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特許拒絶査定不服審判

2021-004934

配線基板

審判番号
2021-004934
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-077213外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月16日
審決日
2022年03月24日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H05K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 77213「配線基板」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月24日出願公開,特開2019-186441〕について,次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は,成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は,平成30年4月13日を出願日とする特許出願であって,その後の手続の概要は,以下のとおりである。

令和 2年 9月17日付け:拒絶理由通知
令和 2年11月27日 :意見書,手続補正書
令和 3年 1月 5日付け:拒絶査定
令和 3年 4月16日 :審判請求書,補正書
令和 3年10月26日付け:当審による拒絶理由通知
令和 3年12月21日 :意見書,手続補正書

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明は,令和3年12月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであると認められるところ,請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の絶縁層を積層してなり,対向する表面および裏面を有する基板本体と,
上記基板本体の表面および裏面の少なくとも一方に開口し,且つ底面および側面を有する凹部と,を有する配線基板であって,
上記凹部は,上記底面を構成する平面を有する絶縁層と,これに隣接して積層され,上記側面を構成する貫通穴を有する絶縁層と,で形成されており,
上記凹部の開口部と対向する上記底面と上記側面との角部に沿っており,且つ上記絶縁層の一部からなる凸条部を有していると共に,
上記凹部を構成する上記底面には,導体層が形成され,且つ,該導体層は,上記底面側に形成されたメタライズ層と該メタライズ層の表面側に形成された金属メッキ層とを有しており,
上記凸条部は,上記底面に形成された上記導体層のうち,少なくとも上記金属メッキ層の端部と接触していると共に,上記凹部の上記底面と上記側面との上記角部において,上記基板本体の厚み方向と垂直な側面視で,上記角部に対して傾斜する傾斜面あるいは上記角部側に凸となる湾曲面を有している,
ことを特徴とする配線基板。」

第3 当審拒絶理由の概要

令和3年10月26日付けで当審が通知した拒絶理由のうち,理由1(進歩性)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1ないし2に係る発明は,その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明,及び,引用文献2ないし5に記載された周知の技術事項に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開昭62-163347号公報

引用文献2.特開2006-332605号公報(周知技術を示す文献)

引用文献3.特開2009-267274号公報(周知技術を示す文献)

引用文献4.特開2007-235003号公報(周知技術を示す文献)

引用文献5.特開2011-253846号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献,引用発明

1 引用文献1には,図面と共に以下の事項が記載されている。なお,下線は当審で付与した。

(1)「第1図には,本発明に係る電子部品搭載用基板(11)を採用して形成した電子部品搭載用ピングリッドアレイ(10A)の縦断面図が示してあり,この電子部品搭載用基板(11)の凹部(12)内には,第2図及び第3図に示したように,電子部品搭載用基板(11)と一体的な突出部(20)が凹部(12)の中心部分に向けて出されているのである。」(第3頁左下欄第19行ないし第3頁右下欄第5行)

(2)「この電子部品搭載用ピングリッドアレイ(10A)を構成している電子部品搭載用基板(11)に形成した突出部(20)は,当該電子部品搭載用基板(11)に対して次のような関係にしてある。すなわち,第2図及び第3図に示したように,凹部(12)の底面(13)周辺に,凹部(12)の開口縁(12a)より垂直に下した面(21)と,凹部(12)の底面(13)の延長面(22)との交差部分(23)から,凹部(12)の中央部方向に向けて出される突出部(20)を形成したのである。この関係をより詳細に図示したのが第5図である。
この第5図から明らかなように,凹部(12)の開口縁(12a)から垂直に下した面(21)と,底面(13)の延長面(22)との交差部分(23)を中心に見ると,突出部(20)は少なくとも凹部(12)の中央部方向に向けて出されていることになるのである。これによって,当該凹部(12)の底面(13)近傍においては直角部分あるいは鋭角部分が全く存在しないのである。
この突出部(20)は,以上のように凹部(12)の底面(13)近傍において直角部分あるいは鋭角部分の存在を無くすためのものであるから,この条件を満たすような形状のものであればそれで十分であり,その形状は次のように種々考えることができる。まず,この突出部(20)の形状は基本的には,当該突出部(20)の凹部(12)内に露出する面が,凹部(12)の開口縁(12a)と凹部(12)の底面(13)の外周縁とを連結する面に対して凹部(12)の中央部方向と反対側に位置すればよい。突出部(20)の凹部(12)内に露出する面が凹部(12)の開口縁(12a)と凹部(12)の底面(13)の外周縁とを連結する面よりも凹部(12)の中央部方向に位置していると,当該突出部(20)が凹部(12)内に突出することになり,このように形成することは困難であるだけでなく,例えば凹部(12)内にメッキ層を形成した場合に,このメッキ層の強度が弱くなるからである。このような条件を満足するためには,第2図及び第5図の図示左半分において示したように,突出部(20)の凹部(12)内に露出する面を平面として形成してもよく,また第3図及び第5図の図示右半分にて示したように,凹部(12)の中央部に向けて凹となる球面として形成してもよいのである。」(第4頁左上欄第1行ないし第4頁左下欄第7行)

(3)「以上のような条件の突出部(20)を形成するには,突出部(20)の凹部(12)内に露出する面に対応する切削面を有する回転刃(バイト)によってザグリ加工するのが最も効率が良い。このザグリ加工をするためにも,電子部品搭載用基板(11)の材質としては樹脂系素材を使用するのがよく,本実施例にあっては,この電子部品搭載用基板(11)の基材としてガラスエポキシ樹脂,ガラスポリイミド樹脂,ガラストリアジン樹脂からなる基材を使用した。」(第4頁左下欄第8ないし19行)

(4)「また,第1図に示した電子部品搭載用基板(11)における突出部(20)にあっては,その凹部(12)内に露出する面が,凹部(12)の他の面とともに金属メッキ被膜で覆ってある。このようにするのは,凹部(12)に金属被膜を設けることにより基材内部を通じての湿気の侵入を防止して封止信頼性を向上させるとともに,金属被膜自身を設置導体用の導体回路として採用し,また該被膜を外部リードと接続させるように設計配線して半導体素子より発生する熱を前記被膜により速やかに外部へ放散させる効果を持たせるためである。」(第4頁左下欄第20行ないし第4頁右下欄第10行)

[図:0001384825000001.jpg]

[図:0001384825000002.jpg]

2 よって,前記記載事項から以下のことがいえる。

(1)前記「1(3)」によれば,「電子部品搭載用基板(11)」は,樹脂からなる基材を使用したものである。

(2)前記「1(1)」によれば,「電子部品搭載用基板(11)」は「凹部(12)」を有するものである。

ここで引用文献1の第2ないし3図を参照すると,「電子部品搭載用基板(11)」の基材が,紙面上側の面及び紙面下側の面を有し,「凹部(12)」が基材の紙面上側の面に開口していることが見て取れる。

また,前記「1(2)」によれば,「凹部(12)」は,「底面(13)」および「凹部(12)の開口縁(12a)から垂直に下した面(21)」を有するものである。

(3)前記「1(2)」によれば,「電子部品搭載用基板(11)」は「

凹部(12)の開口縁(12a)より垂直に下した面(21)と,凹部(12)の底面(13)の延長面(22)との交差部分(23)から,凹部(12)の中央部方向に向けて出される突出部(20)」を形成したものである。

(4)前記「1(3)」によれば,「突出部(20)」は「電子部品搭載用基板(11)」の基材を回転刃によってザグリ加工することにより形成されるものであるから,基材の一部からなるものである。

(5)前記「1(4)」によれば,「電子部品搭載用基板(11)における突出部(20)にあっては,その凹部(12)内に露出する面が,凹部(12)の他の面とともに金属メッキ被膜で覆ってある」ものである。

そして,前記「1(2)」によれば,「凹部(12)の他の面」は,「凹部(12)の底面(13)」及び「凹部(12)の開口縁(12a)より垂直に下した面(21)」を含むものである。してみると,引用文献1には,「凹部(12)の底面(13)」,「突出部(20)」,及び「凹部(12)の開口縁(12a)より垂直に下した面(21)」に「金属メッキ被膜」が形成されたものが記載されている。

さらに,この点を踏まえて第2ないし3図を参照すると,「凹部(12)の底面(13)」,「突出部(20)」,及び「凹部(12)の開口縁(12a)より垂直に下した面(21)」上の太線は,「金属メッキ被膜」を示すものと認められる。してみると,第2ないし3図より,「突出部(20)」が「金属メッキ被膜」と接触していることが見て取れる。

(6)前記「1(4)」によれば,「金属被膜自身を設置導体用の導体回路として採用し」ているものである。

そして,同じく前記「1(4)」によれば,この「金属被膜」は前記(5)の「金属メッキ被膜」と同じものと指すと認められる。してみると,「金属メッキ被膜」を「導体回路として採用」することが記載されている。

(7)前記「1(2)」によれば,「第2図及び第5図の図示左半分において示したように,突出部(20)の凹部(12)内に露出する面を平面として形成してもよ」いものである。

ここで引用文献1の第2図及び第5図の図示左半分を参照すると,この「平面」は,電子部品搭載用基板(11)の基材の厚み方向と垂直な側面視で,交差部分(23)に対して傾斜していることが見て取れる。

(8)前記「1(2)」によれば,「第3図及び第5図の図示右半分にて示したように,凹部(12)の中央部に向けて凹となる球面として形成してもよい」ものである。

ここで引用文献1の第3図及び第5図の図示右半分を参照すると,この「球面」は,交差部分(23)側に凸となっていることが見て取れる。

3 したがって,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「樹脂からなり,上側の面及び下側の面を有する基材と,
基材の上側の面に開口し,且つ底面および開口縁より垂直に下した面を有する凹部とを有する,電子部品搭載用基板であって,
凹部の底面と,開口縁より垂直に下した面との交差部分から凹部の中央部方向に向けて出される,基材の一部からなる突出部を有し,
凹部を構成する底面,突出部,及び開口縁より垂直に下した面には,金属メッキ被膜が形成され,
当該金属メッキ被膜を導体回路として採用し,
突出部は,底面に形成された金属メッキ被膜と接触していると共に,凹部の底面と開口縁より垂直に下した面との交差部分において,基材の厚み方向と垂直な側面視で,交差部分に対して傾斜する平面あるいは交差部分側に凸となる球面を有している,
電子部品搭載用基板。」

第5 対比・判断

1 本願発明と引用発明との対比

(1)引用発明の「樹脂」は,技術常識を鑑みれば絶縁体といえるから,本願発明の「絶縁層」に相当する。してみると,本願発明の「複数の絶縁層を積層してな」ることと,引用発明の「樹脂からな」ることとは,絶縁層からなる点で一致する。

また,引用発明の「基材」が有する「上側の面及び下側の面」は,本願発明の「基材」が有する「対向する表面および裏面」に相当する。してみると,引用発明の「上側の面及び下側の面を有する基材」は,本願発明の「対向する表面および裏面を有する基板本体」に相当する。

但し,絶縁層について,本願発明は「複数の絶縁層を積層して」なるのに対して,引用発明は積層した構成であることが特定されていない点で相違する。

(2)引用発明の「基材の上側の表面に開口」することは,本願発明の「上記基板本体の表面および裏面の少なくとも一方に開口」することに含まれる。

また,引用発明の「開口縁より垂直に下した面」は,本願発明の「凹部」の「側面」に相当する。してみると,引用発明の「底面および開口縁より垂直に下した面を有する凹部」は,本願発明の「底面および側面を有する凹部」に相当する。

但し,本願発明は「凹部は,上記底面を構成する平面を有する絶縁層と,これに隣接して積層され,上記側面を構成する貫通穴を有する絶縁層と,で形成されて」いるのに対して,引用発明はそのような構成であることが特定されていない点で相違する。

(3)引用発明の「導体回路」は配線といえる。

してみると,引用発明の「電子部品搭載用基板」は「金属メッキ被膜を導体回路として採用し」ているから,本願発明の「配線基板」に相当する。

(4)引用発明の「凹部の底面と,開口縁より垂直に下した面との交差部分」は,本願発明の「上記凹部の開口部と対向する上記底面と上記側面との角部」に相当する。

してみると,引用発明の「凹部の底面と,開口縁より垂直に下した面との交差部分から出され,基材の一部からなる突出部」は,凹部の角部に沿っているものといえるから,本願発明の「凹部の開口部と対向する上記底面と上記側面との角部に沿っており,且つ上記絶縁層の一部からなる凸条部」に相当する。

(5)引用発明の「金属メッキ被膜」は,本願発明の「金属メッキ層」に相当する。そして,本願発明の「上記凹部を構成する上記底面には,導体層が形成され」ることは,底面のみに導体層が形成されることは特定されていないから,凹部を構成する底面のほか,他の面にも導体層が形成されているものも含まれる。

よって,本願発明の「上記凹部を構成する上記底面には,導体層が形成され,且つ,該導体層は,上記底面側に形成されたメタライズ層と該メタライズ層の表面側に形成された金属メッキ層とを有して」いることと,引用発明の「凹部を構成する底面,突出部,及び開口縁より垂直に下した面には,金属メッキ被膜が形成され」ることとは,「凹部を構成する底面には,導体層が形成され,且つ該導体層は」「金属メッキ層を有して」いる点で一致する。

但し,導体層について,本願発明は「上記底面側に形成されたメタライズ層と,メタライズ層の表面側に形成された金属メッキ層とを有して」いるのに対して,引用文献1に記載された発明はそのような構成であることが特定されていない点で相違する。

(6)本願発明は「凸条部は,上記底面に形成された上記導体層のうち,少なくとも上記金属メッキ層の端部と接触している」のに対して,引用発明の「突出部」はそのような構成であることが特定されていない点で相違する。

(7)引用発明の「交差部分に対して傾斜する平面」は,本願発明の「角部に対して傾斜する傾斜面」に相当する。また,引用発明の「交差部分側に凸となる球面」は,本願発明の「角部側に凸となる湾曲面」に相当する。

よって,引用発明の「突出部は,」「凹部の底面と開口縁より垂直に下した面との交差部分において,基材の厚み方向と垂直な側面視で,交差部分に対して傾斜する平面あるいは交差部分側に凸となる球面を有している」ことは,本願発明の「上記凸条部は,」「上記凹部の上記底面と上記側面との上記角部において,上記基板本体の厚み方向と垂直な側面視で,上記角部に対して傾斜する傾斜面あるいは上記角部側に凸となる湾曲面を有している」ことに相当する。

2 一致点・相違点

よって,本願発明と引用発明とは,

「絶縁層からなり,対向する表面および裏面を有する基板本体と,
上記基板本体の表面および裏面の少なくとも一方に開口し,且つ底面および側面を有する凹部と,を有する配線基板であって,
上記凹部の開口部と対向する上記底面と上記側面との角部に沿っており,且つ上記絶縁層の一部からなる凸条部を有していると共に,
上記凹部を構成する上記底面には,導体層が形成され,且つ,該導体層は金属メッキ層を有しており,
上記凸条部は,上記凹部の上記底面と上記側面との上記角部において,上記基板本体の厚み方向と垂直な側面視で,上記角部に対して傾斜する傾斜面あるいは上記角部側に凸となる湾曲面を有している,
配線基板。」

である点で一致し,以下の3点において相違する。

(相違点1)

絶縁層について,本願発明は「複数の絶縁層を積層してな」り,「上記凹部は,上記底面を構成する平面を有する絶縁層と,これに隣接して積層され,上記側面を構成する貫通穴を有する絶縁層と,で形成されて」いるのに対して,引用発明は積層した構成であることが特定されていない点。

(相違点2)

導体層について,本願発明は「上記底面側に形成されたメタライズ層と,該メタライズ層の表面側に形成された金属メッキ層とを有して」いるのに対して,引用発明はそのような構成であることが特定されていない点。

(相違点3)

凸条部について,本願発明は「上記底面に形成された上記導体層のうち,少なくとも上記金属メッキ層の端部と接触している」のに対して,引用発明はそのような構成であることが特定されていない点。

3 相違点の判断

(1)相違点1について

ア 絶縁層からなる基板本体を,凹部の底面を構成する平面を有する絶縁層と側面を構成する貫通穴を有する絶縁層とにより形成することは,引用文献2(段落【0015】ないし【0021】,【0038】及び図1ないし3を参照),引用文献3(段落【0012】,【0024】及び図2を参照)に記載されているように,周知の技術事項である。

そして,引用発明の「基材」と,前記周知の技術事項の「基板本体」とは,凹部を有するものである点で共通する。

よって,引用発明の「基材」に代えて前記周知の技術事項を適用して前記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に為し得たことである。

イ なお,審判請求人は,令和3年12月21日の意見書において,「グリーンシートs2,s3間には,引例2の図3,4に示すように,金属層11の上端部11bと水平部11aとが進入しているため,グリーンシートs2,s3間の積層用の面積は増加せず,密着強度の向上には貢献していません。」ということから,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項から「ハ:傾斜面または湾曲面を有する凸条部を突出させた絶縁層とこれに隣接して積層された別の絶縁層との積層用の面積が増加するので,これらの隣接する絶縁層同士間における層間のずれや,絶縁層同士間の剥離が抑制された基板本体を有する配線基板となる。」という効果(以下,「効果ハ」という。)を得ることはできないと主張している。

しかしながら,本願発明は,「底面を構成する平面を有する絶縁層」と「これに隣接して積層され,上記側面を構成する貫通穴を有する絶縁層」との間に「導体層」,「メタライズ層」,及び「金属メッキ層」のいずれも進入していないことは特定していない。したがって,本願発明は,これらの「絶縁層」の間に「導体層」,「メタライズ層」,又は「金属メッキ層」の少なくともいずれかが進入し,効果ハを奏しないものも含んでいる。

よって,審判請求人の主張は,本願発明に基づかない主張であるから採用できない。

(2)相違点2について

凹部を構成する底面に形成された導体層が,底面側に形成されたメタライズ層と,メタライズ層の表面側に形成された金属メッキ層とを有することは,引用文献2(段落【0018】及び図2を参照),引用文献3(段落【0013】及び図2を参照),引用文献4(段落【0028】及び図1を参照),引用文献5(段落【0040】,【0044】及び図4を参照)に記載されているように,周知の技術事項である。

そして,引用発明の「金属メッキ被膜」と,前記周知の技術事項の「導体層」とは,基板本体の凹部を構成する底面に形成された導体層であって,金属メッキ層を有する点で共通する。

よって,引用発明の「金属メッキ被膜」に代えて前記周知の技術事項を適用して前記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に為し得たことである。

(3)相違点3について

底面と側面との角部が金属メッキ層の端部と接触することは,引用文献4(段落【0028】,【0032】及び図4を参照),引用文献5(例えば段落【0044】及び図4を参照)に記載されているように,周知の技術事項である。

そして,引用発明の「金属メッキ被膜」と,前記周知の技術事項の「金属メッキ層」とは,基板本体の凹部を構成する底面に形成された金属メッキ層を含む点で共通する。

よって,引用発明の「金属メッキ層」において前記周知の技術事項を適用して前記相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に為し得たことである。

第6 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,引用文献1に記載された発明,及び,引用文献2ないし5に記載された周知の技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。

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2021-004934

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