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特許拒絶査定不服審判

2021-005924

プラズマ加工方法及びこの方法を用いて製造された基板

審判番号
2021-005924
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-098774外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年05月10日
審決日
2021年11月04日
公報発行日
2022年01月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第159条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 98774「プラズマ加工方法及びこの方法を用いて製造された基板」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月30日出願公開、特開2018-137483〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は,平成29年2月20日に出願した特願2017-28763号の一部を平成30年5月23日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。 令和元年10月31日 :上申書,手続補正書の提出 令和2年8月26日付け :拒絶理由通知書 令和2年10月22日 :意見書,手続補正書の提出 令和3年2月4日付け :拒絶査定 令和3年5月10日 :審判請求書,手続補正書の提出 第2 令和3年5月10日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和3年5月10日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 ア 本件補正は,本件補正前の請求項1~14を本件補正後の請求項1~10とする補正を含むものであって,本件補正前の請求項1及び本件補正後の請求項1は次のとおりである。(下線は補正箇所を示す。) (ア)本件補正前の請求項1 「【請求項1】 処理チャンバ内の基台上に載置された基板に設定されている加工領域をプラズマエッチングによって除去し,該基板よりも小さい基板を切り出すプラズマ加工方法であって, 前記基板の表面に,前記加工領域に対応した開口部を有する表面側マスクを形成する表面側マスク形成工程と, 前記基板を前記基台上に載置して,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を等方的にエッチングする表面側エッチング工程と, 前記表面側エッチング工程を実施した後,前記基板の裏面に貫通するまで,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を異方的にエッチングする貫通工程とを行い, 前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法は,エッチングガスを用いたエッチング処理と保護膜形成ガスを用いた保護膜形成処理とを交互に行って基板をエッチングする方法,又は,前記エッチングガス及び保護膜形成ガスを同時に用い,基板に印加するバイアス電力を徐々に大きくして基板をエッチングする方法であることを特徴とするプラズマ加工方法。」 (イ)本件補正後の請求項1 「【請求項1】 処理チャンバ内の基台上に載置された,半導体素子が形成された基板から,各半導体素子に対応して設定された加工領域をプラズマエッチングによって除去し,該基板よりも小さい,前記各半導体素子に対応した基板を切り出すプラズマ加工方法であって, 前記基板の表面に,前記加工領域に対応した開口部を有し,レジストのみからなる表面側マスクを形成する表面側マスク形成工程と, 前記基板を前記基台上に載置して,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を等方的にエッチングする表面側エッチング工程と, 前記表面側エッチング工程を実施した後,前記基板の裏面に貫通するまで,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を異方的にエッチングする貫通工程とを行い, 前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法は,エッチングガスを用いたエッチング処理と保護膜形成ガスを用いた保護膜形成処理とを交互に行って基板をエッチングする方法,又は,前記エッチングガス及び保護膜形成ガスを同時に用い,基板に印加するバイアス電力を徐々に大きくして基板をエッチングする方法であることを特徴とするプラズマ加工方法。」 イ そして,請求項1に対する本件補正は以下の補正事項をその内容とするものである。 (補正事項1)本件補正前の請求項1の「基板に設定されている加工領域」を,本件補正後の請求項1の「半導体素子が形成された基板から,各半導体素子に対応して設定された加工領域」に補正すること。 (補正事項2)本件補正前の請求項1の「該基板よりも小さい基板」を,本件補正後の請求項1の「該基板よりも小さい,前記各半導体素子に対応した基板」に補正すること。 (補正事項3)本件補正前の請求項1の「前記加工領域に対応した開口部を有する表面側マスク」を,本件補正後の請求項1の「前記加工領域に対応した開口部を有し,レジストのみからなる表面側マスク」に補正すること。 2.新規事項追加の有無及び補正目的の適否について 上記補正事項1~3について,新規事項追加の有無及び補正目的の適否を検討する。 ア 補正事項1は,補正前の請求項1の「基板」が「半導体素子が形成された基板」であり,補正前の請求項1の「加工領域」が「各半導体素子に対応して設定された」領域であることを限定するものであるから,特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当する。また,補正事項1は,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の段落0103の記載に基づくものである。 イ 補正事項2は,補正前の請求項1の「該基板よりも小さい基板」が,「前記各半導体素子に対応した基板」であることを限定するものであるから,特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当する。また,補正事項2は,当初明細書等の段落0103の記載に基づくものである。 ウ 補正事項3は,補正前の請求項1の「表面側マスク」が「レジストのみからなる」ことを限定するものであるから,特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当する。また,補正事項3は,当初明細書等の段落0063の記載に基づくものである。 以上ア~ウのとおり,上記補正事項1~3は,特許法17条の2第3項の規定に適合し,同法17条の2第5項2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 3.独立特許要件について 上記2.のとおり,請求項1に対する本件補正は特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含んでいる。そこで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて,以下でさらに検討する。 3.1 本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明1」という。)は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1(上記1.ア(イ))に記載されたとおりのものである。 3.2 引用例の記載 (1)引用例1の記載事項と引用発明1 ア 原査定の拒絶の理由に引用された,本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2015-133459号公報(以下「引用例1」という。)には,次の記載がある。(下線は当審で付加。以下同じ。) 「【0001】 本発明は,ウェーハを複数のチップへと分割する分割方法に関する。」 「【0015】 添付図面を参照して,本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態のウェーハの分割方法は,保護部材配設ステップ(図1),レジスト膜被覆ステップ(図2),V溝形成ステップ(図4(A)),細溝形成ステップ(図4(B)),保護膜形成ステップ,逆V溝形成ステップ(図4(C))を含む。」 「【0018】 図1は,本実施の形態に係る保護部材配設ステップを模式的に示す斜視図である。図1に示すように,分割対象のウェーハ11は,例えば,円盤状の半導体ウェーハであり,表面11aは,中央のデバイス領域13と,デバイス領域13を囲む外周余剰領域15とに分けられる。 【0019】 デバイス領域13は,格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)17でさらに複数の領域に区画されており,各領域にはIC等のデバイス19が形成されている。被加工物11の外周11cは面取り加工されており,断面形状は円弧状である。 【0020】 本実施の形態のウェーハの分割方法では,まず,上述したウェーハ11の裏面11b側に保護部材を配設する保護部材配設ステップを実施する。図1に示すように,保護部材21は,ウェーハ11と略同形に形成されており,平坦な表面21a及び裏面21bを有している。この保護部材21としては,例えば,後述するプラズマエッチングに耐性のある半導体ウェーハ,ガラス基板,金属基板,樹脂基板,粘着テープ等を用いることができる。 【0021】 保護部材配設ステップでは,ウェーハ11の裏面11b側を,保護部材21の表面21a側に対面させて,ウェーハ11と保護部材21とを重ね合せる。この時,ウェーハ11の裏面11b側と保護部材21の表面21a側との間には,粘着力のある接着剤等を介在させておく。これにより,保護部材21は,接着剤等を介してウェーハ11の裏面11b側に固定される。 【0022】 保護部材配設ステップの後には,ウェーハ11の表面11a側において分割予定ライン17を除く全部又は一部の領域にレジスト膜を形成するレジスト膜被覆ステップを実施する。なお,本実施の形態では,分割予定ライン17を除く全部の領域にレジスト膜を形成するが,分割予定ライン17を除く一部の領域(例えば,デバイス19のみ)にレジスト膜を形成しても良い。 【0023】 図2は,レジスト膜被覆ステップを模式的に示す斜視図である。レジスト膜被覆ステップでは,まず,ウェーハ11の表面11a側に,図2に示すようなマスク31を載置する。マスク31は,ウェーハ11のデバイス19等に対応する複数の開口33を有している。複数の開口33は,マスク31を表面31a側から裏面31b側まで貫通するように形成されている。 【0024】 このマスク31は,ウェーハ11と同等の材質で形成されることが好ましい。例えば,ウェーハ11がシリコンウェーハの場合,マスク31もシリコンで形成する。このように,ウェーハ11の材質とマスク31の材質とを合わせることで,各種処理に起因するマスク31のずれ等を抑制して,良好なレジスト膜を形成できる。 【0025】 上述したマスク31は,裏面31b側をウェーハ11の表面11a側に対面させて,ウェーハ11に重ねられる。この時,マスク31の開口33がウェーハ11のデバイス19と重なるように,マスク31とウェーハ11との位置を合せておく。その結果,後のステップにおいてエッチングされるべき分割予定ライン17がマスク31で覆われ,デバイス19は露出する。 【0026】 ウェーハ11の表面11a側にマスク31を載置した後には,ウェーハ11のデバイス19を覆うレジスト膜を形成する。具体的には,例えば,塗布装置(不図示)のノズルからマスク31の開口33に向けて,後述するプラズマエッチングに耐性のある樹脂等を含むレジスト材を滴下する。 【0027】 その後,乾燥処理・加熱処理等でレジスト材を硬化させ,ウェーハ11の表面11a側からマスク31を除去する。加熱温度・処理時間等の条件は,レジスト材の種類等に応じて設定される。以上により,分割予定ライン17を除く領域を覆うレジスト膜43を形成できる。なお,マスク31の開口33にフッ素樹脂等をコーティングして,レジスト膜43の離型性を高めておいても良い。 【0028】 レジスト膜被覆ステップの後には,ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,断面形状がV字状のV溝を分割予定ライン17に沿って形成するV溝形成ステップを実施する。図3は,本実施の形態で使用されるプラズマエッチング装置の構成例を模式的に示す縦断面模式図である。」 「【0042】 V溝形成ステップでは,まず,開閉機構16でゲート14を下降させる。そして,開口12を通じてウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し,下部電極28のテーブル42に載置する。このV溝形成ステップでは,表面11a側を上方に位置付けるようにウェーハ11をテーブル42上に載置する。なお,ウェーハ11の搬入時には,昇降機構66で上部電極30を上昇させておく。 【0043】 次に,吸引源46の負圧を作用させて,ウェーハ11をテーブル42上に固定する。また,開閉機構16でゲート14を上昇させて,処理空間8を密閉する。さらに,上部電極30と下部電極28とがプラズマエッチングに適した所定の位置関係となるように,昇降機構66で上部電極30を下降させる。その後,排気機構26を作動させて,処理空間8を真空(低圧)とする。 【0044】 この状態で,エッチング用のガスを所定の流量で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力を供給すると,下部電極28及び上部電極30との間にラジカルやイオンを含むプラズマが発生し,ウェーハ11の表面11a側がエッチング(プラズマエッチング)される。 【0045】 図4(A)は,V溝形成ステップを模式的に示す断面図である。本実施の形態のV溝形成ステップでは,SF6供給源76からSF6を所定の流量(例えば,1l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に0W,上部電極30に2600W)を付与する。この時,処理空間8の圧力は,一定(例えば,180mTorr)に保たれるようにする。 【0046】 これにより,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて,レジスト膜43に覆われていない表面11a側の領域を等方的にエッチングできる(等方性エッチング)。なお,エッチングの処理時間は任意だが,例えば,ウェーハ11の厚みが50μm~100μmであれば,45秒程度にすると良い。 【0047】 本実施の形態のウェーハ11には,表面11a側の分割予定ライン17を除く領域にレジスト膜43が形成されており,少なくとも分割予定ライン17は露出している。そのため,上述したプラズマエッチングで,分割予定ライン17に沿う断面形状が略V字状のV溝53が形成される。 【0048】 なお,本実施の形態において,ウェーハ11の表面11a(裏面11b)の面方位は(100)であることが好ましい。この場合,V溝53の側壁とウェーハ11の表面11aとのなす角度が面取りの形状に適した55°前後となるので,分割によって形成されるチップの抗折強度を十分に高め,また,チップ同士の衝突等による欠け等の破損の発生を抑制できる。 【0049】 V溝形成ステップの後には,ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝を形成する細溝形成ステップを実施する。図4(B)は,細溝形成ステップを模式的に示す断面図である。 【0050】 この細溝形成ステップでは,保護膜55の形成,底部に形成された保護膜55の除去,底部のエッチング,の3つの工程を繰り返し行い,図4(B)に示すように,V溝53の幅(最大幅)より狭い細溝57を形成する。 【0051】 保護膜55の形成工程では,C4F8供給源78からC4F8を所定の流量(例えば,0.7l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に50W,上部電極30に2600W)を付与する。この時,処理空間8の圧力は,一定(例えば,60mTorr)に保たれるようにする。 【0052】 これにより,V溝53(又は細溝57)に,テフロン(登録商標)に代表されるフッ素系の材料を堆積させて保護膜55を形成できる。このフッ素系の材料でなる保護膜55は,SF6等を用いるプラズマエッチングに対してある程度の耐性を備えている。なお,堆積時間は任意だが,保護膜55を厚くし過ぎると,底部の保護膜55を短時間に除去するのが難しくなる。よって,堆積時間は,例えば,2.0秒程度にすると良い。 【0053】 底部に形成された保護膜55の除去工程では,SF6供給源76からSF6を所定の流量(例えば,1l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に250W,上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は,一定(例えば,180mTorr)に保たれるようにする。 【0054】 下部電極28に供給される電力を大きくすると,プラズマエッチングの異方性が高まる。具体的には,下部電極28側(V溝53(又は細溝57)の底部側)を,優先的に加工できるようになる。 【0055】 これにより,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51で,V溝53(又は細溝57)の底部に形成された保護膜55を除去して,V溝53(又は細溝57)の側壁に保護膜55を残存させることができる。なお,エッチングの処理時間は,保護膜55の厚み等に応じて任意に設定されるが,ここでは,例えば,1.5秒程度にすると良い。 【0056】 底部のエッチング工程では,SF6供給源76からSF6を所定の流量(例えば,1l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に100W,上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は,一定(例えば,180mTorr)に保たれるようにする。 【0057】 これにより,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて,レジスト膜43及び保護膜55に覆われていないV溝53(又は細溝57)の底部をエッチングできる。なお,エッチングの処理時間は,保護膜55が失われてV溝53(又は細溝57)の側壁がエッチングされない程度にする。ここでは,例えば,6.0秒程度にすると良い。 【0058】 このように,保護膜55の形成,底部に形成された保護膜55の除去,底部のエッチング,の3つの工程を繰り返し行うことで,V溝53の幅(最大幅)より狭い細溝57を形成できる。ウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57が形成されると,細溝形成ステップは終了する。 【0059】 細溝形成ステップの後には,細溝57(及びV溝53)の側壁にフッ素系の保護膜55を形成する保護膜形成ステップを実施する。保護膜形成ステップで形成される保護膜55は,細溝形成ステップにおいて形成される保護膜55と同じで良い。 【0060】 すなわち,保護膜形成ステップでは,まず,C4F8供給源78からC4F8を所定の流量(例えば,0.7l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に50W,上部電極30に2600W)を付与する。この時,処理空間8の圧力は,一定(例えば,60mTorr)に保たれるようにする。 【0061】 その結果,V溝53及び細溝57に,テフロン(登録商標)をはじめとするフッ素系の材料を堆積させて保護膜55を形成できる。堆積時間は任意だが,例えば,2.0秒程度にすると良い。 【0062】 その後,SF6供給源76からSF6を所定の流量(例えば,1l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に250W,上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は,一定(例えば,180mTorr)に保たれるようにする。 【0063】 これにより,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51で,細溝57の底部に形成された保護膜55を除去して,細溝57(及びV溝53)の側壁に保護膜55を残存させることができる。なお,エッチングの処理時間は,例えば,1.5秒程度にすると良い。 【0064】 保護膜形成ステップの後には,ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,断面形状が逆V字状の逆V溝を細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで形成する逆V溝形成ステップを実施する。図4(C)は,逆V溝形成ステップを模式的に示す断面図である。 【0065】 逆V溝形成ステップでは,SF6供給源76からSF6を所定の流量(例えば,1l/min)で供給しつつ,下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば,下部電極28に0W,上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は,一定(例えば,180mTorr)に保たれるようにする。 【0066】 これにより,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて,保護膜55に覆われていない細溝57の溝底を等方的にエッチングできる(等方性エッチング)。その結果,細溝57の溝底には,断面形状が逆V字状の逆V溝59が形成される。なお,エッチングの処理時間は任意だが,例えば,45秒程度にすると良い。 【0067】 以上のように,本実施の形態に係るウェーハの分割方法では,プラズマエッチングによって,ウェーハ11の表面11a側に断面形状がV字状のV溝53を形成し,V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57を形成し,細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで断面形状が逆V字状の逆V溝59を形成するので,ウェーハ11を,V溝53及び逆V溝59によって面取りされた状態の複数のチップに分割できる。 【0068】 その結果,プラズマエッチングによってウェーハを分割する従来の分割方法と比較して,チップの抗折強度を高めることができる。また,チップ同士の衝突等による欠け等の破損の発生を抑制できる。さらに,表面11a側からの加工のみでウェーハ11を分割できるので,工程数を最小限に抑えることも可能である。」 引用例1の図4として,以下の図面が示されている。 [図:0001380867000001.jpg] イ 以上の摘記を整理すると,引用例1には以下の事項が記載されているものと理解できる。 (ア)本実施の形態のウェーハの分割方法は,ウェーハを複数のチップに分割する方法であって,保護部材配設ステップ,レジスト膜被覆ステップ,V溝形成ステップ,細溝形成ステップ,保護膜形成ステップ,逆V溝形成ステップを含むこと。(段落0001,0015) (イ)分割対象のウェーハ11は,中央にデバイス領域13を有し,当該デバイス領域13は,格子状に配列された複数の分割予定ライン17でさらに複数の領域に区画されており,各領域にはIC等のデバイス19が形成されていること。(段落0019) (ウ)保護部材配設ステップでは,ウェーハ11の裏面11b側に保護部材を配設すること。(段落0020) (エ)レジスト膜被覆ステップでは,ウェーハ11の分割予定ライン17を除く領域にレジスト材を滴下し,乾燥処理・加熱処理等でレジスト材を硬化させて,ウェーハ11の表面11a側において分割予定ライン17を除く領域を覆うレジスト膜43を形成すること。(段落0022,0026,0027) (オ)V溝形成ステップでは,ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,断面形状がV字状のV溝を分割予定ライン17に沿って形成すること。(段落0028) (カ)V溝形成ステップでは,ウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し,下部電極28のテーブル42に載置し,下部電極28及び上部電極30との間にラジカルやイオンを含むプラズマが発生させて,ウェーハ11の表面11a側をプラズマエッチングすること。(段落0042,0044) (キ)V溝形成ステップでは,レジスト膜43に覆われていない表面11a側の領域を等方的にエッチングすることで,分割予定ライン17に沿う断面形状が略V字状のV溝53を形成すること。(段落0045~0047) (ク)細溝形成ステップでは,保護膜55の形成,底部に形成された保護膜55の除去,底部のエッチング,の3つの工程を繰り返し行い,V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝を形成すること(段落0049~0050) (ケ)保護膜55の形成工程では,C4F8を所定の流量供給すること。(段落0051) (コ)底部に形成された保護膜55の除去工程では,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51で,V溝53(又は細溝57)の底部に形成された保護膜55を除去して,V溝53(又は細溝57)の側壁に保護膜55を残存させること。(段落0055) (サ)底部のエッチング工程では,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて,レジスト膜43及び保護膜55に覆われていないV溝53(又は細溝57)の底部をエッチングすること。(段落0057) (シ)保護膜形成ステップでは,細溝57の側壁に保護膜を形成すること。(段落0059) (ス)逆V溝形成ステップでは,ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,断面形状が逆V字状の逆V溝59を細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで形成すること。(段落0064) (セ)本実施の形態に係るウェーハの分割方法では,ウェーハ11を,V溝53及び逆V溝59によって面取りされた状態の複数のチップに分割できること。(段落0067) ウ 上記(ア)~(セ)によれば,引用例1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「中央にデバイス領域13を有し,当該デバイス領域13は,格子状に配列された複数の分割予定ライン17でさらに複数の領域に区画されており,各領域にはIC等のデバイス19が形成されているウェーハ11を,面取りされた複数のチップに分割する,ウェーハの分割方法であって, 上記分割方法は, ウェーハ11の裏面11b側に保護部材を配設する保護部材配設ステップと, ウェーハ11の分割予定ライン17を除く領域にレジスト材を滴下し,乾燥処理・加熱処理等でレジスト材を硬化させて,ウェーハ11の表面側11aにおいて分割予定ライン17を除く領域を覆うレジスト膜43を形成するレジスト膜被覆ステップと, ウェーハ11の,レジスト膜43に覆われていない表面11a側の領域を等方的にプラズマエッチングして,断面形状が略V字状のV溝53を分割予定ライン17に沿って形成するV溝形成ステップと, 保護膜55の形成工程,底部に形成された保護膜55の除去工程,底部のエッチング工程,の3つの工程を繰り返し行い,V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57を形成する細溝形成ステップと, 細溝57の側壁に保護膜55を形成する保護膜形成ステップと, ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,断面形状が逆V字状の逆V溝59を細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで形成する逆V溝形成ステップと を含み, 上記V溝形成ステップでは,ウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し,下部電極28のテーブル42に載置し,下部電極28及び上部電極30との間にラジカルやイオンを含むプラズマが発生させて,ウェーハ11の表面11a側をプラズマエッチングし, 上記細溝形成ステップにおいて, 保護膜55の形成工程では,C4F8を所定の流量供給し, 底部に形成された保護膜55の除去工程では,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51で,V溝53(又は細溝57)の底部に形成された保護膜55を除去して,V溝53(又は細溝57)の側壁に保護膜55を残存させ, 底部のエッチング工程では,SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて,レジスト膜43及び保護膜55に覆われていないV溝53(又は細溝57)の底部をエッチングする, ウェーハの分割方法。」 (2)引用例2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された,本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である,特開2016-131178号公報(以下「引用例2」という。)には,次の記載がある。 「【0040】 次に,図4(b)に示すように,パターニングされたハードマスク10をマスクとして第1のシリコンウェーハW1を異方性プラズマエッチングすることにより,第1のシリコンウェーハW1に溝W1bを形成する(ステップS27)。溝W1bは,第1のシリコンウェーハW1を厚さ方向に貫通しており,これにより第1のシリコンウェーハW1が複数の第2のシリコンウェーハW2に分割される。」 「【0043】 ここで,第1のシリコンウェーハW1の異方性プラズマエッチングを行う前後において,第1のシリコンウェーハW1の等方性プラズマエッチングを行っても構わない。つまり,図5(a)に示すように,最初に等方性プラズマエッチング(ステップS26)を行うことによって第1のシリコンウェーハW1の表面側を等方的にエッチングすることにより面取り部R1を形成した後,図5(b)に示すように,第1のシリコンウェーハW1を貫通するまで異方性プラズマエッチングを行う(ステップS27)。そして,再び等方性プラズマエッチング(ステップS28)を行うことによって,図5(c)に示すように,第1のシリコンウェーハW1の裏面側を等方的にエッチングし,面取り部R2を形成する。これによれば,第2のシリコンウェーハW2のエッジ部分が面取りされた状態となることから,その後の面取り工程が不要となる。尚,等方性プラズマエッチングによる面取り部の形成は,表面側及び裏面側の両方について行うのではなく,表面側のみについて行っても構わない。」 引用例2の図5として,以下の図面が示されている。 [図:0001380867000002.jpg] 3.3 補正発明1と引用発明1の対比 補正発明1と引用発明1とを対比すると,次のようになる。 ア 引用発明1における「ウェーハ11」及び「デバイス19」は,補正発明1の「基板」及び「半導体素子」に相当する。また,引用発明1における「真空チャンバ10」及び「テーブル42」は,補正発明1における「処理チャンバ」及び「基台」に相当する。 イ 引用発明1における「分割予定ライン17」は,「デバイス19」が形成されている複数の領域を区画する格子状に配列された領域であるから,補正発明1における「各半導体素子に対応して設定された加工領域」に相当する。 ウ 上記イのとおり,引用発明1における「分割予定ライン17」は,補正発明1における「前記加工領域」に相当するから,引用発明1における「ウェーハ11の表面側11aにおいて分割予定ライン17を除く領域を覆うレジスト膜43を形成する」ことは,補正発明1における「前記基板の表面に,前記加工領域に対応した開口部を有し」た「表面側マスクを形成する」ことに相当する。また,引用発明1の「レジスト膜43」は「ウェーハ11の分割予定ライン17を除く領域にレジスト材を滴下し,乾燥処理・加熱処理等でレジスト材を硬化させて」形成されたものであるから,補正発明1の「レジストのみからなる表面側マスク」に相当する。そうすると,補正発明1における「表面側マスク形成工程」と引用発明1における「レジスト膜被覆ステップ」は,ともに「前記基板の表面に,前記加工領域に対応した開口部を有し,レジストのみからなる表面側マスクを形成する」点で一致する。 エ 引用発明1の「ウェーハ11の,レジスト膜43に覆われていない表面11a側の領域」は,補正発明1の「前記表面側マスクの開口部」に相当する。また,引用発明1の「V溝形成ステップ」は,「ウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し,下部電極28のテーブル42に載置し」て「ウェーハ11の表面11a側をプラズマエッチング」するステップであり,当該「プラズマエッチング」は「等方的にプラズマエッチング」するものであるから,補正発明1における「表面側エッチング工程」と引用発明1における「V溝形成ステップ」は,ともに「前記基板を前記基台上に載置して,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を等方的にエッチングする」点で一致する。 オ 引用発明1は,「V溝形成ステップ」の後,「V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57を形成する細溝形成ステップ」と「保護膜形成ステップ」と「ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして,断面形状が逆V字状の逆V溝59を細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで形成する逆V溝形成ステップ」を行っている。上記「細溝形成ステップ」及び「逆V溝形成ステップ」は,いずれも「V溝53」の形成された領域に対し行うエッチング処理を含むものであるところ,当該「V溝53」は「分割予定ライン17に沿って形成」されたものであるから,「ウェーハ11の,レジスト膜43に覆われていない表面11a」すなわち「レジスト膜43」の開口部に相当する領域であるといえる。そして,上記「細溝57」及び「逆V溝59」の形成により,「ウェーハ11の裏面11bに至る深さ」までエッチングされていると理解できる。ここで,引用発明1における「細溝形成ステップ」が「異方的エッチング」であることは,技術常識より明らかである。 そうすると,補正発明1と引用発明1は,「前記表面側エッチング工程を実施した後,前記基板の裏面に貫通するまで,前記表面側のマスクの開口部を通して前記基板を異方的にエッチングする工程を含む貫通工程」を有する点で共通する。 カ 補正発明1の「前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法は,・・・徐々に大きくして基板をエッチングする方法であること」との特定事項について,以下のキ~クで検討する。 キ 引用発明1は「細溝形成ステップ」を含むエッチングプロセスにより,「ウェーハ11の裏面11bに至る深さ」までエッチングするものであり,引用発明1における「細溝形成ステップ」が「異方的エッチング」であることは技術常識より明らかであるから,引用発明1における「細溝形成ステップ」は,補正発明1における「前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法」であるといえる。 また,引用発明1の「細溝形成ステップ」における,「底部に形成された保護膜55の除去工程」及び「底部のエッチング工程」は,いずれも「SF6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて」行うエッチングプロセスであるから,補正発明1における「エッチングガスを用いたエッチング処理」に相当する。また,引用発明1の「細溝形成ステップ」における「保護膜55の形成工程」は,「C4F8を所定の流量供給」して保護膜55を形成する工程であるから,補正発明1における「保護膜形成ガスを用いた保護膜形成処理」に相当する。 ク 上記キから,引用発明1の「細溝形成ステップ」における「保護膜55の形成工程,底部に形成された保護膜55の除去工程,底部のエッチング工程,の3つの工程を繰り返し行」うことは,補正発明1の「前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法は,エッチングガスを用いたエッチング処理と保護膜形成ガスを用いた保護膜形成処理とを交互に行って基板をエッチングする方法」に相当する。 そうすると,補正発明1と引用発明1は上記カの特定事項について,ともに「前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法は,エッチングガスを用いたエッチング処理と保護膜形成ガスを用いた保護膜形成処理とを交互に行って基板をエッチングする方法」である点で一致する。 ケ 引用発明1の「ウェーハの分割方法」において「中央にデバイス領域13を有し,当該デバイス領域13は,格子状に配列された複数の分割予定ライン17でさらに複数の領域に区画されており,各領域にはIC等のデバイス19が形成されているウェーハ11を,面取りされた複数のチップに分割する」ことは,補正発明1の「プラズマ加工方法」において「半導体素子が形成された基板から」「該基板よりも小さい,前記各半導体素子に対応した基板を切り出す」ことに相当する。 コ 引用発明1は,「V溝形成ステップ」により「分割予定ライン17に沿って」形成されたV溝に対し,「細溝形成ステップ」及び「逆V溝形成ステップ」によって,「V溝の溝底」から「ウェーハ11の裏面11bに至る深さ」までプラズマエッチングするものであり,上記イに照らすと,補正発明1と引用発明1は,ともに「半導体素子が形成された基板から,各半導体素子に対応して設定された加工領域をプラズマエッチングによって除去」する点で一致する。 サ 引用発明1において,「V溝形成ステップ」は「ウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し,下部電極28のテーブル42に載置し」て行うものであり,SF6等のガスを用いたプラズマエッチングプロセスを処理チャンバ内の基台上に基板を載置して行うことは自明であるから,引用発明1の「細溝形成ステップ」及び「逆V溝形成ステップ」も「ウェーハ11」を「テーブル42に載置し」て行うものと理解できる。 シ 上記コ,サから,補正発明1の「プラズマ加工方法」と引用発明1の「ウェーハの分割方法」は,ともに「処理チャンバ内の基台上に載置された,半導体素子が形成された基板から,各半導体素子に対応して設定された加工領域をプラズマエッチングによって除去し,該基板よりも小さい,前記各半導体素子に対応した基板を切り出すプラズマ加工方法」である点で一致する。 上記ア~シによれば,補正発明1と引用発明1の一致点及び相違点は,以下のとおりである。 <一致点> 「処理チャンバ内の基台上に載置された,半導体素子が形成された基板から,各半導体素子に対応して設定された加工領域をプラズマエッチングによって除去し,該基板よりも小さい,前記各半導体素子に対応した基板を切り出すプラズマ加工方法であって, 前記基板の表面に,前記加工領域に対応した開口部を有し,レジストのみからなる表面側マスクを形成する表面側マスク形成工程と, 前記基板を前記基台上に載置して,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を等方的にエッチングする表面側エッチング工程と, 前記表面側エッチング工程を実施した後,前記基板の裏面に貫通するまで,前記表面側マスクの開口部を通して前記基板を異方的にエッチングする工程を含む貫通工程とを行い, 前記貫通工程において,基板を異方的にエッチングする方法は,エッチングガスを用いたエッチング処理と保護膜形成ガスを用いた保護膜形成処理とを交互に行って基板をエッチングする方法であることを特徴とするプラズマ加工方法。」 <相違点> 補正発明1では,「前記基板の裏面に貫通するまで」「前記基板を異方的にエッチング」するのに対し,引用発明1では,「ウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57を形成する細溝形成ステップ」を行っているものの,「基板の裏面に貫通するまで」異方的にエッチングを行っていない点。 3.4 相違点についての判断 上記3.2(2)の摘記によれば,引用例2には次の技術(以下「公知技術1」という。)が記載され公知であるといえる。 ・プラズマエッチングによりウェーハを複数のウェーハに分割する技術であって,最初にウェーハの表面側に等方性プラズマエッチングを行うことによって面取り部R1を形成した後,ウェーハを貫通するまで異方性プラズマエッチングを行い,再び等方性プラズマエッチングを行うことによって,ウェーハの裏面側を等方的にエッチングし,面取り部R2を形成することで分割されたウェーハのエッジ部分が面取りされた状態となり,その後の面取り工程が不要となる技術。 上記公知技術1は,エッチングによりウェーハを分割する技術であること,及び,等方性プラズマエッチング,異方性プラズマエッチング,等方性プラズマエッチングの順に工程を行うこと,の2つの点で引用発明1と共通し,分割された基板のエッジ部分が面取りされた状態となるという効果の点でも引用発明1と共通するものである。 そうすると,引用発明1に上記公知技術1のウエハを貫通するまで異方性プラズマエッチングを行う工程を適用し,引用発明1の「細溝形成ステップ」を「前記基板の裏面に貫通するまで」「前記基板を異方的にエッチング」する態様に変更することは,当業者が容易になし得たことであるといえる。 したがって,補正発明1は,引用発明1に引用例2に記載された公知技術1を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.5 独立特許要件についてのまとめ 上記3.4のとおり,補正発明1は引用発明1及び引用例2に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.補正却下の決定についてのまとめ したがって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しないものであるから,特許法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和3年5月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1~14に係る発明は,令和2年10月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであり,その内の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記第2,1.アの(ア)に本件補正前の請求項1として摘記したとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1~9,11,14に係る発明は,本願の原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1に記載された発明及び引用例2~8に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用例1.特開2015-133459号公報 引用例2.特開2016-131178号公報 引用例3.特開2015-133460号公報 引用例4.特開2008-34508号公報 引用例5.特開2009-182059号公報 引用例6.特開2009-141307号公報 引用例7.特表2014-513868号公報 引用例8.特開2016-146395号公報 3.引用例の記載 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1~2の記載は,上記第2の3.2に記載したとおりである。 4.対比・判断 上記第2の2.で検討したように,補正発明1は,本件補正前の請求項1について,上記第2の1.イに示した補正事項1の点を限定したものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをさらに限定したものである補正発明1が,上記第2の3.で示した理由のとおり,引用例2に記載された技術的事項に照らし引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.本願発明についての結論 上述のとおり,本願発明は,引用発明1及び引用例2に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 結言 以上のとおりであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶をすべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2021-005924

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