2021-005355
シート処理装置及びこれを備えた画像形成装置
- 審判番号
- 2021-005355
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-053675外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月26日
- 審決日
- 2022年07月20日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キヤノンファインテックニスカ株式会社
- 【請求人代理人】西山 善章
- 分類
- P18 .56 -Z (B65H) / P18 .57 -Z (B65H) / P18 .55 -Z (B65H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年3月17日に出願され、令和2年1月21日付けで拒絶理由が通知され、同年3月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月3日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年9月11日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月20日付けで令和2年9月11日付け手続補正書による補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされたのに対し、令和3年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和3年4月26日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年4月26日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和2年3月23日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲へと補正することを含むものである。(下線は当審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】所定方向にシートを案内する搬送路と、前記搬送路に位置し、シートを前記所定方向に搬送する第1搬送ローラと、前記搬送路の分岐位置から分岐して設けられ、前記搬送路により前記所定方向に案内されるシートを前記所定方向から反転させた反転方向に案内する分岐路と、続きを表示(全34行)前記分岐路に位置し、前記分岐路で案内するシートを前記反転方向又は前記所定方向の何れの方向にも搬送可能な第2搬送ローラと、前記搬送路の前記所定方向下流に設けられ、前記搬送路により案内されたシートを一時載置して所定の処理を行うための処理部と、前記処理部に載置されたシートに対して前記所定の処理の第1の処理又は前記第1の処理より処理時間が長い第2の処理の何れか一方を選択的に施す処理手段と、前記第1搬送ローラ、前記第2搬送ローラ及び前記処理手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する、ことを特徴とするシート処理装置。【請求項2】所定方向にシートを案内する搬送路と、前記搬送路に位置し、シートを前記所定方向に搬送する第1搬送ローラと、前記搬送路の分岐位置から分岐して設けられ、前記搬送路により前記所定方向に案内されるシートを前記所定方向から反転させた反転方向に案内すると共に前記搬送路よりも案内するシートを湾曲させる分岐路と、前記分岐路に位置し、前記分岐路で案内するシートを前記反転方向又は前記所定方向の何れの方向にも搬送可能な第2搬送ローラと、前記搬送路の前記所定方向下流に設けられ、前記搬送路により案内されたシートを一時載置して所定の処理を行うための処理部と、前記処理部に載置されたシートに対して前記所定の処理を施す処理手段と、前記第1搬送ローラ、前記第2搬送ローラ及び前記処理手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記所定の処理を施す際に、前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートが所定の厚さ又は表面処理が施されている場合は第1の後続シートの搬送を減速して滞留させたてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第2の後続シートが所定の厚さ未満又は表面処理が施されていない場合は前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートの搬送を一旦停止して滞留させたてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する、ことを特徴とするシート処理装置。【請求項3】前記第1滞留搬送よりも前記第2滞留搬送のほうが前記載置手段に載置するまでの搬送距離が長い請求項1又は2に記載のシート処理装置。【請求項4】前記制御手段は、前記第2搬送ローラが前記第2滞留搬送する際にシートを前記反転方向に搬送する速度を、前記第1搬送ローラが前記搬送路を前記所定方向に搬送する搬送速度よりも速くする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート処理装置。【請求項5】前記第2滞留搬送を行う場合は、滞留させるシートの一部を前記搬送路の外に一旦露出させた後に搬送方向を反転する請求項4に記載のシート処理装置。【請求項6】前記第2滞留搬送するシートを前記反転方向に搬送する速度は、前記第2滞留搬送したシートを前記滞留部に向けて前記所定方向に搬送する速度よりも速い請求項5に記載のシート処理装置。【請求項7】シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像が形成されたシートを移送し処理する請求項1乃至6の何れか1項に記載のシート処理装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】所定方向にシートを案内する搬送路と、前記搬送路に位置し、シートを前記所定方向に搬送する第1搬送ローラと、前記搬送路の分岐位置から分岐して設けられ、前記搬送路により前記所定方向に案内されるシートを前記所定方向から反転させた反転方向に案内する分岐路と、続きを表示(全30行)前記分岐路に位置し、前記分岐路で案内するシートを前記反転方向又は前記所定方向の何れの方向にも搬送可能な第2搬送ローラと、前記搬送路の前記所定方向下流に設けられ、前記搬送路により案内されたシートを一時載置して所定の処理を行うための処理部と、前記処理部に載置されたシートに対して前記所定の処理の第1の処理又は前記第1の処理より処理時間が長い第2の処理の何れか一方を選択的に施す処理手段と、前記第1搬送ローラ、前記第2搬送ローラ及び前記処理手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する、ことを特徴とするシート処理装置。【請求項2】所定方向にシートを案内する搬送路と、前記搬送路に位置し、シートを前記所定方向に搬送する第1搬送ローラと、前記搬送路の分岐位置から分岐して設けられ、前記搬送路により前記所定方向に案内されるシートを前記所定方向から反転させた反転方向に案内すると共に前記搬送路よりも屈曲した分岐路と、前記分岐路に位置し、前記分岐路で案内するシートを前記反転方向又は前記所定方向の何れの方向にも搬送可能な第2搬送ローラと、前記搬送路の前記所定方向下流に設けられ、前記搬送路により案内されたシートを一時載置して所定の処理を行うための処理部と、前記処理部に載置されたシートに対して前記所定の処理を施す処理手段と、前記第1搬送ローラ、前記第2搬送ローラ及び前記処理手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記所定の処理を施す際に、前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートが所定の厚さ又は表面処理が施されている場合は、第1の後続シートの搬送を減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第2の後続シートが所定の厚さ未満又は表面処理が施されていない場合は前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートの搬送を一旦停止して滞留させてから前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する、ことを特徴とするシート処理装置。【請求項3】前記第1滞留搬送よりも前記第2滞留搬送のほうが前記処理部に載置するまでの搬送する距離が長い請求項1又は2に記載のシート処理装置。【請求項4】前記制御手段は、前記第2搬送ローラが前記第2滞留搬送する際にシートを前記反転方向に搬送する速度は、前記第1搬送ローラが前記第1滞留搬送する際にシートを搬送する速度よりも速くする、請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート処理装置。【請求項5】シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像が形成されたシートを移送し処理する請求項1乃至4の何れか1項に記載のシート処理装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。」
本件補正は、令和3年4月26日に提出された手続補正書により、請求項2の発明特定事項である「制御手段」について、本件補正前は、「前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第2の後続シートが所定の厚さ未満又は表面処理が施されていない場合は前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートの搬送を一旦停止して滞留させたてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」としていたものを、「前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第2の後続シートが所定の厚さ未満又は表面処理が施されていない場合は前記処理部で前記所定の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートの搬送を一旦停止して滞留させてから前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」とする(以下、「本件補正事項1」という。)ことを含むものである。
2 本件補正の適否について
(1) 本件補正事項1の補正の適否
ア 特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
そこで、本件補正事項1について、以下、検討する。
本件補正事項1は、本件補正前の請求項2においては、「次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて」とされていたものを削除するものであり、「次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせ」ないものを含むものとなったことから、本件補正事項1は、本件補正前の請求項2において特定されている発明特定事項をさらに特定するものには該当せず、本件補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、本件補正事項1が、同項第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(2)小括
よって、本件補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和2年3月23日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】所定方向にシートを案内する搬送路と、前記搬送路に位置し、シートを前記所定方向に搬送する第1搬送ローラと、前記搬送路の分岐位置から分岐して設けられ、前記搬送路により前記所定方向に案内されるシートを前記所定方向から反転させた反転方向に案内する分岐路と、続きを表示(全11行)前記分岐路に位置し、前記分岐路で案内するシートを前記反転方向又は前記所定方向の何れの方向にも搬送可能な第2搬送ローラと、前記搬送路の前記所定方向下流に設けられ、前記搬送路により案内されたシートを一時載置して所定の処理を行うための処理部と、前記処理部に載置されたシートに対して前記所定の処理の第1の処理又は前記第1の処理より処理時間が長い第2の処理の何れか一方を選択的に施す処理手段と、前記第1搬送ローラ、前記第2搬送ローラ及び前記処理手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する、ことを特徴とするシート処理装置。」(以下、「本願発明」という。)
2 原査定の拒絶の理由
原査定の理由は、令和2年3月23日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、という理由を含むものである。
記
請求項1には、「前記処理部に載置されたシートに対して前記所定の処理の第1の処理又は前記第1の処理より処理時間が長い第2の処理の何れか一方を選択的に施す処理手段」及び「前記制御手段は、前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」という事項が記載されている。
しかしながら、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、第1の処理を施す際に上記第1滞留搬送を実施し、第1の処理より処理時間が長い第2の処理を施す際に上記第2滞留搬送を実施する構成が記載されていない。
したがって、請求項1に記載された上記事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内とは認められない。
3 令和2年3月23日に提出された手続補正書による補正事項
令和2年3月23日に提出された手続補正書による補正は、請求項1の発明特定事項である「制御手段」について、本件補正前の「前記処理手段が作動しているときには次に搬送されてくるシートを前記複数のシート滞留部の一つを選択し滞留させる」としていたものを「前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」とする(以下、「補正事項A」という。)ことを含むものである。
4 補正事項Aの補正の適否(新規事項の追加の有無について)
ア まず、補正事項Aが、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載されているか否かを検討する。
イ 補正事項Aの「前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」との構成は、
(ア)「前記第1の処理を施」している最中には、「前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し」、「前記第2の処理を施」している最中には、「前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」構成
であると認められる。
ウ 一方、審判請求人が審判請求書において補正の根拠としている当初明細書等の段落【0029】、【0081】、【0083】及び図11には、以下の事項が記載されている。また、段落【0064】には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0029】
第1処理部B1は、排紙口35から送られたシートを部揃え積載する処理トレイ37と、積載されたシート束を綴じ処理するステープラユニット47とで構成される。処理トレイ37は、第1排紙パス31の排紙口35の下方に設けられ、排紙口35から搬出されるシートは、その搬送方向をスイッチバックされて処理トレイ37上に導入される。そして、シートは位置決め機構によって処理トレイ37上の所定の綴位置に位置決めされてステープラユニット47によって綴じ処理されて、綴じ処理したシート束はシート束搬出機構によって第1トレイ49に搬出される。第1処理部B1については後に詳述する。
(イ)「【0081】一方、ステップS4での判別において、仕上げモード信号Si1がシフト排出モードの指定であるときにも、第1処理部B1での動作となる。シフト排出モードでは、処理トレイ37のシートは、側縁整合板39R及び側縁整合板39Fの整合動作によるシフト処理が行われて、シートを綴じずに第1トレイ49に排出される。」
(ウ)「【0083】図11のフローチャートは、シフト排出モードでの動作の変形例を示している。この場合、ステップS19において、予定処理枚数の全てのシートを第2シート滞留部32に滞留させたことを判別したときには、先行しているシートの処理トレイ37で施される処理が終了するタイミングと合せて、第2シート滞留部32に滞留されているシートは第1処理部B1に排出される(ステップS23)。続いて、処理トレイ37で整列・綴じ処理が行われ(ステップS24)、綴じ処理されたシート束は第1トレイ49に排出される(ステップS25)。したがって、シフト排出モードであっても、シートが所定枚数以上の場合は整列・綴じ処理を行って第1トレイ49に排出する処理を行う。」
(エ)「【図11】[図:0001388785000001.jpg]」
(オ)「【0064】これに対して、第2シート滞留部32は、第1シート滞留部31と処理トレイ37の間に分岐して配置されて、更に正逆転の両方向に回転する正逆搬送ローラ90を備えているために、第1排紙パス31(すなわち、第1シート滞留部)からのシートを処理トレイ37へ導入するときのバッファ機能を有することから、連続して送られてくるシートを重ねて滞留させることもできる。しかも、正逆搬送ローラ90の反転搬送速度を速く設定することで、複数のシートを高速で重ねることが可能となる。したがって、第2シート滞留部32は、処理トレイ37での処理時間が長い場合でも生産性を低下させることがなくなる利点がある。」
エ してみると、当初明細書等の段落【0029】、【0081】、【0083】、図11には、滞留させる後続シートが所定枚数以下か否かにより、第1滞留搬送が行われるか、第2滞留搬送が行われるかが決定され、また滞留させる後続シートが所定枚数以下か否かにより滞留シートに対する処理内容が決定されるものは記載されているが、「第3 4 イ (ア)」に記載の構成は記載されていない。
オ また、当初明細書等の段落【0064】には、「第2シート滞留部32は、処理トレイ37での処理時間が長い場合でも生産性を低下させることがなくなる利点がある。」との記載はあるが、当該記載を参酌しても、「前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」構成が記載されているとは認められない。
カ そして、当初明細書等のその他の記載を参酌しても、当初明細書等に補正事項Aの「前記第1の処理を施す際には、前記処理部で前記第1の処理が施されるシートの次に前記搬送路を前記第1搬送ローラにより搬送される第1の後続シートを減速して滞留させてから前記処理部に搬送する第1滞留搬送を実施し、前記第2の処理を施す際には、前記処理部で前記第2の処理が施されるシートの次に前記分岐路を前記第2搬送ローラにより前記反転方向に搬送される第2の後続シートを一旦停止して滞留させてから次に搬送路により案内される第3の後続シートと重ね合わせて前記処理部に搬送する第2滞留搬送を実施する」構成が記載されているとは認められない。
また、当該記載の構成は、当初明細書等から自明な事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、補正事項Aは、新たな技術的事項を導入するものである。
5 まとめ
したがって,補正事項Aを含む令和2年3月23日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
第4 むすび
以上のとおり、令和2年3月23日付け手続補正書でした補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-005355