2021-002212
遊技機
- 審判番号
- 2021-002212
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-072748外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月19日
- 審決日
- 2022年03月16日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三共
- 分類
- P18 .113-WZ (A63F) / P18 .121-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
1 手続の経緯
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本願は、平成30年4月4日の出願であって、令和2年1月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年同月27日付けで更に拒絶の理由(最後)が通知され、同年6月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月16日付けで、同年6月2日付け手続補正書でした補正が却下されるとともに拒絶査定がされた。これに対し令和3年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、これに対して、同年9月21日付けで当審において拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年11月19日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
令和3年11月19日に提出された手続補正書により補正された本願の特許請求の範囲は1及び2からなるところ、それらのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、請求項1に記載された次のとおりのものである(A~Gは、本願発明を分説するため当審で付与した。)。
(本願発明)
「【請求項1】A 遊技が可能な遊技機であって、B 遊技者の動作を検出可能な検出手段と、C 遊技者の動作を促進するときに所定表示を表示し、前記検出手段に遊技者の動作が検出された後、該所定表示を用いた演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、D 前記演出実行手段は、前記所定表示を初期位置に出現表示させた後に、前記検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて前記初期位置に表示中の前記所定表示を移動させる移動演出を実行可能であるとともに、該移動演出により移動した前記所定表示を他の表示に作用させる特定演出を実行可能であり、E 前記他の表示は、前記検出手段に遊技者の動作が検出される前から表示され、F 前記特定演出の実行にもとづいて前記他の表示を該特定演出が実行される前とは異なる態様に変化させることが可能である、G ことを特徴とする遊技機。」
3 拒絶の理由の概要
当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
理由1
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2
(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(サポート要件)について
・請求項 1、2
●理由2(新規性)及び理由3(進歩性)について
・請求項1
・引用文献1
●理由2(新規性)及び理由3(進歩性)について
・請求項2
・引用文献2
<引用文献等一覧>
1.特開2016-10643号公報
2.特開2011-189087号公報
4 引用文献1に記載された事項
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(1)「【0001】本発明は、保留図柄の態様が操作手段の操作によって変化する可能性がある図柄変化演出が実行される遊技機に関する。」
(2)「【図面の簡単な説明】【0017】・・・【図8】操作予告演出を含めた図柄変化演出の一連の流れを順に示した図である。続きを表示(全18行)・・・【発明を実施するための形態】【0018】以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、図1では、遊技機1の枠体、遊技球を発射する発射装置、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は省略している。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。・・・【0020】遊技領域902には、表示装置91(本発明における表示手段に相当する)、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91は、後述する報知演出や選択演出に用いられる。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。・・・【0022】このような遊技機1では、発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。【0023】大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。当否判定結果は、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。その他の構成等は公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。【0024】本実施形態にかかる遊技機1には、上記当否判定手段による判定結果が大当たりであるか否かに基づき、大当たりとなる可能性を報知する図柄変化演出が搭載されている。この図柄変化演出は、上記記憶手段が記憶する当否判定結果の数が、保留図柄10として表示装置91に表示されることを利用したものである。なお、当否判定手法や、各演出の決定手法(どのような演出を実行するか)はどのような構成であってもよく、公知の遊技機と同様の手法を用いることができるため、その説明は省略する。」
(3)「【0031】ここで、本実施形態における操作手段50について説明する。図5および図6に示すように、本実施形態における操作手段50は、遊技機前方右側に設けられた「剣」を模した構造物である。当該「剣」は、略上下方向にスライド自在に設けられており、図示されない付勢部材によって上側に付勢されている。したがって、操作手段50に何の力も作用していないときには、当該付勢部材の付勢力により、最も上方の位置である原位置に位置する。遊技者が付勢部材の付勢力に抗して操作手段50に対して下向きの力を作用させると、操作手段50が下方にスライドする。具体的には、遊技者は、操作手段50である「剣」の「持ち手部分」を握り、下向きの力を加えることで操作手段50を下方にスライドさせる。操作手段50が最も下方の位置である終端位置に到達すると、図示されないセンサによって操作手段50が当該終端位置に到達したことが検出される。つまり、遊技者によって操作手段50が操作されたことが検出される。本実施形態では、遊技機本体に固定された固定部材52に形成された開口521を通るように操作手段50が設けられている。」
(4)「【0037】[操作予告演出を含めた図柄変化演出の一連の流れ]以下、上記操作予告演出を経由する図柄変化演出の流れについて、一部上記説明と重複するが図8に示す具体例をもとに説明する。・・・続きを表示(全13行)【0039】本実施形態では、まず操作予告演出の一部として、所定の保留図柄に向かう光の筋30aのようなものが表示される(図8(b)参照)。当該「所定の保留図柄」は、図柄変化演出を実行する保留図柄10が、次の変動時に位置する箇所の保留図柄10のことである。つまり、現在報知されている当否判定結果が消化されたとき、全ての保留図柄10は一つずつ左にずれていくことになるため、二番目に消化される保留図柄10に対応する当否判定結果について図柄変化演出を実行する場合、操作予告演出は当該二番目に消化される保留図柄10が次の変動時に位置する箇所の保留図柄10、すなわち最も左に位置する保留図柄10に対して行う。・・・【0042】操作予告演出が実行されたときの当否判定結果が報知され、次の当否判定結果の報知に移ると、図柄変化演出が実行される。具体的には、まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さる。その後、剣画像31および時間表示画像32を含む操作示唆画像30と、矢印画像33が表示される(図8(d)参照)。これにより、遊技者は操作手段50を操作すべき(操作することが可能な)タイミングであることを認識することができる。なお、操作示唆画像30表示開始後、操作有効時間に合わせて時間表示画像32のメータ321の目盛を減少させていく。現在報知されている当否判定結果よりも前の当否判定結果が報知されている際に、上記操作予告演出が実行され、それを見た遊技者は近い将来操作手段50を操作するタイミングが訪れることを認識していたはずであるから、操作有効時間が短くとも、当該時間内に操作手段50を操作することが可能となる。【0043】保留図柄10の変化が発生すること(成功演出が実行されること)が決定されていた場合には、操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、保留図柄10が変化する。つまり、本実施形態では、演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化する(図8(e)参照)。保留図柄10の変化が発生しないこと(失敗演出が実行されること)が決定されていた場合には、演出図柄20である「剣」が保留図柄10から外れる。すなわち、保留図柄10は変化しない。【0044】本実施形態における操作手段50は、「剣」を模した構造物であり、保留図柄10に刺さる演出図柄20は当該「剣」である操作手段50を模したものである。そして、保留図柄10の変化が発生する場合には、保留図柄10の態様の変化は、変化する前の保留図柄10とこの図柄に向かって移動する演出図柄20の一体化が成立することによって発生するように構成される。したがって、演出図柄20が操作手段50を模したものであれば、操作手段50を操作することと、演出図柄20と保留図柄10との一体化が成立するかどうかということがリンクする。つまり、表示される演出図柄20を実際に操作して保留図柄10と一体化させたような操作感や満足感を遊技者に与える演出とすることが可能である。」
(5)「【図8】[図:0001384758000001.jpg]」
(6) 「操作予告演出を含めた図柄変化演出の一連の流れを順に示した図である」図8(【0017】)、図柄変化演出が図番91で表示されることが看取される図8、及び【0020】の「表示装置91」との記載より、「一連の図柄変化演出は表示装置91に表示される演出である」ことが導かれる。
そして、上記記載事項(1)~(5)、記載事項及び図面から看取される事項から導かれる事項(6)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~gは、本願発明の構成A~Gに対応させて当審にて付与した。また、引用文献1における引用箇所を付した。)。
(引用発明)
「a 発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射し、遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出され(【0022】)、保留図柄の態様が操作手段の操作によって変化する可能性がある図柄変化演出が実行される遊技機1(【0001】、【0018】)であって、b 遊技機前方右側に設けられた「剣」を模した構造物である操作手段50と、遊技者が操作手段50を下方にスライドさせ、操作手段50が最も下方の位置である終端位置に到達すると、操作手段50が当該終端位置に到達したことを検出するセンサを備え(【0031】)、c~f 表示装置91が設けられ(【0020】)、続きを表示(全13行)大当たりの抽選は、制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行し(【0023】)、上記当否判定手段による判定結果が大当たりであるか否かに基づき、大当たりとなる可能性を報知する図柄変化演出が搭載され(【0024】)、保留図柄10に対応する当否判定結果について図柄変化演出を実行する場合(【0039】)、まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さり、その後、剣画像31および時間表示画像32を含む操作示唆画像30と、矢印画像33が表示され、これにより、遊技者は操作手段50を操作すべき(操作することが可能な)タイミングであることを認識することができ(【0042】)、保留図柄10の変化が発生すること(成功演出が実行されること)が決定されていた場合には、操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化し(【0043】)、保留図柄10の変化が発生する場合には、保留図柄10の態様の変化は、変化する前の保留図柄10とこの図柄に向かって移動する演出図柄20の一体化が成立することによって発生するように構成され(【0044】)、表示される演出図柄20を実際に操作して保留図柄10と一体化させたような操作感や満足感を遊技者に与える演出とすることが可能であり(【0044】)、一連の図柄変化演出は表示装置91に表示される演出である(上記(6))、g 遊技機1(【0018】)。」
5 対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(1)(構成A)
引用発明の構成aの「遊技機1」は、本願発明の構成Aの「遊技機」に相当するとともに、引用発明の構成aの「発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射し、遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出され」る「遊技機1」は、本願発明の構成Aの「遊技が可能な遊技機」に相当する。
してみると、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。
(2)(構成B)
引用発明の構成bの「遊技者が操作手段50を下方にスライドさせ、操作手段50が最も下方の位置である終端位置に到達すると、操作手段50が当該終端位置に到達したことを検出するセンサ」は本願発明の構成Bの「遊技者の動作を検出可能な検出手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。
(3)(構成C)
引用発明の構成c~fの「剣画像31および時間表示画像32を含む操作示唆画像30と、矢印画像33が表示」されるときは、「これにより、遊技者は操作手段50を操作すべき(操作することが可能な)タイミングであることを認識することができ」るのだから、本願発明の構成Cの「遊技者の動作を促進するとき」に相当する。
また、引用発明の構成c~fの「「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さ」っている「演出図柄20である「剣」」の表示は本願発明の構成Cの「所定表示」に相当する。
そして、引用発明の構成c~fでは「まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さり、その後、剣画像31および時間表示画像32を含む操作示唆画像30と、矢印画像33が表示され」るのだから、引用発明の「保留図柄10に突き刺さ」った「演出図柄20である「剣」は、「遊技者の動作を促進するときに」「表示」される「所定表示」に相当するものといえる。
また、引用発明の構成c~fの「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき」、「演出図柄20である「剣」」(所定表示)「の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化」することは、それぞれ本願発明の「検出手段に遊技者の動作が検出された」とき、「所定表示を用いた演出を実行」することに相当するから、引用発明の構成c~fの「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化」することは、本願発明の「検出手段に遊技者の動作が検出された後、該所定表示を用いた演出を実行」することに相当する。
そして、引用発明の遊技機1において、「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化」する演出を実行していることからすれば、引用発明において、演出実行手段を備えて当該演出を実行していることは明らかである。
してみると、引用発明の構成c~fは、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。
(4)(構成D)
ア 本願発明は、「前記演出実行手段は、前記所定表示を初期位置に出現表示させた後に、前記検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて前記初期位置に表示中の前記所定表示を移動させる移動演出を実行可能である」との構成を有している。上記構成によれば、「初期位置」とは「出現表示」された位置ということができる。しかし、本願発明の当該構成中の「出現表示」については、いかに出現するのかその「出現」方法を何ら特定しているわけでもなく、「出現表示」の位置によって特定された「初期位置」について、本願の発明の詳細な説明を参照すると、以下のとおり記載されている(下線は当審で付した。)。
「【0312】(特徴部2SH(第2の実施形態)に関する説明)・・・【0313】続きを表示(全16行)また、第2の実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技者の動作を促進する促進表示を表示可能である。第2の実施形態では、パチンコ遊技機1は、遊技者のボウリング玉型模型2SH31Dに対する操作を促進する促進表示として、ボウリング玉画像表示2SH31D-G(図8-26参照)を表示可能である。【0314】また、第2の実施形態に係るパチンコ遊技機1は、促進表示を表示した後に、検出手段の検出結果に基づいて、該促進表示を他の表示に作用させる特定演出を実行可能である。第2の実施形態では、パチンコ遊技機1は、ボウリング玉画像表示2SH31D-Gを表示した後に、ボウリング玉型模型2SH31Dへの遊技者の操作結果に基づいて、特定演出として、ボウリング玉画像表示2SH31D-Gがピン画像2SHP-G(図8-26参照)を倒すボウリング演出を実行可能である。【0391】図8-26(A)は、ボウリング玉画像表示2SH31D-Gによるボウリング玉操作演出が実行される場面である。なお、図8-26(A)に示した例では、指示メッセージ2SHM2も表示している。また、図8-26(A)に示した例では、ピン画像2SHP-Gも表示している。【0392】(中央操作の場合の演出動作例(1))図8-26(D)→図8-26(E)→図8-27(A)→図8-27(B)→図8-27(C)は、ボウリング玉型模型2SH31Dの中央操作後に実行される演出動作例である。【0393】具体的には、図8-26(D)は、遊技者の中央操作により、ボウリング玉(ボウリング玉画像表示2SH31D-G)がレーン上を真っ直ぐに転がっている場面である。・・・【0393】具体的には、図8-26(D)は、遊技者の中央操作により、ボウリング玉(ボウリング玉画像表示2SH31D-G)がレーン上を真っ直ぐに転がっている場面である。図8-26(E)及び図8-27(A)は、転がるボウリング玉をアップしている場面である。図8-27(B)は、実況内容の表示2SHJPJを含む弱実況演出が実行されている場面である。図8-27(C)は、ボウリング玉がピン(ピン画像2SHP-G)に当たって3本倒れる場面である・・・」
「【図8-26】[図:0001384758000002.jpg]」
発明の詳細な説明の上記記載には、「出現」との記載はないが、発明の詳細な説明の「ボウリング玉画像表示2SH31D-Gによるボウリング玉操作演出が実行される場面」(図8-26(A))におけるボウリング玉の表示が本願発明の「出現表示」に対応し、発明の詳細な説明の「ボウリング玉操作演出が実行される場面」の「ボウリング玉画像表示2SH31D-G」(図8-26(A))の表示位置が本願発明の「初期位置」に対応するものと一応いうことができる。
一方、発明の詳細な説明の「ボウリング玉画像表示2SH31D-Gによるボウリング玉操作演出が実行される場面」(図8-26(A))については、「ボウリング玉画像表示2SH31D-G」が最初にどの位置に表示されたのかなど、どのようにしてレーン上に表示されるに至ったのかについては何も記載されていない。そうすると、本願発明の「前記所定表示を初期位置に出現表示させた後に、・・・移動演出を実行可能」との記載における「出現表示」とは、その場に発生したかの如く最初に視認される表示のことを指しているわけではなく、「移動演出」の前に「所定表示」(ボウリング玉)が「移動」せずに「表示」されたことを指していると解するのが相当であり、本願発明の「初期位置」とは、「移動演出」の前に「所定表示」(ボウリング玉)が「移動」せずに「表示」された位置のことを指していると解するのが相当である。
イ そこで、本願発明の「出現表示」に関する上記理解に基づいて、本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の構成c~fでは、
「まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さり、」「保留図柄10の態様の変化は、変化する前の保留図柄10とこの図柄に向かって移動する演出図柄20の一体化が成立することによって発生する」ものであり、「表示される演出図柄20を実際に操作して保留図柄10と一体化させたような操作感や満足感を遊技者に与える演出とする」ものであるから、「演出図柄20である「剣」」(所定表示)は、「「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さ」った状態で一旦は「停止」することが明らかである。
そうすると、引用発明の構成c~fの「「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さ」って一旦「停止」した状態は本願発明の構成Dの「所定表示を」「出現表示させた」状態ということができるとともに、引用発明の構成c~fの「「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さ」って一旦「停止」した状態における「演出図柄20である「剣」」(所定表示)の位置は、本願発明の構成Dの「初期位置」に相当する。
また、引用発明の構成c~fの「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出された」こと、「演出図柄20」が「変化する前の保留図柄10」「に向かって移動する」ことが、それぞれ本願発明の構成Dの「検出手段に遊技者の動作が検出されたこと」、「初期位置に表示中の前記所定表示を移動させる移動演出」に相当することから、引用発明の構成c~fの
「まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さり、」「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、」「演出図柄20」が「保留図柄10」「に向かって移動する」ことは、本願発明の構成Dの「前記所定表示を初期位置に出現表示させた後に、前記検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて前記初期位置に表示中の前記所定表示を移動させる移動演出を実行」することに相当する。
また、引用発明の構成c~fの「保留図柄10」は本願発明の構成Dの「他の表示」に相当するとともに、引用発明の構成c~fの「演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化」することは本願発明の構成Dの「移動演出により移動した前記所定表示を他の表示に作用させる特定演出を実行」することに相当する。
そして、引用発明の遊技機1において、「表示装置91に表示される演出」である、「まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さり、」「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、」「演出図柄20」が「保留図柄10」「に向かって移動する」演出(前記所定表示を初期位置に出現表示させた後に、前記検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて前記初期位置に表示中の前記所定表示を移動させる移動演出)、及び「演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化」する演出(移動演出により移動した前記所定表示を他の表示に作用させる特定演出)を実行していることからすれば、引用発明において、演出実行手段を備えて当該演出を実行していることは明らかである。
してみると、引用発明の構成c~fは、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。
(5)(構成E)
引用発明の構成c~fでは、「まず演出図柄20である「剣」が保留図柄10に向かって移動する画像が表示されて、当該「剣」の刃21の部分が保留図柄10に突き刺さり、」「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき、演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化」するのだから、「操作有効時間内に操作手段50が操作されたことが検出されたとき」(「検出手段に遊技者の動作が検出される」とき)には、「保留図柄10」(他の表示)はすでに「「剣」の刃21の部分が」「突き刺さ」った状態で表示されていたということができる。
してみると、引用発明の構成c~fは、本願発明の構成Eに相当する構成を有する。
(6)(構成F)
引用発明の構成c~fの「演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10a」は、本願発明の「保留図柄10」(他の表示)の「異なる態様」に相当する。
そして、引用発明では、「演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10aに変化し、」「保留図柄10の態様の変化は、変化する前の保留図柄10とこの図柄に向かって移動する演出図柄20の一体化が成立することによって発生するように構成され」ているのだから、「保留図柄10」(他の表示)を「演出図柄20である「剣」の鍔22の部分のエンブレム221と、エンブレムそのものを模した保留図柄10が一体化された新たな保留図柄10a」(異なる態様)とすることは、「変化する前の保留図柄10と」「移動する演出図柄20の一体化が成立する」こと(「特定演出」を実行すること)にもとづいて変化したものということができる。
してみると、引用発明の構成c~fは、本願発明の構成Fに相当する構成を有する。
(7)(構成G)
引用発明の構成gの「遊技機1」が、本願発明の「遊技機」に相当することは、上記(1)にて説示のとおりである。
してみると、引用発明の構成gは、本願発明の構成Gに相当する構成を有する。
そうすると、本願発明と引用発明とに相違点は存在せず、本願発明は、引用発明である。
仮に本願発明と引用発明に相違点があるとしても、本願発明は、引用発明及び技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 請求人の主張について
(1) 審判請求人は、意見書の「3.本願発明と引用文献との対比」において、以下のとおり主張している。
「補正後の請求項1の発明(以下、本願第1発明という)は、主要な特徴として、「遊技者の動作を促進するときに所定表示を表示し、検出手段に遊技者の動作が検出された後、該所定表示を用いた演出を実行可能であり、所定表示を初期位置に出現表示させた後に、検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて初期位置に表示中の所定表示を移動させる移動演出を実行可能であるとともに、該移動演出により移動した所定表示を他の表示に作用させる特定演出を実行可能である」という特徴(以下、特徴Aという)を有するものです。これに対して、引用文献1は、特徴Aについて開示及び示唆するものではありません。具体的には、引用文献1では、「剣」の演出図柄20(所定表示)は、初期位置(図8(c)ご参照)に出現表示された後、遊技者が操作を行う前に初期位置から移動するものであるため、「検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて初期位置に表示中の所定表示を移動させる移動演出を実行可能」なものではありません。なお、引用文献1において、仮に、「剣」が保留に刺さった後に、遊技者の操作に基づいて剣が更に移動する(深く刺さる)と捉えたとしても、このときの「剣」の移動は、出現位置(初期位置)からの移動ではないため、出現位置(初期位置)に表示中の所定表示を移動させる移動演出に相当するものではありません。このため、引用文献1は、特徴Aについて開示及び示唆するものではありません。また、本願第1発明は、特徴Aを有することにより、所定表示は、遊技者の動作が促進されるときに初期位置に表示されるので、遊技者が動作を行うときに該所定表示に注目させることができ、かつ、遊技者が動作を行ったことに基づいて、初期位置に出現した所定表示が移動するので、遊技者が動作を行う前(動作促進のとき)に注目させた所定表示が遊技者の動作によって移動を開始したことを強く印象付けることができるので、その後、移動した所定表示が他の表示に作用するまで継続的に所定表示の動向に注目させることができるという効果が期待されます。これに対して、引用文献1では、遊技者の動作にかかわらず「剣」(所定表示)が初期位置から移動するので、遊技者の動作によって所定表示が移動を開始したという印象を与えることができず、上記効果が期待されるものではありません。」
しかし、本願発明の「前記所定表示を初期位置に出現表示させた後に、・・・移動演出を実行可能」との記載における「出現表示」とは、その場に発生したかの如く最初に視認される表示されることを指しているわけではなく、「移動演出」の前に「所定表示」(ボウリング玉)が「移動」せずに「表示」されたことを指していると解するのが相当であり、本願発明の「初期位置」とは、「移動演出」の前に「所定表示」(ボウリング玉)が「移動」せずに「表示」された位置のことを指していると解するのが相当であることは上記「5 対比」「(4)(構成D)」アにて説示のとおりである。
そして、上記理解は意見書における「また、本願第1発明は、特徴Aを有することにより、所定表示は、遊技者の動作が促進されるときに初期位置に表示されるので、遊技者が動作を行うときに該所定表示に注目させることができ、かつ、遊技者が動作を行ったことに基づいて、初期位置に出現した所定表示が移動するので、遊技者が動作を行う前(動作促進のとき)に注目させた所定表示が遊技者の動作によって移動を開始したことを強く印象付けることができるので、その後、移動した所定表示が他の表示に作用するまで継続的に所定表示の動向に注目させることができるという効果が期待されます。」との作用効果の主張を参照してみても、「初期位置」とは、遊技者が動作を行う前(動作促進のとき)に注目させる位置のことであって、遊技者の動作によって移動を開始したことを強く印象付けることができる位置のことというべきであり、その場に発生したかの如く最初に視認される位置のことを指しているなどと解するべきではない。
してみると、意見書の「引用文献1では、「剣」の演出図柄20(所定表示)は、初期位置(図8(c)ご参照)に出現表示された後、遊技者が操作を行う前に初期位置から移動するものであるため、「検出手段に遊技者の動作が検出されたことにもとづいて初期位置に表示中の所定表示を移動させる移動演出を実行可能」なものではありません。」及び「引用文献1において、仮に、「剣」が保留に刺さった後に、遊技者の操作に基づいて剣が更に移動する(深く刺さる)と捉えたとしても、このときの「剣」の移動は、出現位置(初期位置)からの移動ではないため、出現位置(初期位置)に表示中の所定表示を移動させる移動演出に相当するものではありません。」との主張を採用して、本願について特許をすべきものとする審決をすることはできない。
そして、引用文献1の【0044】に記載の
「表示される演出図柄20を実際に操作して保留図柄10と一体化させたような操作感や満足感を遊技者に与える演出とすることが可能である」との作用効果は、意見書において審判請求人が主張する「遊技者が動作を行う前(動作促進のとき)に注目させた所定表示が遊技者の動作によって移動を開始したことを強く印象付けることができるので、その後、移動した所定表示が他の表示に作用するまで継続的に所定表示の動向に注目させることができる」という効果と実質的に同じ作用効果といえる。
してみると、審判請求人の上記主張を採用して、本願について特許をすべきものとする審決をすることはできない。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1以外の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、仮に本願発明と引用発明に相違点があるとしても、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-002212