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特許拒絶査定不服審判

2023-000310

包装物、包装体、積層シート、原反シート、及び包装物の製造方法

審判番号
2023-000310
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-108974外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年01月10日
審決日
2025年02月13日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (B65D) / P18 .121-WZ (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-108974「包装物、包装体、積層シート、原反シート、及び包装物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和元年12月12日出願公開、特開2019-210021〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 7項目
理 由

第1 手続の経緯・本願発明

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本願は、平成30年6月6日の出願であって、令和4年10月4日付けで拒絶査定(謄本送達日令和4年10月11日)がされ、それに対して、令和5年1月10日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

そして、当審において、令和6年9月25日付けで拒絶理由(発送日令和6年10月1日)を通知し、応答期間内である令和6年11月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところである。

ここで、この出願の請求項1~8に係る発明は、令和6年11月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
内容物が包装体(但し、電子レンジ向け包装袋を除く。)に収容された包装物であって、
前記包装物は、連続又は断続的に、外面に水性液体が接触する用途に用いられ、
前記包装体は、少なくとも、前記外面側に位置する樹脂層と、バリア層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層シートから構成されており、
前記包装体は、前記積層シートの周縁部において、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が融着されることによって、前記内容物を収容しており、
前記積層シートの前記周縁部の少なくとも一部において、前記積層シートの前記バリア層の端面が外部に露出しておらず、
前記バリア層の端面の少なくとも一部が、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が熱融着された融着周縁部内に位置している、包装物。」

第2 当審で通知した拒絶の理由

当審拒絶理由通知により通知した、令和6年11月27日に提出された手続補正書により補正される前の請求項1~17に係る発明に対する拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。

・理由1(新規性)本願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1:特開2017-7731号公報

第3 当審の判断

1 引用文献1の記載及び引用発明

(1)引用文献1の記載

引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。「・・・」は省略を表す。)。

「【技術分野】
【0001】
本開示は、容器、容器の製造方法、蓄熱セル、衣類用又は食器用の洗浄機、衣類用又は食器用の乾燥機、暖房器具、冷蔵庫、車両用暖房器具、及び植物栽培用温室に関する。」
「【0009】
特許文献1に記載の密封包装体1000の端部において、ヒートシール用フィルム内層1001、ガスバリア性基体1002、及び保護樹脂層1003のそれぞれの端面が露出している。このため、積層フィルムの端部の保護が十分であるとは言い難い。例えば、密封包装体1000のような積層フィルムの端部同士をヒートシールして形成された容器を液体中で使用する場合を考える。この場合、積層フィルム同士がヒートシールされた部分又はガスバリア性基体が積層フィルムの端から腐食して劣化し、容器の内部空間に保持された内容物が劣化する可能性がある。このため、積層フィルムの端部を保護するのに有利な容器が求められている。」
「【0044】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
<容器>
まず、本開示の容器について説明する。図1A及び図1Bに示すように、容器60は、内容物55を内包保持している。容器60は、第一積層フィルム10aと、第二積層フィルム10bとを備える。第一積層フィルム10aと第二積層フィルム10bとの間に内容物55が挟まれるように配置され、内容物55の外周で、第一積層フィルム10aと第二積層フィルム10bとが一体化されることによってシール部30が形成されている。図2A及び図3に示すように、第一積層フィルム10aは、第一バリア層1aと、第一熱可塑性樹脂層11と、第二熱可塑性樹脂層12とを有し、これらの層が積層されて形成されている。第一バリア層1aは、第一表面1ax及び第二表面1ayを有する。第一熱可塑性樹脂層11は、第一バリア層1aの第一表面1ax側に配置されている。第二熱可塑性樹脂層12は、第一バリア層1aの第二表面1ay側に配置されている。図2A及び図3に示すように、第二積層フィルム10bは、第二バリア層1bと、第三熱可塑性樹脂層13と、第四熱可塑性樹脂層14とを有し、これらの層が積層されて形成されている。第二バリア層1bは、第三表面1bx及び第四表面1byを有する。第三熱可塑性樹脂層13は、第二バリア層1bの第三表面1bx側に配置されている。第四熱可塑性樹脂層14は、第二バリア層1bの第四表面側1byに配置されている。内容物55が保持されている容器60の内部空間50が、第一積層フィルム10aの第二熱可塑性樹脂層12及び第二積層フィルム10bの第三熱可塑性樹脂層13によって、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13との間に形成されている。換言すると、第二熱可塑性樹脂層12及び第三熱可塑性樹脂層13によって容器60の内周面が形成されている。第一積層フィルム10aの端部の少なくとも一部及び第二積層フィルム10bの端部の少なくとも一部において、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13とが一体化されている。また、第一積層フィルム10aの端部の少なくとも一部及び第二積層フィルム10bの端部の少なくとも一部において、第一熱可塑性樹脂層11と第四熱可塑性樹脂層14とが一体化されている。
【0046】
なお、本明細書において、「一体化」とは、2つの熱可塑性樹脂層を形成する樹脂同士が分子間力によって結合している状態を意味する。例えば、2つの熱可塑性樹脂層を、粘着性を有する別の部材によって接合することは、「一体化」から除外される。2つの熱可塑性樹脂層は、例えば、熱可塑性樹脂層を形成する樹脂の融点以上に加熱されながら圧力が加えられることによって、一体化される。
【0047】
図2Aに示すように、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13とが一体化されていることによって、接合部31が形成されている。また、第一熱可塑性樹脂層11と第四熱可塑性樹脂層14とが一体化されていることによって、接合部32が形成されている。例えば、接合部31と接合部32とは接触している。第一バリア層1a及び第二バリア層1bは、第二熱可塑性樹脂層12及び第三熱可塑性樹脂層13によって内容物55に接触しないように配置され、第一熱可塑性樹脂層11及び第四熱可塑性樹脂層14によって容器の外部の空間に接触しないように配置されている。これにより、内容物55が容器60の外側に漏れることを防止できるとともに、第一バリア層1a及び第二バリア層1bによって内容物55の変質を防止できる。また、接合部32によって、第一積層フィルム10aの端部及び第二積層フィルム10bの端部を保護することができる。その結果、第一バリア層1a及び第二バリア層1bが、内容物55又は容器60の外部に存在する物質と接触しないので、内容物55を安定的に長期間保持できる。」
「【0051】
第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂は、それぞれ、熱可塑性樹脂である限り特に制限されない。本明細書において、「熱可塑性樹脂」とは、ヒートシール機で溶融することが可能な樹脂を意味する。ヒートシール機は、複数の積層フィルム又は複数の樹脂フィルムの一部に所定の圧力を加えながら加熱して接合するための装置である。ヒートシール機の最大加熱温度は、典型的には約250℃であることが多い。このため、例えば、第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂は、それぞれ、200℃以下の融点を有する樹脂である。これにより、ヒートシール機を用いて、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13との一体化と、第一熱可塑性樹脂層11と第四熱可塑性樹脂層14との一体化とを容易にかつ確実に行うことができる。」
「【0055】
図2Bに示すように、第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14は、それぞれ、同一種類の樹脂によって形成されていてもよい。この場合、第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14が一体化されて、接合部33が形成されやすい。これにより、内容物55が容器60の外部に漏れることが防止され、第一バリア層1a及び第二バリア層1bによって内容物55の変質を防止できる。また、第一積層フィルム10aの端部及び第二積層フィルム10aの端部をより確実に保護できる。その結果、第一バリア層1a及び第二バリア層1bが、内容物55又は容器60の外部に存在する物質に接触しないので、内容物55を安定的に長期間保持できる。また、容器60を製造するときに、第一積層フィルム10aの表裏判別及び第二積層フィルム10bの表裏判別のための作業を省略できる。」
「【0063】
図4Bに示すように、ヒートシール機の一対のヒータ40によって第一積層フィルム10a及び第二積層フィルム10bを反対向きに押圧して、第一熱可塑性樹脂層11の表面及び第四熱可塑性樹脂層14の表面を加熱しながら加圧する。このとき、第二熱可塑性樹脂層12を形成する樹脂と第三熱可塑性樹脂層13を形成する樹脂とが溶融して混ざり合う。ヒータ40による加熱及び加圧が終了すると、溶融した樹脂が冷えて固まり、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13とが一体化されて、接合部31が形成される。また、第一熱可塑性樹脂層11を形成する樹脂と第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂とが溶融して第一バリア層1aの端面の外周及び第二バリア層1bの端面の外周において溶融した樹脂の一部が混ざり合う。ヒータ40による加熱及び加圧が終了すると、溶融した樹脂が冷えて固まり、第一熱可塑性樹脂層11と第四熱可塑性樹脂層14とが一体化されて、接合部32が形成される。接合部32は、第一バリア層1aの端面及び第二バリア層1bの端面並びに第二熱可塑性樹脂層12の端面及び第三熱可塑性樹脂層13の端面を覆うように形成される。」
「【0072】
接合部32は、望ましくは、容器60の端部全体を覆うように形成されている。一方、例えば、電極及びセンサを取り付けるために、容器60の端部の一部において接合部32が形成されていなくてもよい。例えば、図9に示すように、容器60の一部を水などの液体中に保持する必要がある場合に、容器60の端部のうち液体中に保持されない部分の一部において接合部32で覆われていない開放部35が形成されていてもよい。開放部35において、第一バリア層1aの端及び第二バリア層1bの端が容器60の外部の空間に露出している。この場合、図9に示すように、開放部35にリード線72の一端が接合されていてもよい。また、場合によっては、容器60の端部のうち液体中に保持される部分の一部において開放部35が形成されていてもよい。この場合、開放部35を保護するための絶縁部材(図示省略)が容器60の端部に取り付けられているとよい。絶縁部材は、電気的に絶縁である材料でできている。このような場合でも、容器60の端部を保護するために必要な絶縁部材の大きさや数を低減できる。」
「【0078】
<蓄熱セル及び蓄熱装置>
次に、本開示の蓄熱セル及び蓄熱装置を説明する。上記の容器60に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、本開示の蓄熱セル及び蓄熱装置にあてはまる。図10に示すように、蓄熱装置100は、蓄熱セル61と、筐体101と、入力部102と、出力部103とを備える。蓄熱セル61は、潜熱蓄熱材と、その潜熱蓄熱材を内容物55として内包保持している、上記の容器60とを備える。潜熱蓄熱材は、例えば、酢酸ナトリウム三水和物が主成分である固体状態の蓄熱材である。なお、「主成分」とは、水などの主溶媒を除いて、重量基準で最も多く含まれる成分を意味する。例えば、第一バリア層1a及び第二バリア層1bは、それぞれ、アルミニウム箔によって形成されており、第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14は、それぞれ、例えば直鎖状低密度ポリエチレンフィルムで形成されている。
【0079】
蓄熱セル61は、筐体101の内部に配置されている。例えば、複数の蓄熱セル61が所定の間隔で筐体101の内部で並んでいる。筐体101の内部において蓄熱セル61の周囲が水などの熱媒体104で満たされている。図10における矢印は熱媒体104の流れを示している。入力部102は、筐体101の壁を貫通するように筐体101に取り付けられた管状の部材である。また、出力部103は、筐体101の壁を貫通するように筐体101に取り付けられた管状の部材である。例えば、入力部102及び出力部103は、お互いに反対方向を向く筐体101の外周面において筐体101に取り付けられている。筐体101の外部に存在する熱媒体104は、入力部102を通過して筐体101の内部に流入する。その後、熱媒体104は、筐体101の内周面と蓄熱セル61の外周面との間に存在する空間を出力部103に向かって流れる。」
「【図1A】
[図:0001421682000001.jpg]
【図1B】
[図:0001421682000002.jpg]
【図2A】
[図:0001421682000003.jpg]
【図2B】
[図:0001421682000004.jpg]
」
「【図4B】
[図:0001421682000005.jpg]
」
「【図10】
[図:0001421682000006.jpg]
」

(2)引用文献1の図面から認定できる事項

【図1A】では、平板状の部材における周縁部に30と符号が付されている。また、【図1A】のII-II線での断面が【図2A】や【図2B】であり、【図2A】や【図2B】では、1a、11、12の3層からなる10aと1b、13、14の3層からなる10bとが重なる左右両端部に符号30が付されている。そうすると、【図2A】や【図2B】における10aや10bの端部は、【図1A】における平板状の部材の周縁部を包囲するように存在している、と認められる。

(3)引用発明

上記(1)及び(2)を踏まえ、特に【図2B】の構成を有する段落【0078】~【0079】及び【図10】の実施例に着目すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「潜熱蓄熱材である内容物55と、内容物55を内包保持している容器60とを備える蓄熱セル61であって、
蓄熱セル61は、筐体101の内部に配置され、筐体101の内部において蓄熱セル61の周囲が水などの熱媒体104で満たされて、液体中で使用され、
前記容器60は、外面側に位置する第一熱可塑性樹脂層11、第一バリア層1a、第二熱可塑樹脂層12とをこの順に備える第一積層フィルム10aと、外面側に位置する第四熱可塑性樹脂層14、第二バリア層1b、第三熱可塑樹脂層13とをこの順に備える第二積層フィルム10bと、から構成されており、第一バリア層1a及び第二バリア層1bは、それぞれ、アルミニウム箔によって形成されており、第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14は、それぞれ、同一種類の樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンフィルムで形成されており、
容器60は、前記第一積層フィルム10a及び前記第二積層フィルム10bの端部がある周縁部において、前記第一及び第二積層フィルムの第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14がヒートシール機で加熱して接合されることにより一体化されて、前記内容物55を内包保持しており、
第一積層フィルム10aの端部及び第二積層フィルム10aの端部をより確実に保護して、第一バリア層1a及び第二バリア層1bが、容器60の外部に存在する物質に接触していない蓄熱セル61。」

2 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

引用発明における「潜熱蓄熱材である内容物55」、「内容物55を内包保持している容器60」及び「蓄熱セル61」はそれぞれ、本願発明における「内容物」、「包装体」及び「包装物」に相当する。ここで、引用発明の「蓄熱セル61は、筐体101の内部に配置され、筐体101の内部において蓄熱セル61の周囲が水などの熱媒体104で満たされて、液体中で使用され」る事項から、引用発明の「蓄熱セル61」は電子レンジで用いられるものではないことは明らかであり、「容器60」は電子レンジ向けではないといえるから、引用発明の「容器60」は本願発明の「包装体(但し、電子レンジ向け包装袋を除く)」に相当する。

引用発明の「蓄熱セル61は、筐体101の内部に配置され、筐体101の内部において蓄熱セル61の周囲が水などの熱媒体104で満たされて、液体中で使用され」るという事項は、「蓄熱セル61」の外面に水などの熱媒体104が連続又は断続的に接触することとなるから、本願発明の「前記包装物は、連続又は断続的に、外面に水性液体が接触する用途に用いられ」る事項に相当する。

引用発明の「第一積層フィルム10a」は、「外面側に位置する第一熱可塑性樹脂層11、第一バリア層1a、第二熱可塑樹脂層12とをこの順に備える」ものであり、「第二積層フィルム10b」は、「外面側に位置する第四熱可塑性樹脂層14、第二バリア層1b、第三熱可塑樹脂層13とをこの順に備える」ものであるから、引用発明の「第一熱可塑性樹脂層11」と「第四熱可塑性樹脂層14」、「第一バリア層1a」と「第二バリア層1b」、「第二熱可塑樹脂層12」と「第三熱可塑樹脂層13」はそれぞれ、本願発明の「外面側に位置する樹脂層」、「バリア層」、「熱可塑性樹脂層」に相当する。そうすると、引用発明の「第一積層フィルム10a」と「第二積層フィルム10b」はどちらも、本願発明の「前記外面側に位置する樹脂層と、バリア層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層シート」に相当する。

引用発明の「ヒートシール機で加熱して接合されることにより一体化」することは、本願発明の「融着」することに相当する。そうすると、引用発明における「容器60は、前記第一積層フィルム10a及び前記第二積層フィルム10bの端部がある周縁部において、前記第一及び第二積層フィルムの第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14がヒートシール機で加熱して接合されることにより一体化されて、前記内容物55を内包保持しており」という事項は、引用発明の「第二熱可塑性樹脂層12」と「第三熱可塑性樹脂層13」についても「接合されることで一体化」しているから、本願発明の「前記包装体は、前記積層シートの周縁部において、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が融着されることによって、前記内容物を収容して」いる事項に相当する。

引用発明の「第一積層フィルム10aの端部及び第二積層フィルム10aの端部をより確実に保護して、第一バリア層1a及び第二バリア層1bが、容器60の外部に存在する物質に接触」しない事項は、本願発明の「前記積層シートの前記周縁部の少なくとも一部において、前記積層シートの前記バリア層の端面が外部に露出して」いない事項に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

<一致点>

内容物が包装体(但し、電子レンジ向け包装袋を除く。)に収容された包装物であって、

前記包装物は、連続又は断続的に、外面に水性液体が接触する用途に用いられ、

前記包装体は、少なくとも、前記外面側に位置する樹脂層と、バリア層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層シートから構成されており、

前記包装体は、前記積層シートの周縁部において、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が融着されることによって、前記内容物を収容しており、

前記積層シートの前記周縁部の少なくとも一部において、前記積層シートの前記バリア層の端面が外部に露出していない、包装物。

<相違点>

本願発明は「前記バリア層の端面の少なくとも一部が、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が熱融着された融着周縁部内に位置している」ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を有するか否か不明である点。

3 判断

(1)以下、上記相違点について検討する。

引用発明が「第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14は、それぞれ、同一種類の樹脂」であり、「第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14がヒートシール機で加熱して接合されることにより一体化」されていることを踏まえると、「第一バリア層1a及び第二バリア層1b」は、「第二熱可塑樹脂層」と「第三熱可塑樹脂層」が熱融着された融着周縁部内に位置していることは明らかである。すなわち、引用文献1の【0063】には「図4Bに示すように、ヒートシール機の一対のヒータ40によって第一積層フィルム10a及び第二積層フィルム10bを反対向きに押圧して、第一熱可塑性樹脂層11の表面及び第四熱可塑性樹脂層14の表面を加熱しながら加圧する。このとき、第二熱可塑性樹脂層12を形成する樹脂と第三熱可塑性樹脂層13を形成する樹脂とが溶融して混ざり合う。ヒータ40による加熱及び加圧が終了すると、溶融した樹脂が冷えて固まり、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13とが一体化されて、接合部31が形成される。また、第一熱可塑性樹脂層11を形成する樹脂と第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂とが溶融して第一バリア層1aの端面の外周及び第二バリア層1bの端面の外周において溶融した樹脂の一部が混ざり合う。ヒータ40による加熱及び加圧が終了すると、溶融した樹脂が冷えて固まり、第一熱可塑性樹脂層11と第四熱可塑性樹脂層14とが一体化されて、接合部32が形成される。」と記載され、「第二熱可塑性樹脂層12を形成する樹脂と第三熱可塑性樹脂層13を形成する樹脂とが溶融して混ざり合う」ヒータ40による加熱及び加圧は、「第一熱可塑性樹脂層11を形成する樹脂と第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂とが溶融して・・・混ざり合う」ヒータ40による加熱及び加圧と同時になされていることは明らかであり、このとき溶融している「第一熱可塑性樹脂層11を形成する樹脂」と溶融している「第二熱可塑性樹脂層12を形成する樹脂」についても混ざり合うことは明らかといえる。そうすると、第一熱可塑性樹脂11と、第二熱可塑性樹脂12が混ざり合う結果として、「第二熱可塑樹脂層12」と「第三熱可塑樹脂層13」が熱融着された範囲が、「第一バリア層1a」の範囲を越えることとなり、すなわち、「第一バリア層1a」は、「第二熱可塑樹脂層12」と「第三熱可塑樹脂層13」が熱融着された融着周縁部内に位置する構成となる。「第二バリア層1b」についても同様である。そして、当該構成は、本願発明において「前記バリア層の端面の少なくとも一部が、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が熱融着された融着周縁部内に位置している」という発明特定事項で特定している構造にほかならないから、上記相違点は実質的な相違点ではない。

なお、引用発明が「第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14は、それぞれ、同一種類の樹脂」であることを踏まえると、引用文献1の前記【0063】の記載より、溶融している「第一熱可塑性樹脂層11を形成する樹脂」と溶融している「第二熱可塑性樹脂層12を形成する樹脂」及び溶融している「第三熱可塑性樹脂層13を形成する樹脂」と溶融している「第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂」のそれぞれについても混ざり合うことは明らかであるから、「内容物55を内包保持している容器60」が形成されたとき、「第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14が一体化」されて、かつそれぞれの熱可塑性樹脂間の境界も不明な状態で一体物となっているとも捉えることができる。このとき、引用発明における、「第一バリア層1a及び第二バリア層1b」の(引用文献1【図2B】でのZ軸方向)内側に存在する熱可塑性樹脂は、本願発明の「熱可塑性樹脂層」に相当する。そして、この場合上記「第一バリア層1a及び第二バリア層1b」の(引用文献1【図2B】でのZ軸方向)内側に存在する熱可塑性樹脂が熱融着されている部分は、「第一バリア層1a及び第二バリア層1b」が存在する範囲より(引用文献1【図2B】でのX軸方向)外側に延長していることは明らかであるから、この態様は、本件発明の「前記バリア層の端面の少なくとも一部が、前記積層シートの前記熱可塑性樹脂層同士が熱融着された融着周縁部内に位置している」ことに相当するともいえる。

(2)請求人の主張について

令和6年11月27日に提出した意見書において、請求人は、「引用文献1の図2Bでは、第一熱可塑性樹脂層11、第二熱可塑性樹脂層12、第三熱可塑性樹脂層13、及び第四熱可塑性樹脂層14を形成する樹脂が全て共通する場合([0056])を表現するために、これらのハッチングが共通する図になっており、第一熱可塑性樹脂層11と第四熱可塑性樹脂層14との一体化部と、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13との一体化部との境界が分かりにくくなっておりますが、図2Bは、図2Aの下位概念(第7態様は第1態様の下位概念([0017]))であり、第一バリア層1a及び第二バリア層1bの端面が、第二熱可塑性樹脂層12と第三熱可塑性樹脂層13との一体化部(熱融着部)内に収まることはありません。」と主張するが、図面は概念図にすぎず、上記(1)のとおり、引用文献1の前記【0063】の記載を参酌すると、「第二熱可塑樹脂層」と「第三熱可塑樹脂層」が熱融着された範囲が、「第一バリア層1a及び第二バリア層1b」の範囲を越えることとなるものである。

してみると、請求人の主張は採用できない。

(3)したがって、本願発明は引用発明であるから、引用文献1に記載された発明である。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-000310

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