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特許拒絶査定不服審判

2021-004223

冷凍装置

審判番号
2021-004223
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-015999外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月01日
審決日
2021年11月10日
公報発行日
2022年02月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F25B) / P18 .575-Z (F25B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 15999「冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日出願公開、特開2018-124009〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年1月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年10月1日付けで拒絶理由通知

令和2年12月9日に意見書及び手続補正書の提出

令和3年1月4日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)

令和3年4月1日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出

第2 令和3年4月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年4月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

本件補正は、本件補正前に下記(2)のとおりであった特許請求の範囲の記載を、下記(1)のとおり補正するものである。

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

「 【請求項1】
建物内に配置され、外郭を構成するケーシング(71)及び前記ケーシング外側に位置する冷媒配管(2)を有し、冷媒回路(RC)を構成する冷媒回路構成ユニット(1)と、
前記冷媒配管に接続され、前記冷媒回路構成ユニット及び他のユニット(10、30、40)間において冷媒流路を形成する連絡配管(3)と、
前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分(J1)を覆うカバー部材(75、75´、750)と、
続きを表示(全41行)
前記冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する冷媒漏洩センサ(65)と、
前記カバー部材の内側において前記接続部分を覆う第1断熱材(83)と、
を備え、
前記カバー部材は、
前記接続部分の下方を覆う底部(76)と、
前記接続部分の側方を覆う側部(78)と、
前記接続部分の上方を覆う上部(77)と、
を含み、
前記カバー部材は、前記ケーシングに固定されており、
前記冷媒漏洩センサは、前記カバー部材の内側に配置される、
冷凍装置(100)。
【請求項2】
前記カバー部材の内側において前記冷媒配管を覆う第2断熱材(81)と、
前記カバー部材の内側において前記連絡配管を覆う第3断熱材(82)と、
をさらに備え、
前記接続部分は、前記第2断熱材及び前記第3断熱材の被覆部分から外れて位置する、請求項1に記載の冷凍装置(100)。
【請求項3】
前記カバー部材は、その内側又は外側において、前記カバー部材の内側と外側とを断熱するケーシング断熱材(84)を含む、
請求項1又は2に記載の冷凍装置(100)。
【請求項4】
前記冷媒漏洩センサは、前記底部上に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記冷媒配管又は前記連絡配管を挿入するための配管通し孔(78a)を形成され、
前記配管通し孔の縁(784)は、前記冷媒配管又は前記連絡配管が延びる方向に沿って延びる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項6】
前記カバー部材は、別体として構成される第1部材(751)と第2部材(752)とを含み、前記第1部材及び前記第2部材が前記冷媒配管又は前記連絡配管を挟んだ状態で合体されることで構成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項7】
前記冷媒配管又は前記連絡配管は、前記カバー部材の内側において複数方向に分岐する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項8】
前記冷媒回路構成ユニットは、前記冷媒配管を複数含み、
前記連絡配管は、液冷媒連絡配管(LP、56)及びガス冷媒連絡配管(GP、57、58)を含み、
前記カバー部材は、前記液冷媒連絡配管と前記冷媒配管の前記接続部分、及び前記ガス冷媒連絡配管と前記冷媒配管の前記接続部分を覆う、
請求項1から7のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和2年12月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
建物内に配置され、外郭を構成するケーシング(71)及び前記ケーシング外側に位置する冷媒配管(2)を有し、冷媒回路(RC)を構成する冷媒回路構成ユニット(1)と、
前記冷媒配管に接続され、前記冷媒回路構成ユニット及び他のユニット(10、30、40)間において冷媒流路を形成する連絡配管(3)と、
前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分(J1)を覆うカバー部材(75、75´、750)と、
続きを表示(全43行)
前記冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する冷媒漏洩センサ(65)と、
を備え、
前記カバー部材は、
前記接続部分の下方を覆う底部(76)と、
前記接続部分の側方を覆う側部(78)と、
前記接続部分の上方を覆う上部(77)と、
を含み、
前記カバー部材は、前記ケーシングに固定されており、
前記冷媒漏洩センサは、前記カバー部材の内側に配置される、
冷凍装置(100)。
【請求項2】
前記カバー部材の内側において前記接続部分を覆う第1断熱材(83)をさらに備える、
請求項1に記載の冷凍装置(100)。
【請求項3】
前記カバー部材の内側において前記冷媒配管を覆う第2断熱材(81)と、
前記カバー部材の内側において前記連絡配管を覆う第3断熱材(82)と、
をさらに備え、
前記接続部分は、前記第2断熱材及び前記第3断熱材の被覆部分から外れて位置する、請求項1又は2に記載の冷凍装置(100)。
【請求項4】
前記カバー部材は、その内側又は外側において、前記カバー部材の内側と外側とを断熱するケーシング断熱材(84)を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項5】
前記冷媒漏洩センサは、前記底部上に配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記冷媒配管又は前記連絡配管を挿入するための配管通し孔(78a)を形成され、
前記配管通し孔の縁(784)は、前記冷媒配管又は前記連絡配管が延びる方向に沿って延びる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項7】
前記カバー部材は、別体として構成される第1部材(751)と第2部材(752)とを含み、前記第1部材及び前記第2部材が前記冷媒配管又は前記連絡配管を挟んだ状態で合体されることで構成される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項8】
前記冷媒配管又は前記連絡配管は、前記カバー部材の内側において複数方向に分岐する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。
【請求項9】
前記冷媒回路構成ユニットは、前記冷媒配管を複数含み、
前記連絡配管は、液冷媒連絡配管(LP、56)及びガス冷媒連絡配管(GP、57、58)を含み、
前記カバー部材は、前記液冷媒連絡配管と前記冷媒配管の前記接続部分、及び前記ガス冷媒連絡配管と前記冷媒配管の前記接続部分を覆う、
請求項1から8のいずれか1項に記載の冷凍装置(100)。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された「接続部分」について、「前記カバー部材の内側において前記接続部分を覆う第1断熱材(83)」を備える事項を追加することにより、カバー部材の内側において第1断熱材(83)に覆われる構成の限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

<特許法第29条第2項(進歩性)について>

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用文献

ア 引用文献2

(ア)引用文献2の記載

原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された文献であって、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-81160号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付したものである。以下同様。)

「【0001】
本発明は、冷媒の漏洩を検知できるようにした空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
続きを表示(全14行)
冷媒の漏洩を検知できるようにした空気調和機に関するものとしては、特許第3610812号公報(特許文献1)や特許第4639451号公報(特許文献2)に記載されたものなどがある。
・・・
【0008】
本発明の目的は、微量或いは少量の冷媒漏洩あっても、冷媒漏洩を早く検出することが可能な空気調和機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、室外機と室内機を冷媒配管(冷媒液管及び冷媒ガス管)で接続し、前記室外機と室内機間に冷媒を循環させて冷凍サイクルを構成している空気調和機において、前記室内機と前記冷媒配管とを接続している接続部の近傍下部に、冷媒ガスを検知するための冷媒漏洩検知センサを設置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微量或いは少量の冷媒漏洩あっても、冷媒漏洩を早く検出することが可能な空気調和機を得ることができる効果がある。」
「【0012】
以下、本発明の空気調和機の具体的実施例を、図面を用いて説明する。各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【実施例1】
【0013】
続きを表示(全49行)
本発明の空気調和機の実施例1を図1~図3により説明する。図1は本発明の空気調和機の実施例1を示す冷凍サイクル系統図、図2は図1に示す室内機の側面図、図3は図2に示す室内機を上から見た平面図である。
【0014】
図1により、本実施例1の空気調和機の冷凍サイクル構成について説明する。図1において、実線矢印は冷房運転、破線矢印は暖房運転における冷媒の流れる方向を示している。
また、図1において、1は室外機、2は室内機であり、これら室外機1と室内機2とは冷媒配管、即ち冷媒液管3及び冷媒ガス管4により接続されて空気調和機としての冷凍サイクルを構成している。
【0015】
前記室外機1は、室外熱交換器5、圧縮機6、アキュムレータ7、四方弁8、電子膨張弁などで構成された制御弁9、前記室外熱交換器5に外部空気を送風するための室外ファン10、この室外ファン10を駆動するファンモータ11、前記冷媒液管3との接続部付近に設けられている液阻止弁12、前記冷媒ガス管4との接続部付近に設けられているガス阻止弁13などにより構成されている。
【0016】
前記室内機2は、室内熱交換器14、電子膨張弁などで構成された制御弁15、前記室内熱交換器14に室内空気を送風するため室内ファン16、この室内ファン16を駆動するファンモータ17などにより構成されている。
【0017】
次に、図1に示す空気調和機を冷房運転する場合の冷媒の流れを説明する。冷房運転時には、冷媒は図1の実線矢印で示すように流れる。即ち、圧縮機6から吐出された高圧ガス冷媒は、四方弁8を通って室外熱交換器5へ流れ、ファンモータ11で駆動される室外ファン10によって送風される室外空気と熱交換して凝縮し、液冷媒となる。この液冷媒は開度が大きくされた前記制御弁9と開状態の前記液阻止弁12を通って、前記冷媒液管3に流出し、前記室内機2へと送られる。
【0018】
前記室内機2に入った前記液冷媒は、開度が絞られた制御弁15で減圧された後、室内熱交換器14に入り、ファンモータ17で駆動される室内ファン16により送風される室内空気と熱交換する。この熱交換によって、前記室内空気は冷却され、冷媒は前記室内空気から熱を奪って蒸発し、低圧ガス冷媒となって前記冷媒ガス管4を通り前記室外機1へと戻る。この室内機1に戻った低圧ガス冷媒は開状態の前記ガス阻止弁13を通過後、前記四方弁8を経由して前記アキュムレータ7に入り、ここから前記圧縮機6に吸入されて再び圧縮されるというサイクルを繰り返す。
【0019】
前記室内機2の具体的構成を図2及び図3により説明する。図2は図1に示す室内機2の側面図、図3は図2に示す室内機を上から見た平面図である。
これらの図に示す室内機2は、天井面18の内部に嵌め込んで使用される天井カセット型(或いは天井嵌め込み型ともいう)のもので、天井面18には室内機2よりも大きな天井面開口部18aが形成され、この天井面開口部18aに前記室内機2が設置されている。
【0020】
この室内機2は、前記室内熱交換器14や室内ファン16を収納している筐体20と、この筐体20の下部開口を覆うように設けられている化粧パネル21を備えている。
前記化粧パネル21は、前記筐体20に取り付けられ、また図2及び図3に示すように、前記天井面18と接して前記天井面開口部18aを完全に覆うように一回り大きく構成されている。この化粧パネル21の裏面(反意匠面側)には前記天井面18とは重ならない水平部(この水平部とは略水平部を含むものである)が存在しており、従って、前記化粧パネル21の裏面には、厚みのある前記天井面開口部18aと前記筐体20で囲まれた凹部21aが周方向に形成されている。
【0021】
なお、図2、図3に示す18bは天井裏面である。また、前記筐体20は図示しない吊りボルトや吊り金具を介して建屋上部の構築材22に取り付けられている。
図2、図3において、3は冷媒液管、4は冷媒ガス管で、これらの冷媒配管は、図に示すように、室内機2側の冷媒配管と、前記筐体20の側面角部付近で、ユニオン19a及びフレアナット19bにより接続されている。
【0022】
また、前記筐体20内には、前記室内熱交換器14、室内ファン16及びファンモータ17などが、図3に示すように配置されて設置されている。23はドレンポンプである。なお、図3は上から見た平面図であり、筐体20内に設置されている前記各機器は見えないため、破線で示している。
【0023】
近年、空気調和機においては、フルオロカーボン系冷媒の漏洩による地球温暖化、R32やアンモニア(R717)などの微燃焼性冷媒の漏洩による火災発生などを防止するため、万一冷媒が漏洩した場合には、これを早期に検出して、漏洩箇所の修理など、すばやく対処できるようにすることが望まれている。
【0024】
一般に使用されている空気調和機は、図1で説明したように、室外機1と室内機2が分離された構成となっており、これら室外機1と室内機2は、据付現地に運ばれてから、前記冷媒液管3と前記冷媒ガス管4で接続されて、冷凍サイクルを構成している。
【0025】
前記室内機2側の冷媒液管3と冷媒ガス管4との接続は、建屋内での作業となるため、火災防止のため、バーナーなど火気を使用しての溶接が困難な場合も多いため、一般的には図2、図3に示したように、ユニオン19aとフレアナット19bを用いて接続している。
一方、室内機2内部の前記室内熱交換器14などの冷媒配管の接続は、生産工場内で作業されるため、溶接で接続され、また製造後に気密試験で漏れの確認も実施される。
【0026】
従って、現地据付後に空気調和機から冷媒が漏洩する確率は、製品内部よりはむしろ室内機2の冷媒配管と前記冷媒配管3,4との接続部から漏洩する可能性の方が高い。
また、冷媒としては、フルオロカーボン系の冷媒が使用されることが多いが、フルオロカーボン系の冷媒ガスは大気中では空気より重いので、冷媒漏洩が発生すると冷媒は下方に流れる。
【0027】
そこで、本実施例では、冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に、図2、図3に示すように、冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知センサ24を設けている。これにより、前記接続部から冷媒漏洩が発生すると、微量或いは少量の冷媒漏洩であっても、冷媒漏洩をより早く、迅速に検出することが可能となる。
【0028】
また、前記フルオロカーボン系の冷媒ガスは、前述したように空気より重いため、漏洩した冷媒ガスは下方に流れて、下方に水平部があればそこに留まってから水平方向に拡散していく。従って、前記冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に、前記室内機を構成している構成部品の水平部が存在すれば、ここに前記冷媒漏洩検知センサ24を設けることにより、漏洩冷媒の検知精度を向上できる。
【0029】
よって、冷媒配管3,4の室内機側接続部近傍下部の水平部に冷媒漏洩検知センサ24を設置することで、水平部に堆積した冷媒ガスは濃度が濃くなるため、検知精度を向上することができる。特に、近年は、建屋内に天井面18を設置せずに、前記室内機2を、建屋上部の構築材22に設置するだけの施工例も増えているが、この様な室内機2の設置形態であっても、室内機2の化粧パネル21の外周部は水平部となっており、この水平部は前記冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部にも通常存在するから、ここに前記冷媒漏洩検知センサ24を設けることにより検知精度を向上できる。
【0030】
図2、図3に示した室内機2の場合には、前述したように、前記化粧パネル21の裏面には前記天井面開口部18aと前記筐体20で囲まれた前記凹部21aが周方向に形成されているが、前記冷媒配管の室内機側接続部で冷媒漏洩が発生すると、漏洩冷媒は下方に流れて、前記接続部の近傍下部の前記凹部21aに溜まる。従って、この凹部21aに前記冷媒漏洩検知センサ24を設置することにより、冷媒漏洩の検知精度を大幅に向上させることができ、微量或いは少量の冷媒漏洩であっても、冷媒漏洩をより早く、迅速に検出可能になる。
【0031】
なお、上記特許文献2のものでは、室内機筐体の天井裏面に面する下部にガスセンサを設けてはいるが、冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に前記ガスセンサを設置することの配慮が為されておらず、冷媒漏洩が発生しても、ガスセンサには拡散されて濃度の薄くなった冷媒が到達するだけであり、冷媒漏洩の検知精度は低く、微量或いは少量の冷媒漏洩の場合、冷媒漏洩を確実且つ迅速に検知することは困難である。
【0032】
これに対し本実施例によれば、冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に、冷媒漏洩を検知するための冷媒漏洩検知センサ24を設けているので、冷媒漏洩の可能性が高い前記接続部から冷媒漏洩が発生すると、微量或いは少量の冷媒漏洩であっても、冷媒漏洩を確実且つ迅速に検出することが可能となる。従って、冷媒漏洩が発生した場合、その漏洩箇所の修理や部品交換などすばやく実施することができるので、地球温暖化防止や火災発生の防止に効果がある。また、冷媒漏洩による空気調和機の性能低下も防止できる。」
「【0033】
本発明の空気調和機の実施例2を図4及び図5により説明する。図4は本実施例2を説明する室内機の正面図であり、図5は図4に示す室内機を上から見た平面図である。これらの図において、前述した図1~図3と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【0034】
図4及び図5に示す空気調和機の室内機は、天井埋込型のもので、室内機2は天井面18の裏側に配置され、建屋上部の構築材22に吊ボルトや吊り金具などで取り付けられているものである。このような天井埋込型の室内機の場合、天井裏に設置されるため、上記実施例1の室内機の場合のような化粧パネルは設けられていない。また、この室内機2の下面と天井裏面18bとの間には隙間Aが存在する。また、20は室内機2の筐体で、この筐体20内には室内熱交換器14、室内ファン16及びファンモータ17などが設置されている。図5は図4に示す室内機を上から見た平面図であるため、筐体20内に設置されている前記各部品は破線で示されている。
続きを表示(全18行)
【0035】
3は冷媒液管、4は冷媒ガス管で、これらの冷媒配管は、図4及び図5に示すように、室内機2側の冷媒配管と、前記筐体20の側面で、ユニオン19a及びフレアナット19bにより接続されている。本実施例における室内機の場合、前述したように、化粧パネルがないため、化粧パネルに冷媒漏洩検知センサ24を設置することはできない。従って、冷媒漏洩検知センサ24の設置箇所は、前記筐体20の側面における冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部とすることが考えられる。
【0036】
しかし、筐体側面に冷媒漏洩検知センサ24を設置しただけでは、室内機2の下面と天井裏面18bとの間に前記隙間Aも存在するため、漏洩冷媒は前記冷媒漏洩検知センサ24の部分を流下した後前記天井裏面18bを水平方向に拡散する。従って、前記冷媒漏洩検知センサ24部分の漏洩冷媒濃度を十分に上げることはできない。
【0037】
そこで、本実施例では、冷媒漏洩の検知精度を更に向上させるため、室内機2の筐体20側面における冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に冷媒受け部25を取り付け、この冷媒受け部25に前記冷媒漏洩検知センサ24を設置している。これにより上述した実施例1と同様の効果を得ることができる。前記冷媒受け部25は水平部だけを有するものでも良いが、凹部を有する形状(ボックス形状)とすれば、この凹部に漏洩冷媒を十分に溜めることができる。従って、前記凹部に前記冷媒漏洩検知センサ24を設置することにより、微量或いは少量の冷媒漏洩であっても、冷媒漏洩をより確実に且つより早く検出することが可能となる。
【0038】
このように、本実施例2によれば、化粧パネルがなく、また、室内機下面と天井裏面18bとの間に隙間Aが存在するような天井埋込型の室内機であっても、実施例1と同様に、微量或いは少量の冷媒漏洩であっても、冷媒漏洩を確実且つ迅速に検出することが可能となる。
【0039】
なお、本実施例2で説明した前記冷媒受け部25は、実施例1で述べたような室内機筐体20の下部に化粧パネル21を設けているような室内機であっても同様に適用することが可能である。
【0040】
また、室内機2の冷媒配管と、冷媒液管3及び冷媒ガス管4との接続部が、前記室内機の筐体20内に設けられているような室内機2も存在する。このような室内機2の場合でも、冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に、室内機を構成している構成部品の水平部或いは凹部が存在すれば、ここに冷媒漏洩検知センサ24を設けることで同様の効果を得ることができる。
【0041】
更に、前記冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に、フィルタや開口部が設けられていて、漏洩した冷媒ガスが堆積する部分が存在しないような場合には、上記実施例2で説明した冷媒受け部25を設置すると良い。即ち、前記冷媒配管の室内機側接続部の近傍下部に、水平部或いは凹部を有する冷媒受け部25を設け、この冷媒受け部25に冷媒漏洩検知センサ24を設けることにより、同様の効果を得ることができる。」
「
[図:0001381540000001.jpg]
[図:0001381540000002.jpg]
[図:0001381540000003.jpg]
[図:0001381540000004.jpg]
[図:0001381540000005.jpg]
」

(イ)上記(ア)及び図面の記載から認められる事項

上記(ア)及び図面の記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 上記(ア)の段落0001、0012、0013及び0033並びに図1~5の記載によれば、引用文献2には、空気調和機が記載されている。

ここで、上記(ア)の段落0033によれば、実施例2は、実施例1と共通する部分を有しており、以下、共通する部分については両実施例の記載を参酌する。

b 上記(ア)の段落0009、0014及び0024並びに図1の記載によれば、空気調和機において、室内機2を備え、室内機2が冷媒回路を構成することが認められる。

c 上記(ア)の段落0019~0021及び0034並びに図2及び4の記載によれば、空気調和機において、室内機2を備え、室内機2が建屋上部の構築材22に取り付けられることが認められる。

d 上記(ア)の段落0021、0022、0025、0034及び0035並びに図2~3の記載によれば、空気調和機において、室内機2が外郭を構成する筐体及び前記筐体外側に位置する冷媒配管を有することが認められる。

e 上記(ア)の段落0021、0024~0026及び0035並びに図1~5の記載によれば、空気調和機において、室内機2の冷媒配管に接続され、前記室内機2及び室外機1間において冷媒流路を形成する冷媒液管3及び冷媒ガス管4を備えることが認められる。

f 上記(ア)の段落0020、0026~0030、0037及び0040並びに図2~5の記載によれば、空気調和機において、冷媒液管3及び冷媒ガス管4の室内機側接続部の近傍下部に存在する、天井面18とは重ならない水平部が存在する裏面に天井面開口部18aと前記筐体20で囲まれた凹部21aが周方向に形成された前記筐体20に取り付けられた化粧パネル21の外周部、又は、凹部を有する形状の冷媒受け部25を備えることが認められる。

また、前記外周部を有する前記化粧パネル21は、前記筐体20に取り付けられ、又は、前記冷媒受け部25は、前記筐体20側面に取り付けられることが認められる。

g 上記(ア)の段落0027~0030、0037、0040及び0041並びに図2~5の記載によれば、空気調和機において、冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する冷媒漏洩検知センサ24を備え、前記冷媒漏洩検知センサ24は、前記凹部21a、又は、前記冷媒受け部25の前記凹部に設けられることが認められる。

(ウ)引用発明

上記(ア)及び(イ)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「建屋上部の構築材22に取り付けられ、外郭を構成する筐体20及び前記筐体20外側に位置する冷媒配管を有し、冷媒回路を構成する室内機2と、
前記冷媒配管に接続され、前記室内機2及び室外機1間において冷媒流路を形成する冷媒液管3及び冷媒ガス管4と、
前記冷媒液管3及び前記冷媒ガス管4の室内機側接続部の近傍下部に存在する、天井面18とは重ならない水平部が存在する裏面に天井面開口部18aと前記筐体20で囲まれた凹部21aが周方向に形成された化粧パネル21の外周部、又は、凹部を有する形状の冷媒受け部25と、
前記冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する冷媒漏洩検知センサ24と、
を備え、
前記外周部を有する前記化粧パネル21は、前記筐体20に取り付けられ、又は、前記冷媒受け部25は、前記筐体20側面に取り付けられており、
前記冷媒漏洩検知センサ24は、前記凹部21a、又は、前記冷媒受け部25の前記凹部に設けられる、
空気調和機。」

イ 引用文献3

(ア)引用文献3の記載

原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の出願前に頒布された特開2000-230761号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、可燃性の冷媒が流れる冷凍サイクルにあって、この冷凍サイクルを構成するパイプの接合部分に、この接合部分から漏洩する冷媒を検出する検出手段を取付ける構造に関するものである。
・・・
【0004】このような可燃性冷媒の流路を構成するためにパイプ同士を接合させる場合に、パイプの接合部分は、従来においても、溶接したり、図4に示される様に、一方のパイプ100の端部を他方のパイプ101の外径よりも拡管して拡管部102を形成し、この拡管部102で他方のOリング103が取付けられたパイプ101の端部を外嵌することでシールされた構造となっているため、冷媒洩れは余程のことがないと生ずるものではないが、万が一にも洩れた場合には不具合の発生防止のため冷媒の洩れを早急に察知することが要請される。
・・・
【0008】そこで、この発明は、パイプの接合部分から漏洩した冷媒について、車室内などの外部に漏洩する前に検出することを可能とした冷媒漏洩検出手段の取付構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】しかして、この発明に係る冷媒漏洩検出手段の取付構造は、冷媒流路を構成するためのパイプ同士を接合してこのパイプ接合部分をシールし、前記パイプ内の冷媒流路空間とパイプ外の空間との間に更に密閉された空間を画成して、この密閉空間内に冷媒の漏洩を検出する検出手段を取り付けることに特徴がある(請求項1)。ここで、冷媒としては、プロパン100やプロパンとイソブタンとを各々50%重量比で混合させてなる可燃性の自然冷媒が挙げられる。また、検出手段としては、上記可燃性の自然冷媒が気化した冷媒ガスを検出するガスセンサが挙げられる。
・・・
【0012】また、前記密閉空間は、環状のシール部材を、一方のパイプの端部近傍に外装し、このパイプを他方のパイプに挿嵌して前記シール部材を他方のパイプの内周面に密接させると共に、前記一方のパイプと他方のパイプとの接合部分の外側をケースで密封することにより画成されるようにしても良い (請求項3)。これにより、冷媒流路空間とはパイプの接合部分により仕切られ、パイプ外の空間とはケースにより仕切られた密閉空間が形成されるため、パイプ接合部分から冷媒が漏洩しても、この密閉空間内に出るだけなので、パイプの外へ冷媒がそのまま漏洩するのを抑止することができ、かつその漏洩を検出手段により察知することができる。」
「【0019】図2及び図3では、本発明の他の実施形態が示されており、以下異なる部分を主として説明し、図面に現れる同一部分については同一個所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】この図2及び図3に示されるパイプ1、5も、図1のパイプ1、5と同様に適宜配管されることで可燃性冷媒が用いられる冷凍サイクルを構成するもので、例えばアルミニウム等を主材料としている。
【0021】この構成において、パイプ5は、その先端部に大拡径部6aと小拡径部6bとでなる拡管部6を有する点では、図1のパイプ5と同様であるが、小拡径部6b内にガスセンサ8が配置されないので、貫通孔7も形成されていないものである。パイプ1は、パイプ5との接合部分をシールするためのOリング4のみを有している。その他の構成、即ちパイプ1のビード2、パイプ5の大拡径部6a、小拡径部6bの径寸法については、図1のパイプ1、5と同様であるのでその説明を省略する。
【0022】これに対し、パイプ1とパイプ5との接合部分は、ケース13により覆われた構成となっている。このケース13は、上側ケース14と下側ケース15とで構成されているもので、上側ケース部材14と下側ケース部材15とを、各々のパイプ軸方向に延びる接合端面16、17で接合することにより、パイプ1のビード2以外の部分及びパイプ5の拡管部6以外の部分と略同じ内径を有する略円筒状の小径部18、18と、この小径部18の間に位置しパイプ5の大拡径部6aよりも大きな内径を有する略円筒状の大径部19とが形成される。
【0023】そして、小径部18の開口側端には、中心方向に延びる合成樹脂性等のシール部材20が配されていると共に、上側ケース部材14と下側ケース部材15の接合端面16、17にも、ゴムパッキン等のシール部材20が配されている。また、上側ケース部材14と下側ケース部材15とは、図示しないが、例えばタッピングスクリューで接合端面16、17同士を螺合したり、上側ケース部材14の接合端面16近傍に形成された孔に下側ケース15の接合端面17近傍に形成された係止部を係合することにより、嵌合されるようになっている。
【0024】また、下側ケース部材15の大径部19が形成される部位の下側周面には、パイプ径方向に貫通孔7が設けられおり、ガスセンサ8は、大径部19内に配置されると共に、ガスセンサ8から延出されたコード9が、前記貫通孔7からケース13外に引き出されるようになっている。このガスセンサ8は、図1の場合と同様に公知のもので、空気よりも重い可燃性冷媒の気化したガスを正確に検出するため、この実施形態では大径部19の下側に配置されている。
【0025】このような構成のパイプ1、5及びケース13を用い、パイプ1とパイプ5とを接合し、図2に示される様に、上側ケース部材14と下側ケース部材15との接合端面16、17間が大きく開いた状態のケース13を、例えばパイプ1、5に対し径方向から移動させてパイプ1、5の接合部分を覆い、その後上側ケース部材14の接合端面16と下側ケース部材15の接合端面17とを嵌合させる。これにより、パイプ外の空間11とは小径部18の開口部及び接合端面16、17に設けられたシール部材20により仕切られ、パイプ内の冷媒流路空間10とはOリング4により仕切られた密閉空間12が画成されると共に、この密閉空間12内にガスセンサ8が配置される構成となる。
【0026】しかるに、これらの双方の実施形態によれば、ガスセンサ8は、密閉空間12内に配置されているので通常時は可燃性冷媒を検出することがなく、冷媒流路空間10から何らかの原因で密閉空間12内に可燃性冷媒若しくはその気化ガスが漏洩した場合にそれを検出し、警報装置などでその事実、場所を乗員に知らせることとなる。
【0027】尚、このパイプ1、5の接合部分の配置場所は、特に限定されるものではないが、車室内の方が可燃性冷媒が不具合を生ずるような高い濃度までたやすく到達するので、可燃性冷媒の漏洩を抑制する必要性が高いことから、図示しないエバポレータ近傍のパイプの接合部分に用いるのが最適である。」
「
[図:0001381540000006.jpg]
[図:0001381540000007.jpg]
」

(イ)引用文献3の技術事項

上記(ア)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「冷凍サイクル(冷凍装置)において、冷媒流路を構成するためのパイプ1(冷媒配管)とパイプ5(冷媒配管)との接合部分(接続部分)を密閉空間12を画成するようにケース13(カバー部材)で覆い、ガスセンサ8(冷媒漏洩センサ)を前記密閉空間12内の下側(カバー部材の内側)に配置すること。」(括弧内は、本件補正発明と対応若しくは共通する用語を示す。)

ウ 引用文献4

原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の出願前に頒布された実願昭59-39173号(実開昭60-151019号)のマイクロフィルム(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。

「〔考案の技術分野〕
この考案はセパレート方式を採る空気調和機の配管接続部の断熱方法に係り,据付時の作業性および品質の向上に関するものである。
〔従来技術〕
第1図はセパレート方式を採る空気調和機の室内側ユニット(1),室外側ユニット(2)および両ユニットを接続する冷媒配管接続部(3)の相対位置関係を示すものである。第2図,第3図は従来の断熱装置および断熱材を示すもので(4)は冷媒配管接続部(3)の断熱を目的とした筒形の軟質断熱材であり切込み(5)されているものである。(6)は室内側ユニット(1)より突出された冷媒配管であり接続口(7)手前までは断熱されている。(8)は室外側ユニット(2)より延長し,引き出された冷媒配管であり接続口(9)手前までは室内側冷媒配管(6)と同様断熱されている。この他にも実開昭54-71554号にも同様な構成が開示されている。
次に従来の断熱方法について説明すると室内側冷媒配管(6)と室外側冷媒配管(8)を接続口(7),(9)により接続する。次いで,前記接続口(7),(9)周辺である冷媒配管接続部(3)を軟質断熱材(4)にて覆いテープ(10)にてテーピング固定していた。
従来の断熱方法では以上のように構成されていたため軟質断熱材固定の際行なわれるテーピングの仕方により強く巻き過ぎると軟質断熱材の断熱厚さが薄くなり,その周囲に結露し,その露が落下する。しかもセパレート方式を採る空気調和機は天井吊形,および天井埋込形が多いため,その露は床あるいは天井裏等に落下する等問題を起こしていた。また軟質断熱材のためテーピングが非常にやりにくく接続口と軟質断熱材(4)の隙間に空気層ができ,そこで結露した露が前記冷媒配管接続部内に溜りテーピングが不完全な場合には,落下する危険性があるためテーピング作業の際にはきわめて慎重を要する又時間を要する等の不具合が生じていた。」(明細書1ページ16~3ページ12行)
「〔考案の概要〕
この考案は上記のような従来のものの欠点を除去するためになされたもので,冷媒配管接続部の断熱構造として外周を硬質断熱材で内周を圧縮可能な軟質断熱材で成る断熱カバーで覆う事により確実かつ素早く断熱できる空気調和機の冷媒配管接続部の断熱カバーを提供することを目的としている。
〔考案の実施例〕
以下,この考案の一実施例を図について説明する。第4図,第5図において(11)は断熱カバーでその外周は例えば発泡スチロール等の硬質断熱材(12)で成形され凹断面形状をし,冷媒配管接続部(3)を覆うために充分な長さを有している。またその半円形溝内周面には軟質で一定厚さの軟質断熱材(13)が貼付等により一体構成されている。
他,同一仕様のものについては説明を省略する。よつて本考案の断熱方法について説明すると室内側冷媒配管(6)と室外側冷媒配管(8)を接続口(7),(9)により接続する。次いで,前記接続口(7),(9)周辺である冷媒配管接続部(3)をその両側より圧縮取付しテープ(10)にてテーピング固定する。なお上記実施例では断熱カバー(11)の硬質断熱材(12)の半円形溝内周面には軟質で一定厚さの軟質断熱材(13)が貼付等により一体構成されたものを示したが,第6図および第7図に示すように硬質断熱材(12)の半円形溝内周面の接続口(7),(9)に相当する部分にのみ厚い軟實断熱材(14)を貼付,その両側内周面にはそれよりも薄い軟質断熱材(15)に貼付一体構成したものを冷媒配管接続部(3)に圧縮取付しテーピング固定しても良く,この場合には厚い軟質断熱材(14)が接続口(7),(9)に完全に密着するため中に空気層が無く,全く断熱カバー(11)内に結露する事が無い効果がある。
〔考案の効果〕
以上のようにこの考案によれは冷媒配管接続部の断熱方法として外周を硬質断熱材で内周を圧縮可能な軟質断熱材で成る断熱カバーを採用しており,特に外周は硬質断熱材のため冷媒配管接続部へのセットも簡単であり特にテーピングが容易で作業性が非常に良く,さらに内周面の軟質断熱材と冷媒配管の断熱材とで冷媒配管接続部が外気と確実にシールされるため,最初の空気層のみの結露となり,それ以上露の成長も無く,落下する事は皆無である。よつて工事作業者も非常に作業性が良く,市場のお客様にも安心して使用してもらう事ができる等の効果が得られる。」(明細書3ページ13行~5ページ19行)
「
[図:0001381540000008.jpg]
[図:0001381540000009.jpg]
[図:0001381540000010.jpg]
」

(3)引用発明との対比

本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。

ア 後者の「外郭を構成する筐体20」は、前者の「ケーシング(71)」に相当し、以下同様に、「前記筐体20外側に位置する冷媒配管」は「前記ケーシング外側に位置する冷媒配管(2)」に、「冷媒回路」は「冷媒回路(RC)」に、「室内機2」は「冷媒回路構成ユニット(1)」に、「室外機1」は「他のユニット(10、30、40)」に、「冷媒流路」は「冷媒流路」に、「冷媒液管3及び冷媒ガス管4」は「連絡配管(3)」に、「前記冷媒液管3及び前記冷媒ガス管4の室内機側接続部」は「前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分(J1)」に、「冷媒漏洩検知センサ24」は「冷媒漏洩センサ(65)」に、「空気調和機」は「冷凍装置(100)」に、それぞれ相当する。

イ 後者の「室内機2」が「建屋上部の構築材22に取り付けられ」る態様は、引用文献2の図2及び4の記載によれば、建屋上部の構築材22が天井面18の上方にあるから、前者の「冷媒回路構成ユニット(1)」が「建物内に配置され」る態様に相当する。

ウ 後者の「前記冷媒液管3及び前記冷媒ガス管4の室内機側接続部の近傍下部に存在する、天井面18とは重ならない水平部が存在する裏面に天井面開口部18aと前記筐体20で囲まれた凹部21aが周方向に形成された化粧パネル21の外周部、又は、凹部を有する形状の冷媒受け部25」は、前者の「前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分(J1)を覆うカバー部材(75、75´、750)」であって、「前記カバー部材は、前記接続部分の下方を覆う底部(76)と、前記接続部分の側方を覆う側部(78)と、前記接続部分の上方を覆う上部(77)と、を含」むものに、「前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分の少なくとも一部を覆う部材」であって、「前記部材は、少なくとも前記接続部分の下方を覆う底部を含」むものという点で一致する。

エ 後者の「前記化粧パネル21は、前記筐体20に取り付けられ、又は、前記冷媒受け部25は、前記筐体20側面に取り付けられて」いる態様は、前者の「前記カバー部材は、前記ケーシングに固定されて」いる態様に、「前記部材は、前記ケーシングに固定されて」いるという点で一致する。

オ 後者の「前記冷媒漏洩検知センサ24は、前記凹部21a、又は、前記冷媒受け部25の前記凹部に設けられる」態様は、前者の「前記冷媒漏洩センサは、前記カバー部材の内側に配置される」態様に、「前記冷媒漏洩センサは、前記部材の内側に配置される」という点で一致する。

以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]

「建物内に配置され、外郭を構成するケーシング及び前記ケーシング外側に位置する冷媒配管を有し、冷媒回路を構成する冷媒回路構成ユニットと、
前記冷媒配管に接続され、前記冷媒回路構成ユニット及び他のユニット間において冷媒流路を形成する連絡配管と、
前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分の少なくとも一部を覆う部材と、
前記冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する冷媒漏洩センサと、
を備え、
前記部材は、少なくとも前記接続部分の下方を覆う底部を含み、
前記部材は、前記ケーシングに固定されており、
前記冷媒漏洩センサは、前記部材の内側に配置される、
冷凍装置。」

[相違点1]

「前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分の少なくとも一部を覆う部材」であって、「前記部材は、少なくとも前記接続部分の下方を覆う底部を含」むものに関し、本件補正発明では、「前記冷媒配管と、前記連絡配管と、の接続部分(J1)を覆うカバー部材(75、75´、750)」であって、「前記カバー部材は、前記接続部分の下方を覆う底部(76)と、前記接続部分の側方を覆う側部(78)と、前記接続部分の上方を覆う上部(77)と、を含」むものであるのに対して、引用発明では、「前記冷媒液管3及び前記冷媒ガス管4の室内機側接続部の近傍下部に存在する、天井面18とは重ならない水平部が存在する裏面に天井面開口部18aと前記筐体20で囲まれた凹部21aが周方向に形成された化粧パネル21の外周部、又は、凹部を有する形状の冷媒受け部25」である点。

[相違点2]

「前記部材は、前記ケーシングに固定されて」いることに関し、本件補正発明では、「前記カバー部材は、前記ケーシングに固定されて」いるのに対して、引用発明では、「前記外周部を有する前記化粧パネル21は、前記筐体20に取り付けられ、又は、前記冷媒受け部25は、前記筐体20側面に取り付けられて」いる点。

[相違点3]

「前記冷媒漏洩センサは、前記部材の内側に配置される」ことに関し、本件補正発明では、「前記冷媒漏洩センサは、前記カバー部材の内側に配置される」のに対して、引用発明では、「前記冷媒漏洩検知センサ24は、前記凹部21a、又は、前記冷媒受け部25の前記凹部に設けられる」点。

[相違点4]

本件補正発明では、「前記カバー部材の内側において前記接続部分を覆う第1断熱材(83)」を備えるのに対して、引用発明では、そのような断熱材を備えていない点。

(4)判断

ア 相違点1ないし3について

相違点1ないし3は、いずれも、主に「接続部分の少なくとも一部を覆う部材」の構造の違いにより生じた相違点であるから、以下まとめて判断する。

引用文献3の技術事項は、上記相違点3に係る本件補正発明の構成である「冷媒漏洩センサ」が「カバー部材の内側に配置される」構成に対応するものといえ、パイプ1とパイプ5との接合部分から漏洩した冷媒の気化したガス(本件補正発明の「冷媒」に相当。以下、括弧内は同様。)を正確に検出できるものであって(引用文献3の段落0024)、パイプ1とパイプ5との接合部分から漏洩した冷媒の気化したガスが密閉空間の外部に漏洩する前に検出、すなわち、冷媒の漏れを早急に検出すること可能とするものである(引用文献3の段落0004、0008、0010、及び0012)。

一方、引用発明においても、冷媒配管と連絡配管との接続部分からの冷媒の漏れを正確に検出すること、及び、当該冷媒の漏れを早急に検出することを図るものであるから(引用文献2の、段落0027~0032及び0037)、冷媒の漏れをより正確に、また、より早く検出することを期待して、引用発明に引用文献3の技術事項を適用する動機づけはあるといえる。

そして、引用発明に引用文献3の技術事項を適用するにあたり、筐体20(ケーシング)に取り付けられた、凹部21aが周方向に形成された化粧パネル21の外周部、又は、凹部を有する形状の冷媒受け部25に代えて、冷媒液管3及び冷媒ガス管4の室内機側接続部(冷媒配管と連絡配管との接続部分)を覆うケース(カバー部材)が筐体20(ケーシング)に取り付けられ(固定され)たものとし、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって格別困難なことではない。

また、引用文献3の技術事項において、ケース13は、密閉空間12を形成するためにパイプ1とパイプ5との接合部分の全周を覆うものとなるから、当該接合部分の下方を覆う底部と、前記接合部分の側方を覆う側部と、前記接合部分の上方を覆う上部と、を含むものと認められ、引用発明に引用文献3の技術事項を適用したものにおいて、ケース(カバー部材)は、冷媒液管3及び冷媒ガス管4の室内機側接続部(冷媒配管と連絡配管との接続部分)の下方を覆う底部と、前記冷媒液管3及び冷媒ガス管4の室内機側接続部の側方を覆う側部と、前記冷媒液管3及び冷媒ガス管4の室内機側接続部の上方を覆う上部と、を含むもの、すなわち、上記相違点1に係る本件補正発明の構成を備えたものとなる。

仮に、本件補正発明の「底部」、「側部」及び「上部」が直方体を構成するものであると解するとしても、そのようなことは、ケースの製造の容易性や取り付けの容易性等を考慮して、当業者が適宜なし得ることである。

そうすると、引用発明において、引用文献3の技術事項を適用することにより、上記相違点1ないし3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点4について

上記(2)ウの引用文献4の記載によれば、「空気調和機(冷凍装置)において、室内側ユニット(冷媒回路構成ユニット)が有する冷媒配管と、室外側ユニット(他のユニット)より延長される冷媒配管(連絡配管)と、の冷媒配管接続部(接続部分)を、断熱カバー(断熱材)で覆うこと。」(括弧内は、本件補正発明の対応する用語を示す。)が認められるところ、そのようなことは本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術」という。)である。

また、周知技術は、冷媒配管接続部という構成を有する点で引用発明と共通していること、加えて、周知技術により、冷媒配管接続部(接続部分)の露の成長がなく、露が落下することを抑制できるところ(引用文献4の明細書5ページ13~17行)、引用発明においても、建屋上部の構築材22に取り付けられた室内機2の付近に冷媒液管3及び冷媒ガス管4の室内機側接続部が位置し、露の落下は内在する課題であることを考慮すると、引用発明に周知技術を適用する動機付けはあるといえる。

そして、引用文献3の技術事項には、「冷媒流路を構成するためのパイプ1(冷媒配管)とパイプ5(冷媒配管)との接合部分(接続部分)を密閉空間12を画成するようにケース13(カバー部材)で覆」う構成が開示されているから、引用発明に引用文献3の技術事項及び周知技術を適用して、カバー部材の内側に、冷媒配管と冷媒配管3、4との接続部を設け、その際に、該接続部を断熱材により覆うことにより、上記相違点4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 請求人の主張について

請求人は、審判請求書の5ページ11行~6ページ2行において、「本願発明は、カバー部材が、冷媒配管と連絡配管との接続部分を覆う態様でケーシング本体に固定されており、カバー部材の内側において接続部分を第1断熱材で覆うようにしたものです。また、本願発明は、結露水から冷媒漏洩センサを保護することを目的として、冷媒配管と連絡配管との接続部分を断熱材で覆っています。これにより、冷媒配管と連絡配管との接続部分において生じた結露水が冷媒漏洩センサに侵入して冷媒漏洩センサの故障や誤作動を生じることを抑制できます。

これに対し、引用文献1(英国特許出願公開第2428896号明細書)は、冷却システム/熱交換器からの冷媒漏洩を検出するための装置に関するものであり、ハウジングが配管の接続部を覆うように構成されています。

また、引用文献2(特開2014-81160号公報)は、冷媒の漏洩を検知できるようにした空気調和機に関するものであり、冷媒漏洩センサを設置するように構成されています。

また、引用文献4(実願昭59-39173号)は、空気調和機の配管接続部の断熱方法に関するものであり、冷媒配管接続部を確実かつ素早く断熱することを目的として、配管接続部分を断熱材で覆っています。

従って、本願発明と引用文献4は断熱材を設ける目的が異なるため、本願発明を得るために、引用文献1、2に、引用文献4を適用することは当業者が容易に想到できるものではありません。」と主張する。

しかし、上記イで検討したとおり、引用発明に周知技術を適用する動機付けはあり、結露水が冷媒漏洩センサに侵入して冷媒漏洩センサの故障や誤作動を生じることを抑制できるという効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲のものであるから、請求人の上記主張は採用できない。

エ 効果について

そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献3の技術事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ まとめ

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献3の技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和2年12月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の一部は、以下のとおりである。

<理由1(進歩性)について>

本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献2:特開2014-81160号公報
引用文献3:特開2000-230761号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2及び3、それらの記載並びに引用発明及び引用文献3の技術事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明と引用発明とは、前記第2の[理由]2(3)の対比を踏まえると、前記相違点1ないし3で相違し、その余において一致する。

そうすると、前記第2の[理由]2(4)の判断を踏まえると、本願発明は、引用発明及び引用文献3の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-004223

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