審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-004053

発光装置

審判番号
2021-004053
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-518810
請求日
2021年03月30日
審決日
2022年03月28日
公報発行日
2022年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
審判長/審判官
  • 審判長 山村 浩
  • 審判官 清水 督史
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P18 .121-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-518810「発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月14日国際公開、WO2016/056837、平成29年10月19日国内公表、特表2017-531324、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)10月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年10月8日、韓国、2015年1月16日、韓国(2件))を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和元年 7月 4日付け:拒絶理由通知書 令和元年10月 7日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年 3月26日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和2年 6月30日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年11月26日付け:令和2年6月30日の手続補正についての 補正の却下の決定、拒絶査定 令和3年 3月30日 :審判請求書、手続補正書(以下、この手続補 正書によりなされた補正を「本件補正」とい う。)の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和2年11月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本件補正前の本願請求項1~8に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2007-103512号公報 2.特表2008-506246号公報 3.特開2014-60283号公報 4.特開2011-29497号公報 5.特表2011-514667号公報 6.米国特許出願公開第2010/0078669号明細書 7.特開2011-66463号公報 8.特開2010-157608号公報 9.特開2010-135277号公報 なお、引用文献7~9は、令和2年11月26日付け補正の却下の決定において、追加的に引用された文献である。 第3 本願発明 本願請求項1~8に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」~「本願発明8」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 内壁を有するハウジングと、 前記ハウジングのうち前記内壁より内周側の第1表面に配置される発光ダイオードチップと、 シリコン系列、エポキシ系列、PMMA系列、PE系列及びPS系列のうちの少なくとも一つを含み、前記発光ダイオードチップ上に配置される波長変換部と、 前記波長変換部内に分布し、500nm~540nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体と、 前記波長変換部内に分布し、600nm~650nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体と、を含み、 前記発光ダイオードチップが放出する光のピーク波長は415nm~430nmの波長範囲内に位置し、 前記波長変換部は、 前記発光ダイオードチップを覆う第1波長変換部と、 前記第1波長変換部を覆う第2波長変換部と、 を含み、 前記波長変換部は、前記内壁を露出しないように前記ハウジングの内壁に接触して配置され、前記内壁の外周側における前記ハウジングの第2表面には配置されず、前記内壁の内周側の領域において凸となる曲面形状の表面を有し、 前記内壁は、前記第1表面と前記第2表面との間において、前記第1表面および前記第2表面に対して傾斜し、 前記第1波長変換部と前記第2波長変換部との境界は、前記傾斜した前記内壁と接触し、 前記第1波長変換部は前記第2蛍光体を含有し、 前記第2波長変換部は前記第1蛍光体を含有し、 前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部に覆われる部分において、当該第2波長変換部の側に凸となる曲面形状を有し、 前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部よりも硬度が低い、発光装置。」 なお、本願発明2~8は、本願発明1に従属するものである。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2007-103512号公報)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。以下同じ。) (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などの発光素子から発せられる光を波長変換して外部に取り出す発光装置、特に、電子ディスプレイ用のバックライト電源、蛍光ランプ等に好適に用いられる発光装置に関する。 【背景技術】 【0002】 半導体材料からなる発光素子(以下「LEDチップ」と言うことがある)は、小型で電力効率が良く鮮やかに発色する。LEDチップは、製品寿命が長い、オン・オフ点灯の繰り返しに強い、消費電力が低い、という優れた特徴を有するため、液晶等のバックライト光源や蛍光ランプ等の照明用光源への応用が期待されている。 【0003】 LEDチップの発光装置への応用は、LEDチップの光の一部を蛍光体で波長変換し、当該波長変換された光と波長変換されないLEDの光とを混合して放出することにより、LEDの光とは異なる色を発光する発光装置として既に製造されている。 【0004】 具体的には、白色光を発するために、LEDチップ表面に蛍光体を含む波長変換層を設けた発光装置が提案されている。例えば、nGaN系材料を使った青色LEDチップ上に(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12の組成式で表されるYAG系蛍光体を含む波長変換層を形成した発光装置では、LEDチップから青色光が放出され、波長変換層で青色光の一部が黄色光に変化するため、青色と黄色の光が混色して白色を呈する発光装置が提案されている(特許文献1参照)。 ・・・略・・・ 【0006】 この発光装置では、発光素子103から発する光が蛍光体105に照射されると、蛍光体105は励起されて可視光を発し、この可視光が出力として利用される。ところが、発光素子103の明るさを変えると、青色と黄色との光量比が変化するため、白色の色調が変化し、演色性に劣るといった問題があった。 【0007】 そこで、このような課題を解決するために、図5における発光素子103として400nm以下のピークを有する紫色LEDチップを用いるとともに、波長変換層104には3種類の蛍光体115、116および117を高分子樹脂中に混ぜ込んだ構造を採用し、紫色光を赤色、緑色、青色の各波長に変換して白色を発光することが提案されている(特許文献2参照)。これにより、演色性を向上することができる。 【0008】 しかしながら、特許文献2に記載の発光装置では、励起光400nm付近の紫外域領域に対する赤色成分の蛍光体(例えば、Y2O3S:Eu等)の発光効率が、他の蛍光体よりも著しく低いために、赤、緑、青の発光バランスの良い白色光を得ることができないといった問題があった。そのため、発光効率の低い赤色蛍光体の混合量を増やすと、緑色および青色蛍光体から発せられた蛍光が赤色蛍光体に再吸収されるため、緑色および青系蛍光体の発光量が低く抑えられ、その結果白色発光装置の発光効率が向上しないという問題がある。 【0009】 また、発光効率の高い緑色、青色蛍光体の混合量を増やすことによって効率向上は図れるが、赤、緑、青の発光バランスの良い白色光を得ることができなくなるという問題がある。」 (2)「【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明の課題は、色バランスの優れた白色光を効率良く発光させることができる発光装置を提供することにある。」 (3)「【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 本発明の発光装置を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の発光装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1によれば、本発明の発光装置は、電極1が形成された基板2と、基板2上に設けられている発光素子3と、基板2上に発光素子3を覆うように形成された1層の波長変換層4と、光を反射する反射部材6とを備えている。 【0022】 電極1は、発光素子3を電気的に接続するための導電路としての機能を有し、導電性接合材で発光素子3と接続されている。電極1としては、例えば、W,Mo,Cu,Ag等の金属粉末を含むメタライズ層を用いることができる。電極1は、基体1がセラミックスから成る場合、その上面に配線導体がタングステン(W),モリブデン(Mo)-マンガン(Mn)等から成る金属ペーストを高温で焼成して形成され、基体1が樹脂から成る場合、銅(Cu)や鉄(Fe)-ニッケル(Ni)合金等から成るリード端子がモールド成型されて基体1の内部に設置固定される。 【0023】 基板2としては、熱伝導性に優れ、かつ全反射率の大きな基板が用いられる。基板2としては、例えばアルミナ、窒素アルミニウム等のセラミック材料の他に、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂が好適に用いられる。 【0024】 発光素子3としては、370nm~420nm、好ましくは380nm~410nmの波長範囲の励起光を発する素子を用いることができる。発光素子3は、中心波長370nm~420nmを発するものであれば特に制限されるものではないが、発光素子3の発光素子基板表面に、半導体材料からなる発光層を備える構造(不図示)を有していることが、高い外部量子効率を有する点で好ましい。このような半導体材料としては、ZnSeや窒化物半導体(GaN等)等種々の半導体を挙げることができるが、発光波長が上記波長範囲であれば、特に半導体材料の種類は限定されない。これらの半導体材料を有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシャル成長法等の結晶成長法により、半導体材料からなる発光層を有する積層構造を、発光素子基板上に形成すれば良い。なお、図1に示す発光装置では、発光素子3として、中心波長が370nm~420nmの波長範囲の光を発する半導体材料を具備する発光素子を形成した。 【0025】 波長変換層4には、430nmから490nmの蛍光を発する青色蛍光体5a、500nmから560nmの蛍光を発する緑色蛍光体5b、540nmから600nmの蛍光を発する黄色蛍光体5c、および590nmから700nmの蛍光を発する赤色蛍光体5dが含有されている。また、図1に示す波長変換層4では、発光素子3に近い部分には黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dが偏在しており、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dよりも発光素子3から遠い部分には、青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bが偏在している。 【0026】 これに対して、蛍光体がランダムに分散されている場合、例えば、短波波長の蛍光を発する青色蛍光体及び緑色蛍光体から発せられた蛍光が、長波長蛍光を発現する黄色蛍光体及び赤色蛍光体に再吸収され、青色蛍光体及び緑色蛍光体の発光効率が低下するといったことが発生する。その結果、発光装置から出射される出力光の発光効率が低下して、発光装置全体としての発光効率が充分に高くならなかった。また、青色蛍光体及び緑色蛍光体から出射される蛍光の一部が黄色蛍光体及び赤色蛍光体に再吸収され、黄色及び赤色の蛍光を発することによって、発光装置から発せられる出力光の色バランスが大きく低下し、演色性が大きく低下する。 【0027】 本発明では、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを発光素子3の近くに含有させ、それら黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dよりも発光素子3から遠くに青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bを含有させている。このように蛍光体5a~5dを1つの層中に分離して偏在させることによって、発光素子3からの励起光を、まず黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dで黄色や赤色に変換し、次に黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dの間を通り抜けた励起光を、青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bで青色や緑色に変換することができるため、蛍光体5a、5b、5cおよび5d間の自己吸収による発光効率低下を抑えて、効率よく励起光を変換することができる。 【0028】 また、本発明の発光装置では、各蛍光体5a、5b、5cおよび5dの変換効率が60%以上で、かつ、それら変換効率の差が15%以内であることが好ましい。このような変換効率を有する青色蛍光体5a、緑色蛍光体5b、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを用いれば、バランスの取れた発光スペクトルを達成(出力光の演色性を向上)させて、非常に優れた発光効率を有する発光装置が得られる。」 (4)「【0042】 上記波長変換層4を作製するには、まず、青色蛍光体5a、緑色蛍光体5b、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dをマトリックス樹脂の未硬化物に混合する。マトリックス樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂、珪素-酸素結合を主体とする高分子樹脂(シリコーン樹脂など)が透過率の点で好適である。 【0043】 特に、珪素-酸素結合を主体とする高分子樹脂は、珪素-酸素の結合エネルギーが非常に大きいため、400nm前後の光を吸収して劣化することがなく、すぐれた耐熱性、耐光性を有する。その結果、珪素-酸素結合を主体とする高分子樹脂中に蛍光体を分散混合することで、波長変換層の耐光性、耐熱性、透明性を高めることができ、発光装置の長寿命を確保することができる。よって、透過率と耐熱性を兼ね備える点でシリコーン樹脂が最も好ましい。また、分散剤として、マトリックス樹脂と化学的にカップリングするものを用いることが、硬化後の安定性の点で望ましい。 【0044】 次に、青色蛍光体5a、緑色蛍光体5b、黄色蛍光体5c、赤色蛍光体5dおよびマトリックス樹脂の未硬化物の混合物を、シート状に成形する。成形方法としては、例えば、ドクターブレード法やダイコーター法、押し出し法、スピンコート法、ディップ法などのシート成形ができる成形法が挙げられ、特にドクターブレード法やダイコーター法を用いれば、生産性を向上することができる。次に、シート中の青色蛍光体5a、緑色蛍光体5b、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを、粒子の平均粒子径によって階層的に分散させる。蛍光体を階層的に層状に分散させるためには、沈降法や遠心分離法を用いることができる。また、蛍光体の比重、マトリクス樹脂の粘度、マトリクス樹脂の硬化温度および硬化時間の最適化により、各蛍光体間の沈降速度を変えることによって、層状に分散することができる。例えば、マトリクス樹脂としてジメチルシリコーン樹脂を、青色蛍光体5aとして〔(Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu〕(平均粒子径7μm)を、緑色蛍光体5bとして〔BaMgAl10O17:Eu,Mn〕(平均粒子径4μm)を、黄色蛍光体5cとしてZnAgInS2(平均粒子径2.8nm)を、赤色蛍光体5dとしてZnAgInS2(平均粒子径3.8nm)を用いた場合、マトリクス樹脂の粘度を200~1000cps、マトリクス樹脂の硬化温度を130~170℃、マトリクス樹脂の硬化時間を5~24時間(hour)とすることにより、各蛍光体間の沈降速度を変えて、層状に分散することができる。 ・・・略・・・ 【0047】 反射部材6は、発光素子3および波長変換層4の側面に設けられており、側面に逃げる光を前方に反射し、出力光の強度を高めることができる。反射部材6の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)およびこれらの積層構造物や合金、さらにアルミナセラミックス等のセラミックス、またはエポキシ樹脂等の樹脂を用いることができる。 【0048】 上記発光装置は、波長変換層4からの出力光のピーク波長が400~750nmであることが好ましい。このようなピーク波長を有する出力光を発光することにより、さらに演色性に優れた発光装置を実現できる。」 (5)「【0049】 図2は、本発明における発光装置の他の実施形態を示す図であって、2層構造の波長変換層4を有する発光装置の概略断面図である。なお、図2中、図1に示す発光装置と同一の部材については、図1と同じ符号を付して説明を省略する。 【0050】 図2に示す発光装置では、波長変換層40を、第一の変換層41と第二の変換層42との2層構造とし、変換層42が発光素子3の表面に、変換層41が変換層42の表面に形成されている。また、変換層41には青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bが含有され、変換層42には黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dが含有されている。このような波長変換層40を形成することにより、図1の発光装置と同様、蛍光体5a~5d間の自己吸収による発光効率低下を抑えて、効率よく励起光を変換することができる。このような2層構造の波長変換層40を形成するには、青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bを含有する樹脂と、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを含有する樹脂とを準備して、変換層41および42を形成すればよい。このように変換層41および42を形成すれば、図1の波長変換層4を形成する場合のように、沈降法や遠心分離法を用いなくとも、所望の位置に蛍光体を配置することができる。 【0051】 波長変換層40の厚みは0.1~5mm、変換層41の厚みは0.05~3mm、変換層42の厚みは0.05~3mmであることが好ましい。これにより、各層における変換効率が高く、かつ、各層からの光が充分に透過するため、より優れた発光特性を示すことができる。蛍光体により効率良く波長変換でき、かつ、変換された光が他の蛍光体により吸収されることを抑制することができるため、高効率な発光装置が得られる。 ・・・略・・・ 【0065】 それぞれの波長変換層からなる発光装置の発光効率は、発光装置に20mAの電流を印加し、点灯させて全光束量を測定し、この全光束を注入電流で割った値を発光装置の発光効率とした。また、演色性(Ra)は、大塚電子社製の発光特性評価装置により測定した。1層構造の波長変換層の結果を表1に、3層構造波長変換層の結果を表2に示した。 【0066】 【表1】 [図:0001382992000001.jpg] 【0067】 【表2】 [図:0001382992000002.jpg] 」 (6)図1及び図2は次のとおりである。 図1 [図:0001382992000003.jpg] 図2 [図:0001382992000004.jpg] (7)図2から、以下の点が見て取れる。 反射部材6は、波長変換層40の側面に接する内壁と、前記内壁の外周側の表面(以下「外表面」という。)とを有しており、発光素子3は、基板2における前記内壁より内周側の表面(以下「内表面」という。)に配置されており、発光素子3及び波長変換層40は、反射部材6の内壁及び基板2の内表面により囲まれる空間に収容されており、反射部材6の内壁は、基板2の内表面及び反射部材6の外表面との間において、基板2の内表面及び反射部材6の外表面に対して傾斜しており、第一の変換層41と第二の変換層42との境界は、反射部材6の内壁と接触しており、第二の変換層42は、第一の変換層41に覆われる部分において平面形状を有し、波長変換層40は、反射部材6の内壁を露出しないように反射部材6の内壁に接触して配置され、反射部材6の外表面には配置されず、前記内壁の内周側の領域において平面形状の表面を有している点。 (8)上記(5)の【0049】の「図2は、本発明における発光装置の他の実施形態を示す図であって、2層構造の波長変換層4を有する発光装置の概略断面図である。なお、図2中、図1に示す発光装置と同一の部材については、図1と同じ符号を付して説明を省略する。」との記載から、図2の実施形態における「基板2」、「発光素子3」、「青色蛍光体5a」、「緑色蛍光体5b」、「黄色蛍光体5c」、「赤色蛍光体5d」、「反射部材6」は、図1の実施形態に関して上記(3)、(4)に記載されているのと同様のものであると解される。 また、上記(5)の【0049】に記載された「青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bを含有する樹脂」及び「黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを含有する樹脂」は、図1の実施形態と同様の蛍光体を分散混合するためのものであるから、図1の実施形態に関して上記(4)に記載されているのと同様の材料を用いているものと解される。 (9)以上から、引用文献1には、図2の実施形態に関する次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、引用発明の各構成の根拠箇所を参考として当審で付した。) 引用発明 「発光素子から発せられる光を波長変換して外部に取り出す発光装置であって(【0001】)、 発光装置は、色バランスの優れた白色光を効率良く発光させるものであり(【0010】)、 発光装置は、電極1が形成された基板2と、基板2上に設けられている発光素子3と、光を反射する反射部材6とを備え(【0021】、上記(8))、 発光素子3は、発光素子基板表面に、半導体材料からなる発光層を備える構造を有しており(【0024】、上記(8))、 波長変換層40を、第一の変換層41と第二の変換層42との2層構造とし、変換層42が発光素子3の表面に、変換層41が変換層42の表面に形成されており、変換層41には青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bが含有され、変換層42には黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dが含有されており、2層構造の波長変換層40は、青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bを含有する樹脂と、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを含有する樹脂とを準備して、変換層41および42を形成したものであり(【0050】)、 青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bを含有する樹脂と、黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dを含有する樹脂は、例えばエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂、珪素-酸素結合を主体とする高分子樹脂(シリコーン樹脂など)であり(【0042】、上記(8))、 青色蛍光体5aは、430nmから490nmの蛍光を発するものであり、緑色蛍光体5bは、500nmから560nmの蛍光を発するものであり、黄色蛍光体5cは、540nmから600nmの蛍光を発するものであり、赤色蛍光体5dは、590nmから700nmの蛍光を発するものであり(【0025】、上記(8))、 発光素子3として、中心波長が370nm~420nmの波長範囲の光を発する半導体材料を具備する発光素子を形成し(【0024】、上記(8))、 反射部材6は、波長変換層40の側面に接する内壁と、外表面とを有しており、発光素子3は、基板2における内表面に配置されており、発光素子3及び波長変換層40は、反射部材6の内壁及び基板2の内表面により囲まれる空間に収容されており、反射部材6の内壁は、基板2の内表面及び反射部材6の外表面との間において、基板2の内表面及び反射部材6の外表面に対して傾斜しており、第一の変換層41と第二の変換層42との境界は、反射部材6の内壁と接触しており、第二の変換層42は、第一の変換層41に覆われる部分において平面形状を有し、波長変換層40は、反射部材6の内壁を露出しないように反射部材6の内壁に接触して配置され、反射部材6の外表面には配置されず、前記内壁の内周側の領域において平面形状の表面を有している(上記(7))、 発光装置。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特表2008-506246号公報)には、次の記載がある。 (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は、発光ダイオードなどの発光素子を用いた発光装置に関する。」 (2)「【背景技術】 【0002】 発光ダイオード(以下、「LED」と記す。)は、白熱電球、ハロゲン電球などと比べて発光効率及び寿命などの観点から優位性を有しているので、各種の表示装置、照明装置などの発光装置として用いられつつある。このLEDは、基本的に発光素子と、その発光素子を封止する封止部とから成り立っている。 ・・・略・・・ 【0005】 従来、発光素子の封止材料としては、透光性の高いエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂などの数々の材料が用いられてきているが、信頼性、コストなどを考慮すると、エポキシ樹脂が主として用いられている。 【0006】 エポキシ樹脂は、発光素子を実装するリードフレームや基板などとの接着性が高く、また硬度が高いため外部から発光素子を保護しやすい。一方、エポキシ樹脂は、熱・光に対して特性が比較的劣化しやすい。耐熱性・耐光性のエポキシ樹脂も数々存在しているが、発光素子に直接接している限りは、光・熱の両方の影響を直接受けてしまうために、経時的にその光透過特性は劣化しやすく、特に短波長側の光を吸収するために樹脂に黄変が生じ、光の取り出し効率は低下する。このようなエポキシ樹脂の劣化は、LEDの光束低下を招来し、LEDの短寿命化につながる。 【0007】 今後LEDを用いた照明装置などが使用されるようになると、単体のLEDでは光束が小さいため、所望の光束を得るためには、多数のLEDを実装する必要があり、各LEDの信頼性の向上が望まれる。また、蛍光体と発光素子とを組み合わせて白色光を放つLED(以下、「白色LED」と記す。)に用いる発光素子として、青色~紫外領域の光を放つ発光素子が使用されるようになると、封止材料にはより耐光・耐熱性が求められるようになり、エポキシ樹脂のみの単一樹脂による封止では、照明光源としてのLEDを用いた発光装置の寿命は極端に短くなる可能性がある。 【0008】 一方、エポキシ樹脂と比較して、熱・光に対して特性が比較的安定している材料として、シリコーン材料がある。シリコーン材料は、経時的にもその光透過特性は劣化しにくいため、黄変などの現象が生じにくい。 【0009】 しかし、シリコーン材料は、エポキシ樹脂ほどの剛性を有しにくく、たとえエポキシ樹脂と同等の硬度を有していてもエポキシ樹脂と比較すると成型が困難であり、発光素子の機械的保護を行いにくい。また、エポキシ樹脂と比較すると、シリコーン材料は発光素子を実装するリードフレームや基板などとの接着性が悪いことから、熱衝撃などの各部材の膨張・収縮を伴う事象に対して、剥離などの不良現象が発生しやすくなり、長期間にわたって封止を保つことは難しく、エポキシ樹脂による封止と比較すると封止部の信頼性は劣る。 【0010】 LEDは、発光素子を外部から保護するために、封止部の外殻部分においては十分な剛性を必要とし、機械的強度が大きな封止材料で封止を行わなくてはならない。一方、発光素子と接する部分においては、発光素子へ機械的な応力が加わることによる損傷の防止、又は発光素子の近傍の封止材料にクラックが生じないようにするために、ある程度の弾性を有する封止材料で封止を行わなくてはならない。 【0011】 しかし、これらの要求を同時に単一の封止材料、例えばエポキシ樹脂又はシリコーン材料で実現することは前述のように難しい。そこで、従来は、発光素子の近傍を弾性を有するシリコーン材料で覆い、その外側を機械的強度の大きな樹脂などで覆う二層構造の封止部が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。 【特許文献1】特開2001-57447号公報 【特許文献2】特開2000-150968号公報(図2)」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0012】 しかし、発光素子の近傍を弾性を有するシリコーン材料で覆い、その外側を機械的強度の大きなエポキシ樹脂で覆う二層構造のLEDであっても、発光素子から放たれる光と熱によって、エポキシ樹脂が経時的に劣化して透光性が低下し、LEDの光束が低下する問題がある。 【0013】 即ち、LEDは、長時間使用すると発熱し、発光素子の近傍では100℃近くまたはそれ以上の温度に達することがある。このため、発光素子の近傍を弾性を有するシリコーン材料で覆い、その外側を機械的強度の大きなエポキシ樹脂で覆う二層構造を有するLEDであっても、この熱と光の影響によりエポキシ樹脂が経時的に劣化し、封止部の光透過特性が低下する。また、白色LEDを用いた発光装置では、青色?紫外領域のエネルギーの高い光を放つ発光素子を用いるため、エポキシ樹脂の劣化がより促進される。 【0014】 また、上記二層構造のLEDでは、発光素子の発熱により内層の樹脂が膨張・収縮した場合、内層の樹脂と外層の樹脂との界面に剥離が生じやすくなり、さらには外層の樹脂に応力が加わり、クラックなどが生じる場合があり、封止部の信頼性が損なわれるおそれがある。 【0015】 特に、前述の図12に示した表面実装型LED30においては、封止部が一層構造であっても、二層構造であっても、封止樹脂33としてシリコーン材料を使用した場合には、反射板34との接着性が十分ではなくなり、また、シリコーン材料は熱により膨張・収縮しやすいため、封止樹脂33と反射板34との間に剥離が生じ、そこから水分などが侵入して発光素子32に悪影響を与える場合がある。また、封止樹脂33としてエポキシ樹脂を使用した場合でも、反射板34の素材に例えばアルミニウムなどを使用すると、封止樹脂33と反射板34との接着性が低下し、上記と同様の問題が生じる。」 (4)「【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明の発光装置の実施の形態について説明する。本発明の発光装置の一例は、発光素子と、発光素子を覆う透光性の封止部とを備えた発光装置であり、封止部は、発光素子の外面を覆う第1の封止層と、第1の封止層を覆う第2の封止層と、第2の封止層を覆う第3の封止層とを含む。 【0019】 上記封止部を三層構造とすることにより、各層の封止材料及び封止構造の選択の自由度が増加し、各層に最適な封止材料及び封止構造を選択することが可能となり、発光装置の光束低下の抑制と、封止部の信頼性の向上を図ることができる。 【0020】 具体的には、例えば、第1の封止層に用いる封止材料として、発光素子から放出される光及び熱に対して光透過率の低下が少なく、かつ弾性を有する透光性材料を用いることができる。発光素子から放出される光及び熱に対して光透過率の低下が少ない封止材料を用いることにより、第1の封止層の封止材料の経時的劣化を防止して、光透過特性の低下を防止できる。また、弾性を有する封止材料を用いることにより、発光素子へ機械的な応力が加わることによる損傷の防止、又は発光素子の近傍の封止材料にクラックが発生することを防止できる。 【0021】 上記光及び熱に対して光透過率の低下が少なく、かつ弾性を有する透光性材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなどのシリコーン材料、水ガラスなどを用いることができる。 【0022】 また、例えば、第2の封止層に用いる封止材料として、発光素子から放出される光及び熱に対して光透過率の低下が少ない耐熱・耐光性の透光性材料を用いることができる。これにより、第2の封止層の封止材料の経時的劣化を防止して、光透過特性の低下を防止できるとともに、第1の封止層及び第2の封止層による熱の遮蔽効果により、第3の封止層の封止材料の経時的劣化を防止して、光透過特性の低下を防止できる。 【0023】 上記光及び熱に対して光透過率の低下が少ない耐熱・耐光性の透光性材料としては、例えば、シリコーン変性エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテルを主体としたエポキシ樹脂などの耐熱性・耐光性のエポキシ材料、フッ素樹脂、フッ素ゴム、シリコーン材料、水ガラスなどを用いることができる。 【0024】 さらに、例えば、第3の封止層に用いる封止材料として、剛性を有する透光性材料を用いることができる。これにより、発光素子を外部から保護することができる。 【0025】 上記剛性を有する透光性材料としては、エポキシ樹脂などのエポキシ材料、ガラス、ナイロン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂などを用いることができる。 【0026】 また、上記第2の封止層は、ガラス転移温度が100℃以上の透光性材料から形成されていることが好ましく、ガラス転移温度が120℃以上の透光性材料がより好ましく、ガラス転移温度が140℃以上の透光性材料が最も好ましい。これにより、第2の封止層から第3の封止層への応力を緩和でき、第3の封止層による封止部の信頼性をより向上させることができる。即ち、第2の封止層をガラス転移温度が100℃以上の透光性材料で形成することにより、使用雰囲気温度の変化が激しい状態で発光素子を連続点灯させた場合でも、第2の封止層の膨張・収縮による変形を抑制でき、第2の封止層から第3の封止層への応力を緩和できる。なお、ガラス転移温度の上限は特に制限されないが、例えば一般的にLEDの封止に用いられるエポキシ材料の場合では190℃以下である。 【0027】 上記第2の封止層の透光性材料のガラス転移温度は、任意に調整可能である。例えば、透光性材料の組成を変化させる、透光性材料の硬化温度を上げる、硬化剤の量を調整するなどにより、ガラス転移温度を変化させることができる。 【0028】 また、本実施形態の発光装置は、発光素子が実装された基板と、基板の上に配置された反射部材とをさらに含み、反射部材は、発光素子の周囲を囲み、第1の封止層は発光素子の外面を覆い、第2の封止層は第1の封止層を覆い、第3の封止層は第2の封止層及び反射部材を覆い、さらに第3の封止層は基板と密着した形態とすることができる。この形態は、第3の封止層によって、基板上の発光素子、第1の封止層、第2の封止層、反射部材などの全ての部材が覆われ、かつそれらの部材の周囲において第3の封止層と基板とを密着させたものである。これにより、水分などが発光装置の内部に侵入することをより確実に防止することができ、発光装置の封止部の信頼性をより向上することができる。 【0029】 また、上記反射部材としては、発光素子からの光を反射させる機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、反射板、反射フィルム、プリズムなどを用いることができる。 【0030】 さらに、第1の封止層を形成する封止材料の線膨張係数と第2の封止層を形成する封止材料の線膨張係数とをほぼ等しくする、又は第2の封止層を形成する封止材料の線膨張係数と第3の封止層を形成する封止材料の線膨張係数とをほぼ等しくすることができる。これにより、発光素子が発光している時の高温状態と、発光素子が発光していない時の低温状態とを繰り返しても、封止部の各層にクラックなどが生じにくくなり、封止部の信頼性が向上する。 【0031】 また、第1の封止層、第2の封止層及び第3の封止層から選ばれる少なくとも1つの封止層は、上記発光素子が放つ光によって励起されて発光する蛍光材料を含むことが好ましい。これにより、発光素子が放つ光を波長変換して所望の波長の光を放つことができる。さらに、発光素子が可視光を放つ場合には、発光素子が放つ発光成分と、蛍光材料が放つ発光成分とを出力光に含む発光装置を提供できる。」 (5)「第3の封止層」をなす「剛性を有する透光性材料」であって、「エポキシ樹脂などのエポキシ材料、ガラス、ナイロン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂などを用い」たもの(【0024】~【0025】)は、「第1の封止層」をなす「光及び熱に対して光透過率の低下が少なく、かつ弾性を有する透光性材料」であって、「例えば、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなどのシリコーン材料、水ガラスなどを用い」たもの(【0020】~【0021】)に比べて、硬度が高いことは明らかである。 また、「第2の封止層」をなす「光及び熱に対して光透過率の低下が少ない耐熱・耐光性の透光性材料としては、例えば、シリコーン変性エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテルを主体としたエポキシ樹脂などの耐熱性・耐光性のエポキシ材料、フッ素樹脂、フッ素ゴム、シリコーン材料、水ガラスなどを用い」たもの(【0022】~【0023】)の硬度は、技術常識に照らして、「第1の封止層」の封止材料の硬度と「第3の封止層」の封止材料の硬度の中間にあるものと解される。 3 引用文献7 原審の補正の却下の決定で周知例として提示された引用文献7(特開2011-66463号公報)には、図面とともに、次の記載がある。 (1)「【0075】 直列接続された発光セルのアレイを有する発光ダイオードチップ又は発光セルがボンディングされたサブマウントを搭載し、多様な構造の発光ダイオードパッケージ又は発光ダイオードランプを提供することができる。 以下、直列接続された発光セルのアレイを有する発光ダイオードパッケージ又は発光ダイオードランプについて詳述する。 図8~図10は、本発明の一実施形態による発光ダイオードパッケージを示す断面図である。 【0076】 図8を参照すると、発光ダイオードパッケージは、基板310と、基板310上に形成された電極320、325と、基板310上に実装された発光素子350と、発光素子350を封止するモールド部材370とを含む。 発光素子350は、図1及び図2を参照して説明したような、配線80により直列接続された発光セルのアレイ、又は図3~図5を参照して説明したような、電極パターン250を有するサブマウント2000と、サブマウント2000の電極パターン250により直列接続された発光セルのアレイで構成させる。発光素子350は、少なくとも一つの発光セルアレイを含み、逆並列で接続された少なくとも二つの発光セルアレイ及び/又は所定の整流動作を行う別途の整流ブリッジ部を含んでもよい。 【0077】 発光セルのそれぞれは、n型半導体層とp型半導体層を含むが、一つの発光セルのn型半導体層と、一つの発光セルに隣接した他の発光セルのp型半導体層とが電気的に接続される。一方、直列接続された発光セルのアレイの一端と他端に、外部電源を接続するためのn型ボンディングパッドとp型ボンディングパッドが形成されてもよい。これに加えて、発光素子350が、別途の整流ブリッジ部を含む場合、整流ブリッジ部に電源パッドが形成されてもよい。 【0078】 発光セルは、単一基板上に形成されるので、発光ダイオードをそれぞれ実装し、直列接続する従来技術に比べて、パッケージ製造工程を単純化することができ、パッケージの大きさを小型化することができる。 【0079】 基板310は、第1のリード電極及び第2のリード電極320、325が印刷された印刷回路基板であってもよい。リード電極(320、325)は、発光素子350のp型ボンディングパッド(図1及び図2の90、又は図3~図5の240)及びn型ボンディングパッド(図1及び図2の95、又は図3~図5の250)又は電源パッドにそれぞれ電気的に接続される。 【0080】 リード電極(320、325)は、印刷技法を用いて形成すること以外に、接着剤を用いて基板310上に接着してもよい。第1及び第2の電極320、325は、導電性に優れた銅又はアルミニウムを含む金属物質で形成されてもよく、電気的に互いに離隔して形成される。 リード電極(320、325)と発光素子350は、ボンディングワイヤ390を介して電気的に接続される。すなわち、第1の電極320と発光素子350の一つのパッドが、一つのボンディングワイヤ390を介して接続され、第2の電極325と発光素子350の他の一つのパッドが、他のボンディングワイヤ390を介して接続される。 【0081】 モールド部材370は、熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂を硬化させて形成することができる。モールド部材370は、レンズ状、六面体状、平板状、半球状、円筒状等の多様な形状に形成されてもよく、その上部面に複数個の小さなレンズ形状をさらに含んでもよい。 【0082】 一方、発光素子350の上部に、目標とする色の光を具現するための所定の蛍光体(図示せず)をさらに含んでもよい。蛍光体は、発光素子350上に塗布されて形成されてもよい。また、蛍光体と熱硬化性樹脂を混合した後、この混合物を用いてモールド部材370を形成することにより、蛍光体をモールド部370内に分散させてもよい。 【0083】 本実施形態による発光ダイオードパッケージは、反射部をさらに含んでもよい。図9及び図10は、このような反射部を含む発光ダイオードパッケージを示す。 図9を参照すると、発光素子350は、反射部340内に実装される。反射部340は、基板(図8の310)を機械的に加工して、所定の溝を設けることにより形成されてもよい。溝の内壁は、所定の傾きを有して形成される。その結果、発光素子350から放射され、反射部340に入射した光が、反射部340から外へ反射され、光の輝度を向上させることができる。溝の下部面は、発光素子350の実装のために平面であることが好ましい。 【0084】 図10を参照すると、反射部360が平らな基板310上に形成され、発光素子350を取り囲む。反射部360は、所定の傾きを有し、発光素子350から入射した光を外へ反射させる。反射部360は、熱可塑性又は熱硬化性樹脂をモールドして形成することができる。一方、モールド部材370は、反射部360の内部を満たして、発光素子350を封止する。 【0085】 また、反射部360と基板310は、一体に形成されてもよい。この際、リード電極(320、325)は、リードフレームを用いて形成され、反射部360及び基板310は、リードフレームをインサート?モールディング(insert-molding)して形成される。」 (2)「【0123】 図23を参照すると、モールド部材521、523が発光素子517の上部を覆い、第1のパッケージ本体506の溝内に成形される。モールド部材は、第1のモールド部材521及び第2のモールド部材523を含んでもよい。第1及び第2のモールド部材は、それぞれエポキシ樹脂又はシリコン樹脂等で形成されてもよく、互いに同一又は異なる物質で形成され得る。第2のモールド部材523は、第1のモールド部材521に比べて、硬度値が大きいことが好ましい。第1及び第2のモールド部材は、それぞれ段部507aの近くで界面が形成されるように、第1のパッケージ本体506の溝を満たすことができる。 【0124】 一方、第1のモールド部材521及び/又は第2のモールド部材523内に、蛍光体が含有されてもよい。また、第1のモールド部材521及び/又は第2のモールド部材523内に、光を分散させる拡散剤が含有されてもよい。蛍光体は、発光素子517上に塗布され、第1のモールド部材521と発光素子517との間に位置してもよく、第1のモールド部材521又は第2のモールド部材523上に位置してもよい。 【0125】 また、モールド部材の上部にレンズ525が位置してもよい。レンズ525は、上部段部507bに固定される。レンズ525は、発光ダイオードチップ517から放射された光が一定の指向角内に出射されるように、図に示すのように、凸レンズの形状を有してもよく、その他使用目的に応じて、多様な形状を有することができる。」 (3)図8~図10及び図23は次のとおりである。 図8 [図:0001382992000005.jpg] 図9 [図:0001382992000006.jpg] 図10 [図:0001382992000007.jpg] 図23 [図:0001382992000008.jpg] 4 引用文献8 原審の補正の却下の決定で周知例として提示された引用文献8(特開2010-157608号公報)には、図面とともに、次の記載がある。 (1)「【0020】 図4に本発明の一実施形態に係る半導体発光装置の模式断面図を示す。この図に示す発光装置100は、SMD(表面実装)型LEDであり、パッケージ10に設けられたキャビティ(カップ状部分)の底面上にGaN系発光素子20が接着剤(図示せず)を用いて固定されている。 パッケージ10は、セラミック(アルミナ、AlNなど)、白色樹脂などで形成されたパッケージ基板11と、二つのパッケージ電極12と、リフレクタ13とから構成されている。この図ではパッケージ基板11とリフレクタ13とを別個の部材のように示しているが、これらは一体的に形成されていてもよい。 パッケージ基板11上に固定されたGaN系発光素子20は400nm付近に主発光波長を有するものである。このGaN系発光素子は、サファイア、SiC、GaNなどからなる素子基板21と、その上に形成された、ダブルヘテロPN接合型のLED構造を備えたGaN系半導体膜22とを有しており、そのGaN系半導体膜22上に、正負の電極が形成されている。正電極は、透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conductive Oxide)からなる透明電極23aと、その一部上に形成された金属製のボンディングパッド23bとから構成されている。負電極も、TCOからなる透明電極24aと、その一部上に形成された金属製のボンディングパッド24bとから構成されている。素子基板21の下面には金属製の反射膜25が形成されている。 GaN系発光素子20の正電極および負電極のそれぞれは、AuまたはCuからなるボンディングワイヤ30により、2つのパッケージ電極12のそれぞれに接続されている。 GaN系発光素子20は透光性の被覆部材40により埋め込まれている。被覆部材40は内層部41と外層部42とを有しており、2本のボンディングワイヤ30は内層部41に埋め込まれている。 蛍光体(図示せず)は被覆部材40中に固定化されており、とりわけ、赤色蛍光体は内層部41に固定化されており、青色蛍光体および緑色蛍光体は外層部42に固定化されている。黄色蛍光体を用いる場合には外層部42に固定化することが望ましい。 【0021】 発光装置100において、GaN系発光素子20から放出される波長400nm付近の光は、被覆部材40の内層部41に固定化された赤色蛍光体によっては実質的に吸収されることなく外層部42に達し、そこで青色蛍光体および緑色蛍光体を励起させる。青色蛍光体から生じる青色光は方向性を有さないので、その一部は内層部41側に向かって進み、赤色蛍光体を励起させることになる。赤色蛍光体から生じる赤色光は直接、あるいはパッケージ基板11、パッケージ電極12、リフレクタ13またはボンディングワイヤ30の表面で反射されて、外層部42側に向かって進み、これを透過して発光装置100の外部に放射される。 【0022】 発光装置100において、被覆部材40の内層部41に赤色蛍光体を、外層部42に青色蛍光体を固定化しているのは、ボンディングワイヤ30の近傍では青色光を発生させないで、赤色光を発生させるようにするためである。その理由は、ボンディングワイヤ30の材料であるAuまたはCuは青色光を強く吸収するのに対し、赤色光に対しては強い吸収を示さないからである。外層部42に固定化した青色蛍光体から生じる青色光のうち、内層部41に入射するのはその一部であり、更に内層部41に入射すると青色光は赤色蛍光体によって赤色光に変換されるので、青色光がボンディングワイヤ30に吸収されることによる損失が減少することになる。なお、このような損失低減効果の発生に必要な条件は、赤色蛍光体が青色蛍光体により励起され得ることである(蛍光体の種類にはよらない)。このことは、本技術分野における当業者であれば理解されよう。 【0023】 発光装置100において、被覆部材40の内層部41に赤色蛍光体を固定化するにあたっては、内層部41の全体にわたって赤色蛍光体を分散させてもよいし、あるいは、内層部41の中でも外層部42に隣接する部分に、赤色蛍光体を分散させた領域を層状に形成してもよい。また、被覆部材40の外層部42には青色蛍光体と緑色蛍光体を混合した状態で分散させてもよいし、あるいは、青色蛍光体を分散させた層状領域と緑色蛍光体を分散させた層状領域とをそれぞれ外層部42内に設けてもよい。」 (2)図4は次のとおりである。 図4 [図:0001382992000009.jpg] 5 引用文献9 原審の補正の却下の決定で周知例として提示された引用文献9(特開2010-135277号公報)には、図面とともに、次の記載がある。 (1)「【0080】 図14は、本発明の更に他の実施例に係る発光ダイオードを示す平面図であり、図15は、図14のB-B線に沿って切断した断面図であり、図16(a)~(c)は、発光ダイオードに適用可能な多様な第1リード端子の部分を示す斜視図であり、図17は、本発明の他の実施例に係る第1リード端子の部分を示す斜視図である。 【0081】 図14及び図15を参照すると、発光ダイオードは、第1リード端子51及び第2リード端子53を含む。第1リード端子51及び第2リード端子53は、図3に示すように、ベース金属層、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)からなる光反射層、及び金(Au)、ニッケル(Ni)又はチタニウム(Ti)からなる保護層を含むようにしてもよい。 【0082】 第1リード端子51は、発光チップ57が実装されるチップ実装部51b、チップ実装部51bから折り曲げられて形成され、チップ実装部51bの下側に配置された段差部51a、及びチップ実装部51bと段差部51aとの間に配置され光反射面を形成する第1傾斜面51cを含む(図16(a)参照)。第2リード端子53は、第1リード端子51から離隔して位置し、第1リード端子51の段差部51aと同じ高さに配置される。 【0083】 第1リード端子51は、チップ実装部51bから折り曲げられて形成され、第1傾斜面51cに対向して配置されてチップ実装部51bに接続される第2傾斜面51dを更に含めてもよい(図16(b)参照)。又、第1リード端子51は、第2傾斜面51dから延長され、チップ実装部51bと同じ高さで配置された端部51eを更に含めてもよい(図16(c)参照)。 【0084】 第1リード端子51及び第2リード端子53は、ハウジング55によって支持される。便宜上、ハウジング55は、第1リード端子51の段差部51a及び第2リード端子53の上部及び下部に配置されて、上部ハウジング55aと下部ハウジング55bに区分される。 【0085】 ハウジング55は、第1リード端子51及び第2リード端子53の一部を露出させる開口部56を有する。開口部56は、第1リード端子51のチップ実装部51bと、第1及び第2傾斜面51c、51dと、第2リード端子53の一部を露出する。更に、開口部56は、第1リード端子51の段差部51aの一部を露出させてもよい。 【0086】 第1リード端子51及び第2リード端子53は、開口部56内で互いに離隔して位置する。第1リード端子51及び第2リード端子53は、外部電源に電気的に接続するためにそれぞれハウジング55の側壁を貫通して外部に延長される。ハウジング55の外部に延長された第1リード端子51及び第2リード端子53は、多様な形状に折り曲げることができる。 【0087】 第1リード端子51のチップ実装部51bは、下部ハウジング55b側に下がって配置させるため、開口部56の底面に凹部が形成される。第1リード端子51の第1傾斜面51cは、開口部56の主軸方向(長軸方向)を横切って、ハウジング55の副軸方向(短軸方向)の内壁と接触するか、又は、内壁と接触する前に終端される。即ち、開口部56によって露出した第1傾斜面51cは、連続的でなく断続的である。従って、副軸方向(短軸方向)の指向性を変化させることなく、主軸方向(長軸方向)の光反射率を向上させることができ、主軸方向(長軸方向)と副軸方向(短軸方向)の光分布を個別に制御することが可能である。第1リード端子51の第2傾斜面51dも開口部56の主軸方向(長軸方向)を横切って、ハウジング55の副軸方向(短軸方向)の内壁と接触するか、又は、内壁と接触する前に終端される。第2傾斜面51dは、第1傾斜面51cと対称的に形成され、これによって対称性を有する光分布を得ることができる。 【0088】 発光チップ57は、チップ実装部51bに実装され、導電性ワイヤ59を介して第2リード端子53と電気的に接続される。発光チップ57から発生された光は、ハウジング55の内壁55wに到達する前に第1傾斜面51c及び第2傾斜面51dで反射される。従って、発光チップ57から発生された光の一部が光反射率を有する第1傾斜面51c及び第2傾斜面51dで反射されるので、発光ダイオードの発光効率が向上される。又、ハウジング55の内壁に直接入射される光量を減少させるので、ハウジング55の内壁が変色されることを緩和させることができ、その結果、発光ダイオードの寿命を延長させることができる。 【0089】 図17を参照すると、副軸方向(短軸方向)の光反射率を向上させ、副軸方向(短軸方向)のハウジング55の内壁の変色を防止するために、第1リード端子51はチップ実装部51bから開口部56の副軸方向(短軸方向)の両側にそれぞれ沿って延長された翼部51fを更に含めてもよい。チップ実装部51bに接続される翼部51fは、チップ実装部51bから折り曲げられて第3及び第4傾斜面を形成する。又、翼部51fは、第1及び第2傾斜面51c、51dと離れて形成されているので、第1及び第2傾斜面51c、51dの傾斜角と異なる傾斜角を有するように折り曲げることができ、副軸方向(短軸方向)の光反射特性と主軸方向(長軸方向)の光反射特性を個別に調節することができる。 【0090】 蛍光体を含む封止剤63は、発光チップ57を封止するように形成される。封止剤63は、蛍光体を含む透明樹脂をチップ実装部51bの凹部内に充填してコーティングすることにより形成することができる。従って、凹部内に限定して凸形状を有する封止剤63を形成することができる。蛍光体を含む封止剤63のコーティングは、図2を参照して既に説明したので、その重複説明は省略する。 【0091】 封止剤63は、開口部56を満たすこともでき、凹部内に封止剤63を満たした後、開口部56を透明なモールディング部65で満たすこともできる。」 (2)「【0110】 図23は、本発明の更に他の実施例に係る発光ダイオードを示す斜視図であり、図24(a)は、図23に図示された発光ダイオードの断面図であり、図24(b)は、図24(a)のA部分の拡大図である。 【0111】 図23及び図24(a)、(b)を参照すると、本実施例の発光ダイオードは、発光チップ2、発光チップ2に電源を印加するための第1リード端子12及び第2リード端子14、第1リード端子12及び第2リード端子14を支持するハウジング20、及び発光チップ2を保護するように形成された光透過性の封止剤30を含む。 【0112】 図23に示すように、第1リード端子12及び第2リード端子14は、ベース金属層、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)からなる反射層、及び金(Au)、ニッケル(Ni)又はチタニウム(Ti)からなる保護層を含む。 【0113】 第1リード端子12及び第2リード端子14は、平板状に形成される。第1リード端子12及び第2リード端子14は、ハウジング30によって支持された状態で互いに離隔するように形成される。第1リード端子12及び第2リード端子14の互いに隣接する端部には、互いに向かって開かれている同じ深さの凹部122、142が形成される。第1リード端子12及び第2リード端子14の凹部122、142には、その内側に発光チップ2が実装されるカップが形成される。カップの外側に配置される第1リード端子12及び第2リード端子14の間の第1ギャップは、第1ギャップの内側に配置される第1リード端子12及び第2リード端子14の間の第2ギャップより大きくすることにより、第1リード端子12及び第2リード端子14を支持するハウジング20の支持強度及び耐久性を向上させる。 【0114】 ハウジング20は、凹部122、142によって形成されたカップの底面を避けて第1リード端子12及び第2リード端子14の一部を覆うように形成される。凹部122、142の底面、又は、カップの底面123、143は外部に露出する。又、カップの底面123、143は、ハウジング20の底面と同一平面に配置することが好ましい。この場合、カップの底面123、143は、発光チップ2に電源を印加するため、外部の回路基板に電気的に接続されることが好ましい。カップの底面123、143は、発光チップ2の熱放射を向上するために、比較的に薄い厚さで、かつ広い面積で外部に露出されているので、発光チップ2の熱を外部に放出する機能を果たすことができる。 【0115】 第1リード端子12及び第2リード端子14は、それぞれハウジング20から外部に露出するために凹部122、142から延長された翼部124、144を含む。翼部124、144は、発光チップ2から発生された熱を放出する放熱部として機能する。翼部124、144は、広い面積で外部に露出しているので、発光チップ2から発生された熱を効果的に放出させることができる。翼部124、144は、発光チップ2に電源を印加するため、外部の回路基板に電気的に接続されることが好ましい。この場合、カップの底面123、143は放熱のみを行う。 【0116】 発光チップ2は、第1リード端子12の凹部122に実装され、第1リード端子12と電気的に接続される。発光チップ2と第2リード端子14の凹部142は導電性ワイヤを介して電気的に接続される。 【0117】 第1リード端子12及び第2リード端子14は、翼部124、144に対して凹部122、142の底面(又は、カップの底面123、143)に結合される傾斜部を含む。傾斜部は、発光チップ2から放出された光の一部を反射させるための凹部122、142に関する内壁(slat)である。 【0118】 図24(b)の拡大図に示すように、第1リード端子12及び第2リード端子14は、粗面Rを含む。粗面Rは、例えば、サンドブラスティング加工のような表面処理加工によって形成される。凹部122、142の粗面Rは、光を散乱させて光の指向角を広くし、光の効率を向上させる。第1リード端子12及び第2リード端子14の粗面Rは、ハウジング20によって覆われた凹部122、142の外側に配置され、ハウジング20を形成する樹脂に対して第1リード端子12及び第2リード端子14の接着性を向上させることができる。 【0119】 凹部122、142によって形成されたカップの内部には、光透過性樹脂からなる封止剤30が満たされる。例えば、封止剤30には、シリコン(又は、シリコン樹脂)を主成分とする第1封止部32と、エポキシ樹脂又は硬質シリコン(又は、シリコン樹脂)を主成分とする第2封止部34を含む。少なくとも第1封止部32及び第2封止部34のうちいずれか1つには分散される蛍光体が含まれる。 【0120】 図25(a)は、本発明の更に他の実施例に係る発光ダイオードを示す断面図であり、図25(b)は、図25(a)のA部分の拡大図である。本発明の他の実施例に係る発光ダイオードは、縦に延長された部分を除いて図24に示した発光ダイオードの実質的に構成要素は同じであるため、図22(a)及び図24(b)に示した同一の構成要素と同一の参照符号を用いて、重複説明は省略する。 【0121】 図25(a)、(b)を参照すると、第1リード端子12及び第2リード端子14は、凹部122、142と、(又は、カップの底面123、143)、凹部122、142から垂直に延長されカップのベース部5を形成する垂直部と、カップの上部6を形成するために垂直部から延長された傾斜部と、傾斜部から延長された翼部124、144と、を含む。 【0122】 このようにカップは、垂直部及び凹部122、142によって形成されたベース部5と、傾斜部により形成された上部6とを含む。ベース部5は、第1封止部32を形成することが容易である。上部6には、光透過性樹脂からなる封止剤30を順次形成することができる。これによって、レンズ形状をより効果的に形成することができる。」 (3)図15、図24及び図25は次のとおりである。 図15 [図:0001382992000010.jpg] 図24 [図:0001382992000011.jpg] 図25 [図:0001382992000012.jpg] 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「波長変換層40」、「発光装置」は、それぞれ本願発明1の「波長変換部」、「発光装置」に相当する。 また、引用発明の「発光素子3」は、「発光素子基板表面に、半導体材料からなる発光層を備える構造を有しており」、「基板2上に設けられている」ものであるから、表面実装型の発光ダイオード素子であると解され、よって、当該「発光素子3」は、本願発明1にいう「発光ダイオードチップ」に相当する。 イ 引用発明において、「反射部材6は、波長変換層40の側面に接する内壁と、外表面とを有しており、発光素子3は、基板2における内表面に配置されており、発光素子3及び波長変換層40は、反射部材6の内壁及び基板2の内表面により囲まれる空間に収容されて」いるところ、当該「基板2」及び「反射部材6」は、本願発明1にいう「ハウジング」をなしているといえ、引用発明の「内表面」、「外表面」、「内壁」は、それぞれ本願発明1にいう「第1表面」、「第2表面」、「内壁」に相当する。 そうすると、引用発明は、本願発明1の「内壁を有するハウジング」と、「前記ハウジングのうち前記内壁より内周側の第1表面に配置される発光ダイオードチップ」との構成を有する。 ウ 引用発明において、「波長変換層40」は、「第一の変換層41と第二の変換層42との2層構造とし」たものであり、「変換層42が発光素子3の表面に、変換層41が変換層42の表面に形成されて」いるから、引用発明の「第一の変換層41」、「第二の変換層42」は、それぞれ本願発明1の「第2波長変換部」、「第1波長変換部」に相当し、引用発明は、本願発明1の「前記発光ダイオードチップ上に配置される波長変換部」との構成を有し、「前記波長変換部は、前記発光ダイオードチップを覆う第1波長変換部と、前記第1波長変換部を覆う第2波長変換部と、を含」んでいるといえる。 エ 引用発明において、「変換層41には青色蛍光体5aおよび緑色蛍光体5bが含有され」、「緑色蛍光体5bは、500nmから560nmの蛍光を発するもの」であるところ、当該蛍光は、当然、ピーク波長を有することも踏まえると、本願発明1の「前記波長変換部内に分布し、500nm~540nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体」と引用発明の当該「緑色蛍光体5b」とは、「前記波長変換部内に分布し、」所定の「波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体」である点で共通する。 オ 引用発明において、「変換層42には黄色蛍光体5cおよび赤色蛍光体5dが含有されており」、「赤色蛍光体5dは、590nmから700nmの蛍光を発するもの」であるところ、当該蛍光は、当然、ピーク波長を有することも踏まえると、本願発明1の「前記波長変換部内に分布し、600nm~650nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体」と引用発明の当該「赤色蛍光体5d」とは、「前記波長変換部内に分布し、」所定の「波長範囲に属するピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体」である点で共通する。 カ 引用発明の「発光素子3」は、「中心波長が370nm~420nmの波長範囲の光を発する半導体材料を具備する発光素子」であるところ、当該光は、当然、ピーク波長を有することを踏まえると、本願発明1の「放出する光のピーク波長は415nm~430nmの波長範囲内に位置」する「発光ダイオードチップ」と引用発明の当該「発光素子」とは、「放出する光のピーク波長は」所定の「波長範囲内に位置」する点で共通する。 キ 引用発明において、「反射部材6の内壁は、基板2の内表面及び反射部材6の外表面との間において、基板2の内表面及び反射部材6の外表面に対して傾斜しており、第一の変換層41と第二の変換層42との境界は、反射部材6の内壁と接触しており、波長変換層40は、反射部材6の内壁を露出しないように反射部材6の内壁に接触して配置され、反射部材6の外表面には配置され」ないから、引用発明は、本願発明1の「前記波長変換部は、前記内壁を露出しないように前記ハウジングの内壁に接触して配置され、前記内壁の外周側における前記ハウジングの第2表面には配置されず」、「前記内壁は、前記第1表面と前記第2表面との間において、前記第1表面および前記第2表面に対して傾斜し」、「前記第1波長変換部と前記第2波長変換部との境界は、前記傾斜した前記内壁と接触し」との構成を有する。 ク 以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「内壁を有するハウジングと、 前記ハウジングのうち前記内壁より内周側の第1表面に配置される発光ダイオードチップと、 前記発光ダイオードチップ上に配置される波長変換部と、 前記波長変換部内に分布し、所定の波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体と、 前記波長変換部内に分布し、所定の波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体と、を含み、 前記発光ダイオードチップが放出する光のピーク波長は所定の波長範囲内に位置し、 前記波長変換部は、 前記発光ダイオードチップを覆う第1波長変換部と、 前記第1波長変換部を覆う第2波長変換部と、 を含み、 前記波長変換部は、前記内壁を露出しないように前記ハウジングの内壁に接触して配置され、前記内壁の外周側における前記ハウジングの第2表面には配置されず、 前記内壁は、前記第1表面と前記第2表面との間において、前記第1表面および前記第2表面に対して傾斜し、 前記第1波長変換部と前記第2波長変換部との境界は、前記傾斜した前記内壁と接触し、 前記第1波長変換部は前記第2蛍光体を含有し、 前記第2波長変換部は前記第1蛍光体を含有する、 発光装置。」 【相違点1】 発光ダイオードチップが放出する光のピーク波長が位置する波長範囲が、本願発明1は「415nm~430nm」であるのに対し、引用発明は、「中心波長が370nm~420nmの波長範囲の光を発する」ものの、ピーク波長が位置する波長範囲は不明である点。 【相違点2】 第1蛍光体が放出する光のピーク波長が位置する波長範囲が、本願発明1は「500nm~540nm」であるのに対し、引用発明は、「500nmから560nmの蛍光を発する」ものの、ピーク波長が位置する波長範囲は不明である点。 【相違点3】 第2蛍光体が放出する光のピーク波長が位置する波長範囲が、本願発明1は「600nm~650nm」であるのに対し、引用発明は、「590nmから700nmの蛍光を発する」ものの、ピーク波長が位置する波長範囲は不明である点。 【相違点4】 「波長変換部」の形状につき、本願発明1では、「前記内壁の内周側の領域において凸となる曲面形状の表面を有し」、「前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部に覆われる部分において、当該第2波長変換部の側に凸となる曲面形状を有し」ているのに対し、引用発明では、「前記内壁の内周側の領域において平面形状の表面を有し」、「第二の変換層42は、第一の変換層41に覆われる部分において平面形状を有し」ている点。 【相違点5】 「波長変換部」の材料につき、本願発明1では、「シリコン系列、エポキシ系列、PMMA系列、PE系列及びPS系列のうちの少なくとも一つを含み」、「前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部よりも硬度が低い」のに対し、引用発明では、「変換層41」及び「変換層42」をなす樹脂は、「例えばエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂、珪素-酸素結合を主体とする高分子樹脂(シリコーン樹脂など)」である点。 (2)判断 ア 事案に鑑みて、波長変換部の形状に係る相違点4について先に検討する。 (ア)引用発明において相違点4に係る構成に至るためには、波長変換部の形状として、「前記内壁の内周側の領域において平面形状の表面を有し」、「第二の変換層42は、第一の変換層41に覆われる部分において平面形状を有」する構成(以下「二層平面構成」という。)に代えて、「前記内壁の内周側の領域において凸となる曲面形状の表面を有し」、「前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部に覆われる部分において、当該第2波長変換部の側に凸となる曲面形状を有」する構成(以下「二層凸曲面構成」という。)を採用することが必要であるが、その際、本願発明1と引用発明との一致点のうち、波長変換部の形状に係る構成、つまり、「前記波長変換部」は、「前記内壁を露出しないように前記ハウジングの内壁に接触して配置され、」「前記内壁は、前記第1表面と前記第2表面との間において、前記第1表面および前記第2表面に対して傾斜し、前記第1波長変換部と前記第2波長変換部との境界は、前記傾斜した前記内壁と接触」する構成(以下「傾斜内壁非露出構成」)と「前記内壁の外周側における前記ハウジングの第2表面には配置され」ない構成(以下「第2表面非配置構成」という。)の双方を維持する必要がある。 しかしながら、引用文献1及び引用文献2には、傾斜内壁非露出構成は記載されているものの、二層凸曲面構成が記載されておらず、さらに、第2表面非配置構成は、引用文献1には記載されているものの、引用文献2には記載されていないから、これらの引用文献の記載からは、当業者が、引用発明において、二層凸曲面構成を採用しつつ、傾斜内壁非露出構成及び第2表面非配置構成を維持することに容易に至るということはできない。 (イ)上記(ア)の点に関して、原審の補正の却下の決定は、引用文献7に記載されているように、発光素子を封止するモールド部材は多様な形状に形成し得ることから、引用発明の第一の変換層41の表面と第二の変換層42の表面とを、引用文献8及び引用文献9(二層凸曲面構成が開示されているといえる。)に記載されているような、外側に凸の曲面形状という周知な形状に置き換えることは、当業者が適宜なし得る事項である旨判断した。 しかしながら、引用発明において、二層平面構成に代えて二層凸曲面構成を採用することができたとしても、その製造上の観点等からみて、傾斜内壁非露出構成と第2表面非配置構成の双方を維持するのが通常であるとは言い難く、むしろ、引用文献8の図4のように、傾斜内壁非露出構成とはしなかったり、引用文献9の図24のように、第2表面非配置構成とはしなかったりする方が自然であると考えられる。 この点、引用文献9の図25には、第2表面非配置構成を採用するとともに、内壁を露出しない構成を採用したものが示されているといえるが、当該内壁は、第1表面と第2表面との間において傾斜しているものではないから、傾斜内壁非露出構成には該当しない。さらにいえば、当該内壁の形状に関し、当該引用文献9には、「図25(a)、(b)を参照すると、第1リード端子12及び第2リード端子14は、凹部122、142と、(又は、カップの底面123、143)、凹部122、142から垂直に延長されカップのベース部5を形成する垂直部と、カップの上部6を形成するために垂直部から延長された傾斜部と、傾斜部から延長された翼部124、144と、を含む。」(【0121】)、「このようにカップは、垂直部及び凹部122、142によって形成されたベース部5と、傾斜部により形成された上部6とを含む。ベース部5は、第1封止部32を形成することが容易である。上部6には、光透過性樹脂からなる封止剤30を順次形成することができる。これによって、レンズ形状をより効果的に形成することができる。」(【0122】)と記載されており、二層凸曲面構成が採用されているといっても、その製造上の観点等からみて、内壁の形状を垂直部と傾斜部とにより形成する点が示唆されているといえる。そうすると、当該図25及びそれに関する記載を踏まえたとしても、引用発明において、二層平面構成に代えて二層凸曲面構成を採用する際に、傾斜内壁非露出構成を維持することが通常であるとは言い難い。 そして、引用文献7には、二層凸曲面構成すら記載されていないし、引用文献8及び9のその他の記載をみても、上記判断を左右しない。 (ウ)そうすると、引用発明において、一致点に係る構成を維持しつつ、相違点4に係る本願発明1の構成を採用することは、引用文献7~9に記載された事項を参照しても、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 上記アの判断は、引用文献2~6の記載を参酌しても、左右されることはない。 したがって、本願発明1は、相違点1~3、5について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~9に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2~8について 本願発明2~8は、本願発明1に従属するものであるから、本願発明1と同じ理由(上記1参照)により、引用発明及び引用文献2~9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1~8は、二層凸曲面構成を有するとともに、傾斜内壁非露出構成及び第2表面非配置構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~6に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-004053

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決9件(ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド)
  • 2023-002749拒絶査定不服審判 / 2024-08-05 / 請求不成立発光ダイオードパッケージ
    同じ当事者: ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
  • 2023-005136拒絶査定不服審判 / 2024-06-17 / 請求不成立発光ダイオードパッケージ及びそれを有する表示装置
    同じ当事者: ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
  • 2019-014263拒絶査定不服審判 / 2020-09-16 / 請求不成立マルチセル発光ダイオードを用いたバックライトユニット
    同じ当事者: ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
  • 2017-016728拒絶査定不服審判 / 2019-05-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)窒化ガリウムおよび金属酸化物の複合基板
    同じ当事者: ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
  • 2017-019495拒絶査定不服審判 / 2019-01-21 / 請求不成立LEDバックライト用照明レンズ
    同じ当事者: ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,479件(121・H01L)
  • 2025-000609拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)軽量太陽光発電パネル及びその製造方法
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001807拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)太陽電池セルおよび太陽電池
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-002107拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 請求不成立熱硬化性樹脂組成物
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001151拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立光電変換装置及び飛行体
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存