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特許拒絶査定不服審判

2021-002661

学習装置、学習方法及び学習プログラム

審判番号
2021-002661
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-238869外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月01日
審決日
2022年05月11日
公報発行日
2022年08月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-238869「学習装置、学習方法及び学習プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 2日出願公開、特開2020-101940〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年12月20日の出願であって、令和2年6月15日付けで拒絶理由が通知され、同年7月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、令和3年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

その後、当審において、令和3年11月22日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知し、これに対し、令和4年1月20日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本願請求項1~8に係る発明について

本願請求項1~8に係る発明は、令和4年1月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載されたとおりのものであり、そのうち、請求項1に記載された発明は、次のとおりのものである。下線部は補正箇所を示す。

「【請求項1】
所定の方法により抽出された配信前のコンテンツを第1モデルで審査した結果、前記第1モデルを用いた審査において、目視により審査されるべきと判定されたコンテンツについての目視による審査の結果、前期第1モデル又は前記目視による審査により配信が適切と判定された配信済のコンテンツを第2モデルで審査した結果、及び前記第2モデルを用いた審査において、目視により審査されるべきと判定されたコンテンツについての目視による審査の結果のそれぞれを学習データとして取得する取得部と、
前記学習データに基づき、前記配信前のコンテンツの数に対する、配信には不適切であったコンテンツが配信に適するとして配信されたコンテンツの数の割合を算出し、算出した割合が所定の条件を満たす場合に、前記取得部が取得した学習データに基づいて、前記第1モデルと前記第2モデルの学習を行う学習部と
を備えたことを特徴とする学習装置。」

なお、「前期第1モデル」の「前期」は「前記」の明らかな誤記であり、以下の検討においては「前記」であるものとして検討をする。

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由のうち、請求項1について通知した拒絶の理由の概要は次のとおりである。

理由1 特許法第36条第6項1号(サポート要件)

令和3年3月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)~(3)(略)

(4)請求項1には「学習データとして取得する取得部と、前記学習データから、配信には不適切であったコンテンツが配信に適するとして配信されたコンテンツの数の割合を算出し、算出した割合が所定の条件を満たす場合に、前記取得部が取得した学習データに基づいて、前記第1モデルと前記第2モデルの学習を行う学習部」(下線は、当審が付した)と記載されているが、「取得部」が取得した「学習データ」から「配信には不適切であったコンテンツが配信に適するとして配信されたコンテンツの数の割合を算出」する点について、発明の詳細な説明には記載も示唆もされていない。

発明の詳細な説明の記載によると、発明の詳細な説明には、「情報処理装置100」の「抽出部」が「サンプルとして抽出した広告」を対象として、「配信には不適切であったコンテンツが配信に適するとして配信されたコンテンツの数の割合」を算出することは記載されているが、「情報処理装置100」の「取得部」が取得した「学習データ」を対象として「配信には不適切であったコンテンツが配信に適するとして配信されたコンテンツの数の割合」を算出する点は記載されていない。

理由2 特許法第36条第6項第2号(明確性)

令和3年3月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1に記載された「配信されていないコンテンツ」とは、審査の結果「不適切」とされて「配信されていないコンテンツ」のか、広告主が入稿して未審査のコンテンツを意味するのか、明確でない。

(2)~(6)(略)

第4 特許法第36条第6項第1号について

請求項1について、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合するかを、以下に検討する。

1 特許請求の範囲の請求項1の記載について

特許請求の範囲の請求項1には、「学習データ」及び「学習部」について、

「・・・(前略)・・・学習データとして取得する取得部と、前記学習データに基づき、前記配信前のコンテンツの数に対する、配信には不適切であったコンテンツが配信に適するとして配信されたコンテンツの数の割合を算出し、算出した割合が所定の条件を満たす場合に、前記取得部が取得した学習データに基づいて、前記第1モデルと前記第2モデルの学習を行う学習部」

と、記載されている。

この記載によれば、請求項1の記載において、「学習部」は、取得部が取得した「学習データに基づき、」「割合を算出」することを特定するものである。

2 本願明細書の発明の詳細な説明の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

明細書には、以下のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。

「【0025】
続いて、情報処理装置100は、サンプルとなる広告を抽出する(ステップS19)。具体的には、情報処理装置100は、第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値を算出する際、指標値に期待する信頼度を担保するうえで必要なサンプル数を満たすように所定の期間中に広告を抽出する。ここで、本実施形態において、情報処理装置100は、所定の期間を複数の期間(以下、「分割期間」と記載する場合がある)に分割し、分割期間ごとに抽出される広告の総数が必要なサンプル数を満たすように、分割期間ごとに抽出する広告のサンプル数を決定する。例えば、図1の例において、必要なサンプル数が「1000」であり、所定の期間が「10日」であるものとする。この場合、情報処理装置100は、分割期間を「1日」とし、1日ごとに抽出するサンプル数を「100」と決定する。
【0026】
なお、図1の例において、情報処理装置100は、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査おいて、「適切」と分類(判定)された広告(第1モデルを用いた審査に関する情報または第2モデルを用いた審査に関する情報と対応付けられた広告)に関する情報を広告情報記憶部121から1日ごとに100件抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納する。
続きを表示(全14行)
【0027】
続いて、情報処理装置100は、サンプルとして抽出した広告を審査する(ステップS20)。例えば、図1の例において、情報処理装置100は、サンプルとして抽出した広告に対応する広告情報を1日ごとに審査者端末20に送信し、審査者E1に審査させることにより、目視による広告の審査を行う(すなわち、情報処理装置100は、広告に関する情報を、審査者端末20に送信し、審査者E1による目視の審査結果を審査者端末20から受け付ける)。言い換えると、情報処理装置100は、分割期間ごとに抽出するサンプル数に対応する数の広告の審査を分割期間ごとに行う。そして、情報処理装置100は、広告が「適切」であることを示す情報、または、広告が「不適切」であることを示す情報のいずれかを目視による審査に関する情報として審査者端末20から受け付け、受け付けた情報を広告に対応付けてサンプル広告情報記憶部125に格納する。
【0028】
ここで、図1の例において、所定の期間が経過し、サンプルとして抽出した1000件の広告の審査が完了したものとする。この場合、情報処理装置100は、第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値を算出する(ステップS21)。例えば、図1の例において、情報処理装置100は、サンプルとして抽出した広告の総数に対する、ステップS20における審査結果が「不適切」である広告(言い換えると、本来「不適切」と分類(判定)されるべきであるにもかかわらず「適切」と判定され、ユーザ端末30に配信された広告。以下、「偽陰性広告」と記載する場合がある)の数の割合を指標値として算出する。
【0029】
続いて、情報処理装置100は、情報処理装置100が提供する配信サービスを評価する(ステップS22)。例えば、図1の例において、情報処理装置100は、偽陰性広告に対応する広告配信履歴情報に基づいて、配信サービスを評価する。例えば、情報処理装置100は、偽陰性広告の配信期間や、配信期間における偽陰性広告のインプレッション数に基づいて、配信サービスにおける広告配信の品質低下の度合いを評価する。
【0030】
続いて、情報処理装置100は、第1モデル及び第2モデルの学習を行うための学習データを取得する(ステップS23)。例えば、図1の例において、情報処理装置100は、ステップS13及びステップS17において目視による審査が行われた広告に関する情報を学習データとして取得する。また、情報処理装置100は、偽陰性広告に関する情報を学習データとして取得する。
【0031】
なお、情報処理装置100は、算出した指標値の値や、配信サービスの評価に応じて学習データを取得してもよい。例えば、情報処理装置100は、サンプルとして抽出した広告の総数に対する偽陰性広告の数の割合が所定の閾値以上である場合や、配信サービスにおける広告配信の品質低下の度合いが所定の閾値以上である場合、偽陰性広告に関する情報や、ステップS13及びステップS17における審査結果が「適切」である広告に関する情報を学習データとして取得する。」
「【0060】
(サンプル広告情報記憶部125について)
サンプル広告情報記憶部125は、第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値を算出する際、サンプルとして抽出した広告に関する情報を記憶する。ここで、図8を用いて、サンプル広告情報記憶部125が記憶する情報の一例を説明する。図8は、実施形態に係るサンプル広告情報記憶部の一例を示す図である。図8の例では、サンプル広告情報記憶部125は、「サンプル数」、「期間」、「対象日」、「広告ID」、「広告情報」、「広告単価」、「審査結果」といった項目を有する。」
「【0070】
(配信部132について)
配信部132は、審査部131によるコンテンツ(広告)の審査結果に基づいて、広告をユーザ端末30に配信する。例えば、図1の例において、配信部132は、第1モデルを用いた審査において「適切」と判定された広告をユーザ端末30に配信する。また、配信部132は、第1モデルを用いた審査において「判別不可」と判定された広告のうち、目視による広告の審査において「適切」と判定された広告をユーザ端末30に配信する。そして、配信部132は、各広告の配信履歴に関する情報をユーザ端末30から収集し、広告配信履歴情報記憶部124に格納する。
【0071】
続きを表示(全14行)
(抽出部133について)
抽出部133は、第1審査を経たコンテンツから、所定の期間内において抽出されるコンテンツの総数が所定の数を満たすように複数のコンテンツを抽出する。言い換えると、抽出部133は、所定の期間内において抽出される第1コンテンツの総数が所定の数を満たすように抽出する。例えば、抽出部133は、モデル審査広告から、所定の期間内において抽出される広告(第1コンテンツ)の総数が所定の数を満たすように複数の広告を抽出する。
【0072】
また、抽出部133は、指標値の信頼度に基づいて、所定の数及び所定の期間を決定してもよい。例えば、抽出部133は、後述する算出部134が第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値を算出する際、指標値に期待する信頼度を担保するうえで必要なサンプル数を決定する。そして、抽出部133は、決定したサンプル数に応じて、サンプルを抽出する期間を決定する。例えば、抽出部133は、サンプルとして抽出する広告の審査(例えば、図1のステップS20における目視による審査)に要する時間に基づいて、サンプルを抽出する期間を決定する。
【0073】
また、抽出部133は、所定の期間を分割した複数の分割期間ごとに抽出されるコンテンツの総数が所定の数を満たすように、分割期間ごとに抽出するコンテンツの数を決定してもよい。言い換えると、抽出部133は、所定の期間を分割した複数の分割期間ごとに抽出される第1コンテンツの総数が所定の数を満たすように、分割期間ごとに抽出する第1コンテンツの数を決定してもよい。例えば、図1の例において、抽出部133は、所定の期間「10日」に抽出するサンプルの総数が「1000」を満たすように、分割期間「1日」ごとに抽出するサンプル数を「100」と決定する。そして、抽出部133は、モデル審査広告に関する情報を広告情報記憶部121から1日ごとに100件抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納する。
【0074】
なお、抽出部133は、分割期間において審査が可能な広告の数に基づいて、分割期間ごとに抽出するサンプル数、並びに、サンプルを抽出する期間を決定してもよい。例えば、分割期間「1日」ごとに審査(例えば、図1のステップS20における目視による審査)が可能な広告の数が「100」であり、必要なサンプル数が「1000」であるものとする。この場合、抽出部133は、分割期間「1日」ごとに抽出するサンプル数を「100」とし、サンプルを抽出する期間を「10日」と決定する。
【0075】
また、抽出部133は、所定の期間において配信されるコンテンツを抽出してもよい。例えば、抽出部133は、広告配信履歴情報記憶部124を参照し、所定の期間においてユーザに表示された広告をサンプルとして抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納する。ここで、図9を用いて、サンプルの抽出処理を説明する。図9は、サンプルの抽出処理の一例を示す図である。なお、図1に示す例では、必要なサンプル数が「1000」であるものとする。」
「【0079】
(算出部134について)
算出部134は、抽出部133が抽出したコンテンツに対する第2審査の結果に基づいて、第1審査の精度を示す指標値を算出する。例えば、算出部134は、コンテンツに対する目視による審査の結果に基づいて、指標値を算出する。
【0080】
続きを表示(全16行)
また、算出部134は、抽出部133が抽出したコンテンツのうち、第1審査における第1審査基準を満たすと判定されたコンテンツであって、第2審査における第2審査基準を満たさないと判定されたコンテンツの総数に対する割合に基づいて、指標値を算出する。例えば、図1の例において、審査部131は、抽出部133は、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査おいて「適切」と分類された広告を、必要なサンプルの数を満たすように広告情報記憶部121から抽出する。そして、算出部134は、抽出部133が抽出した広告のうち、目視による審査において「不適切」と判定された広告の総サンプル数に対する割合を、第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値として算出する。
【0081】
なお、算出部134は、抽出部133が広告配信履歴情報記憶部124からサンプルとして抽出した広告の目視による審査結果に基づいて、指標値を算出してもよい。
【0082】
また、算出部134は、抽出部133が抽出した第2コンテンツのうち、第2審査基準を満たさないと判定された第4コンテンツの第1コンテンツに対する割合と、抽出部133が抽出した第3コンテンツのうち、第2審査基準を満たすと判定された第5コンテンツの第1コンテンツに対する割合とを算出してもよい。すなわち、算出部134は、第1コンテンツに対する第4コンテンツの割合と、第1コンテンツに対する第5コンテンツの割合とを算出する。
【0083】
例えば、図1の例において、算出部134は、抽出部133がモデル審査広告からサンプルとして抽出した広告(第1コンテンツ)のうち、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査おいて「適切」と判定され、目視による審査において「不適切」と判定された広告を偽陰性広告(第4コンテンツ)として特定し、第4コンテンツの第1コンテンツに対する割合を算出する。また、算出部134は、第1コンテンツのうち、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査おいて「不適切」と判定され、目視による審査において「適切」と判定された広告を偽陽性広告(第5コンテンツ)として特定し、第5コンテンツの第1コンテンツに対する割合を算出する。
【0084】
また、算出部134は、第4コンテンツの第1コンテンツの総数に対する割合と、第5コンテンツの第1コンテンツの総数に対する割合とに基づいて、第1審査基準に基づく審査の精度を示す指標値を算出する。例えば、図1の例において、算出部134は、サンプルとして抽出したモデル審査広告の総数に対する偽陰性広告の数の割合と、サンプルとして抽出したモデル審査広告の総数に対する偽陽性広告の割合の数の割合とに基づいて、第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値を算出する。
【0085】
(評価部135について)
評価部135は、コンテンツの配信に関する情報に基づいて、コンテンツを配信する配信サービスを評価する。例えば、評価部135は、第4コンテンツの配信に関する情報と、第5コンテンツの配信に関する情報とに基づいて、第4コンテンツ及び第5コンテンツを配信する配信サービスを評価する。例えば、評価部135は、偽陰性広告及び偽陽性広告に対応付けられて広告情報記憶部121に格納されている情報や、広告配信履歴情報記憶部124に格納されている情報に基づいて、情報処理装置100が提供する配信サービスを評価する。」
「【0090】
(取得部136について)
取得部136は、モデルを用いたコンテンツの審査の後に行われる審査であって、当該コンテンツの目視による審査の結果に関する情報を学習データとして取得する。例えば、取得部136は、目視による審査が行われた広告の審査結果及び当該広告に関する情報を学習データとして取得する。
【0091】
また、取得部136は、モデルを用いた審査において、目視により審査されるべきと判定されたコンテンツの目視による審査の結果に関する情報を学習データとして取得してもよい。例えば、取得部136は、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査において「判別不可」と判定された広告の目視による審査結果及び当該広告に関する情報を学習データとして取得する。
【0092】
また、取得部136は、抽出部133が抽出した第2コンテンツのうち、目視による審査の審査基準を満たさないと判定された第4コンテンツに関する情報と、抽出部133が抽出した第3コンテンツのうち、目視による審査の審査基準を満たすと判定された第5コンテンツに関する情報とを、学習データとして取得してもよい。例えば、取得部136は、偽陰性広告に関する情報及び偽陽性広告に関する情報を学習データとして広告情報記憶部121から取得する。
【0093】
また、取得部136は、第1コンテンツに対する第4コンテンツの割合が所定の閾値以上である場合に第4コンテンツに関する情報を学習データとして取得し、第1コンテンツに対する第5コンテンツの割合が所定の閾値以上である場合に第5コンテンツに関する情報を学習データとして取得する。例えば、取得部136は、算出部134が算出した、サンプルとして抽出した広告(第1コンテンツ)に対する偽陰性広告(第4コンテンツ)割合が所定の閾値以上である場合に偽陰性広告に関する情報を学習データとして広告情報記憶部121から取得する。また、取得部136は、算出部134が算出した第1コンテンツに対する偽陽性広告(第5コンテンツ)割合が所定の閾値以上である場合に偽陽性広告に関する情報を学習データとして広告情報記憶部121から取得する。」
「【0096】
(学習部137について)
学習部137は、取得部136が取得した学習データに基づいてモデルの学習を行う。例えば、学習部137は、取得部136が取得した目視による審査が行われた広告の審査結果及び当該広告に関する情報に基づいて、第1モデル及び第2モデルの学習を行う。
【0097】
また、学習部137は、学習データに基づいて、カテゴリごとにモデルの学習を行ってもよい。例えば、取得部136がカテゴリ「医薬品」に分類される広告に関する情報を取得した場合、学習部137は、当該情報に基づいて、カテゴリ「医薬品」に対応付けられて第1モデル記憶部122及び第2モデル記憶部123に格納されているモデルの学習を行う。
【0098】
また、学習部137は、取得部136が取得した第1学習データ及び第2学習データに基づいて、モデルの学習を行ってもよい。例えば、学習部137は、広告の配信前におけるモデルを用いた審査に関する情報、並びに、広告の配信後におけるモデルを用いた審査に関する情報に基づいて、第1モデル及び第2モデルの学習を行う。
【0099】
また、学習部137は、取得部136が取得した第1学習データ及び第2学習データに基づいて、第1モデル及び第2モデルの学習を行ってもよい。例えば、学習部137は、第1モデルを用いた審査に関する情報、並びに、第2モデルを用いた審査に関する情報に基づいて、第1モデル及び第2モデルの学習を行う。」
「【0107】
図11に示すように、情報処理装置100は、モデルを用いた審査の精度を示す指標値に期待する信頼度に基づいて、サンプルとして抽出する広告の数(サンプル数)、並びに、広告を抽出する期間を決定する(ステップS201)。続いて、情報処理装置100は、モデルの審査基準を満たすと判定された広告、並びに、モデルの審査基準を満たさないと判定された広告を、決定した期間中にサンプル数を満たすように抽出する(ステップS202)。続いて、情報処理装置100は、抽出した広告を審査する(ステップS203)。例えば、情報処理装置100は、抽出した広告に対し、目視による審査を行う。
【0108】
続いて、情報処理装置100は、指標値を算出する(ステップS204)。例えば、情報処理装置100は、モデルの審査基準を満たすと判定された広告のうち、目視による審査基準を満たさない広告(偽陰性広告)のサンプル数に対する割合を算出する。また、情報処理装置100は、モデルの審査基準を満さないと判定された広告のうち、目視による審査基準を満たす広告(偽陽性広告)のサンプル数に対する割合を算出する。そして、情報処理装置100は、算出した割合に基づいて、指標値を算出する。
【0109】
続いて、情報処理装置100は、広告配信サービスを評価する(ステップS205)。例えば、情報処理装置100は、偽陰性広告及び偽陽性広告の配信に関する情報に基づいて、広告配信サービスを評価する。
【0110】
続いて、情報処理装置100は、学習データを取得する(ステップS206)。例えば、情報処理装置100は、偽陰性広告に関する情報、並びに、偽陽性広告に関する情報を学習データとして取得する。続いて、情報処理装置100は、学習データを用いてモデルの学習を行い(ステップS207)、処理を終了する」
「【0115】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、審査部131と、配信部132と、抽出部133と、算出部134と、評価部135と、取得部136と、学習部137とを有する。審査部131は、コンテンツの審査を行う。配信部132は、審査部131によるコンテンツの審査結果に基づいて、コンテンツをユーザに配信する。抽出部133は、第1審査を経たコンテンツから、所定の期間内において抽出されるコンテンツの総数が所定の数を満たすように複数のコンテンツを抽出する。算出部134は、抽出部133が抽出したコンテンツに対する第2審査の結果に基づいて、第1審査の精度を示す指標値を算出する。評価部135は、コンテンツの配信に関する情報に基づいて、コンテンツを配信する配信サービスを評価する。取得部136は、モデルを用いたコンテンツの審査の後に行われる審査であって、当該コンテンツの目視による審査の結果に関する情報を学習データとして取得する。学習部137は、取得部136が取得した学習データに基づいてモデルの学習を行う。」
「【0153】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、例えば、算出部134は、第1コンテンツに対する第4コンテンツの割合と、第1コンテンツに対する第5コンテンツの割合とを算出する。そして、取得部136は、第1コンテンツに対する第4コンテンツの割合が所定の閾値以上である場合に第4コンテンツに関する情報を学習データとして取得し、第1コンテンツに対する第5コンテンツの割合が所定の閾値以上である場合に第5コンテンツに関する情報を学習データとして取得する。」

3 当審の判断

上記2の明細書の発明の詳細な説明の記載によると、以下のことがいえる。

(1)「抽出部133」の動作について

段落【0060】、【0071】~【0074】の記載によると、「抽出部133」は、第1審査を経たコンテンツから、所定の数を満たすように複数のコンテンツを抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納するものであり、また、「第1審査を経たコンテンツ」は、明確に定義されていないものの、段落【0070】の記載からみて、第1モデルを用いた審査において「適切」と判定されたか、第1モデルを用いた審査において「判別不可」と判定され、目視による審査において「適切」と判定されたかして、配信されたコンテンツであると解されるから、「抽出部133」は、第1モデルを用いた審査において「適切」と判定されたか、第1モデルを用いた審査において「判別不可」と判定され、目視による審査において「適切」と判定されたかして、配信されたコンテンツから、所定の数を満たすように複数のコンテンツを抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納するものである。

また、段落【0075】の記載によると、「抽出部133」は、所定の期間において配信されるコンテンツを抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納してもよい。

(2)「算出部134」の動作について

段落【0079】、【0080】の記載によると、「算出部134」は、「抽出部133が抽出したコンテンツに対する第2審査の結果」、例えば、抽出部133が抽出した広告のうち、目視による審査において「不適切」と判定された広告の総サンプル数に対する割合を指標値として算出する。

また、段落【0082】~【0084】の記載によると、「算出部134」は、抽出部133がモデル審査広告からサンプルとして抽出した広告(第1コンテンツ)のうち、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査おいて「適切」と判定され、目視による審査において「不適切」と判定された広告を偽陰性広告(第4コンテンツ)として特定し、第4コンテンツの第1コンテンツに対する割合を算出し、また、第1コンテンツのうち、第1モデルまたは第2モデルを用いた審査おいて「不適切」と判定され、目視による審査において「適切」と判定された広告を偽陽性広告(第5コンテンツ)として特定し、第5コンテンツの第1コンテンツに対する割合を算出して、第1モデル及び第2モデルを用いた審査の精度を示す指標値を算出する。

(3)「取得部136」の動作について

段落【0025】~【0031】、【0090】~【0093】、【0107】~【0110】、【0115】、【0153】の記載によると、情報処理装置100は、第1モデル又は第2モデルを用いた審査において「適切」と判定された広告を、サンプル数を満たすように所定の期間中に抽出してサンプル広告情報記憶部に格納し(段落【0025】、【0026】、【0107】)、サンプル抽出した広告を目視により審査し、広告が「適切」であることを示す情報、又は「不適切」(偽陰性広告)であることを示す情報を広告に対応付けてサンプル広告情報記憶部に格納し(段落【0027】、【0108】)、サンプルとして抽出した広告の総数に対する目視の結果が「不適切」である広告の数の割合を指標値とし算出し(段落【0028】、【0108】)、算出した指標値の値が閾値以上である場合に広告配信サービスの品質低下であると評価する(段落【0028】、【0029】、【0031】、【0109】)。

「取得部136」は、目視の審査の結果である偽陰性広告に関する情報及び偽陽性広告に関する情報を「学習データ」として取得する(段落【0030】、【0090】~【0093】、【0110】)。

(4)「学習部137」の動作について

段落【0096】~【0099】の記載によると、「学習部137」は、「取得部136が取得した学習データに基づいてモデルの学習を行う」。

上記(1)~(4)によると、発明の詳細な説明には、審査されて配信されたコンテンツを抽出部が抽出し、サンプル広告情報記憶部へ記憶(上記(1))したコンテンツの総数と、当該コンテンツに対する目視の審査結果において、偽陰性広告、偽陽性広告と判定されたコンテンツの数とから、「割合」を「指標値」として算出し(上記(2))、取得部は、算出した指標値の値に基づいてモデルを用いた審査の精度を評価し、配信サービスの品質が低下していると評価されると、偽陰性広告、偽陽性広告に関する情報を「学習データ」として取得し(上記(3))、学習部は、取得部が取得した学習データに基づいてモデルの学習を行う(上記(4))、ことが記載されているのであって、「割合」は「取得部が取得」した「学習データ」に基づいて算出されるのではなく、「抽出部が抽出」した「コンテンツ」の総数に基づいて算出されるものであるし、そもそも、「学習データ」は、「割合の算出」後に取得されるものであって、「割合の算出」の基礎として取得されるのではない。また、明細書の他の箇所にもこれに反する記載はない。

したがって、上記1の請求項1の記載において特定された、取得部が取得した「学習データに基づき、」「割合を算出」することは、発明の詳細な説明の段落【0096】~【0099】、【0079】~【0085】には記載されていない。また、発明の詳細な説明の他の箇所にも、請求項1の記載に示された、取得部が取得した「学習データに基づき、」「割合を算出」することは記載されていない。

よって、請求項1に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

第5 特許法第36条第6項第2号について

請求項1について、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に適合するかを、以下に検討する。

1 特許請求の範囲の請求項1の記載について

特許請求の範囲の請求項1には、「コンテンツ」について、

ア 「所定の方法により抽出された配信前のコンテンツ」

イ 「前期第1モデル又は前記目視による審査により配信が適切と判定された配信済のコンテンツ」(当審注:「前期第1モデル」は「前記第1モデル」の誤記である。)

と、記載されている。

2 当審の判断

(1) 上記1イの「配信済の」との用語は「配信」が行われたことを示すのに対し、上記1アの「配信前の」という用語は、配信が予定されているものの未だ配信されていないことを示すことから、上記1アの「配信前のコンテンツ」は、「配信」が予定されているものの未だ配信が行われていない「コンテンツ」であって、そもそも「配信」が予定されていないコンテンツが含まれないものと解される。

そして、上記1イの「配信済のコンテンツ」が「前記第1モデル又は前記目視による審査により配信が適切と判定され」たことで「配信」が行われることからすると、上記アの「所定の方法により抽出された配信前のコンテンツ」は、文言上、「前記第1モデル又は前記目視による審査により配信が適切と判定され」たものの、まだ「配信」が行われていない「コンテンツ」を指していることになる。

そして、この解釈(以下「解釈A」という。)は、請求項1に記載された学習データに係る母集団が第1モデルによる審査の前のもの(入稿されたすべてのコンテンツ)ではなく、第1モデルによる審査とその後の目視による審査の後のもの(入稿されたすべてのコンテンツから、第1モデルによる審査又はその後の目視による審査によって配信が適切と判定されなかったものを除いたもの)となる点で不自然な解釈であることは否めない上、この解釈Aによれば、第1モデルによる審査又はその後の目視による審査によって配信が適切と判定されなかったものを除いたものを「第1モデル」で審査した結果が「学習データとして取得」されて、その「取得した学習データ」に基づいて「第1モデル」と「第2モデル」の学習を行うことになるから、「前記第1モデル又は前記目視による審査により配信が適切と判定され」ることなく配信が予定されていないコンテンツについての審査に係る結果は、「第1モデル」と「第2モデル」の学習のための学習データとして用いられないこととなる。

この点、明細書の段落【0100】~【0103】、図10には、第1モデルによる審査(S102)において審査基準を満たさない場合や第1モデルによる審査により必要とされた目視による審査(S104)の審査基準を満たさない場合における「当該広告」に関する情報を「第1モデル」と「第2モデル」の学習のための学習データとして取得する旨及びこの配信されるものが「審査基準を満たす」ものである旨(上記「当該広告」は配信されるものでない旨)が記載されている。また、明細書には、第1モデルによる審査により必要とされた目視による審査(S104)の審査基準を満たさない場合の審査の結果を第1モデルの学習データとして用いないことについて、記載がなく、このことは当業者において自明な事項でもない。これらを踏まえると、解釈Aは、明細書の記載と整合しない解釈である。

(2) 「配信前のコンテンツ」が「(入稿後)未だ審査がされていないコンテンツ」を指しているとする解釈(以下「解釈B」という。)は、学習データに係る母集団が第1モデルによる審査の前のもの(入稿されたすべてのコンテンツ)となる点で自然な解釈であるとともに、上記1アに示した明細書の記載事項と整合するものの、「配信前のコンテンツ」に配信が予定されていないものが含まれることになり、文言上の矛盾を含む解釈である。

(3) 上記1アの「所定の方法により抽出された」について、上記「第4 3(1)」のとおり、本願明細書では「抽出」を「抽出部133」が行う動作を示す用語として用いており、「抽出部133」は、第1審査を経たコンテンツ、つまり、所定の審査を経て適切と判定されて配信されたコンテンツから、所定の数を満たすように複数のコンテンツを抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納し(段落【0060】、【0071】~【0074】)、また、所定の期間において配信されるコンテンツを抽出し、サンプル広告情報記憶部125に格納する(段落【0075】)ものとして記載されている。

これらの記載を踏まえれば、上記1アにおける「所定の方法により抽出された」の「抽出」は抽出部の動作として、配信されたコンテンツを対象とする趣旨を内在していることになるから、上記1アのコンテンツは、「抽出部133」により抽出されたモデルによる所定の審査を経て配信された、配信済みのコンテンツのことであるとも解釈される(以下「解釈C」という。)。

解釈Cの場合、上記1アのコンテンツは「配信前のコンテンツ」であるとともに「抽出された」ものとして配信後のコンテンツでもあることになり、解釈Bの場合と同様に、文言上矛盾を含むこととなる。

(4) 以上によれば、上記1アの「配信前のコンテンツ」について、解釈Aは、明細書の記載事項と整合しないものであり、解釈Bと解釈Cは、そもそも請求項の記載の上で矛盾を含むものであるから、いずれの解釈を採用すべきか明らかでなく、かつ、いずれの解釈を採用しても、記載が明確であるといえないものである。

そして、「配信前のコンテンツ」についていずれの解釈を採用するかによって、「学習装置」に係る「モデル」の内容を決定づける学習データが異なるものとなり、請求項1に記載された発明が示す技術的範囲が異なることから、第三者に不測の不利益が生じ得るものである。

よって、特許請求の範囲の請求項1の記載は、明確でない。

3 審判請求人の主張について

審判請求人は、当審拒絶理由に対して、令和4年1月20日に提出した意見書において、明細書の段落【0017】~【0037】、【0096】~【0099】、【0079】~【0085】の記載に基づいて、取得部と学習部についての補正により、明確性要件違反を解消したと主張するが、上記2のとおり、「所定の方法により抽出された配信前のコンテンツ」が、入稿後、未だ審査がされていない「コンテンツ」なのか、そうでないのかは、意見書を参酌しても、明確ではない。

この点、当審拒絶理由において、補正前の「配信されていないコンテンツ」の文言について、補正前の文言である「配信されていないコンテンツ」とは、広告主が入稿して未審査の「コンテンツ」であるのか明確でない旨を指摘したことに対し、審判請求人は、補正によって「配信前のコンテンツ」との文言を用いて補正を行ったが、「配信前のコンテンツ」は、広告主が入稿して未審査のコンテンツであるとも、審査を経て配信予定であるが配信されていないコンテンツであるとも解釈できるから、請求項1の記載は依然として明確ではない。

そして、【0017】~【0037】、【0096】~【0099】、【0079】~【0085】を参酌すると、段落【0017】~【0037】には「ステップS11」において、「入稿を受け付け」た後、「ステップS12」において、「第1モデルを用いて配信前広告を審査する」ことが記載されているが、その際、上記1の「所定の方法により抽出」に相当する処理を行うことは記載されておらず、「所定の方法により抽出された配信前のコンテンツ」との記載が、入稿を受け付けたコンテンツであると特定することの根拠とはならないばかりか、上記2のとおり、「配信前のコンテンツ」の意味をより不明確にするものである。また、【0096】~【0099】、【0079】~【0085】については、上記第4 3 (2)、(3)に記載した事項が記載されているが、「所定の方法により抽出された配信前のコンテンツ」について記載したものでないから、「所定の方法により抽出された配信前のコンテンツ」について特定することの根拠とはならない。

第6 むすび

以上のとおりであるから、請求項1について、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

また、請求項1について、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-002661

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