2021-010183
エアロゾル送達デバイス、ならびに入力特性に基づいてエアロゾル送達デバイスを制御するための関連方法及びコンピュータプログラム製品
- 審判番号
- 2021-010183
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-116968外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月30日
- 審決日
- 2023年12月18日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
1.手続の経緯
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本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、2015年(平成27年)3月11日(優先権主張外国庁受理 2014年3月13日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願の一部を令和元年6月25日に新たな特許出願としたものであって、同年7月24日に上申書が提出されるとともに手続補正がされ、令和2年8月20日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年2月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年3月23日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、同年7月30日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和4年4月6日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年11月24日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和5年5月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1~12に係る発明は、令和5年5月25日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】エアロゾル送達デバイスであって、前記エアロゾル送達デバイスへの吸入入力を検出するように構成された吸入センサと、前記吸入センサに連結された処理回路網と、を備え、前記処理回路網が、前記エアロゾル送達デバイスに、少なくとも、前記吸入入力の特性を判定させ、前記特性との定義された関連性を有する制御機能を判定させ、前記吸入入力に応答して、前記エアロゾル送達デバイスに供給される電力を制御してエアロゾル前駆体組成物から吸入可能な物質を形成させ、かつ、同時に、前記制御機能を実施させ、前記制御機能を実施することは、前記エアロゾル送達デバイスの構成設定を変更することを少なくとも部分的に含み、別のユーザ入力に応答して前記エアロゾル送達デバイスの制御モードを変更して、エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、前記吸入入力に応答して前記制御機能を実施させ、前記制御機能が、前記制御モードの変更に基づいて実施されるように、前記別のユーザ入力に応答して前記制御モードを変更させるように構成される、エアロゾル送達デバイス。」
3.当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうちの理由3の概要は、次のとおりのものである。
理由3(進歩性)
本願の請求項1~12に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4.引用文献1に記載された事項及び引用発明等
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付したものである。以下同様。)。
ア 「[図:0001410564000001.jpg]」
(当審訳)
「[0002]本発明は、一般に吸入装置に関し、より具体的には、調節された動作を有する個人用吸入装置に関する。」
イ「
[図:0001410564000002.jpg]
[図:0001410564000003.jpg]
」
(当審訳)
「[0018]個人用の吸入装置10は、電子機器セクション12、霧化ユニット14、およびカートリッジ16の3つの主要構成要素を含む。図示の実施形態では、電子機器セクション12は、ネジ止めによって霧化ユニット14の一端に接続される。カートリッジ16は、霧化ユニット14の他端に締り嵌め(摩擦嵌めと呼ばれることもある)によって接続されている。このように組み立てられると、個人用吸入装置10は、標準的なシガレットの長さ対直径の比率と同様の長さ対直径の比率を有する細長い円筒形状を画定する。以下でより詳細に説明するように、カートリッジ16は、使用者が吸入装置10のカートリッジ端部を吸引またはパフすると、噴霧ユニット14内で噴霧される送達物含有媒体を格納する。吸入装置10のカートリッジ端部を口に入れ、吸入することにより、吸入装置10を通して空気を吸引する。ユーザが吸入装置10から蒸気を吸入すると、電子機器セクション12の他端にあるインジケータライト20が点灯し、ユーザへの追加情報の出力のために電子機器セクション12の外面にディスプレイ22が取り付けられる。吸入装置10の動作は、電子機器セクション12に含まれるマイクロ電子部品(以下、「制御電子機器」と呼ぶ)によって制御される。」
ウ「
[図:0001410564000004.jpg]
」
(当審訳)
「[0031]動作中、ユーザは、カートリッジ端部のオリフィス18をパフすることによって、吸入装置10から蒸気を吸入する。これにより、外部の空気が吸入装置10内に引き込まれる。具体的には、空気はスロット30を通って引き込まれ、次に穴94を通って第2のカップリング90の内部に入る。第1のハウジング24を通って流れる空気は、圧力トランスデューサ38を作動させ、それによって、光源86および霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させる。第1のハウジング24は、それぞれ第1および第2の電気接点32、96のボア36、100を通って流れ、スロット30および穴94を介して入った空気と合流する。結合された空気流は、次に空気通路106を通過する。空気は、噴霧加熱コイル108上を流れるときに加熱される。次に、加熱された空気は、ウィック114上を通過し、ウィック114に吸収された媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成します。蒸気はリザーバ118の周りを流れ、オリフィス18を通ってユーザの口に放出される。ユーザが吸入装置10上で吸引またはパフする各インスタンスは、本明細書では「パフ」と呼ばれる。」
エ「
[図:0001410564000005.jpg]
[図:0001410564000006.jpg]
[図:0001410564000007.jpg]
[図:0001410564000008.jpg]
[図:0001410564000009.jpg]
」
(当審訳)
「[0032]上述のように、電子回路基板40は、調整された個人用吸入装置10の動作を制御するための制御電子機器を含む。図9に示されるように、制御電子機器の可能な一実施形態は、論理回路126に接続されたメモリ120およびクロック122を備える。論理回路126はまた、1つまたは複数の入力装置124、ならびに噴霧装置108、表示灯にも接続される。ブザーなどの音声信号装置128も論理回路126に接続することができる。ユーザにフィードバックを提供するため、表示灯20、ディスプレイ22、および音声信号装置128は論理回路126によって制御される。[0033]制御電子機器は、ユーザが吸入装置10の動作を選択的に決定できるようにプログラム可能である。1つまたは複数の入力デバイス124は、制御電子機器をプログラミングするためのユーザインターフェースを提供し、ユーザが動作モードを選択し、計量を回すことを可能にする。プログラミング命令は、論理回路126に埋め込むか、メモリ120に格納することができ、所望のプログラミングを呼び出すことができる。プログラミング命令は、入力デバイス124の1つまたは複数を介して外部デバイスからアップロードすることも、入力デバイスから直接アクセスすることもできる。[0034]制御電子機器をプログラムするためのいくつかの考えられる手段および技術には、以下の例が含まれるが、これらに限定されない。一例では、吸入装置10に形成されたレセプタクルに挿入されたピンの形態の入力装置が使用される。通常、一連のピンが提供され、各ピンは独自のプログラミング命令を定義する手段(抵抗回路または鍵の歯に似た機械的特徴)を有する。 レセプタクルは、プログラミング命令が論理回路126に提供されるように、論理回路126と回路接続を行う。制御電子機器の所望のプログラミングを生成するために、所望のプログラミング命令を定義するピンがレセプタクルに挿入される。[0035]別の例では、吸入装置10は、論理回路126に電気的に接続されたボタンまたはスイッチの形態の入力装置を有する。ボタンやスイッチを押すことができる。プログラミング命令は、あらかじめ決められた順序でボタンまたはスイッチを押すことによって入力される。さまざまなプログラミング命令に対してさまざまなシーケンスが用意されている。ユーザは、適切なシーケンスを入力して、目的のプログラミングを生成する。他の可能性は、圧力トランスデューサ38を入力装置として使用することを含む。例えば、ユーザは、様々なパターンまたは組み合わせでオリフィス18を通して順次吸入および/または吐き出すことによって、圧力トランスデューサ38をトリガすることができる。所望のプログラミングは、吸入および/または呼気の適切なシーケンスによって達成される。あるいは、圧力トランスデューサ38は、吸入装置10を表面に対して連続的に軽くたたく(または吸入装置10を軽くたたく)ことによってトリガーすることができ、それにより、各軽くたたくとリードスイッチ44が閉じられる。この場合、目的のプログラミングは、特定の一連のタップによって実現される。吸入装置10の内部に配置された加速度計の形態の入力装置を使用することも可能であり、それにより吸入装置10を振ったり叩いたりすると加速度計が作動し、信号が論理回路126に送られる。シェイクまたはタップの特定のシーケンスを通じて、所望のプログラミングが達成される。」
オ「
[図:0001410564000010.jpg]
」
(当審訳)「[0039]1つの動作モードでは、制御電子機器は、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される送達物を計量する(すなわち、測定または調整された量で供給する)。パフに含まれる送達物の量は、本明細書では用量または投薬量とも呼ばれる。計量には、1回のパフで放出される送達物の最大量 (つまり、最大用量) の制御、設定期間中に放出される最大用量数の制御、またはその両方が含まれる。」
カ「
[図:0001410564000011.jpg]
」
(当審訳)
「[0045]ユーザは、1つまたは複数の入力装置124を使用して制御電子機器を再プログラムして、1回のパフで放出される最大投与量および/または設定期間中に放出できる最大投与量を変更することができる。計量プログラミングは、使用される成果物のタイプなどの要因に基づいて行うことができる (つまり、成果物によって異なる計量)。場合によっては、計量プログラミングは、単にユーザの個人的な好みの問題である。つまり、ユーザは、自分が望む最大投与量と投与回数をプログラムすることができる。他の例では、少なくとも特定の成果物に関して、計量を変更またはプログラムするユーザの能力は、規制上の制限に基づいて制限される可能性がある。たとえば、食品医薬品局またはその他の機関は、ニコチンやTHCなどの提供物の最大投与量に制限を設ける場合がある。この場合、制御電子機器は、そのような制限を超えるようにデバイスをプログラムすることが不可能になるように構成される。」
キ「
[図:0001410564000012.jpg]
[図:0001410564000013.jpg]
[図:0001410564000014.jpg]
[図:0001410564000015.jpg]
[図:0001410564000016.jpg]
」
(当審訳)
「[0050]制御電子機器は、計量モード以外の動作モードを提供できる。 例えば、吸入装置10は、点滅または静的などの異なるパターンでインジケータライト20が点灯するパーティーモードを有することができる。これはまた、連続的に、または吸入装置10をパフするごとに色がランダムに変化するマルチカラーライトを含むことができる。光はゆっくりと色を変えることもできる。たとえば、光は赤で、ゆっくりとオレンジ色に変化し、次にゆっくりと紫に変化し、その後青、緑などに変化します。パーティーモードはまた、オーディオ信号装置128からのオーディオ出力の変化、およびディスプレイ22上に示される装飾またはロゴの変化を含むことができる。[0051]別の可能性は軍事モードである。 このモードでは、制御電子機器は表示灯20および音声信号装置128を無効にするので、現場で吸入装置10を使用しても兵士の位置が分からなくなる。制御電子機器はまた、吸入装置10のRFシグネチャを抑制するために、装置の動作時間をランダムに変化させる。投与量は、ミッションパラメータ、例えば、軍事使用のためのカフェイン送達に基づいて変更することもできる。ディスプレイ22(特に、電子機器セクションハウジング24の外面全体を覆っている場合)は、カモフラージュデザインを表示させることができる。[0052]小売店などで吸入装置を陳列するためのマーケティングモードを提供することができる。これには、プログラムされたデモンストレーションやその他の無人アトラクション機能が含まれる場合がある。例えば、気化器10は、ディスプレイ22上に様々な光表示またはスクロールメッセージを提供することができる。[0053]他の可能なモードには、携帯電話へのRFインターフェースなどのデバイスの対話性を可能にする協調モード、および気化器10がセキュリティのために(すなわち、無許可の使用を防止するために)またはバッテリー電力を節約するためにオフにされるロックオフモードが含まれる。出荷中またはその他の長期間使用されていない場合。気化器10はまた、装置内で許可されていない成果物の使用を防止するために、様々な‘キー’暗号化手段を有することができる。これは、霧化ユニット14の無効化、インジケータライト20の点滅、装置128からのオーディオ信号、またはディスプレイ22上の表示などのフィードバックを伴うことができる。任意の操作を調整、更新、または削除することができる。許可ユーザモードも可能である。これは管理モードに似ているが、多くの権限はない。任意の動作モードを個別に実行することも、モードの組み合わせを一緒に実行して、制御電子機器によって優先順位を付けることもできる。」
ク「FIG.9
[図:0001410564000017.jpg]
」
ケ [0031]の記載から、「ユーザは、カートリッジ端部のオリフィス18をパフすることによって、吸入装置10から蒸気を吸入する」と、「空気はスロット30を通って引き込まれ」、「第1のハウジング24を通って流れる空気は、圧力トランスデューサ38を作動させ、それによって、光源86および霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させる。」のであるから、吸入装置10は、吸入装置10へのパフを検知する圧力トランスデューサ38を備えるものと認められる。
コ [0035]の記載から、「吸入装置10は、論理回路126に電気的に接続されたボタンまたはスイッチの形態の入力装置を有する。」ものであり、「圧力トランスデューサ38を入力装置として使用することを含む。」ものであるから、吸入装置10は、圧力トランスデューサ38に連結された論理回路126を備えるものと認められる。
サ [0035]の記載から、「ユーザは、様々なパターンまたは組み合わせでオリフィス18を通して順次吸入および/または吐き出すことによって、圧力トランスデューサ38をトリガすることができ」、「所望のプログラミングは、吸入および/または呼気の適切なシーケンスによって達成される。」のであって、「ユーザが吸入装置10上で吸引またはパフする各インスタンスは、本明細書では「パフ」と呼ばれる。」([0031])から、吸入装置10は、パフのシークエンスを判定しているものと認められる。
また、「さまざまなプログラミング命令に対してさまざまなシーケンスが用意され」、「ユーザは、適切なシーケンスを入力して、目的のプログラミングを生成」し、「所望のプログラミングは、吸入および/または呼気の適切なシーケンスによって達成される。」のであるから、吸入装置10は、複数の異なるシークエンスに対応した複数のプログラミングの対応を定義し、ユーザによるパフのシークエンスを入力したら、対応するプログラミングを生成するものと認められる。
シ [0031]の記載から、ユーザが「カートリッジ端部のオリフィス18をパフする」ことによって、「第1のハウジング24を通って流れる空気は、圧力トランスデューサ38を作動させ、それによって、光源86および霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ」、「空気は、霧化加熱コイル108上を流れるときに加熱される。次に、加熱された空気は、ウィック114上を通過し、ウィック114に吸収された媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成」するのであるから、吸入装置10は、パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成するものと認められる。
ス [0039]の記載から、「1つの動作モードでは、制御電子機器は、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される送達物を計量する(すなわち、測定または調整された量で供給する)。」のであって、当該「送達物」は、「成果物を含む蒸気」であるから、計量モードにおいて、吸入装置10は、上記シのパフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成することと同時に、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される成果物を含む蒸気を計量するプログラミングを実施しているものと認められる。
セ [0045]の記載から、使用者が「1つまたは複数の入力装置124を使用して制御電子機器を再プログラムして、1回のパフで放出される最大投与量および/または設定期間中に放出できる最大投与量を変更することができる。」のであるから、吸入装置10は、吸入装置10の1回のパフで放出される最大投与量および/または設定期間中に放出できる最大投与量を変更するようプログラミングを実施するものと認められる。
ソ [0050]~[0053]の記載から、「制御電子機器は、計量モード以外の動作モードを提供でき」るものであって、「吸入装置10は、点滅または静的などの異なるパターンでインジケータライト20が点灯するパーティーモード」([0050])、「制御電子機器は表示灯20および音声信号装置128を無効」にする「軍事モード」([0051])、「小売店などで吸入装置を陳列するためのマーケティングモード」([0052])、「携帯電話へのRFインターフェースなどのデバイスの対話性を可能にする協調モード、および気化器10がセキュリティのために(すなわち、無許可の使用を防止するために)またはバッテリー電力を節約するためにオフにされるロックオフモード」([0053])を備えるのであるから、吸入装置10の動作モードを変更して、プログラミングが、動作モードの変更に基づいて実施されるものと認められる。
また、上記各動作モードのうち、「軍事モード」、「マーケティングモード」、「協調モード」又は「ロックオフモード」は、上記シの「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成する」ものではないことが明らかである。
してみると、吸入装置10は、パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成するものではなく、吸入装置10の動作モードをマーケティングモード、協調モード又はロックオフモードに変更して、プログラミングが、動作モードの変更に基づいて実施されるものと認められる。
(2)引用発明
以上のことから、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)
(引用発明)
「吸入装置10であって、吸入装置10へのパフを検知する圧力トランスデューサ38と、圧力トランスデューサ38に連結された論理回路126と、を備え、論理回路126が、吸入装置10に、パフのシークエンスを判定させ、複数の異なるシークエンスに対応した複数のプログラミングの対応を定義し、ユーザによるパフのシークエンスを入力したら、対応するプログラミングを生成し、パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成し、同時に、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される成果物を含む蒸気を計量するプログラミングを実施し、また、吸入装置10の1回のパフで放出される最大投与量および/または設定期間中に放出できる最大投与量を変更するようプログラミングを実施し、パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成するものではなく、吸入装置10の動作モードを軍事モード、マーケティングモード、協調モード又はロックオフモードに変更して、プログラミングが、動作モードの変更に基づいて実施される、吸入装置。」
(3)引用文献1記載事項
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[0035]の記載から、吸入装置10は、「論理回路126に電気的に接続されたボタンまたはスイッチの形態の入力装置を有」し、当該「ボタンやスイッチ」を押すことができ、「あらかじめ決められた順序でボタンまたはスイッチを押すことによって入力される」、「さまざまなプログラミング命令に対してさまざまなシーケンスが用意され」、ユーザは、「適切なシーケンスを入力して、目的のプログラミングを生成する」ことが記載されている。
そして、当該「ボタンやスイッチ」は、「圧力トランスデューサ38を入力装置として使用すること」と併記されているのであるから、引用文献1には、『圧力ドランデューサ38による「パフのシークエンス」に代替して「あらかじめ決められた順序でボタンやスイッチを押すシークエンス」を用いること』が記載されている(以下、「引用文献1記載事項」という。)と認められる。
5.当審の判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「吸引装置10」、「パフ」は、それぞれ、本願発明1の「エアロゾル送達デバイス」、「吸入入力」に相当するから、引用発明の「吸入装置10へのパフを検知する圧力トランスデューサ38」は、本願発明の「前記エアロゾル送達デバイスへの吸入入力を検出するように構成された吸入センサ」に相当する。
引用発明の「論理回路126」は、本願発明の「処理回路網」に相当するから、引用発明の「圧力トランスデューサ38に連結された論理回路126と、を備え」ることは、本願発明の「前記吸入センサに連結された処理回路網と、を備え」ることに相当する。
引用発明の「パフのシークエンス」、「プログラミング」は、本願発明の「吸入入力の特性」、「制御機能」に相当する。
してみると、引用発明の「パフのシークエンスを判定させ」、「複数の異なるシークエンスに対応した複数のプログラミングの対応を定義し、ユーザによるパフのシークエンスを入力したら、対応するプログラミングを生成」することは、本願発明の「前記吸入入力の特性を判定させ」、「前記特性との定義された関連性を有する制御機能を判定させ」ることに相当する。
引用発明の「電力」、「媒体」、「成果物を含む蒸気」は、本願発明の「電力」、「エアロゾル前駆体組成物」、「吸入可能な物質」に相当する。
そして、引用発明の「霧化装置108」は、「吸入装置10」に供給される電力により「霧化装置108」おいて「空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体からの成果物を含む蒸気を作成」するものである。
してみると、引用発明の「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成」することは、本願発明の「前記吸入入力に応答して、前記エアロゾル送達デバイスに供給される電力を制御してエアロゾル前駆体組成物から吸入可能な物質を形成」させることに相当する。
引用発明の「同時に、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される成果物を含む蒸気を計量するプログラミングを実施」することは、上記「媒体から成果物を含む蒸気を作成」する際に、当該「成果物を含む蒸気を計量」するのであるから、本願発明の「同時に、前記制御機能を実施させ」ることに相当する。
引用発明の「吸入装置10の1回のパフで放出される最大投与量および/または設定期間中に放出できる最大投与量」は、本願発明の「エアロゾル送達デバイスの構成設定」に相当する。
してみると、引用発明の「吸入装置10の1回のパフで放出される最大投与量および/または設定期間中に放出できる最大投与量を変更するようプログラミングを実施」することは、本願発明の「前記エアロゾル送達デバイスの構成設定を変更する」プログランミグを実施するのであるから、本願発明の「制御機能を実施することは、前記エアロゾル送達デバイスの構成設定を変更することを少なくとも部分的に含」むことに相当する。
引用発明の「動作モード」は、本願発明の「制御モード」に相当する。
してみると、引用発明の「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成するものではなく、吸入装置10の動作モードを軍事モード、マーケティングモード、協調モード又はロックオフモードに変更して、プログラミングが、動作モードの変更に基づいて実施される」ことと、本願発明の「別のユーザ入力に応答して前記エアロゾル送達デバイスの制御モードを変更して、エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、前記吸入入力に応答して前記制御機能を実施させ、前記制御機能が、前記制御モードの変更に基づいて実施されるように、前記別のユーザ入力に応答して前記制御モードを変更させるように構成される」こととは、「エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、制御モードを変更させるように構成される」ことの限りにおいて一致する。
してみると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
「 エアロゾル送達デバイスであって、前記エアロゾル送達デバイスへの吸入入力を検出するように構成された吸入センサと、前記吸入センサに連結された処理回路網と、を備え、前記処理回路網が、前記エアロゾル送達デバイスに、少なくとも、前記吸入入力の特性を判定させ、前記特性との定義された関連性を有する制御機能を判定させ、前記吸入入力に応答して、前記エアロゾル送達デバイスに供給される電力を制御してエアロゾル前駆体組成物から吸入可能な物質を形成させ、かつ、同時に、前記制御機能を実施させ、前記制御機能を実施することは、前記エアロゾル送達デバイスの構成設定を変更することを少なくとも部分的に含み、エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、前記制御モードを変更させるように構成される、エアロゾル送達デバイス。」
(相違点)
「エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、制御モードを変更させるように構成される」することに関して、本願発明では、「別のユーザ入力に応答して前記エアロゾル送達デバイスの制御モードを変更して、エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、前記吸入入力に応答して前記制御機能を実施させ、前記制御機能が、前記制御モードの変更に基づいて実施されるように、前記別のユーザ入力に応答して前記制御モードを変更させるように構成される」のに対して、引用発明では、「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成するものではなく、吸入装置10の動作モードをマーケティングモード、協調モード又はロックオフモードに変更して、プログラミングが、動作モードの変更に基づいて実施される」点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
上記4.(3)で引用文献1記載事項として説示したように、引用文献1には、『圧力ドランデューサ38による「パフのシークエンス」に代替して「あらかじめ決められた順序でボタンやスイッチを押すシークエンス」を用いること』が記載されているから、引用発明の「パフのシークエンス」に代替して、別のユーザ入力である「ボタンやスイッチ」の「シークエンス」によって吸入装置のプログラムを実施することが示唆されているといえる。
そして、当該「ボタンやスイッチ」の「シークエンス」は、「パフ」を伴わないものであるから、引用発明において「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成し、同時に、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される送達物を計量するプログラミングを実施」すること以外の動作モードである「軍事モード、マーケティングモード、協調モード又はロックオフモード」のプログラミングを選択することに割り当てるのは、当業者の通常の創作能力の範囲内で適宜選択し得る、選択的事項というべきである。
してみると、引用発明において、「前記制御機能が、前記制御モードの変更に基づいて実施されるように、前記別のユーザ入力に応答して前記制御モードを変更させるように構成」するとともに、「別のユーザ入力に応答して前記エアロゾル送達デバイスの制御モードを変更して、エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、前記エアロゾル送達デバイスに、入力に応答して前記制御機能を実施させ」することは、引用文献1記載事項の示唆から、当業者が適宜選択し得た選択的事項にすぎないというべきである。
なお、引用発明は、「パフのシークエンスを判定させ」、「複数の異なるシークエンスに対応した複数のプログラミングの対応を定義し、ユーザがパフのシークエンスを入力したら、対応するプログラミングを生成」するものであって、「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成し、同時に、オリフィス18を通って蒸気とともに放出される送達物を計量するプログラミングを実施」するものであるから、引用発明の「軍事モード、マーケティングモード、協調モード又はロックオフモード」においても「パフを伴わないシークエンス」により制御モードを変更し、制御モード変更後の制御機能を「吸入入力」(パフ)により実施するよう構成することは、当業者が通常の創作能力の範囲において容易に選択し得た選択的事項の範囲内というべきである。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(3)請求人の主張について
請求人は、令和5年5月25日に提出した意見書において、以下のように主張する。
「 引用文献1が、パフに応答して電力残量ステータスを示すインジケータライトが点灯するのを可能にする個人用の吸入装置と、残りの投与回数を表示するLEDディスプレイとを開示するものとして引用されている。また、引用文献1は、吸入装置10の動作パラメータが、ボタンまたはスイッチの操作、あるいは吸入装置10を振るか軽く叩く動作によって設定または変更されることを開示するものとして引用されている。また使用者は、様々なパターンまたは組み合わせでオリフィス18を通して順次吸入および/または吐き出すことによって、圧力トランスデューサ38をトリガすることができる。所望のプログラミングは、吸入および/または呼気の適切なシーケンスによって達成される。これに関して、出願人は、第2のユーザ入力に応答して制御モードを変更することが、エアロゾル前駆体組成物を加熱して吸入可能な物質を形成するのではなく、吸入入力に応答して制御機能が実施されることをもたらすことを引用文献1が教示も示唆もしていないことを提起する。上記を考慮して、引用文献1は、補正後の請求項1、6に記載の特徴を、教示も示唆もせず、動機付けを与えるものでもなく、また、予測可能にするものでもないものと思料する。」
しかしながら、引用文献1には、上記4.(1)キで説示したとおり、「軍事モード、マーケティングモード、協調モード又はロックオフモード」のように、「パフにより霧化装置108に電力を供給する制御電子機器を作動させ、霧化装置108により空気を加熱し、加熱された空気により媒体が霧化され、媒体から成果物を含む蒸気を作成」することと無関係に実施される「プログラミング」を選択して実施することも記載されているから、請求人の主張は、採用することができない。
6.むすび
してみると、本願発明は、特許法第29条第2項の記載により特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する
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2021-010183