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特許拒絶査定不服審判

2021-006159

撮像素子、電子機器

審判番号
2021-006159
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-241254外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年05月14日
審決日
2022年09月21日
公報発行日
2022年10月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2016-241254「撮像素子、電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月21日出願公開、特開2018- 98343、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年12月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年 8月14日付け 拒絶理由通知書 令和 2年10月 5日 意見書、手続補正書の提出 令和 2年11月12日付 拒絶理由通知書 令和 3年 1月14日 意見書、手続補正書の提出 令和 3年 2月 8日付け 拒絶査定 令和 3年 5月14日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年2月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1ないし12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2012-230345号公報 2.特開2013-88558号公報 3.国際公開第2011/078254号 4.特開2015-108762号公報 5.特開2014-179366号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、令和3年5月14日にされた手続補正により特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり、その請求項1に係る発明は、以下のとおりの発明である。 「所望の波長の電磁波を透過させる金属薄膜フィルタと、 特定の1つの方向に振動する光を透過する偏光子と を備え、 前記偏光子を透過してきた光が、前記金属薄膜フィルタに供給され、 前記金属薄膜フィルタは、 所定の周期間隔で凹凸構造を持つ導体金属の構造体であり、 前記凹凸構造の形状は、楕円形状であり、 前記偏光子を透過してきた光の振動方向と、前記楕円形状の長径の方向は、同一方向とされ、 隣接する3個の前記楕円形状の凹凸構造の中心を結んだ形状は正三角形であり、 前記偏光子は、前記金属薄膜フィルタと光電変換素子を含む半導体チップ外に積層されている 撮像素子。」 なお、本願発明2ないし10の概要は以下のとおりである。 本願発明2ないし9は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明10は、本願発明1と同様の構成の「撮像素子」と「前記撮像素子から出力される信号を処理する信号処理部」とを備えた、「電子機器」の発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下、同じ。) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、光学フィルター、表示セル及び表示装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 金属微粒子には、入射光と前記金属微粒子内の電子の振動の共鳴(表面プラズモン共鳴)によって、入射光中の特定の波長を吸収する現象があることが知られている。古くから、この現象を利用し、特定の金属微粒子をガラスに混ぜてステンドグラスとして利用されてきている。また、最近では、光学フィルターや塗料への応用も図られている。」 「【0005】 例えば、カラー表示可能な液晶表示パネルでは、各画素が、赤の光(R波長域の光)、緑の光(G波長域の光)、青の光(B波長域の光)それぞれを透過するように構成されている。各光を透過させる部材として、上述の光学フィルターが用いられることが多い。すなわち、特許4348720号公報に記載のカラーフィルターや特開2005-126310号公報に記載のカラーフィルターで、RGBの各光を透過させる光吸収スペクトルのカラーフィルターを形成し、各色のカラーフィルターを適度に画素に敷き詰め、そのカラーフィルターに入射する光を調整することで、画素の色を決定している。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、特許4348720号公報のカラーフィルターは、ロッド状の微粒子の長軸に起因する吸収波長を有するカラーフィルターであり、特開2005-126310号公報では、ナノロッドの短軸及び長軸に起因する吸収波長を有したカラーフィルターであり、一度製造したカラーフィルターの吸収、透過、散乱波長を調整、変化させることはできず、予め異なる吸収、透過、散乱波長を有する複数種類のカラーフィルターが必要である。 【0008】 また、RGBの各カラーフィルターを用いる場合、RGBいずれか一色を表示する、つまり、他の色の光を遮断する構成となっており、光の利用効率が悪くなる場合がある。 【0009】 そこで本発明は、金属微粒子を用い、吸収される、透過する、拡散する波長を調整できる光学フィルターを提供することを目的とする。また、このような光学フィルターを用いた表示セル、前記表示セルを備えた表示装置を提供することを目的とする。」 「【発明を実施するための形態】 【0034】 以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明にかかる光学フィルターの構成及び製造方法について説明する。 【0035】 (光学フィルターの構成) 図1は本発明にかかる光学フィルターの一例の概略斜視図である。なお、以下説明する図において、特段の記載のない場合、図1等に示しているように、紙面左右方向をX方向、紙面奥行き方向をY方向、紙面上下方向をZ方向とする。 【0036】 図1に示すように、光学フィルター1は、入射光のうち、特定波長域の光が透過する(特定波長域の光を吸収する)フィルターである。光学フィルター1は、偏光板2、方向調整部3(方向調整手段)及びフィルター部4を備えており、光入射側(光源側)から、偏光板2、方向調整部3、フィルター部4の順番に配置されている。 【0037】 偏光板2は、入射光から特定の直線偏光のみを取り出すものであり、従来よく知られた、偏光板と同じ構成を有している。なお、入射光が直線偏光のみの場合は、偏光板2を省略してもかまわないが、光学フィルター1では、偏光板2を用いているものとする。入射光は偏光板2を通過することで同じ偏光方向の直線偏光になり、方向調整部3に入射する。なお、図1に示す光学フィルター1において、偏光板2は偏光方向がX方向(X偏光)の光を取り出すものとする。 【0038】 方向調整部3は、偏光板2を透過した直線偏光の光の偏光方向を相対的に変化させるものである。方向調整部3は、液晶を備えた光学素子であり、所定の間隔をあけて平行に配置された一対の平板電極基板の間に液晶が充填されている。方向調整部3は、偏光板2とフィルター部4との間に配置されている。方向調整部3は、外部から駆動用の電気信号が送られる(液晶に電圧を印加される)ことにより、入射された直線偏光を回転させることができる。なお、方向調整部3の液晶を挟む電極は、できれば透明が好ましく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)等を用いた透明電極を挙げることができる。 【0039】 また、方向調整部3は、液晶を用いたものに限定されるものではなく、例えば、ファラデー素子や1/2波長板を用いたものであってもよい。ファラデー素子とは磁界によって透過する光の偏光方向を調整する素子であり、液晶同様、電極に外部から動作の電気信号を入力することで、入射された直線偏光を回転させることができる。また、1/2波長板であれば、ユーザが手動で回転又は外部信号により自動で回転させることで、入射された直線偏光を回転させることができる。 【0040】 フィルター部4は、透明誘電体41と、金属微粒子42とを備えている。透明誘電体41は、金属微粒子42を分散させるための基板であり、一定の光(ここでは、可視光領域の光)に対して透明な基板である。透明誘電体41は、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の有機フィルムを用いることができる。 【0041】 なお、方向調整部3として液晶を用いる場合、フィルター部4の透明誘電体41を方向調整部3の一方の電極基板と兼用とすることも可能である。この構成の場合、例えば、次の方法で作製される。透明誘電体41であるガラスの一面に金属微粒子42を分散させ、もう一面に透明電極としてITO膜を高周波スパッタ法により形成した後、フォトリソグラフィー法により電極パターンを形成する。その後、配向膜を塗布し、ラビングした後、他方の電極基板を透明誘電体41に平行に配置し、他方の電極基板と透明誘電体41の間に液晶を充填し、封入する。以上の方法で、方向調整部3とフィルター部4とを一体的に作製することが可能である。 【0042】 金属微粒子42は、表面プラズモン共鳴を起こす金属であり、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、パラジウム等がよく用いられている。図1に示すように、金属微粒子42はY方向の長さがX方向の長さよりも長い楕円球形状を有している。このX方向、Y方向、Z方向の長さは、数nmから100nm程度である。詳細は後述するが、この金属微粒子42の長さとその相対的な比率(以下、アスペクト比と称する)及び入射光の偏光方向によって、フィルター部4を透過する光のうち吸収(散乱)される波長が決定される。なお、図1に示す金属微粒子42は、楕円球形状のような角部が丸いものであるが、これに限定されるものではなく、例えば直方体や円柱、楕円柱のように角部が丸くないものでもよい。金属微粒子は、少なくとも異なる2方向で長さが異なるように形成されていればよい。 【0043】 図1に示すように、金属微粒子42は、透明誘電体41の表面に分散されている。金属微粒子42は、全て同じ形状及び大きさを有するとともに、配向を同じくして、等間隔に並んで配置されている。なお、金属微粒子42は透明誘電体41の内部に分散されていてもよく、配向方向が同じであれば、等間隔でなくてもよい。金属微粒子42を透明誘電体41に配列する方法は、例えば、流動法、ラングミュアーブロジェット法、バブルインフレート法、電界による配列及びロールツーロール方式等がある。 ・・・ 中 略 ・・・ 【0052】 次に、二次元配列した銀の金属微粒子に偏光方向を変えた光を入射させたときの吸収スペクトルについて説明する。図3は平面上に配列した金属微粒子に入射光の偏光方向と金属微粒子直後の電場強度を示す図である。図3はFDTDシミュレーションを行った結果であり、そのモデルは次のとおりである。X方向のサイズが30nm、Y方向のサイズが60nm、Z方向のサイズが10nmである楕円柱形状の銀の金属微粒子を、100nmの周期でXY平面内に二次元配列したものに、偏光方向を変えた光を入射させた。なお、入射光はZ方向に伝播する平面波であり、偏光方向がX軸と平行なときを0度としている。そして、入射光の偏光方向を0度、30度、45度、60度及び90度に変化させて入射している。 【0053】 この電場強度は、主に金属微粒子(銀の微粒子)で励起された表面プラズモン共鳴により増強された電場である。電場強度はほとんどが金属微粒子の近傍に存在する近接場光として現れ、一部が散乱光として遠視野に伝播する。遠視野で見ると、近接場光は吸収されたことになるため、この近接場光の波長を除く波長の光、つまり、表面プラズモン共鳴波長の補色が見えることになる。つまり、遠視野では表面プラズモン共鳴波長の補色の光が観察されることから、図3は吸収スペクトルと捉えることができる。 【0054】 図3において、偏光方向が90度(Y偏光)のときに650nm近辺に吸収ピークを有している、すなわち、650nm近辺の波長を吸収している。一方、偏光方向が0度(X偏光)のときは455nm近辺に吸収ピークを有している、すなわち、455nm近辺の波長を吸収していることがわかる。そしてその中間の偏光方向の光では、金属微粒子の向きと偏光方向の相対角度により、これら2つの吸収ピークの相対強度が決まる。これによって、この2波長の間の波長域の光が透過するバンドパスフィルターを形成することができる。よって、金属微粒子の2つの形状異方軸に、それぞれに平行な偏光成分がどのくらいの比率で入射されるかにより、すなわち、金属微粒子の形状異方性と偏光方向とを調整することにより、各方向に対応した吸収ピークの吸収強度を変えることができる。 【0055】 また、図3において、0°入射のときの短軸方向の吸収波長が455nm近辺であるのに対し、30°、45°、60°入射のときは470nm近辺に長波長シフトしている。これは、表面プラズモン共鳴が、完全な短軸方向で行われていないためである。よって、この現象を利用して、吸収波長を調整することもできる。 【0056】 これらのことより、フィルター部の金属微粒子の形状及び配列と、フィルター部への入射光の偏光方向とを適切に調整することで、光学フィルターの吸収ピークの位置を所望の位置に設定することができる。すなわち、光学フィルターを所望の吸収スペクトルを持つ光学フィルターとすることができる。 【0057】 上述したように、本発明の光学フィルター1では、フィルター部4は透明誘電体41に金属微粒子42を拡散させた構成であり、金属微粒子42が2次元配列されている。そして、光学フィルター1は偏光板2と方向調整部3とで、フィルター部4に入射する入射光の偏光方向を調整できる構成となっている。この構成の光学フィルター1の動作は以下のとおりとなる。 【0058】 上述したとおり、図1の光学フィルター1において、偏光板2を透過した光の偏光方向がX方向(X偏光)である。方向調整部3が、偏光方向を回転させない場合、金属微粒子42にX偏光の入射光が入射する。このX偏光の入射光によって金属微粒子42のX方向のサイズに対応した表面プラズモン共鳴が発生し、X方向のサイズに起因した波長域の光が吸収される(図1において、金属微粒子42はX方向が短軸となっているので、図3のシミュレーションで用いた金属微粒子を用いた場合、吸収ピークの波長は短軸方向の455nmとなる)。 【0059】 一方、方向調整部3が偏光方向を90度回転させると、金属微粒子42にY偏光の入射光が入射する。このY偏光の入射光によって、金属微粒子42のY方向サイズに対応した表面プラズモン共鳴が発生し、金属微粒子42のY方向のサイズに依存した波長域の光が吸収される(図1において、金属微粒子42はY方向が長軸となっているので、図3のシミュレーションで用いた金属微粒子を用いると、吸収ピークの波長は長軸方向の650nmとなる)。 【0060】 さらに、方向調整部3が、偏光方向を0度から90度の間に回転させる場合、金属微粒子42にはX偏光成分とY偏光成分を備えた入射光が入射する。この入射光は金属微粒子42のX方向の表面プラズモン共鳴とY方向の表面プラズモン共鳴が、各成分の比率に対応して起こるため、これらの重ね合わせとなる。図3に示したように、吸収ピークの波長域がシフトする。」 「【産業上の利用可能性】 【0121】 本発明にかかる光学フィルターは、フルカラー表示を行う表示装置用のカラーフィルターとして利用することが可能である。」 「【図1】 [図:0001388805000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001388805000002.jpg] 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「表示装置であって、 表示装置用のカラーフィルターとして利用することが可能な、金属微粒子を用い、吸収される波長を調整できる光学フィルター1を備え、 光学フィルター1は、光入射側(光源側)から、偏光板2、方向調整部3、フィルター部4の順番に配置されており、 偏光板2は、入射光から特定の直線偏光のみを取り出すものであり、 方向調整部3は、偏光板2を透過した直線偏光の光の偏光方向を相対的に変化させるものであり、 フィルター部4は、透明誘電体41の表面に楕円球形状を有した、同じ形状及び大きさを有する表面プラズモン共鳴を起こす金属微粒子42の配向を同じくして、等間隔に並んで配置した構成であり、金属微粒子42が2次元配列されており、 偏光板2と方向調整部3とで、フィルター部4に入射する入射光の偏光方向を調整でき、 フィルター部4の金属微粒子42の形状及び配列と、フィルター部4への入射光の偏光方向とを適切に調整することで、光学フィルター1の吸収ピークの位置を所望の位置に設定し、所望の吸収スペクトルを持つ光学フィルターとすることができる、 表示装置。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、光学フィルター、表示セル及び表示装置に関するものである。」 「【0009】 そこで本発明は、金属微粒子を用い、吸収される、透過する、あるいは拡散する波長を調整できる光学フィルターを提供することを目的とする。また、このような光学フィルターを用いた表示セル、前記表示セルを備えた表示装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記目的を達成するために本発明は、2つ以上の形状異方軸を持つ複数の金属微粒子が、可視域の光を透過する透明誘電体の表面又は内部に向きをそろえて設置されているフィルター部と、前記フィルター部を透過する透過光の偏光方向と、前記金属微粒子の形状異方軸の向きとを、相対的に変化させる方向調整手段とを備えることを特徴とする光学フィルターを提供する。 【0011】 この構成によると、透過光の偏光方向と、前記金属微粒子の形状異方性の向きを、相対的に変化させるという容易な方法で、前記金属微粒子の、どの方向で起きる表面プラズモン共鳴を利用するかを調整することができる。あるいは、表面プラズモン共鳴波長の光を吸収させるか、散乱させるかを選択することができる。また、本光学フィルターは、長軸と短軸に対応した2色に加え、長軸および短軸の中間の偏光方向を入射すると、表面プラズモン共鳴波長がシフトすることから、1つの光学フィルターで表示させる色を2?4色とすることが可能である。 【0012】 このことから、フルカラー表示を行う従来のRGBそれぞれの波長の光を抽出するカラーフィルターを用いるものに比べて、光学フィルターの枚数を減らすことができ、開口率を大きくすることができ、光利用効率を高めることができる。また、光学フィルターを従来通り3枚使った場合でも、1枚で表示できる色の選択肢が4色であれば、色表現の範囲を広くできる。 【0013】 上記構成において、前記方向調整手段は、透過光の偏光方向を、金属微粒子の形状異方軸に平行または垂直な方向に回転させるものであってもよい。この構成によると、液晶素子などの既存の簡易な方法で金属微粒子の表面プラズモン共鳴波長を調整することができる。」 「【0030】 (第1の実施形態) 図1は本発明にかかる光学フィルターの一例の概略斜視図である。なお、以下説明する図において、特段の記載のない場合、図1等に示しているように、紙面左右方向をX方向、紙面奥行き方向をY方向、紙面上下方向をZ方向とする。 【0031】 図1に示すように、第1の光学フィルター1は、入射光のうち、特定波長域の光が透過する(特定波長域の光を吸収する)フィルターである。第1の光学フィルター1は、偏光板2、方向調整部3(方向調整手段)及びフィルター部4を備えており、光入射側(光源側)から、フィルター部4、方向調整部3、偏光板2の順番に配置されている。 【0032】 フィルター部4は、透明誘電体41と、金属微粒子42とを備えている。透明誘電体41は、金属微粒子42を分散させるための基板であり、一定の光(ここでは、可視光領域の光)に対して透明な基板である。透明誘電体41は、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の有機フィルムを用いることができる。 【0033】 金属微粒子42は、表面プラズモン共鳴を起こす金属であり、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、パラジウム等がよく用いられている。図1に示すように、金属微粒子42はY方向の長さがX方向の長さよりも長い楕円球形状を有している。このX方向、Y方向、Z方向の長さは、数nmから100nm程度である。詳細は後述するが、この金属微粒子42の長さとその相対的な比率(以下、アスペクト比と称する)及び入射光の偏光方向によって、フィルター部4を透過する光のうち吸収(散乱)される波長が決定される。なお、図1に示す金属微粒子42は、楕円球形状のような角部が丸いものであるが、これに限定されるものではなく、例えば直方体や円柱、楕円柱のように角部が丸くないものでもよい。金属微粒子は、少なくとも異なる2方向で長さが異なるように形成されていればよい。」 「【0037】 方向調整部3は、透過する光の偏光方向を相対的に変化させるものである。方向調整部3は、液晶を備えた光学素子であり、所定の間隔をあけて平行に配置された一対の平板電極基板の間に液晶が充填されている。方向調整部3は、偏光板2とフィルター部4との間に配置されている。方向調整部3は、外部から駆動用の電気信号が送られる(液晶に電圧が印加される)ことにより、入射された直線偏光を回転させることができる。なお、方向調整部3の液晶を挟む電極は、できれば透明が好ましく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)等を用いた透明電極を挙げることができる。」 「【0040】 偏光板2は、透過光から特定の直線偏光のみを取り出すものであり、従来よく知られた、偏光板と同じ構成を有している。透過光は偏光板2を通過することで特定の偏光方向の光が取り出される。なお、図1に示す第1の光学フィルター1では、偏光板2は偏光方向がX方向(X偏光)の光を取り出すように配置されている。」 「【0076】 また、方向調整部3を調整し偏光板2で取り出す透過光の偏光方向を金属微粒子42の長軸方向にすることにより、長軸方向の表面プラズモン共鳴の吸収が観察され、長軸方向の表面プラズモン共鳴波長の補色である青緑色を表現できることになる。一方、方向調整部3を調整し偏光板2で取り出す透過光の偏光方向を金属微粒子42の短軸方向にすることにより、短軸方向の表面プラズモン共鳴の吸収が観察され、短軸方向の表面プラズモン共鳴波長の補色である黄色を表現できることになる。」 「【図1】 [図:0001388805000003.jpg] 」 上記記載から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 「表示装置に用いられる光学フィルター1であって、 光入射側(光源側)から、フィルター部4、方向調整部3、偏光板2の順番に配置され、 フィルター部4は、透明誘電体41と、長い楕円球形状を有する金属微粒子42とを備え、 方向調整部3は、透過する光の偏光方向を相対的に変化させ、 偏光板2は、透過光から特定の直線偏光のみを取り出すものにおいて、 方向調整部3を調整し偏光板2で取り出す透過光の偏光方向を金属微粒子42の長軸方向にすることにより、長軸方向の表面プラズモン共鳴の吸収が観察され、長軸方向の表面プラズモン共鳴波長の補色である青緑色を表現できること。」 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。 「[0001] 本発明は、吸収型偏光素子およびその製造方法に関する。 [0002] 表示装置(例えば、液晶表示素子、プロジェクタ)に吸収型偏光素子が用いられている。例えば、ヨウ素や二色性色素を用いた偏光板(ヨウ素系偏光板、色素系偏光板)が開発されている。また、金属化合物(例えば、ハロゲン化銀)の粒子を用いた、赤外線偏光ガラスの技術が開示されている(特許文献1、2参照)。この特許においては金属化合物を含有したガラスを延伸し、その後このガラスを還元する技術、あるいは、金属化合物を含有したガラスを還元して金属微粒子を析出させた後、延伸する技術が開示されている。」 「[0005] 本発明は、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される複数の孔を備える金属膜と、を具備する吸収型偏光素子であって、前記孔は長径と短径とを有し、かつ前記複数の孔の長径の方向が同一方向を指向する、吸収型偏光素子を提供する。 本発明は、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される複数の金属突起と、を具備する吸収型偏光素子であって、前記金属突起は長径と短径とを有し、かつ前記複数の金属突起の長径の方向が同一方向を指向する、吸収型偏光素子を提供する。」 「[0011] 以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を図1を参照しながら詳細に説明する。 (第1の実施の形態) 図1は本発明の第1実施形態に係る偏光素子10を表す分解斜視図である。偏光素子10は、光透過性基板11、接続膜12、金属膜13、保護膜14を積層した積層体である。 [0012] 光透過性基板11は、光(特に、可視領域の光)を透過する材料、例えば、ガラス、樹脂からなる基板である。好ましくは、400nm~800nmの範囲における平均透過率が、90%以上の光透過性基板である。かかる透過率を満たす範囲であれば、光透過性基板11の厚さは問われない。例えば、数mm程度あるいはそれ以上の板状、0.1mm以下のフィルム状の何れでも利用できる。光透過性基板11として、10μm~1cmのガラスフィルム、ガラス板を利用できる。 [0013] 接続膜12は、光透過性基板11と金属膜13とを接続するためのもの、例えば、光学接着剤の層である。この接続層は、光透過性基板11と金属膜13とを接合、または積層するための層であり、接合層とも称される。但し、接続膜12を省略して、金属膜13を光透過性基板11上に直接配置してもよい。また、接続膜12を省略して、光透過性基板11と金属膜13との間に多孔膜を配置してもよい。接続膜12と金属膜13の間に多孔膜を配置してもよい。 [0014] 保護膜14は、絶縁体、例えば、SiO2、SiN、Al2O3、ZrO2、またはその他の絶縁性材料からなり、金属膜13を被覆して、外界から保護する。なお、金属膜13の保護に大きな問題が無ければ、保護膜14を省略しても良い。 [0015] 金属膜13は、一軸異方性の孔(ホール。以下この孔を孔Hともいう。)を有する。この孔Hが異方性を有することで、金属膜13に誘起される表面プラズモンに異方性が生じ、偏光素子10を透過する光が偏光を帯びるようになる。本発明においてこの孔は、金属膜の厚さ方向において貫通している貫通孔が好ましいが、金属膜に凹状に形成された凹状孔であってもよい。本明細書において金属膜は、金属フィルム、金属シートを含んでもよいものである。 [0016] 金属の表面には、表面プラズモンが存在し、光(電磁波)と結合することで、光吸収が起こる。この現象は、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance :SPR)である。後述のように、孔Hを例えば、平面視で楕円形状とし、X軸方向の一軸異方性を持たせることで、すなわち孔Hの長径Lx、短径Lyを異ならせることで、X軸方向、Y軸方向それぞれの偏光方向の光の透過率が異なる。なお、X軸方向、Y軸方向とは、光透過性基板の平面方向において任意の直交する軸方向である。 なお、金属中の自由電子の集団振動を量子力学的な準粒子(素励起)として捉えたものをプラズモンといい、特に、表面の境界条件を満たすものを表面プラズモンという。」 「[0034] 次に、本発明の第2の実施の形態について図面2を参照しながら詳細に説明する。 (第2の実施の形態) 図2は本発明の第2実施形態に係る偏光素子20を表す分解斜視図である。偏光素子20は、光透過性基板21、接続膜22、金属突起23、保護膜24を積層した積層体である。但し、接続膜22を省略して、金属突起23を光透過性基板21上に直接配置してもよい。この接続層は、本発明の第1の実施形態において説明したように、光透過性基板11と金属膜13とを接合、または積層するための層であり、接合層とも称される。又、金属突起23とは、金属により形成された凸条部、突状部を総称するものである。 光透過性基板21、接続膜22、保護膜24(光透過性基板21等)は、第1実施形態での光透過性基板11、接続膜12、保護膜14に対応し、同様の材料、形態を利用できる。このため、光透過性基板21等は説明を省略する。以下、金属突起23につき説明する。 [0035] 複数個のそれぞれの金属突起(すなわちドット状の凸条部)23は、その底面の形状において一軸異方性を有する。金属突起23が異方性を有することで、金属突起23に誘起される表面プラズモンに異方性が生じ、偏光素子20を透過する光が偏光を帯びるようになる。金属突起23を例えば、楕円柱形状とし、X軸方向の一軸異方性を持たせることで(金属突起23の底面の長径Lx、短径Lyを異ならせる)、x軸方向、y軸方向それぞれの偏光方向の光の透過率が異なる。」 4 引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 この発明は、例えば、シフト露光プロセスに用いれば特に好適なガラスマスクおよび半導体装置の製造方法に関する。」 「【0086】 この金属膜10のプラズモニックフィルタ230に周期的に形成された複数の開口232に、光が入射した際に、表面プラズモン分散関係が組み込まれて、金属膜10と絶縁膜505との界面に表面プラズモンが励起されて、プラズモニックフィルタ230を、開口232の周期に依存した波長の光を共鳴させて透過させる波長選択フィルタとして機能させることができる。このとき、隣接する開口232でも同様に電子が振動し、表面全体で集団励起として振舞うので、この透過する光の波長は開口232の周期に依存するため、開口232と開口232との周期(ホールピッチ)は均一となるような配列が最適であり、図2のように6つの開口が1つの開口を囲むような千鳥状の配列ならばホールピッチが一定となり高い色分解能を得ることができる。」 5 引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 この発明は、金属層の微細加工を含む半導体装置の製造方法に関する。」 「【0009】 「NIMS、豊田中央研究所フォーカス26<第3回>表面プラズモン共鳴を利用したカラーフィルタの開発」(非特許文献1)によれば、400nm程度の波長を有する青色光を透過させるAl膜を形成するためには、図3に示すホール間ピッチΛを260nm程度にする必要があり、ホール径は80nm?180nm程度とする必要がある。そのため、一般的には、デザインルール65nmプロセス等で使用されるナノインプリントや電子線リソグラフィが使用される。」 「【図3】 [図:0001388805000004.jpg] 」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「偏光板2」は、「入射光から特定の直線偏光のみを取り出すものであ」るから、本願発明1の「特定の1つの方向に振動する光を透過する偏光子」に相当する。 イ 本願明細書の発明の詳細な説明に、 「【0099】 図12を参照して、ドットアレイ構造のプラズモンフィルタについて説明する。 【0100】 図12Aのプラズモンフィルタ121A’は、図4のプラズモンフィルタ121Aのプラズモン共鳴体に対してネガポジ反転した構造、すなわち、ドット133Aが誘電体層134Aにハニカム状に配置されたプラズモン共鳴体により構成されている。各ドット133A間には、誘電体層134Aが充填されている。 【0101】 プラズモンフィルタ121A’は、所定の波長帯域の光を吸収するため、補色系のフィルタとして用いられる。プラズモンフィルタ121A’が吸収する光の波長帯域(以下、吸収帯域と称する)は、隣接するドット133A間のピッチ(以下、ドットピッチと称する)P3等により変化する。また、ドットピッチP3に合わせて、ドット133Aの径D3が調整される。」 「【0151】 図23に示したプラズモンフィルタ121のホールの形状は、楕円形状である。このように、プラズモンフィルタ121に所定の周期間隔で設けられている凹凸構造(ホール(凹部)またはドット(凸部)、以下、ホールを例に挙げて説明を続ける)の形状は、楕円形状であっても良い。」 と記載されているように、本願発明1の「所定の周期間隔で凹凸構造を持つ導体金属の構造体」は、誘電体層134Aに楕円形状のドット(凸部)からなる導体金属を配置したプラズモン共鳴体を含むものである。 そして、引用発明の「フィルター部4」は、「透明誘電体41の表面に楕円球形状を有した、同じ形状及び大きさを有する表面プラズモン共鳴を起こす金属微粒子42の配向を同じくして、等間隔に並んで配置した構成であり、金属微粒子42が2次元配列されて」いるから、引用発明の「表面プラズモン共鳴を起こす金属微粒子42」は、上記「ドット」に対応する。 そうすると、引用発明の「金属微粒子42の配向を同じくして、等間隔に並んで配置」する「フィルター部4」は、本願発明1の「所定の周期間隔で凹凸構造を持つ導体金属の構造体であ」る「前記金属薄膜フィルタ」に相当し、引用発明の「フィルター部4」の「金属微粒子42」が「楕円球形状を有し」ていることは、本願発明1の「前記凹凸構造の形状は、楕円形状であ」ることに相当する。 してみると、引用発明の「フィルター部4」は、本願発明1の「所定の周期間隔で凹凸構造を持つ導体金属の構造体であ」り、「前記凹凸構造の形状は、楕円形状であ」る「前記金属薄膜フィルタ」に相当する。 ウ 引用発明の「光学フィルタ1」は、「光入射側(光源側)から、偏光板2、方向調整部3、フィルター部4の順番に配置されて」いるから、「偏光板2」を通った光は、「フィルター部4」に供給されているといえる。 そうすると、引用発明は、本願発明1の「前記偏光子を透過してきた光が、前記金属薄膜フィルタに供給され」ることと同様の関係を備えているといえる。 エ 引用発明は「フィルター部4の金属微粒子42の形状及び配列と、フィルター部4への入射光の偏光方向とを適切に調整することで、光学フィルター1の吸収ピークの位置を所望の位置に設定し、所望の吸収スペクトルを持つ光学フィルターとすることができる」から、「フィルター部4」を通過した光は、所望のスペクトルが吸収された光となり、吸収されなかったスペクトルは透過されることとなる。そして、この「フィルター部4」が所望のスペクトル以外を透過することは、本願発明1の「所望の波長の電磁波を透過させ」ることと同様の動作を行っているといえる。 してみると、引用発明の「フィルター部4」は、本願発明1の「所望の波長の電磁波を透過させる金属薄膜フィルタ」に相当する。 オ そして、引用発明の「表示装置」と、本願発明1の「撮像素子」とは、「装置」である点で共通する。 カ そうすると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「所望の波長の電磁波を透過させる金属薄膜フィルタと、 特定の1つの方向に振動する光を透過する偏光子と を備え、 前記偏光子を透過してきた光が、前記金属薄膜フィルタに供給され、 前記金属薄膜フィルタは、 所定の周期間隔で凹凸構造を持つ導体金属の構造体であり、 前記凹凸構造の形状は、楕円形状である、 装置。」 [相違点1] 本願発明1の「金属薄膜フィルタ」は、「前記偏光子を透過してきた光の振動方向と、前記楕円形状の長径の方向は、同一方向とされ」ているのに対して、引用発明の「フィルター部4」は対応する特定がされていない点。 [相違点2] 本願発明1の「金属薄膜フィルタ」は、「隣接する3個の前記楕円形状の凹凸構造の中心を結んだ形状は正三角形であ」るのに対して、引用発明は、対応する特定がされていない点。 [相違点3] 本願発明1の「前記偏光子」は、「前記金属薄膜フィルタと光電変換素子を含む半導体チップ外に積層されている」のに対して、引用発明は、対応する特定がされていない点。 [相違点4] 本願発明1は「撮像素子」であるのに対して、引用発明は「表示装置」である点。 (2)相違点についての当審判断 上記相違点1について検討すると、引用発明は、「偏光板2と方向調整部3とで、フィルター部4に入射する入射光の偏光方向を調整でき」、「フィルター部4の金属微粒子42の形状及び配列と、フィルター部4への入射光の偏光方向とを適切に調整することで、光学フィルター1の吸収ピークの位置を所望の位置に設定し、所望の吸収スペクトルを持つ光学フィルターとすることができる」ものであり、「吸収される波長を調整できる光学フィルター1」を備えるものであるから、この「偏光板2と方向調整部3とで、フィルター部4に入射する入射光の偏光方向を調整」することをやめ、本願発明1の相違点1に係る構成を採用し、引用発明の「フィルター部4」を、「前記偏光子を透過してきた光の振動方向と、前記楕円形状の長径の方向は、同一方向と」することには、動機付けが存在しない。 なお、引用文献2記載事項にあるように、引用文献2には、 「表示装置に用いられる光学フィルター1であって、 光入射側(光源側)から、フィルター部4、方向調整部3、偏光板2の順番に配置され、 フィルター部4は、透明誘電体41と、長い楕円球形状を有する金属微粒子42とを備え、 方向調整部3は、透過する光の偏光方向を相対的に変化させ、 偏光板2は、透過光から特定の直線偏光のみを取り出すものにおいて、 方向調整部3を調整し偏光板2で取り出す透過光の偏光方向を金属微粒子42の長軸方向にすることにより、長軸方向の表面プラズモン共鳴の吸収が観察され、長軸方向の表面プラズモン共鳴波長の補色である青緑色を表現できること。」 が記載されているが、引用文献2に記載された発明も「方向調整部3」(引用発明の「方向調整部3」に対応する。)を調整することにより、「偏光板2で取り出す透過光の偏光方向を金属微粒子42の長軸方向にする」ものであるから、引用発明の「偏光板2と方向調整部3とで、フィルター部4に入射する入射光の偏光方向を調整」する際に、引用文献2記載事項に記載された「方向調整部3」の調整を採用しても、引用発明の「フィルター部4」を、「前記偏光子を透過してきた光の振動方向と、前記楕円形状の長径の方向は、同一方向と」することはできない。 そして、引用文献3ないし5には、上記相違点1に係る本願発明1の構成は記載されておらず、また、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、周知の構成であるとはいえない。 そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2ないし9について 本願発明2ないし9も、本願発明1の相違点1に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明10について 本願発明10は、本願発明1と同様の構成を備える「撮像素子」を備える「電子機器」であるから、本願発明1の相違点1に係る構成を備えるものであり、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 本願発明1ないし10は、本願発明1の上記相違点1に係る構成を備えるものであるから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-006159

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