VI C7771/C6671/C5571/C4471/C3371/C2271 管理者ガイド,2017年10月,第1版,第612頁)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)
ア 「[図:0001383924000003.jpg]」
イ 上記アには,エラーコード「018-428」の説明として,
「【原因】無線LANモジュールが正しく接続されていません。【処置】本機の電源を切り、無線LANモジュールが取り付けられていることを確認してください。」と記載されている。
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2009-240384号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)
ア 「【0039】さらに、外部コントローラ25が接続された際、CPU101は当該外部コントローラのキー設定データがEEPROM104に記憶されているかどうかをチェックし、当該キー設定データが記憶されていた場合には自動的に操作パネルの表示内容を全画面表示画面20Dとし、当該外部コントローラによる入力操作を行えるようにする。従って、CPU101は「第1の表示切替手段」としても機能する。なお、複数の外部コントローラが接続された場合には、いずれかの外部コントローラによる操作を受け付ける設定としてもよいし、いずれの外部コントローラからも操作可能となる設定としてもよい。このとき、いずれか一方の外部コントローラによる操作を受け付ける設定とする場合には、上述のコントローラ選択画面20Bから選択するようにしてもよいし、所定のルールによって自動的にいずれか一方の外部コントローラの操作のみを受け付けるよう設定してもよい。所定のルールは、例えば後(あるいは先)に接続された外部コントローラを優先するルールや、接続するUSBポートの優先順位を設けて優先順位の高いUSBポートに接続された外部コントローラの操作のみを受け付けるルールといったものが挙げられる。また、キー設定についてはあらかじめ所定のキー設定データをEEPROM104に記憶させておき、外部コントローラの接続時には自動的に当該所定のキー設定を用いるようにしてもよい。」
第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
ア 引用発明の「無線LANアダプターAD」は,「無線通信する機能を有する外付けのアダプター」であり,「USB通信インターフェース24」に接続可能なものであるから,本願発明1の「USB接続に対応するネットワークアダプタ」に相当する。
引用発明の「USB通信インターフェース24」が備える「複数のUSBポートPT1ないしPT3」は,「外付けのアダプター」である「無線LANアダプターAD」を“接続することが可能”なものであるから,上記の検討も踏まえると,引用発明の「複数のUSBポートPT1ないしPT3」は,本願発明1の「USB接続に対応するネットワークアダプタを接続することが可能な」「複数」の「外部USBポート」に相当する。
引用発明の「印刷装置10」は,「USB通信インターフェース24」を備え,当該「USB通信インターフェース24」は,「複数のUSBポートPT1ないしPT3」を備えるものであるから,引用発明の「印刷装置10」は,「複数のUSBポートPT1ないしPT3」を“有する”といえる。
また,引用発明の「印刷装置10」は,「制御部20」を備え,「いずれかのUSBポートPTに,新たに,無線LANアダプターADが接続されたか否かを監視」する等の情報処理を実行するものであるから,本願発明1の「情報処理装置」に対応する。
したがって,引用発明の「制御部20とUSB通信インターフェース24を備える印刷装置10」は,本願発明1の「USB接続に対応するネットワークアダプタを接続することが可能な外部USBポートを複数有する情報処理装置」に相当する。
イ(ア)引用発明の「無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報」は,「無線LANアダプターAD」(ネットワークアダプタ)が,複数,接続されたという“接続状態”を示す情報であるから,“ネットワークアダプタの接続状態”に関する“情報”であるといえる。
そして,引用発明の「印刷部21」は,「無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報」を印刷することによって,「ユーザー」に「無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報」を“通知”するものであるから,“ネットワークアダプタの接続状態に関する通知”を行う“通知手段”であるといえる。
したがって,引用発明の「無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報を印刷」する「印刷部21」は,本願発明1の「前記ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行う通知手段」に相当する。
(イ)引用発明では,「1つの無線LANアダプターADが接続され,その無線LANアダプターADが使用可能な状態であるとき」,「新たに無線LANアダプターADが接続されたことを検出した場合」に,「印刷媒体に,無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報を印刷させる」ものであるから,引用発明は,「1つの無線LANアダプターADが接続され,その無線LANアダプターADが使用可能な状態であるとき」,「新たに無線LANアダプターADが接続されたことを検出した場合」という“条件”が満たされる場合に“通知を行う”ものである。
(ウ)上記(ア)(イ)の検討から,引用発明と本願発明1とは,“所定の条件が満たされる場合に,前記ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行う通知手段を有”する点で共通する。
ウ 引用発明の「1つの無線LANアダプターADが接続され,その無線LANアダプターADが使用可能な状態であるとき」,「新たに無線LANアダプターADが接続されたことを検出した場合」という“条件”は,“複数のUSBポートPT1ないしPT3を介して印刷装置10に接続されている無線LANアダプターADの数”が“2つになった場合”という条件とみることができるから,“接続されている無線LANアダプターADの数に関する”条件であるといえる。
一方,本願発明1の「前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数が所定の上限に達している場合」という条件も,“接続されている前記ネットワークアダプタの数に関する”条件であるといえる。
そうすると,引用発明と本願発明1とは,ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行う“所定の条件”が,“外部USBポートを介して情報処理装置に接続されているネットワークアダプタの数に関するもの”である点で共通する。
したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「USB接続に対応するネットワークアダプタを接続することが可能な外部USBポートを複数有する情報処理装置であって,所定の条件が満たされる場合に,前記ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行う通知手段を有し,前記所定の条件は,前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数に関するものである,ことを特徴とする情報処理装置。」
(相違点)
(相違点1)ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行う所定の条件が,本願発明1では,「第1の条件又は第2の条件」であり,
「前記第1の条件は,前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されている場合であって,前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数が所定の上限に達している場合であり,前記第2の条件は,前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されている場合であって,前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数がゼロの場合」であるのに対して,
引用発明では,「印刷装置10に1つの無線LANアダプターADが接続され,その無線LANアダプターADが使用可能な状態で」,「いずれかのUSBポートPTに新たに無線LANアダプターADが接続された場合」である点。
(相違点2)本願発明1では,「通知手段は,前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されていない場合,前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数がゼロの場合であっても前記ネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行わない」のに対して,引用発明は,そのようになっていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて,上記相違点1について先に検討する。
引用発明には,「情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モード」を設定することについて記載も示唆もされておらず,また,「情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モード」を設定することが本願出願前に当該技術分野における周知技術であったということもできない。
そうすると,「接続を許可する接続デバイスを規定する接続許可リストを設定する」との技術的事項が引用文献2に記載され,「USB接続をした場合にデバイスドライバを有効化するか否かを示すドライバ情報を管理する」との技術的事項が引用文献3に記載され,「無線LANモジュールが正しく接続されていない場合にエラーコードを通知する」との技術的事項が引用文献4に記載されているとしても,それらはいずれも,「情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードを設定すること」を記載ないし示唆するものではないから,引用発明の「無線LANアダプターADが,複数,接続されたことを含む情報」を印刷させる際の条件として,「情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されている」という条件を追加することや,「前記情報処理装置の動作モードとしてUSB接続に対応するネットワークアダプタを使用する動作モードが設定されている場合であって,前記外部USBポートを介して前記情報処理装置に接続されている前記ネットワークアダプタの数がゼロの場合」にネットワークアダプタの接続状態に関する通知を行うことを当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。
また,引用文献5には,上記「第3」の「5.」に摘記した技術的事項が記載されているところ,「接続するUSBポートに優先順位を設ける」ことが仮に周知技術であったとしても,当該周知技術によっても,上記相違点1に係る構成を当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
したがって,上記相違点2について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び引用文献2-5に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-11について
本願発明2-11は,本願発明1を直接・間接に引用するものであって,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2-5に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明12について
本願発明12は,本願発明1に対応するプログラムの発明であり,本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2-5に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1-12ついて上記引用文献1に記載の発明及び引用文献2-5に記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら,上記のとおり,本願発明1-12は,引用発明及び引用文献2-5に記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
<特許法第36条第6項第1号について>
(1)当審では,請求項10の「所定の上限は1つ」である場合に「優先順位を設定する」構成は,発明の詳細な説明に記載されたものではない旨の拒絶の理由を通知しているが,令和4年2月22日付けの補正において,「前記所定の上限は複数であり」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では,請求項12の各ステップの記載内容と本願図5に説明されるフローチャートとの対応関係が不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが,令和4年2月22日付けの補正において,請求項12が補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり,本願発明1-12は,当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-010382