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特許拒絶査定不服審判

2021-004361

発光モジュール及び照明装置

審判番号
2021-004361
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-046362外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月05日
審決日
2022年02月04日
公報発行日
2022年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016- 46362「発光モジュール及び照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月14日出願公開、特開2017-163001〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 8項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成28年3月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年10月29日付け:拒絶理由通知書
令和元年12月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 6月17日付け:拒絶理由通知書
令和2年 8月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 1月27日付け:拒絶査定
令和3年 4月 5日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項に係る発明は、令和 2年 8月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「第1の色温度の光を放射する第1発光部と、
前記第1の色温度よりも高い色温度である第2の色温度の光を放射する第2発光部とを備え、
前記第1発光部は、LEDチップである第1発光素子と、前記第1発光素子が発する光を波長変換する第1波長変換材を含み、且つ、前記第1発光素子を封止する第1封止部材とを有し、
前記第2発光部は、LEDチップである第2発光素子と、前記第2発光素子が発する光を波長変換する第2波長変換材を含み、且つ、前記第2発光素子を封止する第2封止部材とを有し、
前記第1発光素子の平面視における面積は、前記第2発光素子の平面視における面積よりも大きい
発光モジュール。」

第3 原査定における拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願の日前に頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

記

特開2014-123465号公報

特開2009-238729号公報

第4 引用文献の記載、及び、引用発明の認定

1 原査定において引用され、本願の出願日前に日本国内において頒布された特開2014-123465号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。

(1)「【請求項8】
基板と、前記基板上に配設された発光部とを有する発光モジュールであって、
前記発光部は、出射光が第1色温度の第1発光部と、
出射光が前記第1色温度より低色温度である第2色温度の第2発光部とを含み、
前記第2発光部の出射光のスペクトルは、400nm以上500nm未満の波長領域の強度最大値が300nm以上800nm以下の波長領域の強度最大値の1/10以下である発光モジュール。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とする照明装置と発光モジュールに関する。本発明は、特に複数の光源を用いて調色する場合の色ずれを防止する技術に関する。
【背景技術】
続きを表示(全19行)
【0002】
LEDを光源とするダウンライト型やデスクスタンド型等、様々な態様のLED照明装置が開発されている(例えば特許文献1を参照)。
LED照明装置は、一例として、色温度が異なる複数の発光部を備える発光モジュールと、発光部からの出射光の光路上に配されたレンズや反射部材等の光学部材と、各発光部の発光素子を点灯するための点灯回路とを有する。発光部は、LEDである発光素子と、発光素子を被覆するように配された波長変換部材とを有する。波長変換部材には蛍光体が含まれ、駆動時に発光素子の出射光の一部を波長変換する。発光素子からの出射光と波長変換された光とが混合されることで、目的の色温度の照明光が調色される。調色可能なLED照明装置には、例えば黒体軌跡の2500K付近における色温度の電球色の発光部と、黒体軌跡の8000K付近における色温度の昼光色の発光部とが設けられる。以下、色温度を単位[K]で表わす場合は、黒体軌跡の色温度[K]を指すものとする。
【0003】
駆動時には、電球色及び昼光色の発各光部を同時に発光させ、発光色を合成して調色する。これにより、2500K~8000K付近の色温度に対応する幅広い範囲にわたって照明光を調色することができる。
・・・(中略)・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13は、LED照明装置において、発光モジュールの基板に実装された公色温度と低色温度の各発光素子の出射光が光学部材(レンズ)を通過する際の様子を模式的に示す断面図である。図13に示すように、一般に光学部材はその材料特性上、一定の波長領域における可視光を吸収する。LED照明装置に用いる光学部材では、青色波長領域に相当するおよそ400nm以上470nm以内の波長領域における可視光を他の可視光領域の光よりも多く吸収する場合がある。従って、発光部で一旦調色された出射光を光学部材に透過させる際に色温度が色ずれを生じ、正しい色温度に照明光を調色できない場合がある。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、発光部の出射光が光学部材を通過する際に生じる調色のずれを抑制することを期待できる照明装置と発光モジュールとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、出射光が第1色温度の第1発光部と、出射光が前記第1色温度より低色温度である第2色温度の第2発光部と、少なくとも前記第2発光部の光路上に配された光学部材とを有し、前記第1発光部及び前記第2発光部の各出射光により調色する照明装置であって、前記第2発光部の出射光のスペクトルは、400nm以上500nm未満の波長領域の強度最大値が300nm以上800nm以下の波長領域の強度最大値の1/10以下である構成とする。」
(3)「【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る照明装置では、第2発光部の出射光のスペクトルにおいて、400nm以上500nm未満の波長領域の強度最大値が300nm以上800nm以下の波長領域の強度最大値の1/10以下に設定されている。このように400nm以上500nm未満の波長領域のスペクトル強度を低くすれば、光学部材が短波長(青色波長)領域の可視光を吸収する特性を有していても、当該波長領域の光が光学部材に吸収される量を少なくできる。従って、出射光が低色温度の第2発光部において生じる調色のずれを抑制できる。これにより、第1発光部及び第2発光部の発光を合成する際の調色ずれを抑制することを期待できる。」
(4)「【0030】
・・・(中略)・・・
(VII)発光モジュール10
図4(a)は上面から見た発光モジュール10の正面図である。図4(b)は発光モジュール10の断面図(図4(a)のA-A´矢視断面図)である。
続きを表示(全44行)
【0031】
図4および図5に示すように、発光モジュール10は、基板11と、発光部12と、端子群14P、15Pと、配線16、17(図4では不図示)とを有する。発光モジュール10は発光部12にLEDを用いたLEDモジュールとして構成される。
(i)基板11
基板11は、一例としてセラミック基板や熱伝導樹脂等からなる絶縁層とアルミ板等からなる金属層とを積層した2層構造を有する。基板11の外観形状は、方形板状としている。
(ii)発光部12
発光部12は、基板11の上面11aに配された第1発光部12aと、第2発光部12bとを有する。
【0032】
第1発光部12aは、互いにストライプ状に平行に並設された複数の素子列12a1~12a4から構成される。各素子列12a1~12a4は、複数の発光素子13と、第1波長変換部材14aとを有してなる。第1発光部12aは高色温度で発光する。
第2発光部12bは、第1発光部12aと同様に、互いにストライプ状に平行に並設された複数の素子列12b1~12b4から構成される。各素子列12b1~12b4は、複数の発光素子13と、第2波長変換部材14bとを有してなる。第2発光部12bは低色温度で発光する。
【0033】
尚、発光素子13はLEDに限定されない。発光素子13は、例えばLD(レーザダイオード)や、EL素子(エレクトリックルミネッセンス素子)のいずれかであっても良い。
[発光素子13]
発光素子13は、一例として430nm以上470nm以下の波長領域にメインピークを有する青色出射光のGaN系LEDで構成される。各発光素子13は基板11の上面11aにおいて、互いに一定間隔をおいてCOB(Chip on Board)技術により実装(フェイスアップ実装)される。
[第1波長変換部材14a]
第1波長変換部材14aは、透明材料に蛍光体を分散させてなる。透明材料には透明樹脂材料を利用できる。一例として、第1波長変換部材14aは蛍光体を総重量比率の12wt%程度となる割合で含む。蛍光体には、緑色蛍光体または黄色蛍光体のいずれかと、赤色蛍光体とが含まれる。ここで用いる蛍光体は、赤色蛍光体と緑色蛍光体とが同順に1:19の比率で含まれてなる。各蛍光体は、粒子状のものを用いることができる。透明樹脂材料としては、例えばシリコーン樹脂、フッソ樹脂、シリコーン・エポキシのハイブリッド樹脂、ユリア樹脂等を用いることができる。第1波長変換部材14aは、各素子列12a1~12a4内の発光素子13を一括して被覆するように、発光素子13の出射光の光路上に配される(図4(a)、図4(b))。
【0034】
第1波長変換部材14aは、発光素子13からの出射光の一部を波長変換する。これにより第1発光部12aからの出射光が、第1色温度である昼光色(色温度が8000K付近の相関色温度)に設定される。第1色温度としては、6000K以上の範囲における相関色温度であればよい。
[第2波長変換部材14b]
第2波長変換部材14bは、第1波長変換部材14aと共通する構造を有する。第2波長変換部材14bの蛍光体も、緑色蛍光体または黄色蛍光体のいずれかと、赤色蛍光体とを含んで構成できる。第2波長変換部材14bが第1波長変換部材14aと異なる点は、赤色蛍光体と緑色蛍光体の添加量、及びこれらの重量比率である。一例として、第2波長変換部材14bは蛍光体を総重量比率が40wt%程度となる割合で含む。蛍光体には、赤色蛍光体と緑色蛍光体とが同順に1:9の比率で含まれる。
【0035】
尚、第1波長変換部材14aと第2波長変換部材14bに含まれる蛍光体とその重量比率は上記に限定されない。
ここで装置1の特徴として、第2波長変換部材14bは発光素子13からの出射光の一部を波長変換することにより、第2発光部12bからの出射光が第2色温度である色温度(2238K付近の相関色温度の電球色)に設定される。これは第2発光部12bを単体で発光させた場合、所謂「ローソク灯り」に相当する色温度である。第2色温度としては、2600K未満の範囲における相関色温度であればよい。
[第1発光部12a及び第2発光部12bの配列]
図4(a)に示すように、第1発光部12a及び第2発光部12bは、互いの素子列12a1~12a4、12b1~12b4がY方向を長手方向とし、X方向に交互に位置するように並設される。さらに基板11上において、第1発光部12a及び第2発光部12bは、全体として円形に配設される。第1発光部12a及び第2発光部12bを円形に配設することで、基板11の中央側からX方向の両側に向かうほど、各素子列12a1~12a4、12b1~12b4の長さが短くなる。これに伴い、基板11の中央側からX方向の両側に向かうほど、各素子列12a1~12a4、12b1~12b4に含まれる発光素子13の数は少なくなる。そこで発光モジュール10では図5に示すように、配線16を用い、素子列12a1、12a3を直列接続してなるユニットと、素子列12a2、12a4を直列接続してなるユニットを構成する。また、配線17を用い、素子列12b1、12b3を直列接続してなるユニットと、素子列12b2、12b4を直列接続してなるユニットを構成する。これら2つの各ユニットを並列接続して各発光素子13に電力供給するように配設する。
【0036】
一例として、素子列12a1~12a4にそれぞれ配列される発光素子13の数は、同順に12個、20個、16個、8個である。これにより各ユニット当たり合計28個の発光素子13が直列接続される。
一方、素子列12b1~12b4にそれぞれ配列される発光素子13の数は、同順に10個、20個、26個、16個である。これにより各ユニット当たり合計36個の発光素子13が直列接続される。
【0037】
尚、素子列12b1~12b4における発光素子13の直列数を素子列12a1~12a4における発光素子13の直列数よりも多くする理由は、一般に低色温度の蛍光体の変換効率が比較的低く、発光素子13の数を増やして光出力を稼ぐ必要があるためである。
【0038】
端子部14A、15Aには、リード線71と、配線16が電気接続される。端子部14B、15Bには、リード線71と、配線17が電気接続される。
配線17には第1発光部12aの各発光素子13が電気接続される。また配線16には第2発光部12bの各発光素子13が電気接続される。
(装置1の駆動時の動作)
装置1を使用する際には、まずユーザが調光ユニット5の電源スイッチを操作し、装置1に電力投入する。電力投入後、制御回路部4eのマイクロコンピュータは、メモリ内の制御プログラムと、ユーザが調光ユニット5で調節した調色内容の調色信号とに基づき、点灯回路部4cを介して発光モジュール10に電力供給する。これにより発光部12における第1発光部12aと第2発光部12bの少なくともいずれかが点灯する。発光部12からの出射光は光学部材50の本体部51を通じ、照明光として外部に出射される。
【0039】
ここで第1発光部12aと第2発光部12bが両方とも点灯される場合、制御回路部4eのマイクロコンピュータは第1発光部12aと第2発光部12b毎に発光素子13をPWM制御し、各発光素子13を調光する。これにより第1発光部12aと第2発光部12bの発光素子13の調光バランスを変化させることで、発光部12全体の調色を行う。装置1では、照明光を2238K以上5000K以内の幅広い色温度範囲で連続的に調色することができる。
【0040】
或いは第1発光部12a(第2発光部12b)のみが点灯される場合、装置1の照明光は第1発光部12a(第2発光部12b)の単体での色温度である、8000Kの昼光色(2238Kのローソク灯り)に調色される。
(装置1において奏される効果)
装置1を駆動させた場合、主に以下の2つの効果が奏される。」

図4(a)、図4(b)は以下のものである。

[図:0001383006000001.jpg]

(5)以上の記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「基板と、前記基板上に配設された発光部とを有する発光モジュールであって、
前記発光部は、出射光が第1色温度の第1発光部と、
出射光が前記第1色温度より低色温度である第2色温度の第2発光部とを含み、(【請求項8】)
前記第1発光部は、複数の素子列12a1~12a4から構成され、
続きを表示(全11行)
各素子列12a1~12a4は、COB(Chip on Board)技術によりフェイスアップ実装された複数のLEDからなる発光素子13と、透明材料に蛍光体を分散させた第1波長変換部材14aとを有し、前記第1波長変換部材14aによって、各素子列12a1~12a4内の発光素子13が一括して被覆されており(【0032】、【0033】、図4)
前記第2発光部は、複数の素子列12b1~12b4から構成され、
各素子列12b1~12b4は、COB(Chip on Board)技術によりフェイスアップ実装された複数のLEDからなる発光素子13と、透明材料に蛍光体を分散させた第2波長変換部材14bとを有し、前記第2波長変換部材14bによって、各素子列12b1~12b4内の発光素子13が一括して被覆されており(【0032】~【0034】、図4)、
第1波長変換部材14aは、第1発光部12aからの出射光が、第1色温度である昼光色になるようにするとともに、第2波長変換部材14bは、第2発光部12bからの出射光が第2色温度である色温度(2238K付近の相関色温度の電球色)になるようにし(【0034】、【0035】)、
第2発光部の素子列12b1~12b4における発光素子13の直列数が、第1発光部における素子列12a1~12a4における発光素子13の直列数よりも多く(【0037】)、
第1発光部12aと第2発光部12bの発光素子13の調光バランスを変化させることで、発光部12全体の調色を行う(【0039】)
調色可能な発光モジュール。」

2 原査定において引用され、本願の出願日前に日本国内において頒布された特開2009-238729号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子からの発光により外部に対して発光する半導体発光装置を有する照明装置に関する。」
(2)「【0006】
ここで、LEDは、従来の光源では実現困難であった色調可変照明の光源としても期待されている。その一例として、赤色LED、緑色LED、青色LEDを一つのパッケージにすることで白色光を出力する照明装置が開示されている(例えば、特許文献3等を参照。)。この技術においては、上記三種類のLEDに供給される駆動電流を各LEDの順方向電圧に応じて調整することで、各LEDの発光効率を一定にし、白色光の輝度の安定化を図るために、また様々な色調の光を出射するように工夫されている。」
(3)「【0191】
[2-3]固体発光装置の光出射部のエネルギー比
本発明の照明装置は、[2-2]項で前述したように、複数の固体発光装置から相関色温度が異なる2種以上の発光色の一次光を発し、それら一次光を混色することによって、所望の色の合成光を創出することができる。ここで、固体発光装置の光出射エネルギーを相関色温度ごとに設定することにより、合成光の相関色温度を、各固体発光装置からの一次光のうち最も低い相関色温度と最も高い相関色温度との間で調整することができる。
【0192】
続きを表示(全12行)
ここで、「固体発光装置の光出射部のエネルギー」とは、各色温度の固体発光装置が射出する光をエネルギー量で表したものをいう。また、照明装置が、同じ相関色温度の光を出射する固体発光装置を複数含んでいる場合は、その複数の固体発光装置のエネルギーの総和を表す。エネルギー量を決定する因子としては、例えば、固体発光装置の光射出部の面積、固体発光装置の光射出時間、固体発光装置の駆動電流値、固体発光装置の電力量(駆動電流値×電圧値)などを挙げることができる。
【0193】
[2-3-1]固体発光装置の光射出部の面積
固体発光装置の光射出部の面積とは、固体発光装置1単位の光出射部を面として単位当たりの面積とし、同じ相関色温度ごとに固体発光装置の数で乗じたものをいう。
【0194】
即ち、相関色温度ごとに固体発光装置の個数や単位当たりの面積を調整することにより、光射出部のエネルギー比を調節することができる。
【0195】
従って、各相関色温度において、光射出部の面積以外のエネルギー量を決定する因子が同じであれば、各相関色温度における固体発光装置の光射出部の面積を、固体発光装置の光出射部のエネルギーとして上述のエネルギー比を算出することができる。」

(4)以上をまとめると、引用文献2にはつぎの技術事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「色調可変照明であって(【0006】)、該照明装置は、複数の固体発光装置から相関色温度が異なる2種以上の発光色の一次光を発し、それら一次光を混色することによって、所望の色の合成光を創出し、相関色温度ごとに固体発光装置の個数や単位当たりの面積を調整することにより、光射出部のエネルギー比を調節し、合成光の相関色温度を、各固体発光装置からの一次光のうち最も低い相関色温度と最も高い相関色温度との間で調整すること。(【0191】、【0194】)」

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。

1 引用発明の「第1発光部」は「第2発光部」よりも高色温度の光を発し、本願発明の「第2発光部」は「第1発光部」よりも高色温度の光を発することから、引用発明の「第1発光部」、「第2発光部」は、それぞれ、本願発明の「第2発光部」、「第1発光部」に相当する。したがって、引用発明の「前記発光部は、出射光が第1色温度の第1発光部と、出射光が前記第1色温度より低色温度である第2色温度の第2発光部とを含み」という事項は、本願発明の「第1の色温度の光を放射する第1発光部と、前記第1の色温度よりも高い色温度である第2の色温度の光を放射する第2発光部とを備え」という事項に相当する。

2 引用発明の「LEDである発光素子13」は、本願発明の「LEDチップである第1発光素子」に相当し、引用発明の「蛍光体」は、本願発明の「第1波長変換材」に相当する。また、引用発明は、「透明材料に蛍光体を分散させた第2波長変換部材14bとを有し、前記第2波長変換部材14bによって、各素子列12b1~12b4内の発光素子13が一括して被覆され」いるから、引用発明の「第1波長変換部材14b」は本願発明の「第1封止部材」に相当する。

そうすると、引用発明の「前記第2発光部は、複数の素子列12b1~12b4から構成され、

各素子列12b1~12b4は、複数のLEDからなる発光素子13と、透明材料に蛍光体を分散させた第2波長変換部材14bとを有し、前記第2波長変換部材14bによって、各素子列12b1~12b4内の発光素子13が一括して被覆されており」という事項は、本願発明の「前記第1発光部は、LEDチップである第1発光素子と、前記第1発光素子が発する光を波長変換する第1波長変換材を含み、且つ、前記第1発光素子を封止する第1封止部材とを有し」という事項に相当する。

3 また、上記2と同様、引用発明の「前記第1発光部は、複数の素子列12a1~12a4から構成され、各素子列12a1~12a4は、複数のLEDからなる発光素子13と、透明材料に蛍光体を分散させた第1波長変換部材14aとを有し、前記第1波長変換部材14aによって、各素子列12a1~12a4内の発光素子13が一括して被覆されており」という事項は、本願発明の「前記第2発光部は、LEDチップである第2発光素子と、前記第2発光素子が発する光を波長変換する第2波長変換材を含み、且つ、前記第2発光素子を封止する第2封止部材とを有し」という事項に相当する。

以上、1~3のとおりであるから、本願発明と引用発明との「一致点」及び「相違点」は、以下のとおりである。

<一致点>

「第1の色温度の光を放射する第1発光部と、
前記第1の色温度よりも高い色温度である第2の色温度の光を放射する第2発光部とを備え、
前記第1発光部は、LEDチップである第1発光素子と、前記第1発光素子が発する光を波長変換する第1波長変換材を含み、且つ、前記第1発光素子を封止する第1封止部材とを有し、
前記第2発光部は、LEDチップである第2発光素子と、前記第2発光素子が発する光を波長変換する第2波長変換材を含み、且つ、前記第2発光素子を封止する第2封止部材とを有しする、
発光モジュール。」

<相違点>

本願発明は、「前記第1発光素子の平面視における面積は、前記第2発光素子の平面視における面積よりも大きい」のに対して、引用発明では、「第2発光部」を構成する発光素子の平面視における面積が、「第1発光部」を構成する発光素子の平面視における面積よりも大きいことが特定されていない点。

第6 判断

1 引用文献1の【0037】には、「素子列12b1~12b4における発光素子13の直列数を素子列12a1~12a4における発光素子13の直列数よりも多くする理由は、一般に低色温度の蛍光体の変換効率が比較的低く、発光素子13の数を増やして光出力を稼ぐ必要があるためである」との記載があり、LEDからなる発光素子と、蛍光体を用いた波長変換部材とからなる低色温度と高色温度の発光部を有する調色可能な発光モジュールにおいては、低色温度の発光部の蛍光体の変換効率の悪さに起因する光出力の低下を、何らかのかたちで補償する必要があることが理解できる。

ここで、引用文献2には、引用文献2の技術事項が記載されており、それによると、光出射エネルギーの調整は、固体発光装置の「個数」もしくは「面積」を調整することにより行うことができるといえ、また、「個数」を調整するか「面積」を調整するかは、当業者が適宜選択可能であるといえる。そして、LEDチップの平面視における面積を大きくすれば、光出射エネルギーも大きくなることは技術常識であるといえるから、引用発明における、第2発光部の素子列12b1~12b4を構成する発光素子13の個数を増やすことに替えて、発光素子13の平面視における面積をより大きくすることは、当業者であれば適宜選択可能な設計変更に過ぎない。

2 請求人の主張について

請求人は審判請求書において、

(1)「引用文献3には、固体発光素子(LEDチップ)と蛍光体を含む封止部材とからなる固体発光装置の面積を変えることが記載されているに過ぎません。引用文献3には、LEDチップの平面視の面積を変えるということについては全く開示されておりません。」

(2)「引用文献1-3には、「前記第1発光素子の平面視における面積は、前記第2発光素子の平面視における面積よりも大き」くすることによって、LEDチップの数を変更することなく低色温度駆動時に全光束が低下することを抑制できる、という本願請求項1に係る発明の技術思想については記載も示唆すらもされておりません。」

と主張している(なお、ここで、上記(1)、(2)における「引用文献3」とは、本審決における「引用文献2」である。)。

しかしながら、(1)については、第6 1において述べたとおりである。

また、(2)については、確かに、いずれの引用文献にも、低色温度駆動時に全光束が低下するという課題は明示されていないものの、引用文献1には、上述のとおり、「一般に低色温度の蛍光体の変換効率が比較的低く、発光素子13の数を増やして光出力を稼ぐ必要がある」と記載され、また、引用文献1の【0040】には、「第1発光部12a(第2発光部12b)のみが点灯される場合、装置1の照明光は第1発光部12a(第2発光部12b)の単体での色温度である、8000Kの昼光色(2238Kのローソク灯り)に調色される。」とも記載されているから、「(低色温度の発光部の光出力の低下を補償しなければ)低色温度駆動時に全光束が低下する」という課題は、自明のものであると認められる。

よって、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび(結論)

以上のとおりであるから、本願は、請求項2~請求項12に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-004361

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