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特許拒絶査定不服審判

2021-007035

係止バックル付き肢用止血帯

審判番号
2021-007035
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-521050外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月01日
審決日
2023年02月08日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-521050号「係止バックル付き肢用止血帯」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月26日国際公開、WO2018/075644、令和 1年12月12日国内公表、特表2019-535363号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2017年(平成29年)10月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年10月19日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 元年 8月23日提出:手続補正書
令和 2年 8月21日付け:拒絶理由通知書
令和 2年11月19日提出:意見書及び手続補正書
令和 3年 1月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年 6月 1日提出:審判請求書及び手続補正書
令和 3年12月15日提出:上申書
令和 4年 4月20日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 7月22日提出:意見書及び手続補正書

第2 本願発明について

令和 4年 7月22日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
(a)1対の対向端を有し、ひとの肢まわりでループ状にできる部分を含む、長尺の可撓性張力付帯部材と、
(b)ループ状になった前記張力付帯部材の一部分の張力を検知するように設けられた張力計測機構と、
(c)前記ループを形成している前記張力付帯部材の前記一部分において少なくともベースライン量の張力を検知すると、前記張力付帯部材の前記部分に係合し、その後、前記ひとの肢まわりに延びる前記ループの第1量の張力を保つように、前記張力付帯部材を保持するように設けられ、前記ベースライン量の張力が検知されると第1位置から第2位置まで動くように設けられた可動部材を含む第1固定機構と、
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(d)前記第1固定機構に付属し、前記可動部材が前記第2位置にあると、係合して前記第1固定機構の前記可動部材を前記第2位置に留めておくように設けられたラッチと、
(e)前記張力付帯部材に付属し、前記第1固定機構によって前記ループに前記ベースライン量の張力が生じているとき、前記ループの張力を前記ベースライン量を超えて増大させるように動作可能な張力増大機構と
を備える、ひとの肢の末端部での大量出血を止めるための止血帯であって、
前記張力計測機構および前記第1固定機構がバックルに含まれており、前記バックルが、
(i)基底部分と1対の対向側面とを有し、前記側面の一方から他方にわたって開口を中に画定する枠と、
(ii)前記枠の中で前記開口に設けられ、前記可動部材が係合部材を覆い隠す、前記枠に対する前記第1位置と、前記係合部材の少なくとも一部分が露出して前記可動部材の表面から突出して延びる、前記枠に対する前記第2位置との間において、移動可能である前記可動部材と、
(iii)前記可動部材を前記第1位置に押しやる弾性的圧縮性部材と
を備えており、
前記枠の前記基底部分が貫通孔を画定し、
前記可動部材が、前記貫通孔を通って延びる指状構造物を含むスライダであり、
前記スライダが、前記指状構造物から突出する引っ掛けを含み、
前記スライダが動いて前記基底部分に対する前記第2位置に来ると、前記引っ掛けに係合することができる前記基底部分上に位置するラッチ打撃面を前記基底部分が含み、
前記指状構造物を弾性的に付勢すると前記引っ掛けが押しやられて前記ラッチ打撃面に係合する、止血帯。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日という。」)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2015/0216536号明細書
引用文献2:米国特許出願公開第2014/0155797号明細書

第4 引用文献の記載事項及び引用発明

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1 引用文献1について

(1)引用文献1の記載事項

引用文献1には、以下の事項が記載されている(なお、下線及び和訳は当審で付した。以下同様である。)。

・第5ページ右欄第8~32行

「What is claimed is:
1. A device for occluding hemorrhage in an extremity of a person's limb comprising:
(a) an elongate flexible tension-bearing member arranged to be
formed into a loop;
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(b) a force-measuring mechanism arranged to sense tension in the tension-bearing member in the loop and in response to sensing tension of at least a first amount to engage the tension-bearing member so
as to establish a predetermined baseline amount of tension in the
tension-bearing member in the loop;
(c) a first fastening mechanism arranged to retain the
tension-bearing member so as to maintain the loop extending around
an extremity of a person's limb; and
(d) a tension-increasing mechanism operable, when a baseline amount of tension has been established in the loop by the first fastening mechanism, to tighten and increase tension in the loop.
・・・
3. The device of claim 1 wherein the force-measuring mechanism is
included in a buckle.」

(和訳)

「請求項1.
(a)ループを形成するように配置された細長い可撓性の張力支持部材
と、
(b)ループ状の張力支持部材の張力を検知し、少なくとも第一量の張力の検知に応答して張力支持部材と係合し、ループ状の張力支持部材に所定のベースライン量の張力を確立するように配置された力測定機構と、
(c)人の四肢の端部のまわりに延びるループを維持するように、張力支持部材を保持するように配置された第1固定機構と、
(d)第1固定機構によってループ内にベースライン量の張力が確立されたとき、ループ内の張力を引き締めて増大させるように操作可能な張力増大機構と、
を備える、人の四肢の端部における出血を閉塞するための装置。
・・・
請求項3.
力測定機構は、バックルに含まれる、請求項1に記載の装置。」
「[0039]・・・In FIG. 1, the tourniquet 20 is shown in place on a
patient's thigh T. As shown somewhat more clearly in FIGS.2 and 3,
the tourniquet 20 includes an elongate strap 22 having a first, or
outer, end 24 and a buckle 26 attached to its opposite, second,
end 28 as by a loop 29 around a part of the buckle 26.・・・」

(和訳)

「[0039]・・・図1には、止血帯20が、患者の大腿部T上に位置して示されている。図2及び図3により明確に示すように、止血帯20は、第1の又は外側の端部24と、バックル26の一部の周りのループ29により、その反対側の第2の端部28に取り付けられたバックル26を有する細長いストラップ22を備えている。・・・」

「[0043] The ribbon-like member 50 also extends through an aperture such as a slot 56 defined by and extending through a mid-length part of a rod-shaped winding member 58 located adjacent the backing
plate 30 as shown best in FIGS. 4 and 5 where a portion of the
ribbon-like member 50 is depicted with exaggerated length for the
sake of clarity. Preferably, the length of the ribbon-like member 50 is similar to that of the outer layers 42 and 44, so that the
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ribbon-like member 50 ordinarily lies closely alongside the layer 42 of the strap 22. The layer 44 of the strap 22 may be interrupted
near an end of the backing plate 30 to expose the ribbon-like
member 50 between the pairs of slots 32 in the backing plate
member 30. The winding member 58 can be utilized as a Spanish
windlass to twist and wind the ribbon-like member 50 and thus
effectively shorten the ribbon-like member 50, at least between the buckle 26 and the loop 29, to tighten the tourniquet further after a baseline amount of tension has been established. A retainer 60 may be attached to or may be formed as an integral part of an end 62 of the backing plate 30. The retainer 60 is oriented transversely with respect to the strap 22, with an open space 64 between opposite ends of the retainer 60, and each end is in the form of a C-shaped hook 68 large enough to receive and hold one of the opposite ends 66 of
the winding member 58.
[0044]The buckle 26 is a force-regulating buckle that cooperates
with the strap 22 by engaging the pins 40 in a respective pair of
the holes 34 spaced apart from each other along the length of the
strap 22 when a predetermined amount of tension in the strap 22 is
applied to the buckle 26. as shown in FIGS. 6 through 11, the buckle 26 may include two main parts, a rigid frame 70, and a sliding
block 72. A bar 54 at an inner end of the frame 70 is secured to the second end portion 28 of the strap 22 by the small loop 29 of the
fabric of the strap 22, including the ribbon-like member 50. The
outer end portion 75 of the strap 22 may extend through the opening defined by the frame 70, as shown best in FIGS. 4 and 5, sliding
along a contact surface of the curved face 76 of the sliding
block 72. A pair of holes 78 are defined in the sliding block 72,
and the pins 40 extend from the frame 70 into the holes 78, with
their ends preferably below or flush with the face 76 when the
buckle 26 is not in tension.」

(和訳)

「[0043] リボン状部材50はまた、図4及び図5に最もよく示されているように、裏当て板30に隣接して配置された棒状巻取部材58の中間の長さの部分によって画定され、その中を通って延びるスロット56などの開口を通って、延びている。ここでは、リボン状部材50の一部は、明確にするために、誇張された長さで描かれている。好ましくは、リボン状部材50の長さは、外層42及び44の長さに類似しており、それによりリボン状部材50は、通常、ストラップ22の層42と密接に隣接している。ストラップ22の層44は、裏当て板30の一端付近で途切れて、裏当て板30の一対のスロット32の間で、リボン状部材50が露出されてもよい。巻取部材58は、スペインのウインドラス(巻上機)として利用でき、リボン状部材50をねじって巻き上げ、少なくともバックル26とループ29との間でリボン状部材50を効果的に短縮し、ベースライン量の張力が生じた後に、さらに止血帯を締め上げることができる。保持具60が、裏当て板30の端部62に取り付けられるか又はその一体部分として形成されてもよい。保持具60は、ストラップ22に対して横向きであり、保持具60の両端間に開口空間64があり、各端は、巻取部材58の対向端66の片方を受け止めて支えるのに十分な大きさであるC字型フック68の形状をしている。
[0044] バックル26は、ストラップ22の所定量の張力がバックル26にかかると、ストラップ22の長さに沿って互いに離間した1対の穴34のそれぞれにピン40を係合することによってストラップ22と協働する力調整バックルである。図6から図11に示されるように、バックル26は、剛性フレーム70と、摺動ブロック72の2つの主要部品を含むことができる。フレーム70の内側端部にあるバー54は、リボン状部材50を含むストラップ22の布地の小さなループ29によって、ストラップ22の第2の端部28に固定される。ストラップ22の外側端部75は、フレーム70によって画定される開口を通って延びて、図4及び図5に最もよく示されるように、摺動ブロック72の曲面76の接触面に沿って摺動する。一対の穴78が摺動ブロック72内に画定され、ピン40は、フレーム70から穴78に延びており、バックル26が張力を受けていないとき、それらの端部は好ましくは面76の下方又は面一となっている。」
「[0046] Thus, in the gross circumference adjustment phase of
applying the emergency terminal tourniquet 20, holes 34 in the
strap 22 are engaged, and holes in the ribbon-like member 50, if
present, may be engaged by the prongs, or pins, 40 of the buckle 26 once a predetermined baseline level of tension is reached in the
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strap 22. It will be appreciated that a closer longitudinal spacing distance 36 between holes 34 should provide greater accuracy of the baseline tension.
[0047] When the strap 22 is engaged in the buckle 26 and placed in
sufficient tension against the curved face 76, once a pair of holes 34 in the strap 22 move into alignment with the holes 78 in the
sliding block 72 the tension in the strap 22 moves the sliding
block 72 so that the pins 40 protrude from the holes 78.
[0048] FIGS. 4 and 5 show a spring 84 positioned around one of the
pins 40. An identical spring 84 may be used on the other pin 40, as shown in FIG. 8, and there may be three springs 84, as shown in
FIG. 9, if desired to assure greater tension in the tourniquet 20.
The springs 84 are compressed somewhat when the sliding block 72 is in its fully extended position, as shown in FIGS. 4, 6, and 7A, so
that some force must be applied to the buckle 26 by tension in the
strap 22 before the sliding block 72 begins to move relative to the buckle frame 70. The internal springs 84 are compressed further as
the sliding block 72 moves right, toward the position shown in
FIGS. 5 and 7B, when there is sufficient tension in the strap 22.」

(和訳)

「[0046] このように、救急肢用止血帯20の装着における大まかな周囲長調整段階において、ストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22の穴34が係合され、存在する場合にはリボン状部材50の穴が、バックル26の突起又はピン40によって係合されてもよい。穴34同士の長手方向の間隔36が狭いほどベースライン張力の精度が高まることが理解されよう。
[0047] ストラップ22がバックル26に係合し、曲面76に対し十分な張力下に置かれている時に、ストラップ22の一対の穴34が、摺動ブロック72の穴78と整列するように移動すると、ストラップ22の張力は、ピン40が穴78から突出するように、摺動ブロック72を移動させる。
[0048] 図4および図5は、ピン40の一つの周りに配置されたばね84を示している。同じばね84が、図8に示すように、他方のピン40上で用いられてもよく、もし、止血帯20により大きい張力を確保しようとする場合には、図9に示すように、3個のばね84が設けられてもよい。摺動ブロック72がバックルフレーム70に対して相対的に移動し始める前に、ストラップ22の張力により力がバックル26に加えられなければならないため、ばね84は、図4、図6、図7Aに示されるように、摺動ブロック72が完全伸長位置にあるとき、若干圧縮されている。内部ばね84は、摺動ブロック72が図5および図7Bに示す位置に向かって右に移動するにつれ、更に圧縮され、ストラップ22に十分な張力を提供する。」
「[0051] Thus, when the proper initial amount of tension as
determined by the springs 84 in the buckle 26 has been reached in
the main loop portion of the emergency terminal tourniquet 20
wrapped around an injured limb of a patient, the pins 40 of the
buckle 26 will engage the strap 22, and so long as tension in the
main loop portion of the strap 22 extending from the bar 54 of the
buckle 26 and around the limb is not more than slightly reduced, the pins 40 will remain engaged in the holes 34. It will be understood that the buckle 26 could be constructed to include only one pin 40
or more than two pins 40 and that the strap 22 could be provided with compatibly located holes 34.」

(和訳)

「[0051] したがって、患者の負傷した四肢に巻き付けられた救急肢用止血帯20のメインループ部分において、バックル26のばね84によって決まる適切な初期量の張力に達したとき、バックル26のピン40がストラップ22に係合し、バックル26のバー54から四肢の周りに延びるストラップ22のメインループ部分の張力がわずかに減少しない限り、ピン40は穴34に係合したままである。 バックル26は、1つのみのピン40又は2つより多いピン40を含むように構成され、ストラップ22は、互換性のある位置にある穴34が与えられ得ることが理解されよう。」

引用文献1には、以下の図が記載されている。

図1

[図:0001398639000001.jpg]

図2

[図:0001398639000002.jpg]

図3

[図:0001398639000003.jpg]

図6

[図:0001398639000004.jpg]

図7

[図:0001398639000005.jpg]

図8

[図:0001398639000006.jpg]

図9

[図:0001398639000007.jpg]

(2)引用文献1からの認定事項

上記(1)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

ア 請求項1の「(a)ループを形成するように配置された細長い可撓性の張力支持部材と・・・を備える、人の四肢の端部における出血を閉塞するための装置。」の記載、段落[0039]の「止血帯20は、第1の又は外側の端部24と、バックル26の一部の周りのループ29により、その反対側の第2の端部28に取り付けられたバックル26を有する細長いストラップ22を備えている。・・・」の記載から、図1及び図2も踏まえると、

止血帯20は、第1の端部24と、その反対側の第2の端部28とを有し、人の四肢の端部のまわりでループを形成するように配置された細長い可撓性のストラップ22を備えるものである。

イ 請求項1の「(b)ループ状の張力支持部材の張力を検知し、少なくとも第一量の張力の検知に応答して張力支持部材と係合し、ループ状の張力支持部材に所定のベースライン量の張力を確立するように配置された力測定機構と、」の記載から、上記アも踏まえると、

止血帯20は、ループ状のストラップ22の張力を検知するように配置された力測定機構を備えるものである。

ウ 図7A及び図7B、請求項1の「(c)人の四肢の端部のまわりに延びるループを維持するように、張力支持部材を保持するように配置された第1固定機構と、」の記載、段落[0046]の「ストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22の穴34が係合され、存在する場合にはリボン状部材50の穴が、バックル26の突起又はピン40によって係合されてもよい。」の記載、段落[0047]の「ストラップ22がバックル26に係合し、曲面76に対し十分な張力下に置かれている時に、ストラップ22の一対の穴34が、摺動ブロック72の穴78と整列するように移動すると、ストラップ22の張力は、ピン40が穴78から突出するように、摺動ブロック72を移動させる。」の記載を踏まえると、摺動ブロック72がばね84を圧縮し、ストラップ22の穴34をピン40によって係合する機構は、第1固定機構と表現できる。

そして、請求項1の「(c)人の四肢の端部のまわりに延びるループを維持するように、張力支持部材を保持するように配置された第1固定機構と、」の記載、請求項3の「力測定機構は、バックルに含まれる」の記載、段落[0044]の「バックル26は、ストラップ22の所定量の張力がバックル26にかかると、ストラップ22の長さに沿って互いに離間した1対の穴34のそれぞれにピン40を係合することによってストラップ22と協働する力調整バックルである。」の記載、段落[0046]の「ストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22の穴34が係合され、存在する場合にはリボン状部材50の穴が、バックル26の突起又はピン40によって係合されてもよい。」の記載から、上記アも踏まえると、

止血帯20は、ループ状のストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22と係合する第1固定機構を備えるものである。

そして、ストラップ22が第1固定機構と係合した後は、係合が維持され、係合状態にあるストラップ22の張力は第1量の張力と表現できるから、第1固定機構が、人の四肢の端部のまわりに延びるループの第1量の張力を保つように、ストラップ22を保持するように設けられていることは明らかである。

エ 図7A記載の摺動ブロック72の位置は、第1位置と表現でき、また、図7B記載の摺動ブロック72の位置は、第2位置と表現できる。そして、段落[0046]の「ストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22の穴34が係合され、存在する場合にはリボン状部材50の穴が、バックル26の突起又はピン40によって係合されてもよい。」の記載、段落[0047]の「ストラップ22がバックル26に係合し、曲面76に対し十分な張力下に置かれている時に、ストラップ22の一対の穴34が、摺動ブロック72の穴78と整列するように移動すると、ストラップ22の張力は、ピン40が穴78から突出するように、摺動ブロック72を移動させる。」の記載を踏まえると、

摺動ブロック72は、所定のベースライン量の張力に到達すると第1位置から第2位置まで移動するように設けられている。

オ 上記ウ及びエを総合すると、

止血帯20は、ループ状のストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22と係合し、その後、人の四肢の端部のまわりに延びるループの第1量の張力を保つように、ストラップ22を保持するように設けられ、所定のベースライン量の張力に到達すると第1位置から第2位置まで移動するように設けられた摺動ブロック72を含む第1固定機構を備えるものである。

カ 段落[0043]の「・・・それによりリボン状部材50は、通常、ストラップ22の層42と密接に隣接している。・・・巻取部材58は、スペインのウインドラス(巻上機)として利用でき、リボン状部材50をねじって巻き上げ、少なくともバックル26とループ29との間でリボン状部材50を効果的に短縮し、ベースライン量の張力が生じた後に、さらに止血帯を締め上げることができる。」の記載から、図3及び上記オも踏まえると、

止血帯20は、ストラップ22の層42と密接に隣接するリボン状部材50に付属し、第1固定機構によってループにベースライン量の張力が生じた後に、さらに止血帯を締め上げることができる巻取部材58を備えるものである。

キ 請求項1の「人の四肢の端部における出血を閉塞するための装置。」の記載を踏まえると、

止血帯20は、人の四肢の端部における出血を閉塞するための止血帯20である。

ク 上記ウで検討したとおり、第1固定機構は、摺動ブロック72がばね84を圧縮し、ストラップ22の穴34をピン40によって係合する機構であるから、第1固定機構はバックル26に含まれている。

また、請求項3の「力測定機構は、バックルに含まれる」の記載から、力測定機構は、バックル26に含まれている。

したがって、力測定機構及び第1固定機構はバックル26に含まれている。

ケ 図7Aにおけるバックル26の左側の面と右側の面は、一対の対向側面と表現できる。また、図8からバックル26のフレーム70が枠状であることが看取でき、さらに、枠状のフレーム70のうち下側の辺にあたる部分は基底部分と表現できる。

そうすると、段落[0044]の「ストラップ22の外側端部75は、フレーム70によって画定される開口部を通って延びて、図4及び図5に最もよく示されるように、摺動ブロック72の曲面76の接触面に沿って摺動する。」の記載から、

バックル26は、基底部分と1対の対向側面とを有し、前記側面の一方から他方にわたって開口部を中に画定する枠状のフレーム70を備えている。

コ 上記エで検討したとおり、図7A記載の摺動ブロック72の位置は、第1位置と表現でき、また、図7B記載の摺動ブロック72の位置は、第2位置と表現できる。そうすると、図6~7から、

バックル26が、枠状のフレーム70の中で開口部に設けられ、摺動ブロック72がピン40を覆い隠す、枠状のフレーム70に対する第1位置と、ピン40の少なくとも一部分が露出して摺動ブロック72の表面から突出して延びる、前記枠状のフレーム70に対する第2位置との間において、移動可能である摺動ブロック72を備えることが看取できる。

サ 上記エで検討したとおり、図7A記載の摺動ブロック72の位置は、第1位置と表現できる。そうすると、段落[0048]の「ばね84は、図4、図6、図7Aに示されるように、摺動ブロック72が完全伸長位置にあるとき、若干圧縮されている。内部ばね84は、摺動ブロック72が図5および図7Bに示す位置に向かって右に移動するにつれ、更に圧縮され、ストラップ22に十分な張力を提供する。」の記載から、図7Aも踏まえると、

バックル26は、摺動ブロック72を第1位置に押しやるばね84を備えている。

(3)引用発明

上記(1)、(2)を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「(a)第1の端部24と、その反対側の第2の端部28とを有し、人の四肢の端部のまわりでループを形成するように配置された細長い可撓性のストラップ22と、
(b)ループ状のストラップ22の張力を検知するように配置された力測定機構と、
(c)ループ状のストラップ22において所定のベースライン量の張力に到達すると、ストラップ22と係合し、その後、人の四肢の端部のまわりに延びるループの第1量の張力を保つように、ストラップ22を保持するように設けられ、所定のベースライン量の張力に到達すると第1位置から第2位置まで移動するように設けられた摺動ブロック72を含む第1固定機構と、
(e)ストラップ22の層42と密接に隣接するリボン状部材50に付属し、第1固定機構によってループにベースライン量の張力が生じた後に、さらに止血帯を締め上げることができる巻取部材58と、
を備える、人の四肢の端部における出血を閉塞するための止血帯20であって、
力測定機構及び第1固定機構がバックル26に含まれており、前記バックル26が、
(i)基底部分と1対の対向側面とを有し、前記側面の一方から他方にわたって開口部を中に画定する枠状のフレーム70と、
(ii)枠状のフレーム70の中で開口部に設けられ、摺動ブロック72がピン40を覆い隠す、枠状のフレーム70に対する第1位置と、ピン40の少なくとも一部分が露出して摺動ブロック72の表面から突出して延びる、前記枠状のフレーム70に対する第2位置との間において、移動可能である摺動ブロック72と、
(iii)摺動ブロック72を第1位置に押しやるばね84と
を備えている、止血帯20。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2の記載事項

引用文献2には、以下の事項が記載されている。

「[0002] The present invention relates to medical emergency
equipment, and in particular to a buckle for use in a device for
supporting and controlling movement of a patient's injured pelvis.」

(和訳)

「[0002] 本発明は、緊急医療装置に関し、特に、患者の負傷した骨盤の動きを支持および制御するためのデバイスにおいて使用するためのバックルに関する。」

「[0047] Referring now to the drawings which form a part of the
disclosure herein, in FIG. 1 a pelvis supporting and stabilizing
device 30 for stabilizing a fractured pelvis, often called a pelvic sling, is shown in a condition in which it is ready for application to a person to provide stabilization and support for a fractured
pelvic ring. The device 30 is used by placing it on the person so
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that it encircles the hip region of the person, as shown in FIG. 2. A main body portion 32 is of strong flexible material and has the
general shape of a wide belt. A buckle 34 is attached to a first end portion 36 of the main body portion by a small loop 38 of a strap
of strong fabric such as woven Nylon webbing that is permanently
attached to the first end portion 36, as by being sewn in securely
to it. As used herein, the term “permanently attached” means that removal and reattachment are not easily accomplished by a user and
cannot be accomplished readily without the use of equipment similar to that needed for initial manufacture of the pelvic sling 30. A
large loop 40 of fabric which may be similar to that of the small
loop 36 may also be attached to the first end portion 36 of the main body so that the large loop 40 can be used as a handle by a person applying the pelvic sling 30 to an injured person, as will be
explained more fully presently.」

(和訳)

「[0047] ここで、開示の一部を形成する図面を参照すると、図1に、しばしば骨盤締め帯と呼ばれる、骨折した骨盤を安定させるための骨盤支持安定装置30が、骨折した骨盤環を安定させ支持するために人に適用する準備が整った状態で示されている。装置30は、図2に示されるように、人の臀部を取り囲むように人の上に置くことによって使用される。本体部分32は、強力で柔軟な材料でできており、幅の広いベルトの一般的な形状を有する。バックル34は、本体部分の第1の端部36にしっかりと縫い付けられることによって第1の端部36に恒久的に取り付けられた織られたナイロンウェビングなどの強い布のストラップの小さなループ38によって取り付けられる。ここで使用される『永久的に取り付けられた』という用語は、使用者が取り外し及び再取り付けを容易に行うことができず、骨盤締め帯30の最初の製造に必要な機器と同様の機器を使用しないと容易に行うことができないことを意味する。小さいループ36と同様であってもよい織物の大きなループ40も、本体の第1の端部36に取り付けられて、骨盤締め帯30を負傷した人に適用する人によって、大きなループ40がハンドルとして使用されるようにすることができる。」

「[0054] As shown in FIGS. 4-9, the buckle 34 is a force-controlled buckle and consists of at least two components, a substantially
rigid frame 60 and a sliding block or slider 62 which is mounted in the frame 60 and movable with respect to it. Both the frame 60 and
the slider may be molded of suitably strong synthetic plastics
resins. With the buckle 34 configured as shown in FIG. 1-4, the
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rigid frame 60 includes a transversely extending bow portion 64
which can be engaged by the small loop 68 of strap material attached to the first end portion 36 of the main body portion 32 of the
pelvic sling 30. The sliding block or slider 62 is movable relative to the buckle frame 60 in a longitudinal direction as indicated by
the arrow 66. The frame 60 defines an opening 68 which is a
passageway wide enough to receive the strap 44, which extends
through the opening 68 when the pelvic sling 30 is in use. When
there is little tension involved the strap 44 can slide easily along the convexly curved surface of the contact face 70 of the slider 62 as the strap 44 is pulled to tighten the pelvic sling 30 about a
person's pelvis.
[0055] A pair of holes 72 is defined in the slider 62, and the
pins 58 mentioned above with respect to FIGS. 2 and 3 are aligned
with the holes 72 and may extend at least a small distance into the holes. The frame 60 includes a base portion 74, opposite the bow 64, from which the pins 58 extend toward the slider 62 as may be seen
best in FIGS. 5-8.」

(和訳)

「[0054] 図4~9に示すように、バックル34は力調整バックルであり、実質的に剛性のフレーム60と、フレーム60に取り付けられフレーム60に対して移動可能な摺動ブロックまたはスライダ62の少なくとも2つの構成要素からなる。フレーム60とスライダの両方は、適度に強い合成プラスチック樹脂で成形することができる。図1~4に示すように構成されたバックル34を用いて、剛性フレーム60は、骨盤締め帯30の本体部分32の第1の端部36に取り付けられたストラップ材料の小さなループ68によって係合される横方向に延びる弓部分64を含む。摺動ブロック又はスライダ62は、矢印66によって示されるように、長手方向にバックルフレーム60に対して移動可能である。フレーム60は、ストラップ44を受け入れるのに十分な幅の通路である開口部68を画定し、ストラップ44は、骨盤締め帯30が使用される際に開口部68を通って延びる。張力がほとんどない時、ストラップ44を引っ張って人の骨盤の周りに骨盤締め帯30を締めると、ストラップ44はスライダ62の接触面70の凸状に湾曲した表面に沿って容易に摺動できる。
[0055] 一対の穴72がスライダ62に画定され、図2及び3に関して上述したピン58が、穴72と位置合わせされ、穴内に少なくとも短い距離伸長することができる。フレーム60は、弓状部64の反対側に基部74を含み、そこからピン58が、図5~8に最も良く示されているように、スライダ62に向かって延びている。」
「[0060] Once sufficient tension is provided in the strap 44, urging the buckle away from the first end portion 36 of the main body
portion of the pelvic sling 30, as the strap 44 is moved further
along the convex contact surface 70 of the slider 62, a pair of
holes 50 in the strap 44 will move into alignment with the holes 72 in the slider 62. This will allow the pins 58 to enter into the
holes 50 in the strap 44 as the slider 62 compresses the springs 76 further and moves along the pins 58 toward the base 74 of the
frame 60.」

(和訳)

「[0060] ストラップ44に十分な張力が与えられると、バックルを骨盤締め帯30の本体部分の第1の端部36から遠ざけながら、ストラップ44がスライダ62の凸状接触面70に沿ってさらに移動するので、ストラップ44の一対の穴50は、スライダ62の穴72と整列するように移動する。これにより、スライダ62がばね76をさらに圧縮し、ピン58に沿ってフレーム60のベース74に向かって移動するので、ピン58がストラップ44の穴50に入ることを可能にする。」

「[0062] As the slider 62, urged by the strap 44, moves from the
position shown in FIG. 6 toward the base portion 74 of the frame 60, the cam surface 100 engages and rides upon the lower margin of the receptacle 98, and the cam 100 forces the latch finger 92 inward,
disengaging the catch 96 from the receptacle 98 and allowing the
catch 96 to ride along a surface extending generally longitudinally of the frame as shown in FIG. 9B. When the slider 62 has moved a
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desired distance, far enough to expose the tips of the pins 58 far
enough to extend into the holes 50 in the strap 44 and to engage the strap 44 securely to accept and bear the longitudinal forces in the strap, each catch 96 can be moved elastically by the respective
latch finger 92 to move beneath the bottom of the frame and engage a latch strike surface 102 at the bottom of the frame locking
receptacle. With the catches 96 engaged with the latch strike
surfaces 102, the slider 62 is no longer free to move under the
influence of the springs toward the position shown in FIG. 6 and
thus hide the tips of the pins 58 and allow the strap 44 to slide
along the convex strap contact face 70 of the slider 62. This makes it easier for a person placing the pelvic sling 30 on a patient to
secure the portion of the strap 44 extending beyond the buckle 34 to the first end portion 36, using the hook-and-loop fastener
materials 54 and 56 previously described, or by some other means.」

(和訳)

「[0062] ストラップ44によって付勢されたスライダ62が、図6に示す位置からフレーム60の基部74に向かって移動すると、カム面100はレセプタクル98の下縁に係合して乗り上げ、カム100はラッチフィンガ92を内側に押し込み、キャッチ96をレセプタクル98から外し、キャッチ96が、図9Bに示されるように、フレームのほぼ長手方向に延在する表面に沿って乗ることを可能にする。スライダ62が、ピン58の先端を露出させ、ストラップ44の穴50内に延在させ、ストラップ44をしっかりと係合させ、ストラップ内の長手方向の力を受け入れて耐えることができるように十分な所望の距離だけ移動したとき、各キャッチ96は、それぞれのラッチフィンガ92によって弾性的に動かされて、フレームの底部の下方に移動し、フレームロックレセプタクルの底部でラッチ衝突面102と係合することができる。キャッチ96がラッチ衝突面102と係合すると、スライダ62は、ばねの影響下で、図6に示す位置に向かって、ひいては、ピン58の先端を隠し、ストラップ44がスライダ62の凸状ストラップ接触面70に沿ってスライドできる位置に向かって、自由に移動できなくなる。これにより、骨盤締め帯30を患者に装着する人が、バックル34を超えて延びるストラップ44の部分を、前述の面ファスナー材料54及び56を使用して、または他の手段によって、第1の端部36に固定することが容易になる。」

「[0067] As shown in FIGS. 19-23, a buckle 190 is similar in many
respects to the buckle 164 shown in FIGS. 14-18, but instead of
having a pair of flexible fingers extending from the slider 192,
only a single, centrally located finger 194 is provided. The finger 194 extends through a centrally located through-hole 196 in the
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base 198 of the buckle frame 200, where a notch 202 is defined at
one side of the through-hole 196 and defines strike faces 204.
Extending on at least one side and shown on both sides of the
finger 194 as shown in FIGS. 16-18, a crossbar 206 includes a cam
surface 208 and latching surface 210 similar to those of the fingers 168 in the previously described buckle 164.
[0068] To assist in unlatching the slider from the latched, or
engaged, position of the slider, a thumb rest 212 is provided on
one side of the base portion 198, facilitating flexing of the
finger 194 to disengage the latch and release the slider 192 to move toward the bow end of the frame. The thumb rest 212 also provides a definite indication of which way the finger 194 has to be moved to release it from engagement in the notch 202.」

(和訳)

「[0067] 図19~23に示されるように、バックル190は、多くの点で、図14~18に示されるバックル164と類似している。しかし、スライダ192から延びる一対の可撓性フィンガを有する代わりに一つのみの、中央に配置されたフィンガ194が提供される。フィンガ194は、バックルフレーム200の基部198の中央に配置された貫通孔196を通って延び、そこには、切り欠き202が貫通孔196の片側に画定され、打撃面204を画定している。少なくとも一方の側に延び、図16~18に示すようにフィンガ194の両側に延在しているクロスバー206は、前述のバックル164のフィンガ168のものと同様のカム面208及びラッチ面210を含む。
[0068] スライダのラッチまたは係合位置からスライダを外すのを助けるために、ベース部分198の一方の側に親指レスト212が設けられており、フィンガ194を曲げてラッチを外し、スライダ192を解放してフレームの弓状先端に向かって移動させるのを容易にしている。親指レスト212はまた、ノッチ202への係合からフィンガ194を解放するために、フィンガ194を動かさなければならない方向の明確な指示を提供する。」

引用文献2には以下の図が記載されている。

図1

[図:0001398639000008.jpg]

図2

[図:0001398639000009.jpg]

図19

[図:0001398639000010.jpg]

図20

[図:0001398639000011.jpg]

図21

[図:0001398639000012.jpg]

図22

[図:0001398639000013.jpg]

図23

[図:0001398639000014.jpg]

(2)引用文献2からの認定事項

上記(1)の記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

ア 図2から、本体部32及びストラップ44がループ状になっていることが看取できる。

そして、段落[0054]の「 図4~9に示すように、バックル34は力調整バックルであり、実質的に剛性のフレーム60と、フレーム60に取り付けられフレーム60に対して移動可能な摺動ブロックまたはスライダ62の少なくとも2つの構成要素からなる。」の記載、段落[0060]の「ストラップ44に十分な張力が与えられると、バックルを骨盤締め帯30の本体部分の第1の端部36から遠ざけながら、ストラップ44がスライダ62の凸状接触面70に沿ってさらに移動するので、ストラップ44の一対の穴50は、スライダ62の穴72と整列するように移動する。これにより、スライダ62がばね76をさらに圧縮し、ピン58に沿ってフレーム60のベース74に向かって移動するので、ピン58がストラップ44の穴50に入ることを可能にする。」の記載から、

ストラップ44に十分な張力が与えられると、スライダ62がばね76を圧縮して移動することは、ストラップ44の張力を、スライダ62及びばね76により検知していると表現できるから、当該スライダ62及びばね76は張力計測機構と表現できる。

そして、段落[0067]の「図19~23に示されるように、バックル190は、多くの点で、図14~18に示されるバックル164と類似している。しかし、スライダ192から延びる一対の可撓性フィンガを有する代わりに一つのみの、中央に配置されたフィンガ194が提供される。」の記載から、バックル190が、フィンガ194を除いて、バックル164と同様の構成を備えることは明らかである。

以上より、バックル190は、(b)ループ状になった本体部32及びストラップ44の一部分の張力を検知するように設けられた張力計測機構、を含むものである。

イ 図20及~図22に記載されるとおり、スライダ192がばね76を圧縮し、ピン58がストラップ44の穴50に入る機構は、スライダ192を含む第1固定機構と表現できる。

そして、段落[0060]の「ストラップ44に十分な張力が与えられると、バックルを骨盤締め帯30の本体部分の第1の端部36から遠ざけながら、ストラップ44がスライダ62の凸状接触面70に沿ってさらに移動するので、ストラップ44の一対の穴50は、スライダ62の穴72と整列するように移動する。これにより、スライダ62がばね76をさらに圧縮し、ピン58に沿ってフレーム60のベース74に向かって移動するので、ピン58がストラップ44の穴50に入ることを可能にする。」の記載から、上記アも踏まえると、

図19~23記載のバックル190は、(c)前記ループを形成している本体部32及びストラップ44の一部分において十分な張力が与えられると、ストラップ44の前記部分に係合する、スライダ192を含む第1固定機構、を備えている。

また、段落[0047]の「装置30は、図2に示されるように、人の臀部を取り囲むように人の上に置くことによって使用される。」から、前記ループは、人の臀部を取り囲むように延びている。

さらに、ストラップ44が第1固定機構と係合した後は、係合が維持され、係合状態にあるストラップ44の張力は第1量の張力と表現できるから、スライダ192を含む第1固定機構が、人の臀部を取り囲むように延びている前記ループの第1量の張力を保つように、ストラップ44を保持するように設けられていることは明らかである。

ウ 図21記載のスライダ192の位置は、第1位置と表現でき、また、図20記載のスライダ192の位置は、第2位置と表現できる。そして、段落[0060]の「ストラップ44に十分な張力が与えられると、バックルを骨盤締め帯30の本体部分の第1の端部36から遠ざけながら、ストラップ44がスライダ62の凸状接触面70に沿ってさらに移動するので、ストラップ44の一対の穴50は、スライダ62の穴72と整列するように移動する。これにより、スライダ62がばね76をさらに圧縮し、ピン58に沿ってフレーム60のベース74に向かって移動するので、ピン58がストラップ44の穴50に入ることを可能にする。」の記載から、上記アも踏まえると、

スライダ192は、十分な張力が与えられると第1位置から第2位置まで移動するように設けられている。

エ 上記イ及びウを総合すると、

バックル190は、(c)前記ループを形成している本体部32及びストラップ44の一部分において十分な張力が与えられると、ストラップ44の前記部分に係し、その後、人の臀部を取り囲むように延びている前記ループの第1量の張力を保つように、ストラップ44を保持するように設けられ、前記十分な張力が与えられると第1位置から第2位置まで移動するように設けられたスライダ192を含む第1固定機構、を備えるものである。

オ 段落[0067]の「スライダ192から延びる一対の可撓性フィンガを有する代わりに一つのみの、中央に配置されたフィンガ194が提供される。フィンガ194は、バックルフレーム200の基部198の中央に配置された貫通孔196を通って延び、そこには、切り欠き202が貫通孔196の片側に画定され、打撃面204を画定している。少なくとも一方の側に延び、図16~18に示すようにフィンガ194の両側に延在しているクロスバー206は、前述のバックル164のフィンガ168のものと同様のカム面208及びラッチ面210を含む。」なる記載及び上記ウで検討したとおり図20記載のスライダ192の位置が第2位置と表現できることから、上記エも踏まえると、

バックル190は、(d)前記第1固定機構に付属し、前記スライダ192が前記第2位置にあると、係合して前記第1固定機構の前記スライダ192を前記第2位置に留めておくように設けられたラッチ、を備えるものである。

カ 段落[0067]の「スライダ192から延びる一対の可撓性フィンガを有する代わりに一つのみの、中央に配置されたフィンガ194が提供される。フィンガ194は、バックルフレーム200の基部198の中央に配置された貫通孔196を通って延び、そこには、切り欠き202が貫通孔196の片側に画定され、打撃面204を画定している。少なくとも一方の側に延び、図16~18に示すようにフィンガ194の両側に延在しているクロスバー206は、前述のバックル164のフィンガ168のものと同様のカム面208及びラッチ面210を含む。」なる記載から、上記オも踏まえると

バックル190は、バックルフレーム200の基部198の中央に貫通孔196が配置され、前記スライダ192が、前記貫通孔196を通って延在するフィンガ194を含むスライダ192であり、前記スライダ192が、前記フィンガ194の両側に延在しているクロスバー206を含んでいる。

キ さらに、同段落[0067]の「スライダ192から延びる一対の可撓性フィンガを有する代わりに一つのみの、中央に配置されたフィンガ194が提供される。フィンガ194は、バックルフレーム200の基部198の中央に配置された貫通孔196を通って延び、そこには、切り欠き202が貫通孔196の片側に画定され、打撃面204を画定している。少なくとも一方の側に延び、図16~18に示すようにフィンガ194の両側に延在しているクロスバー206は、前述のバックル164のフィンガ168のものと同様のカム面208及びラッチ面210を含む。」なる記載及び上記ウで検討したとおり図20記載のスライダ192の位置が第2位置と表現できることから、

バックル190は、前記スライダ192が動いて前記基部198に対する前記第2位置に来ると、前記クロスバー206に係合することができる前記基部198上に位置する打撃面204を前記基部198が含み、前記フィンガ194を弾性的に付勢すると前記クロスバー206が押しやられて前記打撃面204に係合する、ものである。

(3)引用文献2に記載された技術的事項

上記(1)、(2)を踏まえると、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「(b)ループ状になった本体部32及びストラップ44の一部分の張力を検知するように設けられた張力計測機構と、
(c)前記ループを形成している本体部32及びストラップ44の一部分において十分な張力が与えられると、ストラップ44の前記部分に係合し、その後、前記人の臀部を取り囲むように延びている前記ループの第1量の張力を保つように、前記ストラップ44を保持するように設けられ、前記十分な張力が与えられると第1位置から第2位置まで移動するように設けられたスライダ192を含む第1固定機構と、
(d)前記第1固定機構に付属し、前記スライダ192が前記第2位置にあると、係合して前記第1固定機構の前記スライダ192を前記第2位置に留めておくように設けられたラッチと、
を備える、バックル190であって、前記バックル190が、
バックルフレーム200の基部198の中央に貫通孔196が配置され、
前記スライダ192が、前記貫通孔196を通って延びるフィンガ194を含むスライダ192であり、
前記スライダ192が、前記フィンガ194の両側に延在しているクロスバー206を含み、
前記スライダ192が動いて前記基部198に対する前記第2位置に来ると、前記クロスバー206に係合することができる前記基部198上に位置する打撃面204を前記基部198が含み、
前記フィンガ194を弾性的に付勢すると前記クロスバー206が押しやられて前記打撃面204に係合する、バックル190。」

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。

引用発明の「第1の端部24と、その反対側の第2の端部28とを有」することは、本願発明の「1対の対向端を有」することに相当し、以下同様に、

「人の四肢の端部のまわり」は「ひとの肢まわり」に、

「ループを形成するように配置された」は「ループ状にできる部分を含む、」に、

「細長い」は「長尺の」に、

「可撓性のストラップ22」又は「ストラップ22の層42と密接に隣接するリボン状部材50」は「可撓性張力付帯部材」に、

「ループ状の」は「ループ状になった」又は「ループを形成している」に、

「ストラップ22の張力」は「張力付帯部材の一部分の張力」に、

「配置された」は「設けられた」に、

「力測定機構」は、張力を検知するように配置されたものであるから、「張力計測機構」に、

「ストラップ22において」は「張力付帯部材の前記一部分において」に、

「所定のベースライン量の張力に到達すると」は、張力は力測定機構により検知されるから、「少なくともベースライン量の張力を検知すると」又は「ベースライン量の張力が検知されると」に、

「ストラップ22と係合し」は「張力付帯部材の前記部分に係合し」に、

「移動するように設けられた」は「動くように設けられた」に、

「摺動ブロック72」は「可動部材」に、

「ループにベースライン量の張力が生じた後に、さらに止血帯を締め上げることができる」ことは「前記ループに前記ベースライン量の張力が生じているとき、前記ループの張力を前記ベースライン量を超えて増大させるように動作可能な」ことに、

「巻取部材58」は、さらに止血帯を締め上げることができるものであるから、「張力増大機構」に、

「人の四肢の端部における出血を閉塞するための止血帯20」は「ひとの肢の末端部での大量出血を止めるための止血帯」に、

「バックル26」は「バックル」に、

「開口部」は「開口」に、

「枠状のフレーム70」は「枠」に、

「ピン40」は「係合部材」に、

「ばね84」は「弾性的圧縮性部材」に、

それぞれ相当する。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「(a)1対の対向端を有し、ひとの肢まわりでループ状にできる部分を含む、長尺の可撓性張力付帯部材と、
(b)ループ状になった前記張力付帯部材の一部分の張力を検知するように設けられた張力計測機構と、
(c)前記ループを形成している前記張力付帯部材の前記一部分において少なくともベースライン量の張力を検知すると、前記張力付帯部材の前記部分に係合し、その後、前記ひとの肢まわりに延びる前記ループの第1量の張力を保つように、前記張力付帯部材を保持するように設けられ、前記ベースライン量の張力が検知されると第1位置から第2位置まで動くように設けられた可動部材を含む第1固定機構と、
(e)前記張力付帯部材に付属し、前記第1固定機構によって前記ループに前記ベースライン量の張力が生じているとき、前記ループの張力を前記ベースライン量を超えて増大させるように動作可能な張力増大機構と
を備える、ひとの肢の末端部での大量出血を止めるための止血帯であって、
前記張力計測機構および前記第1固定機構がバックルに含まれており、前記バックルが、
(i)基底部分と1対の対向側面とを有し、前記側面の一方から他方にわたって開口を中に画定する枠と、
(ii)前記枠の中で前記開口に設けられ、前記可動部材が係合部材を覆い隠す、前記枠に対する前記第1位置と、前記係合部材の少なくとも一部分が露出して前記可動部材の表面から突出して延びる、前記枠に対する前記第2位置との間において、移動可能である前記可動部材と、
(iii)前記可動部材を前記第1位置に押しやる弾性的圧縮性部材と
を備えている、止血帯。」

【相違点】

本願発明は、止血帯が「(d)前記第1固定機構に付属し、前記可動部材が前記第2位置にあると、係合して前記第1固定機構の前記可動部材を前記第2位置に留めておくように設けられたラッチ」を有し、バックルが「前記枠の前記基底部分が貫通孔を画定し、前記可動部材が、前記貫通孔を通って延びる指状構造物を含むスライダであり、前記スライダが、前記指状構造物から突出する引っ掛けを含み、前記スライダが動いて前記基底部分に対する前記第2位置に来ると、前記引っ掛けに係合することができる前記基底部分上に位置するラッチ打撃面を前記基底部分が含み、前記指状構造物を弾性的に付勢すると前記引っ掛けが押しやられて前記ラッチ打撃面に係合する」ものであるのに対し、引用発明のバックル26はそのようなラッチに係る構成を有しない点。

第6 判断

上記相違点について検討する。

ア 上記第4、2、(3)に示した引用文献2に記載された技術的事項における「本体部32及びストラップ44」又は「ストラップ44」は本願発明の「張力付帯部材」に相当し、以下同様に、

「十分な張力が与えられる」こと及び「十分な張力が検知される」ことは、当該張力により、スライダ192が第1位置から第2位置まで動くから、「少なくともベースライン量の張力を検知する」ことに、

「人の」は「ひとの」に、

「取り囲むように延びている」は「まわりに延びる」に、

「移動するように」は「動くように」に、

「スライダ192」は「可動部材」又は「スライダ」に、

「バックル190」は「バックル」に、

「バックルフレーム200」は「枠」に、

「基部198」は「基底部分」に、

「貫通孔196」は「貫通孔」に、

「基部198の中央に貫通孔196が配置され」ることは「基底部分が貫通孔を画定」することに、

「フィンガ194」は「指状構造物」に、

「フィンガ194の両側に延在している」ことは「指状構造物から突出する」ことに、

「クロスバー206」は「引っ掛け」に、

「打撃面204」は「ラッチ打撃面」に、

それぞれ相当する。

イ そうすると、上記引用文献2記載の技術的事項は、本願発明の文言で表現すると、

「(b)ループ状になった前記張力付帯部材の一部分の張力を検知するように設けられた張力計測機構と、
(c)前記ループを形成している前記張力付帯部材の前記一部分において少なくともベースライン量の張力を検知すると、前記張力付帯部材の前記部分に係合し、その後、前記ひとの臀部まわりに延びる前記ループの第1量の張力を保つように、前記張力付帯部材を保持するように設けられ、前記ベースライン量の張力が検知されると第1位置から第2位置まで動くように設けられた可動部材を含む第1固定機構と、
(d)前記第1固定機構に付属し、前記可動部材が前記第2位置にあると、係合して前記第1固定機構の前記可動部材を前記第2位置に留めておくように設けられたラッチと、
を備える、バックルであって、前記バックルが、
枠の基底部分が貫通孔を画定し、前記可動部材が、前記貫通孔を通って延びる指状構造物を含むスライダであり、前記スライダが、前記指状構造物から突出する引っ掛けを含み、前記スライダが動いて前記基底部分に対する前記第2位置に来ると、前記引っ掛けに係合することができる前記基底部分上に位置するラッチ打撃面を前記基底部分が含み、前記指状構造物を弾性的に付勢すると前記引っ掛けが押しやられて前記ラッチ打撃面に係合する、バックル」と表現できる。

ウ そして、止血帯の技術分野において、止血帯が外れて緩むことを防止すべきことは周知の課題であって、引用発明においても内在する課題である。 また、引用発明のバックル26と引用文献2に記載された技術的事項のバックル190とは、いずれも、(b)「張力計測機構」と、(c)「可動部材を含む第1固定機構」とを備える点で、共通の機能を有するものである。

そうすると、引用発明において、上記周知の課題である止血帯が外れて緩むことを防止すべく、上記引用文献2に記載された技術的事項である、バックルに「(d)前記第1固定機構に付属し、前記スライダ192(可動部材)が前記第2位置にあると、係合して前記第1固定機構の前記スライダ192(可動部材)を前記第2位置に留めておくように設けられたラッチ」を設けるとともに、バックルを「バックルフレーム200の基部198の中央に貫通孔196が配置され(枠の基底部分が貫通孔を画定し)、前記スライダ192(可動部材)が、前記貫通孔196(貫通孔)を通って延びるフィンガ194(指状構造物)を含むスライダ192(スライダ)であり、前記スライダ192(スライダ)が、前記フィンガ194の両側に延在しているクロスバー206(指状構造物から突出する引っ掛け)を含み、前記スライダ192(スライダ)が動いて前記基部198(基底部分)に対する前記第2位置に来ると、前記クロスバー206(引っ掛け)に係合することができる前記基部198(基底部分)上に位置する打撃面204(ラッチ打撃面)を前記基部198(基底部分)が含み、前記フィンガ194(指状構造物)を弾性的に付勢すると前記クロスバー206(引っ掛け)が押しやられて前記打撃面204(ラッチ打撃面)に係合する」ものとする点を採用し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

エ そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項が奏する作用効果から当業者が予測し得た程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本願発明は、引用発明と引用文献2に記載された技術的事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-007035

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