2021-008191
受光素子、撮像素子および電子機器
- 審判番号
- 2021-008191
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-237296外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月22日
- 審決日
- 2021年11月25日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人つばさ国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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本願は,平成28年12月7日の出願であって,令和2年10月16日付けで拒絶理由通知がされ,同年12月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ,同年12月21日付けで拒絶理由通知がされ,令和3年3月3日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ,同年3月12日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,同年6月22日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年3月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~17に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.国際公開第2012/132760号
2.特開2016-92091号公報
3.特開2015-149422号公報
4.特開2016-100347号公報
第3 本願発明
本願請求項1~17に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明17」という。)は,令和3年6月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】第1電極および第2電極と,前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ,前記第1電極との第1対向部の全面および前記第2電極との第2対向部の全面の少なくとも一方が複数の(111)面により構成されている1つの光電変換層とを有する画素を備えた受光素子。」
なお,本願発明2~15は,本願発明1を減縮した発明であり,本願発明16は,本願発明1の画素を備えた撮像素子の発明であり,本願発明17は,本願発明1の画素を備えた撮像素子を有する電子機器の発明である。
第4 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2012/132760号)には,次の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下,同様である。)。
「発明を実施するための形態[0022] 図1及び図2に示すように,撮像装置10は,裏面照射型の撮像装置であり,例えばシリコンからなる支持基板12上に,配線層13,受光層14,カラーフィルタ16,マイクロレンズ17が順に積層された層構造を有する。[0023] 配線層13は,PD21からの信号の読み出し等を制御する電極22や,PD21から取得される信号を増幅する増幅回路等を含む配線23が,層間絶縁膜24を介して積層された層である。従来の表面入射型撮像装置にならって,PD21に対して配線層13が設けられた側を撮像装置10の表(オモテ)面とすると,支持基板12が撮像装置10の最表面にあり,配線層13は,その下層に設けられる。また,撮像装置10の最裏面にはマイクロレンズ17が設けられる。被写体からの入射光は,裏面側から撮像装置10に入射される。[0024] 受光層14は,PD21が形成される層であり,単結晶シリコン層26と平坦化層27とからなる。単結晶シリコン層26及び平坦化層27は,配線層13が設けられた撮像装置10の表面側から,単結晶シリコン層26,平坦化層27の順に設けられる。入射光の入射側を正面とすると,受光層14は,配線層13の正面側に,配線層13は受光層14の背面側に形成される。[0025] PD21は,配線層13と平坦に接合される単結晶シリコン層26に形成される。PD21には,撮像装置10の裏面から,マイクロレンズ17,カラーフィルタ16,平坦化層27を通過して被写体からの光が入射され,光電変換により入射した光の光量に応じた量の信号電荷を発生し,この信号電荷を蓄積する。[0026] 単結晶シリコン層26の裏面,すなわち単結晶シリコン層26と平坦化層27の界面は,平面ではなく,PD21の配列に合わせて凹凸構造28が設けられている。平坦化層27は,単結晶シリコン層26の裏面にカラーフィルタ16を形成するために,凹凸構造28を平坦化する層であり,例えば透明樹脂材から形成される。[0027] 凹凸構造28は,単結晶シリコン層26の裏面に,撮像装置10の表面に向けて複数の凹部28aが配列された構造であり,個々の凹部28aは正四角錐状に形成されている。例えば,斜面29a,斜面29bは,傾斜方向が対称であり,交互に形成されている。隣り合う一対の斜面が1つの凹部28aを形成する。また,凹部28aは,凹部28aを形成する各斜面が各々1個のPD21に対応するように形成されている。[0028] カラーフィルタ16は,例えばBGR3色の色セグメントを有する原色のカラーフィルタであり,マイクロレンズ17から入射し,PD21に到達する光を,BGRの何れかの色を選択的に透過する。カラーフィルタ16は,平坦化層27の裏面に設けられ,凹凸構造28の各凹部28aに対して各々1色が対応するように設けられる。例えば,斜面29aで形成される凹部28aには緑色のカラーフィルタが対応するように設けられ,斜面29bで形成される隣接した凹部28aには赤色のカラーフィルタが対応するように設けられる。このため,同一の凹部28aの各斜面に対応するPD21は,同じ色のカラーフィルタ16が対応して設けられており,カラーフィルタ16の1個の色セグメントには,4個のPD21が含まれる(図2参照)。なお,図2におけるI-I線の断面が図1である。[0029] マイクロレンズ17は,光の入射面である撮像装置10の最裏面に設けられ,入射光をそれぞれ対応する位置に設けられたPD21に集光させる。具体的には,マイクロレンズ17は,カラーフィルタ16の裏面側に形成されるとともに,各々のPD21の真裏にPD21と同数設けられる。したがって,カラーフィルタ16の1個の色セグメント内に4個のマイクロレンズ17が設けられている。[0030] 上述のように構成される撮像装置10は,位相差AFのために,左右(上下)に位相差のある像を取得することが可能である。これは,単結晶シリコン層26と平坦化層27の界面が凹凸構造28となっていることによる。凹凸構造28を形成する各凹部28aの斜面にそれぞれ対応する4個のPD21は,凹部28aの斜面の傾斜方向が各々異なるので,各斜面の傾斜方向に応じて左右(または上下)方向に非対称な構造となっている。これにより,撮像装置10への入射光は入射角度に応じた光量で各々のPD21に入射するので,相対するPD21のペアが位相差画素として機能する。」
「[0040] その後,図6Bに示すように,パターニングされた熱酸化膜52をマスクとして,単結晶シリコン層26をウェットエッチングされる。ここで行われる単結晶シリコン層26のエッチングは,いわゆる結晶異方性エッチングであり,例えば,KOH(水酸化カリウム)やTMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide:水酸化テトラメチルアンモニウム),EDP(エチレンジアミンピロカテコール),N2H4・H2O(水和ヒドラジン)等,アルカリ性のエッチャントが用いられる。したがって,単結晶シリコン層26のエッチングは,結晶異方性に応じて進行し,露呈されている(100)面よりもエッチングされにくい(111)面が斜面として現れる。これにより,単結晶シリコン層26の裏面には,熱酸化膜52を底辺部分とする正四角錐状の凹部28aが複数正確に形成され,凹凸構造28となる。」
「[図1][図:0001380902000001.jpg]」
「[図2][図:0001380902000002.jpg]」
「[図6B][図:0001380902000003.jpg]」
以上によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「シリコンからなる支持基板12上に,配線層13,受光層14,カラーフィルタ16,マイクロレンズ17がこの順に積層された層構造を有する裏面照射型の撮像装置10であって,受光層14は,PD21が形成される層であり,単結晶シリコン層26と平坦化層27とからなり,単結晶シリコン層26及び平坦化層27は,配線層13が設けられた撮像装置10の表面側から,単結晶シリコン層26,平坦化層27の順に設けられ,入射光の入射側を正面とすると,受光層14は,配線層13の正面側に,配線層13は受光層14の背面側に形成され,単結晶シリコン層26と平坦化層27の界面は,平面ではなく,PD21の配列に合わせて凹凸構造28が設けられ,凹凸構造28は,単結晶シリコン層26の裏面に,撮像装置10の表面に向けて複数の凹部28aが配列された構造であり,個々の凹部28aは,(111)面が斜面として現れることにより正四角錐状に形成されており,凹部28aは,凹部28aを形成する各斜面が各々1個のPD21に対応するように形成されており,凹凸構造28を形成する各凹部28aの斜面にそれぞれ対応する4個のPD21は,凹部28aの斜面の傾斜方向が各々異なり,各斜面の傾斜方向に応じて左右(または上下)方向に非対称な構造となっており,これにより,撮像装置10への入射光は入射角度に応じた光量で各々のPD21に入射し,相対するPD21のペアが位相差画素として機能する撮像装置10。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2016-92091号公報)には,次の事項が記載されている。
「【発明を実施するための形態】【0022】以下,本発明の光検出装置の実施の形態について,図面を参照しながら説明する。但し,以下で参照する各図は,本発明の光検出装置の主要な構成部材等を示している。従って,本発明の光検出装置は,図に示されていない回路基板,配線導体,制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。【0023】本発明の光検出装置は,図1に示すように,ガラス基板等から成る基板1の一面に形成されたTFT31と,そのTFT31上に絶縁層8を挟んで積層された光電変換部30と,その光電変換部30とTFT31のドレイン電極4bとを導電接続する第1のコンタクトホール20と,を含む検出部40を複数有する光検出装置であって,光電変換部30は,TFT31の側から第1の電極層9,第1の不純物半導体層10,真性半導体層11,第2の不純物半導体層12及び第2の電極層13が積層されており,第1のコンタクトホール20は,その斜面の基板1の一面に平行な面に対する傾斜角θが30°以下である構成である。この構成により,第1のコンタクトホール20の斜面における第1の不純物半導体層10の厚みが薄くなって,リーク電流が発生することを抑えることができる。その結果,信号のノイズの発生を抑えることができる。【0024】上記傾斜角θは,10°乃至30°であることが好ましい。10°未満では,TFT31と光電変換部30との間の間隔が狭くなるために,TFT31と光電変換部30との間の層間容量が大きくなりノイズ発生の原因となり,また検出部40におけるTFT31の部位の平坦性が失われる傾向がある。なお,本発明の光検出装置において,傾斜角θは0°を含まないものとする。」
「【0034】本発明の光検出装置は,図2(a)に示すように,第1のコンタクトホール20は,その開口の平面視形状が曲線状の角部20aを有する矩形状であることが好ましい。この場合,逆四角錐状に形成された第1のコンタクトホール20の隣接する2つの斜面が接する部位は谷状に形成されやすく,その谷状部において第1の不純物半導体層10が最も薄く形成されやすい。従って,谷状部がリーク電流が最も発生しやすい部位となる。上記の構成により,曲面状に形成された谷状部において第1の不純物半導体層10が薄く形成されることを抑えることができ,リーク電流が流れることをより抑える効果が高まる。なお,第1のコンタクトホール20の開口の平面視形状は,矩形状に限らず五角形以上の多角形状であってもよい。【0035】また図2(b)に示すように,第1のコンタクトホール20は,その開口の平面視形状が円形状であることが好ましい。この場合,第1のコンタクトホール20が逆円錐状に形成され,その結果,第1のコンタクトホール20の斜面に谷状部のような第1の不純物半導体層10が局所的に薄くなる部位がなくなる。従って,リーク電流が流れることをより抑えることができる。【0036】また,図2(a),(b)に示す構成は,光電変換部30における第1のコンタクトホール20の上方の部位に凹部(図1に示す)が形成される場合,凹部にも適用される。その場合,凹部の斜面において第2の不純物半導体層12が薄く形成されることを抑えることができ,リーク電流が流れることを抑えることができる。この凹部は,CVD法等の薄膜形成法によって,真性半導体層11,第2の不純物半導体層12,第2の電極層13を形成する際に,第1のコンタクトホール20の凹みに倣ってそれらの層が形成されることによって生じる。」
「【図1】[図:0001380902000004.jpg]【図2】[図:0001380902000005.jpg]」
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2015-149422号公報)には,次の事項が記載されている。
「【実施例2】【0055】実施例2は,本開示の第2の態様に係る受光素子に関する。実施例2の受光素子10Bは,模式的な一部断面図を図1Bに示すように,光が入射する透明導電材料層(第1電極)25,続きを表示(全13行)第1の化合物半導体から成る表面再結合防止層21,第2の化合物半導体から成る光電変換層22,及び,第3の化合物半導体から成る化合物半導体層23,の積層構造(積層構造体20B)を有し,透明導電材料層25と表面再結合防止層21との間に形成された,第4の化合物半導体から成るコンタクト層24を更に備えており,表面再結合防止層21は30nm以下の厚さを有し,コンタクト層24は20nm以下の厚さを有する。【0056】具体的には,実施例2の受光素子10Bにおいて,コンタクト層24はn型のInGaAsから成り(即ち,第4の化合物半導体はn型+化合物半導体であり),表面再結合防止層21はn型のInPから成り(即ち,第1の化合物半導体はn型化合物半導体であり),光電変換層22はi型のInGaAsから成り(即ち,第2の化合物半導体はi型化合物半導体であり),化合物半導体層23はp型のInPから成る(即ち,第3の化合物半導体はp型化合物半導体である)。」
「【図1】[図:0001380902000006.jpg]」
4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2016-100347号公報)には,次の事項が記載されている。
「【0035】半導体基板121(の裏面側(光入射側))の平面部121Bと,半導体基板121に形成された溝部121Aは,第1固定電荷膜123A又は第2固定電荷膜123B等の負の固定電荷膜により被覆されている。そして,負の固定電荷膜により被覆された溝部121Aにおいては,絶縁膜124,反射防止膜125,絶縁膜126,及び,遮光膜142が順に埋め込まれることで,素子分離部127を形成することになる。すなわち,素子分離部127は,単位画素31を取り囲むように格子状に形成されており,これらの素子分離部127によって,各フォトダイオード122が電気的に分離されている。【0036】ここで,半導体基板121において,第1固定電荷膜123Aは,平面部121Bの表面の全部又はその大部分を被覆するように形成され,第2固定電荷膜123Bは,溝部121Aの底面及び内周面の全部又はその大部分を被覆するように形成されている。なお,以下の説明では,溝部121Aの底面及び内周面を合わせて,「内壁面」と称するものとする。続きを表示(全16行)【0037】第1固定電荷膜123Aには,半導体基板121に,溝部121Aを形成するためのエッチングにより受ける平面部121Bのダメージ量に応じた負の固定電荷膜が用いられる。例えば,第1固定電荷膜123Aとしては,酸化ハフニウム(HfO2)膜などの半導体基板121の平面部121B上に堆積することにより,ブリスターの発生が抑制されて,平面部121Bから剥がれない材料を用いることが好ましい。【0038】第2固定電荷膜123Bには,半導体基板121に,溝部121Aを形成するためのエッチングにより受ける溝部121Aの内壁面のダメージ量に応じた負の固定電荷膜が用いられる。例えば,第2固定電荷膜123Bとしては,酸化アルミニウム(Al2O3)膜などの半導体基板121上に堆積することにより固定電荷を発生させて,溝部121Aのピニングを強化させることが可能な材料を用いることが好ましい。【0039】なお,第2固定電荷膜123Bには,負の電荷を有する高屈折率材料膜又は高誘電体膜,すなわち,例えば,ハフニウム(Hf),アルミニウム(Al),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),及び,チタン(Ti)のうち少なくとも1つの元素を含む酸化物又は窒化物を適用することができる。【0040】絶縁膜124は,第2固定電荷膜123Bにより被覆された溝部121A内に埋め込まれるように形成される。絶縁膜124の材料としては,例えば,酸化膜などの,第2固定電荷膜123Bとは異なる屈折率を有する材料で形成することが好ましい。なお,絶縁膜 124の材料としては,例えば,酸化シリコン(SiO2),窒化シリコン(Si3N4),酸窒化シリコン(SiON),又は樹脂などを用いることができる。【0041】反射防止膜125は,第1固定電荷膜123A上に形成され,その一部が溝部121A内に埋め込まれている。反射防止膜125の材料としては,例えば,窒化シリコン膜(Si3N4)等の光学的機能を有する絶縁膜(低反射膜)を用いることができる。絶縁膜126は,反射防止膜125上に形成され,その一部が溝部121A内に埋め込まれている。絶縁膜126の材料としては,例えば,酸化膜などを用いることができる。【0042】遮光膜142は,溝部121Aに埋め込まれた絶縁膜126上の所定の領域に形成されており,画素領域では,フォトダイオード122を開口するように格子状に形成されている。遮光膜142を構成する材料としては,光を遮光する材料であればよく,例えば,アルミニウム(Al),タングステン(W),又は銅(Cu)などを用いることができる。」
「【図2】[図:0001380902000007.jpg]」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1において,「受光層14」は,「PD21が形成される層であり,単結晶シリコン層26と平坦化層27とからな」るものであるから,「受光層14」を構成する「単結晶シリコン層26」は,「PD21」の光電変換層であるといえる。
また,引用発明1において,「単結晶シリコン層26と平坦化層27の界面は,平面ではなく,PD21の配列に合わせて凹凸構造28が設けられ,凹凸構造28は,単結晶シリコン層26の裏面に,撮像装置10の表面に向けて複数の凹部28aが配列された構造であり,個々の凹部28aは,(111)面が斜面として現れることにより正四角錐状に形成されており,凹部28aは,凹部28aを形成する各斜面が各々1個のPD21に対応するように形成されている」ことからすると,「各々1個のPD21」は,「複数の(111)面」により構成されている1つの「単結晶シリコン層26」を有するものであり,また,「相対するPD21のペアが位相差画素として機能する」ものであるから,「PD21」は画素を備えているといえる。
以上によれば,引用発明1と本願発明1とは,「(111)面により構成されている1つの光電変換層とを有する画素を備えた受光素子」である点で共通する。
イ 以上から,本願発明1と引用発明1との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「複数の(111)面により構成されている1つの光電変換層を有する画素を備えた受光素子。」
<相違点>
相違点1:画素について,本願発明1は,「第1電極および第2電極」を有しており,「受光素子」が,「前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ,前記第1電極との第1対向部の全面および前記第2電極との第2対向部の全面の少なくとも一方」が複数の(111)面により構成されている1つの光電変換層とを有する画素を備えているのに対し,引用発明1は,そのような事項を備えていない点。
(2)判断
引用文献2~4のいずれにも,「受光素子」が,「前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ,前記第1電極との第1対向部の全面および前記第2電極との第2対向部の全面の少なくとも一方が複数の(111)面により構成されている1つの光電変換層とを有する画素を備え」ることは,記載も示唆もされていないし,このことが,本願出願前より周知技術であったともいえない。
したがって,本願発明1は,引用発明1及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2~15について
本願発明2~15は,本願発明1を減縮した発明であり,いずれも本願発明1の全ての発明特定事項を有しているから,前記1で検討したのと同様の理由により,引用発明1及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明16,17について
本願発明16は,本願発明1の画素を備えた撮像素子の発明であり,本願発明17は,本願発明1の画素を備えた撮像素子を有する電子機器の発明であるから,前記1で検討したのと同様の理由により,引用発明1及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり,本願発明1~17は,引用発明1及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2021-008191