2021-003045
チップ抵抗素子
- 審判番号
- 2021-003045
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-216765外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年03月08日
- 審決日
- 2021年10月19日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】龍華国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (H01C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月4日(パリ条約による優先権主張2016年1月8日 韓国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和3年3月8日にされた手続補正について補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年3月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項22の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「抵抗層と、前記抵抗層に接続された内部電極と、前記抵抗層上に配置され、前記内部電極に接続された抵抗保護層と、前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された電極保護層と、前記電極保護層上に配置された外部電極と、を含み、前記電極保護層は、前記抵抗保護層の一部と重なるように前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された第1電極保護層と、前記抵抗保護層の一部と重なるように前記第1電極保護層上に配置され、前記外部電極が配置された上面を有する第2電極保護層と、を含み、前記第1及び第2電極保護層はそれぞれ樹脂を含み、前記第1電極保護層の樹脂含量比が前記第2電極保護層の樹脂含量比より大きく、前記第1及び第2電極保護層は、それぞれ導電性粉末を含み、前記第2電極保護層の導電性粉末の含量比が前記第1電極保護層の導電性粉末の重量比より大きい、チップ抵抗素子。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年8月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項22の記載は次のとおりである。
「抵抗層と、前記抵抗層に接続された内部電極と、前記抵抗層上に配置され、前記内部電極に接続された抵抗保護層と、前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された電極保護層と、前記電極保護層上に配置された外部電極と、を含み、前記電極保護層は、前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された第1電極保護層と、前記第1電極保護層上に配置され、前記外部電極が配置された上面を有する第2電極保護層と、を含み、前記第1及び第2電極保護層はそれぞれ樹脂を含み、前記第1電極保護層の樹脂含量比が前記第2電極保護層の樹脂含量比より大きく、前記第1及び第2電極保護層は、それぞれ導電性粉末を含み、前記第2電極保護層の導電性粉末の含量比が前記第1電極保護層の導電性粉末の重量比より大きい、チップ抵抗素子。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1電極保護層」及び「第2電極保護層」について、「前記抵抗保護層の一部と重なるように」の限定を付加するものであって、補正前の請求項22に記載された発明と補正後の請求項22に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項22に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例及びその記載事項
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ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2004-259864号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。
「【0012】【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は、「チップ型にした絶縁基板の上面に、抵抗膜と、その両端に繋がる銀系導電ペーストによる上面電極を形成するとともに、前記抵抗膜を覆うカバーコートを形成し、更に、前記両上面電極の上面に、補助上面電極を前記カバーコートに対して一部重なるように形成する一方、前記絶縁基板の左右両側面に、側面電極を少なくとも前記上面電極及び前記補助上面電極に電気的に繋がるように形成し、更に、前記補助上面電極及び側面電極の表面に、錫又は半田等の半田付け用メッキ層を、ニッケルメッキ層を下地として形成して成るチップ抵抗器において、前記側面電極を、非磁性の導電樹脂ペーストにて形成する一方、前記補助上面電極を、カーボン系の導電樹脂ペーストにて形成する。」ことを特徴としている。」
「【0026】この第1の実施の形態によるチップ抵抗器1は、チップ型に構成した絶縁基板2の下面に、左右一対の下面電極3を形成する一方、前記絶縁基板2の上面に、抵抗膜5と、その両端に繋がる左右一対の上面電極4とを形成するとともに、前記抵抗膜5を覆うガラス等によるカバーコート6を形成し、前記両上面電極4の上面に、補助上面電極7を、前記カバーコート6に対して一部重なるように形成し、前記絶縁基板2の左右両側面2aに、側面電極8を、少なくとも前記下面電極3と補助上面電極7に電気的に繋がるように形成し、更に、前記下面電極3、前記補助上面電極7及び側面電極8の表面に、錫又は半田等の半田付け用メッキ層9を、ニッケルメッキ層10を下地として形成して成る構造である。【0027】この構造において、前記下面電極3及び前記上面電極4を、銀系導電ペーストにて形成し、前記側面電極8を、非磁性の金属粉末を混入するか、或いは、カーボン粉末を混入することによって導電性を付与して成る非磁性導電樹脂ペーストにて形成する一方、前記補助上面電極7を、カーボン粉末を混入することによって導電性を付与して成るカーボン系導電樹脂ペーストにて形成するという構成にする。【0028】このように構成することにより、前記補助上面電極7に、大気中の硫黄成分等によってマグレーション等の腐食が発生すること確実に防止できる一方、前記上面電極4に大気中の硫黄成分等によってマグレーション等の腐食が発生すること、前記補助上面電極7によって防止することができる。」
「【0045】この構成によると、大気中の硫黄成分等が、補助上面電極7がカバーコート6に対して重なる部分から上面電極4に向かって侵入することを、前記オーバーコート6′にて阻止できる。」
[図:0001382954000001.jpg]
図1より、カバーコート6が上面電極4と接続されていることが見て取れる。
以上によれば、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用例の記載箇所を示す。)。
「絶縁基板2の下面に、左右一対の下面電極3を形成し、絶縁基板2の上面に、抵抗膜5と、その両端に繋がる左右一対の上面電極4とを形成し(【0026】)、抵抗膜5を覆い、上面電極4と接続されたカバーコート6を形成し(【0026】、図1)、上面電極4の上面に、補助上面電極7を、カバーコート6に対して一部重なるように形成し(【0026】)、絶縁基板2の左右両側面2aに側面電極8を、上面電極4、下面電極3及び補助上面電極7に電気的に繋がるように形成し(【0012】、【0026】)、下面電極3、補助上面電極7及び側面電極8の表面に、半田付け用メッキ層9をニッケルメッキ層10を下地として形成したチップ抵抗器1であって(【0026】)、補助上面電極7を、カーボン粉末を混入することによって導電性を付与して成るカーボン系導電樹脂ペーストにて形成することにより(【0027】)、上面電極4に腐食が発生することを、補助上面電極7によって防止することができる(【0028】)、チップ抵抗器1。」
イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2014-039000号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0004】最近では、電子製品の小型化及び多機能化により、チップ部品も小型化及び高機能化される傾向であるため、積層セラミックキャパシタもサイズは小さくて容量の大きい高容量製品が求められている。」
「【0009】しかし、導電性樹脂層を外部電極の電極層とメッキ層との間に適用すると、電極層と樹脂層との間で層間分離が発生してメッキ層と樹脂層との間に未メッキ現象が発生するという問題がある。」
「【0035】本発明の一実施形態によると、本発明の積層セラミックキャパシタは上記電極層31と接する第1伝導性樹脂層32aと、上記第1伝導性樹脂層32aの外側に形成され、上記メッキ層33と接する第2伝導性樹脂層32bとを含んでよい。【0036】電極層31上に形成される第1伝導性樹脂層32aは樹脂含量を高くして外部電極31との接合力及び曲げ強度特性を向上させ、メッキ層33と接する第2伝導性樹脂層32bは樹脂含量を低くして未メッキ問題を解決することで、積層セラミック電子部品の信頼性を向上させることができる。」
上記記載より引用例2には、次の技術が記載されている。
「導電性樹脂層を電極層とメッキ層との間に設けたものにおいて、導電性樹脂層を電極層と接する第1伝導性樹脂層と、上記第1伝導性樹脂層の外側に形成され、上記メッキ層と接する第2伝導性樹脂層で形成し、第1伝導性樹脂層は樹脂含量を高くして電極層との接合力を向上させ、かつ、第2伝導性樹脂層は樹脂含量を低くして未メッキ現象をなくす技術。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「抵抗膜5」、「カバーコート6」は、それぞれ、本件補正発明の「抵抗層」、「抵抗保護層」に相当する。
イ 引用発明の「抵抗膜5」の「両端に繋がる左右一対の上面電極4」は、本件補正発明の「前記抵抗層に接続された内部電極」に相当する。
ウ 引用発明の「抵抗膜5を覆い、上面電極4と接続されたカバーコート6」は、本件補正発明の「前記抵抗層上に配置され、前記内部電極に接続された抵抗保護層」に相当する。
エ 引用発明は「上面電極4に腐食が発生することを、補助上面電極7によって防止することができる」ので、「補助上面電極7」は、「上面電極4」を保護している。
したがって、引用発明の「上面電極4の上面に」「カバーコート6に対して一部重なるように形成し」た「補助上面電極7」は、本件補正発明の「前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された電極保護層」に相当する。
但し、電極保護層が、本件補正発明は「前記抵抗保護層の一部と重なるように前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された第1電極保護層と、前記抵抗保護層の一部と重なるように前記第1電極保護層上に配置され、前記外部電極が配置された上面を有する第2電極保護層と、を含」むのに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。
オ 引用発明の「補助上面電極7」は、「カーボン粉末を混入することによって導電性を付与して成るカーボン系導電樹脂ペーストにて形成」しているので、導電性粉末である「カーボン粉末」と「樹脂」を含んでいる。
そうすると、引用発明の「補助上面電極7」と本件補正発明の「電極保護層」とは、「電極保護層は樹脂及び導電性粉末を含」む点で共通する。
但し、本件補正発明は「前記第1及び第2電極保護層はそれぞれ樹脂を含み、前記第1電極保護層の樹脂含量比が前記第2電極保護層の樹脂含量比より大きく、前記第1及び第2電極保護層は、それぞれ導電性粉末を含み、前記第2電極保護層の導電性粉末の含量比が前記第1電極保護層の導電性粉末の重量比より大きい」のに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。
カ 引用発明の「補助上面電極7」「の表面に」「ニッケルメッキ層10を下地として形成した」「半田付け用メッキ層9」は、本件補正発明の「前記電極保護層上に配置された外部電極」に相当する。
キ 引用発明の「チップ抵抗器1」は、本件補正発明の「チップ抵抗素子」に相当する。
上記アないしキによれば、本件補正発明と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「抵抗層と、前記抵抗層に接続された内部電極と、前記抵抗層上に配置され、前記内部電極に接続された抵抗保護層と、前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された電極保護層と、前記電極保護層上に配置された外部電極と、を含み、前記電極保護層は樹脂及び導電性粉末を含む、チップ抵抗素子。」
(相違点1)
電極保護層が、本件補正発明は「前記抵抗保護層の一部と重なるように前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された第1電極保護層と、前記抵抗保護層の一部と重なるように前記第1電極保護層上に配置され、前記外部電極が配置された上面を有する第2電極保護層と、を含」むのに対して、引用発明はそのような特定がない点。
(相違点2)
本件補正発明は「前記第1及び第2電極保護層はそれぞれ樹脂を含み、前記第1電極保護層の樹脂含量比が前記第2電極保護層の樹脂含量比より大きく、前記第1及び第2電極保護層は、それぞれ導電性粉末を含み、前記第2電極保護層の導電性粉末の含量比が前記第1電極保護層の導電性粉末の重量比より大きい」のに対して、引用発明はそのような特定がない点。
(4)相違点についての判断
ア 上記相違点2について
事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
引用例2には、導電性樹脂層を電極層とメッキ層との間に設けたものにおいて、導電性樹脂層を電極層と接する第1伝導性樹脂層と、上記第1伝導性樹脂層の外側に形成され、上記メッキ層と接する第2伝導性樹脂層で形成し、第1伝導性樹脂層は樹脂含量を高くして電極層との接合力を向上させ、かつ、第2伝導性樹脂層は樹脂含量を低くして未メッキ現象をなくす技術が記載されている(上記「(2)イ」)。
また、引用発明の「カーボン系導電樹脂ペーストにて形成」された「補助上面電極7」は、「上面電極4」と「ニッケルメッキ層10」の間に形成されたものであるので、引用発明及び引用例2に記載されたものは、チップ部品において、導電性樹脂層を電極層とメッキ層との間に設けていることで共通している。
そうすると、引用発明においても引用例2と同様な課題が存在することは明らかであるから、引用発明及び引用例2の記載に接した当業者が、引用発明において「上面電極4」と「補助上面電極7」との間の層間分離や未メッキ現象を無くすために、「補助上面電極7」に引用例2に記載された上記技術を適用し、「補助上面電極7」を、樹脂含量の高い「第1補助上面電極7」と樹脂含量の低い「第2補助上面電極7」の2層構造として、上記相違点2に係る構成を得ることは、容易になし得たことである。
イ 上記相違点1について
引用例1には、大気中の硫黄成分等が、補助上面電極7がカバーコート6に対して重なる部分から上面電極4に向かって侵入することの問題点が述べられている(段落【0045】)。
そして、引用発明はその対策として「補助上面電極7を、カバーコート6に対して一部重なるように形成し」たと考えるのが自然であるから、引用発明に引用例2に記載された技術を適用し、「補助上面電極7」を「第1補助上面電極7」と「第2補助上面電極7」の2層構造とする際、硫黄成分等の侵入を防止するように、「第1補助上面電極7」及び「第2補助上面電極7」を共に、カバーコート6に対して一部重なるように形成して、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者にとって常識的な選択に過ぎないことである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用例2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本件補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし24に係る発明は、令和2年8月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項22に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由] 1(2)」に「請求項22」として記載したとおりのものである。
2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-3、6、11-19、22-24
・引用文献等 1-3
・請求項 4、5、7-10、20、21
・引用文献等 1-4
<引用文献等一覧>
1.特開2004-259864号公報(本審決における引用例1)
2.特開2000-306711号公報
3.特開2014-039000号公報(本審決における引用例2)
4.特開2015-128130号公報
3 引用文献及びその記載事項
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(1)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(引用例1)の記載事項及び引用発明は、上記「第2[理由] 2(2)引用例及びその記載事項 ア」に記載したとおりである。
(2)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に使用される多連チップ抵抗器およびその製造方法に関するものである。」
「【0030】図1において、21は96%のアルミナを含有してなる基板である。22は基板21の上面の両端部および両側面の一部に設けられ、かつ銀系の導電粉体にガラスを含有してなる複数対の第1の上面電極層であり、基板21の側面に位置する第1の上面電極層22の面積は、基板21の側面の面積の半分以下となっている。23は前記複数対の第1の上面電極層22に電気的に接続されるように設けられた酸化ルテニウムを主成分とする複数の抵抗層である。24は少なくとも前記複数の抵抗層23の上面を覆うように設けられたガラスを主成分とする保護層である。25は少なくとも前記複数対の第1の上面電極層22の上面に設けられた銀系の導電粉体にガラスを含有してなる複数対の第2の上面電極層である。26は少なくとも前記複数対の第2の上面電極層25の上面に設けられた銀系の導電粉体にガラスを含有してなる複数対の第3の上面電極層で、この複数対の第3の上面電極層26の稜線には丸みをもたせている。27,28は必要に応じてはんだ付け時の信頼性等を確保するために前記複数対の第1の上面電極層22、第2の上面電極層25、第3の上面電極層26を覆うように設けられた複数対のニッケルめっき層、はんだめっき層である。」
「【0044】また本発明の実施の形態1において、第1の上面電極層22、保護層24、第2の上面電極層25および第3の上面電極層26を(表1)に示す組み合わせとしたときには、(表1)に記載の他の特性を向上させることができるものである。」
表1
[図:0001382954000002.jpg]
表1の組み合わせ1等には、第2の上面電極層25および第3の上面電極層26を導電性粉末と樹脂で構成することが記載されている。
上記記載より、引用文献2には次の技術が記載されている。
「基板の上面に第1の上面電極層を設け、第1の上面電極層の上面に第2の上面電極層を設け、第2の上面電極層の上面に第3の上面電極層を設け、第3の上面電極層を覆うようめっき層を設けたものにおいて、第2の上面電極層および第3の上面電極層を導電性粉末と樹脂で構成する技術。」
(3)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(引用例2)の記載事項は、上記「第2[理由] 2(2)引用例及びその記載事項 イ」に記載したとおりである。
4 引用発明との対比
本願発明は、上記「第2[理由] 2」で検討した本件補正発明から、「第1電極保護層」及び「第2電極保護層」について、「前記抵抗保護層の一部と重なるように」とする限定を削除したものに相当する。
そうすると、上記「第2[理由] 2(3)」で述べた点を踏まえれば、本願発明と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「抵抗層と、前記抵抗層に接続された内部電極と、前記抵抗層上に配置され、前記内部電極に接続された抵抗保護層と、前記内部電極上に配置され、前記抵抗保護層に接続された電極保護層と、前記電極保護層上に配置された外部電極と、を含み、前記電極保護層は樹脂及び導電性粉末を含む、チップ抵抗素子。」
(相違点3)
電極保護層が、本願発明は「前記内部電極上に配置された第1電極保護層と、前記第1電極保護層上に配置され、前記外部電極が配置された上面を有する第2電極保護層と、を含」むのに対して、引用発明はそのような特定がない点。
(相違点4)
本願発明は「前記第1及び第2電極保護層はそれぞれ樹脂を含み、前記第1電極保護層の樹脂含量比が前記第2電極保護層の樹脂含量比より大きく、前記第1及び第2電極保護層は、それぞれ導電性粉末を含み、前記第2電極保護層の導電性粉末の含量比が前記第1電極保護層の導電性粉末の重量比より大きい」のに対して、引用発明はそのような特定がない点。
5 相違点についての判断
上記相違点3及び4についてまとめて検討する。
引用文献2には、基板の上面に第1の上面電極層を設け、第1の上面電極層の上面に第2の上面電極層を設け、第2の上面電極層の上面に第3の上面電極層を設け、第3の上面電極層を覆うようめっき層を設けたものにおいて、第2の上面電極層および第3の上面電極層を導電性粉末と樹脂で構成する技術が記載されいる(上記「3(2)」)。
また、引用文献3には、導電性樹脂層を電極層とメッキ層との間に設けたものにおいて、導電性樹脂層を電極層と接する第1伝導性樹脂層と、上記第1伝導性樹脂層の外側に形成され、上記メッキ層と接する第2伝導性樹脂層で形成し、第1伝導性樹脂層は樹脂含量を高くして電極層との接合力を向上させ、かつ、第2伝導性樹脂層は樹脂含量を低くして未メッキ現象をなくす技術が記載されている(上記「(2)イ」)。
ここで、引用発明の「カーボン系導電樹脂ペーストにて形成」された「補助上面電極7」は、「上面電極4」と「ニッケルメッキ層10」の間に形成されたものであるので、引用発明及び引用文献2、3に記載されたものは、チップ部品において、導電性樹脂層を電極層とメッキ層との間に設けていることで共通している。
そうすると、引用発明において「補助上面電極7」を2層構造にするとともに、「上面電極4」と「補助上面電極7」との間の層間分離や未メッキ現象を無くすため、「補助上面電極7」を、樹脂含量の高い「第1補助上面電極7」と樹脂含量の低い「第2補助上面電極7」の2層構造として、上記相違点3、4に係る構成を得ることは、引用発明及び引用文献2、3の記載に接した当業者が、容易になし得たことである。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項22に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-003045