2021-000354
喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品
- 審判番号
- 2021-000354
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-507624外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年01月08日
- 審決日
- 2022年05月11日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .161-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第184条の4第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
1 手続の経緯
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本願は、2016年8月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年8月31日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成31年2月13日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年5月17日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年10月25日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年4月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年8月28日付け(発送日:令和2年9月8日)で補正の却下の決定とともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和3年1月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和3年11月18日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年2月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
本願の請求項1~19に係る発明は、令和4年2月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~19に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、喫煙材の塊と、前記喫煙材の塊の中に配置された細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備え、前記細長い部材の全てが、その中に誘導される渦電流の影響を実質的に等しく受けやすく、前記細長い部材には実質的に切れ目がなく、前記細長い部材の断面は、その長さに沿って一定である、細長い部材と、前記喫煙材の塊と前記細長い部材との周りに配置されたカバーであって、前記カバーはラッパーを備え、前記ラッパーは、前記ラッパーの自由端が互いに重なるように前記喫煙材の周りに巻かれ、前記ラッパーは、前記ラッパーの重ねられた前記自由端を互いにくっつける接着剤を備える、カバーと、を備え、円形の断面を有する、物品。」
3 拒絶の理由
令和3年11月18日付けで請求項1について当審が通知した拒絶の理由における理由1(拡大先願)は、概略、次のとおりである。
(拡大先願)この出願の請求項1に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた下記2の外国語特許出願の国際出願日における国際出願(以下、「先願」という。)の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。
引用例等一覧
2.PCT/EP2015/058606号(国際公開第2015/176898号、特表2017-519493号公報)
3.特表平11-507234号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2000-93155号公報(周知技術を示す文献)
4 引用例等
(1)先願明細書等に記載された発明
当審の拒絶の理由に先願2として引用された、本願の優先日前の外国語特許出願であって、その出願後に国際公開がされたPCT/EP2015/058606号(国際公開第2015/176898号、特表2017-519493号公報)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、国際公開公報の記載箇所を()内に示し、当審による訳文を〔〕内に示す。また、「・・・」は記載の省略を意味する。)。
(1-a)「The present specification relates to an aerosol-generating article comprising an aerosol- forming substrate for generating an inhalable aerosol when heated. The aerosol-generating article comprises an elongate susceptor in thermal contact with the aerosol-forming substrate, such that heating of the aerosol-forming substrate may be effected by induction-heating. The specification also relates to a system comprising such an aerosol-generating article and an aerosol-generating device having an inductor for heating the aerosol-generating device.」(第1頁第3~8行)
〔本明細書は、加熱時に吸入可能なエアロゾルを発生させるためのエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関連する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の加熱が誘導加熱によって達成されうるように、エアロゾル形成基体と熱的に接触する細長いサセプタを備える。本明細書はまた、エアロゾル発生装置を加熱するためのインダクタを持つようなエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置を備えたシステムに関連する。〕
(1-b)「The susceptor has a length dimension that is greater than its width dimension or its thickness dimension, for example greater than twice its width dimension or its thickness dimension. Thus the susceptor may be described as an elongate susceptor. The susceptor is arranged substantially longitudinally within the rod. This means that the length dimension of the elongate susceptor is arranged to be approximately parallel to the longitudinal direction of the rod, for example within plus or minus 10 degrees of parallel to the longitudinal direction of the rod. In preferred embodiments, the elongate susceptor element may be positioned in a radially central position within the rod, and extends along the longitudinal axis of the rod.
The susceptor is preferably in the form of a pin, rod, or blade. The susceptor preferably has a length of between 5 mm and 15 mm, for example between 6 mm and 12 mm, or between 8 mm and 10 mm. The susceptor preferably has a width of between 1 mm and 5 mm and may have a thickness of between 0.01 mm and 2 mm. for example between 0.5 mm and 2 mm. A preferred embodiment may have a thickness of between 10 micrometres and 500 micrometres, or even more preferably between 10 and 100 micrometers. If the susceptor has a constant cross-section, for example a circular cross-section, it has a preferable width or diameter of between 1 mm and 5 mm.」(第4頁第35行~第5頁第13行)
〔サセプタは、その幅寸法またはその厚さ寸法よりも大きい、例えばその幅寸法またはその厚さ寸法の2倍より大きい長さ寸法を持つ。こうして、サセプタは細長いサセプタとして描写されうる。サセプタはロッド内に実質的に長軸方向に配列される。これは、細長いサセプタの長さ寸法が、ロッドの長軸方向とほぼ平行に、例えばロッドの長軸方向に平行から±10度以内に並ぶことを意味する。望ましい実施形態で、細長いサセプタ素子はロッド内の半径方向に中心の位置に位置してもよく、ロッドの長軸方向に沿って延びる。
サセプタは、ピン、ロッド、またはブレードの形態であることが好ましい。サセプタは長さ5mm~15mm、例えば6mm~12mm、または8mm~10mmであることが好ましい。サセプタは、幅1mm~5mmであることが好ましく、また厚さ0.01mm~2mm、例えば0.5mm~2mmの厚さを持ちうる。好ましい実施形態は、10マイクロメートル~500マイクロメートルの厚さをもちうるが、10~100マイクロメートルであることがさらに好ましい。サセプタが一定の断面(例えば、円形断面)を持つ場合、好ましい幅または直径は1mm~5mmとしうる。〕
(1-c)「The aerosol-generating article may contain a single elongate susceptor. Alternatively, the aerosol-generating article may comprise more than one elongate aerosol-generating article.
Preferably, the aerosol-forming substrate is a solid aerosol-forming substrate. The aerosol-forming substrate may comprise both solid and liquid components.
Preferably, the aerosol-forming substrate comprises nicotine. In some preferred embodiments, the aerosol-forming substrate comprises tobacco. For example, the aerosol- forming material may be a sheet of homogenised tobacco.
Alternatively, or in addition, the aerosol-forming substrate may comprise a non-tobacco containing aerosol-forming material. For example, the aerosol-forming material may be a sheet comprising a nicotine salt and an aerosol former.」(第5頁第35行~第6頁第8行)
〔エアロゾル発生物品は単一の細長いサセプタを含みうる。別の方法として、エアロゾル発生物品は1つ以上の細長いエアロゾル発生物品を備えうる。
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、固体の、および液体の成分を含んでもよい。
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。一部の好ましい実施形態で、エアロゾル形成基体はたばこを含む。例えば、エアロゾル形成材料は均質化したたばこシートとしうる。
別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体はエアロゾル形成材料を含む非たばこを含んでもよい。例えば、エアロゾル形成材料はニコチン塩およびエアロゾル形成体を含むシートとしうる。〕
(1-d)「Figure 1 illustrates an aerosol-generating article 10 according to a preferred embodiment. The aerosol-generating article 10 comprises four elements arranged in coaxial alignment: an aerosol-forming substrate 20, a support element 30, an aerosol-cooling element 40, and a mouthpiece 50. Each of these four elements is a substantially cylindrical element, each having substantially the same diameter. These four elements are arranged sequentially and are circumscribed by an outer wrapper 60 to form a cylindrical rod. A blade-shaped susceptor 25 is located within the aerosol-forming substrate, in contact with the aerosol-forming substrate. The susceptor 25 has a length that is approximately the same as the length of the aerosol-forming substrate, and is located along a radially central axis of the aerosol-forming substrate.
The susceptor 25 is a ferritic iron material having a length of 10 mm, a width of 3 mm and a thickness of 1 mm. One or both ends of the susceptor may be sharpened or pointed to facilitate insertion into the aerosol-forming substrate.」(第13頁第1~13行)
〔図1は好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品10を図示したものである。エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体20、支持要素30、エアロゾル冷却要素40およびマウスピース50という、同軸に整列して配置される4つの要素を含む。これら4つの要素のそれぞれは実質的に円筒形の要素であり、それぞれが実質的に同一の直径を持つ。これらの4つの要素は連続して配列され、外側ラッパー60によって取り囲まれ、円柱状のロッドを形成する。ブレード型のサセプタ25はエアロゾル形成基体内に位置し、エアロゾル形成基体と接触している。サセプタ25はエアロゾル形成基体の長さとほぼ等しい長さを持ち、エアロゾル形成基体の半径方向の中心軸に沿って位置する。
サセプタ25は、長さ10mm、幅3mmおよび厚さ1mmを持つフェライト鉄材料である。サセプタの一端または両端はエアロゾル形成基体への挿入を容易にするように鋭くするかまたは尖らせてもよい。〕
(1-e)「To assemble the aerosol-generating article 10, the four cylindrical elements described above are aligned and tightly wrapped within the outer wrapper 60. In the embodiment illustrated in Figure 1 , the outer wrapper is a conventional cigarette paper. The susceptor 25 is then inserted into the distal end 80 of the assembly such that it penetrates the aerosol-forming substrate 20 to form the complete aerosol-generating article 10.
・・・
When actuated, a high-frequency alternating current is passed through coils of wire that form part of the inductor. This causes the inductor 210 to generate a fluctuating electromagnetic field within the distal portion 231 of the substrate receiving cavity 230 of the device. The electromagnetic field preferably fluctuates with a frequency of between 1 and 30 MHz, preferably between 2 and 10 MHz, for example between 5 and 7 MHz. When an aerosol- generating article 10 is correctly located in the substrate receiving cavity 230, the susceptor 25 of the article 10 is located within this fluctuating electromagnetic field. The fluctuating field generates eddy currents within the susceptor, which is heated as a result. The heated susceptor heats the aerosol-forming substrate 20 of the aerosol-generating article 10 to a sufficient temperature to form an aerosol, for example about 340 degrees Celsius. The aerosol is drawn downstream through the aerosol-generating article 10 and inhaled by the user. Figure 3 illustrates an aerosol-generating article in engagement with an electrically-operated aerosol- generating device.」(第14頁第15行~第15頁第11行)
〔エアロゾル発生物品10を組み立てるために、上記の4つの円柱状要素は外側ラッパー60内で整列させられ、密接に包まれる。図1に図示した実施形態において、外側ラッパーは、従来の紙巻たばこ用紙である。次に、サセプタ25は、エアロゾル形成基体20を貫通して完全なエアロゾル発生物品10を形成するように、組立品の遠位端80に挿入される。
・・・
作動する時、高周波の交流電流がインダクタの一部を形成する巻線コイルを通過する。これにより、インダクタ210が装置の基体受け入れくぼみ230の遠位部分231内に変動電磁場を発生させる。電磁場の周波数は1~30 MHz、好ましくは2~10 MHz、例えば5~7 MHzで変動することが好ましい。エアロゾル発生物品10が基体受け入れくぼみ230内に正しく位置付けられた時、物品10のサセプタ25はこの変動電磁場内に位置する。変動電磁場はサセプタ内に渦電流を発生させ、その結果これが加熱される。加熱されたサセプタはエアロゾルを形成するのに十分な温度まで、例えば約340℃に、エアロゾル発生物品10のエアロゾル形成基体20を加熱する。エアロゾルはエアロゾル発生物品10を通して下流に引き出され、ユーザーによって吸い込まれる。図3は電気的に動作するエアロゾル発生装置と連動するエアロゾル発生物品を図示したものである。〕
(1-f)「
[図:0001388697000001.jpg]
」
(1-g)上記(1-e)には、「エアロゾル発生物品10が基体受け入れくぼみ230内に正しく位置付けられた時、物品10のサセプタ25はこの変動電磁場内に位置する。変動電磁場はサセプタ内に渦電流を発生させ、その結果これが加熱される。加熱されたサセプタはエアロゾルを形成するのに十分な温度まで、例えば約340℃に、エアロゾル発生物品10のエアロゾル形成基体20を加熱する。」と記載され、さらに「電気的に動作するエアロゾル発生装置と連動するエアロゾル発生物品」と記載されているから、先願明細書等には、電気的に動作するエアロゾル発生装置と連動するエアロゾル発生物品が記載されているといえる。
(1-h)上記(1-c)には「エアロゾル発生物品は単一の細長いサセプタを含みうる。」と記載され、上記(1-d)には「ブレード型のサセプタ25はエアロゾル形成基体内に位置し、エアロゾル形成基体と接触している。」及び「サセプタ25は、長さ10mm、幅3mmおよび厚さ1mmを持つフェライト鉄材料である。」と記載されている。
そして、上記(1-e)には「エアロゾル発生物品10が基体受け入れくぼみ230内に正しく位置付けられた時、物品10のサセプタ25はこの変動電磁場内に位置する。変動電磁場はサセプタ内に渦電流を発生させ、その結果これが加熱される。」と記載され、上記(1-b)には「サセプタが一定の断面(例えば、円形断面)を持つ」と記載されている。
さらに、上記(1-f)には、サセプタ25には、実質的に切れ目がないことが示されている。
よって、先願明細書等には、エアロゾル形成基体20内に位置する細長いサセプタ25であって、変動電磁場により加熱されるフェライト鉄材料からなり、実質的に切れ目がなく、一定の断面を持つサセプタ25が記載されているといえる。
(1-i)上記(1-d)には「エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体20、支持要素30、エアロゾル冷却要素40およびマウスピース50という、同軸に整列して配置される4つの要素を含む。これら4つの要素のそれぞれは実質的に円筒形の要素であり、それぞれが実質的に同一の直径を持つ。これらの4つの要素は連続して配列され、外側ラッパー60によって取り囲まれ、円柱状のロッドを形成する。ブレード型のサセプタ25はエアロゾル形成基体内に位置し、エアロゾル形成基体と接触している。」と記載されているから、先願明細書等には、エアロゾル形成基体20とサセプタ25を取り囲む外側ラッパー60が記載されているといえる。
上記(1-a)~(1-i)の事項を総合すると、先願2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「先願明細書等に記載された発明」という。)。
「エアロゾル形成基体20を加熱してエアロゾルを形成するエアロゾル発生装置200と連動するエアロゾル発生物品10であって、エアロゾル形成基体20は、たばこを含むものであり、エアロゾル形成基体20内に位置する細長いサセプタ25であって、変動電磁場により加熱されるフェライト鉄材料からなり、実質的に切れ目がなく、一定の断面を持つサセプタ25と、エアロゾル形成基体20とサセプタ25を取り囲む外側ラッパー60と、を備え、実質的に円筒形の要素であるエアロゾル発生物品10。」
(2)引用例3
当審の拒絶の理由に引用例3として引用された特表平11-507234号公報には以下の事項が記載されている。
(2-a)「さて図5Bおよび5Cを参照して、装飾機160はタバコウエブ66の連続リボンを上包み71の連続リボンと共に2アッププラグ74と80のまわりに順次曲げて行く。タバコウエブ66と上包み71の相対的配置は互いにわずかにずらされていて、プラグ74と80の一側に沿っては上包み71の縁部182がタバコマット66の隣接縁を越えてほんのわずか、好ましくは約1ミリメートルまたはその程度、延び、しかるにプラグ74と80の他側に沿っては上包み71の縁部184がタバコウエブ66の隣接縁を越えて少なくとも数ミリメートル延びるようにするということに留意されるべきである。このような対策は、図5Eに示される如く縁部184がプラグ74と80を完全にとりまいて曲げられて継目189を形成する前に、図5Dに示される如く接着剤施与器186による縁部184に沿う接着剤のビードの施与を考慮に入れたものである。」(第20頁第16~26行)
(2-b)「図5
[図:0001388697000002.jpg]
」
(3)引用例4
当審の拒絶の理由に引用例4として引用された特開2000-93155号公報には以下の事項が記載されている。
(3-a)「【0014】前記内巻紙6及び外巻紙7の重なり合う両側部同士は接着剤等で接着されてなり、また、前記外巻紙7は、少なくとも前記充填部6とフィルター3とを連結すべく両者の端部同士が接合する連結部を覆ってなる。」
(3-b)「図1
[図:0001388697000003.jpg]
」
5 対比
本願発明と先願明細書等に記載された発明とを対比する。
(1)先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル形成基体20」は、たばこを含むものであるから、本願発明の「喫煙材」に相当する。また、先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル発生装置200」は、本願発明の「装置」に相当する。
また、先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル」には、エアロゾル形成基体20に含まれる成分が含まれることは自明な事項である。
よって、先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル形成基体20を加熱してエアロゾルを形成するエアロゾル発生装置200と連動するエアロゾル発生物品10」は、本願発明の「喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品」に相当する。
(2)先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル形成基体20」は、その内部に細長いサセプタ25を位置するものであり、塊であることは明らかである。
(3)先願明細書等に記載された発明の「細長いサセプタ25」、「変動電磁場により加熱されるフェライト鉄材料」は、本願発明の「細長い部材」、「変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材」に、それぞれ、相当する。
よって、先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル形成基体20内に位置する細長いサセプタ25であって、変動電磁場により加熱されるフェライト鉄材料からなり、実質的に切れ目がなく、一定の断面を持つサセプタ25」と、本願発明の「喫煙材の塊の中に配置された細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備え、前記細長い部材の全てが、その中に誘導される渦電流の影響を実質的に等しく受けやすく、前記細長い部材には実質的に切れ目がなく、前記細長い部材の断面は、その長さに沿って一定である、細長い部材」とは、
「喫煙材の塊の中に配置された細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備え、前記細長い部材には実質的に切れ目がなく、前記細長い部材の断面は、その長さに沿って一定である、細長い部材」である点で共通する。
(4)先願明細書等に記載された発明の「外側ラッパー60」は、「カバー」と言うこともできるから、先願明細書等に記載された発明の「エアロゾル形成基体20とサセプタ25を取り囲む外側ラッパー60」は、本願発明の「喫煙材の塊と細長い部材との周りに配置されたカバーであって、前記カバーはラッパーを備え」る、「カバー」に相当する。
(5)先願明細書等に記載された発明の「実質的に円筒形の要素であるエアロゾル発生物品10」は、本願発明の「円形の断面を有する、物品」に相当する。
(6)したがって、本願発明と先願明細書等に記載された発明とは、
「喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、喫煙材の塊と、前記喫煙材の塊の中に配置された細長い部材であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備え、前記細長い部材には実質的に切れ目がなく、前記細長い部材の断面は、その長さに沿って一定である、細長い部材と、前記喫煙材の塊と前記細長い部材との周りに配置されたカバーであって、前記カバーはラッパーを備える、カバーと、を備え、円形の断面を有する、物品。」
である点で一致し、以下の点で一応相違する。
[相違点1]
本願発明は、「細長い部材の全てが、その中に誘導される渦電流の影響を実質的に等しく受けやす」いのに対して、先願明細書等に記載された発明は、そのように特定されていない点。
[相違点2]
本願発明は、「ラッパーは、前記ラッパーの自由端が互いに重なるように喫煙材の周りに巻かれ、前記ラッパーは、前記ラッパーの重ねられた前記自由端を互いにくっつける接着剤を備える」のに対し、先願明細書等に記載された発明は、そのように特定されていない点。
6 判断
(1)上記相違点1について検討する。
先願明細書等に記載された発明において、サセプタ25(細長い部材)は、「フェライト鉄材料からなり、実質的に切れ目がなく、一定の断面を持つ」ものであるから、エアロゾル形成基体20内に位置して変動電磁場により加熱される場合に、変動電磁場により誘導される渦電流の影響を実質的に等しく受けやすいものといえる。
よって、上記相違点1は、実質的な相違点とはいえない。
(2)上記相違点2について検討する。
先願明細書等には、外側ラッパー60が紙巻たばこ用紙であることが記載されている(上記(1-e)参照)。
また、棒状の喫煙材において、自由端が互いに重なるように喫煙材の周りに巻かれ、重ねられた自由端を互いにくっつける接着剤を備えるラッパーを備えることは、例えば、引用例3(第20頁第16~26行、図5)や引用例4(段落【0014】、図1)に記載されるように周知の技術である。
したがって、上記相違点2に係る構成は、周知の技術であり、課題解決のための具体化手段における微差であって新たな効果を奏するものではない。
よって、本願発明と先願明細書等に記載された発明とは実質的に同一である。
(3)請求人の主張について
請求人は、令和4年2月24日付け意見書において、「引用文献2には、『サセプタの一端または両端はエアロゾル形成基体への挿入を容易にするように鋭くするかまたは尖らせてもよい。』(段落0097)と記載されています。そして、引用文献2には、サセプタの断面がその長さに沿って一定であることについては、記載も示唆もされていないため、上記発明特定事項2については、記載も示唆もされていないものと思料致します。そのため、上記発明特定事項2を規定する新請求項1に係る発明は、引用文献2に記載の発明とは実質的に異なるものであると思料致します。また、引用文献2に記載の発明を、上記発明特定事項2を満たすように変形すると、引用文献2に記載の発明は、上記『エアロゾル形成基体への挿入を容易にする』という効果を失うため、当業者がそのような変形を行うことには阻害要因が存在するものと思料致します。」と主張する(「3.本願発明が特許されるべき理由」)。
しかしながら、上記(1-b)には、「サセプタが一定の断面(例えば、円形断面)を持つ」ことが記載されており、上記(1-d)においても「実質的に同一の直径を持つ」と記載されているから、上記請求人のいう引用文献2(先願明細書等)には、サセプタの断面がその長さに沿って一定であることが記載されているといえる。
そして、上記請求人のいう引用文献2(先願明細書等)の段落0097の記載(上記(1-d)の訳文では下から2行目以降)は、「サセプタの一端または両端はエアロゾル形成基体への挿入を容易にするように鋭くするかまたは尖らせてもよい。」というものであって、請求人のいう引用文献2(先願明細書等)にサセプタの断面がその長さに沿って一定であることが記載されていることを前提に、サセプタの端部を鋭くすることを付加的に述べているものに過ぎない。
よって、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
よって、本願発明は、外国語特許出願の先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその優先日前の外国語特許出願に係る先願明細書等に記載された発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-000354