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特許無効審判

2020-800122

接触操作型入力装置およびその電子部品

審判番号
2020-800122
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2005-133824
登録番号
3852854
請求日
2020年12月25日
審決日
2022年01月06日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アップルインコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】大塚 康徳
  • 【請求人代理人】大塚 康弘
  • 【請求人代理人】坂田 恭弘
  • 【請求人代理人】矢倉 千栄
  • 【請求人代理人】稲瀬 雄一
  • 【請求人代理人】増田 郁子
  • 【請求人】Apple Japan 合同会社
  • 【請求人代理人】大塚 康徳
  • 【請求人代理人】大塚 康弘
  • 【請求人代理人】坂田 恭弘
  • 【請求人代理人】矢倉 千栄
  • 【請求人代理人】稲瀬 雄一
  • 【請求人代理人】増田 郁子
  • 【被請求人】株式会社 齋藤創造研究所
  • 【被請求人代理人】上山 浩
  • 【被請求人代理人】井上 拓
審判長/審判官
  • 審判長 角田 慎治
  • 審判官 林 毅
  • 審判官 ▲高▼瀬 健太郎
分類
P1113.121-Y (G06F) / P1113.537-Y (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第3852854号発明「接触操作型入力装置およびその電子部品」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第3852854号(以下、「本件特許」という。)に関する手続の経緯は以下のとおりである。なお、[]内は、書面を提出した当事者を示す。 平成10年 1月 6日 :特願平10-12010号 (以下、「原出願」という。)の出願 平成17年 5月 2日 :原出願の一部を新たな特許出願とした特願 2005-133824号(以下、「本件 出願」という。)の出願 平成18年 8月24日付け:本件出願の特許査定 平成18年 9月15日 :本件特許に係る特許権の設定登録 平成21年 3月 5日 :訂正審判(訂正2009-390032 号)の請求 平成21年 3月31日付け:訂正審判審決(請求成立) 平成21年 4月11日 :訂正審判審決の確定 令和 2年12月25日 :本件無効審判の請求(審判請求書、 甲第1号証ないし甲第14号証の提出) 令和 3年 2月 5日 :[請求人]手続補正書の提出 令和 3年 4月19日 :[被請求人]答弁書、乙第1号証ないし 乙第3号証の提出 令和 3年 6月 8日付け:審理事項通知書 令和 3年 8月11日 :[請求人]陳述要領書、甲第15号証ない し甲第19号証の提出 令和 3年 8月11日 :[被請求人]陳述要領書の提出 令和 3年 8月11日 :[請求人]上申書(1)の提出 令和 3年 8月16日 :[被請求人]上申書の提出 令和 3年 8月24日 :[被請求人]上申書の提出 令和 3年 8月25日 :口頭審理 令和 3年 8月26日 :[請求人]上申書(2)の提出 令和 3年 9月22日 :[請求人]上申書(3)の提出 令和 3年 9月22日 :[被請求人]上申書(1)の提出 令和 3年 9月30日 :[請求人]上申書(4)の提出 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明3」という。また、これらを合わせて「本件特許発明」という。)は、平成21年4月11日に確定した訂正審判(訂正2009-390032号)に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 なお、分説は、審判請求書第16頁第24行~第17頁第18行に記載のものを採用した。(以下、各分説に係る構成要件を、「構成要件A」ないし「構成要件G」という。) 1 本件特許発明1 【請求項1】 A 指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段と、 B 接点のオンまたはオフを行うプッシュスイッチ手段と を有し、 C 前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されており、かつ、 D 前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡上における前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力よりも大きな接触圧力での押下により、前記プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる E ことを特徴とする接触操作型入力装置。 2 本件特許発明2 【請求項2】 G 請求項1記載の接触操作型入力装置であって、前記プッシュスイッチ手段が4つであることを特徴とする接触操作型入力装置。 3 本件特許発明3 【請求項3】 F 請求項1または請求項2記載の接触操作型入力装置を用いた小型携帯装置。 第3 無効理由及び証拠方法 請求人は、「特許第3852854号の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の書証を提出し、以下の無効理由を主張している。 1 無効理由 (1)無効理由1(甲第1号証に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如) 本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (2)無効理由2(甲第2号証に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如) 本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (3)無効理由3(甲第3号証に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如) 本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (4)無効理由4(明確性要件違反) 本件特許の請求項1乃至3に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 2 証拠方法 甲第1号証 実願昭60-47970号(実開昭61-164547号) のマイクロフィルム 甲第2号証 特開平6-111695号公報 甲第3号証 特開平6-96639号公報 甲第4号証 特開平9-251347号公報 甲第5号証 特開昭61-117619号公報 甲第6号証 特開平5-189110号公報 甲第7号証 特開平8-115158号公報 甲第8号証 特開平8-87371号公報 甲第9号証 特開平3-192418号公報 甲第10号証 特許・実用新案審査基準第III部第2章第2節3.1.2 (2) 甲第11号証 「新・注解特許法」第2版第1刷上巻286頁~287頁 甲第12号証 実願平3-92241号(実開平5-36623号) のCD-ROM 甲第13号証 ビデオカセットレコーダー「GV-A700」の取扱説明書 (https://www.sony.jp/ServiceArea/impdf/3860731014.pdf) 甲第14号証 「デジタルビデオカメラHandycamハンディカム|ソニー」 (https://www.sony.jp/handycam/lineup/past.html) 甲第15号証 特開昭61-89717号公報 甲第16号証 特許・実用新案審査基準第III部第2章第2節 甲第17号証 「特許法〔第四版〕」144頁-147頁 甲第18号証 「公知技術の組合せと進歩性」と題する論考(「パテント」 2009 Vol.62 No.8、48頁~57頁) 甲第19号証 特許・実用新案審査基準第III部第2章第3節3.1.1 (1)a 以降、「甲第1号証」ないし「甲第19号証」を、「甲1」ないし「甲19」などと省略して記載する場合がある。 第4 被請求人の主張及び証拠方法 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の書証を提出して、請求人が主張する各無効理由には理由がない旨を主張している。 なお、被請求人は、令和3年9月22日に提出した上申書(1)(第5頁第11~12行)において、「請求人の主張(請求人のいう「圧力検知特許庁解釈」に係る主張)はすべて失当である。」と主張している。 [証拠方法] 乙第1号証 判決書(東京地方裁判所平成25年9月26日) 乙第2号証 判決書(知的財産高等裁判所平成26年4月24日) 乙第3号証 SONY SL-HF900ベータデッキ(premium vintage)ビデオデッキ 通販サイトのページ 第5 当審の判断 1 無効理由4(明確性要件違反)について 事案に鑑み、まず、無効理由4(明確性要件違反)について検討することとする。 (1)明確性要件判断の法規範 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2)特許請求の範囲の記載 本件特許発明1ないし3の「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段」(構成要件A)によれば、「タッチ位置検出センサー」は、「指先でなぞるように操作される」ことが想定されている。 また、本件特許発明1ないし3の「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されており」(構成要件C)は、「プッシュスイッチ手段」について、その「接点のオンまたはオフの状態」が「大きな力で保持されて」おり、当該「大きな力」は、「前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力」との比較において「大きな」「力」であることを規定するものいえる。 また、本件特許発明1ないし3に係る「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡上における前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力よりも大きな接触圧力での押下により、前記プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる」(構成要件D)は、「タッチ位置検出センサーに対する接触圧力」よりも「大きな接触圧力」での押下により「プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる」ことを規定するものといえる。 (3)本件特許明細書等の記載 本件特許発明1ないし3に係る「タッチ位置検知手段」、「接触圧力」及び「プッシュスイッチ手段」に関して、本件特許明細書等には次の記載がある。(なお、頁数及び行番号は、本件特許に係る登録公報に記載のものを援用した。) ア 第4頁第30~35行(【0012】) 「このため、本発明にあっては、直線または平面曲線もしくは空間曲線状の所定の軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーを配したタッチ位置検知手段と、該タッチ位置検出センサーの用いられる軌跡上で指が移動する方向以外の物理的な移動または押下により接点のオンまたはオフを行なうスイッチ手段とを有し、前記タッチ位置検知手段による軌跡上のタッチ位置の状態と、前記スイッチ手段による接点の状態とを一体化させて検知することにより、上述した課題を解決した。」 イ 第4頁第43~45行(【0012】) 「前記タッチ位置検知手段に用いるタッチ位置検出センサーには、軌跡上の接触点において接触時と非接触時の静電容量変化を信号変化として検出する静電誘導式検知手段を用いることにより、同じく上述した課題を解決した。」 ウ 第5頁第3~6行(【0012】) 「前記タッチ位置検知手段に用いるタッチ位置検出センサーには、軌跡の両側に電極を付設し、該電極に駆動電圧と接地電圧をかけて電位分布を発生させて接触点位置の電圧を検知することにより変位、移動量および押圧力を検知する抵抗膜式検知手段を有することにより、同じく上述した課題を解決した。」 エ 第5頁第40~49行(【0012】) 「前記スイッチ手段は、複数のプッシュスイッチによるものとしたことにより、同じく上述した課題を解決した。直線上または曲線上に連続して配置したタッチ位置検知部に指先を接触させることにより該タッチ位置検知部に応じた電気信号または電圧を発生するタッチ位置入力部と、該タッチ位置入力部を所定の範囲で水平に動き得るように保持し、該タッチ位置入力部の接点との間に電気信号または電圧を伝達する手段を有する接点付取付基板と、通常状態で該タッチ位置入力部を水平一定方向へ押しつけるバネ体と、バネ体の付勢力に抗して前記タッチ位置入力部を押すことにより動作するよう接点付取付基板の上に配されたプッシュスイッチ部とから成ることにより、同じく上述した課題を解決した。」 オ 第7頁第22~23行(【0013】) 「また、以上の接触検出センサー付きプッシュキーにより、単純なキーの押下以外に接触もしくは十分に弱い押圧によりイベント入力を行なわせる。」 カ 第7頁第45~47行(【0015】) 「また、以上の接触検出センサー付プッシュキーにより、単純なキーの押下以外に接触もしくは十分に弱い押圧によりイベント入力が行なえる。」 キ 第8頁第15~28行(【0017】) 「タッチ位置検知手段として静電誘導式検知手段(静電容量タイプ)を使用した構成について説明すれば、これは指等の接触を検知するためにガラス等の不導体を介して複数個のコンデンサーC1、C2、C3、・・・を配置し、接触および接近によってこの夫々のコンデンサーC1、C2、C3、・・・の容量が変化することを検知する方式である。ここではコンデンサーC1、C2、C3、・・・は連続して所定の軌跡の下に連続して配置する。図1に示すように、連続して配置したコンデンサーC1、C2、C3、・・・に対してパルス発生回路1より、デコーダとカウンタを内蔵したスキャンドライブ回路2を介して順番に電圧をかけることによりCR移相発振回路3より発生した周波数信号を周波数比較回路4へ送り、この信号と、予め前記パルス発生回路1よりコントロール回路5を介して周波数比較回路4へ送られた基準信号とを比較し、さらに周波数比較回路4からの信号と前記コントロール回路5からの基準信号とを判定回路6に同時に送りそこで両信号を判定することにより接触によって変わったコンデンサー容量を検知して指の接触位置を検知するのである。」 ク 第9頁第8~18行(【0020】) 「タッチ位置検知手段として抵抗膜式検知手段(抵抗膜電極タイプ)を使用した構成について説明すれば、図6に示すように、これは電極Aと電極Bとを均質な抵抗膜30を挟んでこれに駆動電圧と接地電圧をかけて電位分布Qを発生させるものである。そして、図7に示すように、この抵抗膜30に導体から成る電極31を抵抗膜30と平行して上部もしくは下部に配設し、指等の接触により抵抗膜30と、平行した電極31とを接触導通させ、その接触により変化した電圧を電圧測定器32でもって測定することにより接触点の位置を検出するものである。以上説明したように各種の検知手段によれば、接触点をその軌跡に1対1に対応させた1次元座標上の位置データとして出力されるものであり、特にアナログ式に十分に近い場合では指先の動きでもって方向が容易に認識できると共に、デジタル式でもポイント数が多い場合には認識可能となるものである。」 ケ 第12頁第26~37行(【0034】) 「また、単純に接点のオンオフを行なっている入力キーに少ない接触圧力により更にもう1つの入力を行なわせたい場合や、単純に接点のオンオフを行なっている入力装置に、アナログ量の入力も行なわせたい場合には、例えば図20乃至図21に示すように、キートップ80に例えば小円形状の接触検出センサー81を付設し、1つの接触を検知する手段を持たせた(図20(A)参照)ものや、またはキートップ80に例えば矩形パネル状の複数の接触検出センサー81A、81B、・・・を付設し、接触を検知する手段を持たせたり(図20(B)参照)、もしくはキートップ80の全面に矩形状のタッチパネル82を付設し、接触を検知する手段を持たせたり(図20(C)、(D)参照)することができる。さらに、キートップ80の上面周縁には指先でなぞるようにして操作されるための例えばリング状の接触検知部83を付設し、キートップ80をプッシュしたときにセンサーの接点84が接合したり(図21(A)乃至(B)参照)、もしくは逆に離れるようにするものであっても良い。」 コ 【図6】 「 [図:0001403016000001.jpg] 」 (4)当審の判断 上記(3)のアより、本件特許明細書等の記載によれば、本件特許発明の課題解決手段は、タッチ位置検出センサーを配したタッチ位置検知手段と、接点のオンまたはオフを行なうスイッチ手段(プッシュスイッチ手段)とを有し、前記タッチ位置検知手段による軌跡上のタッチ位置の状態と、前記スイッチ手段(プッシュスイッチ手段)による接点の状態とを一体化させて検知することである。 また、上記(3)のイ、ウ、キ及びクより、タッチ位置検知手段のタッチ位置検出センサーとして、抵抗膜式検知手段と、静電誘導式検知手段が例として挙げられている。 このうち、抵抗膜式検知手段は、上記(3)のウによれば、接触点位置の電圧を検知することにより変位、移動量および押圧力を検知するものとされているが、抵抗膜式検知手段の詳細を記載した上記(3)のク及びコによれば、抵抗膜式検知手段は、指等の接触により抵抗膜30とこれに平行した電極31とを接触導通させ、その接触により変化した電圧を電圧測定器32で測定することにより接触点の位置を検出するものであって、抵抗膜30と電極31とが接触するために必要な押圧力以上の押圧力が加えられた結果として、その押圧力が加えられた位置を接触点と判断するものである。 これに対し、静電誘導式検知手段は、上記(3)のイ及びキからすれば、接触により静電容量が変化した位置を接触がなされた接触点として検知するものであり、静電容量が変化するために必要な接触がなされた位置を接触点と判断するものである。 なお、本件特許明細書には、タッチ位置検知手段のタッチ位置検出センサーの例として、上述した抵抗膜式検知手段と、静電誘導式検知手段以外に、可動電極式検知手段(【0018】)、光学式検知手段(【0019】)、直流抵抗検知方式(【0021】)、電磁誘導方式及び超音波検知方式(【0022】)が挙げられているが、これらも、接触点を検知するために必要な接触又は圧力が加えられた位置を接触点として判断するものである。 一方、プッシュスイッチ手段の例として、上記(3)のエには、バネ体の付勢力に抗してタッチ位置入力部を押すことにより、タッチ位置入力部の接点と接点付取付基板の接点とが接触することにより動作するプッシュスイッチが挙げられており、当該プッシュスイッチを動作させるためには、バネ体の付勢力に抗するだけの押圧力を要するものと理解することができる。 そして、上記(3)のオ及びカによれば、接触検出センサー付きプッシュキーにより、単純なキーの押下以外に接触もしくは十分に弱い押圧によりイベント入力を行うことができ、上記(3)のケによれば、単純に接点のオンオフを行なっている入力キーに少ない接触圧力により更にもう1つの入力を行うことができ、具体的には、キートップに接触検知部を付設し、接触検知部に対しては指先でなぞるようにして操作することができるものとされている。 以上からすると、本件特許明細書等には、タッチ位置検知手段のタッチ位置検出センサーは、抵抗膜式検知手段、静電誘導式検知手段等の検知手段の如何に関わらず、、指先でなぞる程度の接触若しくは十分に弱い押圧がなされた際にその位置を接触点として検知するものであり、一方、プッシュスイッチ手段は、バネ体の付勢力に抗するだけの押圧力により動作するものであることが記載されているといえる。 また、特許請求の範囲の記載は、上記(2)のとおりであるところ、本件特許発明1ないし3に係る「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されており」(構成要件C)は、「プッシュスイッチ手段」の「接点」をオン又はオフにするために、すなわち、「プッシュスイッチ手段」を操作するために必要な「力」を規定するものであって、その「力」の比較対象として、「前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力」が特定されているのであるから、「プッシュスイッチ手段」を操作するために必要な「力」に対応する事物が比較の対象となると考えるのが合理的である。 そして、上記(2)のとおり、本件特許発明1ないし3係る「タッチ位置検出センサー」は「指先でなぞるように操作される」ことが想定されている。 そうすると、「前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力」は、「タッチ位置検出センサー」が、「指先でなぞるように操作される」際の接触点を検出するために必要な「接触圧力」と理解される。 また、上記の理解からすれば、本件特許発明1ないし3に係る「前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力」(構成要件D)も、「タッチ位置検出センサー」が、「指先でなぞるように操作される」際の接触点を検出するために必要な「接触圧力」と理解することが相当である。 したがって、本件特許明細書等の記載によれば、構成要件CおよびDは、「プッシュスイッチ手段」が、「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」とともに、当該接点のオンまたはオフの状態を保持するために必要な力及び当該接点をオンまたはオフにするための押下の力が、「タッチ位置検出センサー」が、「指先でなぞるように操作される」際の接触点を検出するために必要な接触圧力よりも大きいことを規定するものであると理解することができる。 よって、本件特許発明1ないし3は、明確に理解することができる。 なお、請求人は、審判請求書第24頁第1~5行において、 「構成要件Cの「タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力」という記載から、本件特許発明のタッチ位置検出センサーは圧力を検知可能なものに限定され、例えば圧力を検知する能力を持たない静電容量方式のタッチセンサー(以下、「静電容量センサー」と呼ぶ。)は本件特許発明の技術的範囲から除外されるものと解される。」と主張する。 しかしながら、前述のとおり、構成要件Cの「前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力」は、「タッチ位置検出センサー」が、「指先でなぞるように操作される」際の接触点を検出するために必要な「接触圧力」と理解することができるものであって、「タッチ位置検出センサー」について,圧力を検知可能なものに限定しているとはいえない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (5)無効理由4についての小括 前記(2)ないし(4)において述べたように、本件特許発明1ないし3は、(1)の法規範に照らして明確であるから、無効理由4は理由がない。 したがって、無効理由4により本件特許発明1ないし3についての特許を無効とすることはできない。 2 無効理由1ないし3(進歩性欠如)について (1)引用文献(甲号証)の記載事項、引用発明等 無効理由1ないし3に関して、請求人が引用する引用文献(甲号証)の記載事項は次のとおりである。 ア 甲第1号証について (ア)甲第1号証記載事項 甲1には、図面とともに次のとおりの記載がある。(下線は、強調のため当審が付与した。以降についても同様。) (第2頁第3~8行) 「(産業上の利用分野) 本考案は、接触操作検出部が設けられたタッチパネルを接触操作することにより、電子機器の動作制御等のための制御信号を得ることができる、タッチパネル部が利用された制御信号発生装置に関する。」 (第2頁第9行~第3頁第6行) 「(考案の概要) 本考案は、接触操作検出部が設けられたタッチパネルを備え、そのタッチパネルに対する接触操作に応じた制御信号を発生するタッチパネル式制御信号発生装置において、タッチパネルの接触操作検出部を円環状に配列された複数の接触操作検出区分が設けられたものとなし、これら複数の接触操作検出区分の夫々から得られる出力を順次取り出して、取り出された出力に基づき、複数の接触操作検出区分の配列部に対する回動接触操作の移動方向及び移動速度に応じた移動検出出力を得、それに基づく制御信号を形成することにより、タッチパネルの円環状に配列された複数の接触操作検出区分に対する回動接触操作を連続的に行って、所望の制御信号を継続的に発生させることができるようにしたものである。」 (第3頁第7行~第4頁第17行) 「(従来の技術) 磁気テープを用いて映像信号の記録及び再生を為すビデオテープレコーダにおいて、磁気テープに記録された映像信号を記録時における走行速度と等しい速度で磁気テープを走行させて再生するノーマル再生動作に加え、磁気テープに記録された映像信号を記録時における走行速度とは異なる速度で磁気テープを走行させて再生する変速再生動作を行うことができるものがある。そして、さらに、変速再生動作状態時に、磁気テープを予め設定された速度で走行させるだけでなく、制御手段を操作することによって走行中の磁気テープの走行速度を変化させ、変速再生された映像信号に基づく再生画像の態様を変化させるように為す特殊変速再生モードをとることができるものも知られている。 このような特殊変速再生モードがとられる場合における磁気テープの走行速度を変化させる動作は、磁気テープの走行に直接関与するキャプスタンを回動させるキャプスタンモータや磁気テープを巻き取るテープリールを回動させるテープリール駆動モータ等を含むテープ駆動系が、制御手段の操作により形成される制御信号に基づいて制御されて行われる。そして、斯かる場合に操作される制御手段としては、回転ダイアルを備えたポテンショメータ等が用いられるのが一般的であり、回転ダイアルの回動方向に応じて磁気テープの走行方向が定められ、また、回転ダイアルの回動量の変化に応じて磁気テープの走行速度が変化せしめられる。」 (第4頁第18行~第7頁第14行) 「(考案が解決しようとする問題点) 上述の如くに、ビデオテープレコーダの特殊変速再生モード時にテープ駆動系に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段として回転ダイアルを備えたポテンショメータ等が用いられる場合、その回転ダイアルを回動させる操作は、ビデオテープレコーダの動作制御に要求される他の操作と相俟って、比較的煩わしいものとなる。そこで、斯かる特殊変速再生モード時にテープ駆動系に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段に適用される場合に、その操作を容易なものとすることかできるものとして、タッチパネルを利用した制御信号供給装置が、本出願人により、特願昭59-211031号として既に提案されている。このタッチパネルを利用した制御信号供給装置は、複数の分割された検出領域が直線的に配列されたタッチパネルを備え、そのタッチパネルを複数の検出領域の配列方向に沿って接触操作することにより、接触操作方向と接触操作速度に応じた制御信号を発生させることができるものとされており、これが特殊変速再生モード時に操作される制御手段に適用される場合には、タッチパネルを複数の検出領域の配列に沿って接触操作するだけで、磁気テープをタッチパネルに対する接触操作方向に応じた方向に、接触操作速度に応じた速度で走行させるようにする制御信号を、テープ駆動系に供給することができる。 しかしながら、斯かる場合、特殊変速再生モート状態での磁気テープに対する一定の方向における走行制御を連続的に行おうとするに際しては、タッチパネルに対する接触操作をその一端から他端へと繰り返し行うことになるが、タッチパネルの一端から他端への1回の接触操作が終了して次の接触操作が開始される迄の間に、タッチパネルの他端から一端への操作戻り時間がとられるので、制御信号を継続的に発生させることができず、そのため、磁気テープに対する連続的な走行制御は行えないことになるという問題がある。 斯かる点に鑑み、本考案は、接触操作面を有するタッチパネルを備え、そのタッチパネルに対する接触操作の移動方向と移動速度とに応じた制御信号を発生することができて、しかも、タッチパネルに対する接触操作における一定の移動方向に応じ、その移動速度に応じた制御信号を任意の時間だけ継続的に発生させることができ、そのため、ビデオテープレコーダにおける特殊変速再生モード時にテープ駆動系に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段に適用される場合に、タッチパネルを接触操作するだけの容易な操作により、特殊変速再生モード状態における磁気テープの走行制御のための制御信号をテープ駆動系に供給できるとともに、斯かる制御信号を特殊変速再生モード状態において磁気テープを所望の一定方向に、所望の速度で走行させる制御を連続的に行えるものとすることができるタッチパネル式制御信号発生装置を提供することを目的とする。」 (第7頁第15行~第8頁第9行) 「(問題点を解決するための手段) 上述の目的を達成すべく、本考案に斯かるタッチパネル式制御信号発生装置は、接触操作面を有すとともにこれに関連して円環状に配列された複数の接触操作検出区分が設けられ、各接触操作検出区分から出力が得られるタッチパネルと、タッチパネルの接触操作検出区分の夫々からの出力を順次取り出す走査部と、走査部の出力に基づき、複数の接触操作検出区分の配列部に対する接触操作面上での回動接触操作の移動方向及び移動速度に応じた移動検出出力を発生する回動接触操作検出手段と、この回動接触操作検出手段からの移動検出出力に基づく制御信号を形成する制御信号形成部とを備えて構成される。」 (第8頁第10行~第9頁第10行) 「(作用) 上述の如くの本考案に斯かるタッチパネル式制御信号発生装置においては、タッチパネルの接触操作面上において複数の接触操作検出区分の配列部に対応しての回動接触操作がなされるとき、接触操作検出区分の夫々から順次得られる出力が走査部により取り出され、回動接触操作検出手段において、取り出された出力に基づき、タッチパネルの接触操作面上における回動接触操作の移動方向及び移動速度が検出されてそれらに応じた移動検出出力が得られる。そして、制御信号形成部により、斯かる移動検出出力手段に基づく制御信号が形成される。 このため、タッチパネルの接触操作面上において複数の接触操作検出区分の配列部に対応しての回動接触操作を継続的に行うことにより、タッチパネルに対する回動接触操作における一定の移動方向に応じ、かつ、その移動速度に対応した所望の制御信号を任意の時間だけ継続的に発生させることができる。」 (第9頁第11~19行) 「(実施例) 以下、本考案の実施例について図面を参照して述べる。 第1図は、本考案に斯かるタッチパネル式制御信号発生装置の一例をこれが適用されたビデオテープレコーダの一部分とともに示し、この例は、ビデオテープレコーダのテープ駆動部に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段を構成するものとされている。」 「第1図 [図:0001403016000002.jpg] 」 (第10頁第1行~第17頁末行) 「この例においては、円盤状に形成されたタッチパネル11を備えており、このタッチパネル11は、その第1図におけるII-II断面を含んだ側面を示す第2図にも示される如く、円盤状の絶縁基板13の一面上に、複数の検出電極15と複数のアース電極17とが絶縁基板13の円周に沿う円環状配置をもって交互に配列され、これら絶縁基板13及びその上に配された検出電極15とアース電極17との全体が絶縁層19で覆われて形成されている。そして、検出電極15及びアース電極17が交互に、かつ、円環状に配列された絶縁基板13の一面を覆う絶縁層19の外面が接触操作面21とされており、また、中央部には透孔11Aが設けられている。 複数の検出電極15の夫々には、パルス電圧発生部23から所定のパルス電圧PVが、図示されていない所定の抵抗を通して供給されるとともに、複数のアース電極17は共通に接地され、各検出電極15とそれに隣接する1個のアース電極17との組によって、接触操作検出区分が形成されている。従って、円盤状の絶縁基板13の一面上には、複数の接触操作検出区分が円環状に配列されていることになり、これら複数の接触操作検出区分に対して接触操作面21が、例えば、指Fにより、複数の接触操作検出区分の円環状の配列に沿って矢印aもしくはbの方向に回動接触操作されるべく設けられているのである。 そして、各接触操作検出区分を形成する検出電極15とそれに隣接するアース電極17との間には、所定の静電容量が形成されており、検出電極15にパルス電圧発生部23から所定のパルス電圧PVが、その各パルスPが、例えば、第3図Aに示される如くの波形を有するものとして、所定の抵抗を通じて供給されるとき、接触操作面21が指Fで回動接触操作されていない場合には、各検出電極15に、各パルスPに応じて、上述の抵抗の値及び検出電極15とそれに隣接するアース電極17との間の静電容量の値に応じた充放電動作により、第3図Bにおいて破線で示される如くの電圧VPが得られる。一方、接触操作面21が指Fで回動接触操作される場合には、接触操作面21上の指Fの接触部に対応する位置における各接触操作検出区分を形成する検出電極15とそれに隣接するアース電極17との間には、指Fの存在に起因する静電容量が接続されることと等価になり、斯かる検出電極15とそれに隣接するアース電極17との間の静電容量の値が増大されることになる。従って、この場合、接触操作面21上の指Fの接触部に対応しない位置における各接触操作検出区分を形成する検出電極15には、各パルスPに応じて、接触操作面21が指Fで回動接触操作されていない場合と同様に、第3図Bにおいて破線で示される如くの電圧VPが得られるが、接触操作面21上の指Fの接触部に対応する位置における各接触操作検出区分を形成する検出電極15には、各パルスPに応じて、上述の抵抗の値及び検出電極15とそれに隣接するアース電極17との間の増大された静電容量の値に応じた充放電動作により、第3図Bにおいて実線で示される如くの、接触操作面21上の指Fの接触部に対応しない位置における各接触操作検出区分を形成する検出電極15に得られる電圧VPより低い電圧VQが得られる。 このようにして、タッチパネル11においては、その接触操作面21に対する回動接触操作が、各接触操作検出区分を形成する検出電極15に得られる電圧の変化として検出されるのであり、各接触操作検出区分はそれを形成する検出電極15に得られる電圧に応じた出力VSを外部に導出する。 タッチパネル11の各接触操作検出区分を形成する検出電極15は、走査部31に接続されている。走査部31は、各接触操作検出区分を形成する検出電極15を、所定の位置にある1個を基点としてその配列方向に順次周回走査し、斯かる周回走査を継続的に繰り返して、各接触操作検出区分からの出力VSを順次取り出す。走査部31により順次取り出された各接触操作検出区分からの出力VSは、メモリ33に供給され、その走査部31による1周回走査によって取り出される分、即ち、1走査分の出力VSがメモリ33に順次保持される。そして、メモリ33に保持された1走査分の出力VSは順次読み出されて位置データ発生部35に供給される。 位置データ発生部35は、各1走査分の出力VSについて、例えば、上述の電圧VPと電圧VQとの差に基づいて生じる変化を検出し、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作が行われる場合における、接触操作位置を表す位置データDpを発生する。このようにして、位置データ発生部35から走査部31による各周回走査に応じて順次得られる位置データDpは、データ比較部39の一方の入力端に直接供給されるとともに、データ比較部39の他方の入力端に、メモリ37を介して走査部31による1周回走査期間に対応する時間だけ遅らされ、遅延位置データDp’とされて供給される。データ比較部39は、位置データ発生部35及びメモリ37の夫々から同時に供給されることになる、位置データ発生部35から走査部31による各周回走査に応じて順次得られる位置データDpのうちの連続する2つを相互比較して、両者間の変化を表す比較出力データDcを発生し、それを移動検出部41に供給する。 移動検出部41は、比較出力データDcに基づいて、位置データ発生部35から走査部31による各周回走査に応じて順次得られる位置データDpにおける変化の方向と速度とを検出する。ここで、位置データDpにおける変化の方向と速度とは、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作が行われる場合における、接触操作の移動方向と移動速度とに対応したものとなるので、移動検出部41は、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作が行われる場合における、接触操作の移動方向と移動速度とを検出することになり、検出された接触操作面21における回動接触操作の移動方向と移動速度に応じた移動検出出力Sxを発生する。 移動検出部41から得られる移動検出出力Sxは制御信号形成部43に供給され、制御信号形成部43は、移動検出出力Sxに基づく制御信号S1及びS2を形成して、それらを制御信号出力端子45及び47から夫々送出する。 この例においては、上述の如くにして、制御信号出力端子45及び47に、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作が行われる場合に、その接触操作の移動方向と移動速度に応じた制御信号S1及びS2が得られるのであり、この例は、ビデオテープレコーダのテープ駆動部に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段を構成するものとされていて、これら制御信号S1及びS2が、ビデオテープレコーダのテープ駆動部を構成するキャプスタンモータ51及びテープリール駆動モータ53を夫々駆動する駆動制御部55及び57に供給される。これにより、キャプスタンモータ51の回転方向及び回転速度が、駆動制御部55により制御信号S2に応じて制御され、また、テープリール駆動モータ53の回転方向及び回転速度が、駆動制御部57により制御信号S2に応じて制御されて、磁気テープTの走行方向及び走行速度が、タッチパネル11の接触操作面21に対して行われる回動接触操作の移動方向と移動速度に応じたものとされる。 斯かる例にあっては、タッチパネル11の接触操作面21に対する複数の接触操作検出区分の円環状の配列に沿って行う回動接触操作は、第1図における矢印AもしくはBで示される1方向に、任意の繰返し回数をもって継続的に行うことができ、このようなタッチパネル11の接触操作面21に対する継続的な繰返し回動接触操作が行われる場合には、制御信号出力端子45及び47から、第1図における矢印AもしくはBで示される1方向における回動接触操作の移動方向に応じ、かつ、その移動速度に応じた制御信号S1及びS2が、回動接触操作が行われている間、継続的に送出される。そして、それにより、ビデオテープレコーダの特殊変速再生モード時において、磁気テープTを所望の一方向に、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作速度に応じた速度で走行させる制御を、継続的に行うことができることになる。」 「第2図 [図:0001403016000003.jpg] 」 「第3図 [図:0001403016000004.jpg] 」 (第18頁第1行~第19頁第4行) 「(考案の効果) 以上の説明から明らかな如く、本考案に係るタッチパネル式制御信号発生装置によれば、タッチパネルに対する接触操作の移動方向と移動速度とに応じた制御信号を発生することができ、しかも、タッチパネルに対する継続的な繰返し回動接触操作を行うことにより、その回動接触操作における一定の移動方向に応じ、かつ、その移動速度に応じた制御信号を任意の時間だけ継続的に発生させることができる。従って、本考案に係るタッチパネル式制御信号発生装置が、ビデオテープレコーダにおける特殊変速再生モード時にテープ駆動系に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段に適用される場合には、タッチパネルを接触操作するだけの容易な操作により、特殊変速再生モード状態における磁気テープの走行制御のための制御信号をテープ駆動系に供給でき、しかも、タッチパネルに対する回動接触操作を継続的に繰り返すことにより、テープ駆動系に供給される制御信号を、特殊変速再生モード状態において磁気テープを所望の一方向に、所望の速度で走行させる制御を任意の時間だけ連続的に行えるものとすることができる。」 (イ)甲1発明 前記(ア)より、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「 ビデオテープレコーダのテープ駆動部に対する制御信号を発生すべく操作される制御手段を構成するものとされ、 円盤状に形成されたタッチパネル11を備え、 タッチパネル11は、円盤状の絶縁基板13の一面上に、複数の検出電極15と複数のアース電極17とが絶縁基板13の円周に沿う円環状配置をもって交互に配列され、これら絶縁基板13及びその上に配された検出電極15とアース電極17との全体が絶縁層19で覆われて形成され、検出電極15及びアース電極17が交互に、かつ、円環状に配列された絶縁基板13の一面を覆う絶縁層19の外面が接触操作面21とされており、 複数の検出電極15の夫々には、パルス電圧発生部23から所定のパルス電圧PVが、所定の抵抗を通して供給されるとともに、複数のアース電極17は共通に接地され、各検出電極15とそれに隣接する1個のアース電極17との組によって、接触操作検出区分が形成され、従って、円盤状の絶縁基板13の一面上には、複数の接触操作検出区分が円環状に配列されていることになり、これら複数の接触操作検出区分に対して接触操作面21が、例えば、指Fにより、複数の接触操作検出区分の円環状の配列に沿って回動接触操作されるべく設けられ、 タッチパネル11の各接触操作検出区分を形成する検出電極15は、走査部31に接続され、走査部31は、各接触操作検出区分を形成する検出電極15を、所定の位置にある1個を基点としてその配列方向に順次周回走査し、斯かる周回走査を継続的に繰り返して、各接触操作検出区分からの出力VSを順次取り出し、走査部31により順次取り出された各接触操作検出区分からの出力VSは、メモリ33に供給され、その走査部31による1周回走査によって取り出される分、即ち、1走査分の出力VSがメモリ33に順次保持され、そして、メモリ33に保持された1走査分の出力VSは順次読み出されて位置データ発生部35に供給され、 位置データ発生部35は、各1走査分の出力VSについて、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作が行われる場合における、接触操作位置を表す位置データDpを発生し、位置データDpは、データ比較部39の一方の入力端に直接供給されるとともに、データ比較部39の他方の入力端に、メモリ37を介して走査部31による1周回走査期間に対応する時間だけ遅らされ、遅延位置データDp’とされて供給され、 データ比較部39は、位置データ発生部35から走査部31による各周回走査に応じて順次得られる位置データDpのうちの連続する2つを相互比較して、両者間の変化を表す比較出力データDcを発生し、それを移動検出部41に供給し、移動検出部41は、比較出力データDcに基づいて、位置データ発生部35から走査部31による各周回走査に応じて順次得られる位置データDpにおける変化の方向と速度とを検出することにより、タッチパネル11の接触操作面21に対する回動接触操作が行われる場合における、接触操作の移動方向と移動速度とを検出し、 検出された接触操作面21における回動接触操作の移動方向と移動速度に応じた移動検出出力Sxを発生し、 移動検出部41から得られる移動検出出力Sxは制御信号形成部43に供給され、制御信号形成部43は、移動検出出力Sxに基づく制御信号S1及びS2を形成し、これら制御信号S1及びS2が、ビデオテープレコーダのテープ駆動部を構成するキャプスタンモータ51及びテープリール駆動モータ53を夫々駆動する駆動制御部55及び57に供給され、これにより磁気テープTの走行方向及び走行速度が、タッチパネル11の接触操作面21に対して行われる回動接触操作の移動方向と移動速度に応じたものとされる、 制御信号発生装置。」 イ 甲第2号証について (ア)甲第2号証記載事項 甲第2号証(甲2)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、VTR、CDプレーヤ、ビデオディスクプレーヤ及びDAT等において正、逆のスローやコマ送り及びボリュームのアップ/ダウン等を行うためのジョグダイヤル状スイッチに関する。」 「【0002】 【従来の技術】近年、VTR、CDプレーヤ、ビデオディスクプレーヤ及びDAT等においては正、逆のスローやコマ送り及びボリュームのアップ/ダウン等を行うためのジョグダイヤル状スイッチが採用されている。 【0003】このようなジョグダイヤル状スイッチは、たとえば図1及び図2に示すように、回転部材3が操作パネル部1の凹部2に位置した状態で、プリント基板4に取付けられているロータリエンコーダ5の回転軸6に取付けられている。」 「【図1】 [図:0001403016000005.jpg] 」 「【図2】 [図:0001403016000006.jpg] 」 「【0012】しかしながら、上述したジョグダイヤル状スイッチでは、図2に示したように、可動部分である回転部材3を必要としていることから部品点数が増加し、また構造上、ジョグダイヤル状スイッチの厚みを薄くするには限度があり、操作パネル部1の薄型化を図る上で妨げとなっている。 …(中略)… 【0014】本発明は、このような事情に対処してなされたもので、簡単な構成で操作パネル部の薄型化及び操作性の向上を図ることができるジョグダイヤル状スイッチを提供することを目的とする。」 「【0020】図5は、本発明のジョグダイヤル状スイッチの一実施例を示すものであり、操作パネル部1の操作面には静電容量型のタッチ式のスイッチ部30が設けられている。スイッチ部30には、菊花状に設けられた複数のセンサー部31が設けられている。各センサー部31は操作パネル部1に対し凸凹しないように面ーに設けられている。 【0021】スイッチ部30の操作に際しては、たとえば図6に示すように、センサ一部31の表面を指でなぞることにより、後述するように、回転方向や回転量が検出される。このとき、同図(C)や(D)のように、各センサー部31の表面にガイド溝やガイド突起を設けたり、各センサー部31の中央に突起等を設けてもよく、この場合、ブラインドタッチが可能となり、センサー部31を容易になぞることができる。 【0022】なお、スイッチ部30においては、この例のようにタッチ式に限らず静電容量型のノンタッチ式であってもよく、更には圧力センサー等の他の検出手段によって構成してもよい。」 「【図5】 [図:0001403016000007.jpg] 」 「【図6】 [図:0001403016000008.jpg] 」 「【0031】図11は、上記の静電容量型のタッチ式のスイッチ部30からの検出信号に基づいてビデオ信号を再生制御したりボリュームのアップ/ダウンを行う被制御回路部44を制御するための制御系の構成を簡単に示すものである。同図に示すように、指がセンサー部31に触れると静電容量変化検出部40が静電容量の変化を検出する。波形成形部41は、静電容量変化検出部40の静電容量の変化の検出結果をディジタル信号に変換する。 【0032】制御部43は、それぞれの波形成形部41からのディジタル信号に基づき、再生機構や増幅回路等である被制御回路部44の動作を制御する。 【0033】ここで、指によるセンサー部31のオン/オフ状態やオン/オフの変化の判断は、たとえば次のようにして行われる。つまり、たとえば波形成形部41からの出力パルス幅が広い場合には、それぞれのセンサー部31をなぞる指の回転速度がゆっくりしたものであると判断する。一方、それぞれの波形成形部41からのパルス幅が狭い場合には、それぞれのセンサー部31をなぞる指の回転速度が速いものであると判断する。」 「【図11】 [図:0001403016000009.jpg] 」 「【0058】図17は、スイッチ部30に対してファンクション機能を合せ持たせた場合の他の実施例を示すもので、上記同様にセンサー部31A、31B、31C…円周上に配設されている。各センサー部31A、31B、31C…には、それぞれたとえばチューナ、VTR、テープデッキ、その他各種機器の選択モードが持たされている。 【0059】そして、いずれかのセンサー部31A、31B、31C…にタッチして動作モードを選択した後は、各センサー部31A、31B、31C…が上述したように、たとえばボリュームのアップ/ダウンの検出モードに切換えられる。 【0060】また、たとえばセンサー部31Aにタッチし、チューナを選択した後、センサー部31A、31B、31C…を右回りになぞると、ボリュームがアップされ、左回りになぞるとボリュームがダウンされる。また、たとえばセンサー部31Aを2度タッチすることにより、各センサー部31A、31B、31C…に周波数のアップ/ダウンの操作モードをもたせるようにしてもよく、この場合にはセンサー部31A、31B、31C…をたとえば右回りになぞることにより選択周波数が高くなり、左回りになぞることにより選択周波数が低くなる。」 「【図17】 [図:0001403016000010.jpg] 」 「【0064】図20は、スイッチ部30を横並びとした場合の他の実施例を示すものである。この例では、上述したように、各センサー部31A、31B、31C…にチューナ等の選択モードを持たせてもよく、更にそれぞれのセンサー部31A、31B、31C…を横方向になぞることにより、ボリュームのアップ/ダウンや周波数のアップ/ダウンを行うことができる。」 「【図20】 [図:0001403016000011.jpg] 」 「【0069】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のジョグダイヤル状スイッチによれば、面上に配設されたそれぞれの検出部に対する接触又は非接触によるオン/オフの状態及び/又は変化に基づいて回転方向と回転量を検出するようにしたので、従来のような回転部材を不要とすることができる。また、スイッチ部をたとえばフィルム状とすることで、配設すべき箇所を平面に限らず曲面状であってもその配設が可能となる。 …(中略)… 【0071】その結果、簡単な構成で操作パネル部の薄型化及び操作性の向上を図ることができる。」 (イ)甲2発明 前記(ア)より、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「 操作パネル部1の操作面には静電容量型のタッチ式のスイッチ部30が設けられ、スイッチ部30には、菊花状に設けられた複数のセンサー部31が設けられ、スイッチ部30の操作に際しては、センサー部31の表面を指でなぞることにより、回転方向や回転量が検出され、 スイッチ部30においては、タッチ式に限らず静電容量型のノンタッチ式であってもよく、更には圧力センサー等の他の検出手段によって構成してもよく、 静電容量型のタッチ式のスイッチ部30からの検出信号に基づいてビデオ信号を再生制御したりボリュームのアップ/ダウンを行う被制御回路部44を制御するための制御系の構成においては、指がセンサー部31に触れると静電容量変化検出部40が静電容量の変化を検出し、波形成形部41は、静電容量変化検出部40の静電容量の変化の検出結果をディジタル信号に変換し、制御部43は、それぞれの波形成形部41からのディジタル信号に基づき、再生機構や増幅回路等である被制御回路部44の動作を制御し、 ここで、波形成形部41からの出力パルス幅が広い場合には、それぞれのセンサー部31をなぞる指の回転速度がゆっくりしたものであると判断し、一方、それぞれの波形成形部41からのパルス幅が狭い場合には、それぞれのセンサー部31をなぞる指の回転速度が速いものであると判断し、 スイッチ部30に対してファンクション機能を合せ持たせた場合は、センサー部31A、31B、31C…円周上に配設され、各センサー部31A、31B、31C…には、それぞれたとえばチューナ、VTR、テープデッキ、その他各種機器の選択モードが持たされ、いずれかのセンサー部31A、31B、31C…にタッチして動作モードを選択した後は、各センサー部31A、31B、31C…が上述したように、たとえばボリュームのアップ/ダウンの検出モードに切換えられ、たとえばセンサー部31Aにタッチし、チューナを選択した後、センサー部31A、31B、31C…を右回りになぞると、ボリュームがアップされ、左回りになぞるとボリュームがダウンされる、 ジョグダイヤル状スイッチ。」 ウ 甲第3号証について (ア)甲第3号証記載事項 甲第3号証(甲3)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ジョグ機能を備えたシートタイプのメンブレンスイッチに関する。 【0002】 【従来の技術】最近、VTR、CDプレーヤ、ビデオディスク、DAT等の編集およびプログラム設定のための遠隔操作用に、ジョグ機能を備えたスイッチが広く使用されるようになった。 【0003】従来、上記の用途に使用されているジョグ機能を備えたスイッチとして、図9に示すようなスイッチが使用されている。このジョグ機能を備えたスィッチは、内軸50と外軸60とを有し、内軸50がジョグ機能を有し、外軸60がシャトル機能を有するような構造になっている。」 「【図9】 [図:0001403016000012.jpg] 」 「【0004】このようなタイプのジョグ機能を備えたスイッチの基本原理はロータリエンコーダであり、例えば、ジョグモードにおいて、各々2値信号を出力する4本の出力端子から16種類のコードを出力し、その一定時間内の変化状態から特定の制御コードを出力するものである。 【0005】しかし、この型のジョグ機能を備えたスイッチは、機械的な構造が複雑なため、製造上、小型化や低コスト化が困難であるという欠点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のジョグ機能を備えたスイッチにおいて複雑であった機械的構造をできるだけ電気的構造およびソフトウェア処理することによって、薄型で低価格のディジタルスイッチを実現することに課題を有している。」 「【0008】 【作用】上記の構成を有するジョグ機能を備えたメンブレンスイッチにおいて、可撓性シートの表面に配列されているキーを指などで押すと、可撓性シートの裏面のそのキー位置にある可動電極が下方へ押され、その結果、その可動電極の真下にある固定電極に接触し、そのキーはオンとなり、その押されたキーのキー位置が検出される。」 「【0011】 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。本発明によるジョグ機能を備えたメンブレンタイプのスイッチは、例えば、リモートコントロールスイッチに適用して使用されるものであり、図1に示すように、プリント配線基板1と可撓性シート2とを貼り合わせて構成される。 …(中略)… 【0013】可撓性シート2は、ポリカボネート又はポリエステルのシートによって作られた極めて薄い(例えば280ミクロン)シートで構成される。可撓性シート2の表面には、図2に示すように、ジョグキーエリア7、シャトルキーエリア8、9、一般キーエリア10が配置されている。 【0014】各キーまたはキー位置にはキー番号が付けられている。すなわち、ジョグキーは、円形のジョグキーエリア7に、同心円上に各キーが配置されている。その各キーは、最上キー位置から右回りにキーK1~K6、同じく左回りにキーK9~K14の合計12個のキー番号が付けられている。 【0015】シャトルキーは、シャトルキーエリア8に正方向(FWD)キーがK17~K19の3個、シャトルキーエリア9に逆方向(REV)キーがK21~K23の3個、合計6個設けてある。一般用キーは、一般キーエリア10に、K25~K40の16個が設けられている。これら一般キーは、例えば電源スイッチ、チャンネルスイッチ及びテレビジョンとテープレコーダとの切り換えスイッチ等の夫々が固有のキー特性を有するものである。」 「【図1】 [図:0001403016000013.jpg] 」 「【図2】 [図:0001403016000014.jpg] 」 「【0016】一方、可撓性シート2の裏面には、図3に示すように、全てのキー位置に可動電極であるカーボン電極Ci(iはキー番号)が印刷されている。一方、プリント配線基板1側には、各カーボン電極Ciに対向配置するように同じくカーボン電極からなる固定電極が(図示せず)が印刷されている。カーボン電極Ci(i=1~40)は、プリント配線基板1と可撓性シート2とを貼り合わせた時に可動電極と固定電極が通常の状態で接触しないようにカーボン電極Ciの周囲をエンボス加工等により上方へ僅かに浮かして取り付けられている。」 「【図3】 [図:0001403016000015.jpg] 」 「【0017】前記ジョグエリア7は、同心状に配列したキーK1~K14の外側を囲む外側リブ7Aと内側を囲む内側リブ7Bとにより区画され、該外側リブ7Aと内側リブ7Bとの間は、図4に示したように、段差をもってプリント配線基板1から浮かせた状態に形成され、その浮かせた状態の内側に可動電極となる前記カーボン電極C1~C14が取り付けてある。この外側リブ7Aと内側リブ7Bとの間隔は、人の指がガイドされてなぞりやすいように設定されている。 【0018】可撓性シート2の表面のキーKi(i=1~40)を指などでおすと、可撓性シート2の可撓性によって、押されたキーは凹み、その結果、対応するカーボン電極Ciはプリント配線基板1の固定電極と接触することになる。指を離せば、可撓性シート2の可撓性によってカーボン電極Ciは復元する。つまり、カーボン電極Ciは、スイッチの短絡電極の機能を果たす。」 「【図4】 [図:0001403016000016.jpg] 」 「【0019】次に、プリント配線基板1の回路構成について、図5を用いて説明する。プリント配線基板1には、プリント配線群35と、プリント配線群36とが各キーエリアにおいて固定電極として互いに近接した位置に配設されており、プリント配線群35、36の各交点はキー位置K1~K62に対応する。つまり、キー位置K1~K62は回路的にはマトリックスを形成している。」 「【図5】 [図:0001403016000017.jpg] 」 「【0021】又、図6に示すように、各キー位置Kiで交差する二つのプリント配線は、カーボン電極Ciによって、接続されたり(キーオン)、切り離されたり(キーオフ)するようになっており、これによってオン/オフスイッチを形成している。」 「【図6】 [図:0001403016000018.jpg] 」 「【0028】ジョグ機能は、可撓性シート2の表面のキーを押す指の移動方向及び移動速度を、ジョグキーK1~K6、K9~K14のオンになる順序および単位時間中にオンになったキー数に基づいて認識することが基本である。 【0029】ジョグ機能を開始するための特定のトリガーキーは存在しない。キーK1~K62の内のどれかがキーオンとなったことによって、マイコン3は、スタンバイ状態からウェイクアップ状態へ移行する。 【0030】ジョグ機能の出力の開始は、ジョグ操作の回転方向が確定した後に行われる。ジョグ操作の回転方向は、最初のキーオンを含め3つのキーが連続して押された時にジョグ操作が開始されたものとし、同時にそのジョグ操作の操作方向(回転方向)を認識する。そして、最初のキーオンがなされた時に、同時に後述する単位時間内でのキーオンのカウント数を検出し始めるようになっている。 【0031】その後は、方向のみを確認しながら、所定時間内(例えば本実施例ではリモートコントロール信号の送信単位である1フレームと同一時間の90ms)のキーオンのカウント数に対応するコードを出力する。 【0032】即ち、マイコン3は、ジョグキーエリア7にあるジョグキーK1~K14が所定時間の間に連続的にオンにされたキーの数をカウントすることによって、下表のように出力するコードを決める。このキースキャンの周期は10msとしている。 【0033】 【表1】 [図:0001403016000019.jpg] 」 【0034】一例で説明すると、最初にキーK2が押されたとすると、その時からマイコンがウェークアップ状態に移行し、マイコンの端子soutから10msの周期でスキャン信号が発信する。引続きキーK3が押されても特定の制御コードは出力されない。更に連続してキーK4が押されると、マイコンではジョグ操作であると認識する。 【0035】最初に押圧したキーK2から所定時間である90ms以内にキーK3、K4、K5まで押されたとすると、上記別表1に示すようにコード”22”を出力する。その後、90ms間に更にキーK6、K14、K13が押されたとすれば、コード”23”が出力される。」 「【0048】図7は、本発明に係る第2の実施例を示す。この実施例では、リング状の領域20に複数のキー21~24を割り当て、連続キーオン操作と単独キーオン操作との複合機能を持たせている。」 「【図7】 [図:0001403016000020.jpg] 」 「【0054】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によるジョグ機能を備えたメンブレンスイッチは、マイコンとプリント配線基板に取り付けられた固定電極と、各キー位置に可動電極を取り付けた可撓性シートとを貼り合わせただけの簡単な構造で極めて薄いコンパクトなメンブレンスイッチであるから、スイッチの薄型化および低コスト化に寄与すると云う優れた効果を奏する。」 (イ)甲3発明 前記(ア)より、甲3には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 「 ジョグ機能を備えたメンブレンタイプのスイッチは、プリント配線基板1と可撓性シート2とを貼り合わせて構成され、 可撓性シート2の表面には、ジョグキーエリア7、シャトルキーエリア8、9、一般キーエリア10が配置され、 ジョグキーは、円形のジョグキーエリア7に、同心円上に各キーが配置され、その各キーは、最上キー位置から右回りにキーK1~K6、同じく左回りにキーK9~K14の合計12個のキー番号が付けられ、 シャトルキーは、シャトルキーエリア8に正方向(FWD)キーがK17~K19の3個、シャトルキーエリア9に逆方向(REV)キーがK21~K23の3個、合計6個設けてあり、一般用キーは、一般キーエリア10に、K25~K40の16個が設けられており、 可撓性シート2の裏面には、全てのキー位置に可動電極であるカーボン電極Ci(iはキー番号)が印刷され、プリント配線基板1側には、各カーボン電極Ciに対向配置するように同じくカーボン電極からなる固定電極が印刷され、カーボン電極Ci(i=1~40)は、プリント配線基板1と可撓性シート2とを貼り合わせた時に可動電極と固定電極が通常の状態で接触しないようにカーボン電極Ciの周囲をエンボス加工等により上方へ僅かに浮かして取り付けられ、 前記ジョグエリア7は、同心状に配列したキーK1~K14の外側を囲む外側リブ7Aと内側を囲む内側リブ7Bとにより区画され、該外側リブ7Aと内側リブ7Bとの間は、段差をもってプリント配線基板1から浮かせた状態に形成され、その浮かせた状態の内側に可動電極となる前記カーボン電極C1~C14が取り付けてあり、この外側リブ7Aと内側リブ7Bとの間隔は、人の指がガイドされてなぞりやすいように設定されており、 可撓性シート2の表面のキーKi(i=1~40)を指などでおすと、可撓性シート2の可撓性によって、押されたキーは凹み、その結果、対応するカーボン電極Ciはプリント配線基板1の固定電極と接触することになり、指を離せば、可撓性シート2の可撓性によってカーボン電極Ciは復元し、 各キー位置Kiで交差する二つのプリント配線は、カーボン電極Ciによって、接続されたり(キーオン)、切り離されたり(キーオフ)するようになっており、これによってオン/オフスイッチを形成し、 キーK1~K62の内のどれかがキーオンとなったことによって、マイコン3は、スタンバイ状態からウェイクアップ状態へ移行し、ジョグ機能の出力の開始は、ジョグ操作の回転方向が確定した後に行われ、ジョグ操作の回転方向は、最初のキーオンを含め3つのキーが連続して押された時にジョグ操作が開始されたものとし、同時にそのジョグ操作の操作方向(回転方向)を認識し、マイコン3は、ジョグキーエリア7にあるジョグキーK1~K14が所定時間の間に連続的にオンにされたキーの数をカウントすることによって、出力するコードを決め、 最初にキーK2が押されたとすると、その時からマイコンがウェークアップ状態に移行し、引続きキーK3が押されても特定の制御コードは出力されず、更に連続してキーK4が押されると、マイコンではジョグ操作であると認識し、最初に押圧したキーK2から所定時間である90ms以内にキーK3、K4、K5まで押されたとすると、コード”22”を出力し、その後、90ms間に更にキーK6、K14、K13が押されたとすれば、コード”23”が出力される、 リング状の領域20に複数のキー21~24を割り当て、連続キーオン操作と単独キーオン操作との複合機能を持たせることもできる、 メンブレンスイッチ。」 エ 甲第4号証について 甲第4号証(甲4)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子計算機や通信端末等の出力画面上で座標位置を入力する装置に関する。」 「【0007】本発明はこのような問題を解決して、同じ長方形型の枠内でありながら、座標入力はタッチパネルで行い、クリックはボタンを押す動作で行い、明確に座標入力とクリック操作とを区別し、操作感のあるクリック機能を実現するとともに、誤りが少なく操作性に優れた座標入力を実現した座標入力装置の提供を課題とする。」 「【0017】(実施の形態1)この座標入力装置は、固定されたボタンを1つと、このボタンの上部にタッチパネルのセンサとを設けたものである。 【0018】図1は座標入力装置を示すもので、(a)は正面図、(b)はボタンが押される前の断面図、(c)はボタンが押された後の断面図である。図1において、11は図2の携帯端末21に付属する入力装置(タッチパネル付きクリックボタン)であり、12はタッチパネル部分である。16はボタンセンサであり、15はボタンセンサ16を押すための突出部である。17はボタンのばね、18はタッチパネル部分12をなぞった時の軌跡である。 【0019】図2は、上記座標入力装置11が実装された携帯端末21を上部から見た外観図である。この図において、22はこの携帯端末21に付属する入力装置(すなわち入力装置11)、23はこの携帯端末のディスプレイである。」 「【図1】 [図:0001403016000021.jpg] 」 「【図2】 [図:0001403016000022.jpg] 」 「【0020】図3は、携帯端末21のディスプレイ23上の操作点を示す説明図である。この図において、31は上記ディスプレイ23と同じ携帯端末のディスプレイ、32はマウスポインタ、33は移動後のマウスポインタをそれぞれ示す。 【0021】次に、この実施形態の動作を説明する。入力装置11上面のタッチパネル部分12上を、軌跡18のように触れることによって、図3に示すように、携帯端末のディスプレイ上でマウスポインタ32は、この符号32の位置から符号33の位置に移動する。これによって座標指定が可能になる。 【0022】ここでタッチパネル部分12をそのまま下方に強く押すと、突出部15が下方に押し下げられ、ボタンセンサ16が押される。その結果、図1(b)に示す状態が、図1(c)に示す状態となる。押している力を抜けば、ばね17の力で入力装置11のボタン部分が図1(b)の状態に復帰する。このような押し下げ動作でボタンセンサ16に信号が入力できるので、クリック動作を実現することができる。 【0023】以上のようにクリックボタンとしての入力動作と、クリックボタンの上面に設けられたタッチパネル部分12からの座標入力動作とに完全に分けることができ、なおかつ、この2つの入力動作を同一の入力装置で行うことができ、操作感のあるクリック機能と、誤りが少なく操作性に優れた座標入力とを実現することができる。」 オ 甲第5号証について 甲第5号証(甲5)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 (第1頁左下欄第13~16行) 「 本発明は、手書きの文字や図形などの画像情報をコンピューターへ入力したり、遠隔地に画像伝送を行う場合に用いられる座標入力装置に関するものである。」 (第2頁右上欄第12行~左下欄第7行) 「 第1図は本発明の一実施例による座標検出部の構成図である。1は指、棒などの入力面を押圧するための押圧材、2は保護シート、3は絶縁フィルム、4はフィルム3のX方向の両端表面に構成した電極、5はフィルム3の表面に構成した抵抗膜で電極4に接続されている。6は垂直方向にのみ導電性のある異方性導電シート、7は電極で絶緑性フィルム9のY方向の両端表面に構成されている。8は抵抗膜でフィルム9の表面に構成され電極7と接続されている。10は剛性を有する薄板で2~9の構成材を支えている。11はスイッチで、表面を押圧した時抵抗膜5と抵抗膜8が異方性導電シートを介して導通する時の押圧力よりも強い力で押圧してはじめて動作するものであればよい。そしてスイッチ11は薄板10の四隅の下部に接着されている。」 「第1図 [図:0001403016000023.jpg] 」 (第2頁右下欄第16~19行) 「座標入力装置の入力面が押圧されると、フィルム3、9の表面に構成された抵抗膜5、8(第1図参照)の押圧点が異方導電性シートを介して導通する。」 (第3頁右上欄第4行~左下欄第6行) 「以上の動作により、座標入力装置の押圧点に対応してCRT26の画面上の任意の位置にカーソル27を表示する事が可能である事がわかる。 さてつぎに、CRT26の画面上の特定の位置にのみドットを表示するもしくは画面上に表示されたメニューのいずれかを選択する場合について説明する。まず前述の如くカーソル27を所望の位置まで移動する。その後その位置においてさらに押圧力を強くすると、スイッチ11がONする。…(中略)…即ち、スイッチ11がONすると割込み処理を実行する事が可能となる。この割込み処理としてドット表示或いはメニュー選択を実行する様プログラムしておけばCRT26の画面上の特定の位置にのみドットを表示或いは画面上に表示されたメニューのいずれかを選択するといった動作が可能となる。」 「第2図 [図:0001403016000024.jpg] 」 カ 甲第6号証について 甲第6号証(甲6)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はデータを入力するための入力装置に関し、特に数値制御装置等のデータ入力に用いられる入力装置に関する。」 「【0010】操作盤25は、グラフィック制御回路26、表示装置27、タッチパネル28、およびキーボード29から構成されている。グラフィック制御回路26は、ディジタル信号を表示用の信号に変換し表示装置27に送る。表示装置27にはCRTあるいは液晶表示装置が使用され、各軸の位置表示、入出力信号の状態、パラメータ等が表示される。また、表示装置27には、タッチパネル28によって入力を行うための入力データ等が表示される。 【0011】タッチパネル28は表示装置27の表示内容に応じてフレキシブルに対応できる入力装置であり、画面上で表示される選択メニュー等を選択して、データ入力や工作機械31の操作に使用される。このタッチパネル28で操作しにくいデータ入力あるいは工作機械31の操作は、キーボード29により行われる。」 「【0013】なお、これらの構成要素はバス32によって互いに結合されている。図3は表示装置27およびタッチパネル28の概念図である。タッチパネル28には接触部28aが設けられている。この接触部28aは、a~tまでの20個の接触領域に区切られている。表示装置27の表示画面27aには、タッチパネル28の各接触領域a~tに対応する表示領域A~Tが設けられている。各表示領域A~Tには、タッチパネル28で選択すべき入力データが必要に応じて表示される。タッチパネル28では、各表示領域A~Tに表示された入力データをフレキシブルに選択できるようになっている。すなわち、接触部28aの接触領域a~tの何れかを押せば、それに対応する表示領域A~Tの何れかの入力データが確定される。」 「【図3】 [図:0001403016000025.jpg] 」 「【0014】図4は図3のX-X線に沿う断面図である。この図では、接触領域f~jの断面構造が示されている。接触部28a全面には防護膜281が被覆されている。防護膜281の下部には、接触スイッチ部287が設けられている。この接触スイッチ部287は、導電膜群282、283およびスペーサ284から構成される。導電膜群282は、接触領域a~e、f~j、k~o、およびp~tに沿ってそれぞれ設けられる4本の帯状導電膜282a~282dから構成される。 …(中略)… 【0016】接触スイッチ部287の下部には、押圧スイッチ部288が設けられている。押圧スイッチ部288は、接触端子群285と接点群286とから構成される。また、接触端子群285は、各接触領域a~tに対応する部分にそれぞれ設けられる接触端子285a~285tから構成される。各接触端子285a~285tは、一端部がそれぞれ帯状導電膜283a~283eと接触するか、あるいは接近された状態で取り付けられている。また、各接触端子285a~285tは、図示されていないバネにより上下に移動できるようになっている。このため、各接触端子285a~285tは、帯状導電膜283a~283e側からの押圧により下方へ移動するようになっている。 【0017】接点群286は、各接触端子285a~285tの他端にそれぞれ設けられる接点286a~286tから構成される。各接点286a~286tは、各接触端子285a~285tが帯状導電膜283a~283e側から所定値以上の圧力を受けたときに、それぞれ接触するようになっている。接点286a~286tの各接触端子285a~285t側の端子は、接触領域a~p、b~q、c~r、d~s、およびe~t毎に接続されている。また、他方の端子は、接触領域a~e、f~j、k~o、およびp~t毎に接続されている。」 「【図4】 [図:0001403016000026.jpg] 」 「【0021】図1および図6は上記構成を有するタッチパネル28の操作方法を説明する図である。まず、表示画面27a上の各表示領域A~Tには、入力データ、例えば数値制御装置の動作前に予め入力しておくパラメータ、ピッチ誤差補正量および工具補正量等が表示される。さらには、NCプログラムの命令や、数字等も表示される。オペレータが指40により、例えばタッチパネル28の接触領域gを軽く押した場合には、図1に示すように、それに対応する表示領域Gが他の領域と異なる色、例えば他の領域が白であるとすれば領域Gのみが青色等で表示される。 【0022】オペレータは、この表示領域Gの入力データを選択したい場合には、接触領域gを強く押す。これにより、表示領域Gが例えば赤色表示される。そして、この入力データが確定され、プロセッサ21で処理される。入力したいデータが表示領域Gの入力データではなく、例えば表示領域Hのデータであるとすると、オペレータは指40を接触部28aに触れたまま表示領域Hの方向に移動させる。すると、図6に示すように、指40の移動につれて青色表示されている部分も移動する。この青色表示の部分が表示領域Hに来たところで、指40を強く押すことにより、表示領域Hが赤色表示される。そして、この入力データが確定され、プロセッサ21で処理される。 【0023】このように、本実施例では、タッチパネル28の接触部28aを指40で軽くふれた場合には、表示画面27a上の対応する表示領域を青色表示等の特徴表示を行うようにし、さらに強く押した場合には入力データを確定できるようにしたので、接触部28aで入力できるデータがキーボード等のように固定されることなく、フレキシブルな対応が図れる。」 キ 甲第7号証について 甲第7号証(甲7)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、4つの電極面を備えた電極板を電気絶縁層の上からオペレータが指で押さえたり電気絶縁層の上で指を動かしたりすることにより4つの上記電極面の相互間に生じる静電容量の変化に基づいて座標信号を変化させることのできる感触式座標入力装置の感触操作部構造に関する。」 「【0024】この構成で、オペレータが自分の指Fを図3のように電気絶縁シート4の上から電極板3の上に置いた場合、個々の電極面31~34と指Fとの間の静電容量が、個々の電極面31~34に対する指の重なり面積に応じて相違する。したがって、指を置いたときに個々の電極面31~34を経て出力される信号を合成処理することにより、ディスプレイ上でカーソルをX軸方向およびY軸方向に移動させることができるようになる。 「【図3】 [図:0001403016000027.jpg] 」 「【0028】この第2実施例において、ケース1には、信号合成回路や出力回路などの必要な回路を形成するための各種電気部品や電子部品を搭載した配線基板Pと、押圧開閉式スイッチ5とが内蔵されている。このスイッチ5は、操作部51を押し込むことにより接続状態が開状態と閉状態との間で切り換わる。また、電気絶縁シート4が重ねられた電極板3がケース1に対して縁枠部材2の内部で押込み復帰可能であり、しかも、ばね6の力で常時復帰方向に弾発付勢されている。そして、上記スイッチ5の操作部51の押込み復帰動作が電極板3の押込み復帰動作に連動されている。 【0029】この第2実施例によれば、電気絶縁シート4の上で動かした指で電極板3を押し込むと、それに連動して上記スイッチ5の操作部51が押し込まれてこのスイッチ5の開閉状態が切り換わるので、ディスプレイ上でのカーソル位置の確定操作を、カーソルの移動を制御していたその指で直ちに行うことができるというポインター機能が付与される。」 「【図7】 [図:0001403016000028.jpg] 」 ク 甲第8号証について 甲第8号証(甲8)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、座標入力装置に関するものである。」 「【0002】 【従来の技術】図18は従来装置の概要構成を示したブロック図である。 【0003】図中、符号1801は座標入力装置である。座標入力装置1801は、座標入力装置1801に接触する指の絶対座標を0から1までの範囲の実数値に正規化して出力する。以後、このように正規化された座標を「正規座標」と呼ぶ。座標入力装置1801は、座標検出手段1802と、押下検出手段1803と、移動範囲制限手段1804と、変域設定手段1805と、正規化手段1806とから構成されている。 【0004】1802は座標検出手段である。座標検出手段1802は、座標検出手段1802に接触する指の絶対座標を「検出座標」として出力する。ここで、指と座標検出手段1802との接触面における中心点を「接触点」と呼ぶことにする。座標検出手段1802の出力する検出座標は接触点の絶対座標を表す値をとる。例えば、座標検出手段1802は静電容量方式のタブレットである。 【0005】1803は押下検出手段である。座標検出手段1802を指によって押下したときに、押下検出手段1803は押下を検出する。押下検出手段1803によって座標検出手段1802の押下を検出するように構成ことにより、指一本で出力する正規座標の移動と、押下操作とを行なうことが可能となる。例えば、押下検出手段1803は座標検出手段1802の下に配置されているプッシュ・スイッチである。」 「【0019】本発明は、従来の座標入力装置のこのような課題を考慮し、煩雑な調整作業を従来に比べてより一層少なくして、しかも常に正しく正規化された検出座標を出力することが出来る座標入力装置を提供することを目的とする。」 「【0026】図1は第1の実施例の概要構成を示したブロック図である。 【0027】図中、符号101は座標入力装置の全体である。座標入力装置101は、座標入力装置101に接触する指の絶対座標を正規化した値と、前記指によって座標入力装置101が押下されていることを表す情報とを出力する。 「【0029】102は座標検出手段である。座標検出手段102は、座標検出手段102に接触する指の絶対座標を「検出座標」として出力する。座標検出手段102は従来技術における座標検出手段1802(図18参照)と同等のもので良い。 【0030】103は押下検出手段である。押下検出手段103は、指によって座標検出手段102が押下されたことを検出する。押下検出手段103は従来技術における押下検出手段1803と同等のもので良い。」 「【0250】また、本発明の全ての実施例は1次元の座標を出力する装置に関するものであるが、2次元以上の座標を出力する装置についても、次元数だけ1次元に関する手段を用意すれば、実施例同様に構成できることは述べるまでもない。」 「【図1】 [図:0001403016000029.jpg] 」 ケ 甲第9号証について 甲第9号証(甲9)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 (第2頁右上欄第2~4行) 「〔産業上の利用分野〕 本発明は、入力装置、例えば、コンピュータシステムヘ送る信号を発生する装置に関する。」 (第2頁右下欄第6~15行) 「 この知られている入力装置には、多くの不利な点がある。第一に、これは、閉止時間と運動量のモニタによって、たたきを検出するどちらかと言えば間接的な方法にもとずいており、ユーザーが必要なたたきを行うには、難しさがある。さらに、ユーザーには、実行信号が発生したことが明確には感じられない。第二に、この入力信号が、携帯コンピュータシステムに組み込まれたとすると、実行信号が、コンピュータ装置の普通の動きにより不注意に発生するという重大な危険がある。」 (第3頁左上欄第11行~右上欄第3行) 「〔課題を解決するための手段〕 発明の一つの面により、入力装置は、所定の座標系に関してインジケータの位置を調べるための位置設定手段と、位置設定手段の下に取り付けられた圧力応答スイッチと、位置設定手段及び十分な圧力が位置設定手段へ加えられるとその圧力が接続機構へ送られて、スイッチを作動するように動くようなスイッチとの間にある前記接続機構とより成っており、接続機構は、実質的に、同一圧力が位置検出手段上のすべての位置に加えられてスイッチを作動するように、一緒に軸回転し、位置設定手段の下に伸展している少なくとも2つの板より成っている。」 (第5頁左下欄第3行~右下欄第13行) 「 圧力が導電層36に加えられると、導電層36は抵抗層37に接触するまで、付近の凸起点17の回りで変形する。導電層36は、検出電圧を測定する処理電子装置44内のアナログーデジタル・コンバータ(図示せず)の入力側へ接続されており、処理電子装置44は、Xドライブ端子とYドライブ端子のどちらが現在能動状態にあるかを参照して、印加圧力点の位置を決定する。この位置の情報は、処理器35へ転送され、次に処理器35は、モニタスクリーン上のカーソルの位置を制御する。 ユーザーが、あるファンクションを作動させたいと希望する場合には、より強い圧力で押すと、この圧力が、板20と21などによって構成された接続機構により、圧縮スプリングの力が押し負けると作動するスイッチ33へ伝達される。指が外されると、圧縮スプリングは、板31を上方へ押し、これによって、装置を第2図に示されている休止位置へ戻す。 スイッチ33を作動すると実行されるファンクションは、コンピュータの操作モードに依存する。例えば、メニュー・ファンクションが、スクリーン上の種々の位置にディスプレイされ、スイッチ33が、モニタスクリーンの上にディスプレイされたメニュー・ファンクションの位置に設置されたカーソルによって作動するときは、それに対応するファンクションが行われる。あるいは、コンピュータは、スイッチ33を押すと、カーソルの位置に関係なく、作動する省略ファンクションがあるようなモードで動作する。当然、ほかの変化も可能である。」 コ 甲第12号証について 甲第12号証(甲12)には、図面とともに次のとおりの記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】 本考案はビデオコントローラに関し、特に再生画像を所定のこまずつ前後に送るジョグ機能を有するビデオコントローラに関するものである。」 「【0008】 【考案が解決しようとする課題】 本考案は上述したような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その主な目的は、大型化、部品点数の増加を伴うことなく、ジョグ機能に於けるこまの分割精度を高くすることが容易に可能なビデオコントローラを提供することにある。」 「【0011】 図1は、本考案が適用された第1の実施例を示すビデオコントローラとしてのビデオテープレコーダ(以下VTRと記す。)及びその遠隔操作装置(以下リモコンと記す。)のブロック図である。VTR本体1は、該本体内に受容された図示されないビデオテープに記録された映像及び音声情報をモニタ2に出力し、このモニタ2にて再生されるようになっている。また、このVTR本体1は再生画像を静止させ、その状態から1こま、または複数のこまずつ、こま送り/こま戻しするジョグ機能を備え、その制御手段としての制御回路5を内蔵している。加えて、VTR本体1には受信回路3が設けられ、リモコン4からの信号を受信して上記ジョグ機能を含めて遠隔操作可能となっている。 【0012】 リモコン4は概ね箱状をなし、その1面が操作面となっている。この操作面には、操作内容などを表示するためのディスプレイ部6と、該ディスプレイ部6の下部に配置され、4列×8段、即ち32個のスイッチを有する操作スイッチ部7とが設けられている。この操作スイッチ部7の各スイッチは、使用者が接触するのみで操作したことを認識する所謂タッチスイッチからなり、それぞれ再生、停止、一時停止、早送り、巻戻し、各種予約などの機能を有している。 【0013】 ここで、右上のスイッチSW32は機能選択スイッチとなっており、このスイッチSW32を操作する度に各スイッチSW1~SW31に設定された機能が切換わるようになっている。例えば、操作スイッチ部7の図1に於ける下部左側の3列×3段のスイッチSW1~SW9のうち、その中央のスイッチSW9を囲む環状の8個のスイッチSW1~SW8は、通常は録画予約などの一般的な機能を有しているが、スイッチSW32を操作するにより、上記したジョグ機能用のこま送り/こま戻しを行うジョグスイッチとなる。即ち、操作スイッチ部7の或るスイッチを操作することによりモニタ2に表示される画像を静止させ、スイッチSW32を操作してスイッチSW1~SW8をジョグスイッチとし、これらスイッチを想像線に示すように右回り若しくは左回りになぞることにより再生静止画像を所定のこま数ずつこま送り/こま戻しするようになっている。」 「【図1】 [図:0001403016000030.jpg] 」 「【0014】 図2はリモコン4の概略的な回路構成を示すブロック図である。リモコン4内には信号制御用のマイクロコンピュータ9が設けられている。このマイクロコンピュータ9にはディスプレイ部6に接続された表示回路10と、VTR本体1に赤外線信号を送信するためのLED12に接続された出力回路11とが接続されている。また、マイクロコンピュータ9から上記操作スイッチ部7のスイッチSW1~SW32のスイッチ操作を検知するべく8本の出力線O1~O8と、4本の入力線I1~I4とが設けられ、これらがマトリクス状に配置されると共に32の各交差部分に上記各スイッチSW1~SW32が設けられている。 【0015】 各出力線O1~O8と各入力線I1~I4とは、各スイッチSW1~SW32を介してのみ接続されるようになっている。即ち、図3に拡大して示すように、例えば出力線O1と入力線I1とはスイッチSW1が操作され、オンとなったときのみ接続される。従って、各出力線O1~O8から順番に繰り返し信号を出力し、信号が入力線I1~I4のいずれかに入力した時点でそのときの出力線と入力線とから操作されたスイッチを特定し、そのスイッチに応じた信号を出力回路11を介してLED12から送信するようになる。ここで、例えば図3に於てスイッチSW1、SW2、SW9が同時にオンされると、場合によってはスイッチSW10がオンになった場合との区別がつかないことが考えられる。従って、同時にオンされると誤動作を起こすようなスイッチは同一の出力線または同一の入力線上にあることが望ましい。上記したジョグスイッチとして用いられるスイッチSW1~SW8は全て出力線O1上、即ち同一ライン上に設けられていることからこのような心配はない。」 「【図2】 [図:0001403016000031.jpg] 」 「【0028】 尚、上記各実施例ではリモコン側に設けられたジョグスイッチについて説明したが同様なジョグスイッチがVTR本体側に設けられていても良いことは云うまでもない。」 (2)無効理由1(甲1に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如)について ア 本件特許発明1について (ア)対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 a 構成要件Aについて 甲1発明の「タッチパネル11」を構成する1つの「検出電極15」と1つの「アース電極17」との組である「接触操作検出区分」は、構成要件Aの「タッチ位置検出センサー」に相当する。 また、甲1発明の「タッチパネル11」においては、複数の「接触操作検出区分」が「円環状に配列されている」ものであり、「円環」は、所定の幅を有し、連続したリング状の形状であって、そのような形状は、予め特定された軌跡といい得るものであるから、前記複数の「接触操作検出区分」は、所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続して配置されたものといえる。さらに、甲1発明の「タッチパネル11」の「接触操作面21」は、「指Fにより、複数の接触検出区分の円環状の配列に沿って回動接触操作されるべく設けられ」たものであって、「指F」による「回動接触操作」は、指先でなぞる接触操作といい得るものである。また、「回動接触操作」は、「複数の接触検出区分の円環状の配列」に沿ってなされることを想定しているから、複数の「接触操作検出区分」は、指先でなぞるように操作されるためのものといえる。 また、甲1発明は、「タッチパネル11」に接続される「走査部31」が、各「接触操作検出区分」からの出力VSを順次取り出し「メモリ33」に供給し、「メモリ33」に保持された1走査分の出力VSは順次読み出されて「位置データ発生部35」に供給され、「位置データ発生部35」が、各1走査分の出力VSから、「接触操作位置」を表す「位置データDp」を発生する処理を周回走査毎に行うものであるから、「タッチパネル11」、「走査部31」、「メモリ33」及び「位置データ発生部35」は一体として、「接触操作位置」を「位置データDp」として検出する接触位置検知手段として機能するものといえる。そして、「接触操作位置」は、「円環状の配列に沿って」すなわち、軌跡に沿って移動する接触点の位置データといい得るものである。 以上から、甲1発明と、構成要件Aの「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段」とは、「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を位置データとして検出するタッチ位置検知手段」との構成を備える点において共通する。 b 構成要件Bについて 甲1発明は、構成要件B(プッシュスイッチ手段)に相当する構成を備えない。 c 構成要件Cについて 甲1発明は、構成要件B(プッシュスイッチ手段)に相当する構成を備えない以上、構成要件C(プッシュスイッチ手段の接点)に相当する構成を備えない。 d 構成要件Dについて 甲1発明は、構成要件B(プッシュスイッチ手段)に相当する構成を備えない以上、構成要件D(プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフ)に相当する構成を備えない。 e 構成要件Eについて 前記aを参酌すると、甲1発明の「制御信号発生装置」は、「接触操作型入力装置」といい得るものである。 (イ)一致点・相違点 前記(ア)から、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「 指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を位置データとして検出するタッチ位置検知手段を有する、 ことを特徴とする接触操作型入力装置。」 [相違点] <相違点1-1> 「タッチ位置検知手段」が検出する「位置データ」が、本件特許発明1では、「一次元座標上の」ものであるのに対し、甲1発明において検出される「位置デー夕Dp」は、一次元座標上のものとは特定されていない点。 <相違点1-2> 本件特許発明1は、「接点のオンまたはオフを行うプッシュスイッチ手段」を有すること(構成要件B)、「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されて」いること(構成要件C)、及び「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡上における前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力よりも大きな接触圧力での押下により、前記プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる」こと(構成要件D)との構成を備えるのに対し、甲1発明は、これらの構成を備えない点。 (ウ)相違点についての判断 a 相違点1-1について 甲1発明は、「円環状の配列に沿って回動接触操作」が行われる場合における「回動接触操作の移動方向と移動速度」とに応じた制御信号によりビデオテープレコーダを制御するものであることからすれば、「回動接触操作」に係る「移動」は、半径方向ではなく、円周方向の回動移動である。そして、円周方向という1つの方向は、1つの座標軸に沿った方向に還元することができるから、円周方向の回動移動は、円周に沿った一次元座標上の移動ということができる。そうすると、「回動接触操作の移動方向と移動速度」を検出するために、位置データ発生部35によって発生される「位置データDp」は、「一次元座標上の位置データ」といい得るものである。 したがって、相違点1-1は、実質的な相違点ではない。 b 相違点1-2について (a)甲4ないし甲9に基づく周知技術 甲4ないし甲9の記載事項(前記(1)エないしケ)を参酌すれば、甲4の「座標入力装置」における「タッチパネル部分12」、甲5の「座標入力装置の入力面」、甲6の「データを入力するための入力装置」における「タッチパネル」、甲7の「感触式座標入力装置」、甲8の「座標入力装置」における「座標検出手段」、甲9の「入力装置」における「導電層」はいずれも、接触点を一次元又は二次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段(タッチパネル)といい得るものであり、また、甲4の「ボタンセンサ16」、甲5の「スイッチ11」、甲6の「押圧スイッチ部288」、甲7の「押圧開閉式スイッチ5」、甲8の「押下検出手段1803」、甲9の「スイッチ33」はいずれも、前記タッチ位置検知手段(タッチパネル)の下に配置されたプッシュスイッチ手段といい得るものである。 よって、接触点を一次元又は二次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段(タッチパネル)の下にプッシュスイッチ手段を配置した構造は周知技術(以下、「甲4ないし9に基づく周知技術」という。)といえる。 (b)甲1発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を適用することについて 甲1発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を適用することにより、上記相違点1-2を克服できるか否かについて検討する。 甲1発明の「ビデオテープレコーダのテープ駆動部を構成するキャプスタンモータ51及びテープリール駆動モータ53を夫々駆動する駆動制御部55及び57に供給され、これにより磁気テープTの走行方向及び走行速度が、タッチパネル11の接触操作面21に対して行われる回動接触操作の移動方向と移動速度に応じたものとされる」との構成からすると、甲1発明の「タッチパネル11」は、継続的に接触位置を変化させる回動接触操作がなされることを前提に、その回動接触操作の方向と速度が、接触位置に係る座標位置とは異なる、磁気テープTの走行方向及び走行速度という物理量の制御に使用されるものである。 一方、甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるタッチ位置検知手段(タッチパネル)は、接触点を一次元又は二次元座標上の位置データとして検出するものであるが、移動方向と移動速度を伴う回動接触操作のためのものではなく、また、検出した位置データが、他の物理量の制御に使用されることも予定されていない。 甲1発明の「タッチパネル11」と、甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるタッチ位置検知手段(タッチパネル)とは、上位概念化すれば、接触操作により入力を行うための手段である点において共通するものの、両者は、操作の態様も、検出した位置データの使用形態も異なるため、実質的には異なる技術分野に属するものといえる。そして、引用文献に記載された発明の目的・課題や前提となる構成を捨象し、過大に上位概念化した上で組み合わせを試みることは許されないというべきである。したがって、甲1発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を適用すること(組み合わせること)はできないから,甲1発明において、相違点1-2に係る構成を採用することは容易ではない。 また、仮に甲4ないし甲9に基づく周知技術を、先行技術として甲1発明に寄せ集めたり、又は、当該周知技術を設計的事項として甲1発明に付加したりすることができるとしても、甲1発明の「タッチパネル11」とは別に、甲4ないし甲9に基づく周知技術の構造が付加されるか、又は、甲1発明の「タッチパネル11」に替えて甲4ないし甲9に係る基づく周知技術の構造を採用することに留まり、相違点1-2に係る本件特許発明1の「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されて」いること(構成要件C)」のうち「前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成には到達しない。 (エ)請求人の主張について 請求人は、甲4ないし甲9の記載事項を参酌すれば、プッシュスイッチが、タッチ位置検出センサーが連続して配置される領域の下に配置される構造である「センサー下プッシュスイッチ」は周知技術(周知技術1)であり、甲1発明に周知技術1を適用すると、本件特許発明1を想到することができ、また、当該適用は、先行技術の単なる寄せ集め、若しくは、設計変更又は設計的事項の採用のいずれかに該当するから、その適用には、特段の事情がない限り動機付けは不要であり、さらに、甲1発明に周知技術1を適用することに技術的な阻害要因はない旨主張する(陳述要領書第40頁第11行~第51頁第8行)。 しかしながら、前記(ウ)b(b)のとおり、請求人の主張は、甲1発明の目的・課題や前提となる構成を捨象し過度に上位概念化した上で周知技術を適用するものであるから、採用することができない。 また、前記(ウ)b(b)で述べたように、甲1発明の「タッチパネル11」と甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるタッチ位置検知手段(タッチパネル)とは、操作の態様、検出した位置データの使用形態も異なり、属する技術分野が異なるから、甲1発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を寄せ集めたとしても、本件特許発明1の構成要件Cの「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成には到達しない。 よって、請求人の主張は採用しない。 (オ)小括 以上より、相違点1-2に係る本件特許発明1の構成は、当業者であっても、甲1発明と甲4ないし甲9に記載された技術事項から容易に想到し得たということはできない。 したがって、本件特許発明1は、当業者が甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件特許発明2及び3について 本件特許発明2及び3は、前記ア(イ)で認定した相違点に係る本件特許発明1の構成を含むため、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2及び3は、当業者が甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 無効理由1についての小括 以上のとおりであるから、無効理由1により本件特許発明1ないし3についての特許を無効とすることはできない。 (3)無効理由2(甲2に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如)について ア 本件特許発明1について (ア)対比 本件特許発明1と甲2発明とを対比する。 a 構成要件Aについて 甲2発明の「ジョグダイヤル状スイッチ」の「スイッチ部30」は、複数の「センサー部31」が菊花状に又は円周上に設けられたものであり、「センサー部31」が所定の幅を有するものであり、「菊花状」及び「円周」いずれも「リング状」といい得るものであるから、複数の「センサー部31」は、所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続して配置されるものといえる。 また、甲2発明は、「スイッチ部30の操作」として、「センサー部31の表面を指でなぞること」から、「スイッチ部30」は、指先でなぞるように操作されるためのものといえる。 また、甲2発明は、 「静電容量型のタッチ式のスイッチ部30からの検出信号に基づいてビデオ信号を再生制御したりボリュームのアップ/ダウンを行う被制御回路部44を制御するための制御系の構成においては、指がセンサー部31に触れると静電容量変化検出部40が静電容量の変化を検出し、波形成形部41は、静電容量変化検出部40の静電容量の変化の検出結果をディジタル信号に変換し、制御部43は、それぞれの波形成形部41からのディジタル信号に基づき、再生機構や増幅回路等である被制御回路部44の動作を制御し、 ここで、波形成形部41からの出力パルス幅が広い場合には、それぞれのセンサー部31をなぞる指の回転速度がゆっくりしたものであると判断し、一方、それぞれの波形成形部41からのパルス幅が狭い場合には、それぞれのセンサー部31をなぞる指の回転速度が速いものであると判断し、」 との構成を備えることから、指が「センサー部31」に触れると、「静電容量変化検出部40」が静電容量の変化を検出し、「波形成形部41」は、静電容量の変化の検出結果をディジタル信号に変換し、「制御部43」は、「波形成形部41」からの出力パルス幅が広い場合には、それぞれの「センサー部31」をなぞる指の回転速度がゆっくりしたものであると判断し、一方、それぞれの「波形成形部41」からのパルス幅が狭い場合には、それぞれの「センサー部31」をなぞる指の回転速度が速いものであると判断するものであるところ各「センサー部31」は、その静電容量の変化により指がどの位置をタッチしたのかを検出するタッチ位置検出センサーとして機能するものといえる。 また、前記静電容量の変化の検出結果を変換したディジタル信号は、前記菊花状又は円周上の軌跡に沿って移動する接触点の位置データといい得るものである。 そして、甲2発明において、「センサー部31」、「静電容量変化検出部40」、「波形成形部41」及び「制御部43」は一体としてディジタル信号を出力し、これを前記菊花状又は円周上の軌跡に沿って移動する接触点の位置データとして検出するものであるから、タッチ位置検知手段といい得るものである。 以上から、甲2発明と、構成要件Aの「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段」とは、「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を位置データとして検出するタッチ位置検知手段」を備える点において共通する。 b 構成要件Bについて 甲2発明は、「スイッチ部30に対してファンクション機能を合せ持たせた場合は、センサー部31A、31B、31C…円周上に配設され、各センサー部31A、31B、31C…には、それぞれたとえばチューナ、VTR、テープデッキ、その他各種機器の選択モードが持たされ、いずれかのセンサー部31A、31B、31C…にタッチして動作モードを選択した後は、各センサー部31A、31B、31C…が上述したように、たとえばボリュームのアップ/ダウンの検出モードに切換えられ、たとえばセンサー部31Aにタッチし、チューナを選択した後、センサー部31A、31B、31C…を右回りになぞると、ボリュームがアップされ、左回りになぞるとボリュームがダウンされる」との構成を備えることから、「スイッチ部30」に「ファンクション機能」を合せ持たせた場合には、「スイッチ部30」を構成する「センサー部31A、31B、32C…」は、モードを切換える「スイッチ手段」として機能するものといえる。 よって、甲2発明の「センサー部31A、31B、32C…」と、本件特許発明1の「接点のオンまたはオフを行うプッシュスイッチ手段」とは、「スイッチ手段」である点において共通する。 c 構成要件Cについて 甲2発明の「センサー部31A、31B、32C…」は、構成要件Bの「接点」及び「接点のオンまたはオフ」に関する構成を備えない以上、構成要件C(プッシュスイッチ手段の接点)に相当する構成を備えない。 d 構成要件Dについて 甲2発明の「センサー部31A、31B、32C…」は、構成要件Bの「接点」及び「接点のオンまたはオフ」に関する構成を備えない以上、構成要件D(プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフ)に相当する構成を備えない。 e 構成要件Eについて 前記aを参酌すると、甲2発明の「ジョグダイヤル状スイッチ」は、「接触操作型入力装置」といい得るものである。 (イ)一致点・相違点 前記(ア)から、本件特許発明1と甲2発明とは、以下の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を位置データとして検出するタッチ位置検知手段と、 スイッチ手段とを有する、 ことを特徴とする接触操作型入力装置。」 [相違点] <相違点2-1> 「タッチ位置検知手段」が検出する「位置データ」が、本件特許発明1では、「一次元座標上の」ものであるのに対し、甲2発明において、静電容量の変化の検出結果を変換したディジタル信号は、一次元座標上のものとは特定されていない点。 <相違点2-2> 共通点である「プッシュ手段」が、本件特許発明1では、「接点のオンまたはオフを行うプッシュスイッチ手段」(構成要件B)であり、かつ、本件特許発明1は、「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されて」いること(構成要件C)、及び「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡上における前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力よりも大きな接触圧力での押下により、前記プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる」(構成要件D)との構成を備えるのに対し、甲2発明の「センサー部31A、31B、32C…」は、「接点」を備えるものではなく、また、「接点のオンまたはオフ」を行う「プッシュ」「スイッチ手段」ではないため、本件特許発明1の構成要件BないしDに対応する構成を備えない点。 (ウ)相違点についての判断 a 相違点2-1について 甲2発明は、「センサー部31の表面を指でなぞること」により検出される静電容量の変化を変換した「ディジタル信号」により、「回転方向や回転量」が検出され、当該「回転方向や回転量」に応じた制御(ボリュームのアップ/ダウン等)がなされるものであるから、前記「指でなぞる」操作は、「回転」を伴うことを想定しており、そのような「回転」を伴う操作は、半径方向ではなく、円周方向の移動操作である。そして、円周方向の移動操作は、円周に沿った一次元座標上の移動ということができる。そうすると、「回転方向や回転量」を検出するために出力される「ディジタル信号」は、「一次元座標上の位置データ」といい得るものである。 したがって、相違点2-1は、実質的な相違点ではない。 b 相違点2-2について (a)甲4ないし甲9に基づく周知技術 甲4ないし甲9に基づく周知技術は、前記(2)ア(ウ)b(a)のとおりである。 (b)甲2発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を適用することについて 甲2発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を適用することにより、上記相違点2-2を克服できるか否かについて検討する。 甲2発明の複数の「センサー部31」が設けられる「スイッチ部30」は、その表面を円周方向に指でなぞることにより検出される静電容量の変化を変換した「ディジタル信号」により、「回転方向や回転量」が検出され、当該「回転方向や回転量」に応じて、VTR等を制御(ボリュームのアップ/ダウン等)するためのものである。すなわち、甲2発明の「スイッチ部30」は、円周方向に指でなぞる操作のためのものであって、その操作の方向と量とが、接触位置に係る座標位置とは異なる、VTRのボリュームといった物理量の制御に使用されるものである。 一方、甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるタッチ位置検知手段(タッチパネル)は、接触点を一次元又は二次元座標上の位置データとして検出するために使用されており、円周方向に指でなぞる操作のためのものではなく、また、検出した位置データが、他の物理量の制御に使用されることも予定されていない。 甲2発明の「スイッチ部30」と、甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるタッチ位置検知手段(タッチパネル)とは、上位概念化すれば、接触操作により入力を行うための手段である点において共通するものの、操作の態様も、操作によって入力される情報の使用形態も異なるため、実質的には異なる技術分野に属するものといえる。そして、引用文献に記載された発明の目的・課題や前提となる構成を捨象し、過大に上位概念化した上で組み合わせを試みることは許されないというべきである。したがって、甲2発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を適用すること(組み合わせること)はできないから,甲1発明において、相違点2-2に係る構成を採用することは容易ではない。 また、仮に甲4ないし甲9に基づく周知技術を、先行技術として甲2発明に寄せ集めたり、又は、当該周知技術を設計的事項として甲2発明に付加したりすることができるとしても、甲2発明の「スイッチ部30」とは別に、甲4ないし甲9に基づく周知技術の構造が付加されるか、又は、甲2発明の「スイッチ部30」に替えて甲4ないし甲9に係る基づく周知技術の構造を採用することに留まり、相違点2-2に係る本件特許発明1の「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されて」いること(構成要件C)」のうち「前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成には到達しない。 (c)甲2発明の課題との関係について 甲2発明は、「簡単な構成で操作パネル部の薄型化及び操作性の向上を図ることができるジョグダイヤル状スイッチを提供すること」(甲2【0014】)を課題とするものであるから、「操作パネル部」の「薄型化」を課題の一つとして含む。 そして、甲2発明は、従来のジョグダイヤル状スイッチの回転部材3や回転軸6(甲2【0002】)をなくし、「センサー部30」や「スイッチ部31」を採用することにより、「操作パネル部」の「薄型化」を実現したものといえる。 そうすると、甲2発明に、甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるプッシュスイッチを付加することは、甲2発明の課題に反するものであり、阻害要因があるというべきである。 したがって、甲2発明の「ジョグダイヤル状スイッチ」の下に「プッシュスイッチ手段」を配置することは、甲2の課題を参酌しても、当業者が容易に想到し得たものではない。 (エ)請求人の主張について 請求人は、甲1発明に対して周知技術1(甲4ないし甲9)を適用する場合と同様に、甲2発明に対して当該周知技術1を適用することは、先行技術の単なる寄せ集め、若しくは、設計変更又は設計的事項の採用のいずれかに該当し、相違点2-2を克服することは当業者にとって容易であり、また、甲2がいう薄型化の課題・目的はあくまでもジョグ機能用の構造に限ったものであり、プッシュ機能用の構造を組み合わせたとしてもその課題・目的が損なわれることはないため、甲2発明に周知技術1を組み合わせることに阻害要因はない旨主張する。(陳述要領書第56頁第3行~第59頁第3行)。 しかしながら、前記(ウ)b(b)のとおり、請求人の主張は、甲2発明の目的・課題や前提となる構成を捨象し過度に上位概念化した上で周知技術を適用するものであるから、採用することができない。 また、前記(ウ)b(b)のとおり、甲2発明の「スイッチ部31」と甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるタッチ位置検知手段(タッチパネル)とは、操作の態様、検出した位置データの使用形態も異なり、属する技術分野が異なるから、甲2発明に甲4ないし甲9に基づく周知技術を寄せ集めたとしても、本件特許発明1の構成要件Cの「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成には到達しない。 また、甲2発明における「操作パネル部」の「薄型化」という課題は、ジョグ機能用の構造に限ったものということはできないから、前記(ウ)b(c)のとおり、甲2発明に、甲4ないし甲9に基づく周知技術におけるプッシュスイッチを付加することは、甲2発明の課題に反するものである。 よって、請求人の主張は採用しない。 (オ)小括 以上より、相違点2-2に係る本件特許発明1の構成は、当業者であっても、甲2発明と甲4ないし甲9に記載された技術事項から容易に想到し得たということはできない。 したがって、本件特許発明1は、当業者が甲2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件特許発明2及び3について 本件特許発明2及び3は、前記ア(イ)で認定した相違点に係る本件特許発明1の構成を含むため、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2及び3は、当業者が甲2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 無効理由2についての小括 以上のとおりであるから、無効理由2により本件特許発明1ないし3についての特許を無効とすることはできない。 (4)無効理由3(甲3に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如)について ア 本件特許発明1について (ア)対比 本件特許発明1と甲3発明とを対比する。 a 構成要件Aについて 甲3発明の「メンブレンスイッチ」の「ジョグキー」は、円形のジョグキーエリア7に、同心円上に各キー(K1~K6、K9~K14)が配置されるものであり、ここで「ジョグキーエリア7」の「同心円」は、所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡といえ、「各キー(K1~K6、K9~K14)」は、当該軌跡上に連続して配置されたものといえる。 また、甲3発明において、「マイコン3」は、「最初のキーオンを含め3つのキーが連続して押された時にジョグ操作が開始されたものとし、同時にそのジョグ操作の操作方向(回転方向)を認識」するものであり、操作方向(回転方向)を認識するためには、「マイコン3」は、押されたキーの位置(押下位置)を認識する必要があるため、そのために用いられる「各キー(K1~K6、K9~K14)」は、押下位置検出センサーといい得るものである。 また、「各キー(K1~K6、K9~K14)」の操作は押すこと(押下)によってなされるものであるから、同心円上に配置された「各キー(K1~K6、K9~K14)」を所定の操作方向(回転方向)に連続して押す操作がなされたとき、「各キー(K1~K6、K9~K14)」と「マイコン3」は一体として、同心円に沿って移動する押下点を位置データとして検出する押下位置検出手段として機能するものといえる。 なお、甲3発明は、「この外側リブ7Aと内側リブ7Bとの間隔は、人の指がガイドされてなぞりやすいように設定されており」との構成を備えるものの、前述したように、「各キー(K1~K6、K9~K14)」に対しては、連続して押す操作がなされることが想定されているから、前記の構成から直ちには、「各キー(K1~K6、K9~K14)」が、指先でなぞるように操作されるものとはいえない。 そうすると、甲3発明の「各キー(K1~K6、K9~K14)」が同心円上に配置されることと、構成要件Aの「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され」ることとは、「操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続して位置検出センサーが配置され」る点において共通し、また、甲3発明の「各キー(K1~K6、K9~K14)」及び「マイコン3」と、構成要件Aの「前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段」とは、「前記軌跡に沿って移動する操作点を位置データとして検出する位置検知手段」である点において共通する。 よって、甲3発明と、構成要件Aの「指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段」とは、「操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続して位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する操作点を位置データとして検出する位置検知手段」との構成を備える点において共通する。 b 構成要件Bについて 甲3発明は、「可撓性シート2の表面のキーKi(i=1~40)を指などでおすと、可撓性シート2の可撓性によって、押されたキーは凹み、その結果、対応するカーボン電極Ciはプリント配線基板1の固定電極と接触する」との構成を備えることから、「キーKi(i=1~40)」(「シャトルキー」(K17~K19、K21~K23)、「一般用キー」(K25~K40)及び、「各キー(K1~K6、K9~K14)」を含む。)は、「カーボン電極」と「固定電極」とを備え、これらが接触することによりオンとなり、接触していないときにオフとなることは明らかである。 そうすると、甲3発明の「カーボン電極」と「固定電極」は、構成要件Bの「接点」に相当し、そのオン又またオフを行う「キーKi(i=1~40)」は、構成要件Bの「プッシュスイッチ手段」に相当する。 よって、甲3発明は、構成要件Bの「接点のオンまたはオフを行うプッシュスィッチ手段」を有したものである。 c 構成要件Cについて 甲3発明の「キーKi(i=1~40)」のうち、「シャトルキー」(K17~K19、K21~K23)及び「一般用キー」(K25~K40)は、「各キー(K1~K6、K9~K14)」が配置される「ジョグキーエリア7」とは異なるエリアに配置されるため、前記aを参酌すれば、甲3発明は、構成要件Cのうち「前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置される位置検出センサーとは別個に配置されている」に相当する構成を備えているといえる。 また、「キーKi(i=1~40)」に含まれる各キーは同じ構造であると解されるから、「各キー(K1~K6、K9~K14)」を操作するために必要な(接触)圧力と、「シャトルキー」(K17~K19、K21~K23)及び「一般用キー」(K25~K40)を操作するために必要な(接触)圧力との間に有意な差があるとは認められない。 よって、甲3発明と、構成要件Cの「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されており」とは、「前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置される位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成を備える点において共通する。 d 構成要件Dについて 甲3発明は、構成要件Dに相当する構成を備えない。 e 構成要件Eについて 前記aを参酌すると、甲3発明の「メンブレンスイッチ」は、押す操作により入力がなされるものであり、押す操作は接触を伴う操作といえるから、構成要件Eの「接触操作型入力装置」に相当する。 (イ)一致点・相違点 前記(ア)から、本件特許発明1と甲3発明とは、以下の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続して位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する操作点を位置データとして検出する位置検知手段と、 接点のオンまたはオフを行うプッシュスイッチ手段とを有し、 前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置される位置検出センサーとは別個に配置されている ことを特徴とする接触操作型入力装置。」 [相違点] <相違点3-1> 「位置検知手段」によって検出される「位置データ」が、本件特許発明1では、「一次元座標上」の位置データであるのに対し、甲3発明では、押下点が「一次元座標上の」ものとして具体的に特定していない点。 <相違点3-2> 「位置検知手段」が、本件特許発明1では、「指先でなぞるように操作されるため」の「タッチ位置検出センサー」が配置され、「接触点」を位置データとして検出する「タッチ位置検知手段」であるのに対し、甲3発明の「各キー(K1~K6、K9~K14)」は、押す操作がなされるキーの位置を検出するものであり、また、「各キー(K1~K6、K9~K14)」及び「マイコン3」は、押下点を位置データとして検出するものである点。 <相違点3-3> 本件特許発明1は、「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されて」いること(構成要件C)、及び「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡上における前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力よりも大きな接触圧力での押下により、前記プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる」こと(構成要件D)との構成を備えるのに対し、甲3発明は、構成要件Cのうち「前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置される位置検出センサーとは別個に配置されている」に相当する構成を備えるものの、これ以外の構成を備えない点。 (ウ)相違点についての判断 a 相違点3-1について 甲3発明は、所定の回転方向にキーを連続的に押下する操作がなされると「ジョグ操作」がなされたと判断して所定のコードを出力するものであるから、「ジョグ操作」は、半径方向ではなく、円周方向の回転移動を伴う操作である。そして、円周方向という1つの方向は、1つの座標軸に沿った方向に還元することができるから、円周方向の回転移動は、円周に沿った一次元座標上の移動ということができる。そうすると、甲3発明において、マイコンは、「ジョグ操作」の操作方向(回転方向)を認識するにあたり、押下されたキーの位置を「一次元座標上の位置データ」として検出しているといえる。 なお、甲3の【0019】及び【図5】によると、「キー位置K1~K62は回路的にはマトリックスを形成している」ため、押下された位置は、直接的には、マトリックス(二次元座標)により検出しているが、構成要件Aの「前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段」は、回路構成が「一次元座標」で構成されていることを限定しておらず、また、上述したように、甲3発明において、マイコンは、「ジョグ操作」の操作方向(回転方向)を認識している以上、回路的には押下された位置を、二次元座標上の位置として検出しているとしても、当該検出された位置をマイコンが一次元座標上のデータとして認識しているといえる。 したがって、相違点3-1は、実質的な相違点ではない。 b 相違点3-2について (a)甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術 甲1、甲2及び甲12の記載事項(前記(1)のア、イ及びコ)を参酌すれば、ビデオテープレコーダ、VTR等の映像機器を制御するための入力装置であって、指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を位置データとして検出するタッチ位置検知手段を備える接触操作型入力装置は、本件特許出願時における周知技術であると認められる。 (b)甲2発明 甲2発明は、前記(1)イ(イ)で特定したものである。 (c)相違点3-2についての判断 甲3発明に甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用することにより、上記相違点3-2を克服できるか否かについて検討する。 甲3発明は、VTR、テレビといった映像機器を制御するための接触操作型入力装置である点において、甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明と共通していることから、甲3発明に甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用しようとすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、甲3発明に甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用し、甲3発明において、「ジョグキーエリア7」に配置された「各キー(K1~K6、K9~K14)」を、甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明におけるタッチ位置検出センサーに置換するとともに、接触点を位置データとして検出するように変更することは、当業者が容易に想到し得たことである。 c 相違点3-3について 前記b(c)で述べたように甲3発明に甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用することは当業者が容易に想到し得ることである。 しかしながら、甲3発明の「各キー(K1~K6、K9~K14)」をタッチ位置検出センサーに置換しても、相違点3-3に係る本件特許発明1の「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」(構成要件C)との構成には到達しない。 なぜなら、この「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成に到達するためには、前記の置換後の構成に、「一般用キー」(K25~K40)(プッシュスイッチ手段)を、「タッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡」に沿って配置する必要があるが、そのような配置に変更すべき理由がなく、当業者といえども容易に想到し得るものとはいえないからである。 したがって、相違点3-3に係る本件特許発明1の構成(特に、「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」)は、当業者が容易に想到し得たものではない。 (エ)請求人の主張について a 甲3発明の認定について 請求人は、甲3発明について、次のように主張する。 甲3発明は、直接的には甲3の第2の実施例(図7及び0048)に基づいて特定されるものである。 甲3の第2の実施例(図7及び【0048】)を参照すると、「リング状の領域20に複数のキー21~24を割り当て、連続キーオン操作と単独キーオン操作との複合機能を持たせ」ることが記載されている。 当該複合機能のうちの「連続キーオン操作」は、前述のとおりジョグキーエリア7(図2)を用いるジョグ機能の操作を指している。 一方で、当該複合機能のうちの「単独キーオン操作」は、図7においてキー21~24の位置に記載されたマークから理解できるように、VTRの再生制御に関する操作(停止、巻戻し、早送り、又は一時停止)のことである。 したがって、甲3の第2の実施例(図7及び【0048】)は、連続キーオン操作(ジョグ機能)用の複数のキー(図2のジョグキーエリア7に配置された12個のキー)のうちの、4つのキー(図7において符号21~24で示すキーであって、図2のジョグキーエリア7において3時、6時、9時、12時の方向に配置されたキーに相当するもの。例えば、K1、K4、K7、及びK11)を単独キーオン操作(停止、巻戻し、早送り、又は一時停止)用のキーとして割り当てることにより、メンブレンスイッチ(円形の軌跡上に連続して配置された複数のキー)に連続キーオン操作(ジョグ機能)と単独キーオン操作(停止、巻戻し、早送り、又は一時停止)との複合機能を持たせることを開示したものであるといえる。 ここで、図7の領域20には個々のキーが明記されていないが、上記のとおり第2の実施例(図7及び【0048】)は連続キーオン操作(ジョグ機能)用の複数のキー(図2のジョグキーエリア7に配置された12個のキー)を含むものである。したがって、図7の領域20には参考図1に示すようにキーが配置されているものと解されるので、第2の実施例(図7及び【0048】)は参考図1のように解釈できる。 (令和3年9月22日提出の上申書(3)第11頁第9行~第12頁第16行) 「参考図1 [図:0001403016000032.jpg] 」 審理事項通知書34頁24行~25行の「リング状の領域20に複数のキー21~24を割り当て、連続キーオン操作と単独キーオン操作との複合機能を持たせることもできる」の部分を、「リング状の領域20に含まれる連続キーオン操作(ジョグ機能)用のジョグキーK1~K6及びK9~K14のうちの4つを単独キーオン操作用のキー21~24として割り当て、連続キーオン操作と単独キーオン操作との複合機能を持たせることもできる」のように改めることが望ましいと考える。(令和3年9月22日提出の上申書(3)第8頁第16~29行) 上記請求人の主張について検討するに、甲3の【0048】には、「図7は、本発明に係る第2の実施例を示す。この実施例では、リング状の領域20に複数のキー21~24を割り当て、連続キーオン操作と単独キーオン操作との複合機能を持たせている。」と記載されているが、「リング状の領域20」に割り当てられているキーとしては、図7を参酌しても、「キー21~24」以外には具体的に特定されていない。 また、「ジョグ操作」を実現する第1の実施例についての【図2】には、ジョグ操作に使用されるキーとして、ジョグキーエリア7にジョグキーK1~K6及びK9~K14が割り当てられる例が記載されている。 ここで、【0048】に記載の「連続キーオン操作」が、「ジョグ操作」と同義であるとしても、【0048】に記載の「連続キーオン操作」が、【図2】に開示されているキー配置も含めた具体的な構成までも指しているということはできず、第2の実施例が、【図2】の具体的な構成を前提としたものであって、【図2】のジョグキーK1~K6及びK9~K14の一部に「単独キーオン操作」の機能を付加して「キー21~24」とし、これら以外のキーについては、「連続キーオン操作」(ジョグ操作)の機能のみを備えること(上記参考図1の構成)が自明であるということはできない。 したがって、請求人の主張は、甲3の記載を正解しないものであり、採用することができない。 b 相違点3-3について 請求人は、相違点3-3の容易想到性について、次のように主張する。 [主張1] 前記aにおいて検討した、請求人が主張する参考図1の構成に対して、甲1、甲2、及び甲12に開示される周知技術2(機械的な回転部材が不要な小型/薄型のジョグ機能用の操作手段を、タッチパネルを用いた一次元検出リングセンサー20により実現する技術)又は甲2発明を適用することにより、すなわち、上記参考図1において「連」の文字で示すキーによるジョグ機能をリング状のタッチパネルによるジョグ機能に置き換えることにより、結果として、下記の参考図2に示すような構成が得られ、相違点3-3に係る構成が得られる。 したがって、圧力検知特許庁解釈の下で相違点3-3を克服することは当業者にとって容易であったといえる。(陳述要領書第63頁第19行~第67頁第8行) 「参考図2 [図:0001403016000033.jpg] 」 [主張2] 前記aにおいて検討した、請求人が主張する参考図1の構成に対してリング状タッチパネル型ジョグ操作手段(周知技術2又は甲2発明)を適用することは、「ジョグキーエリア7に配置されたメンブレンスイッチの連続キーオン操作」の手段に代えて、リング状タッチパネル型操作手段を用いることにより、甲3と同一の目的を達成することを意味するので、小型/薄型のジョグ機能を備えたスイッチを実現するという甲3の目的に反するものではなく、阻害要因になり得ない。 したがって、甲3発明にリング状タッチパネル型ジョグ操作手段(周知技術2又は甲2)を適用することに、阻害要因はない。(陳述要領書第68頁第8~29行) 甲3は、ジョグ機能用の構造が複雑化して厚みが増している第3の実施例を開示していることから、最大限の薄型化を実現することは必ずしも要求していない。ジョグ機能用の構造自体ですら一定の目的のために複雑化して厚みを増すことを容認している甲3において周知技術2又は甲2発明の適用が阻害されることはない。(陳述要領書第73頁第17行~第74頁第15行) 上記請求人の各主張について、以下、検討する。 [主張1について] 前記aで述べたように、請求人が主張する参考図1の構成を甲3発明として採用することができないため、そのような甲3発明を前提とした、相違点3-3の容易想到性に係る主張も採用することができない。 また、仮に甲3の記載から参考図1の構成を導き出すことができるとしても、それは、甲3に記載の【図2】の構成と第2の実施例とを組み合わせることによるものであるから、そのように導き出された参考図1の構成に、甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用することは、2つのステップを要するものであり、採用することができない。 また、仮に、請求人が主張するように、甲3の第2の実施例が、参考図1の構成であるとしても、参考図1の構成は、連続キーオン操作(ジョグ機能)と単独キーオン操作の両者を同一の技術手段(プッシュスイッチ手段)により実現するものであるから、相違点3-3に係る本件特許発明の構成のうち、構成要件Cの「前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されている」との構成に到達するためには、一方の機能である連続キーオン操作(ジョグ機能)に係る機能を、これを実現する具体的な技術手段(プッシュスイッチ手段)と切り離して、他方の機能(単独キーオン操作)から分離し、分離した連続キーオン操作(ジョグ機能)のみに着目して甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明の構成を適用する必要がある。すなわち、請求人の主張は、参考図1の構成において、連続キーオン操作(ジョグ機能)と単独キーオン操作の両者を同一の技術手段(プッシュスイッチ手段)で実現する構成に替えて、両機能を異なる技術手段により実現することをまず想起し、その上で、一方の機能を実現する技術手段に対して、甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用するという2つのステップを要するものであるから、採用することができない。 [主張2について] 甲3発明は、従来のジョグ機能を備えたスイッチにおいて複雑であった機械的構造をできるだけ電気的構造およびソフトウェア処理することによって、薄型で低価格のディジタルスイッチを実現することを課題とするものである(甲3の【0006】)が、プッシュスイッチ手段のみで操作を実現している甲3発明に、より小さい接触圧力により操作を可能とするタッチパネルを付加すると、厚みが増し、価格も高くなることは明らかであるから、甲3発明に、甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用することには技術的な阻害要因がある。 請求人は、周知技術2及び甲2発明は、甲3と同一の目的を達成するものであるから、これらの適用には技術的阻害要因はない旨主張するが、上述したように、甲3発明は、連続キーオン操作(ジョグ操作)と単独キーオン操作の両者を同一の技術手段(プッシュスイッチ手段)により実現するものであり、その一方の機能である連続キーオン操作(ジョグ機能)を実現する手段を、周知技術又は甲2発明のタッチパネルに置換すれば、「ディジタルスイッチ」全体としては異なる2つの技術手段による構成、すなわち、より複雑になり厚くなる構成となるため、上記課題を解決した構成とはいえない。 また、請求人は、甲3には、より厚みのある第3の実施例が記載されていることから、最大限の薄型化を要求しておらず、よって、周知技術2又は甲2発明の適用に阻害要因はない旨主張する。しかしながら、甲3の【0049】には、「図8は、本発明に係る第3の実施例を示す。上記実施例においてはジョグ操作は手の指で行うようにしたが、ジョグ操作を自動的に行う場合の実施例を示す。」と記載されているように、甲3に記載の第3の実施例(【図8】)は、ジョグ操作を手の指で行うようにしたものではなく、ジョグ操作を自動的に行う場合の実施例であるから、指(指先)でなぞる構成を有する甲3発明や本件特許発明とは異なる構成である。 したがって、指でなぞる構成を前提とした甲3発明において、甲3に第3の実施例(【図8】)の記載があるからといって、「薄型で低価格のディジタルスイッチを実現する」という課題が没却することはない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 以上のとおりであるから、相違点3-3に係る本件特許発明1の構成は、当業者といえども、甲3発明に甲1、甲2及び甲12に基づく周知技術又は甲2発明を適用することにより容易に想到し得たということはできない。 (オ)小括 以上より、相違点3-3に係る本件特許発明1の構成は、当業者であっても、甲3発明と甲1、甲2及び甲12に係る技術事項(周知技術)又は甲2発明から容易に想到し得たということはできない。 したがって、本件特許発明1は、当業者が甲3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件特許発明2及び3について 本件特許発明2及び3は、相違点3-3に係る本件特許発明1の構成を含むため、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2及び3は、当業者が甲3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 無効理由3についての小括 以上のとおりであるから、無効理由3により本件特許発明1ないし3についての特許を無効とすることはできない。 第6 むすび 以上のとおり、無効理由1ないし4にはいずれも理由がなく、請求人の主張及び証拠方法によっては、特許第3852854号の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された発明についての特許を無効とすることはできない。 なお、審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-800122

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