2021-006193
エイアイモデル、アイモデル、モデル
- 審判番号
- 2021-006193
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-091977外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月14日
- 審決日
- 2022年08月17日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】AI model株式会社
- 【請求人代理人】原田 貴史
- 分類
- T18 .13 -Z (W094142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 識別力なし
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は,令和2年7月27日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願商標
本願商標は,「AI model」の文字を標準文字で表してなり,第9類「人工知能を用いて顔その他の人体の画像を作成する電子計算機用プログラム,人工知能プログラム,電子応用機械器具及びその部品,人工知能を用いて生成されたダウンロード可能な顔その他の人体の画像ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル」,第41類「オンラインによる顔その他の人体の画像の提供,オンラインによる画像の提供,顔その他の人体の画像又は動画の制作,画像又は動画の制作,顔その他の人体の画像又は動画の合成,画像又は動画の修正・補正・合成・複製又は編集」及び第42類「人工知能を用いた顔その他の人体の画像デザインの考案(広告に関するものを除く),デザインの考案(広告に関するものを除く。),顔その他の人体の画像を生成する人工知能プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,人工知能を用いて顔その他の人体の画像を作成する電子計算機用プログラムの提供,オンラインによる顔その他の人体の画像生成用のアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),人工知能プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として,登録出願されたものである。
第3 当審における拒絶理由通知
当審において,請求人に対し,令和4年1月5日付けで,別掲1ないし別掲4のとおりの事実を示した上で,本願商標は,その指定商品の品質又は指定役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する旨の拒絶理由を通知し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。
第4 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見
請求人は,上記第3の拒絶理由通知に対し意見書を提出し,要旨以下のとおり意見を述べるとともに,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 本願商標中「AI」と「model」の関連性
各種辞書や用語辞典等において,「AI model」という言葉自体が,特定の意味を有する語として掲載・説明されているようなことはないし,一般的に親しまれているというような事実もない。
また,「AI」と「model」との間には助詞がなく,「AI model」の文字が示す概念と「人工知能を活用して,画像や文章等のデータを分析・予測等するプログラム(以下「AIモデルプログラム」という。)に関する役務」という概念の間には,合理的・直接的な関連性は認められない。仮に本願商標が「AIモデルプログラム」等の文字で構成されており,「人工知能の型」の意味に結びつくと考えるのであれば,これを「AIモデルプログラムに関する役務」と同義に解釈する余地があるかもしれない。しかし,本願商標は「AI model」の文字で構成されており,「プログラム」「に関する」等の文字を構成要素としていない。
さらに,本願商標は,アルファベットで一連に「AI model」と書した態様からなるものであるから,全体として単に,AI及びモデルと関係する何かを意味する一種の造語を表したものとして認識され,また,本願の指定役務との関係において,一般的に通用し確立された意味を有する言葉となっておらず,「人工知能の型」の意味を直接的かつ具体的に表示したものではない。
このように,本願商標「AI model」の文字が「AIモデルプログラムに関する役務」の意味を表示したものと理解されない以上,本願商標を「AIモデルプログラムに関する役務」に使用したとしても,これに接する需要者が役務の態様を表示するものと認識することがあるとは到底考えられない。
我が国における平均的な需要者にとって,本願商標は明確な特定の意味を理解するまでには至らないものであり,同書・同大・等間隔でまとまりよく一体的に構成された本願商標は,意味が漠然としてその実を明らかにしない一種の造語として認識されるとするのが自然である。
2 本願商標より生じる解釈
本願商標を構成する「AI」と「モデル」との間には助詞がないから,「人工知能の型」という意味以外にも,「model」を「型,雛型」等でなく「ファッションショーや写真誌等に出演する人間のモデル」,「模型,展示用の見本」等と解することにより,本願商標を「現実に存在する人間のモデルでなく,AIの技術によって作られた,人間型のモデル」,「人工知能を可視化した模型,見本」等とする解釈も生じ得る。
してみれば,本願商標は複数の意味が想起されることを理由に識別性を認めるべきである。
3 ウェブサイト上での本願商標の使用態様
甲第1号証にあるウェブサイトでは,本願商標を「AI技術による,世に存在しないモデル」と解して商標を使用している。こちらからは,本願商標は「人工知能の型」という意味合い以外で使用されている事実が確認できる。
そして,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,「AI技術により,世に存在しないモデルを生成するプログラム」等と認識することができる。また,本願の指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その役務が例えば「AI技術により,世に存在しないモデルを生成するプログラムに関する役務」であることと解することができる。したがって,本願商標に係る商品の品質及び役務の質について,拒絶理由通知にある解釈にとどまらない意味を有することが理解できる。現に,出願人は令和2年7月27日付けで提出した「早期審査に関する事情説明書」では,添付の人工知能に基づき人体の画像や動画を生成し合成するサービスに関するパンフレットを提出し,既に自他商品役務の識別機能を果たしている。
したがって,拒絶理由通知にあるような種々の新聞記事情報,インターネット情報にある情報のみをもって,本願商標が商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまると解し,かかる事実に基づく解釈の可能性を排除するのは,妥当性に欠け,合理的な判断とはいえない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
(1)商標法第3条第1項第3号が,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」又は「その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,態様,提供の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは,このような商標は,指定商品又は指定役務との関係で,「その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性」又は「その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性」を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決の時点において,本願商標が,その指定商品又は指定役務との関係で,「その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性」又は「その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に,将来を含め,商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年10月21日判決,知財高裁平成27年(行ケ)第10061号 同年9月16日判決)。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,上記第2のとおり,「AI model」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「AI」の文字は「人工知能」の意味を有する「artificial intelligence」の略語であり,「model」の文字は,「型。型式。」,「模型。雛形。」,「現象や構造を理論的に抽象化したもの。」等の意味を有する「モデル」を欧文字表記したもの(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)であると容易に認識できるものであって,いずれも我が国において親しまれているものである。
そうすると,本願商標は,「AI」の文字と「model」の文字を組み合わせてなるものであると容易に認識,把握されるとみるのが相当であって,これらを一文字分の空白を介し結合した「AI model」の文字からは,各語の持つ意味に相応して「人工知能の型」という意味合いが認識されるものである。
そして,当審において職権で調査したところ,「AI model」のうち「model」を片仮名表記した「AIモデル」の文字は,本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,「AIモデルプログラム」という意味合いを示す語として一般に使用されている事実(別掲1)があり,「AIモデルプログラム」や「AIモデルプログラムを作成するツールとなるコンピュータプログラム」などの商品が販売され,「AIモデルプログラムの作成」などの役務が提供されている事実もある(別掲2)。
また,上記のとおり,本願商標の構成中「model」の文字は,「型。型式。」,「模型。雛形。」,「現象や構造を理論的に抽象化したもの。」等の意味を有する「モデル」を欧文字表記したものであると容易に認識できるものであるところ,実際に「モデル」の文字を欧文字表記した「AI model」,「AI Model」の文字が,「AIモデル」の文字と同様の意味を示す語として一般に使用されている事実が認められる(別掲3)。
さらに「人工知能モデル」の文字が,「AIモデル」の文字と同様の意味を示す語として一般に使用されている事実も認められる(別掲4)。
以上を踏まえると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が例えば「AIモデルプログラム」や「AIモデルプログラムが搭載された商品」などの「AIモデルプログラムに係る商品」であること,すなわち,商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
また,本願商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その役務が例えば「AIモデルプログラムの作成」などの「AIモデルプログラムに関する役務」であること,すなわち,役務の質を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他役務の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
してみれば,本願商標は,その商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,上記第4の意見書において,請求人のウェブサイトにおける本願商標の使用例(甲1)を示すと共に,「本願商標「AI model」は,全体として単に,AI及びモデルと関係する何かを意味する一種の造語を表したものとして認識されるものといえ,我が国における平均的な需要者にとって,本願商標は明確な特定の意味を理解するまでには至らないものであって,同書・同大・等間隔でまとまりよく一体的に構成された本願商標は,意味が漠然としてその実を明らかにしない一種の造語として認識されるとするのが自然である」旨及び「本願商標を「現実に存在する人間のモデルでなく,AIの技術によって作られた,人間型のモデル」,「人工知能を可視化した模型,見本」等とする解釈も生じ得るから,本願商標は複数もの意味が想起されることを理由に識別性を認めるべき」旨を主張している。
しかしながら,本願商標の構成,「AI」の文字及び「model」の文字の語義,並びに別掲1ないし別掲4の事実からすれば,上記1(2)のとおり,「AI model」の文字は,その指定商品及び指定役務との関係においては,「AIモデルプログラム」程の意味合いを認識させるものであるから,本願商標は,これをその指定商品又は指定役務について使用するときは,これに接する取引者,需要者に対して,「AIモデルプログラムに係る商品」又は「AIモデルプログラムに関する役務」であることを認識させるものであると判断するのが相当である。
(2)請求人は,上記第4の意見書において,「令和2年7月27日付けで提出した「早期審査に関する事情説明書」に添付した人工知能に基づき人体の画像や動画を生成し合成するサービスに関するパンフレットによれば,本願商標「AI model」は既に自他商品役務の識別機能を果たしている。」旨を主張している。
しかしながら,請求人が,その業務に係る商品又は役務のパンフレットにおいて,「AI model」の文字を使用しているとしても,それだけをもって,直ちに「AI model」の文字が,自他商品又は自他役務に識別標識としての機能を果たしていると認めることはできないし,請求人の当該主張を裏付ける証拠の提出もない。
また,本願商標が使用された請求人の業務に係る商品及び役務(以下「請求人商品・役務」という。)の我が国における周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,請求人商品・役務の売上高,市場シェア並びに広告宣伝の方法及び回数など取引状況を具体的に示す証拠は見いだすことはできず,我が国における客観的な使用事実に基づいて,本願商標の使用状況を把握することができないから,本願商標の周知性の程度を推し量ることはできない。そのほか,本願商標が,請求人商品・役務を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものと認める得る事情は見いだせない。
そうすると,本願商標が,請求人により使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものと認めることもできない。
(3)請求人は,審判請求書において,「本願商標の態様「AI model」については,人工知能(AIモデル)を内容とするウェブサイトにおいて,一切使用の事実が存在しないため,請求人は,本願商標は全体として一体の造語と認識され得ると判断し,本願を出願した。」旨主張している。
しかしながら,上記1(1)のとおり,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決時点において,本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,その指定商品又は指定役務に使用された場合に,将来を含め,指定商品又は指定役務の取引者,需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足り,それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきである。
また,本願商標が,その指定商品及び指定役務との関係において,自他商品又は自他役務の識別標識として認識され得ないものであることは,上記1(2)のとおりである。なお,本願の指定商品又は指定役務を取り扱う業界において,「AIモデルプログラム」を示す語として,「AI model」及び「AI MODEL」の文字が一般に使用されている事実(別掲3)があることは上記1(2)で述べたとおりである。
(4)請求人は,審判請求書において,「識別力を有しない欧文字1文字又は2文字と小文字「model」との結合商標について,識別性を問われずに登録された事例」(参考資料1及び2)及び,「AI」の文字を含む商標の審決例(参考資料3~6)を示し,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標がその指定商品又は指定役務との関係において,自他商品又は自他役務の識別標識として機能し得るか否かは,当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の示す上記登録例及び審決例と本願商標とは,構成文字が異なり,事案を異にするものであるし,本願商標が自他商品又は自他役務の識別力を欠くものであることは,上記1(2)のとおりであるから,登録例及び審決例があるからといってその判断が左右されることはない。
(5)したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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