2021-008700
カップ食品
- 審判番号
- 2021-008700
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-129485外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月01日
- 審決日
- 2022年10月05日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社セブン-イレブン・ジャパン
- 【請求人代理人】和田 成則
- 【請求人】株式会社ニッセーデリカ
- 【請求人代理人】和田 成則
- 分類
- P18 .575-Z (B65D) / P18 .113-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月30日(優先権主張 令和1年9月24日)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 3月15日 :意見書、手続補正書の提出
同年 4月 8日付け :拒絶査定
同年 7月 1日 :審判請求、同時に手続補正書の提出
第2 令和3年7月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年7月1日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
令和3年7月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のとおり補正することを含むものである。(下線部は、補正箇所である。)
(1)本件補正後の請求項1
「 【請求項1】コンビニエンスストア等で販売され、加熱して食するカップ状容器に収納されたカップ食品であって、カップ容器本体と、前記カップ容器本体の上部を覆う蓋体と、前記カップ容器本体の高さ方向中間位置に形成された2段の段差部と、周面に前記2段の段差部に嵌合する嵌合部が形成され、該嵌合部を前記2段の段差部に嵌合させることにより前記カップ容器本体の高さ方向中間位置において前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で内壁に着脱自在に取り付けられる中皿と、を具備し、前記中皿の下部の第1の空間にスープ状の第1の食材を収納し、前記中皿の上部の第2の空間に第2の食材を収納し、食に際しては、容器全体を加熱した後、前記中皿を前記カップ容器本体から外して、前記第2の食材を前記第1の食材の上に落下させることを特徴とするカップ食品。」
(2)本件補正前の請求項1
これに対し、本件補正前の、令和3年3月15日にされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】コンビニエンスストア等で販売され、加熱して食するカップ状容器に収納されたカップ食品であって、カップ容器本体と、前記カップ容器本体の高さ方向中間位置に形成された2段の段差部と、周面に前記2段の段差部に嵌合する嵌合部が形成され、該嵌合部を前記2段の段差部に嵌合させることにより前記カップ容器本体の高さ方向中間位置で内壁に着脱自在に取り付けられる中皿と、前記カップ容器本体の上部を覆う蓋体と、を具備し、前記中皿の下部の第1の空間にスープ状の第1の食材を収納し、前記中皿の上部の第2の空間に第2の食材を収納し、食に際しては、容器全体を加熱した後、前記中皿を前記カップ容器本体から外して、前記第2の食材を前記第1の食材の上に落下させることを特徴とするカップ食品。」
2 補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項であるカップ容器本体の高さ方向中間位置で内壁に着脱自在に取り付けられる中皿について、高さ方向中間位置「において前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で」内壁に着脱自在に取り付けられるとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
3 独立特許要件
(1)引用文献及び引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由で引用された特開2017-210236号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア)「【0013】以下、本発明の一実施形態に係る食品包装用容器について図面を参酌しつつ説明する。図1~図10に示す食品包装用容器は、種々の食品(食材)を収容することができるものであって、食品を上下に分離した状態で収容して販売する用途に適しており、同種の食品を上下に分離して収容してもよいが、異なる種類の食品を上下に分離して収容することが好ましい。【0014】食品包装用容器は、合成樹脂シートからなる上面開口の容器本体1と中皿3と蓋5とを備えている。これらの容器本体1と中皿3と蓋5は、何れも真空成形や圧空成形等の各種の熱成形(シート成形)によって形成されている。容器本体1には第一の食品を収容することができ、中皿3には第一の食品とは異なる種類の第二の食品を収容することができる。即ち、容器本体1に蓋5を装着することによって容器本体1と蓋5とで収容空間が区画形成されるが、その収容空間は中皿3によって上下二つの領域に区分され、中皿3よりも上側の上部収容空間6と中皿3よりも下側の下部収容空間7に分けられる。従って、下部収容空間7(下段)と上部収容空間6(上段)にそれぞれ第一の食品と第二の食品を分離した状態で収容できる。【0015】例えば、麺類の場合には、下部収容空間7にはダシやスープを入れ、上部収容空間6には麺や具を入れておくことができる。ダシやスープはゼラチンで固めておいてもよく、電子レンジによる加熱によって溶けて液状となるようにしてもよい。また、鍋物にも適しており、下部収容空間7にダシを入れ、上部収容空間6には具材を入れておくことができる。・・・【0016】・・・以下、容器本体1、中皿3、蓋5の順に、具体的な構成の一例について説明する。尚、本実施形態では、開封することなく閉蓋状態のまま電子レンジで加熱調理する用途に適した構成について説明するが、電子レンジ対応品でなくてもよい。」
(イ)「【0017】<容器本体1>容器本体1は、底面部10と周壁部11とフランジ部12とを備えている。図1のように容器本体1は平面視円形の丼型のものである。底面部10は平面視円形であって、その下面には種々の形状の脚部が突設されていてよい。【0018】周壁部11は全体として筒状であって、底面部10の周縁から上方に向けて全体として拡開しつつ立ち上がっている。詳細には、周壁部11は、底面部10の周縁から上方に向けて拡開しつつ延びていて周壁部11の大部分を占める周壁主部110と、該周壁主部110の上側に下部段差部111を介して延設された第二逆テーパ嵌合部112と、該第二逆テーパ嵌合部112の上側に上部段差部114を介して延設された第一逆テーパ嵌合部116とを備えている。尚、第二逆テーパ嵌合部112の内面の上側には、即ち、上部段差部114の上面との境界部分には、第二上部面取り部113を備えることが好ましい。また、第一逆テーパ嵌合部116の内面の上側には、周壁部11の内面上端部を構成する第一上部面取り部117を備えることが好ましい。」
(ウ)「【0024】<中皿3>中皿3は、底面部30と周壁部31とフランジ部32とを備えている。・・・【0025】続きを表示(全13行)中皿3の周壁部31は、容器本体1の周壁部11と同様に、底面部30の周縁から上方に向けて全体として拡開しつつ立ち上がっている。そして、周壁部31の上部に逆テーパ嵌合部313が形成されている。即ち、周壁部11は、底面部30の周縁から上方に向けて拡開しつつ延びる周壁主部310と、該周壁主部310の上側に段差部311を介して延設された逆テーパ嵌合部313とを備えている。【0026】・・・【0027】中皿3の逆テーパ嵌合部313は、下側に向かう程、徐々に拡開していく逆テーパ状であって、いわゆる内嵌合部として構成されている。即ち、逆テーパ嵌合部313は、上方に向けて徐々に内側(容器中心側)に向かう傾斜面となっており、逆テーパ嵌合部313の外面(外周面)が嵌合面となる。この中皿3の逆テーパ嵌合部313が容器本体1の第二逆テーパ嵌合部112に内嵌合する。【0028】・・・【0029】中皿3のフランジ部32は、周壁部31の上端から外側に向けて延設されている。該フランジ部32は、全周に亘って形成されている。フランジ部32の形状は任意であるが、周壁部31の上端から水平に延びていることが好ましい。容器本体1に中皿3を装着した状態において中皿3のフランジ部32は容器本体1の上部段差部114の上に載置した状態となる。従って、中皿3のフランジ部32の幅、即ち、内外方向の寸法であって周壁部31から外側への張り出し量は、容器本体1の上部段差部114の上面の幅以下である。好ましくは、中皿3のフランジ部32の幅は容器本体1の上部段差部114の上面の幅と等しいか若干小さく、中皿3のフランジ部32の外縁の直径は容器本体1の上部段差部114の上面の外縁の直径と等しいか若干小さい。」
(エ)「【0034】<蓋5>蓋5は、天面部50と内側周壁部51と延在部52と外側周壁部53とフランジ部54とを備えている。尚、図3は蓋5の底面図であるが、天面部50のリブ等の詳細は省略して図示している。蓋5は容器本体1の開口部を閉塞するものであるため、蓋5の平面視における形状は容器本体1のそれに対応したものであり、従って、蓋5も平面視円形であり、蓋5の天面部50や内側周壁部51、延在部52、外側周壁部53、フランジ部54は何れも円形の環状である。天面部50は全領域に亘って平坦であってもよいが、周縁部に突条500や下方に傾斜した傾斜面部501を形成してもよい。天面部50は、延在部52よりも高い位置にあってフランジ部54よりも高い位置にあり、これにより収容可能な容積を拡大することができる。【0035】内側周壁部51は、天面部50の周縁から下方に向けて拡開しつつ延びており、該内側周壁部51の下端から外側に向けて延在部52が水平に延びており、該延在部52の外縁から上側に向けて外側周壁部53が延びている。即ち、延在部52は内側周壁部51と外側周壁部53の下端同士を連結している。・・・【0036】外側周壁部53に逆テーパ嵌合部531が設けられている。逆テーパ嵌合部531は、外側周壁部53の大部分を占めており、下側に向かう程、徐々に拡開していく逆テーパ状であって、いわゆる内嵌合部として構成されている。即ち、逆テーパ嵌合部531は、上方に向けて徐々に内側(容器中心側)に向かう傾斜面となっており、逆テーパ嵌合部531の外面(外周面)が嵌合面となる。閉蓋状態において、蓋5の逆テーパ嵌合部531が容器本体1の第一逆テーパ嵌合部116に内嵌合し、蓋5の延在部52の下面が中皿3のフランジ部32の上面に当接する。但し、後述のように、閉蓋状態において、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32に当接しなくてもよく、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32から上方に浮いた状態であってもよい。【0037】蓋5のフランジ部54は、外側周壁部53の上端から外側に向けて延設されている。該フランジ部54は、全周に亘って形成されている。フランジ部54の形状は任意であるが、閉蓋状態において容器本体1のフランジ部12を上方から覆う構成となっており、好ましくは、容器本体1のフランジ部12の上面に当接する構成とされる。具体的には、フランジ部54は、外側周壁部53の上端から外側に向けて水平に延びる水平面部540と、該水平面部540の外縁から斜め下方に延びる下方傾斜部541とを備える。」
(オ)「【0055】また中皿3を容器本体1に上側から押し入れるようにして内嵌合させることができるので、中皿3を蓋5の下面に嵌合させて宙釣り状態とする構成に比して作業が容易であって且つ確実な内嵌合状態が得られる。特に、第二逆テーパ嵌合部112の下側に下部段差部111が設けられているので、中皿3を上側から容器本体1に押しでいく際に中皿3を押し込み過ぎるということがなく、確実且つ容易に中皿3を容器本体1の第二逆テーパ嵌合部112に内嵌合させることができる。・・・」
(カ)「【0063】尚、上記実施形態では、合体状態において中皿3のフランジ部32に蓋5の延在部52が当接する構成であったが、図11のように中皿3のフランジ部32に蓋5の延在部52が当接しない構成、即ち、中皿3のフランジ部32から蓋5の延在部52が上方に浮いて離れた状態となる構成であってもよい。このような構成においても上述したように膨出部33の天面部330に連通口331を形成してもよいが、膨出部33及び連通口331を設けない構成であってもよい。その場合、電子レンジによる加熱時に下部収容空間7内の圧力が上昇すると、その圧力によって中皿3が上方に押されて浮上する。そして、中皿3は、中皿3のフランジ部32が蓋5の延在部52の下面に当接するまで上昇して停止する。このように中皿3が上昇することで中皿3の逆テーパ嵌合部313と容器本体1の第二逆テーパ嵌合部112との間に僅かな隙間ができ、その隙間が内部連通部となってそこから蒸気が上部収容空間6へと排出される。」
(キ)図1
「[図:0001402035000001.jpg]」
(ク)図6
「[図:0001402035000002.jpg]」
(ケ)図11
「[図:0001402035000003.jpg]」
イ 認定事項
食品包装用容器は、段落【0013】の「食品を上下に分離した状態で収容して販売する用途に適しており」との記載から、食品を収容して販売するためのものであること、段落【0017】の「容器本体1は、底面部10と周壁部11と・・・を備えている」との記載及び図1から、食品包装容器はカップ状であることから、引用文献1には、食品包装用容器に収容されたカップ食品の発明が記載されていると認められる。
ウ 引用発明
上記ア及びイから、引用文献1には、図11に示される実施形態に係る次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)と認められる。
「食品を上下に分離した状態で収容して販売する用途に適し、開封することなく閉蓋状態のまま電子レンジで加熱調理する用途に適した食品包装用容器に収容されたカップ食品であって、食品包装用容器は、上面開口の容器本体1と中皿3と蓋5とを備え、蓋5は容器本体1の開口部を閉塞し、容器本体1は、底面部10と周壁部11とフランジ部12とを備え、周壁部11は、底面部10の周縁から上方に向けて拡開しつつ延びていて周壁部11の大部分を占める周壁主部110と、該周壁主部110の上側に下部段差部111を介して延設された第二逆テーパ嵌合部112と、該第二逆テーパ嵌合部112の上側に上部段差部114を介して延設された第一逆テーパ嵌合部116とを備え、続きを表示(全12行)中皿3の周壁部31の上部に逆テーパ嵌合部313が形成され、この中皿3の逆テーパ嵌合部313が容器本体1の第二逆テーパ嵌合部112に内嵌合し、中皿3のフランジ部32は、周壁部31の上端から外側に向けて延設され、容器本体1に中皿3を装着した状態において中皿3のフランジ部32は容器本体1の上部段差部114の上に載置した状態となり、第二逆テーパ嵌合部112の下側に下部段差部111が設けられているので、中皿3を上側から容器本体1に押していく際に中皿3を押し込み過ぎるということがなく、蓋5は、天面部50と天面部50の周縁から下方に向けて拡開しつつ延びる内側周壁部51と、内側周壁部51の下端から外側に向けて水平に延びる延在部52と、延在部52の外縁から上側に向けて延びる外側周壁部53と、外側周壁部53の上端から外側に向けて延設されるフランジ部54とを備え、閉蓋状態において、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32から上方に浮いて離れた状態であり、麺類の場合には、中皿3よりも下側の下部収容空間7にはダシやスープを入れ、中皿3よりも上側の上部収容空間6には麺や具を入れておき、開封することなく閉蓋状態のまま電子レンジで加熱調理する用途に適した構成である食品包装用容器に収容されたカップ食品。」
(2)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「容器本体1」は、底面部10と周壁部11とを有するものであり、カップ状であるから、本件補正発明の「カップ容器本体」に相当する。また、引用発明の「蓋5」は本件補正発明の「蓋体」に相当し、同様に「中皿3」は「中皿」に、「カップ食品」は「カップ食品」に、それぞれ相当する。
イ 引用発明の「販売する用途に適」する構成は、商品が販売されるのは何らかの店舗であるから、本件補正発明の「コンビニエンスストア等で販売され」る構成と「店舗で販売され」る点で共通する。引用発明の「加熱調理する用途に適した」構成は、加熱調理後に食することは明らかであるから、本件補正発明の「加熱して食する」構成に相当する。
ウ 上記ア及びイから、引用発明の「販売する用途に適し」、「加熱調理する用途に適した食品包装用容器に収容されたカップ食品」は、本件補正発明の「コンビニエンスストア等で販売され、加熱して食するカップ状容器に収納されたカップ食品」と、「店舗で販売され、加熱して食するカップ状容器に収納されたカップ食品」の点で共通する。
エ 引用発明の「蓋5は容器本体1の開口部を閉塞」する構成は、容器本体1が「上面開口」であること及び上記アの相当関係を踏まえると、本件補正発明の「前記カップ容器本体の上部を覆う蓋体」に相当する。
オ 引用発明の容器本体1についての、「下部段差部111」、「第二逆テーパ嵌合部112」及び「上部段差部114」からなる構成は、本件補正発明の「2段の段差部」に相当する。そして、引用発明の「周壁部11の大部分を占める周壁主部110と、該周壁主部110の上側に下部段差部111を介して延設された第二逆テーパ嵌合部112と、該第二逆テーパ嵌合部112の上側に上部段差部114を介して延設された第一逆テーパ嵌合部116とを備え」る構成は、上記「下部段差部111」、「第二逆テーパ嵌合部112」及び「上部段差部114」からなる構成が、周壁主部110の上側に備えられ、さらにその上に、第一逆テーパ嵌合部116を備えるのであるから、これらの中間位置にあるといえ、本件補正発明の「前記カップ容器本体の高さ方向中間位置に形成された2段の段差部」に相当する。
カ 引用発明の「逆テーパ嵌合部313が容器本体1の第二逆テーパ嵌合部112に内嵌合し、容器本体1に中皿3を装着した状態において中皿3のフランジ部32は容器本体1の上部段差部114の上に載置した状態となり、第二逆テーパ嵌合部112の下側に下部段差部111が設けられているので、中皿3を上側から容器本体1に押していく際に中皿3を押し込み過ぎるということがな」い構成における「逆テーパ嵌合部313」は、上記オの2段の段差部についての相当関係を踏まえると、本件補正発明の「前記2段の段差部に嵌合する嵌合部」に相当する。
キ 引用発明の「中皿3の周壁部31の上部に逆テーパ嵌合部313が形成され」る構成は、上記カを踏まえると、本件補正発明の「周面に」「嵌合部が形成され」る構成に相当する。また、引用発明の「内嵌合」する構成は、内側に嵌合されるということであるから、本件補正発明の「内壁に」「取り付けられる」構成に相当する。
ク 引用発明の蓋5の「天面部50と天面部50の周縁から下方に向けて拡開しつつ延びる内側周壁部51と、内側周壁部51の下端から外側に向けて水平に延びる延在部52と、延在部52の外縁から上側に向けて延びる外側周壁部53と、外側周壁部53の上端から外側に向けて延設されるフランジ部54とを備え」る構成を踏まえると、蓋5の延在部52は、蓋5で一番低い箇所といえる。また、引用発明の中皿3の「中皿3の周壁部31の上部に逆テーパ嵌合部313が形成され」、「中皿3のフランジ部32は、周壁部31の上端から外側に向けて延設され」る構成を踏まえると、中皿3のフランジ部32は、逆テーパ嵌合部313の上方にあるといえる。そうすると、引用発明の「閉蓋状態において、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32から上方に浮いて離れた状態であ」る構成は、蓋5の一番低い箇所が、中皿3の逆テーパ嵌合部313よりも上方のフランジ部32から上方に浮いて離れているというのであるから、本件補正発明における「前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態」である構成に相当する。
ケ 上記オ~クを総合すると、引用発明の中皿3は、本件補正発明の「周面に前記2段の段差部に嵌合する嵌合部が形成され、該嵌合部を前記2段の段差部に嵌合させることにより前記カップ容器本体の高さ方向中間位置において前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で内壁に着脱自在に取り付けられる中皿」と、「周面に前記2段の段差部に嵌合する嵌合部が形成され、該嵌合部を前記2段の段差部に嵌合させることにより前記カップ容器本体の高さ方向中間位置において前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で内壁に取り付けられる中皿」の点で共通する。
コ 引用発明の「ダシやスープ」は、本件補正発明の「スープ状の第1の食材」に相当し、引用発明の「中皿3よりも下側の下部収容空間7」は、本件補正発明の「前記中皿の下部の第1の空間」に相当する。そうすると、引用発明の「中皿3よりも下側の下部収容空間7にはダシやスープを入れ」る構成は、本件補正発明の「前記中皿の下部の第1の空間にスープ状の第1の食材を収納し」ている構成に相当する。
サ 引用発明の「麺や具」は、本件補正発明の「第2の食材」に相当し、引用発明の「中皿3よりも上側の上部収容空間6」は、本件補正発明の「前記中皿の下部の第2の空間」に相当する。そうすると、引用発明の「中皿3よりも上側の上部収容空間6上部収容空間6には麺や具を入れてお」く構成は、本件補正発明の「前記中皿の上部の第2の空間に第2の食材を収納し」ている構成に相当する。
シ 引用発明の「開封することなく閉蓋状態のまま電子レンジで加熱調理す」る構成は、加熱調理後に食することは明らかであることを踏まえると、本件補正発明の「食に際しては、容器全体を加熱した後、前記中皿を前記カップ容器本体から外して、前記第2の食材を前記第1の食材の上に落下させる」構成と、「食に際しては、容器全体を加熱」した点で共通する。
ス 以上を踏まえると、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「店舗で販売され、加熱して食するカップ状容器に収納されたカップ食品であって、カップ容器本体と、前記カップ容器本体の上部を覆う蓋体と、前記カップ容器本体の高さ方向中間位置に形成された2段の段差部と、周面に前記2段の段差部に嵌合する嵌合部が形成され、該嵌合部を前記2段の段差部に嵌合させることにより前記カップ容器本体の高さ方向中間位置において前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で内壁に取り付けられる中皿と、を具備し、前記中皿の下部の第1の空間にスープ状の第1の食材を収納し、前記中皿の上部の第2の空間に第2の食材を収納し、食に際しては、容器全体を加熱するカップ食品。」
[相違点]
・相違点1
販売される店舗が、本件補正発明では「コンビニエンスストア等」であるのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
・相違点2
中皿について、本件補正発明では「着脱自在に」取り付けられるのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
・相違点3
本件補正発明では、「食に際しては、容器全体を加熱した後、前記中皿を前記カップ容器本体から外して、前記第2の食材を前記第1の食材の上に落下させる」のに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
(3)判断
相違点について検討する。
ア 相違点1について
本件補正発明の「コンビニエンスストア等」との記載は、コンビニエンスストアを含む多種多様な店舗を含む表現であり、販売する店舗を特定しているとはいえないから、引用発明が販売する店舗の種別を特定していないとしても、この点で相違するとはいえない。
そうすると、相違点1は実質的な相違点であるとはいえない。
イ 相違点2について
引用発明は、中皿3よりも下側の下部収容空間7にダシやスープといった食材を収納しているから、下部収容空間7に収納された食材を摂取するために、中皿3を取り外す必要があることは明らかである。したがって、中皿3は取り外すことが可能となっていること、すなわち、中皿3が着脱自在であることは、引用文献1に記載されているに等しい事項である。
そうすると、相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。
ウ 相違点3について
ラーメンやそば、うどんなど、ダシやスープの中に麺や具を入れることは、ごく普通に行われている一般的な態様であり、当業者のみならず一般に社会生活を営む者にとって常識の範疇であるといえる。当該常識を踏まえると、引用発明のカップ食品も、加熱調理の後に、麺や具をダシやスープの中に入れるものというべきである。
そして、引用発明は「中皿3よりも下側の下部収容空間7にはダシやスープを入れ、中皿3よりも上側の上部収容空間6上部収容空間6には麺や具を入れておく」のであるから、中皿3よりも上側の上部収容空間6にある麺や具を、下部収容空間7のダシやスープに入れるには、当然に、中皿3を外して、麺や具をダシやスープの中に落とすことになる。
そうすると、引用発明における加熱調理した後の食品を食する際に、「前記中皿を前記カップ容器本体から外して、前記第2の食材を前記第1の食材の上に落下させる」ことは、引用文献1に記載されているに等しい事項であって、相違点3は実質的な相違点であるとはいえない。
(4)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】の(4)において、「本願発明においては、中皿を、カップ容器本体の高さ方向中間位置に形成された2段の段差部に、中皿の周面に形成された嵌合部を嵌合させることによりカップ容器本体の高さ方向中間位置において前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で内壁に取り付けるように構成している。
引用文献1においては、中皿3を、中皿3のフランジ部32を容器本体1の上部段差部114と蓋5の延在部52との間に挟むことにより容器本体1に取り付けている。ここで、中皿3は、そのフランジ部32が蓋体5に接触した状態で容器本体1に取り付けられており、この点で両者は明らかに相違し、本願発明の中皿は引用文献1の中皿3に対応するとはいえない。」と主張する。
しかしながら、引用文献1の段落【0036】の「但し、後述のように、閉蓋状態において、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32に当接しなくてもよく、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32から上方に浮いた状態であってもよい。」、段落【0063】の「尚、上記実施形態では、合体状態において中皿3のフランジ部32に蓋5の延在部52が当接する構成であったが、図11のように中皿3のフランジ部32に蓋5の延在部52が当接しない構成、即ち、中皿3のフランジ部32から蓋5の延在部52が上方に浮いて離れた状態となる構成であってもよい。」との記載及び図11から、引用文献1には、蓋5の延在部52が中皿3のフランジ部32から上方に浮いて離れた状態である構成が記載され、上記(1)のとおり、当審が認定する引用発明は、当該記載に基づくものであり、また、上記(2)のとおり、当該構成は、本件補正発明の「前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態」に相当するから、審判請求人の主張は採用できない。
(5)小括
したがって、本件補正発明は引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 補正の却下の決定のむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年7月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、令和3年3月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。
理由2:この出願の以下の請求項に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
理由1及び2
・請求項1、2について、引用文献1
理由2
・請求項3~6について、引用文献1、2
・請求項7、11について、引用文献1~3
・請求項8、11について、引用文献1、2、4
・請求項9、11について、引用文献1、2、5
・請求項10、11について、引用文献1、2、6
・請求項12、13について、引用文献1~7
3 引用文献
現査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項等は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]3で検討した本件補正発明から、カップ容器本体の高さ方向中間位置で内壁に着脱自在に取り付けられる中皿について、「前記嵌合部が前記蓋体と離間した状態で」との構成に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]3に記載したとおり、引用発明であるから、本願発明も、引用発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-008700