2021-006674
抗がん剤。
- 審判番号
- 2021-006674
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-110920外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年03月27日
- 審決日
- 2023年01月06日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】石井 均
- 分類
- P18 .537-Z (A61K) / P18 .536-Z (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第2条第3項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
この出願(以下「本願」という。)は、令和2年6月1日の特許出願であって、その主な手続の経緯は次のとおりである。
同年12月 7日 : 意見書の受付
(同年 3月23日 : 原査定の謄本の送達)
同年 3月29日 : 審判請求書の受付
第2 本願発明
本願の願書に添付した特許請求の範囲は、請求項1のみからなるものであって、当該請求項1は、本願の出願時から補正されておらず、その記載は、次のとおりである。以下、請求項1に係る発明を「本願発明」ということがある。
「【請求項1】がんの治療方法として、変性剤をがん細胞に投与して、変性をおこし、DNAとRNAを壊すことにより、がん細胞の機能を停止し、がんの治療をするための、変性剤という抗がん剤。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定は、「この出願については、令和2年11月19日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-5によって、拒絶をすべきものです。」というものであり、上記令和2年11月19日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-5のうち、理由3は、
「3.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」
というものであり、理由4は、
「4.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」
というものである。
そして、令和2年11月19日付け拒絶理由通知書では、上記理由3及び4について、概略、次の点が指摘されている。
「●理由3(実施可能要件)、理由4(サポート要件)について・・・これを本願の発明の詳細な説明についてみると、該変性剤によるDNAとRNAを破壊することによる、がん細胞の機能停止効果を確認した薬理試験方法も薬理試験結果も開示されておらず、かつ、DNAとRNAを壊すことにより、がん細胞の機能を停止することが可能な変性剤として、具体的にいかなる化学構造を有する化合物が該当するのかについても何ら記載されていない。」
また、原査定では、上記理由3及び4について、概略、次の点が指摘されている。
「●理由3(特許法第36条第4項第1号)、理由4(特許法第36条第6項第1号)について・・・出願人は意見書において、「薬理試験結果が必要なものは、技術常識から論理的に結論が出ない場合です。実際、薬理試験結果がなくても、特許査定を受けている案件はあります。」と主張している。しかしながら、・・・、明細書をみても、実施するための形態として「手術により、がん細胞に変性剤を投与する」と記載されているのみであって、「変性剤という抗がん剤」を、具体的にどのように投与し、どのようにがん細胞まで送達させ、正常細胞に影響を与えずにがん細胞のみに作用させ、どのように「抗がん剤」として機能させて使用するのか、についての具体的な記載はなく、・・・「出願時の技術常識から当業者がその物を使用できる場合」にも当たらないから、使用方法の記載がなくても実施可能要件違反としない場合に当たらず、上記主張は採用できない。」
第4 本願明細書の記載事項
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本願の願書に添付した明細書(以下「本願明細書」という。)には、以下の事項が記載されている(全文を引用した。本願の出願時から補正はされていない。なお、下線は当審合議体が付したものである。)。
「【発明の名称】抗がん剤。【技術分野】【0001】本発明は、がん細胞の機能を停止する抗がん剤に関する。続きを表示(全17行)【背景技術】【0002】がん細胞の機能を停止する方法がない。【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】がん細胞の機能を停止するための抗がん剤を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成するため、次の構成を採用する。がんの治療方法として、変性剤をがん細胞に投与して、変性をおこし、DNAとRNAを壊すことにより、がん細胞の機能を停止し、がんを治療する。【発明の効果】変性剤を抗がん剤としてがん細胞に投与して、がん細胞の機能を停止して、がんの治療をする。【発明を実施するための形態】手術により、がん細胞に変性剤を投与する。」
第5 当審の判断
当審合議体は、上記第3に示した原査定の拒絶の理由のうち、理由3のとおり、明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、理由4のとおり、本願発明は明細書の発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許請求の範囲の記載が同法同条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、と判断する。その理由の詳細は、以下のとおりである。
1 特許法第36条第4項第1号に規定する要件(実施可能要件)について
(1) 実施可能要件の判断の前提
特許法第36条第4項第1号は、明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでなければならない旨を定めているところ(いわゆる「実施可能要件」)、この規定にいう「実施」とは、物の発明にあっては、その物の生産、使用等をする行為をいうものであるから(特許法第2条第3項第1号)、明細書の発明の詳細な説明の記載が、物の発明について実施可能要件を満たすためには、出願時の技術常識に照らして、当業者が、その物を生産できることに加えて使用できる程度のものでなければならない、というべきである。
上記観点から、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が、本願発明について実施可能要件を満たすか否か、以下検討する。
(2) 本願の出願時の技術常識について
ア
核酸(DNA及びRNA)の「変性剤」について、例えば、特表2012-518430号公報(公表日:平成24年8月16日)には、以下の記載がある(下線は当審合議体が付したものである。以下、他の文献の引用箇所に付した下線も同様である。)。
「【0001】本発明は、ターゲット及びプローブを別々に変性させることを含むハイブリダイゼーション用途のための組成物及び方法に関する。一実施態様では、本発明は、DNA及びRNAのインビボ、インビトロ、及びインサイツでの分子的検査に使用できる。・・・」
「【0050】ここで使用される「変性」は、核酸又はタンパク質が、化合物、例えば・・・、有機溶媒の適用により、及び/又は例えば熱のような外部ストレスにより、その三次及び/又は二次構造を減少させたり又は失わせたりする過程を意味する。これは、変性が核酸に関連し、上記核酸が二本鎖である場合、その鎖が部分的に又は完全に分離することを意味する。・・・。【0051】「変性剤」は、水に比して核酸の相補鎖の相互結合親和性を低減させることのできる任意の物質を意味する。変性剤の非限定的な典型例は、ホルムアミド、尿素、DMSO及びテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物又はその組み合わせのような有機溶媒を含む。・・・。」
イ
また、国際公開第2018/073934号(国際公開日:2018年4月26日)には、以下の記載がある。
「[0034] 本発明の一実施形態は、ナノポアを用いた分析のために生体分子を処理する方法であって、・・・、少なくとも一部の高次構造が融解された生体分子と、を含む試料溶液を用意する工程を含む方法である。」
「[0048] ・・・、「高次構造が融解される」とは、高次構造が解かれることを意味し、例えば、・・・二本鎖核酸もしくは三本鎖核酸のハイブリダイゼーション構造が解かれること、・・・を意味する。」
「[0052] ・・・、生体分子と、該生体分子の高次構造を融解させる変性剤とを含む溶液を調製することにより、試料溶液を用意する。少なくとも一部の高次構造が融解された生体分子は、変性剤に基づく変性作用により得られる。変性剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、生体分子が核酸の場合は、ホルムアミド、ホルムアルデヒド、尿素、DMSOなどを用いることができ、・・・。」
ウ
加えて、特表2005-507674号公報(公表日:平成17年3月24日)には、以下の記載がある。
「【請求項1】迅速乾燥アッセイ法の形で、核酸を検出、識別および特徴付けするための方法であって、・・・・(i)二本鎖核酸の場合、検出されるべき核酸を変性し、その後中和する段階、(ii)穏やかな変性剤を含む流動緩衝液において検出されるべき核酸を該試料受け取りゾーンへ添加する段階、・・・を含むことをさらに特徴とする方法。」
「【請求項10】方法段階(ii)による流動緩衝液がリン酸緩衝液であり、かつ該流動緩衝液に含まれる穏やかな変性剤が、ホルムアミド、DMSO、尿素のうちの1つまたは複数であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。」
「【0037】・・・。検出されるべき核酸の変性は、二本鎖核酸が試料に存在している場合に、常に必要とされる。・・・、好ましくは、方法段階(ii)による流動緩衝液が、リン酸またはトリス緩衝液であり、穏やかな変性剤として、ホルムアミド、DMSO、尿素のうちの1個または複数個を含むことである。」
エ
上記ア~ウによれば、「尿素」等の化合物が、核酸(DNA及びRNA)の「変性剤」であること、これらの「変性剤」が、溶液中の2本鎖の核酸の鎖を部分的に又は完全に分離させること、及び、当該「変性剤」が、核酸の検査や分析等に利用されることは、本願の出願時の技術常識であったと認められる。
(3) 本願発明についての実施可能要件の検討
ア
上記第2に示した請求項1の記載によれば、本願発明は「変性剤という抗がん剤」という「物」の発明であって、該「抗がん剤」は、「変性剤」からなるものと認められ、がんの治療方法として、「変性剤」をがん細胞に投与して、変性をおこし、「DNAとRNAを壊す」ことにより、「がん細胞の機能を停止」し、がんの治療をする、というものである。
そうすると、物の発明である本願発明について、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たすためには、当業者が上記「変性剤という抗がん剤」を使用できると理解し得ることが必要であり、そのためには、「変性剤」をがん細胞に実際に投与した場合に、変性がおこり、がん細胞内の細胞核内に到達して、該細胞核内に存在するDNAとRNAが壊れ、それにより、がん細胞の機能が停止し、がんの治療ができるということを、当業者が、本願の出願時の技術常識に照らして、本願明細書の発明の詳細な説明の記載から理解し得ることが必要である。
イ
上記第4に全文を引用した本願明細書の【課題を解決するための手段】の欄には、「がんの治療方法として、変性剤をがん細胞に投与して、変性をおこし、DNAとRNAを壊すことにより、がん細胞の機能を停止し、がんを治療する。」という、請求項1の記載と実質的に同じ内容の事項が記載されており、同【発明の効果】の欄には、「変性剤を抗がん剤としてがん細胞に投与して、がん細胞の機能を停止して、がんの治療をする。」と記載されており、同【発明を実施するための形態】の欄には、「手術により、がん細胞に変性剤を投与する。」と記載されている。
ウ
しかしながら、本願明細書には、本願発明における「変性剤」について、その定義も例示も記載されておらず、「変性剤」が「変性」をおこす対象が「がん細胞」なのか「DNAとRNA」なのかも判然とせず、具体的に如何なる物質や化合物までを包含するのかも明確でないうえ、本願明細書には、「変性剤」を実際にがん細胞に投与した場合に、変性がおこり、DNAとRNAが壊れ、それにより、がん細胞の機能が停止して、がんの治療ができることを確認した試験結果も全く記載されていない。また、本願明細書には、「手術により、がん細胞に変性剤を投与する」場合において、具体的に如何なる投与量で如何なる態様で投与する工程を採り得るのかといった説明も、何ら記載されていない。
エ
上記のとおり、本願発明における「変性剤」は、これに該当する具体的な化合物等の説明が本願明細書に記載されていないので、その範囲が明確ではないが、上記(2)エで説示した、核酸(DNAとRNA)を変性する変性剤である「尿素」等の化合物を含み得るものとも解される。
しかしながら、「尿素」等の化合物が、検査や分析等に利用されるものであり、細胞外における溶液中の2本鎖の核酸の鎖を部分的に又は完全に分離させる変性剤であることが本願の出願時の技術常識であったとしても(上記(2)エ)、「尿素」等の化合物を「がん細胞に投与」した場合に、「変性をおこし」、がん細胞の細胞核内に到達し、「DNAとRNAを壊すことにより、がん細胞の機能を停止」することが、本願の出願時の技術常識であったとは認められない。
また、本願明細書の【発明を実施するための形態】の欄に「手術により、がん細胞に変性剤を投与する。」との記載があるものの、手術により、変性剤をどのような態様で含む剤を、どのように、どの程度の量で、どのような頻度で投与するのか、全く説明がないことは、医薬品である「抗がん剤」として、本願発明を使用できることが実験や治験等で確認されていないことの証左である。
オ
そうすると、本願発明における「変性剤」をがん細胞に投与した場合に、変性がおこり、DNAとRNAが壊れ、それにより、がん細胞の機能が停止し、がんの治療ができるということを、当業者が、本願の出願時の技術常識に照らして、本願明細書の発明の詳細な説明の記載から理解できるとはいえない。
(4) 請求人の主張について
ア 請求人の主張の概要
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請求人(出願人)は、令和2年12月7日受付の意見書において、次のように主張している。
「特許庁のガイドラインを見ました。薬理試験結果が必要なのは、技術常識から論理的に結論が出ない場合です。実際、薬理試験結果がなくても、特許査定を受けている案件はあります。一例を紹介します。出願番号 特願2006-168598 公開番号 特開2006-241172 発明名称 子宮内膜症の予防又は治療薬本発明の変性剤の例は、尿素薬があります。尿素薬は、既に糖尿病の薬として認可され、販売されています。DNAとRNAの水素結合を破壊すれば、DNA複製とRNA複製ができなくなり、がん細胞の増殖を停止することができます。これががん細胞の機能停止の意味であり、技術常識です。」
また、請求人は、審判請求書において、次のように主張している。
「薬理試験がなくても特許が承認されているケースは多くあり、審査のガイドラインによれば、理解困難な場合は、薬理試験結果が必要であると書かれています。薬理試験結果がなくても、特許を取得できている案件を一つ見つけました出願番号 特願2006-168598 公開番号 特開2006-241172 発明名称 子宮内膜症の予防又は治療薬。審査のポイントは、論理的に説明ができるかどうかです。」
イ 請求人の主張についての当審の判断
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上記(3)エで説示したように、「尿素」等の化合物が、検査や分析等に利用されるものであり、細胞外における溶液中の2本鎖の核酸の鎖を部分的に又は完全に分離させる変性剤であることが本願の出願時の技術常識であったとしても(上記(2)エ)、「尿素」等の化合物を、「がん細胞に投与」した場合に、「変性をおこし」、がん細胞の細胞核内に到達し、「DNAとRNAを壊すことにより、がん細胞の機能を停止」することが、本願の出願時の技術常識であったとは認められない。
そうすると、具体的な試験結果の裏付けがなければ、本願発明の「変性剤という抗がん剤」が、がん細胞の機能を停止し、がんの治療をすることができると、当業者が理解し得るとはいえない。
しかしながら、本願明細書には、「変性剤」を実際にがん細胞に投与した場合に、変性がおこり、DNAとRNAが壊れ、それにより、がん細胞の機能が停止して、がんの治療ができることを確認した試験結果が全く記載されていないことは、上記(3)ウで説示したとおりである。
なお、薬理試験結果がなくても特許を取得できている案件として、請求人(出願人)が例示している、特願2006-168598(特開2006-241172、発明の名称「子宮内膜症の予防又は治療薬」)は、その成分も治療用途も本願発明とは異なるため、前提となる出願時の技術常識も本願とは異なり、明細書の発明の詳細な説明の記載内容も本願とは異なるから、当該案件が特許されたからといって、本願発明の実施可能要件の判断は何ら左右されるものではない。
したがって、請求人(出願人)の上記主張は、いずれも採用できない。
(5) 実施可能要件の判断のまとめ
以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、本願の出願時の技術常識に照らし、本願発明の「変性剤という抗がん剤」を使用できることを理解し得るように記載したものでないから、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。
2 特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)について
(1) サポート要件の判断の前提
特許法第36条第6項第1号は、特許請求の範囲の記載が適合するものでなければならない要件として、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」(いわゆる「サポート要件」)を規定しているところ、特許請求の範囲の記載が、同要件に適合するか否かは、特許請求の範囲と明細書の発明の詳細な説明とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により、当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が、出願時の技術常識に照らし、当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、を検討して判断すべきものである。
上記観点から、本願請求項1の記載がサポート要件を満たすか否か、以下検討する。
(2) 本願発明の課題
請求項1の記載及び本願明細書(特に【発明が解決しようとする課題】の欄)の記載からみて、本願発明が解決すべき課題は、
「がん細胞の機能を停止するための抗がん剤を提供すること」
であると認められる。
(3) 本願発明についてのサポート要件の検討
上記1で詳述したように、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、本願の出願時の技術常識に照らして、本願発明の「変性剤という抗がん剤」をがん細胞の機能を停止するために使用できることを理解し得るように記載されたものでないから、当該「変性剤という抗がん剤」に係る請求項1の記載は、当業者が、本願の出願時の技術常識に照らし、上記(2)の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。
(4) サポート要件の判断のまとめ
以上のとおり、請求項1の記載は、当業者が、本願の出願時の技術常識に照らし、本願発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものとはいえないから、特許を受けようとする発明が、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものでない。
第6 むすび
以上のとおり、本願は、明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が請求項1に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、また、請求項1に係る発明が明細書の発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許請求の範囲の記載が同法同条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、その余について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-006674