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特許拒絶査定不服審判

2021-001809

液体吐出装置

審判番号
2021-001809
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-063320外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月09日
審決日
2022年04月26日
公報発行日
2022年05月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B41J) / P18 .537-WY (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2016- 63320「液体吐出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日出願公開、特開2016-193597、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年3月28日(優先権主張平成27年3月31日)を出願日とする出願であって、令和1年12月24日付けで拒絶理由が通知され、令和2年4月24日に手続補正書及び意見書が提出され、同年9月10日付けで拒絶理由が通知され、同年11月10日に手続補正書及び意見書が提出され、同年11月11日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、令和3年2月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和3年10月27日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月21日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 1.本願発明の内容 本願の請求項1乃至10に係る発明(以下、「本願発明1」乃至「本願発明10」という。)は、令和3年12月21日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 液体を吐出するための吐出口を有する液体吐出ヘッドと、 前記吐出口と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送するための搬送機構と、 凹部を有するキャップと、 前記吐出口を覆うように前記キャップが前記液体吐出ヘッドに当接して前記凹部の内部空間と大気との連通が遮断された遮断状態と、前記凹部の内部空間を大気に連通させる連通状態とを選択する選択機構と、 廃液タンクと、 前記キャップと前記廃液タンクを繋ぐ接続流路と、 前記接続流路の途中部位に設けられたポンプと、 前記選択機構及び前記ポンプを制御する制御部とを備えており、 前記制御部は、前記液体吐出ヘッドによる記録媒体への画像記録が行われない期間内に、前記遮断状態で前記ポンプを駆動させて前記内部空間を減圧し、前記吐出口から前記内部空間へと液体を排出させる液体吸引動作と、前記液体吸引動作の後に、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第1液体排出動作とを所定周期で繰り返して行う吸引処理と、 前回と今回の連続した2つの前記吸引処理の間において、前回行われた前記吸引処理の終了時点から前記キャップに残存する液体が前記接続流路に到達するまでの時間である到達時間が経過するまでは、前記液体吸引動作をさせず、前記終了時点から前記到達時間経過後であって、前記終了時点から液体の粘度上昇により前記ポンプで前記接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間が経過するまでに、前記液体吸引動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第2液体排出動作のみを複数回行う液体排出処理と、を実行することを特徴とする液体吐出装置。 【請求項2】 温度センサと、 前記接続流路の水蒸気透過係数、前記接続流路の肉厚、液体の蒸発率と液体粘度との関係を示すデータ、及び、液体粘度の閾値に基づいて算出された前記流動不可時間に関する情報を記憶する記憶部とをさらに備えており、 前記制御部は、 前記温度センサによる温度値と、前記記憶部が記憶する前記情報とに基づいて、前回と今回の連続した2つの前記吸引処理の間において、前回行われた前記吸引処理から1回目に行われる第2液体排出動作が実行されるまでの経過時間と、1回目に行われる第2液体排出動作から2回目に行われる第2液体排出動作が実行されるまでの経過時間とを決定することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 【請求項3】 前記制御部は、 前回と今回の連続した2つの前記吸引処理の間において、複数の前記第2液体排出動作を実行し、 前記複数の前記第2液体排出動作のうち、最後に行われる前記第2液体排出動作を、当該2つの前記吸引処理のうちの今回の吸引処理の開始時点から遡った所定時間内に実行するよう制御し、 前記所定時間は、複数の前記第2液体排出動作のうち、連続した2つの前記第2液体排出動作の間隔のうち最も短いものよりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。 【請求項4】 前記制御部は、前回と今回の連続した2つの前記吸引処理の間において、1回目の第2液体排出動作および2回目の第2液体排出動作の複数の前記第2液体排出動作を実行し、前回と今回の連続した2つの前記吸引処理のうち前回行われた前記吸引処理から前記1回目の第2液体排出動作までの時間よりも、前記1回目の第2液体排出動作から前記2回目の第2液体排出動作までの時間を長くすることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 【請求項5】 前記制御部は、 前記吸引処理における前記第1液体排出動作を、前記液体吸引動作の終了時点から所定時間内に実行し、 前記液体排出処理において、複数の前記第2液体排出動作を実行し、 前記所定時間は、前記液体排出処理における連続した2つの前記第2液体排出動作の間隔のうち最も短いものよりも短いことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 【請求項6】 前記制御部は、前記液体排出処理において、前記第2液体排出動作で駆動される前記ポンプの回転速度が前記吸引処理の前記第1液体排出動作で駆動される前記ポンプの回転速度よりも遅い回転速度となるように前記ポンプを駆動することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 【請求項7】 前記制御部は、前記液体排出処理において、複数の前記第2液体排出動作を実行し、前記第2液体排出動作を実行する際の前記ポンプの回転速度は同じで、前記第2液体排出動作の実行が後になるものほど、前記ポンプの駆動時間を短くすることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 【請求項8】 液体を吐出するための吐出口を有するヘッド本体と、前記ヘッド本体に液体を供給するための供給流路及び前記供給流路内の気泡を貯留する気泡貯留部を有するサブタンクと、前記気泡貯留部に連通し気泡と共に液体を排出可能な排出口を有する連通路とを有する液体吐出ヘッドと、 前記吐出口と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送するための搬送機構と、 凹部を有するキャップと、 前記排出口を覆うように前記キャップが前記液体吐出ヘッドに当接して前記凹部の内部空間と大気との連通を遮断する遮断状態と、前記凹部の内部空間を大気に連通させる連通状態とを選択する選択機構と、 廃液タンクと、 前記キャップと前記廃液タンクを繋ぐ接続流路と、 前記接続流路の途中部位に設けられたポンプと、 前記選択機構及び前記ポンプを制御する制御部とを備えており、 前記制御部は、前記液体吐出ヘッドによる記録媒体への画像記録が行われない期間内に、前記遮断状態で前記ポンプを駆動させて前記内部空間を減圧し、前記排出口から前記内部空間へ気泡と共に液体を排出させる排気動作と、前記排気動作の後に前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第1液体排出動作とを所定周期で繰り返して行う排気処理と、 前回と今回の連続した2つの前記排気処理の間において、前回行われた前記排気処理の終了時点から前記キャップに残存する液体が前記接続流路に到達するまでの時間である到達時間が経過するまでは、前記排気動作をさせず、前記終了時点から前記到達時間経過後であって、前記終了時点から液体の粘度上昇により前記ポンプで前記接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間が経過するまでに、前記排気動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第2液体排出動作のみを少なくとも1回行う液体排出処理と、を実行することを特徴とする液体吐出装置。 【請求項9】 吐出口を有する液体吐出ヘッドと、 前記吐出口を覆うために前記液体吐出ヘッドと接離可能に構成され、前記液体吐出ヘッドと当接したときに前記液体吐出ヘッドと共に内部空間を形成する凹部を有するキャップと、 前記キャップを前記液体吐出ヘッドに当接させて前記内部空間が前記キャップの外部と繋がらない第1状態と、前記キャップを前記液体吐出ヘッドに当接させた状態で前記キャップと外部とを連通させる連通路を介して前記内部空間を大気連通させる、若しくは、前記キャップを前記液体吐出ヘッドから離間させて前記凹部を露出させる、第2状態と、を選択する選択機構と、 廃液タンクと、 ポンプと、 前記キャップと前記ポンプとを連通させる第1接続流路と、 前記廃液タンクと前記ポンプとを連通させる第2接続流路と、 タイマーと、 制御装置と、を備え、 前記制御装置は、 前記選択機構を制御して前記第1状態を選択し、前記ポンプを制御して前記吐出口から前記内部空間へ液体を排出させる液体吸引動作と、前記液体吸引動作の後に、前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記ポンプを制御して前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ、前記内部空間の液体、若しくは、前記凹部内の液体を前記廃液タンクへ排出させる第1排出動作とを、所定周期で繰り返し行う定期メンテナンス処理を実行するものであり、 前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から第1時間を経過した場合に、前記定期メンテナンス処理を実行し、 前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第1時間を経過していないが、前記第1時間よりも短く前記前回の定期メンテナンス処理の完了から前記キャップに残存する液体が前記第1接続流路に到達するまでの時間である到達時間よりも長く、液体の粘度上昇により前記ポンプで前記第1流路内の液体を流動させることができない流動不可時間より短い第2時間を経過した場合には、前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ前記第1接続流路の液体を前記廃液タンクへ排出する第2排出動作のみを実行することを特徴とする液体吐出装置。 【請求項10】 前記制御装置は、 前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第1時間が経過しているか否かを検出し、 さらに、前記制御装置は、 前記タイマーにより計時される時間が前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第1時間を経過していないことを検出した場合には、前記タイマーにより計時される時間が前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第2時間を経過しているか否かを検出することを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。」 第3 原査定の概要 原査定(令和2年11月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 令和2年11月10日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1、3ないし7、9、10に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、請求項2ないし7に係る発明は、引用文献1、2に基づいて、請求項8に係る発明は、引用文献1、3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2015-30174号公報 引用文献2.特開2007-152926号公報 引用文献3.特開2007-331269号公報 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用され、本願の出願日前である平成27年2月16日に頒布された刊行物である特開2015-30174号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。 【背景技術】 【0002】 液体吐出装置の一例として特許文献1に記載のインク吐出装置では、インク吐出ヘッド内の増粘したインクや、インクに混入した気泡等を排出するためのメンテナンス処理を実行している。メンテナンス処理では、まず、ノズルキャップにノズル形成面を覆わせた状態で、吸引ポンプを駆動させることで、ノズルから、インク吐出ヘッド内の増粘したインクや、インクに混入したインクなどを排出させるパージ動作が行われる。パージ動作が完了すると、ノズルキャップ内の圧力がある程度上昇するまでノズルキャップにノズル形成面を覆わせた状態で待機した後に、ノズルキャップによりノズル形成面を覆わせない状態で、吸引ポンプを駆動させることにより、ノズルキャップに残留していたインクを排出させるワイプ前空吸引が行われる。 【0003】 次に、ワイパによりノズル形成面に付着したインクを拭き取るワイプ動作が行われ、続いて、ノズルからノズルキャップにインクを吐出させる混色防止フラッシング動作が行われる。混色防止フラッシング動作が完了すると、吸引ポンプが駆動されることにより、ノズルキャップ内のインクを排出させるキャッピング前空吸引が行われる。そして、キャッピング前空吸引が完了した後に、ノズル形成面がノズルキャップに覆われる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2011-51105号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ここで、特許文献1では、パージ動作によって排出されるインクの量は比較的多いため、パージ動作後には、ノズルキャップに比較的多量のインクが溜まっている。したがって、この後、吸引ポンプを駆動してワイプ前空吸引を行わせれば、ノズルキャップ内に残留したインクを排出させることができる。 【0006】 これに対して、混色防止フラッシング動作によって排出されるインクの量は、パージ動作によって排出されるインクの量に比べて少ないため、混色防止フラッシング後には、ノズルキャップ内にそれほど多くのインクは溜まっていない。そのため、混色防止フラッシング後に、吸引ポンプを駆動させてキャッピング前空吸引を行わせたときに、ノズルキャップの吸引ポンプとの接続口が空気とつながってしまい、ノズルキャップ内のインクを排出することができない虞がある。ノズルキャップにインクが残ってしまうと、インクがノズルキャップ内で固化し、固化したインクがノズル形成面に接触してノズルを傷つけるなどの問題が生じる虞がある。 【0007】 本発明の目的は、フラッシングによってキャップに排出された液体を、フラッシング後に確実にキャップから排出させることが可能な液体吐出装置を提供することである。」 イ 「【0013】 図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1(本発明の「液体吐出装置」)は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(本発明の「液体吐出ヘッド」)、2つの搬送ローラ4、ノズルキャップ5、吸引ポンプ6、廃液タンク7、切換装置8、ワイパ9等を備えている。」 ウ 「【0015】 インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、その下面であるノズル面3a(図2参照)に形成された複数のノズル15からインクを吐出させる。複数のノズル15は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列16を形成しており、ノズル面3aには、4つのノズル列16が、走査方向に配列されている。複数のノズル15からは、右側のノズル列16を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。すなわち、本実施の形態では、最も右側のノズル列16を形成する、ブラックのインクを吐出するノズル15が本発明に係る第1ノズル及びブラックノズルに相当する。また、左側3列のノズル列16を形成する、カラー(イエロー、シアン、マゼンタ)のインクを吐出するノズル15が、本発明に係る第2ノズル及びカラーノズルに相当する。」 エ 「【0016】 2つの搬送ローラ4は、走査方向を軸方向とするローラであり、キャリッジ2の搬送方向の上流側及び下流側に配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。」 オ 「【0017】 ノズルキャップ5は、図1、図2に示すように、キャリッジ2がほぼ最大限右側に移動した状態で、ノズル面3aと対向するように配置されている。ノズルキャップ5は、2つのインク受け部5a、5b(本発明の「液体受け部」)を有している。インク受け部5a(本発明の「ブラックインク受け部」)は、上面が開口しており、ノズルキャップ5とノズル面3aとが対向している状態で、最も右側のノズル列16を形成するブラックのインクを吐出する複数のノズル15と対向している。インク受け部5b(本発明の「カラーインク受け部」)は、上面が開口しているとともにインク受け部5aと隔てられ、ノズルキャップ5とノズル面3aとが対向している状態で、左側の3つのノズル列16を形成するカラー(イエロー、シアン、マゼンタ)のインクを吐出する複数のノズル15と対向している。 【0018】 また、ノズルキャップ5は、昇降機構21(本発明の「移動手段」)によって昇降可能となっている。そして、ノズルキャップ5は、図2(a)に示すように、ノズル面3aとが対向している状態で、昇降機構21によって上昇されると、ノズル面3aに密着する。これにより、複数のノズル15が、ノズルキャップ5に覆われる(本発明の「キャッピング位置」に位置する)。このとき、ノズル面3aの最も右側のノズル列16が配置された部分によってインク受け部5aの上面の開口が塞がれ、ノズル面3aの左側3列のノズル列16が配置された部分によって、インク受け部5bの上面の開口が塞がれる。また、ノズルキャップ5は、図2(b)に示すように、昇降機構21によって降下されると、ノズル面3aから離れる(本発明の「アンキャッピング位置」に位置する)。すなわち、昇降機構21は、ノズルキャップ5を昇降させることにより、ノズルキャップ5を、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動させる。なお、図2(a)、(b)では、ノズルキャップ5を図1のA-A線断面で図示している。」 カ 「【0020】 また、インク受け部5a、5bの搬送方向の下流側の端部には、それぞれ、吸引口26a、26b(本発明の「第1接続口」)が形成されている。吸引口26a、26bは、それぞれ、チューブ22a、22bを介して吸引ポンプ6と接続されている。吸引ポンプ6は、チューブポンプなどであり、チューブ22a、22bと反対側において、廃液タンク7と接続されている。また、インク受け部5a、5bの搬送方向の上流側の端部には、それぞれ、大気連通口27a、27b(本発明の「第2接続口」)が形成されている。大気連通口27a、27bは、それぞれ、チューブ23a、23b(本発明の「大気連通流路」)を介して大気に連通している。」 キ 「【0024】 次に、プリンタ1の動作について説明する。プリンタ1では、制御装置50の制御により、記録用紙Pに記録を行わせるための記録処理、インクジェットヘッド3をメンテナンスするためのメンテナンス処理等を行わせることができるようになっている。」 ク 「【0026】 メンテナンス処理は、定期的に、あるいは、ユーザがプリンタ1の図示しない操作パネルを操作して指示したとき等に実行される。メンテナンス処理は、図5に示すフローに沿って行われる。図5に示すように、メンテナンス処理では、まず、パージ処理を実行する(ステップS101)。なお、以下では、「ステップS101」を単に「S101」とするなど、「ステップ」を省略する。 【0027】 パージ処理では、図6に示すように、まず、ノズル面3aがノズルキャップ5と対向する位置までキャリッジ2を移動させるとともに、昇降機構21によりノズルキャップ5をキャッピング位置まで上昇させることによって、ノズルキャップ5にノズル面3aを覆わせる。すなわち、ノズルキャップ5にノズル面3aをキャッピングさせる(S201)。また、切換装置8にインク受け部5aと大気との連通を遮断させる(S202)。また、切換装置8に、インク受け部5aと吸引ポンプ6とを接続させるとともに、インク受け部5bと吸引ポンプ6との接続を遮断させる(S203)。なお、S201~S203の処理はどのような順序で行ってもよいし、並行して行ってもよい。 【0028】 次に、吸引ポンプ6を回転速度V0で駆動する(S204)。すると、インク受け部5a、チューブ22a、23a内の気圧が低下し、図7(a)に示すように、複数のノズル15からインクジェットヘッド3内のブラックインクが排出される。排出されたブラックインクは、廃液タンク7に貯留される。そして、所定時間が経過するまで(S205:NO)吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに(S205:YES)吸引ポンプ6を停止させ(S206)、図5のフローに戻る。」 ケ 「【0032】 パージ処理が完了した後には、続けてアンキャッピング空吸引処理を実行する(S102)。アンキャッピング空吸引処理では、図8に示すように、まず、ノズルキャップ5をアンキャッピング位置に配置させる(S301)。また、切換装置8に、インク受け部5aと大気との連通を遮断させる(S302)。また、切換装置8に、インク受け部5aと吸引ポンプ6とを接続させるとともに、インク受け部5bと吸引ポンプ6との接続を遮断させる(S303)。」 コ 「【0034】 次に、吸引ポンプ6を回転速度V1で駆動する(S304)。これにより、インク受け部5aに溜まったインクが、チューブ22aを介して排出される。ここで、回転速度V1は比較的速い速度である。このとき、ノズルキャップ5がアンキャッピング位置に配置し、インク受け部5aの上面が開口しているため、この開口から十分に空気が取り込まれることにより、インク受け部5aに溜まったインクを効率よく排出させることができる。さらに、このとき、ノズルキャップ5がアンキャッピング位置に配置しており、ノズル15がノズルキャップ5に覆われていないため、吸引ポンプ6を速い回転速度V1で駆動して、吸引ポンプ6の吸引力を大きくしても、ノズル15内のインクのメニスカスが破壊されることはない。また、このとき、インク受け部5aと大気との連通が遮断されているため、チューブ23aに溜まったインクは排出されずにチューブ23aに残ったままとなる。」 サ 「【0036】 そして、所定時間が経過するまで(S305:NO)吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに(S305:YES)吸引ポンプ6を停止させ(S306)、図5のフローに戻る。」 シ 「【0039】 S102のアンキャッピング空吸引処理が完了した後には、続けてワイピング処理を実行する(S103)。ワイピング処理では、図10に示すように、昇降機構24によりワイパ9を上昇させた状態で、キャリッジ2を、ワイパ9と上下方向に重なる範囲を含む所定範囲で走査方向に移動させる。これにより、ワイパ本体31の上端がノズル面3aに接触した状態で、キャリッジ2が走査方向に移動し、ノズル面3aに付着したインクが拭き取られる。 【0040】 ワイピング処理が完了した後には、続けてフラッシング処理を実行する(S104)。フラッシング処理では、図11に示すように、ノズルキャップ5をキャッピング位置に配置させた状態で、ノズル15からインクを吐出させる。S103のワイピング処理では、ノズル面3aに付着したインクが、別の色のインクを吐出するノズル15内に流れ込み、当該ノズル15内でインクの混色が生じることがある。S104のフラッシング処理では、ノズル15からインクを吐出させることで、ノズル15内の混色したインクを排出させる。」 ス 「【0042】 S104のフラッシング処理が完了した後には、キャッピング空吸引処理によって、インク受け部5aに溜まったブラックインクを排出させる(S105)。S105のキャッピング空吸引処理では、図12に示すように、まず、ノズルキャップ5をキャッピング位置に配置させ(S401)、切換装置8によりインク受け部5aと大気とを連通させ(S402)、インク受け部5aと吸引ポンプ6とを接続させる(S403)。」 セ 「【0044】 次に、吸引ポンプ6を回転速度V2(<V1)で駆動する(S404)。これにより、S102のアンキャッピング空吸引処理において、チューブ23a内に残したインクが、インク受け部5aに流れ込み、インク受け部5aに溜まったインクが、チューブ23aからインク受け部5aに流れ込んだインクとともに排出される。」 ソ 「【0048】 そして、所定時間が経過するまで(S405:NO)吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに(S405:YES)吸引ポンプ6を停止させ(S406)、図3のフローに戻る。」 タ 図1より、記録用紙Pにノズル15を備えるインクジェットヘッド3が対向し、当該インクジェットヘッド3の記録用紙P搬送方向の上流及び下流に搬送ローラ4が配置されていることが看取できるところ、上記エ及び図1より、搬送ローラ4は、ノズル15と対向する位置を通過するように記録用紙Pを搬送するものであると認められる。 チ 図2より、インク受け部5aは凹形状であることが看取できる。 ツ 図2より、吸引ポンプ6と廃液タンク7とは、流路によって繋がれていることが看取できる。 (2)引用発明1 したがって、上記(1)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「インクジェットヘッド3、2つの搬送ローラ4、ノズルキャップ5、吸引ポンプ6、廃液タンク7を備え、 インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、その下面であるノズル面3aに形成された複数のノズル15からインクを吐出させ、 2つの搬送ローラ4は、走査方向を軸方向とするローラであり、キャリッジ2の搬送方向の上流側及び下流側に配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送し、 ノズルキャップ5は、2つのインク受け部5a、5bを有し、 ノズルキャップ5は、昇降機構21によって昇降可能となっており、 昇降機構21は、ノズルキャップ5を昇降させることにより、ノズルキャップ5を、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動させ、 インク受け部5a、5bの搬送方向の下流側の端部には、それぞれ、吸引口26a、26bが形成されており、吸引口26a、26bは、それぞれ、チューブ22a、22bを介して吸引ポンプ6と接続されており、吸引ポンプ6は、チューブ22a、22bと反対側において、廃液タンク7と接続されており、 制御装置50の制御により、記録用紙Pに記録を行わせるための記録処理、インクジェットヘッド3をメンテナンスするためのメンテナンス処理等を行わせることができるようになっており、 メンテナンス処理は、定期的に実行され、 メンテナンス処理では、 ノズル面3aがノズルキャップ5と対向する位置までキャリッジ2を移動させるとともに、昇降機構21によりノズルキャップ5をキャッピング位置まで上昇させることによって、ノズルキャップ5にノズル面3aを覆わせ、ノズルキャップ5にノズル面3aをキャッピングさせ、インク受け部5aと大気との連通を遮断させ、 吸引ポンプ6を回転速度V0で駆動させ、 インク受け部5a、チューブ22a、23a内の気圧が低下し複数のノズル15からインクジェットヘッド3内のブラックインクが排出され、 排出されたブラックインクは、廃液タンク7に貯留され、 所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるパージ処理が実行され、 パージ処理が完了した後には、 ノズルキャップ5をアンキャッピング位置に配置させ、 吸引ポンプ6を回転速度V1で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが、チューブ22aを介して排出され、 所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるアンキャッピング空吸引処理を実行し、 アンキャッピング空吸引処理が完了した後には、続けてワイピング処理を実行し、 ワイピング処理が完了した後には、フラッシング処理を実行し、 フラッシング処理が完了した後には、 ノズルキャップ5をキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V2(<V1)で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させる キャッピング空吸引処理が実行され、 搬送ローラ4は、ノズル15と対向する位置を通過するように記録用紙Pを搬送するものであり、 インク受け部5aは凹形状であり、 吸引ポンプ6と廃液タンク7とは、流路によって繋がれている プリンタ1。」 2.引用文献3について (1)引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用文献3として引用され、本願の出願日前である平成19年12月27日に頒布された刊行物である特開2007-331269号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ノズルからインクを噴射するインク噴射部と、そのインク噴射部にインクを供給するインク流路で発生した気泡を除去するための排気キャップと、を備えたインクジェットプリンタに対し、上記排気キャップ内に排出されたインクを吸引するインクジェットプリンタ用排気キャップの空吸引方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、本体フレームに移動可能に設けられ、ノズルからインクを噴射するインク噴射部を複数搭載したキャリッジと、上記各インク噴射部にそれぞれ供給されるインクを蓄える複数のインクタンクと、該各インクタンクから上記各インク噴射部にそれぞれインクを供給する複数のインク流路とを備えたインクジェットプリンタが考えられている。この種のインクジェットプリンタでは、上記複数のインクタンクにそれぞれ異なる色のインクを蓄えておき、各インク流路を介して各インク噴射部にそれぞれ供給して噴射することにより、カラー画像を記録することができる。 【0003】 また、本願出願人は、この種のインクジェットプリンタにおいて、上記キャリッジに設けられ、上記各インク流路で発生する気泡をそれぞれ貯留する複数の気泡貯留室と、上記キャリッジに設けられ、上記各気泡貯留室にそれぞれ連通する複数の排出路と、該各排出路にそれぞれ設けられた複数の常閉式の開閉弁と、上記本体フレームに設けられ、上記各開閉弁をそれぞれ開閉する複数の棒状の開閉部材と、上記本体フレームに設けられ、上記各開閉部材が摺動可能に挿通され、上記キャリッジに対し上記排出路の排出口を塞ぐように密着可能とされ、密着状態では上記排出口に連なる気密空間を形成する排気キャップと、を設けることを提案している(例えば、特許文献1参照)。 【0004】 このような構成を採用することで、各インク流路で発生した気泡は各気泡貯留室に一旦貯留され、開閉部材によって開閉弁が開かれると、排気キャップ内の気密空間に上記気泡が排出される。このため、インク流路で発生した気泡を良好に除去して、インクジェットプリンタの記録品質を良好に維持することができる。また、各気泡貯留室に貯留された気泡は、外気へ直接排出されるのではなく、排気キャップによって形成された気密空間に排出されるため、気泡貯留室への大気の侵入を防止して、インク流路内の気泡を一層良好に除去することができる。 【0005】 更に、上記のように気泡を除去する際、排気キャップ内には、気泡と共にインク流路内のインクも排出される。そこで、本願出願人は、上記特許文献1において、気泡の除去後に排気キャップを空吸引して、排気キャップ内に排出されたインクを吸引除去することを提案している。 【特許文献1】特開2005-246928号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところが、インクはある程度の粘性を有するため、単純に空吸引を行っても排気キャップ内に付着したインクが除去できない場合がある。そこで、本発明は、インクジェットプリンタ用排気キャップの空吸引方法において、その空吸引を効率的に行って排気キャップ内にインクが残留するのを良好に抑制することを目的としてなされた。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記目的を達するためになされた本発明は、本体フレームに移動可能に設けられ、ノズルからインクを噴射するインク噴射部を複数搭載したキャリッジと、上記各インク噴射部にそれぞれ供給されるインクを蓄える複数のインクタンクと、該各インクタンクから上記各インク噴射部にそれぞれインクを供給する複数のインク流路と、上記キャリッジに設けられ、上記各インク流路で発生する気泡をそれぞれ貯留する複数の気泡貯留室と、上記キャリッジに設けられ、上記各気泡貯留室にそれぞれ連通する複数の排出路と、該各排出路にそれぞれ設けられた複数の常閉式の開閉弁と、上記本体フレームに設けられ、上記各開閉弁をそれぞれ開閉する複数の棒状の開閉部材と、上記本体フレームに設けられ、上記各開閉部材が摺動可能に挿通され、上記キャリッジに対し上記排出路の排出口を塞ぐように密着可能とされ、密着状態では上記排出口に連なる気密空間を形成する排気キャップと、を備えたインクジェットプリンタに対し、上記開閉弁の開弁時に上記排気キャップ内に排出されたインクを吸引するインクジェットプリンタ用排気キャップの空吸引方法であって、上記気密空間が形成された状態から上記排気キャップを傾斜させることにより上記キャリッジと上記排気キャップとの間に隙間を形成し、その隙間とは反対側から上記排気キャップ内のインクを吸引することを特徴としている。 【0008】 本発明では、排気キャップをキャリッジに密着させて気密空間が形成された状態から、排気キャップを傾斜させることにより、キャリッジと排気キャップとの間に隙間を形成し、その隙間とは反対側から上記排気キャップ内のインクを吸引している。このため、キャリッジと排気キャップとの隙間から上記インクの吸引部に向かって気流が形成され、その気流によってインクを上記吸引部方向に搬送することができる。このため、本発明では、排気キャップの空吸引を効率的に行って、その排気キャップ内にインクが残留するのを良好に抑制することができる。」 イ 「【0012】 次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。本実施の形態のインクジェットプリンタは、プリンタ機能と、コピー機能と、スキャナ機能を備えたものであって、図1及び図2に示すように、本体フレーム1の上面にコピー機能とスキャナ機能のための原稿読取り装置2が設けられ、原稿読取り装置2の下方には、記録用のキャリッジ3と、後述する記録ヘッド10の目詰まりを回復させるためのメンテナンスユニット4と、記録ヘッド10にインクを供給するインクタンク5が設けられている。また、本体フレーム1の前面には排紙トレイ6と給紙トレイ7が設けられている。キャリッジ3は、左右方向に往復移動するようになっている。キャリッジ3の移動経路の左端から右端に近い位置に至る長い領域は記録領域8となっており、移動経路の右端部はメンテナンス位置(原点位置、ホームポジション)となっていて、ここにメンテナンスユニット4が設けられている。また、メンテナンス位置の前方(手前)には、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色のインクタンク5(インクカートリッジ)が並んで配置されている。【0013】 <キャリッジ3、及びキャリッジ3へのインクの供給手段> キャリッジ3は、図3及び図4に示すように、下面に多数のノズルを設けたブラック、シアン、マゼンダ、イエロー用の4つの記録ヘッド10(インク噴射部の一例に相当)を有し、キャリッジ3が記録領域8を走行する間に、各記録ヘッド10のノズルからは下向きにインクが噴射され、被記録媒体(印刷用紙)への記録(印字)が行われるようになっている。 【0014】 各記録ヘッド10の上面には、それぞれ、バッファタンク11が設けられている。バッファタンク11は、上部に気泡貯留室12を有し、下部に記録ヘッド10に連なるインク流室13を有する。気泡貯留室12には、可撓性を有するチューブ14(図2を参照)を通してインクタンク5からインクが供給されるようになっている。気泡貯留室12内に供給されたインクは、フィルタ15を通過してインク流室13に流れ込み、記録ヘッド10に至る。インクがフィルタ15を通過する際に、インク内に含まれている気泡が分離され、気泡貯留室12の上方に貯留されていく。 【0015】 キャリッジ3には、記録ヘッド10よりも右方に位置するようにバブルケース16が設けられている。バブルケース16の下面には、各気泡貯留室12の天井壁から延出された排出路17が排出口18として開口され、これら4つの排出口18は前後方向に列設されている。バブルケース16の内部では4つの排出路17が上下方向に延びており、この上下方向に延びた部分には、それぞれ、常閉式の開閉弁19が収容されている。開閉弁19は、常には、上下方向に細長い弁体20がバネ21により弁口22を塞ぐ閉弁状態に保持されているが、弁体20がバネ21の付勢に抗して上方へ移動すると、開閉弁19が開弁されるようになっている。また、気泡貯留室12から排出路17の排出口18に至る排気経路(詳しくは後述する)の排気抵抗については、カラー用すなわちシアン用の排気経路とイエロー用の排気経路とマゼンダ用の排気経路とが互いに同じ程度となっている。一方、ブラック用の排気経路の排気抵抗は、カラー用の各排気抵抗よりも小さい。」 ウ 「【0045】 <メンテナンスにおける排気工程及び空吸引工程> 気泡貯留室12内に貯留されている気泡を排出する工程の初期には、キャリッジ3が原点位置にあり、キャリッジロック100に係止により原点位置にロックされている。また、キャリッジ3が原点位置にロックされている状態では、図14(B)に示すように、排気キャップ40がキャリッジ3の下面に密着して気密空間46が構成されている。また、カム55と切換部材73は、図18におけるポジション「A(M)」に位置し、このとき、気密空間46は外気とポンプ38のいずれとも非連通の遮断状態となる。また、ノズルキャップ60のブラック用密閉空間とカラー用密閉空間は、共に、切換部材73の切換流路74を介して大気に開放されると同時に、ポンプ38に連通する。 【0046】 この状態からカム55と切換部材73が図18のポジション「H」まで回転して停止し、気密空間46が切換部材73を介してポンプ38のみに連通する状態となる。このとき、ノズルキャップ60の各密閉空間は、共に、大気及びポンプ38と非連通の遮断状態となる。この状態で、遊星ギヤ35が公転してポンプ38が駆動し、気密空間46内の空気が排出され、気密空間46内が負圧状態となる。 【0047】 このようにしてプレ排気が行われた後、カム55と切換部材73がポジション「I」へ移動する。移動の過程では、カラー用のスライダ52がカム55との係合により左方へ移動し、カラー用の開閉部材50が閉弁位置から開弁位置へと押し上げられ、この開閉部材50の押し上げによりカラー用の排出路17に設けられている3つの開閉弁19が開弁状態となる。また、気密空間46はポンプ38にのみ連通する状態となり、ノズルキャップ60の各密閉空間は大気及びポンプ38とは非連通の遮断状態となる。そして、ポジション「I」の状態でポンプ38が駆動し、カラー用の3つの気泡貯留室12内に貯留されていた気泡が、排出路17、気密空間46、切換流路74及びポンプ38を通って外気へ排出される。この排気工程では、ノズルキャップ60の各密閉空間は遮断状態に保たれる。 【0048】 ポンプ38によるカラー用の気泡貯留室12の排気が完了すると、カム55と切換部材73がポジション「J」に移動する。この移動の過程では、カラー用のスライダ52が右方へ復動して開閉部材50が閉弁位置へ復帰し、カラー用の開閉弁19が閉弁されると共に、ブラック用のスライダ52が左方へ移動してブラック用開閉部材50が閉弁位置から開弁位置へ押し上げられ、ブラック用の排出路17に設けられている開閉弁19が開弁される。また、ポジション「I」と同様に、気密空間46はポンプ38にのみ連通する状態となり、ブラック用密閉空間とカラー用密閉空間は大気及びポンプ38とは非連通の遮断状態となる。そして、ポジション「J」の状態で、ポンプ38が駆動し、ブラック用の気泡貯留室12内に貯留されていた気泡が、排出路17、気密空間46、切換流路74及びポンプ38を通って外気へ排出される。この排気工程でも、ノズルキャップ60の各密閉空間は遮断状態に保たれる。この後、カム55と切換部材73がポジション「A」へ移動する。この移動の過程では、開弁状態となっていたブラック用のスライダ52が右方へ復動して、図19(A)に示すように開閉部材50が閉弁位置へ復帰し、ブラック用の開閉弁19が閉弁される。以上により、気泡貯留室12内の気泡の排出工程が完了する。また、排気工程の間、キャリッジ3は原点位置に保持されたままである。 【0049】 この後、カム55と切換部材73がポジション「B」まで回転し、キャリッジロック100が下降してキャリッジ3の移動規制状態(ロック状態)が解除される。このポジション「B」においても、気密空間46と密閉空間の連通、遮断状態はポジション「A」と同じである。キャリッジロック100によるロックが解除されると、キャリッジ3は原点位置から図20に示す空吸引位置まで移動し、キャップリフトホルダ41が下降する。すると、前側の凸部48aが後側の凸部48aよりも先に穴49aに係合するため、図19(B)に示すように、排気キャップ40は前側に傾斜し、キャリッジ3と排気キャップ40との間に隙間が形成される。次に、カム55と切換部材73がポジション「H」まで回転する。すると、排気キャップ40の凹部がポンプ38に連通する状態となる。そして、ポンプ38が駆動すると、空吸引が行われ、排気工程において気泡貯留室12から気泡(空気)と共に排気キャップ40内に吸引されていたインクが、ポンプ38側へ吸引されて排出される。」 (2)引用発明3 上記(1)より、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「下面に多数のノズルを設けたブラック、シアン、マゼンダ、イエロー用の4つの記録ヘッド10を有し、 各記録ヘッド10の上面には、それぞれ、バッファタンク11が設けられており、バッファタンク11は、上部に気泡貯留室12を有し、下部に記録ヘッド10に連なるインク流室13を有し、 気泡貯留室12には、可撓性を有するチューブ14を通してインクタンク5からインクが供給されるようになっており、 気泡貯留室12内に供給されたインクは、フィルタ15を通過してインク流室13に流れ込み、記録ヘッド10に至り、 インクがフィルタ15を通過する際に、インク内に含まれている気泡が分離され、気泡貯留室12の上方に貯留されていき、 キャリッジ3には、記録ヘッド10よりも右方に位置するようにバブルケース16が設けられており、 バブルケース16の下面には、各気泡貯留室12の天井壁から延出された排出路17が排出口18として開口され、これら4つの排出口18は前後方向に列設されており、 排気キャップ40がキャリッジ3の下面に密着して気密空間46が構成されている状態でポンプ38が駆動されることで、カラー用の3つの気泡貯留室12及びブラック用の気泡貯留室12内に貯留されていた気泡が、排出路17、気密空間46、切換流路74及びポンプ38を通って外気へ排出され、 排気キャップ40は前側に傾斜させることで、キャリッジ3と排気キャップ40との間に隙間が形成された状態で、ポンプ38が駆動されることで、空吸引が行われ、排気工程において気泡貯留室12から気泡(空気)と共に排気キャップ40内に吸引されていたインクが、ポンプ38側へ吸引されて排出される インクジェットプリンタ。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)本願発明1と引用発明1との対比 本願発明1と、引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明1の「インクジェットヘッド3」、「搬送ローラ4」、「ノズルキャップ5」、「吸引ポンプ6」、「廃液タンク7」、「ノズル15」、「記録用紙P」及び「制御装置50」は、それぞれ本願発明1の「液体吐出ヘッド」、「搬送機構」、「キャップ」、「ポンプ」、「廃液タンク」、「吐出口」、「記録媒体」及び「制御部」に相当する。 イ 引用発明1の「インクジェットヘッド3」は、「その下面であるノズル面3aに形成された複数のノズル15からインクを吐出させ」るものであるから、本願発明1の「液体吐出ヘッド」と、引用発明1の「インクジェットヘッド3」は、「液体を吐出するための吐出口を有する」点で共通する。 ウ 引用発明1の「搬送ローラ4」は、「ノズル15と対向する位置を通過するように記録用紙Pを搬送する」ものであるから、本願発明1の「搬送機構」と、引用発明1の「搬送ローラ4」は、「前記吐出口と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送するための」ものである点で共通する。 エ 引用発明1の「ノズルキャップ5」は、インク受け部5aを有し、インク受け部5aは凹形状であるから、本願発明1の「キャップ」と、引用発明1の「ノズルキャップ5」は「凹部を有する」点で共通する。 オ 引用発明1のノズルキャップ5は、昇降機構21によって昇降可能となっており、昇降機構21は、ノズルキャップ5を昇降させることにより、ノズルキャップ5を、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動させるものであることからすれば、引用発明1の「キャッピング位置」とは、ノズル受け部5aの内部空間と大気との連通が遮断された状態であって、「アンキャッピング位置」とは、ノズル受け部5aの内部空間と大気とが連通された状態といえる。 してみると、引用発明1の「昇降機能21」は、ノズル受け部5aの内部空間と大気との連通が遮断された状態であるノズルキャップ5のキャッピング位置と、ノズル受け部5aの内部空間を大気に連通された状態であるアンキャッピング位置との選択的な位置に移動させるものであるから、本願発明1の「選択機構」に相当するといえ、本願発明1の「選択機構」と、引用発明1の「昇降機構21」は、「前記吐出口を覆うように前記キャップが前記液体吐出ヘッドに当接して前記凹部の内部空間と大気との連通が遮断された遮断状態と、前記凹部の内部空間を大気に連通させる連通状態とを選択する」点で共通する。 カ 引用発明1は、インク受け部5a、5bの搬送方向の下流側の端部には、それぞれ、吸引口26a、26bが形成されており、吸引口26a、26bは、それぞれ、チューブ22a、22bを介して吸引ポンプ6と接続されており、チューブ22a、22bと反対側において、廃液タンク7と接続されており、吸引ポンプ6と廃液タンク7とは、流路によって繋がれているから、「チューブ22a」、「吸引ポンプ」及び「吸引ポンプ6と廃液タンク7とを繋ぐ流路」は、「ノズルキャップ5」の「インク受け部5a」と「廃液タンク7」をつないでいると認められる。 してみると、本願発明1の「接続流路」と、引用発明1の「チューブ22a」、「吸引ポンプ6」及び「吸引ポンプ6と廃液タンク7とを繋ぐ流路」は、「前記キャップと前記廃液タンクを繋ぐ」点で共通し、また、引用発明1の「吸引ポンプ6」と、本願発明1の「ポンプ」は、「前記接続流路の途中部位に設けられ」ている点で共通する。 キ 引用発明1は、「制御装置50の制御により、記録用紙Pに記録を行わせるための記録処理、インクジェットヘッド3をメンテナンスするためのメンテナンス処理等を行わせることができるようになって」いるのであるから、引用発明1の「制御装置50」は、メンテナンス処理の際、「昇降機構21」及び「吸引ポンプ」を制御していると認められ、本願発明1の「制御部」と、引用発明1の「制御装置50」は、「前記選択機構及び前記ポンプを制御する」点で共通する。 ク 引用発明1は、「メンテナンス処理は、定期的に実行され、メンテナンス処理では、ノズル面3aがノズルキャップ5と対向する位置までキャリッジ2を移動させるとともに、昇降機構21によりノズルキャップ5をキャッピング位置まで上昇させることによって、ノズルキャップ5にノズル面3aを覆わせ、ノズルキャップ5にノズル面3aをキャッピングさせ、インク受け部5aと大気との連通を遮断させ、吸引ポンプ6を回転速度V0で駆動させ、インク受け部5a、チューブ22a、23a内の気圧が低下し複数のノズル15からインクジェットヘッド3内のブラックインクが排出され、排出されたブラックインクは、廃液タンク7に貯留され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるパージ処理が実行され、パージ処理が完了した後には、ノズルキャップ5をアンキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V1で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが、チューブ22aを介して排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるアンキャッピング空吸引処理を実行」するものであるから、引用発明1の「パージ処理」及び「アンキャッピング空吸引処理」は、本願発明1の「液体吸引動作」及び「第1液体排出動作」に相当し、本願発明1の「液体吸引動作」と、引用発明1の「パージ処理」は「前記遮断状態で前記ポンプを駆動させて前記内部空間を減圧し、前記吐出口から前記内部空間へと液体を排出させ」る点で共通し、本願発明1の「第1液体排出動作」と、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」は、「前記液体吸引動作の後に、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を」「排出する」点で共通する。 また、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」において、チューブ22aを介して排出されたインクは最終的に廃液タンクに排出されるものと認められるから、本願発明1の「第1液体排出動作」と、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」は、「液体を前記廃液タンクに排出する」点でも共通する。 そして、引用発明1の「メンテナンス処理」は定期的に実行されるのであり、当然、記録媒体への画像記録が行われない期間内に行われるものと認められるから、本願発明1の「吸引処理」と、引用発明1の「パージ処理」と「アンキャッピング空吸引処理」をあわせたものは「前記液体吐出ヘッドによる記録媒体への画像記録が行われない期間内に」「所定周期で繰り返して行う」点で共通する。 ケ 引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、「ノズルキャップ5をキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V2(<V1)で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させる」るものであり、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、本願発明1の「第2液体排出動作のみを行う液体排出処理」に相当し、引用発明1において「キャッピング空吸引処理」は、連続した2つの「パージ処理」と「アンキャッピング空吸引処理」をあわせたものの間において行われるものと認められるから、本願発明1の「第2液体排出動作のみを行う液体排出処理」と、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、「前回と今回の連続した2つの前記吸引処理の間において、前記液体吸引動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する」点で共通する。 コ 上記アないしケから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致する。 [一致点] 「液体を吐出するための吐出口を有する液体吐出ヘッドと、 前記吐出口と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送するための搬送機構と、 凹部を有するキャップと、 前記吐出口を覆うように前記キャップが前記液体吐出ヘッドに当接して前記凹部の内部空間と大気との連通が遮断された遮断状態と、前記凹部の内部空間を大気に連通させる連通状態とを選択する選択機構と、 廃液タンクと、 前記キャップと前記廃液タンクを繋ぐ接続流路と、 前記接続流路の途中部位に設けられたポンプと、 前記選択機構及び前記ポンプを制御する制御部とを備えており、 前記制御部は、前記液体吐出ヘッドによる記録媒体への画像記録が行われない期間内に、前記遮断状態で前記ポンプを駆動させて前記内部空間を減圧し、前記吐出口から前記内部空間へと液体を排出させる液体吸引動作と、前記液体吸引動作の後に、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第1液体排出動作とを所定周期で繰り返して行う吸引処理と、 前回と今回の連続した2つの前記吸引処理の間において、前記液体吸引動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第2液体排出動作のみを行う液体排出処理と、を実行する液体吐出装置。」 サ そして、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で相違する。 [相違点1-1] 本願発明1は、「前記液体吸引動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第2液体排出動作のみを行う液体排出処理」を実行するのが、「前回行われた前記吸引処理の終了時点から前記キャップに残存する液体が前記接続流路に到達するまでの時間である到達時間が経過するまでは、前記液体吸引動作をさせず、前記終了時点から前記到達時間経過後であって、前記終了時点から液体の粘度上昇により前記ポンプで前記接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間が経過するまで」であるのに対し、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、そのような処理を行うものでない点。 [相違点1-2] 本願発明1は、「液体排出処理」として、「第2液体排出動作のみ」を「複数回」行うのに対し、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、「複数回」行うものであるのか否か定かでない点。 (2)相違点についての判断 上記各相違点について以下検討する。 ア [相違点1-1]について (ア)上記相違点1-1の構成は、原査定で示された引用文献2及び引用文献3にも記載されていないし、周知の技術といえる証拠もない。 また、上記相違点1-1により、「液体の粘度上昇によって接続流路内の液体をポンプで排出できなくなる前に、吐出口から液体を排出させずに、接続流路内の液体だけポンプで排出させることができ、吐出口からの液体の無駄な排出を避けつつ、時間が経過するに連れて集まった液体の粘度が上昇して接続流路内の液体をポンプで排出できなくなるのを抑制することが可能となる」という作用・機能を奏するものであることから、上記相違点1-1に係る構成が当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるということはできない。 (イ)よって、上記相違点1-1に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。 イ [相違点1-2]について (ア)上記相違点1-2の構成は、原査定で示された引用文献2及び引用文献3にも記載されていないし、周知の技術といえる証拠もない。 また、上記相違点1-2により、「接続流路内の液体を確実に排出させる」という作用・機能をそうするものであることから、上記相違点1-2に係る構成が当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるということはできない。 (イ)よって、上記相違点1-2に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。 (3)小括 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2乃至7について 本願発明2乃至7は、本願発明1をさらに減縮した発明であり、本願発明1の上記相違点1-1及び1-2に係る発明特定事項を備えるものである。 また、引用文献2を参酌しても、本願発明2乃至7を当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、本願発明2乃至7は、当業者であっても、引用文献1及び引用文献2に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 3.本願発明8について (1)本願発明8と引用発明1との対比 本願発明8と、引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明1の「インクジェットヘッド3」、「搬送ローラ4」、「ノズルキャップ5」、「吸引ポンプ6」、「廃液タンク7」、「ノズル15」、「記録用紙P」及び「制御装置50」は、それぞれ本願発明8の「液体吐出ヘッド」、「搬送機構」、「キャップ」、「ポンプ」、「廃液タンク」、「吐出口」、「記録媒体」及び「制御部」に相当する。 イ 引用発明1の「インクジェットヘッド3」は、「インクジェットヘッド3は、その下面であるノズル面3aに形成された複数のノズル15からインクを吐出させ」るのであるから、本願発明8の「液体吐出ヘッド」と、引用発明1の「インクジェットヘッド3」は、「液体を吐出するための吐出口を有するヘッド本体」を有する点で共通する。 ウ 引用発明1の「搬送ローラ4」は、「ノズル15と対向する位置を通過するように記録用紙Pを搬送する」ものであるから、本願発明8の「搬送機構」と、引用発明1の「搬送ローラ4」は、「前記吐出口と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送するための」ものである点で共通する。 エ 引用発明1の「ノズルキャップ5」は、インク受け部5aを有し、インク受け部5aは凹形状であるから、本願発明8の「キャップ」と、引用発明1の「ノズルキャップ5」は「凹部を有する」点で共通する。 オ 引用発明1のノズルキャップ5は、昇降機構21によって昇降可能となっており、昇降機構21は、ノズルキャップ5を昇降させることにより、ノズルキャップ5を、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動させるから、引用発明1においても、ノズルキャップ5が、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動することにより、ノズル受け部5aの内部空間と大気との連通が遮断された状態と、ノズル受け部5aの内部空間を大気に連通された状態とが選択されるといえる。 してみると、引用発明1の「昇降機構21」は、本願発明8の「選択機構」に相当するといえ、本願発明8の「選択機構」と、引用発明1の「昇降機構21」は、「口を覆うように前記キャップが前記液体吐出ヘッドに当接して前記凹部の内部空間と大気との連通を遮断する遮断状態と、前記凹部の内部空間を大気に連通させる連通状態とを選択する」点で共通する。 カ 引用発明1は、インク受け部5a、5bの搬送方向の下流側の端部には、それぞれ、吸引口26a、26bが形成されており、吸引口26a、26bは、それぞれ、チューブ22a、22bを介して吸引ポンプ6と接続されており、チューブ22a、22bと反対側において、廃液タンク7と接続されており、吸引ポンプ6と廃液タンク7とは、流路によって繋がれているから、「チューブ22a」、「吸引ポンプ」及び「吸引ポンプ6と廃液タンク7とを繋ぐ流路」は、「ノズルキャップ5」の「インク受け部5a」と「廃液タンク7」をつないでいると認められる。 してみると、本願発明8の「接続流路」と、引用発明1の「チューブ22a」、「吸引ポンプ6」及び「吸引ポンプ6と廃液タンク7とを繋ぐ流路」は、「前記キャップと前記廃液タンクを繋ぐ」点で共通し、また、引用発明1の「吸引ポンプ6」と、本願発明8の「ポンプ」は、「前記接続流路の途中部位に設けられ」ている点で共通する。 キ 引用発明1は、「制御装置50の制御により、記録用紙Pに記録を行わせるための記録処理、インクジェットヘッド3をメンテナンスするためのメンテナンス処理等を行わせることができるようになって」いるのであるから、引用発明1の「制御装置50」は、メンテナンス処理の際、「昇降機構21」及び「吸引ポンプ」を制御していると認められ、本願発明8の「制御部」と、引用発明1の「制御装置50」は、「前記選択機構及び前記ポンプを制御する」点で共通する。 ク 引用発明1は、「メンテナンス処理は、定期的に実行され、メンテナンス処理では、ノズル面3aがノズルキャップ5と対向する位置までキャリッジ2を移動させるとともに、昇降機構21によりノズルキャップ5をキャッピング位置まで上昇させることによって、ノズルキャップ5にノズル面3aを覆わせ、ノズルキャップ5にノズル面3aをキャッピングさせ、インク受け部5aと大気との連通を遮断させ、吸引ポンプ6を回転速度V0で駆動させ、インク受け部5a、チューブ22a、23a内の気圧が低下し複数のノズル15からインクジェットヘッド3内のブラックインクが排出され、排出されたブラックインクは、廃液タンク7に貯留され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるパージ処理が実行され、パージ処理が完了した後には、ノズルキャップ5をアンキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V1で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが、チューブ22aを介して排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるアンキャッピング空吸引処理を実行」するものであるから、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」は、本願発明8の「第1液体排出動作」に相当し、引用発明1の「パージ処理」は、本願発明8の「排気動作」と「動作」である点で共通する。 そして、本願発明8の「排気動作」と、引用発明1の「パージ処理」は「前記遮断状態で前記ポンプを駆動させて前記内部空間を減圧し、」「口から前記内部空間へ」「液体を排出させ」る点で共通し、本願発明8の「第1液体排出動作」と、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」は、「動作の後に前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を」「排出する」点で共通する。 また、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」において、チューブ22aを介して排出されたインクは最終的に廃液タンクに排出されるものと認められるから、本願発明8の「第1液体排出動作」と、引用発明1の「アンキャッピング空吸引処理」は、「液体を前記廃液タンクに排出する」点でも共通する。 そして、本願発明8の「排気処理」と、引用発明1の「パージ処理」と「アンキャッピング空吸引処理」をあわせたものは「処理」である点で共通し、引用発明1の「メンテナンス処理」は定期的に実行されるのであり、当然、記録媒体への画像記録が行われない期間内に行われるものと認められるから、「前記液体吐出ヘッドによる記録媒体への画像記録が行われない期間内に」「所定周期で繰り返して行う」点でも共通する。 ケ 引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、「ノズルキャップ5をキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V2(<V1)で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させる」るものであり、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、本願発明8の「第2液体排出動作のみを行う液体排出処理」に相当し、引用発明1において「キャッピング空吸引処理」は、連続した2つの「パージ処理」と「アンキャッピング空吸引処理」をあわせたものの間において行われるものと認められるから、本願発明1の「第2液体排出動作のみを行う液体排出処理」と、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、「前回と今回の連続した2つの」「処理の間において、」「動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する」点で共通する。 コ 上記アないしケから、本願発明8と引用発明1とは、以下の点で一致する。 [一致点] 「液体を吐出するための吐出口を有するヘッド本体を有する液体吐出ヘッドと、 前記吐出口と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送するための搬送機構と、 凹部を有するキャップと、 口を覆うように前記キャップが前記液体吐出ヘッドに当接して前記凹部の内部空間と大気との連通を遮断する遮断状態と、前記凹部の内部空間を大気に連通させる連通状態とを選択する選択機構と、 廃液タンクと、 前記キャップと前記廃液タンクを繋ぐ接続流路と、 前記接続流路の途中部位に設けられたポンプと、 前記選択機構及び前記ポンプを制御する制御部とを備えており、 前記制御部は、前記液体吐出ヘッドによる記録媒体への画像記録が行われない期間内に、前記遮断状態で前記ポンプを駆動させて前記内部空間を減圧し、口から前記内部空間へ液体を排出させる動作と、前記動作の後に前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第1液体排出動作とを所定周期で繰り返して行う処理と、 前回と今回の連続した2つの前記処理の間において、前記動作をさせずに、前記連通状態で前記ポンプを駆動させて、前記接続流路を介して液体を前記廃液タンクに排出する第2液体排出動作のみを少なくとも1回行う液体排出処理と、を実行することを特徴とする液体吐出装置。」 サ そして、本願発明8と引用発明1とは、以下の点で相違する。 [相違点8-1] 本願発明8は、「液体吐出ヘッド」が、「前記ヘッド本体に液体を供給するための供給流路及び前記供給流路内の気泡を貯留する気泡貯留部を有するサブタンクと、前記気泡貯留部に連通し気泡と共に液体を排出可能な排出口を有する連通路とを有する」のに対し、引用発明1はそのような特定を有していない点。 [相違点8-2] 本願発明8は、「キャップ」が「排出口」を覆うように液体吐出ヘッドに当接するものであるのに対し、引用発明1は「口」を覆うように当接するものの、「排出口」を覆うように当接するとは特定されていない点。 [相違点8-3] 本願発明8は、排出口から内部空間へ気泡と共に液体を排出させる排気動作と、排気動作の後に第1液体排出動作とを所定周期で繰り返して行う排気処理を行うのに対し、引用発明1は、口から内部空間へ液体を排出させる動作と、前記動作の後に第1液体排出動作とを所定周期で繰り返して行う処理を行うものの、「口」が「排出口」ではなく、「動作」が「気泡と共に液体を排出させる排気動作」ではなく、「処理」が「排気処理」ではない点。 [相違点8-4] 本願発明8は、第2液体排出動作のみを少なくとも1回行う液体排出処理を行うのが、「前回と今回の連続した2つの前記排気処理の間において、前回行われた前記排気処理の終了時点から前記キャップに残存する液体が前記接続流路に到達するまでの時間である到達時間が経過するまでは、前記排気動作をさせず、前記終了時点から前記到達時間経過後であって、前記終了時点から液体の粘度上昇により前記ポンプで前記接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間が経過するまで」であるのに対し、引用発明1は「前回と今回の連続した2つの処理の間において」であるものの、「処理」が「排気処理」ではない点。 [相違点8-5] 本願発明8は、第2液体排出動作のみを少なくとも1回行う液体排出処理を行うのが、「前回と今回の連続した2つの前記排気処理の間において、前回行われた前記排気処理の終了時点から前記キャップに残存する液体が前記接続流路に到達するまでの時間である到達時間が経過するまでは、前記排気動作をさせず、前記終了時点から前記到達時間経過後であって、前記終了時点から液体の粘度上昇により前記ポンプで前記接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間が経過するまで」であるのに対し、引用発明1は、「前回行われた前記排気処理の終了時点から前記キャップに残存する液体が前記接続流路に到達するまでの時間である到達時間が経過するまでは、前記排気動作をさせず、前記終了時点から前記到達時間経過後であって、前記終了時点から液体の粘度上昇により前記ポンプで前記接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間が経過するまで」であるという特定を有していない点。 [相違点8-6] 本願発明8は、第2液体排出動作が、「排気動作をさせずに」行うものであるのに対し、引用発明1は、「液体を排出させる動作をさせずに」行うものであるものの、「動作」が、「排気動作」であるとは特定されていない点。 (2)相違点についての判断 上記各相違点について以下検討する。 ア [相違点8-1]、[相違点8-2]、[相違点8-3]、[相違点8-4]及び[相違点8-6]について (ア)[相違点8-1]、[相違点8-2]、[相違点8-3]、[相違点8-4]及び[相違点8-6]は、いずれも気泡処理に関する相違点のため、同時に検討を行う。 引用発明3は「下面に多数のノズルを設けたブラック、シアン、マゼンダ、イエロー用の4つの記録ヘッド10を有し、各記録ヘッド10の上面には、それぞれ、バッファタンク11が設けられており、バッファタンク11は、上部に気泡貯留室12を有し、下部に記録ヘッド10に連なるインク流室13を有し、気泡貯留室12には、可撓性を有するチューブ14を通してインクタンク5からインクが供給されるようになっており、気泡貯留室12内に供給されたインクは、フィルタ15を通過してインク流室13に流れ込み、記録ヘッド10に至り、インクがフィルタ15を通過する際に、インク内に含まれている気泡が分離され、気泡貯留室12の上方に貯留されていき、キャリッジ3には、記録ヘッド10よりも右方に位置するようにバブルケース16が設けられており、バブルケース16の下面には、各気泡貯留室12の天井壁から延出された排出路17が排出口18として開口され、これら4つの排出口18は前後方向に列設されて」いるものであり、引用発明3の「バッファタンク11」と「バブルケース16」は、本願発明8の「サブタンク」に相当し、引用発明3の「記録ヘッド10」、「気泡貯留室12」及び「排出口18」は、それぞれ本願発明8の「ヘッド本体」、「気泡貯留部」及び「排出口」に相当し、引用発明3は上記[相違点8-1]の構成を有していると言える。 そして、引用発明3は、「排気キャップ40がキャリッジ3の下面に密着して気密空間46が構成されている状態でポンプ38が駆動されることで、カラー用の3つの気泡貯留室12及びブラック用の気泡貯留室12内に貯留されていた気泡が、排出路17、気密空間46、切換流路74及びポンプ38を通って外気へ排出され、排気キャップ40は前側に傾斜させることで、キャリッジ3と排気キャップ40との間に隙間が形成された状態で、ポンプ38が駆動されることで、空吸引が行われ、排気工程において気泡貯留室12から気泡(空気)と共に排気キャップ40内に吸引されていたインクが、ポンプ38側へ吸引されて排出される」ものであるから、引用発明3は、上記[相違点8-2]、[相違点8-3]、[相違点8-4]及び[相違点8-6]の構成も有していると言える。 そして、インクジェットプリンタにおいて、気泡を除去するという課題は、内在する自明の課題といえるものであるから、引用発明1に記載された発明において、気泡を除去するために、引用発明3の構成を適用し、[相違点8-1]、[相違点8-2]、[相違点8-3]、[相違点8-4]及び[相違点8-6]の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)よって、上記[相違点8-1]、[相違点8-2]、[相違点8-3]、[相違点8-4]及び[相違点8-6]に係る本願発明8の発明特定事項は、引用発明1及び引用発明3に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 イ [相違点8-5]について (ア)上記相違点8-5の構成は、原査定で示された引用文献2及び引用文献3にも記載されていないし、周知の技術といえる証拠もない。 また、上記相違点8-5により、「液体の粘度上昇によって接続流路内の液体をポンプで排出できなくなる前に、吐出口から液体を排出させずに、接続流路内の液体だけポンプで排出させることができ、吐出口からの液体の無駄な排出を避けつつ、時間が経過するに連れて集まった液体の粘度が上昇して接続流路内の液体をポンプで排出できなくなるのを抑制することが可能となる」という作用・機能を奏するものであることから、上記相違点8-5に係る構成が当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるということはできない。 (イ)よって、上記相違点8-5に係る本願発明8の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1及び引用発明3に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。 (3)小括 したがって、本願発明8は、当業者であっても、引用発明1及び引用発明3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 4.本願発明9について (1)本願発明9と引用発明1との対比 本願発明9と、引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明1の「インクジェットヘッド3」、「ノズルキャップ5」、「吸引ポンプ6」、「廃液タンク7」、「ノズル15」及び「制御装置50」は、それぞれ本願発明9の「液体吐出ヘッド」、「キャップ」、「ポンプ」、「廃液タンク」、「吐出口」及び「制御装置」に相当する。 イ 引用発明1の「インクジェットヘッド3」は、「その下面であるノズル面3aに形成された複数のノズル15からインクを吐出させ」るのであるから、本願発明1の「液体吐出ヘッド」と、引用発明1の「インクジェットヘッド3」は、「吐出口を有する」点で共通する。 ウ 引用発明1のノズルキャップ5は、昇降機構21によって昇降可能となっており、昇降機構21は、ノズルキャップ5を昇降させることにより、ノズルキャップ5を、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動させ、インク受け部5aは凹形状であるから、本願発明1の「キャップ」と、引用発明1の「ノズルキャップ5」は「前記吐出口を覆うために前記液体吐出ヘッドと接離可能に構成され、前記液体吐出ヘッドと当接したときに前記液体吐出ヘッドと共に内部空間を形成する凹部を有する」点で共通する。 エ 引用発明1のノズルキャップ5は、昇降機構21によって昇降可能となっており、昇降機構21は、ノズルキャップ5を昇降させることにより、ノズルキャップ5を、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動させるから、引用発明1においても、ノズルキャップ5が、ノズル面3aを覆うキャッピング位置と、ノズル面3aから離れたアンキャッピング位置との間で移動することにより、ノズル受け部5aの内部空間と大気との連通が遮断された状態と、ノズル受け部5aの内部空間を大気に連通された状態とが選択されるといえる。 してみると、引用発明1の「昇降機構21」は、本願発明9の「選択機構」に相当するといえ、本願発明9の「選択機構」と、引用発明1の「昇降機構21」は、「前記キャップを前記液体吐出ヘッドに当接させて前記内部空間が前記キャップの外部と繋がらない第1状態と、前記キャップを前記液体吐出ヘッドに当接させた状態で前記キャップと外部とを連通させる連通路を介して前記内部空間を大気連通させる、若しくは、前記キャップを前記液体吐出ヘッドから離間させて前記凹部を露出させる、第2状態と、を選択する」点で共通する。 オ 引用発明1は、インク受け部5a、5bの搬送方向の下流側の端部には、それぞれ、吸引口26a、26bが形成されており、吸引口26a、26bは、それぞれ、チューブ22a、22bを介して吸引ポンプ6と接続されており、チューブ22a、22bと反対側において、廃液タンク7と接続されており、吸引ポンプ6と廃液タンク7とは、流路によって繋がれているから、引用発明1の「チューブ22a」は、本願発明9の「前記キャップと前記ポンプとを連通させる第1接続流路」に相当し、引用発明1の吸引ポンプ6と廃液タンク7とを繋ぐ「流路」は、本願発明9の「前記廃液タンクと前記ポンプとを連通させる第2接続流路」に相当する。 カ 引用発明1は、「メンテナンス処理は、定期的に実行され、メンテナンス処理では、ノズル面3aがノズルキャップ5と対向する位置までキャリッジ2を移動させるとともに、昇降機構21によりノズルキャップ5をキャッピング位置まで上昇させることによって、ノズルキャップ5にノズル面3aを覆わせ、ノズルキャップ5にノズル面3aをキャッピングさせ、インク受け部5aと大気との連通を遮断させ、吸引ポンプ6を回転速度V0で駆動させ、インク受け部5a、チューブ22a、23a内の気圧が低下し複数のノズル15からインクジェットヘッド3内のブラックインクが排出され、排出されたブラックインクは、廃液タンク7に貯留され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるパージ処理が実行され、パージ処理が完了した後には、ノズルキャップ5をアンキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V1で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが、チューブ22aを介して排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させるアンキャッピング空吸引処理を実行」するものであるから、引用発明1の「パージ処理」及び「アンキャッピング空吸引処理」は、本願発明1の「液体吸引動作」及び「第1液体排出動作」に相当し、本願発明9の「制御装置」と、引用発明1の「制御装置50」は、「前記選択機構を制御して前記第1状態を選択し、前記ポンプを制御して前記吐出口から前記内部空間へ液体を排出させる液体吸引動作と、前記液体吸引動作の後に、前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記ポンプを制御して前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ、前記内部空間の液体、若しくは、前記凹部内の液体を前記廃液タンクへ排出させる第1排出動作とを、所定周期で繰り返し行う定期メンテナンス処理を実行するものであ」る点で共通する。 キ 引用発明1は、「メンテナンス処理は、定期的に実行され」るものであるから、引用発明1の「プリンタ1」は「タイマー」を有していると認められ、また、本願発明9の「制御装置」と、引用発明1の「制御装置50」は「前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から第1時間を経過した場合に、前記定期メンテナンス処理を実行」する点で共通する。 ク 引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、「ノズルキャップ5をキャッピング位置に配置させ、吸引ポンプ6を回転速度V2(<V1)で駆動し、インク受け部5aに溜まったインクが排出され、所定時間が経過するまで吸引ポンプ6の駆動を継続し、所定時間が経過したときに吸引ポンプ6を停止させる」るものであるから、引用発明1の「キャッピング空吸引処理」は、本願発明9の「第2液体排出動作」に相当し、本願発明9の「制御装置」と、引用発明1の「制御装置50」は、「前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ前記第1接続流路の液体を前記廃液タンクへ排出する第2排出動作のみを実行する」点で共通する。 ケ 上記アないしクから、本願発明9と引用発明1とは、以下の点で一致する。 [一致点] 「吐出口を有する液体吐出ヘッドと、 前記吐出口を覆うために前記液体吐出ヘッドと接離可能に構成され、前記液体吐出ヘッドと当接したときに前記液体吐出ヘッドと共に内部空間を形成する凹部を有するキャップと、 前記キャップを前記液体吐出ヘッドに当接させて前記内部空間が前記キャップの外部と繋がらない第1状態と、前記キャップを前記液体吐出ヘッドに当接させた状態で前記キャップと外部とを連通させる連通路を介して前記内部空間を大気連通させる、若しくは、前記キャップを前記液体吐出ヘッドから離間させて前記凹部を露出させる、第2状態と、を選択する選択機構と、 廃液タンクと、 ポンプと、 前記キャップと前記ポンプとを連通させる第1接続流路と、 前記廃液タンクと前記ポンプとを連通させる第2接続流路と、 タイマーと、 制御装置と、を備え、 前記制御装置は、 前記選択機構を制御して前記第1状態を選択し、前記ポンプを制御して前記吐出口から前記内部空間へ液体を排出させる液体吸引動作と、前記液体吸引動作の後に、前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記ポンプを制御して前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ、前記内部空間の液体、若しくは、前記凹部内の液体を前記廃液タンクへ排出させる第1排出動作とを、所定周期で繰り返し行う定期メンテナンス処理を実行するものであり、 前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から第1時間を経過した場合に、前記定期メンテナンス処理を実行し、 前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ前記第1接続流路の液体を前記廃液タンクへ排出する第2排出動作のみを実行することを特徴とする液体吐出装置。」 コ そして、本願発明9と引用発明1とは、以下の点で相違する。 [相違点9-1] 本願発明9は、「前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ前記第1接続流路の液体を前記廃液タンクへ排出する第2排出動作のみを実行する」のが、「前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第1時間を経過していないが、前記第1時間よりも短く前記前回の定期メンテナンス処理の完了から前記キャップに残存する液体が前記第1接続流路に到達するまでの時間である到達時間よりも長く、液体の粘度上昇により前記ポンプで前記第1流路内の液体を流動させることができない流動不可時間より短い第2時間を経過した場合」であるのに対し、引用発明1はそのような特定を有していない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について以下検討する。 ア [相違点9-1]について (ア)上記相違点9-1の構成は、原査定で示された引用文献2及び引用文献3にも記載されていないし、周知の技術といえる証拠もない。 また、上記相違点9-1により、「液体の粘度上昇によって接続流路内の液体をポンプで排出できなくなる前に、吐出口から液体を排出させずに、接続流路内の液体だけポンプで排出させることができ、吐出口からの液体の無駄な排出を避けつつ、時間が経過するに連れて集まった液体の粘度が上昇して接続流路内の液体をポンプで排出できなくなるのを抑制することが可能となる」という作用・機能を奏するものであることから、上記相違点9-1に係る構成が当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるということはできない。 (イ)よって、上記相違点9-1に係る本願発明9の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。 (3)小括 したがって、本願発明9は、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 5.本願発明10について 本願発明10は、本願発明9をさらに減縮した発明であり、本願発明9の上記相違点9-1に係る発明特定事項を備えるものである。 よって、本願発明10は、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 6.まとめ 上記1.乃至5.より、本願発明1ないし10は、当業者であっても、引用発明1乃至3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 当審拒絶理由についての判断 1.特許法第36条第6項第2号について (1)当審拒絶理由の概要 ア 当審では、令和2年11月10日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「隣接した2つの前記吸引処理の間において」と記載されているが、「隣接」とは空間的に隣同士接していることを意味しているところ、「隣接した2つの前記吸引処理」とは、日本語としていかなることを意味しているのか不明確であり、請求項3の「隣接した2つの前記吸引処理の間において」との記載、請求項3の「隣接した2つの前記第2液体排出動作」との記載、請求項5の「隣接した2つの前記第2液体排出動作の間隔のうち」との記載、請求項8の「隣接した2つの前記排気処理の間において」との記載についても同様であり、前記請求項1、3及び5を、直接的又は間接的に引用する請求項についても同様である、との拒絶の理由を通知している。 イ 当審では、令和2年11月10日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「最初に行われる前記吸引処理の終了時点から」と記載されているが、「最初に行われる前記吸引処理」とは、どの区間において「最初に行われる前記吸引処理」のことを意味しているのか不明確であり、請求項8の「最初に行われる前記排気処理の終了時点から」との記載についても同様であり、請求項1を、直接的又は間接的に引用する請求項2-7に係る発明についても同様である、との拒絶の理由を通知している。 ウ 当審では、令和2年11月10日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項7には、「前記制御部は、前記液体排出処理において、複数の前記第2液体排出動作を実行し、前記第2液体排出動作を実行する際の前記ポンプの回転速度は同じで、前記第2液体排出動作の実行が後になるものほど、前記ポンプの駆動時間を短くする」と記載されているが、当該記載は、請求項7が従属する請求項6の「前記制御部は、前記液体排出処理において、前記第2液体排出動作で駆動される前記ポンプの回転速度が前記吸引処理の前記第1液体排出動作で駆動される前記ポンプの回転速度よりも遅い回転速度となるように前記ポンプを駆動する」との記載と矛盾する、との拒絶の理由を通知している。 エ 当審では、令和2年11月10日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項9には、「前記タイマーにより計時される時間が、前記第1時間を経過していないが」と記載されているが、当該記載における「第1時間を経過」とは、どの時点を起点としているのか不明確であり、請求項10の「前記タイマーにより計時される時間が前記第1時間を経過していないことを検出した場合には」との記載、請求項10の「前記タイマーにより計時される時間が前記第2時間を経過しているか否かを検出する」との記載についても同様である、との拒絶の理由を通知している。 (2)本願発明1乃至10が当審拒絶理由を解消しているか否かについて ア 上記(1)アの理由に対して、令和3年12月21日に提出された手続補正書でした補正によって、請求項1の「隣接した2つの前記吸引処理」との記載は、本願発明1において、「前回と今回の連続した2つの前記吸引処理」と補正され、請求項3の「隣接した2つの前記吸引処理の間において」との記載、請求項3の「隣接した2つの前記第2液体排出動作」との記載、請求項5の「隣接した2つの前記第2液体排出動作の間隔のうち」との記載、及び、請求項8の「隣接した2つの前記排気処理の間において」との記載についても、それぞれ「前回と今回の連続した2つの前記第2液体排出動作」、「前回と今回の連続した2つの前記第2液体排出動作の間隔のうち」及び「前回と今回の連続した2つの前記排気処理の間において」と補正されたことから、上記(1)アの拒絶理由は解消した。 イ 上記(1)イの理由に対して、令和3年12月21日に提出された手続補正書でした補正によって、請求項1の「最初に行われる前記吸引処理の終了時点から」との記載は、「前回行われた前記吸引処理の終了時点から」と補正され、請求項8の「最初に行われる前記排気処理の終了時点から」との記載についても「前回行われた前記排気処理の終了時点から」と補正されたことから、上記(1)イの拒絶理由は解消した。 ウ 上記(1)ウの理由に対して、令和3年12月21日に提出された手続補正書でした補正によって、請求項7は請求項6を引用しないものとなったため、上記(1)ウの拒絶理由は解消した。 エ 上記(1)エの理由に対して、令和3年12月21日に提出された手続補正書でした補正によって、請求項9の「前記タイマーにより計時される時間が、前記第1時間を経過していないが」との記載は、「前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記タイマーにより計時される時間が、前記第1時間を経過していないが」と補正され、請求項10の「前記タイマーにより計時される時間が前記第1時間を経過していないことを検出した場合には」との記載は、「前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記タイマーにより計時される時間が前記第1時間を経過していないことを検出した場合には」と補正され、請求項10の「前記タイマーにより計時される時間が前記第2時間を経過しているか否かを検出する」との記載は、「前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記タイマーにより計時される時間が前記第2時間を経過しているか否かを検出する」と補正されたことから、上記(1)エの拒絶理由は解消した。 2.特許法第36条第6項第1号について (1)当審拒絶理由の概要 ア 当審では、本願の請求項9には、本願に係る発明が解決する課題を解決するための構成である「前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第1時間を経過していないが、前記第1時間よりも短く前記前回の定期メンテナンス処理の完了から前記キャップに残存する液体が前記第1接続流路に到達するまでの時間である到達時間よりも長く、液体の粘度上昇により前記ポンプで前記第1接続流路内の液体を流動させることができない流動不可時間より短い第2時間が経過した場合には、前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ前記第1接続流路の液体を前記廃液タンクへ排出する第2排出動作のみを実行する」という構成が記載されておらず、請求項9には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなり、請求項9を引用する請求項10についても同様である、との拒絶の理由を通知している。 (2)本願発明9及び10が当審拒絶理由を解消しているか否かについて ア 上記(1)アの理由に対して、令和3年12月21日に提出された手続補正書でした補正によって、本願発明9乃至10に「前記タイマーにより計時される時間が、前回の前記定期メンテナンス処理の完了から前記第1時間を経過していないが、前記第1時間よりも短く前記前回の定期メンテナンス処理の完了から前記キャップに残存する液体が前記第1接続流路に到達するまでの時間である到達時間よりも長く、液体の粘度上昇により前記ポンプで前記第1流路内の液体を流動させることができない流動不可時間より短い第2時間を経過した場合には、前記選択機構を制御して前記第2状態を選択し、前記吐出口から液体が吐出されないようにしつつ前記第1接続流路の液体を前記廃液タンクへ排出する第2排出動作のみを実行する」との記載が加えられたことから、上記(1)アの拒絶理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1乃至10は、当業者が引用文献1乃至3に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、本願発明1乃至10の記載は、特許法第36条第6項第2号及び第1号に規定する要件を満たしている。 したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-001809

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