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特許拒絶査定不服審判

2024-020690

植物栽培用プール

審判番号
2024-020690
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-185470
請求日
2024年12月25日
審決日
2026年06月25日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】三協立山株式会社
  • 【請求人代理人】小林 陽一
審判長/審判官
  • 審判長 小島 寛史
  • 審判官 藏田 敦之
  • 審判官 石川 信也
分類
P18 .121-Z (A01G) / P18 .575-Z (A01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-185470「植物栽培用プール」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月18日出願公開、特開2022- 74978〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年11月6日を出願日とする出願であって、手続の概要は、以下のとおりである。 令和 5年11月30日付け:拒絶理由通知書 令和 6年 1月30日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月19日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 7月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月 1日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同月 8日 :原査定の謄本の送達 同年12月25日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年12月25日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年12月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、令和6年1月30日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における (補正前) 「 【請求項1】 プール本体と、プール本体に被せたシートと、シートを押さえるシートフレームとを備え、プール本体は、複数のプール構成ユニットを並べて連結して形成してあり、底壁と、底壁の周囲に連続して設けた立ち上がり壁を有し、シートは、プール本体の底壁と立ち上がり壁を連続して覆っており、プール本体の底壁と四周の立ち上がり壁を上方からすっぽりと覆うように立体的に形成してあり、シートフレームは、シートで覆った立ち上がり壁に上方から嵌めてシートがずれないように押さえていることを特徴とする植物栽培用プール。」を、 審判請求時に提出された手続補正書(令和6年12月25日提出)の特許請求の範囲の請求項1における (補正後) 「 【請求項1】 プール本体と、プール本体に被せたシートと、シートを押さえるシートフレームとを備え、プール本体は、複数のプール構成ユニットを並べて連結して形成してあり、底壁と、底壁の周囲に連続して設けた立ち上がり壁を有し、シートは、プール本体の底壁と立ち上がり壁を連続して覆っており、プール本体の底壁と四周の立ち上がり壁を上方からすっぽりと覆うように立体的に形成してあり、シートフレームは、シートで覆った立ち上がり壁に上方から嵌めてシートがずれないように押さえるものであり、各材は、立ち上がり壁のコーナー部間よりも短い長尺材よりなり、コーナー部にだけシートフレームを有していないことを特徴とする植物栽培用プール。」にする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 2 補正の適否 2-1 補正の目的について 本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「シートフレーム」の「各材」が「立ち上がり壁のコーナー部間よりも短い長尺材よりなり、コーナー部にだけシートフレームを有していない」ことを限定するものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 2-2 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に示した、補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるとおりのものである。 (2)引用文献 原査定の拒絶の理由において引用された文献は、以下の文献である。 ・引用文献1:特開2018-74942号公報 ・引用文献2:特開2018-74945号公報 (3)引用文献1の記載事項、引用発明 ア 記載事項 本願の出願前に発行された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下、同様。)。 (ア)「【0001】 本発明は、植物栽培槽、水槽などとして好適な組立容器に関する。」 (イ)「【0002】 従来、植物工場においてレタス等の野菜を水耕栽培する設備が提案されている。例えば、建屋などの閉鎖空間内にLED(Light Emitting Diode)照明装置を設け、温度、湿度、照明条件などの栽培環境を人工的にコントロールしながら、植物の育成に好適な環境を構築し、品質の良い野菜を栽培する設備が提供されている。 【0003】 この種の植物栽培システムの一例として、栽培槽、給水槽、肥料タンク、CO2タンク、光源、エアコン、ファン、CO2センサ、並びに各種センサを備えたレタス栽培システムが知られている(特許文献1参照)。 【0004】 特許文献1に記載されたレタス栽培システムは、栽培槽として樹脂の成形体からなる水槽が適用されている。しかしながら、植物工場に用いる栽培槽の大きさが大きい場合、栽培槽の搬送、設置が困難になる。また、植物工場は、その生産規模、設置環境等が個別に異なり、栽培槽の大きさも種々多様である。そのため、植物工場の規模に応じて大きさの異なる栽培槽を準備する必要がある。 【0005】 そこで、複数のユニットに分割可能であり、大きさを自在に調整できる植物栽培槽が検討されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された植物栽培槽は、2つの端部ユニットの間に、1つまたは複数の接続ユニットを設けることで、大きさを自在に調整することができる。 【0006】 ところが、接続ユニットが設けられている場合、この部分において、供給された水、養液等の流通が滞る傾向にあり、水、養液等を栽培槽内の植物全体にむらなく行き渡らせることが難しいという問題がある。また、接続ユニットの部分において、供給された水、養液等の漏れが生じる問題もある。これらの問題を回避するため、一般的には、栽培槽の内面を防水シートで覆う工夫がなされている(特許文献3参照)。」 (ウ)「【0008】 栽培槽の内面を防水シートで覆う場合、防水シートは、栽培槽の底から側壁を伝い、側壁の頂部で折り返すように取り付ける必要があり、その端部は側壁の外側に位置することになる。ところが実際には、栽培槽は、その側壁を棚の柱や建造物等の周辺部材に近接または接触させ、固定して用いることが多く、この場合の側壁の外側には、防水シートの折り返し部分を取り付けるための十分なスペースが設けられない。栽培槽の側壁と周辺部材との間の僅かな隙間に防水シートの折り返し部分を取り付けることは難しく、この隙間に取り付けようとして無理に挿入しようとすれば、折り返し部分が破損することがある。 【0009】 本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、周辺部材に近接または接触させて用いる場合に、防水シート(インナー部材)の折り返し部分を、破損させることなく容易に取り付けることが可能な組立容器(植物栽培槽、水槽)を提供することを目的とする。」 (エ)「【0015】 図1は、組立容器(植物栽培槽、水槽)100の構成を模式的に示す斜視図である。組立容器100は、液体や土を収容可能な容器の側壁および底壁を構成するアウター部材(アウタープール)100Aと、容器の内面を被覆するシート状のインナー部材100Bとで構成される。細部の構成を見やすくするため、図1では、インナー部材100Bをアウター部材100Aから分離し、透明化して示している。」 (オ)「【0017】 アウター部材100Aは、対をなす板状の二つの本体部材101、102と、本体部材の一端側101a、102a同士を連結する連結部材103と、本体部材101、102で構成される側壁の端部同士を接続する補助部材104と、を備えている。本体部材101、102の形状、大きさが揃っている必要はないが、以下では、本体部材101、102が連結部材103を挟んで互いに対称的な形状、大きさを有する場合を例に挙げて説明する。 【0018】 本体部材101、102、連結部材103は、それぞれ、図1に示すように複数のユニットUを組み合わせた部材であってもよいし、図3(a)に示すように一体化した部材であってもよい。また、図3(b)に示すように、本体部材101と本体部材102とで、ユニットU間の境界の位置が揃っていなくてもよい。複数のユニットUを組み合わせた部材である場合には、用途に応じた所望のサイズの容器を形成することができ、また、分割して搬送することができる点でメリットがある。一体化した部材である場合には、強度を一定に保つことができる点でメリットがある。 【0019】 本体部材101は、一端側101aから他端側101b、101cに向けて広がる平坦部101Aを有している。ここで、他端側101bは一端側101aと対向している端部を意味し(図2参照)、他端側101dは一端側101aと対向していない端部を意味している(図1参照)。 【0020】 また、本体部材101は、他端側101bにおいて、厚み方向の断面がコの字を形成するように曲がってなる屈曲部101Bを有している。コの字型の屈曲部101Bは、本体部材101の片方の主面側、すなわち、平坦部101Aを延長させた面の一方の側(図2では上側)で形成されている。以下では、屈曲部101Bのコの字を形成する三面(三つの部位)について、連結部材103との距離が近い順に1α、1β、1γと呼ぶ。 【0021】 さらに、本体部材101は、コの字を形成する三面1α、1β、1γのうち、間に位置する一面1βにおいて、三面1α、1β、1γによって囲まれる空間Sと反対方向に突出する突起部101Cを有している。 【0022】 同様に、本体部材102も、平坦部102A、屈曲部102B、および突起部102Cを有している。平坦部102A、屈曲部102B、および突起部102Cは、それぞれ、連結部材103を挟んで、上記平坦部101A、屈曲部101B、および突起部101Cと対称的な形状、大きさを有している。屈曲部102Bのコの字を形成する三面(三つの部位)について、連結部材103との距離が近い順に2α、2β、2γと呼ぶ。 【0023】 また、図1に示すように、補助部材104は、本体部材101、102で構成される側壁の端部同士を接続し、容器の側壁を構成している。補助部材104は、本体部材101、102の端部において折り返す部分を有しており、この部分は、本体部材101、102の端部を補強するとともに、端部の破損を防ぐ機能を有している。折り返し部分はネジ等で固定されている。 【0024】 アウター部材100Aによって構成される容器の底部分は、連結部材103で連結された2つの平坦部101A、102Aからなる。容器の側壁部分のうち、本体部材101の他端側101bに設けられる部分は、屈曲部101Bと突起部101Cからなり、本体部材102の他端側102bに設けられる部分は、屈曲部102Bと突起部102Cからなる。また、容器の側壁部分のうち、本体部材101の他端側101dに設けられる部分は、補助部材104からなる。」 (カ)「【0027】 図4(b)は、図4(a)のアウター部材100Aの断面に関する変形例を示す図である。離間距離Dに余裕をもたせることにより、例えば、突起部材101Cにおいて折れ曲がって支持されているインナー部材100Bを、図4(b)に示すように、クリップ等の固定部材105で固定することができる。」 (キ)「【図1】 [図:0001438836000001.jpg] 」 (ク)「【図2】 [図:0001438836000002.jpg] 」 (ケ)「【図3】 [図:0001438836000003.jpg] 」 (コ)「【図4】 [図:0001438836000004.jpg] 」 イ 看取事項 上記ア(キ)の【図1】を参照し、上記ア(オ)を踏まえると、「インナー部材100B」が、「容器の底部分」を構成する「平坦部101A、102A」と、「容器の側壁部分」を構成する「屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104」とを含む「アウター部材100A」の全体を上方から覆う構成であることが看取される。(看取事項1) ウ 引用発明 上記ア及びイより、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。 <引用発明> 「植物栽培槽として好適な組立容器であって、(【0001】) 組立容器100は、容器の側壁および底壁を構成するアウター部材(アウタープール)100Aと、容器の内面を被覆するシート状のインナー部材100Bとで構成され、(【0015】) アウター部材100Aは、板状の二つの本体部材101、102とを備え、(【0017】) 本体部材101、102は、それぞれ、複数のユニットUを組み合わせた部材であり、(【0018】) 本体部材101は、一端側101aから他端側101b、101cに向けて広がる平坦部101A、他端側101bにおいて、厚み方向の断面がコの字を形成するように曲がってなる屈曲部101B、コの字を形成する三面1α、1β、1γのうち、間に位置する一面1βにおいて、三面1α、1β、1γによって囲まれる空間Sと反対方向に突出する突起部101Cを有し、(【0019】~【0021】) 本体部材102は、平坦部102A、屈曲部102B、および突起部102Cを有し、平坦部102A、屈曲部102B、および突起部102Cは、それぞれ、連結部材103を挟んで、上記平坦部101A、屈曲部101B、および突起部101Cと対称的な形状、大きさを有し、(【0022】) 補助部材104は、本体部材101、102で構成される側壁の端部同士を接続し、容器の側壁を構成しており、(【0023】) 容器の底部分は、平坦部101A、102Aからなり、容器の側壁部分は、屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104からなり、(【0024】) インナー部材100Bが、容器の底部分を構成する平坦部101A、102Aと、容器の側壁部分を構成する屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104とを含むアウター部材100Aの全体を上方から覆う構成であり、(看取事項1) 突起部材101Cにおいて折れ曲がって支持されているインナー部材100Bを、クリップ等の固定部材105で固定した、(【0027】) 組立容器。(【0001】)」 (4)引用文献2の記載事項、引用文献2記載の技術事項 ア 記載事項 本願の出願前に発行された引用文献2には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、植物栽培槽、水槽などとして好適な組立容器に関する。」 (イ)「【0016】 (第1実施形態) 図1は、第1実施形態にかかる組立容器(植物栽培槽)100の斜視模式図であり、図2に内部構造の詳細を示す。組立容器100において、図2に示す2つの本体部材10と、それらを結合した桟型のチャンネル型材からなる連結部材20と、本体部材10、10の端部に接合された端部ユニット30とから、浅底の槽型のアウター部材40が構成され、このアウター部材40に図1に示すように内貼りされる防水性のシートからなるインナー部材50が設けられている。 以下、連結部材20が延在する第1の方向をx方向、連結部材20に対して本体部材が接続されている方向であってx方向と直交する第2の方向をy方向、組立容器100を構成する各部材の厚み方向であってx方向及びy方向と直交する鉛直方向をz方向と規定して説明する。」 (ウ)「【0035】 図2に示す如く組み立てられたアウター部材40に対し、防水性のシートからなるインナー部材50が装着されて図1に示す組立容器100が構成される。 インナー部材50は望ましくは予めアウター部材40の貯水領域の形状になぞって防水性のシートを折り畳むか端部を接着・溶着するなどして形を槽型に整えておき、アウター部材40の貯水領域の内面に内貼り用として適用することができる。あるいは、1枚ものの防水性のシートを組立容器100の組み立て現場において必要な大きさの長方形状に裁断してアウター部材40の内貼りに適用することもできる。 インナー部材50の端部側にはアウター部材40の排水孔10aに位置合わせできるように排水孔50aを形成することが好ましい。アウター部材40の排水孔10aとインナー部材50の排水孔50aの位置合わせを行い、アウター部材40の内面側にインナー部材50を内貼りするとともに、排水孔10aを閉塞することが可能な図示略の排水栓を排水孔10aに挿入することでインナー部材50の内側に貯水することができるようになる。 本実施形態では、図1、図3に示すように、防水性のシートを貯水領域の形状になぞって予め槽型に折り畳み、熱溶着加工により立ち上がり部を形成したインナー部材50であることが望ましい。このインナー部材50は、貯水領域をカバーする槽型の収容部に加え、端部ユニット30の側板30Aを乗り越えて側板30Aの外側に被さる第1の折返し部50bを有し、第1段部10Cと第2側壁部10Dを乗り越えて第2側壁部10Dの外面側に被さる第2の折返し部50Cを有する構造を適用できる。 【0036】 アウター部材40に対しインナー部材50の装着を行う場合、図1に示すように補強部10Eと端部ユニット30の接続板30Bとの間に数mmの隙間があるので、この隙間にインナー部材50の長辺側の端縁を押し込んでインナー部材50の端縁側をアウター部材40の側縁に沿って納まりよく配置することができる。 また、インナー部材50の短辺側は端部ユニット30の上部側を覆うように配置しておくことができる。」 (エ)「【図1】 [図:0001438836000005.jpg] 」 (オ)「【図2】 [図:0001438836000006.jpg] 」 (カ)「【図3】 [図:0001438836000007.jpg] 」 イ 引用文献2記載の技術事項 上記アより、引用文献2には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)。 <引用文献2記載の技術事項> 「組立容器(植物栽培槽)100において、2つの本体部材10と、本体部材10、10の端部に接合された端部ユニット30とから、浅底の槽型のアウター部材40が構成され、このアウター部材40に内貼りされる防水性のシートからなるインナー部材50が設けられ、(【0016】) インナー部材50は、防水性のシートを貯水領域の形状になぞって予め槽型に折り畳み、熱溶着加工により立ち上がり部を形成したものであること。(【0035】)」 (5)引用文献4の記載事項、周知技術 ア 記載事項 当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開昭60-262538号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「第1図は、本発明の園芸用構造体の好ましい実施例を示す。この構造体は、拡大長手縁12を有する直立リブまたはフランジ11を備えたフレーム部材10によって構成される。各フレーム部材10は、中空の押出成形されたアルミニウム製ビームから形成するのが好都合である。フランジ11および長手縁12は第4図に明示されている。このような拡大縁12は、グリーンハウスなどのための覆いまたは囲いの役割を果す、例えば透明または半透明の吹込フイルムなどのフイルムまたはシート材13を固定するのに適している。 そのようなフィルムまたは他のシート材13(遮光布など)は、細長クリツプ14(第3図)によってフレーム部材10の拡大縁12(第4図)に取付けることができる。クリップ14は、フレーム部材の拡大縁12と協同することができる拡大凹所を画定する1対の弾性のジョーを有している。かくして、フイルムまたはシート材13をフレーム部材の拡大縁12を覆うようにして引張り、細長クリツプ14をフイルムの上からフレーム部材の拡大縁にプレス嵌めすることによってフイルムを所定位置に迅速に締着することができる。 クリツプ14は、第2図に示されるような簡単なフレーム部材15の拡大縁12に対しても使用することができ、あるいは、園芸用構造体の組立に使用されるワイヤ16(第3図)と組合せて使用することもできるので、園芸用構造体の組立に特に適している。フレ一ム部材15は、適当な止着具によって木材に簡単に固定することができる。」(第2頁左下欄第7行~右下欄第18行) (イ)「第4図 [図:0001438836000008.jpg] 」 イ 看取事項 上記ア(イ)の第4図より、細長クリツプ14が長尺材よりなることが看取される。(看取事項2) ウ 周知技術 上記アに示した引用文献4の記載事項及び上記イに示した看取事項2に例示されるように、次の技術事項は、周知技術であると認められる(以下「周知技術」という。) <周知技術> 「長尺状の部材に対してシート材を取り付けるにあたり、長尺材よりなるクリップを用いること。」 (6)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「アウター部材100A」は、「容器の側壁および底壁を構成する」「アウタープール」であるから、本件補正発明の「プール本体」に相当する。 イ 引用発明の「容器の内面を被覆するシート状のインナー部材100B」は、本件補正発明の「プール本体に被せたシート」に相当する。 ウ 引用発明の「固定部材105」は、「容器の側壁部分」である「突起部101Cにおいて折れ曲がって支持されているインナー部材100B」を「固定し」ており、上記イを踏まえると、本件補正発明の「シートを押さえるシートフレーム」と、「シートを押さえる」部材である点で共通する。 エ 引用発明の「アウター部材100A」は、「板状の二つの本体部材101、102とを備え」ており、「本体部材101、102は、それぞれ、複数のユニットUを組み合わせた部材であ」り、上記アを踏まえると、本件補正発明の「複数のプール構成ユニットを並べて連結して形成してあ」る「プール本体」に相当する構成を有している。 オ 引用発明の「アウター部材100A」は、「容器の底部分は、平坦部101A、102Aからなり、容器の側壁部分は、屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104からな」り、「補助部材104は、本体部材101、102で構成される側壁の端部同士を接続し、容器の側壁を構成し」ており、上記アを踏まえると、本件補正発明の「底壁と、底壁の周囲に連続して設けた立ち上がり壁を有」する「プール本体」に相当する構成を有している。 カ 引用発明の「インナー部材100B」は、「容器の内面を被覆するシート状」の部材であり、「容器の底部分を構成する平坦部101A、102Aと、容器の側壁部分を構成する屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104とを含むアウター部材100Aの全体を上方から覆う構成」であるから、上記イ及びオを踏まえると、本件補正発明の「プール本体の底壁と立ち上がり壁を連続して覆って」いる「シート」に相当する構成を有している。 キ 引用発明の「インナー部材100B」は、「容器の内面を被覆するシート状」の部材であり、「容器の底部分を構成する平坦部101A、102Aと、容器の側壁部分を構成する屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104とを含むアウター部材100Aの全体を上方から覆う構成」であるから、上記(3)イ及び上記カを踏まえると、本件補正発明の「プール本体の底壁と四周の立ち上がり壁を上方からすっぽりと覆うように立体的に形成して」ある「シート」と、「プール本体の底壁と四周の立ち上がり壁を上方からすっぽりと覆うように形成して」ある「シート」である点で共通する。 ク 引用発明の「クリップ等の固定部材105」は、上記ウのとおり、「容器の側壁部分」である「突起部101Cにおいて折れ曲がって支持されているインナー部材100B」を「固定し」ているから、上記キを踏まえると、本件補正発明の「シートで覆った立ち上がり壁に上方から嵌めてシートがずれないように押さえる」「シートフレーム」と、「シートで覆った立ち上がり壁に上方から嵌めてシートがずれないように押さえる」部材である点で共通する。 ケ 引用発明の「植物栽培槽として好適な組立容器」は、本件補正発明の「植物栽培用プール」に相当する。 コ 上記ア~ケによれば、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 <一致点> 「 プール本体と、プール本体に被せたシートと、シートを押さえる部材とを備え、プール本体は、複数のプール構成ユニットを並べて連結して形成してあり、底壁と、底壁の周囲に連続して設けた立ち上がり壁を有し、シートは、プール本体の底壁と立ち上がり壁を連続して覆っており、プール本体の底壁と四周の立ち上がり壁を上方からすっぽりと覆うように形成してあり、シートを押さえる部材は、シートで覆った立ち上がり壁に上方から嵌めてシートがずれないように押さえるものである、植物栽培用プール。」 <相違点1> 「プール本体の底壁と四周の立ち上がり壁を上方からすっぽりと覆うように」形成してある「シート」において、本件補正発明では、「立体的に」形成してあるのに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。 <相違点2> 「シートを押さえる」部材が、本件補正発明では、「シートフレーム」であり、「各材は、立ち上がり壁のコーナー部間よりも短い長尺材よりなり、コーナー部にだけシートフレームを有していない」のに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。 (7)当審の判断 ア 相違点1について 上記(4)イのとおり、引用文献2記載の技術事項において、「アウター部材40に内貼りされる防水性のシートからなる」「インナー部材50」が、「防水性のシートを貯水領域の形状になぞって予め槽型に折り畳み、熱溶着加工により立ち上がり部を形成し」ている。 そして、引用発明と、引用文献2技術事項とは、植物栽培槽、水槽などとして好適な組立容器という共通の技術分野に属しており、引用発明においても、シート状のインナー部材100Bをアウター部材100Aに対して取り付けやすくするという課題を内在することは明らかである。 そうすると、引用発明に上記引用文献2記載の技術事項を採用して、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 また、相違点1に係る本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、上記引用文献2記載の技術事項の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。 イ 相違点2について (ア)引用発明において、「容器の側壁部分は、屈曲部101Bと突起部101C、屈曲部102Bと突起部102C、補助部材104から」なるものであるところ、「屈曲部101Bと突起部101C」、「屈曲部102Bと突起部102C」及び二つの「補助部材104」により、平面視矩形状のアウター部材100A(プール本体)の外周の四つの辺を構成しているといえる。 そして、引用発明は、「突起部材101Cにおいて折れ曲がって支持されているインナー部材100Bを、クリップ等の固定部材105で固定」するものであるところ、インナー部材100B(シート)をアウター部材100Aに確実に取り付けるために、「突起部材101C」のある辺だけでなく、他の3辺においてもインナー部材100Bをクリップ等の固定部材105により固定することは、当業者が適宜なし得た設計事項といえる。 (イ)また、上記(5)ウにおいて認定したとおり、「長尺状の部材に対してシート材を取り付けるにあたり、長尺材よりなるクリップを用いること。」は周知技術である。 そして、引用発明の「クリップ等の固定部材105」と、周知技術の「長尺材よりなるクリップ」とは、長尺状の部分を有する部材に対してシート材を取り付けるという共通の機能を有するものである。 そうすると、引用発明において、「固定部材105」を、上記周知技術を採用して「長尺材からなる」フレーム状の構成(シートフレーム)として、「インナー部材100B」を「固定」することは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ)ここで、上記(ア)において検討したとおり、アウター部材100Aの4辺においてインナー部材100Bを固定部材105により固定するとともに、上記(イ)において検討したとおり、「固定部材105」を長尺材よりなるクリップとした場合、仮に、長尺材よりなるクリップを「容器の側壁部分」の各コーナー部を含むように構成されると、各辺の「固定部材105」それぞれの端部同士が干渉してしまう構成となるため、「容器の側壁部分」の各コーナー部における「固定部材105」それぞれの端部同士の干渉を避ける構成、すなわち、「容器の側壁部分」の各コーナー部間よりも短い「長尺材からなる」構成であって、コーナー部にだけ「固定部材105」を有しない構成とすることは、当業者であれば適宜なし得る設計事項程度のことである。 そうすると、引用発明において、「固定部材105」を、上記周知技術を採用して「長尺材からなる」構成とし、コーナー部にだけ「固定部材105」を有しない構成として、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (エ)また、相違点2に係る本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。 ウ 小括 上記ア及びイより、引用発明に上記引用文献2記載の技術事項及び周知技術を採用して、本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用文献2記載の技術事項の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (8)審判請求人の主張について 審判請求人は、令和6年12月25日提出の審判請求書において、特に、請求項1の「各材は、立ち上がり壁のコーナー部間よりも短い長尺材よりなり、コーナー部にだけシートフレームを有していない」構成が、引用文献に記載も示唆もされていないことを主張している。 しかしながら、上記(7)のとおり、引用発明に引用文献2記載の技術事項及び周知技術を採用して、本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことであり、そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用文献2記載の技術事項の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものであるから、審判請求人の主張は上記(7)の判断を左右するものではなく、採用することができない。 3 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和6年1月30日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)(補正前)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由の概略は、以下の理由のとおりである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1 ・引用文献 1,2 <引用文献等一覧> 1.特開2018-74942号公報 2.特開2018-74945号公報 3 引用文献1の記載事項、引用発明、引用文献2の記載事項、引用文献2記載の技術事項 特開2018-74942号公報(上記第2[理由]2 2-2(2)の引用文献1)の記載事項及び引用発明については、上記「第2[理由]2 2-2(3)引用文献1の記載事項、引用発明」に、特開2018-74945号公報(上記第2[理由]2 2-2(2)の引用文献2)の記載事項及び引用文献2記載の技術事項については、上記「第2[理由]2 2-2(4)引用文献2の記載事項、引用文献2記載の技術事項」に記載したとおりである。 4 対比・当審の判断 本願発明(上記「第2[理由]1(1)(補正前)」)は、本件補正発明(上記「第2[理由]1(1)(補正後)」)から、発明を特定するために必要な事項である「シートフレーム」について、「各材は、立ち上がり壁のコーナー部間よりも短い長尺材よりなり、コーナー部にだけシートフレームを有していない」という限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである本件補正発明が、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-020690

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