商標拒絶査定不服審判
2021-002230
キナリ
- 審判番号
- 2021-002230
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-133054
- 請求日
- 2021年02月19日
- 審決日
- 2021年11月29日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東レ株式会社
- 【請求人代理人】橘 哲男
- 【請求人代理人】佐藤 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 大森 友子
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W232425)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-133054拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和元年10月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 6月 8日付け:拒絶理由通知
令和2年10月26日付け:意見書、手続補正書の提出
令和2年11月11日付け:拒絶査定
令和3年 2月19日付け:審判請求書の提出
令和3年 9月 7日付け:審尋
令和3年10月20日付け:回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第23類、第24類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第23類「糸」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー,織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,紅白幕,黒白幕,ビリヤードクロス,スリーピングバッグ」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,タンクトップ,ティーシャツ,和服,運動用特殊衣服」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標を構成する「KINARI」及び「きなり」の文字は、その指定商品との関係上、「手を加えてないこと。特に、糸や布地などの、さらさないままのもの。」の意味を有する「生成り」を認識させるものである。
そして、生成りの糸や生地が生産または販売されている実情が認められることから、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、「生成りの糸や生地、または、それらを使用した商品」であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いに照応しない商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審においてした審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、前記1のとおり、令和3年9月7日付けで、別掲2に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記4の審尋に対し、前記1のとおり、令和3年10月20日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張するとともに、その主張を裏付けるものとして、前記1の審判請求書をもって提出した参考資料1ないし参考資料27に加えて、参考資料28ないし参考資料32を提出した。
(1)本願商標は、請求人の創出に係る造語よりなるものである。すなわち、本願商標の由来は、「絹布のすれあう音」を意味する「絹鳴り」を語源とするものであって、本願商標を冠する請求人の製造に係る製品は、天然絹のような上質な光沢等を特長とする新感覚のポリエステル長繊維テキスタイルであり、従来のポリエステルにはない光沢感等に加え、ポリエステル素材が本来持っているイージーケア性も併せ持つものである。
(2)請求人は、「生成り」の語について「さらしていない糸や布。」、「みざらしの天然繊維の色のこと。」の意味合いを有することを争うものではないが、本願商標は欧文字及び平仮名からなるものであるため、これらの文字から直ちに「生成り」の語が想起されるものとはいい難い。上記(1)のとおり、本願商標は請求人製品に使用され、請求人の創出に係る造語であるから、これに接する取引者、需要者は、まず第一に請求人の業務に係る商品であることを想起、認識するものである。このことは、「きなり」の語が、「着形」、「気成り」、「生成り」等の複数の意味合いを有する多義語であって、簡易迅速を尊ぶ取引状況下に置かれている取引者、需要者は、直接的にその意味合いを想起、認識し難い点からも明らかである。また、請求人は、本不服審判の請求の前後において、継続して本願商標を使用しており、その結果、取引者、需要者の間で高い評価、名声を獲得している。
(3)請求人が、別途出願した筆記体調の欧文字からなる「Kinari」は、その登録が認められている(登録第6342496号、参考資料32)。本願商標と該登録商標とは、単なる欧文字及び平仮名の二段表記であるか筆記体調の欧文字表記であるかの差はあるものの、文字商標という点では共通するものである。したがって、本願商標を本願の指定商品に使用する場合であっても自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得ることは明らかである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「KINARI」の欧文字と「きなり」の平仮名とを二段に横書きしてなるものである。
そして、本願の指定商品は、第23類「糸」、第24類「織物」や第25類「洋服」等であるところ、本願商標を構成する上記文字は、その指定商品との関係においては、別掲2(1)に示した「みざらしの、天然繊維の色のこと」、「さらしてない糸や布」の意味を有する「きなり(生成り)」の欧文字表記及び平仮名表記として認識し理解されるものである。
また、本願の指定商品を取り扱う業界においては、別掲2(2)及び(3)に示すように、みざらしの天然繊維の色やそれに近いベージュ系の色の商品、又は、みざらしの特性を有する商品の品質を表す語として、「きなり」の平仮名表記が一般に広く使用されており、また、「KINARI(小文字表記も含む。)」の欧文字表記、あるいは「キナリ」の片仮名表記を用いる場合も少なからずあるというのが実情である。
そこで、上記実情を踏まえて本願商標をみるに、本願商標の構成中、上段の「KINARI」の欧文字は、下段の「きなり」の平仮名を欧文字表記したものと容易に理解、看取されるものであって、いずれも特徴のない一般に用いられる書体をもって表されていることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標について、商品の品質(色、みざらしの特性)を表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は「絹鳴り」を語源とする請求人の創出に係る造語であって、欧文字及び平仮名からなる本願商標から直ちに「生成り」の語が想起されるものとはいい難い旨、また、本願商標に接する需要者等は、第一に請求人の業務に係る商品であると想起、認識する旨主張する。
しかしながら、「KINARI」の欧文字及び「きなり」の平仮名を二段に表してなる本願商標は、その指定商品を取り扱う業界における取引の実情に照らした場合、取引者、需要者により、その構成全体をもって、みざらしの天然繊維の色やそれに近いベージュ系の色の商品、又は、みざらしの特性を有する商品の品質を欧文字表記及び平仮名表記したものと認識されるというべきこと、上記(1)のとおりである。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、筆記体調の欧文字からなる自己の既登録例があることからすれば、本願商標も自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得る旨主張する。
しかしながら、請求人が挙げる既登録例に係る商標は、本願商標とは異なる構成からなるものであり、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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