商標拒絶査定不服審判
2021-008872
ダイセルアーバーバイオサイエンシズ、ダイセル、アーバーバイオサイエンシズ、アーバー、アルボア、バイオサイエンシズ、ビオサイエンシズ
- 審判番号
- 2021-008872
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-126606
- 請求日
- 2021年07月02日
- 審決日
- 2022年01月11日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ダイセル
- 【請求人代理人】特許業務法人秀和特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .261-WY (W0140) / T18 .262-WY (W0140) / T18 .263-WY (W0140) / T18 .264-WY (W0140)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-126606拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲のとおり、「DAICEL」、「arbor」及び「biosciences」の欧文字を三段に表してなり、第1類、第40類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年10月13日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年12月7日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年1月20日に意見書、同月28日に手続補正書が提出されたが、同年3月26日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和3年7月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものであり、指定商品及び指定役務については、同日受付に係る手続補正書により、第1類「科学用試薬,研究用試薬,遺伝子研究に用いる化学試薬,診断用の試薬及び用剤(医療用又は獣医科用のものを除く。),核酸(医療用及び獣医科用のものを除く。),生物情報学・ゲノム学及び遺伝子発現の分野におけるゲノム配列決定に用いられる化学試薬,バイオ技術及び生物学の分野の科学研究用に用いられる無細胞タンパク質発現用の試薬,バイオ技術及び生物学の分野の科学研究用に用いられる無細胞タンパク質発現用の試薬キット」及び第40類「化学試薬の処理,受託による核酸の製造,オリゴヌクレオチド及びその他核酸の合成」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)引用商標1
登録第6095449号商標は、「ARBOR」の文字を書してなり、平成30年1月15日登録出願、第42類「ペプチド・タンパク質及び酵素の発見に関する研究(治療用途・診断用途及び工業用途のもの),ペプチド・タンパク質及び酵素に関する研究(治療用途・診断用途及び工業用途のもの),ペプチド・タンパク質及び酵素に関する機能の予測・スクリーニング及び特性評価についての研究・開発及び実施,生物工学の分野における技術の研究及び開発,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」を指定役務として、同年11月2日に設定登録されたものである。
(2)引用商標2
登録第6278156号商標は、「Arbor」の文字を標準文字で表してなり、令和元年6月18日登録出願、第2類「塗料,木材保存剤,腐蝕防止剤,染料」、第3類「床用ワックス,木材用のワックス,つや出し剤」、第37類「床のワックスがけ,床磨き,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,家具の塗装,家具の修理,建具の修理,床洗浄機の貸与,モップの貸与,看板の修理又は保守,有害動物の防除(農業・水産養殖業・園芸又は林業に関するものを除く。),浴槽又は浴槽がまの清掃,道路の清掃,塗装工事に関する助言,建設工事に関する助言」及び第40類「木材の塗装,木材の加工,塗料の調合・調色・加工受託,金属の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,セラミックの加工,紙の加工,石材の加工,受託による材料の組立加工」を指定商品及び指定役務として、同2年8月7日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていうときは、単に「引用商標」という。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、一段目の右端に、ややデザイン化された「DAICEL」の欧文字を「AI」の文字の上に3つの点を配して灰色文字で表し、二段目にその4倍ほどの文字の大きさで「arbor」の欧文字を黒文字で表し、三段目に二段目と同じ幅に収まるよう「biosciences」の欧文字を黒文字で表してなるものである。
そして、一段目の「DAICEL」の文字部分は、他の文字と異なるデザイン及び色彩で表されていることから、視覚上分離して看取されるものといえ、三段目の「biosciences」の文字部分は、「生命科学、生物科学」(出典:ランダムハウス英和大辞典 第2版)の意味を認識させる語であるから、本願の指定商品及び指定役務との関係では、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。
一方、二段目の「arbor」の文字部分は、他の文字に比べて大きく顕著に表されているところ、当該文字は「木陰の休み場所」等(出典:同上)の意味する英単語として英和辞典に載録があるものの、我が国における英語の普及の程度に鑑みても、平易で一般に広く慣れ親しまれたものとまではいい難く、容易に特定の意味合いを理解するということはできない一種の造語と判断するのが相当である。
以上のことから、顕著に表された造語といえる「arbor」の文字部分が、看者に強く印象付けられるというべきであり、独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たす部分であるから、本願商標が常に一体不可分としてのみ把握されるものということはできず、「arbor」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成中の「arbor」の文字部分に相応して、「アーバー」の称呼をも生じ、当該文字部分からは、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
本願の指定商品及び指定役務は、上記1のとおり補正された結果、引用商標1の指定役務と同一又は類似の役務はすべて削除されたと認められるものである。
そこで、引用商標2について検討するに、引用商標2は、「Arbor」の欧文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応して「アーバー」の称呼を生じ、上記(1)と同様の理由から、特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標と引用商標2の比較
本願商標の要部と引用商標2を比較すると、文字のデザインに多少の差異を有するものの「arbor」と「Arbor」との綴り字を同一にし、外観において似通った印象を与えるものであり、いずれも「アーバー」の称呼を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標2は、観念において比較することができないとしても、外観において似通った印象を与え、称呼を共通にする類似の商標というべきである。
(4)本願の指定商品及び指定役務と引用商標2の指定商品及び指定役務の比較
本願商標の指定商品である第1類の商品と、引用商標2の指定商品のうち第2類「木材保存剤,腐食防止剤」、また、本願商標の指定役務である第40類の役務と、引用商標2の指定役務のうち第40類「塗料の調合・調色・加工受託,受託による材料の組立加工」をそれぞれ比較する。
本願商標の指定商品である第1類の商品は、「科学用試薬,研究用試薬,遺伝子研究に用いる化学試薬,診断用の試薬及び用剤(医療用又は獣医科用のものを除く。),核酸(医療用及び獣医科用のものを除く。),生物情報学・ゲノム学及び遺伝子発現の分野におけるゲノム配列決定に用いられる化学試薬,バイオ技術及び生物学の分野の科学研究用に用いられる無細胞タンパク質発現用の試薬,バイオ技術及び生物学の分野の科学研究用に用いられる無細胞タンパク質発現用の試薬キット」であり、生命科学の研究や診断に用いられる化学剤であるのに対し、引用商標2の上記指定商品は、「木材保存剤,腐食防止剤」であり、木材や金属の保存や腐食防止に用いられる化学剤であると解される。
そうすると、両商品は、共に化学剤であることから、同一事業者によって製造・販売される場合があるとしても、生命科学の研究や診断目的として用いる商品と木材や金属の保存や腐食防止目的で用いる商品とでは、その原材料、用途、販売場所、需要者の範囲等が相違するといい得るものである。
次に、本願商標の指定役務である第40類の役務は、「化学試薬の処理,受託による核酸の製造,オリゴヌクレオチド及びその他核酸の合成」であり、化学の研究や診断に用いられる化学剤や核酸の加工であるのに対し、引用商標2の上記指定役務は、「塗料の調合・調色・加工受託,受託による材料の組立加工」であり、塗料の加工及び材料の組立加工であると解される。
そうすると、両役務は、共に加工に係る役務であるものの、提供の手段、目的、場所、関連する物品、需要者の範囲等を異にしているばかりでなく、その役務の提供の事業者も相違するといい得るものである。
したがって、両商品及び両役務がいずれも競合するとみることは困難であり、両商標がそれぞれ上記の指定商品及び指定役務について使用されたとしても、その商品及び役務が同一営業主の提供に係る商品及び役務であると誤認混同されるおそれがあるということはできず、両商品及び両役務は互いに類似するものではないというのが相当である。
また、本願商標の上記指定商品及び指定役務と、引用商標2の上記以外の指定商品及び指定役務とは類似しないこと明らかである。
(5)まとめ
してみれば、本願商標と引用商標が類似するとしても、引用商標1とは、指定商品及び指定役務において類似するものではなくなり、引用商標2とは、互いの指定商品及び指定役務において類似するといえない以上、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないというべきである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の理由をもって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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