2021-007087
冷凍装置および油冷却装置
- 審判番号
- 2021-007087
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-133561外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月01日
- 審決日
- 2022年09月12日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】山田 卓二
- 【請求人代理人】磯江 悦子
- 【請求人代理人】山崎 敏行
- 分類
- P18 .121-WZ (F25B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月19日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和2年7月20日付けで拒絶の理由の通知
令和2年9月25日に意見書及び手続補正書の提出
令和3年2月26日付けで拒絶査定(令和3年3月2日送達)
令和3年6月1日に拒絶査定不服審判の請求
令和4年3月10日付けで当審における拒絶の理由の通知
令和4年5月13日に意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年5月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】熱交換器(3)を有する冷媒回路(RC)と、少なくとも上記熱交換器(3)が収容され、上記熱交換器(3)の上流側に吸込口(12)が設けられた筐体(11)と、上記筐体(11)の上記吸込口(12)に取り付けられ、蛇腹状に折り曲げられたろ材(13a)を有するフィルタ(13)とを備え、上記フィルタ(13)は、上記熱交換器(3)近傍に沿うように上記熱交換器(3)に対して間隔をあけて上記筐体(11)の吸込口(12)に取り付けられており、オイルミストを含む空気が上記フィルタ(13)を介して上記熱交換器(3)に供給されるとき、上記オイルミストを含む空気中の油分の少なくとも一部が上記フィルタ(13)に捕捉されることを特徴とする冷凍装置。」
第3 令和4年3月10日付けで通知した拒絶の理由
当審において、令和4年3月10日付けで通知した拒絶の理由のうち、請求項1について(その1)の拒絶の理由及び請求項1を直接引用する請求項7について(その1)の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。
本願の請求項1、7に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献については引用文献一覧を参照)
・請求項1について(その1)
・引用文献1、3
・備考
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項7について(その1)
・引用文献1~3
・備考
引用文献1に記載された発明において引用文献2に記載された事項を適用することは、当業者が容易になし得たことである。
<引用文献一覧>
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願前に頒布された引用文献1には、「冷却装置のフィルターサイン表示装置」に関し、次の記載がある。
(なお、下線は理解の一助のために当審において付したものである。以下同様。)。
ア 「第2図は、この発明が好適に適用される工作液冷却装置1を示す概略図である。工作液冷却装置1は、例えば研削盤やマシニングセンタなどの工作機械2の研削液や主軸潤滑油など(以下「工作液」という)を冷却するための装置であり、工作機械2と工作液冷却装置1間に循環して流される工作液を冷却し、工作機械2の動作中においても、工作液の温度を所定温度に維持する。この温度制御により、高精度加工が容易になるとともに、工具寿命の延長、工作液の劣化抑制、工作機械2の稼動率向上などが実現される。第3図は、工作液冷却装置1の内部を示す構成図である。同図に示すように、工作液冷却装置1のハウジング側壁に設けられた工作液入口3から工作液出口4にかけて、工作機械2の工作液が通過する工作液循環経路5が形成されている。・・・一方、工作液冷却装置1は、圧縮機9から凝縮器10,電子膨脹弁11,蒸発器7及びアキュームレータ12を経て圧縮機9に戻るループより成る冷媒経路17を有している。この冷媒経路17中の圧縮機9は、制御部30からの指令に基づき、インバータ15により運転周波数が可変に駆動される。また、凝縮器10には、冷却用のファン13が付加されており、このファン13はモータ14により回転駆動される。・・・このようにして、工作液冷却装置1は、工作液循環経路5中を流れる工作液を冷却し、再び工作機械2に供給することにより、工作機械2の動作中においても、工作液の温度を所定温度に維持している。第4図は、工作液冷却装置1の外観を示す斜視図である。同図に示すように、装置1の前面にフィルター18が設けられており、前面上部右端に点灯することによりフィルターサインを表示するLED19が設けられている。」(第5欄末行~第6欄第45行)
イ 「なお、この実施例では、工作液冷却装置のフィルターサイン表示装置について述べたが、この発明は、フィルターを有するあらゆる冷却装置に適用できる。また、そのフィルターも、上記実施例のように装置内部に清浄な外気を取り込むためのフィルターだけでなく、例えば被冷却物質を浄化するためのフィルターなど、他のフィルターであってもよい。」(第11欄第32行~同欄第38行)
ウ 「[図:0001391407000001.jpg][図:0001391407000002.jpg][図:0001391407000003.jpg]」
(2)上記(1)の記載から認められる事項
上記(1)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
・上記(1)アにおける「工作液冷却装置1のハウジング側壁」(第6欄第11行~同欄第12行)との記載、「凝縮器10には、冷却用のファン13が付加されており、このファン13はモータ14により回転駆動される。」(第6欄第27行~同欄第29行)との記載、及び、「第4図は、工作液冷却装置1の外観を示す斜視図である。同図に示すように、装置1の前面にフィルター18が設けられており」(第6欄第42行~同欄第44行)との記載、上記(1)イにおける「上記実施例のように装置内部に清浄な外気を取り込むためのフィルター」(第11欄第35行~同欄第36行)との記載、並びに、上記(1)ウにおける第3図及び第4図の記載によれば、冷却用のファン13の動作により、工作冷却装置1のハウジング内に収容された凝縮器10を冷却するための外気が、工作冷却装置1の前面のハウジングに設けられたフィルター18から取り込まれることから、工作冷却装置1のハウジングには、少なくとも凝縮器10が収容され、外気を取り込むための開口が凝縮器10の上流側に設けられていること、及び、ハウジングの外気を取り込むための開口にフィルター18が取り付けられていることが認められる。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)から、本願発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「凝縮器10を有する冷媒経路17と、少なくとも上記凝縮器10が収容され、上記凝縮器10の上流側に外気を取り込むための開口が設けられたハウジングと、上記ハウジングの上記外気を取り込むための開口に取り付けられた、フィルター18とを備えた、工作液冷却装置1。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願前に頒布された引用文献2には、「機械室の吸気構造」に関し、次の記載がある。
「【0004】【発明が解決しようとする課題】前記冷蔵庫10が使用される設置場所や周囲の環境等によっては、前記エアフィルタ36に油分等が付着することがある。すなわち、油等を使用する調理場においては蒸発した大量の油分が空気中に浮遊するため、その周辺に設置した冷蔵庫10のフィルタ36では、空気中に含まれる塵埃の他に油分も捕集することになる。そしてある程度の使用期間の間にフィルタ36に大量の油分が付着すると、その一部が該フィルタ36を伝って流下し、機械室18の床面を汚損してしまう欠点がある。【0005】また、前記凝縮器28の空気吸込部(正面側)は囲われていないため、前記凝縮器ファン30を運転した際には、凝縮器28の周囲に設置されている前記電装箱22、制御箱24および配線部材26等の隙間を空気が通って該凝縮器28に吸込まれる。このため、電装箱22、制御箱24および配線部材26等に油や塵埃が付着して汚れる難点が指摘される。更に、凝縮器28から背面の圧縮機32側に吹出された熱交換後の空気が、再び凝縮器28の正面側に回り込んで吸込まれる、いわゆるショートサイクルを起こし、冷凍能力を低下させる問題がある。なお、冷蔵庫10の背面を壁等に接するように設置した場合は、熱交換後の空気が壁等に当って跳ね返るため、前記のショートサイクルがより発生し易くなる。【0006】続きを表示(全11行)【発明の目的】本発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、フィルタに付着した油分等で機械室内が汚損するのを防止すると共に、冷凍能力の低下を防止し得る機械室の吸気構造を提供することを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、本発明に係る機械室の吸気構造は、機械室に空冷式の凝縮器を備え、該機械室を画成するフロントパネルに設けた吸込部を介して室内に吸込んだ外部空気により前記凝縮器を空冷する装置において、前記凝縮器とフロントパネルとの間に配設され、凝縮器の空気吸込部およびフロントパネルの吸込部を囲繞するダクトと、前記ダクトの内部に配設された塵埃補集用のフィルタと、前記ダクトの外部に配設され、該ダクトに設けた回収孔を介して前記フィルタから流下した油分等を回収するオイルパンとから構成したことを特徴とする。【0008】【発明の実施の形態】次に、本発明に係る機械室の吸気構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、機械室の吸気構造を採用した実施例に係る冷蔵庫に関して、図10~図12を参照して従来の技術で説明した冷蔵庫に既出の同一部材には、同じ符号を付して示すこととする。【0009】図1~図4に示す冷蔵庫10における縦長に形成した箱状の本体12の内部には、生鮮食品や飲料等の収納物を冷却貯蔵するための収納室38が画成されると共に、該本体12の正面には開口部を開閉可能に閉成する複数の扉40が配設されている。また本体12の上部には、フロントパネル14、左右のサイドパネル16,16およびトップパネル42により背面側に開放する機械室18が画成される。なお、トップパネル42の正面側には多数の排気孔42aが穿設されており、該排気孔42aおよび機械室18の背面を介して、後述する凝縮器28や圧縮機32と熱交換した空気が室外に排出されるようになっている。【0010】前記機械室18内の床面(本体上面)にユニット台44が配設されており、このユニット台44の上面に、空冷式の凝縮器28、凝縮器ファン30および圧縮機32等からなる冷凍機構20が配置されると共に、凝縮器28から冷媒が供給される冷却器34が本体内部に収納されている。また機械室18を画成するよう正面側に配設される前記フロントパネル14は、図示しないヒンジ等を介して上下方向に回動可能に枢支されており、機械室18の正面開口部を開放し得るよう構成される。このフロントパネル14には、図1に示す如く、前記ユニット台44の最前部に設置されている前記凝縮器28の正面(空気吸込部)と対応する位置に、所要寸法で開口する矩形状の開口部46が開設されている。そして、この開口部46に、吸込部としてのルーバ48が正面側から着脱可能に配設されるよう構成される(図5参照)。」
「【0021】【別実施例】次に、本発明に係る機械室の吸気構造につき、別の実施例を挙げて、図6~図9を参照しながら以下説明する。なお、別実施例に係る機械室の吸気構造を採用した冷蔵庫の基本的な構成は、前述した実施例における冷蔵庫と同じなので、詳細な説明は省略して、既出の同一部材には同じ符号を付してある。【0022】先ず、図6または図9に示すように、冷蔵庫10の上部に画成される前記機械室18内に凝縮器28、凝縮器ファン30および圧縮機32からなる冷凍装置20が配設されると共に、該機械室18の床面(本体上面)に配設される前記ユニット台44の上面には、凝縮器28および凝縮器ファン30を載置し得る架台74が配設される。この架台74は、図7または図8に示すように、正面側に所要の大きさの切り欠き部74cを有する上板74bと、該上板74bの両側端および背面端から垂下する壁面74d,74d,74dとから構成されて、上板74bと各壁面74dにより収納空間74aが画成されている。【0023】すなわち、前記架台74の正面側に前記収納空間74aが開口すると共に、前記切り欠き部74cを介して該架台74の上方と収納空間74aとが連通するようになっている。そして、前記架台74の収納空間74aに、後述するダクト78に形成される突出部78bを収納し得るよう構成されている。なお、前記凝縮器28は架台74に形成される切り欠き部74cの上方に位置して、該凝縮器28から落ちる油分や露等を前記収納空間74a内の突出部78bで受容し得るようになっている。【0024】次に、別実施例に係る前記ダクト78の構成について説明する。図6に示すように、前記ダクト78は、前述した実施例と同様に、凝縮器28の空気吸込部およびフロントパネル14に配設されたルーバ48の夫々を囲繞する開口寸法に設定され、該フロントパネル14に配設されたルーバ48から吸込まれた外部空気を、該ダクト78を介して凝縮器28の空気吸込部に全て案内供給されるよう構成されている。なお、前記ダクト78は、前記機械室18に対してビス等の所要の固定手段により着脱可能に配設される。更に、図6に示すように、前記ダクト78の吸気口近傍(後述する下段部80側)には、その内部全面を正面側と背面側とに仕切る寸法のフィルタ82が直立状態で着脱可能に配設され、前記ルーバ48からダクト78内に吸込まれた外部空気に含まれる塵埃や油分等を、該フィルタ82で捕集した後に凝縮器28に向けて空気が流れるよう構成される。また、前記ダクト78の正面端縁部にはパッキン60が全周に亘って配設されており、前記ルーバ48をフロントパネル14に配設した際に、該ルーバ48における枠体50の外周縁にパッキン60が当接することで、両者間の気密性が確保され、外部空気がダクト78の外に吸込まれることがないよう構成されている。【0025】前記ダクト78の底板78aは、背面側(凝縮器28側)の上段部79と、該上段部79より正面(フロントパネル14側)で下方に位置する下段部80とからなる段差形状に形成され、この下段部80側に前記フィルタ82が配設されている。また、前記ダクト78の下段部80には複数の回収孔80aが穿設されており、該ダクト78の底板78aに滞留する油分等を該回収孔80aを介してダクト78外部に滴下させるようになっている。ここで、前記上段部79を下段部80側に下方傾斜するよう構成すれば、該上段部79に滞留する油分等を効率的に前記回収孔80aに移動させることが可能である。なお、前述の実施例と同様に、前記ダクト78の底板78aと本体上面との間には所要の隙間が画成されており、この隙間に前記L字状の支持部材66が前方に開口した状態で配設されると共に、前記回収孔80aの下方にオイルパン68が正面から出し入れ可能に配設されて、該回収孔80aから滴下する油分等を回収し得るよう構成されている。【0026】更に、図6または図9に示すように、前記ダクト78における底板78aの上段部79には、該ダクト78の背面側開口部より後方に延出する突出部78bが形成されると共に、該突出部78bは外周部から立上がり面を有する皿状に形成されている。なお、前記立上がり面の高さ寸法は、前記架台74の壁部74dの高さ寸法より小さく設定されており、前記ダクト78を機械室18に配設する際に、該突出部78bが前記収容空間74aに収納されて、架台74における切り欠き部74cの下方に臨むよう構成される(図8参照)。すなわち、前記ダクト78の底板78aが凝縮器28下方に延在することで、該凝縮器28から油分や露等が直接ダクト78の底板78a上に流れ落ちるようになっている。【0027】なお、図9に示すように、前記ダクト78の底板78aにおける下段部80の前端部にも立上がり面が形成されて、底板78a全体が皿状に形成されており、前記フィルタ82および凝縮器28から流れ落ちる油分等が、この下段部80に溜まるよう構成してある。」
「【0030】このように、ルーバ48を介して吸込まれた凝縮器28の冷却用の外部空気は、ダクト78を介して全て凝縮器28の空気吸込部に案内されるから、空気中に含まれる油分や塵埃等による汚れは、該空気の流通するダクト78の内部のみに限定される。すなわち、凝縮器28の周囲に配置されている前記電装箱22、制御箱24および配線部材26等が、油分や塵埃等で汚れるのを抑制することができる。また、前記ダクト78の吸込口近傍(下段部80側)に前記フィルタ82を配設することで、該ダクト78内に入った空気中の油分を吸込口近傍で捕集し得るので、ダクト78内全体の汚れの付着を軽減することができる。【0031】そして、前記フィルタ82には経時的に油分等が付着堆積し、該油分等はフィルタ82の表面を伝って流下し、前記ダクト78における底板78aの下段部80に穿設した回収孔80aを介してオイルパン68に回収できる。また、前記ルーバ48の背面部は、機械室18内に突出しているので、該ルーバ48のスラット52等に付着した油分等は、背面側に流れてダクト78内に落下し、これも回収孔80aを介してオイルパン68に回収できる。」
「【0033】そして、図7または図8に示すように、前記凝縮器28の下方には前記ダクト78の突出部78bが延在すると共に、該凝縮器28は前記架台74の切り欠き部74cを介して該突出部78bの上方に臨むよう構成されており、前記フィルタ82により微細な油分等が捕集されることなく凝縮器28に付着して、この油分等や凝縮器28に生じた露等が流下した場合であっても、油分等は当該突出部78bに落ちて前記オイルパン68に回収されるので、機械室18の底面が汚れることはない。なお、前記凝縮器28の下方に前記ダクト78の突出部78bを延在させているから、前記凝縮器28の汚れが酷くなった場合には、機械室18の底面を汚すことなく凝縮器28を洗浄した水等をダクト78で回収することが可能である。【0034】また図6に示すように、前記ダクト78の底板78aは、背面側の上段部79と、該上段部79より正面側に位置する下段部80とからなる段差形状に形成されているから、該上段部79に流下した油分等を自然に下段部80側に流下させ、下段部80に形成される前記回収孔80aから前記オイルパン68に回収することができる。このため、前記ダクト78内に油分等が滞留することを抑制でき、該ダクト78内の汚れの発生を軽減して、ダクト78の清掃作業や前記冷凍装置20のメンテナンス作業等における負担を低減し得る。ここで、前記上段部79を下段部80側に下方傾斜させれば、より効率的に油分等を下段部80側に移動させ得る。また、前記ダクト78における底板78aの上段部79および下段部80に立上がり面を形成し、底板78aの全体を皿状に形成したので、ダクト78内に流下した油分等が、前記機械室18の底面に零れて汚れることを防止できる。」
「[図:0001391407000004.jpg]」
「[図:0001391407000005.jpg]」
そして、引用文献2の段落【0024】の「図6に示すように、前記ダクト78は、・・・該フロントパネル14に配設されたルーバ48から吸込まれた外部空気を、該ダクト78を介して凝縮器28の空気吸込部に全て案内供給されるよう構成されている。」との記載、段落【0025】の「前記ダクト78の底板78aは、背面側(凝縮器28側)の上段部79と、該上段部79より正面(フロントパネル14側)で下方に位置する下段部80とからなる段差形状に形成され、この下段部80側に前記フィルタ82が配設されている。また、前記ダクト78の下段部80には複数の回収孔80aが穿設されており、該ダクト78の底板78aに滞留する油分等を該回収孔80aを介してダクト78外部に滴下させるようになっている。ここで、前記上段部79を下段部80側に下方傾斜するよう構成すれば、該上段部79に滞留する油分等を効率的に前記回収孔80aに移動させることが可能である。」との記載、段落【0034】の「また図6に示すように、前記ダクト78の底板78aは、背面側の上段部79と、該上段部79より正面側に位置する下段部80とからなる段差形状に形成されているから、該上段部79に流下した油分等を自然に下段部80側に流下させ、下段部80に形成される前記回収孔80aから前記オイルパン68に回収することができる。このため、前記ダクト78内に油分等が滞留することを抑制でき、該ダクト78内の汚れの発生を軽減して、ダクト78の清掃作業や前記冷凍装置20のメンテナンス作業等における負担を低減し得る。」との記載及び図6の記載によれば、ダクト78は、油分回収のために、凝縮器28側の上段部79とフロントパネル14側で下方に位置する下段部80とからなり、上段部79を下段部80側に下方傾斜するよう構成された段差が底板78aに設けられており、フィルタ82は、凝縮器28に対して間隔をあけて取り付けられるものと認められる。
また、引用文献2の段落【0024】及び図6の記載によれば、フィルタ82は、フロントパネル14の開口部46に配設された吸込部としてのルーバ48を囲繞するダクト78の吸気口近傍に直立状態で取り付けられるところ、ルーバ48とダクト78を介してフロントパネル14の開口部46に直立状態で取り付けられるものと認められる。
(2)引用文献2の記載事項
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上記(1)によれば、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「蒸発した油分が空気中に浮遊する調理場の周辺に設置した冷蔵庫10において、凝縮器28と、凝縮器28とフロントパネル14との間に配設され、凝縮器28の空気吸込部およびフロントパネル14の開口部46に配設された吸込部としてのルーバ48を囲繞し、油分回収のために、凝縮器28側の上段部79とフロントパネル14側で下方に位置する下段部80とからなり、上段部79を下段部80側に下方傾斜するよう構成された段差が底板78aに設けられたダクト78と、ダクト78の内部に配設され、ダクト78内に吸込まれた外部空気に含まれる塵埃や油分等を補集するフィルタ82と、ダクト78の下段部80に設けた回収孔80aから滴下する油分等を回収するオイルパン68とから構成した機械室の吸気構造を備え、フィルタ82は、凝縮器28に対して間隔をあけてルーバ48とダクト78を介してフロントパネル14の開口部46に直立状態で取り付けられること」
3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願前に頒布された引用文献3には、「換気装置」に関し、次の記載がある。
「【0002】【従来の技術】換気装置は、通常、油煙等の汚れた空気を建物の外壁に通ずる送風機により排気するものであるが、油煙は換気装置をベト付かせ掃除が容易でない。そこでファンの前面にフィルターを設け、汚れたら外して洗う、または新しいものと交換することが提案され各種の方法があるが、取り扱いの容易さから後者の使い捨てフィルターが多く使われている。通常不織布の繊維フィルターであり、平板形状が主である。このため油煙除去率に限界があり、またフィルターの通気抵抗の大きさも大きくなり、風量も少なくなる問題があった。また構造的にも弱いため合成樹脂枠が必要になった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に監みて、フィルター形状,製法改良によるフィルター特性向上と、取扱性向上、及び交換のとき容易に着脱できる構造と、捨てるときフィルター自体を省資源的に捨てられるよう改良した換気装置を目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】上記目的は、フィルターをヒダ織り形成にすることによって、達成できる。【0005】【作用】フィルター面積の広さは、同一風量にたいし通過速度の低下によるフィルター通気抵抗を少なくする効果と、油煙除去率の向上をもたらす。」
「【0009】図6~図11は、本発明換気装置の説明図である。従来例と同一機能部にたいしては同一の符号を付す。図6は本発明の要部とするフィルター8を示す。【0010】フィルター8は、縦の稜線になるようヒダ織り化したフィルター形状としてあり、左右端面は繊維の熱溶着より硬くした縁桟13が形成される。14はフィルターを支持する際に使用するフィルター結合部である。いずれかを穴と突起の組合わせにして結合する。上下端面は切断面のままとするか、ほつれのない程度に熱、または接着剤で固める。【0011】図7はフィルターカバー7部の組合わせ形状を示す。フィルター8は油ポケット10の背板部15にフィルター結合穴14で支持される。・・・中略・・・【0013】フィルター8のヒダ織り化は、不織布8aに織布8bを重ねあわせて結合する。結合は接着、または熱溶着等により行なう。ヒダ織り形状の保持は、織布8bの熱変形後の保持力により行なう。図8は織布8bの桝目が縦横形の例を示すが、斜めの桝目で在っても保持効果はえられる。」
「【0018】図12に示すようにフィルター8の面積の広さは、同一風量にたいし通過速度の低下によるフィルター通気抵抗を少なくする効果と、油煙除去率の向上をもたらす。【0019】図12において、曲線(イ)は従来の平板形状フィルター、(ロ)はヒダ織りフィルターの特性を示す。それぞれの初期のフィルター通気抵抗をP1,P2で示す。P1>P2の関係にある。次にフィルター交換期間の観点から比較する。油煙除去フィルターは使うに従い、徐々に通気抵抗が大きくなる。この結果送風機特性から風量が下がり、フィルター交換を必要とするものである。限界通気抵抗をP3とするとフィルター交換期間は、(イ)の平板形状フィルターではT1、(ロ)のヒダ織りフィルターではT2となる。T1<T2の関係にあり、フィルター特性として(ロ)のヒダ織りフィルターの優れていることが明らかである。【0020】図13は、フィルター8のヒダ部の、縦の稜線効果により油煙の下方に落ちる現象を有効に利用できることを説明している。ヒダ部は流線Aに対し、フィルター8に稜線として山部8d,谷部8eを形成する。山部8dはどちらかと言うと粒子径の大きい油煙が衝突捕集により、谷部8eにはふるい効果による小さい粒子径の油煙が捕集されて行く。フィルター8の表面の油煙粒子は、ある大きさになると重力効果で下方に落ちる。下方に落ちたものは寸法g,hの最適化により油ポケットにたまり、メンテできるので便利である。【0021】【発明の効果】本発明によれば、フィルター特性としてヒダ織りフィルターの優れた特性を利用できる。【0022】ヒダ部の、縦の稜線効果により油煙の下方に落ちる現象を有効に利用し容易にメンテできる。」
「[図:0001391407000006.jpg][図:0001391407000007.jpg]」
「[図:0001391407000008.jpg][図:0001391407000009.jpg]」
(2)引用文献3の記載事項
上記(1)によれば、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「台所用の換気装置に設けられ、油煙を除去するフィルター8を、稜線として山部8d、谷部8eを形成したヒダ部が縦の稜線となるようにヒダ織化された、不織布8aに織布8bを重ね合わせて結合した部材により構成すること」
4 周知文献4について
(1)周知文献4の記載
当審において新たに周知事項の例証として引用する特開2019-935号公報(以下「周知文献4」という。)であって、本願の出願前に頒布された周知文献4には、「換気冷却装置」に関し、次の記載がある。
「【0001】本発明は、工作機械に使用される工作液を冷却する液冷却装置に備えられた排気冷却装置に関するものである。【背景技術】【0002】一般に、自動車の部品製造工場等には、例えば、切削盤、研削盤やマシニングセンタなどの工作機械に使用する切削油、研削液や主軸潤滑油等の工作液を冷却するための液冷却装置が使用されている。当該液冷却装置は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を接続した冷却回路と、凝縮器に対して空気流を供給する送風ファンと、を備えている。そして、液冷却装置の蒸発器によって工作液(液体)を冷却する構成となっている。また、液冷却装置には、上述した各構成部材を収容する装置本体の正面に空気を吸い込むための吸入口が設けられ、一方、装置本体の上面に空気を排出するための排気口が設けられている。そして、送風ファンを駆動させることによって発生した空気流が、装置本体の正面に設けられた吸入口から凝縮器に吸い込まれ、凝縮器にて熱交換された後、装置本体の上面に設けられた排気口から吹き出されるようになる。」
「【0016】以下、本発明を実施するための形態を図1~図4に基づいて詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る排気冷却装置1は、図1に示すように、工作機械50に使用される工作液を冷却する液冷却装置30の上方に備えられる。まず、液冷却装置30を図2及び図4に基づいて簡単に説明する。当該液冷却装置30は、図4に示すように、圧縮機33、凝縮器34、膨張弁35及び蒸発器36を接続した冷媒回路37を備えている。冷媒回路37では、圧縮機33の吐出口に凝縮器34が接続され、その凝縮器34に膨張弁35が接続される。そして、膨張弁35に蒸発器36の一端が接続され、その蒸発器36の他端にアキュームレータ38を介して圧縮機33の吸入口が接続される。当該液冷却装置30では、圧縮機33から吐出された冷媒が、凝縮器34、膨張弁35、蒸発器36へと順に流れ、アキュームレータ38を介して圧縮機33に戻る冷却サイクルが形成される。【0017】圧縮機33では、低温・低圧の冷媒ガスを凝縮器34で容易に冷却・液化できるように高温・高圧の圧縮冷媒ガスに変化させる。凝縮器34では、圧縮機33で生成された圧縮冷媒ガスを空気にて冷却・凝縮して、常温・高圧の液状冷媒に変化させる。膨張弁35では、常温・高圧の液状冷媒を絞って減圧して、蒸発器36で容易に蒸発できるように低温・低圧の液状冷媒に変化させる。そして、蒸発器36では、膨張弁35により生成された液状冷媒が、タンクT内の工作液から熱を奪って蒸発(工作液が冷却)することで、再び低温・低圧の冷媒ガスが生成される。【0018】図1~図3も参照して、当該液冷却装置30は、浸漬型の液冷却装置である。該液冷却装置30では、装置本体31に圧縮機33、凝縮器34及び膨張弁35が収容される。装置本体31は、上壁部31A、底壁部31B、一対の側壁部31C、31C、前壁部31D及び後壁部31Eを有する略直方体形状に形成される。蒸発器36は、装置本体31の底壁部31Bよりも下方に配置される。蒸発器36がタンクT内に溜められた工作液に浸漬される。そして、浸漬型の液冷却装置30にあっては、タンクT内において蒸発器36により工作液が冷却される。液冷却装置30の凝縮器34は、図2に示すように、装置本体31の前壁部31Dに沿って配置される。すなわち、凝縮器34の前面が装置本体31の前壁部31Dに形成された空気の吸入口45と対向する。該吸入口45は正面視で略矩形状に形成される。該吸入口45の全域にフィルタが配置される。【0019】装置本体31内には、凝縮器34に対して空気流を供給する送風ファン39が配置される。送風ファン39は、ファンモータ39Aの駆動により回転する。送風ファン39は、凝縮器34の空気流下流側に配置され、凝縮器34と対向するように配置される。送風ファン39が駆動されることによって発生した空気流は、装置本体31の前壁部31Dに形成された吸入口45から凝縮器34に吸い込まれて凝縮器34で熱交換されたあと、高温の排気となって装置本体31の上壁部31Aに形成された排気口46から外側に吹き出される。排気口46は、装置本体31の上壁部31Aで背面寄りに形成される。排気口46は上面視で略矩形状に形成される。」
「[図:0001391407000010.jpg][図:0001391407000011.jpg][図:0001391407000012.jpg][図:0001391407000013.jpg]」
5 周知文献5について
(1)周知文献5の記載
当審において新たに周知事項の例証として引用する特開2015-68524号公報(以下「周知文献5」という。)であって、本願の出願前に頒布された周知文献5には、「液冷却装置」に関し、次の記載がある。
「【0027】[第1実施形態]本実施形態の液冷却装置は、図1に示すように、圧縮機3、凝縮器4、膨張弁5および蒸発器6を接続した冷媒回路7を有している。冷媒回路7において、圧縮機3の吐出口に凝縮器4が接続され、その凝縮器4に膨張弁5が接続される。そして、膨張弁5に蒸発器6の一端が接続され、その蒸発器6の他端にアキュームレータ8を介して圧縮機3の吸入口が接続される。この液冷却装置では、圧縮機3から吐出された冷媒が凝縮器4、膨張弁5、蒸発器6へと順に流れ、アキュームレータ8を介して圧縮機3に戻る冷却サイクルが形成される。【0028】この液冷却装置は、図2及び図3に示すように、蒸発器6が圧縮機3、凝縮器4、および膨張弁5を収容する装置本体1よりも下方に配置されるとともに、蒸発器6がタンクT内に溜められた工作液に浸漬される浸漬型の液冷却装置である。したがって、この液冷却装置では、タンクT内において工作液が冷却される。装置本体1は、略直方体形状であり、装置本体1の底面1fから下方に突出する複数の脚部2を有する。タンクTの上面には、蒸発器6をタンクT内に挿入するための開口が設けられており、装置本体1の底面1fはその開口の周囲に固定される。タンクTには、例えば工作液搬送用のポンプPが設けられており、図1及び図2に示すように、このポンプPが駆動されることによって、工作機械から排出された工作液がタンクT内に供給され、またタンクT内で冷却された工作液が工作機械に供給される。【0029】この液冷却装置の凝縮器4は、図3に示すように、装置本体1の正面1a(一側面)に沿って配置される。すなわち、凝縮器4の前面が装置本体1の正面1aに配置された正面グリル1a1およびフィルタ1a2と対向する。また、装置本体1内には、凝縮器4に対して空気流を供給する送風ファン9が配置される。この送風ファン9は、ファンモータ9aと複数の羽根9bを有し、凝縮器4の空気流下流側において凝縮器4と対向するように配置される。ファンモータ9aが駆動されることによって発生した空気流は、装置本体1の正面1aに形成された開口から凝縮器4に吸い込まれ、凝縮器4で熱交換されたあと、装置本体1の外側に吹き出される。この送風ファン9の周囲には、図3(c)に示すように、送風ファン9が配置される例えば円形の開口11が形成されたファンカバー10が配置される。このファンカバー10の開口11は、凝縮器4の空気流下流側において凝縮器4と対向するように配置される。なお、本実施形態において、装置本体1の一側面とは、正面1a、背面1b、右側面1cおよび左側面1dを言う。なお、図3(a)においては、フィルタ1a2を正面グリル1a1の一部にのみ図示しているが、実際はフィルタ1a2は、正面グリル1a1の略全域に配置される。」
「[図:0001391407000014.jpg][図:0001391407000015.jpg][図:0001391407000016.jpg]」
第5 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・引用発明の「凝縮器10」は、本願発明の「熱交換器(3)」に相当し、以下同様に、「冷媒経路17」は「冷媒回路(RC)」に、「外気を取り込むための開口」は「吸込口(12)」に、「ハウジング」は「筐体(11)」に、「フィルター18」は「フィルタ(13)」に、「工作液冷却装置1」は「冷凍装置」に、それぞれ相当する。
してみると、引用発明の「凝縮器10を有する冷媒経路17」は、本願発明の「熱交換器(3)を有する冷媒回路(RC)」に相当し、引用発明の「少なくとも上記凝縮器10が収容され、上記凝縮器10の上流側に外気を取り込むための開口が設けられたハウジング」は、本願発明の「少なくとも上記熱交換器(3)が収容され、上記熱交換器(3)の上流側に吸込口(12)が設けられた筐体(11)」に相当する。
また、引用発明の「上記ハウジングの上記外気を取り込むための開口に取り付けられた、フィルター18」は、「上記筐体の上記吸込口に取り付けられた、フィルタ」の限りにおいて、本願発明の「上記筐体(11)の上記吸込口(12)に取り付けられ、蛇腹状に折り曲げられたろ材(13a)を有するフィルタ(13)」と一致する。
したがって、両者の間に次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「熱交換器を有する冷媒回路と、少なくとも上記熱交換器が収容され、上記熱交換器の上流側に吸込口が設けられた筐体と、上記筐体の上記吸込口に取り付けられた、フィルタとを備えた、冷凍装置。」
[相違点1]
「フィルタ(13)」に関して、本願発明では、「蛇腹状に折り曲げられたろ材(13a)を有する」のに対して、引用発明では、そのようなろ材を有するものであるか不明である点。
[相違点2]
本願発明では、「上記フィルタ(13)は、上記熱交換器(3)近傍に沿うように上記熱交換器(3)に対して間隔をあけて上記筐体(11)の吸込口(12)に取り付けられて」いるのに対して、引用発明では、「フィルター18」がそのように取り付けられているか不明である点。
[相違点3]
本願発明では、「オイルミストを含む空気が上記フィルタ(13)を介して上記熱交換器(3)に供給されるとき、上記オイルミストを含む空気中の油分の少なくとも一部が上記フィルタ(13)に捕捉される」のに対して、引用発明では、「フィルター18」がそのような機能を有することが特定されていない点。
第6 判断
1 相違点の検討
(1)相違点3について
事案に鑑み、まず相違点3について検討する。
引用発明は、引用文献1の段落の記載によれば、研削盤やマシニングセンタなどの工作機械2の研削液や主軸潤滑油など(以下「工作液」という)を冷却するための装置である。
そして、研削盤やマシニングセンタなどの工作機械2が稼働する際に、工作液などのオイルミストが工作機械2の設置された室の空気中に含まれていることが技術常識であって、引用発明の工作液冷却装置1が、工作液の冷却効率の向上や工作機械2との間で工作液を輸送する配管の取り回しの容易化等のために、工作機械2と近接させるべく工作機械2が設置された室と同じ室に配置されていることを勘案すると、引用発明の工作液冷却装置1が工作液などのオイルミストを含む空気中に存在することは、技術常識からみて明らかである。
そうすると、引用発明において、工作液などのオイルミスト(本願発明の「オイルミスト」に相当。以下括弧内は同様。)を含む空気がフィルター18(フィルタ)を介して凝縮器10(熱交換器)に供給されるとき、上記工作液などのオイルミストを含む空気中の油分の少なくとも一部が上記フィルター18に捕捉されるものといえるから、上記相違点3は、実質的な相違点ではない。
(2)相違点1について
引用文献3には、台所用の換気装置が油煙等の汚れた空気、すなわち、オイルミストを含む空気を吸い込むものであることが記載されており(段落【0002】)、引用文献3の記載事項におけるフィルター8と引用発明のフィルター18とは、オイルミストを含む空気を吸い込む装置に設けられ、オイルミストを含む空気からオイルミストを除去する点で使用形態が共通しているものである。
また、引用文献3の記載事項におけるフィルター8は、平板形状のフィルターに比べて表面積を大きくとれ、同一風量に対し通過速度の低下によるフィルター通気抵抗を少なくする効果と、油煙除去率の向上をもたらし、また、油煙(オイルミスト)の下方に落ちる現象を有効に利用し、容易にメンテナンスできる効果を奏するものである(引用文献3の段落【0005】、【0018】、【0022】)。
そうすると、引用発明においても、フィルター18について、その性能を向上すること及びメンテナンスの容易化を図ることは、内在する課題であるから、使用形態の共通する引用文献3の記載事項による効果に着目して、引用発明のフィルター18に引用文献3の記載事項を適用し、フィルター18(フィルタ)を、稜線として山部8d、谷部8eを形成したヒダ部が縦の稜線となるようにヒダ織化された(蛇腹状に折り曲げられた)、不織布8aに織布8bを重ね合わせて結合した部材(ろ材)を有するものとすること、すなわち、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)相違点2について
工作機械の研削液などの工作液を冷却する工作液冷却装置において、筐体の吸込口に取り付けるフィルターを、凝縮器近傍に沿うように配置することは、上記第4の4(1)及び5(1)の記載から理解できるように、本願の出願前に周知の事項(以下「周知事項」という。)であり、工作液冷却装置である引用発明において、フィルター18を凝縮器10近傍に沿うように配置することは、当該周知事項及び凝縮器10が配置される装置のハウジングの寸法などを考慮して、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
一方、引用文献2の記載事項は、冷蔵庫10において、フロントパネル14の開口部46に取り付けられたフィルタ82により、フロントパネル14の開口部46に吸い込まれる空気から空気中に浮遊する蒸発した油分を捕集するものであり、引用発明とは、冷凍装置において、筐体の吸込口に取り付けられたフィルタにより、筐体の吸込口に吸い込まれる空気からオイルミストを含む空気中の油分を捕捉するという点で共通の機能・作用を奏するものである。
また、引用文献2の記載事項は、フィルタに付着した油分等で機械室内が汚損するのを防止すると共に、冷凍能力の低下を防止することを目的とするものである。(引用文献2の段落【0006】)。
そうすると、引用発明においても、冷凍装置として一般的に求められる冷凍能力の低下を防止することや、工作液のオイルミストを含む空気中に存在し、ハウジングの外気を取り込むための開口にフィルター18が取り付けられることから理解できるように、油分等で機械室内が汚損するのを防止することは内在する課題といえるから、引用発明のハウジングの外気を取り込むための開口にフィルター18を取り付ける構造に引用文献2の記載事項を適用し、フィルター18(フィルタ)が凝縮器10(熱交換器)に対して間隔を開けてハウジング(筐体)の外気を取り込むための開口(吸込口)に取り付けられたものとすることは、当業者にとって格別困難であるとは認められない。
そして、引用発明に引用文献2の記載事項を適用したものにおいて、フィルター18と凝縮器10との間に位置するダクトの底部は、油分回収のために、段差の上段部を下段部側に下方傾斜する必要があるから、フィルター18を凝縮器10近傍に沿うように配置していたとしても、その傾斜を設ける程度にフィルター18と凝縮器10とを離間させることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得えたことである。
2 請求人の主張について
請求人は、令和4年5月13日提出の意見書の「〔二〕本願発明が特許されるべき理由」において、次の主張をする(下線は、当審で付したものである。)。
「しかしながら、引用文献2では、図6の記載から明らかなように、ルーバー48が取り付けられた吸込口にフィルタ82が取り付けられておらず、引用文献2は、フィルタ82と凝縮器28とがかけ離れた位置に配置されているという点で本願発明1と相違します。すなわち、引用文献2は、フィルタ82が凝縮器28の近傍に沿うように熱交換器に対して間隔をあけて筐体の吸込口に取り付けられたものではありません。また、引用文献2では、フィルタ82と凝縮器28とがかけ離れているため、「オイルミストを含む空気がろ材を有するフィルタを介して吸い込まれて凝縮器に供給されるとき、風圧により押されたフィルタが凝縮器に接触して、フィルタで捕捉された油分と粉塵が凝縮器側に伝って移動して、凝縮器側に付着した油分といっしょになってフィルタと凝縮器との間に留まって、凝縮器に目詰まりが生じる」という課題がありません。引用文献2の発明は、段落[0004]に記載の「フィルタ36に大量の油分が付着すると、その一部が該フィルタ36を伝って流下し、機械室18の床面を汚損してしまう」という課題を解決するため、フィルタ82を凝縮器28に近づけるのではなく、オイルパン68に近づける構成を採用しています(引用文献1の図6をご参照)。したがって、当業者といえども、引用文献2の発明に対して、フィルタ82を凝縮器28に近づけるような変更を行う筈がありません。さらに、引用文献2では、明細書の段落[0004]に記載された上記課題を解決するために、図6に示されているように、凝縮器28とフィルタ82との間の間隔を広げています。すなわち、引用文献2の技術的思想は、凝縮器28からフィルタ82をかけ離れた位置に配置して、機械室18の床面の汚損を防ごうとするものです。一方、本願発明1の技術的思想は、熱交換器にろ材を有するフィルタを近づけたときの課題を解決するものです。したがって、引用文献2に記載された引用発明2-1に引用文献3の記載事項Aを適用しても、本願発明1の技術的思想を実現するための「蛇腹状に折り曲げられたろ材を有するフィルタが、熱交換器近傍に沿うように熱交換器に対して間隔をあけて筐体の吸込口に取り付けられている」という構成を導き出すことは、当業者といえども容易である筈がありません。」(3頁11行~同頁37行)
しかしながら、引用文献2の記載において、機械室18の床面の汚損を防ぐことは、ダクト78を凝縮器28とフロントパネル14との間に配設したことによるものであり、凝縮器28とフィルタ82との間の間隔と、機械室18の床面の汚損を防ぐこととの間に関係を認めることはできない。
そして、引用発明に引用文献2の記載事項を適用したものにおいて、フィルター18が凝縮器10の近傍に沿うように間隔をあけて配置することは、上記のとおり当業者が容易に想到し得たことである以上、請求人の上記主張は採用することができない。
3 効果について
そして、本願発明を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明、引用文献2の記載事項、引用文献3の記載事項及び周知事項から、当業者が予測し得る範囲のものである。
4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2の記載事項、引用文献3の記載事項及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-007087