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特許無効審判

2015-800085

静電容量式タッチパネル付き表示装置、静電容量式タッチパネル

審判番号
2015-800085
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2013-543003
登録番号
特許第5440747号(P5440747)
請求日
2015年03月30日
審決日
2016年06月22日
公報発行日
2017年11月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】藤松 正雄
  • 【請求人代理人】杉村 純子
  • 【請求人代理人】田村 爾
  • 【被請求人】王子ホールディングス 株式会社
  • 【被請求人代理人】小椋 正幸
  • 【被請求人代理人】田部 元史
  • 【被請求人代理人】柳井 則子
審判長/審判官
  • 審判長 小曳 満昭
  • 審判官 千葉 輝久
  • 審判官 稲葉 和生
分類
P1113.121-ZDA(G06F) / P1113.536-ZDA(G06F) / P1113.537-ZDA(G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第123条第1項第2号、特許法第134条の2第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第5440747号発明「静電容量式タッチパネル付き表示装置、静電容量式タッチパネル」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第5440747号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、2、3、4、5について訂正することを認める。 特許第5440747号の請求項1、2、3、4に係る発明についての特許を無効とする。 特許第5440747号の請求項5に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その5分の1を請求人の負担とし、5分の4を被請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 1.本件特許の出願の経緯 平成24年11月 7日    出願(優先日 平成23年11月7日) 平成25年12月27日    設定登録(特許第5440747号) 2.本件審判の経緯 平成27年 3月30日    本件無効審判請求書 平成27年 6月12日    審判事件答弁書 平成27年 7月13日    審理事項通知書 平成27年 8月31日    口頭審理陳述要領書(請求人) 平成27年 9月30日    口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成27年10月15日    口頭審理 平成27年11月 6日    上申書(被請求人) 平成27年11月27日    上申書(請求人) 平成27年12月18日    審決の予告 平成28年 2月23日    訂正請求書および上申書 平成28年 4月 4日    審判事件弁駁書 平成28年 4月 8日    補正許否の決定 平成28年 5月19日    審判事件答弁書 第2.訂正の可否 1.訂正の内容 平成28年2月23日に提出された訂正請求書により被請求人が求める訂正の内容は、特許請求の範囲を次のとおりに訂正しようとするものである(下線部は訂正箇所を示す)。 「【請求項1】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項2】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、 前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項3】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、 前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項4】 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である、静電容量式タッチパネル。 【請求項5】 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であり、 さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シートとを備える、静電容量式タッチパネル。」 また、上記訂正前の特許請求の範囲は次のとおりである。 「【請求項1】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項2】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項3】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項4】 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である、静電容量式タッチパネル。 【請求項5】 さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備える、請求項4に記載の静電容量式タッチパネル。」 2.訂正の適否 (1)訂正の目的 ア.請求項1の訂正 請求項1における「前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」を「前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である」と訂正する訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.請求項2の訂正 請求項2における「前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、」を「前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、」と訂正する訂正事項は、後出の第2の保護シートとの区別を明瞭にするために「保護シート」を「第1の保護シート」とし、さらに、「前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、」との限定を付加するものであるから、明瞭でない記載の釈明、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 請求項2における「前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」を「前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える」とする訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ウ.請求項3の訂正 請求項3における「前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、」を「前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、」と訂正する訂正事項は、後出の第2の保護シートとの区別を明瞭にするために「保護シート」を「第1の保護シート」とし、さらに、「前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、」との限定を付加するものであるから、明瞭でない記載の釈明、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 請求項3における「前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」を「前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える」とする訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 エ.請求項4の訂正 請求項4における「前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」を「前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である」と訂正する訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 オ.請求項5の訂正 請求項5の訂正事項は、請求項4を引用して記載されていた請求項5を独立形式の記載とし、2つの「保護シート」の区別を明瞭にするために「第1の保護シート」、「第2の保護シート」とするものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、拡張・変更 上記訂正事項は、何れも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)まとめ 以上のとおり、平成28年2月23日に提出された訂正請求書による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号、第3号、第4号に掲げる事項を目的とするものであるから、同項の規定に適合するものであり、また、同条9項で準用する第126条第5項、第6項の規定に適合するものである。 第3.本件特許発明 本件特許発明は、平成28年2月23日付け訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される以下のとおりのもの(以下、「本件発明1」ないし「本件発明5」という)である。 「【請求項1】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項2】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、 前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項3】 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、 前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 【請求項4】 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え、 前記保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である、静電容量式タッチパネル。 【請求項5】 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であり、 さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シートとを備える、静電容量式タッチパネル。」 第4.請求及び主張の概要 1.請求人 (1)請求の趣旨 特許第5440747号発明の特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 (2)無効理由 請求人が主張する無効理由は、審判請求書に記載されるとおりであるが、これを根拠法条ごと、請求項ごと、根拠法条に該当する具体的事実ごとにまとめると、以下のように整理できる。 ア.特許法第29条第2項を根拠法条とする無効理由 (ア)請求項1についての無効理由 a.請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (イ)請求項2についての無効理由 a.請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (ウ)請求項3についての無効理由 a.請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項、及び、甲第3号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 b.請求項3に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (エ)請求項4についての無効理由 a.請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (オ)請求項5についての無効理由 a.請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項、及び、甲第3号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 b.請求項5に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項、及び、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 イ.特許法第36条第6項第1号を根拠法条とする無効理由 (ア)請求項1-5についての無効理由 a.請求項1-5に係る「静電容量式タッチパネル付き表示装置」又は「静電容量式タッチパネル」の発明、及び、該発明の効果を裏付ける実施例が発明の詳細な説明には記載されていないから、請求項1-5に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない。 ウ.特許法第36条第4項第1号を根拠法条とする無効理由 (ア)請求項1-5についての無効理由 a.実施例に記載される「ハードコートフィルム」による「ニュートンリング」の発生の有無が、「静電容量式タッチパネル付き表示装置」又は「静電容量式タッチパネル」における「ニュートンリング」の発生の有無と直接関連付けられないため、当業者は請求項1-5に係る発明をその効果が奏するように実施することができない。 したがって、本件請求項1-5に係る発明は、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていない。 b.甲第2号証の比較例9が開示する、「表面粗さ:29nm」の場合にニュートンリングが発生すること、に接した当業者は、請求項1-5に係る発明を、請求項に規定される「表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」の範囲内にある「表面粗さ:29nm」においてはニュートンリングが発生するものであると理解するため、請求項1-5に係る発明をその効果が奏するように実施することができない。 したがって、本件請求項1-5に係る発明は、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていない。 [証拠方法] 甲第1号証:特開2009-193587号公報 甲第2号証:特開2010-66761号公報 甲第3号証:特開2010-15574号公報 甲第4号証:特開平8-313708号公報 甲第5号証:特開平8-301633号公報 甲第6号証:特開2009-211377号公報 甲第7号証:特開2008-134489号公報 甲第8号証:特開2005-31790号公報 甲第9号証:特開2011-70012号公報 甲第10号証:特開2010-64423号公報 甲第11号証:特開2009-53440号公報 甲第12号証:特開2010-91966号公報 甲第13号証:特開平10-73718号公報 甲第14号証:特開2000-167969号公報 甲第15号証:特開2011-133881号公報 甲第16号証:特開2011-170308号公報 甲第17号証:国際公開第2011/108394号 甲第18号証:特開2011-209512号公報 甲第19号証:特開2010-168419号公報 甲第20号証:特開2010-211647号公報 2.被請求人 (1)答弁の趣旨 訂正を認める、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 第5.甲各号証 1.甲第1号証 甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 一体に形成された静電容量タッチパネルであって: 第1の表面と第2の表面を有する単一のレンズ基板と、 マスク層と、 前記単一レンズ基板に一体に結合されたセンス回路と、 を含み、 前記単一レンズ基板と、前記マスク層と、前記センス回路とが一体に形成されている、一体に形成された静電容量タッチパネル。」 「【技術分野】 【0001】 本発明はタッチパネルに関し、特に表示パネルに組み込まれた静電容量タッチパネルに関する。 【背景技術】 【0002】 PDA、手のひらサイズのPC、情報機器などの大抵の電子機器は、タッチ表示パネルを有する。タッチ表示パネルは、レンズと、表示パネルと、及び、前記レンズと表示パネルの間に配置されたタッチパネルとから構成されている。従来技術においては、レンズとタッチパネルは、別々に異なる基板上に形成される。それらの基板は、通常はガラス基板である。そしてレンズとタッチパネルは重ねられてタッチモジュールを形成する。タッチモジュールはさらに、表示パネルと重ねられて貼り付けられ、タッチ表示パネルを形成する。ユーザは、彼又は彼女の指、又はタッチペンで、タッチ表示パネルに表示された対象物を触れて、情報の入力又は操作を行うことができる。」 「【0008】 本発明の目的の1つは、低コストの、高い歩留まり率の、簡単化された組み立て工程の一体に形成された静電容量タッチパネルを提供することである。 【0009】 本発明の別の目的は、一体に形成されたスリム型の静電容量タッチパネルを提供することである。」 「【図2】本発明の例示的実施形態による静電容量タッチパネルを含むタッチ表示パネルの断面図である。」 「【0014】 図1は、本発明の一体に形成された静電容量タッチパネル1を有する電子機器を示す斜視図である。静電容量タッチパネル1は、図1に示すように、電子機器のシェル3に取り付けられる。図2は、本発明の1つの例示的実施形態による、表示パネル2上に配置された静電容量タッチパネル1を示す断面図である。本発明において、静電容量タッチパネル1は、単一基板11と、マスク層12と、センス回路13とを含む。単一基板11、マスク層12及びセンス回路13は一体に形成される。従って、一体に形成される静電容量タッチパネル1用に、他の基板を採用する必要はない。本タッチパネルの組み立てにおいては、従来のタッチモジュールにおいて必要となるラミネート処理を行う必要はない。詳細は以下に説明される。 【0015】 単一基板11は、ガラス物質からなり、単一レンズ基板を形成することができる。単一基板11としてはその他に、プラスチック材で構成し、限定するものではないが、ゴムとエボナイトを含んでよい。単一基板11は、物理的触覚入力を受ける表面111と、単一基板11の底面112とを含む。 【0016】 マスク層12は、単一基板11の底面112上に一体形成されてよく、マスク層12は、ブラックレジスト又は他の不透明なコーティング層とすることができる。平滑層15は、図2に示されているように、単一基板11の片側に設けられている。本発明による製造工程においては、平滑層15は、マスク層12の下面が滑らかになるように、そこに成長させるセンス回路13がより平坦になるように、設けられる。従って、タッチパネル1の最終製品の歩留まり率を、向上させることができる。平滑層15は、透明な有機又は無機の物質によって形成されてよい。平滑層15は、本発明では任意選択であることに留意されたい。図2に示す構造は例示のためのみである。 【0017】 図2に示されているように、センス回路13の一部はマスク層12の底面上に延びている。従って、単一基板11の上から見ると、センス回路13のその部分は、マスク層12によって“覆い隠されている”ように見える。センス回路13の露出した部分、即ち、マスク層12の下には延びていない、センス回路13の部分は、センシング領域14を形成する。 【0018】 センシング領域14の有効範囲は、図2と図3に明示されているエリアを含む。センシング領域14においては、センス回路13は、マスク層12の底面上には延びていないが、平滑層15の下面上には延びている。本発明の1つの例示的実施形態に従うと、単一基板11の底面上にシールド層16を設けることができ、マスク層はその上に延びている。シールド層16はノイズ信号を防ぐことができる。 【0019】 センス回路13はコーティング、露光、現像、エッチングによって形成してよい。例示的実施形態の1つにおいては、センス回路13は導電性電極131を含む。センス回路13は、さらに図2に示すようにメタルトレース132を含むことができる。メタルトレース132は、導電性電極131の表面に配置できる。図3を参照されたい。図3は、本発明の別の例示的実施形態による静電容量タッチパネルを含むタッチ表示パネルの断面図である。図3に示すように、メタルトレース133が、導電性電極131の底面上に配置されている。図2に示す実施形態のメタルトレース132と、図3に示す実施形態のメタルトレース133は、両方とも単一基板11の上から見ると、マスク層12によって“覆い隠されている”。単一基板11の上から見ると、メタルトレース132と133は露出していないので、単一基板11の外観は改善される。 【0020】 導電性電極131は、通常(インジウム鈴(当審注:「スズ(錫)の誤記と認める」)酸化物(ITO)のような)透明な導電物質によって形成されている。(図2に示すような)保護膜17が、センス回路13の下面上にコーティングされている。一体に形成された静電容量タッチパネル1と、表示パネル2の外周部との間に、接着層4が設けられている。図2に示すような1つの例示的実施形態では、接着層4は、保護層17と表示パネル2の間に設けられ、一方、例えば図3に示すように、他の実施形態では、保護層17は除外してよく、接着層4は、センス回路13と表示パネル2の間に直接に配置されている。 【0021】 本発明によると、単一基板11の表面111は、物理的触覚入力を受けると、単一基板11の表面111が受けた物理的触覚入力によって静電容量効果が引き起こされるので、センシング領域14の導電性電極131が、タッチされた位置に対応する容量センス信号を出力する。容量センス信号は、メタルトレース132又は133に沿って、プロセッサ(図示せず)に転送され、タッチされた位置の座標の検出・算出が行われる。 【0022】 本発明においては、タッチパネルの範囲内で、レンズとセンス回路は同じ単一基板を共有し、一体に形成される。このようにして、従来、レンズとタッチパネル用に別々に使用される基板を削減することができる。従って、従来のタッチパネル製造におけるボンディング・ラミネート工程を簡単化できる。タッチパネルの製造の費用及び時間を削減でき、且つ、タッチパネルはスリム型デザインにすることができる。」 以上の記載及び図2から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 表示パネル2と、前記表示パネル2の前面側に、前記表示パネル2との間に隙間を設けて配置され、外周部が接着層4で前記表示パネル2に固定された静電容量タッチパネル1とを備える静電容量タッチパネルを含むタッチ表示パネルであって、 前記静電容量タッチパネル1は、単一基板11と、前記単一基板11の前記表示パネル2側に設けられた導電性電極131と、前記導電性電極131の下面上にコーティングされた保護膜17とを備える、 静電容量タッチパネルを含むタッチ表示パネル。 また、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1’発明」という)も記載されていると認められる。 [甲1’発明] 表示パネル2の前面側に、前記表示パネル2との間に隙間を設けて配置され、外周部が接着層4で前記表示パネル2に固定された静電容量タッチパネル1であって、 前記静電容量タッチパネル1は、単一基板11と、前記単一基板11の前記表示パネル2側に設けられた導電性電極131と、前記導電性電極131の下面上にコーティングされた保護膜17とを備える、 静電容量タッチパネル1。 2.甲第2号証 甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【請求項11】 画像を表示する表示部と、 上記表示部の前面側に設けられた前面部材と、 上記表示部の前面側、および上記前面部材の裏面側の少なくとも一方に設けられた光学層と を備え、 上記光学層は表面に凹凸形状を有し、 上記凹凸形状は、微粒子および樹脂を含む塗料を塗布し、上記塗料の対流により上記微粒子を粗密に分布させ、上記塗料を硬化することにより得られ、 上記微粒子の平均粒径が、2.4μm以上8μm以下であり、 上記光学層の平均膜厚が、6.4μm以上18μm以下であり、 上記光学層の表面における粗さ曲線の算術平均粗さRaが0.03μm以上0.15μm以下であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.01以上0.03以下であり、 上記樹脂と上記微粒子との屈折率差が、0以上0.015以下である表示装置。」 「【技術分野】 【0001】 この発明は、光学フィルムおよびその製造方法、防眩性フィルム、光学層付偏光子、ならびに表示装置に関する。詳しくは、液晶表示装置などの表示装置(ディスプレイ)に用いられる光学フィルムに関するものである。」 「【0013】 また、例えば、液晶ディスプイレイ、有機ELディスプイレイ、その他の表示装置の前面(観察者側)に機械的、熱的、耐候的保護や意匠性を目的とした前面板が配置されることがある。その場合、前面板の裏面(表示装置側)が平らな形状であると、前面板がたわむなどして表示装置に接近した場合、ニュートンリングが発生するという問題がある。」 「【0015】 そこで、このようなニュートンリングの発生を抑制できる光学フィルムが望まれるようになっている。 【0016】 したがって、この発明の目的は、コントラストと防眩性とを両立させることができる光学フィルムおよびその製造方法、防眩性フィルム、光学層付偏光子、ならびに表示装置を提供することにある。 【0017】 また、この発明の他の目的は、防眩性と写像鮮明性とを両立することができ、かつ、ニュートンリングの発生も抑制できる光学フィルムおよびその製造方法、防眩性フィルム、光学層付偏光子、ならびに表示装置を提供することにある。」 「【0024】 第6の発明は、 画像を表示する表示部と、 表示部の前面側に設けられた前面部材と、 表示部の前面側、および前面部材の裏面側の少なくとも一方に設けられた光学層と を備え、 光学層は表面に凹凸形状を有し、 凹凸形状は、微粒子および樹脂を含む塗料を塗布し、塗料の対流により微粒子を粗密に分布させ、塗料を硬化することにより得られ、 微粒子の平均粒径が、2.4μm以上8μm以下であり、 光学層の平均膜厚が、6.4μm以上18μm以下であり、 光学層の表面における粗さ曲線の算術平均粗さRaが0.03μm以上0.15μm以下であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.01以上0.03以下であり、 樹脂と微粒子との屈折率差が、0以上0.015以下である表示装置である。」 「【0027】 本発明の光学フィルムは、表面に凹凸形状を有していながら高い透過鮮明性を持ち合わせるため、表示装置前面に配置され防眩層や防眩性フィルムとして使用できるのみならず、アンチニュートンリング層やアンチニュートンリングフィルムとしても使用することができる。」 「【0034】 (1-2)防眩性フィルムの構成 図2は、この発明の第1の実施形態による防眩性フィルム1の構成の一例を示す。この防眩性フィルム1は、図2に示すように、基材11と、この基材11上に設けられた防眩層12とを備える。防眩層12は微粒子13を含み、その表面には微細凹凸が形成されている。 【0035】 表面ヘイズは、好ましくは0~5%、より好ましくは0~1%である。表面ヘイズが5%以下であると白濁感が減少し、1%以下であると白濁感はほとんど感じられなくなる。なお、表面ヘイズは表面散乱を検出したときの値であり、表面ヘイズが高ければ高いほど白濁が増す。 【0036】 内部ヘイズは全光線透過率すなわち、透過性と関係があり、好ましくは0~20%より好ましくは0~10%である。内部ヘイズが20%を超えると、後方散乱の影響が現れ、透過性が低下する。内部ヘイズが小さい程、透過性は向上するが、表示素子との干渉などにより、ぎらつきが発生する場合には、内部ヘイズ0~20%の間で、調整することが可能である。 【0037】 全体ヘイズは、表面ヘイズと内部ヘイズを加算した値であり、両者を満たす範囲であれば特に限定されるものではない。 【0038】 全体ヘイズは、好ましくは3~45%、より好ましくは3~40%、最も好ましくは3~30%である。3~45%の範囲内とすることにより、写像鮮明性を低下させずに適度な防眩性を得ることができる。すなわち、全体ヘイズが3%未満であると十分な防眩性を得ることが困難となり、45%を超えると写像鮮明性が低下してしまう。」 「【0105】 (3)第3の実施形態 この第3の実施形態は、上述の第1の実施形態において防眩性フィルムとして用いた光学フィルムを、アンチニュートンリング(Anti Newton-Ring:ANR)フィルム(以下ANRフィルムと称する。)として用いるものである。 【0106】 図8、図9は、この発明の第3の実施形態による表示装置の構成例を示す。この表示装置は、表示部21と、この表示部21の前面側に設けられた前面部材22とを備える。表示部21と前面部材22との間には、例えば空気層が形成されている。表示部21の前面側、および前面部材22の裏面側の少なくとも一方に、ANRフィルム23が備えられている。具体的には、図8では、前面部材22の裏面側にANRフィルム23を備える表示装置の例が示されている。また、図9では、表示部21の前面側、および前面部材22の裏面側の両方にANRフィルム23を備える表示装置の例が示されている。ニュートンリング発生の抑制の観点からすると、表示部21の表示面側、および前面部材22の裏面側の両方にANRフィルム23を備えることが好ましい。ANRフィルム23と、前面部材22または表示部21とは、接着剤などを介して貼り合わされている。なお、本発明において、前面とは表示面となる側の面、すなわち観察者側となる面を示し、裏面とは表示面と反対となる側の面を示す。 【0107】 表示部21としては、例えば、液晶ディスプイレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプイレイ、プラズマディスプイレイ(Plasma Display Panel:PDP)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプイレイ、無機ELディスプイレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプイレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)、電界放出型ディスプイレイ(Field Emission Display:FED)などを用いることができる。 【0108】 前面部材22は、表示部21の前面(観察者側)に機械的、熱的、および耐候的保護や、意匠性を目的として用いるものである。前面部材22は、例えば、シート状、フィルム状、または板状を有する。前面部材22の材料としたは、例えば、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、透明性を有する材料であれば用いることができる。 【0109】 図10は、ANRフィルムの構成の一例を示す。ANRフィルム23は、表示装置におけるニュートンリングの発生を抑制するためのものである。図10に示すように、ANRフィルム23は、基材24と、この基材24上に設けられたANR層25とを有する。ANRフィルム23は、接着層46を介して前面部材22などの被着体に対して貼り付けられている。接着層46は、接着剤を主成分とする。この接着剤としては、例えば、光学フィルムの技術分野において公知のものを用いることがでる。なお、本明細書では、感圧性粘着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)などの粘着剤も接着剤の一種とみなす。」 「【0112】 この発明の第3の実施形態によれば、表示部21の前面側、および前面部材22の裏面側の少なくとも一方に、ANRフィルム23を配置することで、ニュートンリングの発生を抑制する、もしくは気にならない程度までニュートンリングの発生を低減することが可能である。」 「【0181】 また、上述の実施形態では表示装置にこの発明を適用する例について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えば、タッチパネルに対しても適用可能である。」 3.甲第3号証 甲第3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、パーソナルコンピュータに関し、特にタッチ型パーソナルコンピュータに関するものである。 【背景技術】 【0002】 近来、各種電子装置の高性能化及び多様化の発展に従って、液晶等のような表示装置の表示面に透光性タッチパネルが設置された電子装置がますます多くなっている。このような電子装置を使用する場合、使用者はタッチパネルの背面の表示素子に表示された内容に対して視覚的確認を進行しながら、前記タッチパネルを指又はペンのような接触素子で押圧又は接触して前記電子装置を操作する。これにより、電子装置の各種機能に対して操作を実施することができる。 【0003】 従来のタッチ型パーソナルコンピュータは、一般的に液晶表示素子とパーソナルコンピュータ筐体とが一体化されたパーソナルコンピュータであり、前記液晶表示素子の表面に少なくとも1枚のタッチパネルが設置されている。前記タッチパネルは入力装置として、マウス及びキーボートなどに代わって信号を入力して、タッチ型パーソナルコンピュータの各種機能のオン及びオフを制御し、文字の入力を実現する。 【0004】 タッチパネルは、その動作原理及び伝送媒質の相違によって、抵抗膜方式タッチパネル、静電容量方式タッチパネル、赤外線方式タッチパネル及び表面弾性波方式タッチパネルに分けることができる。抵抗膜方式タッチパネル及び静電容量方式タッチパネルは、耐用性、解像度及び感度が高いので、タッチ型パーソナルコンピュータに広く用いられている。」 「【0052】 (実施例2) 図5は、本発明の実施例2に係るタッチ型パーソナルコンピュータ200におけるタッチパネル30の側断面図であり、図6は、本発明の実施例2に係るタッチ型パーソナルコンピュータ200の動作原理を示す図である。本実施例において、前記タッチ型パーソナルコンピュータ200は、表示素子180、パーソナルコンピュータ筐体190及び静電容量方式タッチパネル30を備える。 【0053】 前記表示素子180と前記静電容量方式タッチパネル30とが一定な間隔があるように設置される場合、前記表示素子180に対向する前記静電容量方式タッチパネル30のシールド層35の表面に表面安定層104を設置することができる。前記表面安定層104は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリエステル又はアクリル樹脂などの材料によって形成されることができる。前記表面安定層104と表示素子180との正面の間に一定な間隔の隔離部106を形成することができる。前記表面安定層104には、誘電体が用いられる。前記表面安定層104と前記隔離部106とは、表示素子180が外界の過大な力によって損傷することを防止することができる。 【0054】 前記表示素子180と前記静電容量方式タッチパネル30とが集積して設置される場合、前記支持体108を省略して、前記表面安定層104を前記表示素子180の表示面181に直接設置することができる。即ち、前記表面安定層104と前記表示素子180との間に間隔が存在しない。 【0055】 本実施例のタッチ型パーソナルコンピュータ200と実施例1のタッチ型パーソナルコンピュータ100との異なる箇所は、本実施例のタッチパネル30が静電容量方式タッチパネル30であることである。 【0056】 前記静電容量方式タッチパネル30は、基板32、透明導電構造体34、保護層36及び少なくとも2つの電極38を備える。 【0057】 前記基板32は、相対向する第一表面321及び第二表面322を備える。 【0058】 前記透明導電構造体34は、前記表示素子180に面する表面とは反対側の基板32の表面に設置される。即ち、前記基板32の第一表面321に設置される。 【0059】 前記少なくとも2つの電極38は、前記透明導電構造体34の隅部又は外縁に設置され、且つ前記透明導電構造体34に電気的に接続される。前記少なくとも2つの電極38は、前記透明導電構造体34に等電位面を形成させる作用を奏する。 【0060】 前記保護層36は、前記透明導電構造体34及び前記電極38の上に直接設置される。 【0061】 前記基板32は、曲面構造又は平面構造であることができる。前記基板32の材料は、ガラス、石英、ダイヤモンドなどのような硬性材料又はプラスチック又は樹脂などのような柔軟性材料である。前記基板32は、主に自身の上に設置された他の部品を支持する作用を奏する。」 「【0073】 本実施例おいて、前記透明導電構造体34及び4つの電極38の上に二酸化珪素からなる保護層36形成する。前記保護層36の硬さは7Hに達する。上述したHとは、ロックウェル硬さ試験(Rockwell Hardness Test)において、試験荷重を取り除いた後の最初の基準荷重のみを受けて生じた塑性変形の深みを示す。また、前記保護層36の硬さ及び厚さは実際の必要に従って設定することができる。前記保護層36は、粘着剤によって前記透明導電構造体34に接着されることができる。」 以上の記載及び図5、図6から、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という)が記載されていると認められる。 [甲3発明] 表示素子180と、前記表示素子180の前面側に、前記表示素子180との間に隔離部106を設けて配置され、外縁部が支持体108で表示素子180に固定された静電容量方式タッチパネル30とを備えるタッチ型パーソナルコンピュータ200であって、 前記静電容量方式タッチパネル30は、基板32と、前記基板32の前記表示素子180に面する表面とは反対側の前記基板32の表面に設置された透明導電構造体34と、前記透明導電構造体34の上に粘着材によって接着された保護層36とを備える、 タッチ型パーソナルコンピュータ200。 また、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3’発明」という)も記載されていると認められる。 [甲3’発明] 表示素子180の前面側に、前記表示素子180との間に隔離部106を設けて配置され、外縁部が支持体108で表示素子180に固定された静電容量方式タッチパネル30であって、 前記静電容量方式タッチパネル30は、基板32と、前記基板32の前記表示素子180に面する表面とは反対側の前記基板32の表面に設置された透明導電構造体34と、前記透明導電構造体34の上に粘着材によって接着された保護層36とを備える、 静電容量方式タッチパネル30。 第6.当審の判断 1.特許法第29条第2項を根拠法条とする無効理由について (1)請求項1について ア.本件発明1と甲1発明との対比 甲1発明における「表示パネル2」、「外周部」、「接着層4」、「静電容量タッチパネル1」、「静電容量タッチパネルを含むタッチ表示パネル」、「単一基板11」、「導電性電極131」は、それぞれ、本件発明1の「表示装置」、「外縁部」、「粘着剤層」、「静電容量式タッチパネル」、「静電容量式タッチパネル付き表示装置」、「1枚の透明基板」、「導電層」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層とを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 [相違点] 相違点1 本件発明1は、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」を備えるのに対し、甲1発明は、導電性電極131の下面上(本件発明1でいう「導電層上」)にコーティングされた保護膜17は備えるものの、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」は備えていない点。 相違点2 本件発明1では、「保護シートは、表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である」のに対し、甲1発明では、そのような保護シートは備えていない点。 イ.判断 相違点1、2について併せて検討する。 以下の事情を総合すると、甲1発明において、相違点1、2に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 (ア)以下の点を考慮すると、当業者は、甲第1号証の記載から、「第4.」の「1.」で認定したとおりの構成を有する甲1発明を、サイズが手のひらサイズよりも大きいタッチ表示パネルとしても実施され得る発明として把握すると考えるのが妥当である。 a.甲第1号証の段落【0008】、【0009】に記載される発明の目的は、タッチパネルのサイズが手のひらサイズよりも大きいものにも当然に妥当する。 b.甲第1号証の特許請求の範囲には、タッチパネルのサイズが手のひらサイズのものに限定されることを示す記載はない。 c.甲第1号証の段落【0002】には、背景技術に関する記載として、「PDA、手のひらサイズのPC、情報機器などの大抵の電子機器は、タッチ表示パネルを有する。」という記載があるが、そこでいう「情報機器」については、手のひらサイズよりも大きいサイズのタッチパネルを利用するものも当然に想定される。 d.甲7号証の段落【0009】の「例えば15インチ以上の表示面を有する液晶表示装置に対し、両面粘着テープを用いてタッチパネルを設置する場合」という記載からも明らかなように、手のひらサイズよりも大きいタッチ表示パネルの用途は、本件特許の出願時点以前から周知であった。 (イ)そして、甲1発明のタッチ表示パネルを、サイズが手のひらサイズよりも大きいタッチ表示パネルとして実施しようとする場合に、ニュートンリングの問題が発生し得ることや、それに対する何らかの対策が望まれることは、当業者が容易に想定し得ることである。 このことは、以下の点を考慮すると明らかである。 a.甲第1号証の段落【0009】に記載されるように、甲1発明はスリム型のタッチパネルであり、サイズがある程度以上に大きくなると甲7号証の段落【0009】に記載されるような撓みが発生することは、当業者に明らかである。 b.そのような撓みが発生した場合にニュートンリングの問題が生じ得、何らかの対策が望まれることも、甲第2号証の段落【0013】、甲6号証の段落【0005】、甲7号証の段落【0009】、甲8号証の段落【0014】、甲9号証の段落【0035】、乙3号証の8-1-4等の記載からみて、当業者に明らかである。 (ウ)一方、甲第2号証に記載されているように、表示部と前面部材との隙間の両側に、表面粗さが0.03μm以上0.15μm以下であるアンチニュートンリングフィルム(ANRフィルム)を、粘着剤層を介して積層し、ニュートンリングの発生を防止することが知られている。 甲1発明における静電容量タッチパネル1は、表示パネル2の前面に設けられているものであるから、表示パネル2に対する前面部材と考えられ、このような甲1発明において、想定し得るニュートンリングの発生を防止しようとするために、甲第2号証に記載されたニュートンリングの発生を防止する上記技術を適用して、表示パネル2と、その前面の部材である静電容量タッチパネル1との隙間の両側に、表面粗さが0.03μm以上0.15μm以下(30nm以上150nm以下)であるANRフィルムを、粘着剤層を介して積層することは当業者が容易に想到し得ることであり、そのように構成した場合に、積層したANRフィルムによって、導電性電極131や表示パネル2が保護されることとなる(すなわち、積層したANRフィルムは「保護シート」といえる)のは明らかである。また、その際に、フィルムのヘイズを1%未満とすることは、以下のa.~d.の点を考慮すると、当業者が適宜なし得ることである。 a.光学フィルムのヘイズを、その用途に応じた適切な値にすることは、通常、当業者が普通に考慮すべき事項であり、甲1発明に甲第2号証に示される光学フィルム(ANRフィルム)を採用しようとする場合においても、その用途に適したヘイズのものを選択することは、当業者が普通に考慮することである。 b.表示パネルの前面の光学フィルムとして用いる場合には、視認性の観点からヘイズ値が低い方が望ましいのは当業者に明らかであり、甲1発明に甲第2号証に示される光学フィルム(ANRフィルム)を採用しようとする場合においても、視認性の観点からは、低いヘイズ値が望ましいことは明らかである。 c.一方、甲第2号証には、表面を粗面化した光学フィルムを図8、9に示されるようにニュートンリングの発生防止のために用いる「第3の実施形態」において、光学フィルムのヘイズ値をどのような値とすべきかの記載はなく(下の(オ)のb-4.でも触れるが、段落【0038】の「全体ヘイズが3%未満であると十分な防眩性を得ることが困難となり」等の記載は、表面を粗面化した光学フィルムを図1に示されるように防眩のために用いる「第1の実施形態」についての記載であり、図8、9に示されるようにニュートンリングの発生防止のために用いる「第3の実施形態」についての記載ではない。)甲1発明に甲第2号証に示される光学フィルム(ANRフィルム)を採用しようとする場合において、当該光学フィルム(ANRフィルム)のヘイズ値をどのような値とするかは、当業者の任意である。 d.視認性を良好にするためにヘイズを1%未満とした、表面が粗面化された光学フィルム自体は、甲第15号証の【0026】、【表1】、【表2】、甲第16号証の【0050】、【表2】、甲第17号証の【0074】、[表1]に記載されているように当業者によく知られたものであり、甲1発明に甲第2号証に示される光学フィルム(ANRフィルム)を採用しようとする場合において、当該光学フィルム(ANRフィルム)のヘイズ値を1%未満とすることができない理由は見当たらない。 (エ)以上のことは、甲1発明において、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」を備え、「保護シートは、表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である」ようにすることが当業者にとって容易であったことを意味している。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (オ)この点に関し、被請求人は、下のa-1.~a-5.の趣旨の主張をしているが、b-1.~b-5.の理由で採用できない。 a-1.甲第2号証に示される「前面部材22」は、「表示部21の前面(観察者側)に機械的、熱的、および耐候的保護や、意匠性を目的として用いるもの(甲2の[108])」であり、単に表示部21の一部、ないしは、表示部21の付随物に過ぎないから、タッチパネルとは別物である。したがって、甲1発明に甲第2号証のANRフィルム23を適用する動機付けはない(平成27年6月12日付け答弁書7.の(4)の(4)-1のエ.の(オ);p13-14)。 a-2.甲第2号証のANRフィルム23は防眩性フィルムであり、甲第1号証の表示パネル2とタッチパネル1との対向面に甲第2号証のANRフィルム23を配置すると、本件発明1の目的であるタッチ面の明るさを損なうから、甲第1号証の表示パネル2とタッチパネル1との対向面に甲第2号証のANRフィルム23を配置することはできない(平成27年6月12日付け答弁書7.の(4)の(4)-1のエ.の(カ);p14-15)。 a-3.甲第1号証の表示パネル2とタッチパネル1との間には、光の干渉が生じない175~500μmの隙間が存在し、ニュートンリングは問題とされていなかったから、甲1発明に甲第2号証のANRフィルム23を適用する動機付けはない(平成27年6月12日付け答弁書7.の(4)の(4)-1のエ.の(キ);p15) a-4.甲第2号証の第3の実施形態に係るANRフィルム23は、第1の実施形態における防眩性フィルムと同じものであり、[0105]の記載から全体ヘイズが3%以上であることが求められている。全体ヘイズ1.3%の実施例(表1)や内部ヘイズが1.0%の実施例(表4)も記載されているが、結局のところ、当業者が甲2から把握できるANRフィルムは、全体ヘイズが1.3%またはこれより大きいものであり、全体ヘイズが1%未満のANRフィルムを把握することはできない(平成28年5月19日付け答弁書7.の(1)のア.;p3-4)。 a-5.本件発明と甲1発明との相違点を甲2の技術で補い、補ったはずの甲2の技術をさらに別の甲15-17の技術で置換するのは、いわゆる「容易の容易」の論理構成によるものであり、許されない。また、甲15-17は、何れも抵抗式タッチパネルに関する文献であり、これらを参照して、甲1発明の導電層の粗面化を検討するはずがない。なお、甲17に記載のヘイズは、本件発明1と同様の全体ヘイズかどうか不明である(平成28年5月19日付け答弁書7.の(1)のウ.;p5-6)。 b-1.(上記a-1.の主張について) 下の(a)~(c)の事情を考慮すると、甲第2号証に接した当業者は、甲第2号証に示される「前面部材22」は、タッチパネルの場合もあり得ると理解する、と考えられるから、上記被請求人の主張a-1.はその前提において失当である。 (a)甲第2号証の図8、9には、前面部材22と表示部材22は、相互に別の部材として示されており、甲第2号証において、前面部材22は表示部21の一部ないし付随物とはされていない。 (b)上記甲6号証の段落【0005】、甲7号証の段落【0009】、甲8号証の段落【0014】、甲9号証の段落【0035】、乙3号証の8-1-4等の記載に照らせば、甲第2号証の段落【0013】に示されるニュートンリングが発生するという問題が、表示部21の前面に微少間隔をおいて透明な薄板状の部材が配置されることによって生じる問題であって、「機械的、熱的、および耐候的保護や、意匠性を目的として用いるもの」特有の問題でないことは、当業者に明らかである。 (c)上記(a)、(b)のことと、甲第2号証の第3の実施形態に対応すると解される請求項11には「前面部材」が設けられる目的についての限定がないこと、表示部材の前面部材としてのタッチパネルが、甲1発明、甲第3号証の図6、甲第7号証の請求項7等にも示されるように、極めてありふれた構成であること、甲第2号証の段落【0181】には、タッチパネルに対しても適用可能である旨の記載があること、等の事情を総合すると、当業者は、甲第2号証の段落【0108】の「前面部材22は、表示部21の前面(観察者側)に機械的、熱的、および耐候的保護や、意匠性を目的として用いるものである。」という記載は、「第3の実施形態」という一実施形態についての例示であると理解し、上記段落【0181】の、タッチパネルに対しても適用可能である旨の記載は、前面部材をタッチパネルとした場合にも適用可能であることを示唆する記載であると理解する、と考えるのが自然である。 b-2.(上記a-2.の主張について) 甲第2号証の段落【0010】、【0011】、【0016】~【0018】等の記載から明らかなように、甲第2号証のANRフィルム23は、表示のコントラスト、写像鮮明性、全光線透過率等を犠牲にして防眩性を追求したものではなく、それらの両立を図ったものである。また、段落【0105】~【0106】等の記載から明らかなように、表示装置の前面に設けられる前面部材の表示装置側に配置される場合もあり得ることを前提にしたものでもある。 これらの事情に照らせば、甲第2号証のANRフィルム23が防眩性フィルムであることは、甲第1号証の表示パネル2とタッチパネル1との対向面に甲第2号証のANRフィルム23を配置することができない理由にはならないというべきである。 b-3.(上記a-3.の主張について) 上記a-3.の主張は、甲1号証に示される接着層4の厚みが技術常識から175~500μmであると解されることを前提とするものであり、その前提自体は仮に正しいとしても、上記(ア)、(イ)で検討したところによれば、甲1発明に甲第2号証のANRフィルム23を適用する動機付けはあったと考えるのが妥当である。 b-4.(上記a-4.の主張について) 甲第2号証の【0105】には、「この第3の実施形態は、上述の第1の実施形態において防眩性フィルムとして用いた光学フィルムを、アンチニュートンリング(Anti Newton-Ring:ANR)フィルム(以下ANRフィルムと称する。)として用いるものである。」と記載されており、これは、第1の実施形態において防眩性フィルムとして用いた光学フィルムを、第3の実施形態では、防眩性を得るための防眩性フィルムとしては用いずに、ANRフィルムとして用いるとの意味であると理解できる。 一方、甲第2号証の【0038】には、「全体ヘイズは、好ましくは3~45%、より好ましくは3~40%、最も好ましくは3~30%である。3~45%の範囲内とすることにより、写像鮮明性を低下させずに適度な防眩性を得ることができる。すなわち、全体ヘイズが3%未満であると十分な防眩性を得ることが困難となり、45%を超えると写像鮮明性が低下してしまう。」と記載されており、これから、光学フィルムで十分な防眩性を得るためには、3%以上のヘイズ値が好ましいことは理解できる。しかしながら、3%以上のヘイズ値が好ましいのは、防眩性を得るため、すなわち、光学フィルムを図1に示されるように防眩性フィルムとして用いた場合に関するものであって、上記第3の実施形態で、光学フィルムを図8、9に示されるように(防眩性フィルムではなく)ANRフィルムとして用いた場合におけるヘイズ値に関しては何ら言及されていないと考えるのが自然である。このことは、光学フィルムをANRフィルムとして用いた場合には、視認性の観点からヘイズ値は低い方が望ましいのが明らかであることからもいえる。 したがって、甲第2号証の第3の実施形態のANRフィルムは、そのヘイズ値に関して特定されていないものであり、ヘイズが1%未満のANRフィルムを把握することはできないとはいえない。 b-5.(上記a-5.の主張について) 上述した、甲1発明において、相違点1、2に係る本件発明1の構成を採用することが当業者が容易に推考し得たという論理構成には、甲1発明において甲2のANRフィルムを採用する点、及び、ANRフィルムのヘイズを1%未満とする点の2点が含まれている。しかしながら、甲1発明において、甲2のANRフィルムを採用するときには、該ANRフィルムの特性は必要に応じて決定しなければならないものであり、ANRフィルムの特性としてどのようなヘイズ値のものを用いるかについては、通常、当業者が普通に考慮すべきことであるから、甲1発明において、ヘイズ値の特定のない甲2のANRフィルムを採用する際に、視認性を考慮してヘイズ値を特定することは容易に推考し得ることであって、単に、論理構成に上記の2点が含まれているという形式的な構成のみをもって、上記論理構成が許されないとすることはできない。 また、甲15-17は、視認性を良好にするためにヘイズを1%未満とした、表面が粗面化された光学フィルム自体が当業者によく知られたものであることを示すためのものであって、そのことはタッチパネルが抵抗式タッチパネルかどうかには拘わらないことである。 (カ)なお、ヘイズが1%未満であるとの数値限定の臨界的意義がないことについては争いがない。 ウ.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (2)請求項2について ア.本件発明2と甲1発明との対比 上記(1)本件発明1と同様に対比すると、本件発明2と甲1発明の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層とを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 [相違点] 相違点1 本件発明2は、「導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートを備え、前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であ」るのに対し、甲1発明は、導電性電極131の下面上(本件発明2でいう「導電層上」)にコーティングされた保護膜17は備えるものの、「導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シート」は備えていない点。 相違点2 本件発明2では、「前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える」のに対し、甲1発明では、表示パネル2(本件発明2でいう「表示装置」)は、そのような特定がなされていない点。 イ.判断 相違点1、2について併せて検討する。 上記「(1)請求項1について イ.判断」で述べたように、甲1発明において、想定し得るニュートンリングの発生を防止しようとするために、甲第2号証に記載されたニュートンリングの発生を防止する上記技術を適用して、表示パネル2と、その前面の部材である静電容量タッチパネル1との隙間の両側に、表面粗さが0.03μm以上0.15μm以下(30nm以上150nm以下)であるANRフィルムを、粘着剤層を介して積層することは当業者が容易に想到し得ることであり、その際に、フィルムのヘイズを1%未満とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 そして、このようにすることは、甲1発明において、「導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートを備え、前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満であり、前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共にヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える」ようにすることに他ならない。 したがって、本件発明2は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、請求項2に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (3)請求項3について ア.本件発明3と甲1発明との対比 本件発明3は、本件発明2の「透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シート」を「透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シート」としたものである。 よって、上記(2)本件発明2と甲1発明との対比と同様に、本件発明3と甲1発明とを対比すると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、導電層とを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 [相違点] 相違点1 本件発明3では、「静電容量式タッチパネルは、透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートを備え、前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満」であるのに対し、甲1発明では、静電容量タッチパネルは、「透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シート」を備えていない点。 相違点2 本件発明3では、「前記表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シート」を備えるのに対し、甲1発明では、表示パネル2(本件発明3でいう「表示装置」)は、そのような特定がなされていない点。 イ.判断a (ア)相違点1について 甲第1号証の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、単一レンズ基板(実施例の「単一基板11」に対応する)とセンス回路(実施例の導電性電極131を含む)との位置関係が特定されたものではない。該発明は、「低コストの、高い歩留まり率の、簡単化された組み立て工程の一体に形成された静電容量タッチパネルを提供すること」、「一体に形成されたスリム型の静電容量タッチパネルを提供すること」(【0008】、【0009】)を目的とするものであって、この目的を達成するためには、必ずしも、上記位置関係は特定する必要がないものである。 したがって、上記のように甲1発明として認定した、導電性電極131が単一基板11の表示パネル2側に設けられたものは、甲第1号証の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明のひとつの実施の形態であるといえる。 一方、静電容量タッチパネルにおいて、甲1発明のように、単一レンズ基板の表示パネル側にセンス回路が設けられたものと、甲3発明のように、単一レンズ基板(基板32)の表示パネル(表示素子180)側と反対側にセンス回路(透明導電構造体34)が設けられたものは、いずれも、当業者に知られたものであり、また、甲3発明は、透明導電構造体34の上に粘着材によって接着された保護層36とを備えるから、甲1発明において、タッチパネルの構成を、単一レンズ基板の表示パネル側にセンス回路が設けられた構成に代えて、甲3発明のように、単一レンズ基板の表示パネル側と反対側にセンス回路を設け、その上に粘着材によって接着された保護層を備えた構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、その際に、保護層を構成するフィルムのヘイズを1%未満とすることは、上記「(1)請求項1について イ.判断(ウ)a、b及び(カ)」で述べた事項を考慮すれば、当業者が適宜なし得ることである。 そして、以上のようにすることは、甲1発明において、「静電容量式タッチパネル」が、「透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートを備え、前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満」である構成とすることに他ならない。 (イ)相違点2について この相違点2は、上記「(2)請求項2について イ.判断」で検討した、本件発明2と甲1発明との相違点2と同じものである。 したがって、同様の理由により、甲1発明において、甲第2号証に記載された技術を適用し、「表示装置は、前記静電容量式タッチパネルと対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シート」を備える構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本件発明3は、甲1発明、甲第2号証に記載された技術及び甲第3号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ.本件発明3と甲3発明との対比 甲3発明における「表示素子180」、「支持体108」、「静電容量方式タッチパネル30」、「表示素子180と・・静電容量方式タッチパネル30とを備えるタッチ型パーソナルコンピュータ200」、「基板32」、「透明導電構造体34」、「保護層36」は、それぞれ、本件発明3の「表示装置」、「粘着剤層」、「静電容量式タッチパネル」、「静電容量式タッチパネル付き表示装置」、「1枚の透明基板」、「導電層」、「第1の保護シート」に相当するものであることは明らかである。 したがって、本件発明3と甲3発明の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置であって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着材層を介して積層された第1の保護シートとを備える、静電容量式タッチパネル付き表示装置。 [相違点] 相違点1 本件発明3では、「前記第1の保護シートは、ヘイズが1%未満」であるのに対し、甲3発明では、保護層36(本件発明3でいう「第1の保護シート」)は、そのような特定はなされていない点。 相違点2 本件発明3では、「表示装置は、静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える」のに対し、甲3発明では、表示素子180(本件発明3でいう「表示装置」)は、そのような特定はなされていない点。 エ.判断b (ア)相違点1について 甲3発明における保護層36は、表示装置の前面に設けられた光学フィルムであり、甲3発明において、保護層36を構成するフィルムのヘイズを1%未満とすることは、上記「(1)請求項1について イ.判断(ウ)a、b及び(カ)」で述べた事項を考慮すれば、当業者が適宜なし得ることである。 (イ)相違点2について 甲3発明は、表示素子180と静電容量方式タッチパネル30との間に隔離部106を設けたタッチ型パーソナルコンピュータであり、そのタッチパネル30のサイズは、当然に手のひらサイズよりも大きいことがあり得るものである。また、そのタッチパネル30は、甲第3号証の図6に示されるように、単一の基板で構成され得るものであるから、甲1発明のタッチパネル1と同様にスリム型のタッチパネルといえるものである。したがって、上記「(1)請求項1について イ.判断(イ)」で述べたことが甲3発明にも妥当し、甲3発明において、ニュートンリングの発生を防止しようとすることは、当業者が容易に想定し得ることである。 よって、上記「(1)請求項1について イ.判断(ウ)」で述べたのと同様の理由により、甲3発明において、甲第2号証に記載された技術を適用し、「表示装置は、静電容量式タッチパネルと対向する面に、前記静電容量式タッチパネルと対向する側の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である第2の保護シートを備える」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、本件発明3は、甲3発明及び甲第2号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 オ.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、請求項3に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (4)請求項4について ア.本件発明4と甲1’発明との対比 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項の一部をその発明特定事項とするものであり、本件発明1に全ての発明特定事項が含まれている。そこで、上記「(1)請求項1について ア.本件発明1と甲1発明との対比」と同様に、本件発明4と甲1’発明とを対比すると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層とを備える、静電容量式タッチパネル。 [相違点] 相違点1 本件発明4は、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」を備えるのに対し、甲1’発明は、導電性電極131の下面上(本件発明1でいう「導電層上」)にコーティングされた保護膜17は備えるものの、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」は備えていない点。 相違点2 本件発明4では、「保護シートは、表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である」のに対し、甲1’発明では、そのような保護シートは備えていない点。 イ.判断 相違点1、2は、上記「(1)請求項1について ア.本件発明1と甲1発明との対比」と同様の相違点であり、それについての判断も同様であるから、甲1’発明において、甲第2号証に記載された技術を適用し、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」を備え、「保護シートは、表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であると共に、ヘイズが1%未満である」ようにすることは当業者が容易に想到し得ることであるといえる。 したがって、本件発明4は、甲1’発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、請求項4に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (5)請求項5について ア.本件発明5と甲1’発明との対比 本件発明5は、訂正により請求項4に付加された、「ヘイズが1%未満である」点を除いて、本件発明4に、「さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シートとを備える」との発明特定事項を付加したものであり、上記「(4)請求項4について ア.本件発明4と甲1’発明との対比」と同様に、本件発明5と甲1’発明とを対比すると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層とを備える、静電容量式タッチパネル。 [相違点] 相違点1 本件発明5は、「導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シート」を備えるのに対し、甲1’発明は、導電性電極131の下面上(本件発明1でいう「導電層上」)にコーティングされた保護膜17は備えるものの、「導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シート」は備えていない点。 相違点2 本件発明5では、「第1の保護シートは、表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」のに対し、甲1’発明では、そのような保護シートは備えていない点。 相違点3 本件発明5では、「さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シートとを備える」のに対し、甲1’発明では、それらを備えていない点。 イ.判断a 相違点1、2に対する検討は、上記「(4)請求項4について ア.本件発明4と甲1’発明との対比」と同様にでき、甲1’発明において、甲第2号証に記載された技術を適用し、「導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シート」を備え、「保護シートは、表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」ようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。 次に、相違点3について検討する。 甲1’発明は、単一基板11の表示パネル2側に設けられた導電性電極131を備える。この導電性電極131は、センス回路13に含まれるものであって(【0019】)、タッチパネルにおけるタッチを検出するためのものである。 このような甲1’発明において、「さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備える」ようにすることは、甲第1号証には記載ないし示唆はされていない。 甲第3号証には、「基板32と、前記基板32の前記表示素子180に面する表面とは反対側の前記基板32の表面に設置された透明導電構造体34と、前記透明導電構造体34の上に粘着材によって接着された保護層36とを備える、静電容量方式タッチパネル30」が記載されている。 しかしながら、甲第3号証における「前記基板32の前記表示素子180に面する表面とは反対側の前記基板32の表面に設置された透明導電構造体34」は、タッチパネルにおけるタッチ検出をするためのものであり、タッチを検出するための、「単一基板11の表示パネル2側に設けられた導電性電極131」をすでに備えている甲1’発明において、さらに、甲第3号証の、タッチを検出するための透明導電構造体を備える動機付けはない。 また、甲第3号証には、「基板32の表示素子180に面する表面に設置されたシールド層35と、前記基板32の前記表示素子180に面する表面とは反対側の前記基板32の表面に設置された透明導電構造体34と、前記透明導電構造体34の上に粘着材によって接着された保護層36とを備える、静電容量方式タッチパネル30」が記載されている。 甲1’発明の「単一基板11と、前記単一基板11の前記表示パネル2側に設けられた導電性電極131と、前記導電性電極131の下面上にコーティングされた保護膜17とを備える、静電容量タッチパネル1」を、甲第3号証の「基板32の表示素子180に面する表面に設置されたシールド層35と、前記基板32の前記表示素子180に面する表面とは反対側の前記基板32の表面に設置された透明導電構造体34と、前記透明導電構造体34の上に粘着材によって接着された保護層36とを備える、静電容量方式タッチパネル30」に置き換えることは考え得ることではある。 しかしながら、このような置き換えをしたとしても、本件発明5の「1枚の透明基板と、前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備え」、「さらに、前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された保護シートとを備える」という構成には至らない。 その理由は、本件発明5の「前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層」は、請求項4に記載の静電容量式タッチパネルを構成する導電層、すなわち、タッチを検出するための導電層であり、上記のような置き換えをすると、このタッチを検出するための導電層が、タッチを検出するためのものではないシールド層に置き換わってしまうためである。 この点に関し、請求人は、「本件発明5の導電層(当審注:「表示装置側の導電層」と解される。)は、甲3号証に開示されている「シールド層」を含む意味で使用されていると解釈するのが妥当である」旨主張する(平成27年11月27日付け上申書の6.の第2;p6)が、以下の理由で採用できない。 すなわち、本件発明5は、本件発明4に、さらなる構成として、「表示装置側とは反対側に設けられた導電層」と「導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シート」を付加したもの(訂正により「ヘイズが1%未満である」点が更に付加されたが、この点は、本件発明5の「導電層」の意味内容の理解とは無関係である。)であるから、本件発明5の「表示装置側の導電層」は、本件発明4の「導電層」であり、本件発明4の「導電層」は、「静電容量式タッチパネル」の構成要素としての唯一の導電層であるから、当業者は、該本件発明4の「導電層」を、シールド層ではない「タッチを検出するための導電層」と理解するのが普通である。また、そのような理解は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載と整合するものでもある。よって、本件発明5の「導電層」は、シールド層を含まない「タッチを検出するための導電層」と理解するのが妥当である。 また、請求人は、本件特許明細書の段落【0003】の記載、及び、甲第20号証を提出して「透明基板の両面にタッチを検出するための導電層を設けること」は周知の技術であり、この周知技術を考慮して甲第1’発明に甲第3号証の技術を適用し、透明基板の両面にタッチを検出するための導電層を備える構成を導き出すことに困難性はない旨主張する(平成28年4月4日付け弁駁書の7.7-5.(3);p19-21)が、上記周知技術が存在したとしても、上述したように、甲第1’発明に甲第3号証の技術を適用する動機付けはない、あるいは、甲第1’発明に甲第3号証の技術を適用したとしても本件発明5の構成には至らないということに変わりはなく、甲第1’発明に甲第3号証の技術を適用することが当業者に容易であるということを導く根拠とはならない。 以上のとおりであるから、本件発明5は、甲1’発明、甲第2号証に記載された技術事項、及び、甲第3号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ.本件発明5と甲3’発明との対比 上記「(3)請求項3について ウ.本件発明3と甲3発明との対比」と同様に、また、上記「イ.判断a」で述べたように、甲3’発明の「シールド層」が、本件発明5の「前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層」に相当するものではないことを考慮して、本件発明5と甲3’発明とを対比すると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定される静電容量式タッチパネルであって、 前記静電容量式タッチパネルは、1枚の透明基板を備える、静電容量式タッチパネルであって、 前記透明基板の前記表示装置側とは反対側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第2の保護シートとを備える、静電容量式タッチパネル。 [相違点] 本件発明5は、 「前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層と、前記導電層上に粘着剤層を介して積層された第1の保護シートとを備え、 前記第1の保護シートは、前記表示装置と対向する面の表面粗さが1.5nm以上400nm以下であ」るという構成を有しているのに対し、 甲3’発明は、それに対応する構成を有するものではない点。 エ.判断b 相違点について検討する。 甲第3号証には、上記相違点に係る構成のうち、本件発明5の「前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層」(上記「イ.判断a」で述べたように、「タッチを検出するための導電層」)を備えることは記載ないし示唆はされていない。 また、甲第1号証に記載された技術事項、甲第2号証に記載された技術事項をみても、甲3’発明において、「前記透明基板の前記表示装置側に設けられた導電層」を備えるという構成を採用することを容易想到と考えるべき根拠は見当たらない。 したがって、本件発明5は、甲3’発明、甲第1号証に記載された技術事項、及び、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 オ.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 2.特許法第36条第6項第1号を根拠法条とする無効理由について (1)発明の詳細な説明の記載事項 本件明細書の発明の詳細な説明には、【表1】とともに、以下の事項が記載されている。 「【0068】 <実施例1> (ハードコート層形成用組成物の調製) 多官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能アクリレート、商品名DPHA、ダイセル・サイテック(株)製)を35質量部、ジエチレングリコールジアクリレート(2官能アクリレート、商品名SR230、サートマー社製)を65質量部、アンチブロッキング剤として粒子径100nmのコロイダルシリカ分散液(商品名SIRMIBK15WT%-E65、CIKナノテック(株)製)を2.5質量部、光重合開始剤(商品名IRGACURE184、BASF社製)を4質量部、光安定化剤(商品名TINUVIN152、BASF社製)を4質量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノンとを1:1(質量比)で混合した混合溶剤を、固形分が50質量%となるように混合してハードコート層形成用組成物(A1)を調製した。 上記のうち、溶剤以外の各成分の配合量は固形分としての配合量を示した。以下においても同様である。 【0069】 (保護シートの作製) 基材として、厚さ50μmのPETフィルム(商品名A4300、東洋紡績(株)製)を用い、この基材上に、ハードコート層形成用組成物(A1)をバー塗工した。その後、80℃60秒間加熱乾燥し、高圧水銀ランプ紫外線照射機(アイグラフィックス社製)を用いて、160W/cm、ランプ高さ13cm、ベルトスピード10m/min、2pass、窒素雰囲気下で紫外線照射して厚さ3μmのハードコート層を硬化形成することによって、ハードコートフィルムを得た。 【0070】 (評価) 得られたハードコートフィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。 【0071】 [スチールウール擦傷性] 得られたハードコートフィルムの基材側に、ノンキャリア両面粘着フィルム(商品名CCL/D1/T3T3、新タック化成(株)製)のセパレートフィルムを剥がして粘着層を転写し、前記粘着層を介してハードコートフィルムを、鏡面光沢を持つ黒アクリル板に貼付した。このハードコートフィルムのハードコート層上に#0000番のスチールウールをのせ、荷重200g/cm2で、距離9cmを50回往復して擦った。擦った後に傷が入っていないかを目視観察した。傷がない場合をA、傷がある場合をBとした。 【0072】 [水接触角] 協和界面科学株式会社製の接触角測定装置(型番DM-501)を用いて、測定対象であるハードコートフィルムのハードコート層側の表面に、2μLの純水を一滴滴下させ、10秒間経過後にCCDカメラによって得られた水滴形状の画像処理により、接触角を求めた。 水接触角が小さいほど撥水性が低いことを示す。水接触角が小さいほど、粘着剤層(31)との粘着力が強く好ましい。水接触角は、105°以下が好ましく、90°以下がより好ましく、85°以下がさらに好ましい。 【0073】 [テープ粘着力] ハードコートフィルムのハードコート層側の表面(凹凸面)へのテープ粘着力を以下の手順で評価した。 テープとして、両面テープ(商品名#4972、テサ製)を用い、その一方の面に厚み100μmのPETフィルム(商品名A4300、東洋紡績(株)製)を貼合したものを準備した。 一方、得られたハードコートフィルムの基材側に、ノンキャリア両面粘着フィルム(商品名CCL/D1/T3T3、新タック化成(株)製)のセパレートフィルムを剥がして粘着層を転写し、前記粘着層を介してハードコートフィルムをガラス板に貼付し、これを被着体とした。 上記被着体のハードコートフィルム面に上記テープを貼合し、2kgローラーで1往復した後、オートグラフ(島津製作所製)を用いて24時間後の粘着力(N/25mm)を測定した。 【0074】 [光学物性] アクリル系接着剤(商品名SKダイン1811L、綜研化学(株)製)を100質量部、イソシアネート系架橋剤(商品名L-45、綜研化学(株)製)を1質量部、希釈溶剤としての酢酸エチルを67.4質量部混合して粘着剤を調製した。 この粘着剤を、得られたハードコートフィルムのハードコート層と反対側の基材面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケータ塗工した。その後、100℃120秒間加熱乾燥し、セパレートフィルム(商品名38RL-07(2)、王子特殊紙(株)製)と貼り合わせ、23℃、相対湿度50%の環境下で1週間の架橋反応エージングを行って粘着フィルムを得た。 得られた粘着フィルムのセパレートフィルムをはがして粘着層を露出させ、前記粘着層を介してハードコートフィルムを検査用ガラス板に、空気やゴミが入らないように貼付した。 検査用ガラス板に貼付されたハードコートフィルムの全光線透過率及びヘイズをそれぞれJIS K7361-1及びJIS K7136に準拠した方法で、日本電色社製のNDH5000を用いて測定した。全光線透過率が90%を超え、ヘイズが1%未満であれば、光学用途に適用できる。 【0075】 [凹凸面の表面粗さ] 前記光学物性の評価と同様にして得られた粘着フィルムのセパレートフィルムをはがして粘着層を露出させ、前記粘着層側から、ハードコートフィルムのハードコート層側の表面(凹凸面)の表面粗さを以下の手順で測定した。 (表面粗さの測定方法) 走査プローブ顕微鏡(Veeco社製Nanoscopel IV及びNanoscope IIIa)を用い、プローブとしてSi単結晶プローブを使用し、測定モードをTappingモードとし、測定エリアを10μm×10μmとして画像の取り込みを行った。得られた画像について、前記走査プローブ顕微鏡に付属の解析ソフトウェアを用いて、うねりを除去するための加増処理としてFlatten処理(0次)を1回、及びPlanefit処理(XY)を1回行った後、表面粗さを算出した。 【0076】 [ニュートンリングの有無] ハードコート面を有する偏光板を準備した。前記ハードコート面の表面粗さを前記の手順に従って測定したところ、4nmであった。 別途、厚さ1mmのガラス板の片面に、得られたハードコートフィルムの基材側の面を貼り合わせて評価サンプルとした。 上記偏光板表面のハードコート面から300μm離れた位置に、上記評価サンプルを、前記ハードコート面に対して平行に、ハードコートフィルム側の面を偏光板に向けて固定した。その後、偏光板表面のハードコート面に評価サンプルを指で押し付け、指を離した時のニュートンリングの有無を目視で確認した。このとき、ニュートンリングが全く無い場合をA、僅かに有る場合をB、明確に有る場合をCとした。 【0077】 [偏光板との付着性] 前記[ニュートンリングの有無]の評価で、偏光板に評価サンプルを押し付けた指を離した時の、評価サンプルのハードコートフィルムの偏光板表面への付着性を官能評価した。全く付着しない場合を5点、僅かに付着するが、直ぐに離れる場合を3点、付着がひどく、離れない場合を1点とした。この点数が大きいほど、偏光板への付着が少ないことを示す。」 (2)判断 本件明細書の発明の詳細な説明の実施例1には、「保護シートの作製」として、基材上にハードコート層を硬化形成したハードコートフィルムを得、得られたハードコートフィルムの基材側の面を厚さ1mmのガラス板に貼り合わせて評価サンプルとし、ハードコート面を有する偏光板表面のハードコート面から300μm離れた位置に、上記評価サンプルを、前記ハードコート面に対して平行に、ハードコートフィルム側の面を偏光板に向けて固定し、偏光板表面のハードコート面に評価サンプルを指で押し付け、指を離した時のニュートンリングの有無を目視で確認する評価を行うことが記載されている(【0069】、【0076】)。 そして、上記保護シート(ハードコートフィルム)は、本件発明1、4の保護シートに対応するものであり、厚さ1mmのガラス板は、本件発明1、4の透明基板に対応するものである。 一方、本件発明1、4の「導電層」は、本件特許明細書の段落【0017】、【0019】、【0025】に示される「透明基板1」、「導電層2」、「保護シート4の基材41」それぞれの厚みの範囲から明らかなように、「透明基板」や「保護シート」に比べて極めて薄いものであるから、それの有無が、ニュートンリング発生の原因であるタッチパネルのたわみ、歪みにほとんど影響しないことは明らかである。 また、該「導電層」は、「保護シート」に覆われて表示装置側の偏光板には接触しないものであるから、それの有無が、ニュートンリング発生の別の原因である、表示装置前面の偏光板への付着に影響しないことも明らかである。 さらに、該「導電層」は、本件明細書の段落【0007】に記載される「アンチニュートンリングフィルムは、ヘイズが高く透明性が不十分でタッチパネルの明るさを低下させる」という本件発明1、4が解決しようとした課題に関係するものでもない。 以上によれば、上記実施例1に本件発明1、4の「導電層」に対応する層が設けられていないことは、本件発明1、4が所期の効果を奏することの実証の妨げにはならず、そのことをもって、本件発明1、4のサポート要件が満たされていないとはいえない。 さらに、タッチパネルの表示装置側とは反対側に保護シートを有するか否か、タッチパネルと表示装置の何れの側の対向面を粗面化するか、によって、効果に差異が生じるとも考えられないから、上記実施例1は、本件発明2~5が所期の効果を奏することも実質的に実証しているといえ、本件発明2、3、5のそれぞれに対応する実施例が記載されていないことをもって、本件発明2、3、5のサポート要件が満たされていないともいえない。 よって、特許法第36条第6項第1号を根拠法条とする無効理由は成り立たない。 3.特許法第36条第4項第1号を根拠法条とする無効理由について (1)実施例に記載される「ハードコートフィルム」による「ニュートンリング」の発生の有無が、「静電容量式タッチパネル付き表示装置」又は「静電容量式タッチパネル」における「ニュートンリング」の発生の有無と直接関連付けられないため、当業者は請求項1-5に係る発明をその効果が奏するように実施することができない、という無効理由について 上記「2.(2)判断」で述べたように、本件発明1-5について、発明の詳細な説明には、各発明が所期の効果を奏することを実証する実施例が記載されているといえるから、この無効理由も成り立たない。 (2)甲第2号証の比較例9が開示する、「表面粗さ:29nm」の場合にニュートンリングが発生すること、に接した当業者は、請求項1-5に係る発明を、請求項に規定される「表面粗さが1.5nm以上400nm以下である」の範囲内にある「表面粗さ:29nm」においてはニュートンリングが発生するものであると理解するため、請求項1-5に係る発明をその効果が奏するように実施することができない、という無効理由について 甲第2号証における比較例9(表面粗さは29nmのフィルム)は、黒色アクリル板に防眩層面を接するように防眩フィルムを載置し、防眩層と反対面から300g/cm2の加重をかけ、目視にてニュートンリングの有無を評価したものであり(【0162】)、「表示装置と、前記表示装置の前面側に、前記表示装置との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層で前記表示装置に固定された静電容量式タッチパネルとを備える静電容量式タッチパネル付き表示装置」に類する構成を具備したものではないから、本件発明1-5の実施品の特性を表すものとはいえない。 したがって、当該比較例9は、本件発明1-5の効果を否定するものではない。 よって、この理由によっては、当業者が請求項1-5に係る発明をその効果が奏するように実施することができない、ということはできない。 第7.むすび 以上のとおり、平成28年2月23日に提出された訂正請求書による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号、第3号、第4号に掲げる事項を目的とするものであるから、同項の規定に適合するものであり、また、同条9項で準用する第126条第5項、第6項の規定に適合するものであるから、適法なものである。 訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、3、4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 また、請求人の主張及び証拠方法によっては、訂正後の特許請求の範囲の請求項5に係る発明についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、その5分の1を請求人の負担とし、5分の4を被請求人の負担とするものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-800085

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  • 2025-007124拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)記憶装置
    共通の審決分類: 121・G06F、536・G06F、537・G06F
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