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特許拒絶査定不服審判

2021-003864

シート処理装置、画像形成装置、シートの折り目押圧方法

審判番号
2021-003864
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-015716外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月25日
審決日
2022年07月20日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .561-Z (B65H) / P18 .55 -Z (B65H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016- 15716「シート処理装置、画像形成装置、シートの折り目押圧方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月 3日出願公開、特開2017-132615〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成28年1月29日に出願され、令和1年9月11日付けで拒絶理由が通知され、同年11月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和2年4月15日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月17日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月23日付けで同年8月17日付け手続補正書による補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされたのに対し、令和3年3月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、同年4月22日に手続補正書(審判請求書)が提出されたものである。

第2 令和3年3月25日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和3年3月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和1年11月13日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1へと補正することを含むものである。(下線は当審決で付した。以下同じ。)

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
折りシートの折りループを押圧する複数列に構成される一対の押え部材と、
前記折りシートの幅方向に移動するとともに、前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における一端から離間した初期位置から前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置に向かう移動方向において、前記押え部材相互の間隔が下流から上流に向かって段階的に狭くなるように前記複数列の一対の押え部材を支持する支持ユニットと、
を備え、
前記支持ユニットは、前記初期位置から前記終端位置に移動するシート幅全領域移動と、前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って前記折りループを前記押え部材で押圧するシート処理装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
折りシートの折りループを押圧する複数列に構成される一対の押え部材と、
前記折りシートの幅方向に移動するとともに、前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における一端から離間した初期位置から前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置に向かう移動方向において、前記押え部材相互の間隔が下流から上流に向かって段階的に狭くなるように前記複数列の一対の押え部材を支持する支持ユニットと、を備え、
前記支持ユニットは、
前記初期位置から前記終端位置に移動するシート幅全領域移動と、
前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行って前記折りループを前記押え部材で押圧するシート処理装置。」

本件補正は、令和3年3月25日に提出された手続補正書により、請求項1の発明特定事項である「支持ユニット」について、本件補正前は、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って」としていたものを、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行って」とする(以下、「本件補正事項1」という。)ことを含むものである。

2 本件補正の適否について

(1)本件補正事項1の補正の適否(新規事項の追加の有無について)

ア 本件補正事項1の「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行って」という構成が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載されているか否かを検討する。

イ まず、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1において、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行って」との記載の前に、「前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」との記載があることから、本件補正事項1の「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行って」という構成における「前記終端位置」は、「前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」における「終端位置」を指すものであると認められる。

ウ 次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記折りシートの幅方向に移動するとともに、前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における一端から離間した初期位置から前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置に向かう移動方向において、前記押え部材相互の間隔が下流から上流に向かって段階的に狭くなるように前記複数列の一対の押え部材を支持する支持ユニット」との記載から、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1において、「折りシートの幅方向」とは「支持ユニット」の移動方向であるといえる。

そして、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」との記載から、「前記折りシートの前記幅方向における他端」が「前記折りシートの前記幅方向における一端」よりも「終端位置」の近くに位置すると解するのが自然であるから、「前記折りシートの前記幅方向における他端」とは「終端位置」側の折りシートの「終端」のことを意味していると認められる。

してみると、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における「折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」とは、「終端位置側の折りシート終端から離間した終端位置」のことを意味しているといえる。

エ そして、本件補正事項1の「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行」うとの構成は、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された『前記折りシートの所定の端部領域』と『前記終端位置』との間で移動する往復移動と、を行」うものと文言どおり解されるところ、上記「イ」及び「ウ」の検討を踏まえると、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された『前記折りシートの所定の端部領域』と『終端位置側の折りシートの終端から離間した終端位置』との間で移動する往復移動と、を行」うものであると認められる。

オ 一方、審判請求人が審判請求書において補正の根拠としている当初明細書等の段落【0091】、図11、図13及び図18には、以下の事項が記載されている。また、当初明細書等の段落【0066】~【0077】、【0089】及び図17には、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0091】
(第1実施例)
図18は上記の図17(a)の終端位置(EP)側で支持ユニット56を一部往復して折りシート端部を押えたものである。支持ユニット56は終端位置(EP)で図示の様に終端位置(EP)側の折りシート終端に達すると今度はホームポジション位置(HP)側に戻り復帰する。この復帰移動は、シートの束幅の約1/4から約1/5に設定されている。この約1/4から約1/5を支持ユニット56が移動すると、再び終端位置(EP)側に向かって移動し折りシートの折りループを抜けて終端位置(EP)に移動し、押圧した折りシート束を排出し、次の折りシートの搬入を待つ。これによれば、終端位置(EP)側の折りシート端部を複数回押えローラ70で押圧するので、図17の支持ユニット56で押圧された折りシートに比べ、終端位置(EP)側の端部側が確り折られる。」
(イ)「【図11】
[図:0001388759000001.jpg]
」
(ウ)「【図13】
[図:0001388759000002.jpg]
」

(エ)「【図18】

「
[図:0001388759000003.jpg]
」
(オ)「【0066】
[支持ユニットの動作説明]
ここからは、図11から図13により折りユニット50内の支持ユニット56の折りシート束BSへの搬入、段階的な押圧動作について説明する。これらの図11から図13は、束排出口側からの見た支持ユニット56で、説明の都合上この支持ユニット56のユニットベース板62aを省略したものである。図11は支持ユニット56がホームポジション(HP)に位置し折りシート束BSの搬入に備え待機している状態を示している。図12は支持ユニット56が折りシート束BSの幅方向中程まで移動し3列のローラによる折りループBLのシート束幅BWを段階的な折りを行っている状態を示している。図13は、3列のローラによる段階的な段階折りが完了し支持ユニット56が折り返しポジションである終端位置(EP)に位置している状態を示している。以下、各状態について説明する。
【0067】
続きを表示(全25行)
まず図11では、3列の押えローラを有する支持ユニット56のユニットフラグ107が右側板53に取り付けられたホームポジションセンサ108に検出され、支持ユニット56はホームポジション(HP)に位置している。この位置で、後述する「段階折りモード」が設定されている場合は、折りローラ45で折り曲げ処理され、折りシート搬送パスBPを搬送されてくる折りシート束BSの搬入を待つ。
【0068】
ところで、このホームポジション(HP)に位置する支持ユニット56は、移動方向から順に相互の間隔が狭くなり、最終列は圧接する押えローラ70が設けられている。既に説明しているように本実施例にあっては1列目の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72が略14ミリメートルの間隔を持って配置されている。また、2列目の第2上押えローラ73と第2下押えローラ74が略7ミリメートルの間隔を有している。さらに3列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は領域R1で相互に圧接している。さらにこれらのローラ相互の離間及び圧接の中心は折りシート束BSの中心である折りシートの折りループ先端(折り目)BL1に略一致するように配置されている。
【0069】
この折りシート束BSの折りループが所定の大きさ(本実施例にあってはループの上下方向が、例えば22ミリメートル)になると、折りローラ45を停止させて支持ユニット56を図11右側にユニット駆動モータ69の駆動で移動させる。この移動が開始すると折りシート束の図示左側(一方)の端部(シート端部)を一列目の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72が乗り越え、折りシート先端ループBL1からやや上方の位置に折り目をつけながら左側に移動する。先ほど述べたように本実施例におけるループの大きさは略22ミリメートル程度であり、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72との間隔は略14ミリ程度とされているので、上下に略4ミリメートル弱オーバラップし、これが図14(a)に示す第1の折り線100を付与することになる。
【0070】
また、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72との間隔が開いているので、折りシート束BS端部をそれほど損傷することなくこれらのローラが乗り越えることになる。また、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72を含む押えローラ70はシート搬送方向と同方向に軸支され、この軸上で回転自在に支持されている。この回転によっても折りシート束端部の乗り越えが容易となる。
【0071】
さらに、第1上押えローラ71、第2上押えローラ73、第3上押えローラ75の移動方向の間には第1上ガイドプレート201a、第2上ガイドプレート202aが配置されている。一方、折りループBLを挟んでこれらと対向する第1下押えローラ72、第2下押えローラ74、第3下押えローラ76の移動方向の間には第1下ガイドプレート201b、第2下ガイドプレート202bが配置されている。これらにより、折りシート束BSの折りループBLはローラ間に侵入することなく上流側の押えローラ70間にスムーズに案内される。
【0072】
支持ユニット56が引き続き移動すると、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とのとの間隔で押圧されたループは、さらに第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とのやや狭められた間隔で折りシート束BSのループを押え付けて第2の折り目をつけることになる。本実施例におけるさらに第2上押えローラ73と第2下押えローラ74との間隔は略7ミリメートルに設定され、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とのとの間隔よりも上下にそれぞれ略3.5ミリメートル程度オーバラップし、これが図14(b)に示す第2折り線101を付与することになる。
【0073】
これに引き続き、3列目のローラである第3上押えローラ75と第3下押えローラ76にその折り目BL1が段階折りされる。すなわち、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は、その間隔は0として略圧接状態となっているので、折り目のシート厚さ方向の分シートを第3上押えローラ押圧バネ149aと第3下押えローラ押圧バネ149bに押圧されながら段階折りされることになり、これが図14(c)に示す最終折り線102を付与することになる。
【0074】
上記の内容で折りシート束BSを1ユニット内で段階的に押圧して支持ユニット56が折りシート束BSのシート幅方向略中央に位置した状態が図12に示されている。この状態からさらに支持ユニット56は図示右側に向かってシートの折り目厚さ方向から相互の間隔が狭くなる押えローラ70により段階的にシートに折り線を付与しながら移動する。この移動により、折りシート束の図示右左(一方)端部(シート端部)を3列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76が通過して押えローラにより順次押圧して段階折りを行う。
【0075】
この通過後、支持ユニット56が図示の左側板54側の折り返しポジションである終端位置(EP)に到達する。この状態が図13に示されている。この折り返しポジションに到達するとユニット駆動モータ69の駆動を停止する。その後、段階折りを施した(押えローラ70での押圧完了した)折りシート束BSが折りローラ45及び束排出ローラ49の排出方向への回転により排出されるのを待つ。段階折りされた折りシート束BSの排出完了が図2に示した束排出センサ(SEN4)131で検出されると、支持ユニット56を折り返しポジションからホームポジション(HP)に復帰させ、図11の位置で次の折りシート束BSの搬入に備える。
【0076】
なお、上記においては図13の段階折りした折りシートBSを一旦排出してから支持ユニット56を終端位置(EP)からホームポジション位置(HP)に復帰するようにしたが、折りシート束BSを排出することなく、再度支持ユニット56を図13の右側から左側に移動して、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76により、折りシート束BSの折り目を再度押圧させながら、ホームポジション(HP)に復帰させれば、最終列の段階折りをより確実にすることもできる。
【0077】
以上のように、本実施例にあっては、折り曲げられた折りシート束BSに対して支持ユニット56により、3段階の折りを実行している。この折り動作を行って排出した折りシート束BSについて図14により説明する。これまで説明してきたように、本発明のシート束の押圧部材としての第1上押えローラ71と第1下押えローラ72で折りシート束BSの折り目厚さ方向(折り目で折りシート束BS搬送方向と交差する上下方向)から、折りローラ45で折り目がつけられ折りループBLが生じた箇所を折り目方向に移動して複数の折り目を付けている。」
(カ)「【0089】
[これまでの支持ユニットの移動]
図17は既に図11から図13で説明したのでここでの詳細な説明は省略するが、図17(a)では支持ユニット56がホームポジション位置(HP)から終端位置(EP)に向かって移動して折りシートの折りループに対して第1上押えローラ71と第1下押えローラ72から順次互いに圧接する第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とまでで順次押圧して折りシートを排出する。図17(b)では、支持ユニット56がシート束幅BWの方向に往復して折りループを押圧する。ここでは特に、互いに圧接する第3上押えローラ75と第3下押えローラ76が折りループを2回押圧するので上記の図17(a)の押えに比べてより折りができる。しかしながら、特に終端位置(EP)側の折りループ端部は折り目が付きにくく、図14及び図15に示す様に折り目が弱く改善の余地があった。」
(キ)「【図17】
[図:0001388759000004.jpg]
」

カ ここで、当初明細書等の段落【0091】には、「支持ユニット56は終端位置(EP)で図示の様に終端位置(EP)側の折りシート終端に達すると今度はホームポジション位置(HP)側に戻り復帰する」と記載されていることから、当初明細書等の段落【0091】に記載された第1実施例において、支持ユニット56が折り返す位置は「終端位置側の折りシート終端」であると認められる。

キ してみると、当初明細書等の段落【0091】及び図18には、「前記支持ユニット」が、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と」「終端位置側の折りシート終端」「との間で移動する往復移動と、を行」うことは記載されていると認められるが、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と」「終端位置側の折りシート終端から離間した」「終端位置」「との間で移動する往復移動と、を行」う構成が記載されているとは認められず、当初明細書等の段落【0091】及び図18に、本件補正事項1の構成が記載されているとは認められない。

ク また、図13からは、「支持ユニット56」が終端位置側の「折りシート束BS」終端から離間した位置にあることが看取できるが、図13に関する説明がなされている当初明細書等の段落【0066】~【0077】には、「支持ユニット56」がシート幅の全領域を移動する場合における「支持ユニット56」の動作説明は記載されているものの、「前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動」に関する記載はなく、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行」うことが記載されているとはいえない。。

ケ そして、当初明細書等の段落【0066】~【0077】の記載に加え、当初明細書等の段落【0089】の記載も踏まえると、図13は、図17のように「支持ユニット56」が移動を行うときの状況を示すもので、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行」う状況を示すものではなく、図13を根拠に「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行」う構成が当初明細書等に記載されているとは認められない。

そして、図11を参酌しても、当初明細書等に「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行」う構成が記載されているとは認められない。

コ また、本願の当初明細書等のその他の記載を参酌しても、本願の当初明細書等に本件補正事項1の「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループが形成された前記折りシートの所定の端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動と、を行」う構成が記載されているとは認められない。

そして、当該構成は、当初明細書等から自明な事項や技術常識から導かれる事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、本件補正事項1は、新たな技術的事項を導入するものである。

(2)まとめ

したがって、本件補正事項1を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

3 むすび

以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和1年11月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
折りシートの折りループを押圧する複数列に構成される一対の押え部材と、
前記折りシートの幅方向に移動するとともに、前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における一端から離間した初期位置から前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置に向かう移動方向において、前記押え部材相互の間隔が下流から上流に向かって段階的に狭くなるように前記複数列の一対の押え部材を支持する支持ユニットと、
を備え、
前記支持ユニットは、前記初期位置から前記終端位置に移動するシート幅全領域移動と、前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って前記折りループを前記押え部材で押圧するシート処理装置。」(以下、「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶の理由

原査定の理由は、令和1年11月13日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、という理由を含むものである。

記

請求項1に記載の「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って」という事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内とは認められない。

3 令和1年11月13日付け手続補正書でした補正の補正事項

令和1年11月13日付け手続補正書でした補正は、請求項1の発明特定事項である「支持ユニット」について、令和1年11月13日付け手続補正書でした補正前の「シート端一部領域の往復動を行って」を「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って」とする(以下、「補正事項A」という。)ことを含むものである。

(1)補正事項Aの補正の適否(新規事項の追加の有無について)

ア 補正事項Aの「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って」という構成が、当初明細書等に記載されているか否かを検討する。

イ まず、本願発明において、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って」との記載の前に、「前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」との記載があることから、補正事項Aの「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行って」という構成における「前記終端位置」は、「前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」における「終端位置」を指すものであると認められる。

ウ 次に、本願発明の「前記折りシートの幅方向に移動するとともに、前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における一端から離間した初期位置から前記複数列の一対の押え部材が前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置に向かう移動方向において、前記押え部材相互の間隔が下流から上流に向かって段階的に狭くなるように前記複数列の一対の押え部材を支持する支持ユニット」との記載から、本願発明において、「折りシートの幅方向」とは「支持ユニット」の移動方向であるといえる。

そして、本願発明の「前記折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」との記載から、「前記折りシートの前記幅方向における他端」が「前記折りシートの前記幅方向における一端」よりも「終端位置」の近くに位置すると解するのが自然であるから、「前記折りシートの前記幅方向における他端」とは「終端位置」側の折りシートの「終端」のことを意味していると認められる。

してみると、本願発明における「折りシートの前記幅方向における他端から離間した終端位置」とは、「終端位置側の折りシート終端から離間した終端位置」のことを意味しているといえる。

エ そして、補正事項Aの「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行」うとの構成は、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの『端部領域』と『前記終端位置』との間で移動する往復移動と、を行」うものと文言どおり解されるところ、上記「イ」及び「ウ」の検討を踏まえると、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの『端部領域』と『終端位置側の折りシートの終端から離間した終端位置』との間で移動する往復移動と、を行」うものであると認められる。

オ 一方、当初明細書等の段落【0066】~【0077】、【0089】、【0091】、図11、図13及び図18には、「第2 2 (1) オ」に記載した事項が記載されている。

カ そして、当初明細書等の段落【0091】には、「支持ユニット56は終端位置(EP)で図示の様に終端位置(EP)側の折りシート終端に達すると今度はホームポジション位置(HP)側に戻り復帰する」と記載されていることから、当初明細書等の段落【0091】に記載された第1実施例において、支持ユニット56が折り返す位置は「終端位置側の折りシート終端」であると認められる。

キ ここで、本願発明において、「前記折りループの端部領域」とは、「前記折りシートの幅方向端部に存在する前記折りループの端部領域」のことを意味している場合と「前記折りシートの幅方向と直交する方向端部に存在する前記折りループの端部領域」のことを意味している場合の2通りに解することができる。

ク そこで、まず、本願発明において、「前記折りループの端部領域」が、「前記折りシートの幅方向端部に存在する前記折りループの端部領域」のことを意味している場合について検討すると、当初明細書等の段落【0091】及び図18には、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と」「終端位置側の折りシート終端」「との間で移動する往復移動と、を行」うことは記載されていると認められるが、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と」「終端位置側の折りシート終端から離間した」「終端位置」「との間で移動する往復移動と、を行」う構成が記載されているとは認められず、当初明細書等の段落【0091】及び図18に、補正事項Aの構成が記載されているとは認められない。

ケ 次に、本願発明において、「前記折りループの端部領域」が、「前記折りシートの幅方向と直交する方向端部に存在する前記折りループの端部領域」のことを意味している場合について検討すると、当初明細書等には、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と」「終端位置側の折りシート終端から離間した」「終端位置」「との間で移動する往復移動と、を行」う構成が記載されているとは認められず、当初明細書等の段落【0091】及び図18に、補正事項Aの構成が記載されているとは認められない。

コ したがって、本願発明において、「前記折りループの端部領域」とは、「前記折りシートの幅方向端部に存在する前記折りループの端部領域」のことを意味している場合と「前記折りシートの幅方向と直交する方向端部に存在する前記折りループの端部領域」のことを意味している場合のいずれの場合においても、当初明細書等の段落【0091】及び図18に、補正事項Aの構成が記載されているとは認められない。

サ また、図13からは、「支持ユニット56」が終端位置側の「折りシート束BS」終端から離間した位置にあることが看取できるが、図13に関する説明がなされている当初明細書等の段落【0066】~【0077】には、「支持ユニット56」がシート幅の全領域を移動する場合における「支持ユニット56」の動作説明は記載されているものの、「前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動」に関する記載はなく、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行」うことが記載されているとはいえない。。

シ そして、当初明細書等の段落【0066】~【0077】の記載に加え、当初明細書等の段落【0089】の記載も踏まえると、図13は、図17のように「支持ユニット56」が移動を行うときの状況を示すもので、「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行」う状況を示すものではなく、図13を根拠に「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行」う構成が当初明細書等に記載されているとは認められない。

そして、図11を参酌しても、当初明細書等に「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行」う構成が記載されているとは認められない。

ス また、本願の当初明細書等のその他の記載を参酌しても、本願の当初明細書等に補正事項Aの「前記複数列の一対の押え部材の全てが前記折りループを押圧している前記折りループの端部領域と前記初期位置及び前記終端位置の一方との間で移動する往復移動を行」う構成が記載されているとは認められない。

そして、当該構成は、当初明細書等から自明な事項や技術常識から導かれる事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、補正事項Aは、新たな技術的事項を導入するものである。

(2)まとめ

したがって、補正事項Aを含む令和1年11月13日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび

以上のとおり、令和1年11月13日付け手続補正書でした補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-003864

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