特許拒絶査定不服審判
2021-009251
農業用温室
- 審判番号
- 2021-009251
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-079137外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月12日
- 審決日
- 2022年10月13日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017- 79137「農業用温室」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018-174799〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年4月12日に出願したものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 1月13日付け :拒絶理由通知書
令和3年 3月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 4月 2日付け :拒絶査定
令和3年 7月12日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 6月 9日付け :拒絶理由通知書
令和4年 7月27日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明について
請求項1~3に係る発明は、令和4年7月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである(以下、請求項1に係る発明を、「本願発明」という。)。
「 【請求項1】
柱材と桁材として、対向する長辺と対向する短辺と、長辺と短辺を連結する斜辺を備えた変形八角形断面の管材を用いた農業用温室であって、
棟木は短辺を天地とし、柱材は短辺を外面、柱材間に配置される桁材は短辺を天地とし、
短辺側を湾曲部の内面及び外面とした湾曲部を備えた変形八角形断面の管材をアーチ材として用い、
管材の継手として鞘管、ロッド、十字接手を用い、
変形八角形断面の管材の端部同士の接合が、内孔形が該管材の外形と同様に変形八角形の鞘管或いは変形八角形の外形の差入込ロッドを用いて構築したことを特徴とする農業用温室。」
第3 拒絶の理由
令和4年6月9日付けで当審が通知した請求項1に関する拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2015-39358号公報
引用文献2.特許第4724591号公報
引用文献3.登録実用新案第3129683号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2007-300900号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献について
1.引用文献1
(1)引用文献1には次の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)
ア.「【0014】
この温室用中空管は、温室の棟方向部材である、長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、軒部と屋根部が直線状で中間部が円弧状に湾曲した断面八角形の中空湾曲管との組み合わせから構成されている。」
イ.「【0016】
図2にアーチ部材の構成部材である中空湾曲管1と中空直管2の十字接手3の接手構造を示す。
図2左は、十字接手構造を温室妻面からみた正面図で、同図右は、その側面図である。」
ウ.「【0020】
図3に示す十字接手は、温室の棟部における十字接手3である。
41は断面八角形の中空湾曲管1の上端部同士をその両端部に挿入して、両者を軸方向に連結して全体としてアーチ状のアーチ部材4とする連結パイプである。
この連結パイプ41は、八角形の中空湾曲管1が両端部に挿入されるものであるから、当然にその断面形状は全長に亘って中空八角形とされている。」
エ.図3および図5は次のものである。
【図3】
[図:0001391464000001.jpg]
【図5】
[図:0001391464000002.jpg]
オ.上記エ.の図3より、連結パイプは、内孔形が中空湾曲管の外形と同様に八角形であって、管材同士がクロスする部分に十字接手による接合構造がなされており、十字接手は、中空湾曲管の八角形断面形状に沿うように折り曲げられた管被覆部と八角形断面の中空直管の外形が嵌る切欠き部を備えていることが看取される。
カ.上記エ.の図3および図5より、断面八角形の中空管である柱材、棟木、柱材間に配置される桁材およびアーチ部材を備えているアーチ形温室が看取される。
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)に基いて、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「棟方向部材である、長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、
軒部と屋根部が直線状で中間部が円弧状に湾曲した断面八角形の中空湾曲管と、
アーチ部材の構成部材である中空湾曲管と中空直管の十字接手の接手構造と、
断面八角形の中空湾曲管の上端部同士をその両端部に挿入して、両者を軸方向に連結して全体としてアーチ状のアーチ部材とする連結パイプを有し、
連結パイプは、内孔形が中空湾曲管の外形と同様に八角形であって、管材同士がクロスする部分に十字接手による接合構造がなされており、十字接手は、中空湾曲管の八角形断面形状に沿うように折り曲げられた管被覆部と八角形断面の中空直管の外形が嵌る切欠き部を備えており、
断面八角形の中空管である柱材、棟木、柱材間に配置される桁材およびアーチ部材を備えているアーチ形温室。」
2.引用文献2
(1)引用文献2には次の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、箱形断面型薄板部材の座屈補剛構造に係り、例えば、スチールハウス、住宅、工場建屋等に使用される薄板軽量形鋼による縦枠材および横枠材等の棒状部材として適した箱形断面型薄板部材の座屈補剛構造に関するものである。
【0002】
従来の鋼製住宅における骨組構造としては、図23に示されるものが一般的である。同図において、布基礎上に組まれる柱、梁、根太その他のたて枠とよこ枠は、いずれも主として、厚さ0.8~1.6mmの一枚の薄鋼板を、その強度を増強すべくロールフォーミングにより溝形に曲げ加工して形成されたもの(単に溝形鋼という)が使用される。
【0003】
図23において、布基礎(図示せず)上にアンカーボルトによって固定された下枠ランナー1から1階を構成する複数の柱2、隅柱3、たて枠4が立設され、この1階を構成する柱2、隅柱3、たて枠4の上端には、頭つなぎ、上枠ランナー5等が設けられている。また、1階用窓開口部6を形成するため、まぐさ7と、まぐさ受け8が設けられている。上枠ランナー5には、頭つなぎ10、ころび止め11、あおり止め金物、ガッセットプレート12、腕木9を介して屋根トラス13が取付けられる。屋根トラス13の下弦材(つまり天井根太)14からは妻小屋たて枠15が立上がり、屋根トラス13の上弦材には、補強たるき13a、けらばたるき16、頭部ころび止め17などが設けられている。
【0004】
従来、スチールハウスを始めとする薄板軽量形鋼造建築物では、図24(A)(B)に示すようなリップ付溝形鋼18を基本とした断面構造の実用化が進められてきた。また、前記のようなリップ付溝形鋼18が縦枠材として使用される場合は、図24(B)示すようなH形の断面構造とした組立H形鋼19として使用される場合が多い。
【0005】
図24(B)では、2つの溝形鋼18のウェブ21を背中合わせに当接し、両ウェブ21を貫通してドリルねじ22を打設することにより、両溝形鋼18を結合することにより、図23における柱2あるいは隅柱3あるいは縦枠部材等を含む縦部材、または梁あるいはトラス部材等の傾斜した部材あるいは横枠部材を含む横部材として、溝形鋼の座屈強度を向上するものである。
【0006】
図23に示すようなスチールハウス等の1階または2階以上の薄板軽量形鋼造建築物23に使用する縦枠材(および縦部材)または横枠材(および横部材)の開発が進むにつれて、図24(B)の断面では、リップ付溝形鋼18相互を多数のドリルねじ22による組立手間や、組立られた組立H形鋼部材19の外側溝あるいはドリルねじ22等が露出しているので、部材の外観上の問題が顕在化し、図25(A)に示すような方形の閉鎖断面部材24へのニーズが高まり実用化が進められている。
【0007】
図25(A)に示す閉鎖断面部材24は、帯状薄鋼板をロールフォーミングにより4つの辺25と、直角のコーナー部26とからなる閉鎖環状断面の箱形断面形状に曲げ形成し、折り曲げられた帯状薄鋼板の両端を、かしめ部27でシームして柱部材(角形鋼)1の縦枠材あるいは屋根トラス13等の傾斜した梁を含む横枠材等の、棒状の箱形断面型薄板部材28を構成している。
【0008】
しかし、図25(A)の箱形断面形態の部材(角形鋼)28では、各コーナー部26は、薄板厚tの2倍以下と小さくされている隅部であるため、隅部による各辺の幅寸法の影響が少ない外形幅寸法bであるのに対して、図24(B)に示すように、前記と同様な外形幅寸法bの組立H形鋼部材19を、溝形鋼18を2つ使用して製作した場合、図24(B)に示すようになり、溝形鋼18を2つ組合わせて構成される組立H形鋼部材19では、個々の溝形鋼18のフランジ部29の幅b/2全幅が有効な幅となり、溝形鋼18のフランジ部29の幅の2倍の寸法bと大きくなる図25(A)の箱形断面形態では、上下の各辺25の箱形断面形態における各辺25の面外への板曲げ剛性が低下しているため局部座屈を考慮して、幅寸法全体に渡って有効寸法として設計上組み入れることができない場合が多い。
【0009】
前記のように、1つの薄板部材を折り曲げて形成された箱形断面型薄板部材28では、箱形断面部材の曲げ剛性を計算する上で、その外形幅寸法bよりも有効寸法幅が小さくなるため、板厚tと外形幅寸法bとの比(幅厚比)が大きな要素として増えることになる。(図24(B)の組立H形鋼部材19のウエブ部21と、これに対応する図25(A)の箱形断面型薄板部材28の左右の上下方向の部分では、ほぼ同じ有効寸法幅になる。)
【0010】
したがって、組立H形鋼部材19では、各フランジ29の幅b/2の合計幅寸法bであるのに対して、辺寸法の大きくなる箱形断面型薄板部材28では、前記寸法bよりも小さくなるため、幅厚比(t/b)の大きな要素が増えるため、箱形断面型薄板部材28の全断面積(A)に対する、有効断面積(Ae)の比率(断面有効率ρ=Ae/A)が小さくなり、部材の単位重量当たりの強度が低下するという新たな問題が生じるようになっていた。なお、一般の鋼材では、板厚寸法を適宜大きく設定できるため、前記のような問題は起きないようにされており、厚さtが0.8mm~1.6mmの薄板部材による箱形断面型薄板部材28の特有の問題である。
【0011】
前記の有効断面積(Ae)の低下の問題を解決するために、図25(B)に示すような各辺25を構成する板要素30の中間部に、補剛リブ31を設けたり(例えば、特許文献1、2参照、特開2001-152607号公報)、あるいは、図25(c)に示すような板要素30に波板加工を施したりして、有効断面率ρを向上させる方法が提案さている。なお、前記の図25(B)(C)の構造の場合には、(1)補剛リブや波板がドリルねじ打設時に邪魔になったり、あるいは(2)補剛リブ31や波板20を成形するための製造コストアップなどの欠点はあるものの、前記のような構造にすることにより、各辺25の板要素30の剛性を高めて、全体として箱形断面型薄板部材28の剛性を高めて、座屈に対する補剛構造とすることが可能である。
【特許文献1】特開2001-152607号公報
【特許文献2】特開2001-329656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のような箱形断面型薄板部材28を使用する薄板軽量形鋼造の分野においては、図25に示す方形断面の形態の箱形断面型薄板部材28では、コーナー部26の円弧状部32の半径寸法Rは、薄板部材の板厚tの2倍(R=2t)と、規定されている。その理由の一つとして、箱形断面型薄板部材28のコーナー部26を、板厚tの2倍の2tを越える円弧状に大きく屈曲させた半円状屈曲部とするに従って、半円状屈曲部(円弧状部32)は、部材中心からの距離が近くなり、部材全体の断面2次モーメントが低下することになるため、座屈に対する補剛構造として隅部は、積極的に考慮されていなかった。
【0013】
前記のように部材全体の断面2次モーメントが低下するという基本的な設計思想があるために、薄板軽量形鋼造の分野においては、箱形断面型薄板部材28におけるコーナー部26について、箱形断面型薄板部材28のコーナー部に、大きな円弧状の補剛部を形成すること、および隅部の円弧状の補剛部の寸法ついて、特段に、深く技術的に掘り下げて考えられていなかった。
【0014】
本発明者は、コーナー部における円弧状または直線状の補剛部を大きくしていくと、部材全体の曲げ座屈強度、すなわち断面二次モーメントは小さくなる傾向にある点、および円弧状または直線状の補剛部の幅寸法を変化させた場合における有効断面積Aeの変化の特性に着目し、コーナー部の補剛部の寸法と、許容圧縮応力度Fcr(N/mm2)と、有効断面積Ae(mm2)との関係から、最終的な部材の強度に着目して、最終的な部材の許容圧縮耐力(Ae・Fcr)、すなわち(有効断面積Ae)×(許容圧縮応力度Fcr)の値が、隅部の補剛部の寸法により、山形の線図を描くことに知見し、前記隅部の補剛部の寸法を所定の範囲に設定することにより、箱形断面型薄板部材の曲げ座屈剛性を効率よく高めることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明は、前記従来の課題を有利に解決することができる、箱形断面型薄板部材の座屈補剛構造を提供することを目的とする。
また、前記従来の箱形断面型薄板部材にも適用することができる箱形断面型薄板部材の座屈補剛構造を提供することも目的とする。また、ここで箱型断面薄板部材は、厚さ0.8mm~1.6mmの薄板部材であり、スチールハウス、住宅、工場建屋の柱部材等、さらに、OAデスクの脚フレームをはじめ住宅以外の薄板で構成される同じ構造物にも適用できる。」
イ.「【0020】
なお、これらの箱形断面型薄板部材の座屈補剛構造において、前記少なくとも一つの隅部補剛部は、これに接続する各辺と平行な方向の幅寸法が同じ幅寸法とされていてもよい。
また、箱形断面型薄板部材は閉鎖箱形断面部材あるいは、参考形態として辺の一部が開放された箱形断面部材としてもよい。
さらに、箱形断面型薄板部材からなる柱部材の形成には、かしめによる方法の他、溶接、ドリルねじ、リベット、接着などの手段によってもよい。」
ウ.「【0045】
図12では、箱形断面型薄板部材33の横方向の外形幅寸法をb/2とし、縦方向の外形幅寸法をbとした形態である。このような長方形の形態では、横方向の外形幅寸法が、b/2と小さいため、隅部補剛部34の幅寸法Dは、この部分の短辺25の寸法b0に近い寸法でもよいが、隅部補剛部34の幅寸法Dは、D≦(b/2)/3=b/6としておくとよい。」
エ.図12は次のものである。
【図12】
[図:0001391464000003.jpg]
オ.上記ウ.の記載および上記エ.の図12より、箱形断面型薄板部材は対向する長辺と対向する短辺と、長辺と短辺を連結する斜辺を備えた変形八角形断面の管材であるといえる。
(2)引用文献2に記載された発明
上記(1)に基いて、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「対向する長辺と対向する短辺と、長辺と短辺を連結する斜辺を備えた変形八角形断面の管材であるスチールハウス、住宅、工場建屋等に使用される薄板軽量形鋼による縦枠材および横枠材等の棒状部材として適した箱形断面型薄板部材。」
3.引用文献3
(1)引用文献3には次の記載がある。
ア.「【0001】
本考案は、主として農業(園芸を含む)に用いられるほか、畜産用や倉庫などとしても用いられ得るパイプ構造のハウス、すなわちパイプハウスに関する。」
イ.「【0027】
角パイプフレーム材11は、元々は直管である長尺の角パイプ(たとえば長さ3m)を、一端から所定距離(たとえば長さ1.2m)を直線のまま残して下方直立部ないし柱部11aとし、その上端をアーチ状に湾曲させて上方湾曲部11bとしている。」
【0028】
図2に示すように、パイプ上方湾曲部11bの湾曲の向きは縦方向であり、その短辺側の側面11cがアーチフレーム12の上下面となり、長辺側の側面11dがアーチフレーム12の前後面となるように湾曲させている。このような湾曲方向とすることにより必要強度を確保することができる。」
ウ.図2は次のものである。
【図2】
[図:0001391464000004.jpg]
エ.上記ウ.の図2より、柱部において角パイプフレーム材は短辺を外面に
向けて配置されていることが看取される。
(2)引用文献3に記載された技術事項
上記(1)に基いて、引用文献3には、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「農業に用いられるパイプハウスにおいて、角パイプフレーム材が、元々は直管である長尺の角パイプを、一端から所定距離を直線のまま残して下方直立部ないし柱部とし、その上端をアーチ状に湾曲させて上方湾曲部とし、パイプ上方湾曲部の湾曲の向きは縦方向であり、その短辺側の側面がアーチフレームの上下面となり、長辺側の側面がアーチフレームの前後面となるように湾曲させており、柱部において角パイプフレーム材は短辺を外面に向けて配置されている点。」
4.引用文献4
(1)引用文献4には次の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、栽培圃場を防虫ネットで囲ってなるネット平張施設において、該圃場内が降雨で濡れるのを防止するための雨除け構造に関する。」
イ.【0028】
各桁部材1a、1b、1cに取付け固定した逆台形状棒材3を利用して、樋5の荷重を載置支持している。すなわち、各逆台形状棒材3に各棟の各アーチパイプ4の端部を取付け固定すると共に、樋5を載置支持してある。図3は、この部分の拡大図であり、逆台形状棒材3の逆台形状の両端3eをアーチパイプ4の先端4e中に挿入してリベット6で固定してあり、その上に樋5を載置してある。樋5の両端縁には予め溝状のビニペット7が一体化されており、このビニペット7と各アーチパイプ先端4eが固定金具8で連結固定されている。」
ウ.図3は次のものである。
【図3】
[図:0001391464000005.jpg]
エ.上記ウ.の図3より、断面長方形の桁部材は短辺を天地として配置され
ることが看取される。
(2)引用文献4に記載された技術事項
上記(1)に基いて、引用文献4には、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「栽培圃場を防虫ネットで囲ってなるネット平張施設の圃場内が降雨で濡れるのを防止するための雨除け構造において、断面長方形の桁部材は短辺を天地として配置されている点。」
第5 対比・検討
1.対比
本願発明と、引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1の「柱材」、「桁材」、「中空管」、「棟木」、「アーチ部材」、「連結パイプ」および「十字接手」は、本願発明の「柱材」、「桁材」、「管材」、「棟木」、「アーチ材」、「鞘管」および「十字接手」にそれぞれ相当する。
(2)上記(1)より引用発明1の「アーチ部材の構成部材である中空湾曲管と中空直管の十字接手の接手構造と、断面八角形の中空湾曲管の上端部同士をその両端部に挿入して、両者を軸方向に連結して全体としてアーチ状のアーチ部材とする連結パイプを有」することは、本願発明の「管材の継手として鞘管、十字接手を用い」ることに相当し、また、引用発明1の「断面八角形の中空湾曲管の上端部同士をその両端部に挿入して、両者を軸方向に連結して全体としてアーチ状のアーチ部材とする連結パイプを有」することは、本願発明の「八角形断面の管材の端部同士の接合が、内孔形が該管材の外形と同様に八角形の鞘管を用い」ることに相当する。
(3)上記(1)および上記(2)より、本願発明と引用発明1とは、
「柱材と桁材として、八角形断面の管材を用いた温室であって、
棟木、アーチ材として八角形断面の管材を用い、
管材の継手として鞘管、十字接手を用い、
八角形断面の管材の端部同士の接合が、内孔形が該管材の外形と同様に八角形の鞘管を用いて構築した温室。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
「管材」について、本願発明は、「柱材と桁材として、対向する長辺と対向する短辺と、長辺と短辺を連結する斜辺を備えた変形八角形断面」であり、「棟木は短辺を天地とし、柱材は短辺を外面、柱材間に配置される桁材は短辺を天地とし、短辺側を湾曲部の内面及び外面とした湾曲部を備えた変形八角形断面」であるのに対し、引用発明1は変形八角形断面ではない点。
(相違点2)
本願発明は「管材の継手として鞘管、ロッド、十字接手を用い」ているのに対し、引用発明1は管材の継手として鞘管および十字接手を用いているものの、ロッドは用いていない点。
(相違点3)
本願発明は「農業用温室」であるのに対し、引用発明1は「温室」であって用途が限定されていない点。
2.検討
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用発明2は「対向する長辺と対向する短辺と、長辺と短辺を連結する斜辺を備えた変形八角形断面の管材である」「箱形断面型薄板部材」であるところ、引用発明1の管材および引用発明2はともに骨組材として用いられる八角形中空管である点で共通するから、引用発明1の管材の形状に替えて引用発明2の管材の形状を採用することは、当業者が容易になしえたことである。
また、アーチ材において、短辺を外面とした柱材、短辺側を湾曲部の内面及び外面とした湾曲部を備えることは引用文献3にみられるように本願出願前に周知の事項であり、水平材において短辺を天地とすることは引用文献4にみられるように本願出願前に周知の事項であるから、「棟木は短辺を天地とし、柱材は短辺を外面、柱材間に配置される桁材は短辺を天地とし、短辺側を湾曲部の内面及び外面とした湾曲部を備えた変形八角形断面の管材をアーチ材として用い」ることは、当業者が容易になし得たことである。
(2)相違点2について
本願明細書には、「また、管材の端部接合部材としては、鞘管の外、管の孔に挿入するロッドを用いることができる。ロッドは、多角形管材の孔に挿入できる太さを備えており、さらに、孔の形状に嵌る外形であると連結される相互の部材の回転力も伝達される。」(【0018】)と記載があることから、「鞘管」と「ロッド」は選択的に用いられるものと解される。
そうすると、本願発明1の「管材の継手として鞘管、ロッド、十字接手を用い」ているという構成は「管材の継手として」「鞘管」または「ロッド」と「十字接手を用い」ることを意味していると解され、引用発明1は「鞘管」および「十字接手」を有しているから、当該相違点2は実質的な相違点ではない。
(3)相違点3について
温室の用途として農業用は本願出願時において一般的なものであるから、引用発明1の温室を農業用に用いることは、当業者が容易になし得たことである。
3.審判請求人の主張について
(1)審判請求人は、令和4年7月27日付け提出の意見書において、
「引用文献2には、スチールハウスなどにもちられる建材として、薄鋼板を曲げ形成して、かしめて接合した変形八角形断面の箱形断面に形成したものが示されている。
この引用文献2には、薄板鋼鈑をロールフォーミングによって、曲げ加工して、薄板鋼鈑の端部をかしめて、接合して変形八角形断面の箱形断面形状に形成されるものである。
かしめ部がある管材は、かしめ部によって肉厚部ができ、(i)アーチ状の曲げ加工には適していないこと、(ii)かしめ部が凸となるので鞘管を用いて接合できないこと、(iii)かしめ部がある管材が、周方向の強度が不均一で農業用温室用のアーチ形状の建材として不適切なこと、など、アーチ形状の管材用いた農業用温室用の建材として適用できない。」旨主張している。
(2)上記主張について検討する。
引用文献2の【0002】ないし【0015】より、引用文献2に記載された発明の課題は、従来「薄板軽量形鋼造の分野においては、箱形断面型薄板部材28におけるコーナー部26について、箱形断面型薄板部材28のコーナー部に、大きな円弧状の補剛部を形成すること、および隅部の円弧状の補剛部の寸法ついて、特段に、深く技術的に掘り下げて考えられていなかった」ことである。これに対し、引用文献2に記載された発明は「前記隅部の補剛部の寸法を所定の範囲に設定することにより、箱形断面型薄板部材の曲げ座屈剛性を効率よく高めることができることを見出し」て上記課題を解決したものであるから、「かしめ」の構成は引用文献2に記載された発明に必須のものではない。
さらに、引用文献2の【0020】には「さらに、箱形断面型薄板部材からなる柱部材の形成には、かしめによる方法の他、溶接、ドリルねじ、リベット、接着などの手段によってもよい。」という記載があること、鋼管としてシームレスなもの及びその製造方法として圧延や押し出し等の方法は例示するまでもなく周知な技術であることから、仮に引用文献2に記載された実施例がかしめを有していたとしても、引用文献2に記載された発明において、かしめと管材の変形八角形断面の形状とが一体不可分のものと解することはできない。よって、引用発明1の管材の形状に替えて引用発明2の管材の形状を採用する際、農業用温室の管材の部分として適当でないかしめは採用しないようにすることは、当業者が当然なしうることである。
以上から、審判請求人の上記主張は、採用することができない。
4.小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1、引用発明2および引用文献3ないし4に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-009251