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特許無効審判

2020-800032

携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム

審判番号
2020-800032
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2008-162678
登録番号
4555901
請求日
2020年03月31日
審決日
2021年10月12日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】シャープ 株式会社
  • 【請求人代理人】生田 哲郎
  • 【請求人代理人】佐野 辰巳
  • 【被請求人】株式会社 DAPリアライズ
審判長/審判官
  • 審判長 稲葉 和生
  • 審判官 北川 純次
  • 審判官 ▲吉▼田 耕一
分類
P1113.113-YAA(G06F) / P1113.121-YAA(G06F) / P1113.537-YAA(G06F) / P1113.841-YAA(G06F) / 標準データ:手続:無効 / 標準データ:113・113-YAA (G06F) / 標準データ:113・121 / 標準データ:113・537 / 標準データ:113・841 / 標準データ:出訴:令和03年10139 / 標準データ:確定ステータス:2 維持(出訴有り)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第134条の2第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)、特許情報標準データ(審判)

事件の表示

上記当事者間の特許第4555901号発明「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第4555901号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件無効審判の請求に係る特許第4555901号(以下、「本件特許」という。)は、平成17年12月21日(優先権主張 平成16年12月24日及び平成17年7月28日)に出願した特願2005-367373号の一部を平成18年10月11日に新たな出願とした特願2006-277062号の一部を平成20年6月23日にさらに新たな特許出願(特願2008-162678号。以下、「本件出願」という。)としたものであって、その請求項1~4に係る発明について、平成22年7月30日に特許権の設定登録がなされた。 その後、平成28年5月19日付けで訂正審判請求(訂正2016-390069号)がなされ、この審判事件に関し、同年10月17日付けで、特許請求の範囲の請求項2~4について訂正することを認め、同請求項1に係る訂正についての審判請求は成り立たない旨の審決(なお、同審決は、平成29年2月8日付け更正決定により結論の欄が更正された。)がなされたところ、これに対し、平成28年11月29日に審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成28年(行ケ)第10257号事件)が提起されたが、平成29年10月19日に原告(本件審判の被請求人)の請求を棄却する判決がなされ、同判決は同年11月7日に確定し、上記審決も同日確定した。さらに、平成30年4月9日付けで訂正審判請求(訂正2018-390070号)がなされ、この審判事件に関し、同年7月25日付けで訂正を認める旨の審決がなされ、同審決は、同年8月2日に確定した。 そして、本件無効審判に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和2年 3月31日 無効審判請求 同年 6月12日付け 審判事件答弁書 同年 8月 5日付け 上申書(請求人) 同年 9月30日付け 通知書(審理事項) 同年11月30日付け 上申書(請求人) 同年11月30日付け 上申書(被請求人) 同年12月10日 口頭審理に代えたオンライン口頭審尋 令和3年 1月 4日付け 上申書(請求人) 同年 1月 4日付け 上申書(被請求人) 同年 1月 6日付け 書面審理通知書 同年 1月12日付け 上申書(被請求人) 同年 1月25日付け 上申書(被請求人) 同年 2月16日付け 無効理由通知書、職権審理結果通知書 同年 3月22日付け 訂正請求書(被請求人) 同年 3月22日付け 意見書(被請求人) 同年 3月31日付け 手続補正書(方式)(被請求人) 同年 7月 2日付け 審判事件弁駁書 第2 本件訂正請求について 1 本件訂正請求の趣旨 令和3年3月22日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおりに訂正することを求める、というものである。 2 本件訂正の内容 (1) 本件訂正前の特許請求の範囲 本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。 「【請求項1】 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と; 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と; 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と; 前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と; 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と; 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と; を備える携帯情報通信装置において、 前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、 前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、 ことにより、 前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、 ことを特徴とする携帯情報通信装置。」 (2) 訂正事項 ア 訂正事項1 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「を備える携帯情報通信装置において、」とあるのを、 「を備え、 前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する)を有する、 携帯情報通信装置において、」と訂正する。 イ 訂正事項2 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に 「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、」 とあるのを、 「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、」と訂正する。 3 訂正の適否 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1に係る訂正は、「前記無線通信手段」が受信する無線信号が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号であることを特定し、「前記中央演算回路」による処理が「該デジタル信号が伝達する画像データを処理」するものであることを特定し、「前記グラフィックコントローラ」による処理が「該中央演算回路の処理結果」に基づくものであることを特定し、「前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段」が、ディスプレイ制御手段又はインターフェース手段に送信された「該デジタル表示信号」に基づいて「画像を表示する」ものであることを特定することにより、本件訂正前の請求項1の「前記無線通信手段」、「前記中央演算回路」、「前記グラフィックコントローラ」、「前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段」をそれぞれ限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア) 訂正事項1に係る訂正により特定される、「前記無線通信手段」が「「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し」、「前記中央演算回路」が「該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し」とすることは、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。さらに、特許請求の範囲又は図面を併せて「本件明細書等」という。)の段落【0118】等の記載に基づく事項である。 この点について詳細に説明する。 本件明細書の段落【0118】には、「携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合」に実現される機能について、次のように記載されている。 「【0118】 また、携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合、テレビ受信用アンテナ112Aで受信したテレビ放送信号は、テレビチューナ112B及びAD/DA変換部1_112Cでデジタル動画信号及びデジタル音声信号に変換され、バス19を経由して中央演算回路1_10A1に送信される。・・・(中略)・・・中央演算回路1_10A1は、この選択に対応した入力信号及び前記デジタル動画信号に基づき、LCDパネル15Aに表示される画面イメージ(ただし、縦長画面の場合、上部及び/又は下部に非表示領域が生じた画面イメージ)のビットマップデータを作成する描画命令を生成し、該描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに送信する。この際、テレビ放送における本来画像の水平・垂直画素数は、縦長画面、横長画面のいずれの場合でも、LCDパネル15Aの水平・垂直画素数よりも大きいため、描画命令の生成にあたっては、AD/DA変換部1_112Cから送信されるデジタル動画信号を一部間引くことによって、解像度の低い画像の全体画像の描画命令を生成する。」 当該記載において、「テレビ受信用アンテナ112A」で受信される「テレビ放送信号」が「無線信号」であることは明らかである。そして、「テレビ放送信号」が画像データを伝達するものであり、「中央演算回路」が「描画命令を生成」する際に該画像データを処理することは明らかである。また、「テレビ放送における本来画像の水平・垂直画素数は、縦長画面、横長画面のいずれの場合でも、LCDパネル15Aの水平・垂直画素数よりも大きい」のであるから、「テレビ放送信号」が伝達する画像データは、本来解像度がLCDパネルの画面解像度より大きい画像データであることが理解できる。 そうすると、本件明細書の段落【0118】には、訂正事項1に係る訂正で付加された「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し」との事項が記載されているといえる。 この点に関し、請求人は、令和3年7月2日付け審判事件弁駁書(9ページ15行~12ページ19行)において、本件訂正後の請求項1には「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」及び「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信し」と記載されており、これらの記載における「無線通信手段」は同一の手段であることが明らかであるところ、本件明細書等に記載された「テレビ受信用アンテナ112A」は、段落【0117】に記載の「通信用アンテナ111A」とは異なり、無線信号を送信する機能を有さないことが明らかであるから、本件明細書等には、無線受信機能と無線送信機能とを有する無線通信手段を「テレビ受信用アンテナ112A」等を有する「高解像度画像受信」の手段とすることは記載されておらず、訂正事項1に係る訂正は、訂正要件を満たさないと主張する。 上記主張について検討する。 本件訂正後の請求項1には、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」及び「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し」との記載がある。 これに対し、本件明細書の段落【0116】及び【0118】には、以下の記載がある。 「次に、携帯電話機1がデータ通信・処理用に使用される場合、・・・(中略)・・・インターネットプロトコルに準拠した電波信号を公衆ネットワークから通信用アンテナ111Aで受信し、RF送受信部111B及びベースバンドプロセッサ11を経由することによりデジタル信号に変換されたデータが、バス19を経由して中央演算回路1_10A1に転送される。中央演算回路1_10A1では、フラッシュメモリ14Aに格納されたプログラムに基づいて必要な処理を行い、処理されたデータは、バス19を経由して、フラッシュメモリ14A及びRAM(Random Access Memory)14Bや、グラフィックコントローラ1_10Bや、ベースバンドプロセッサ11に転送される。そして、最終的には、LCDパネル15Aに画像が表示されたり、スピーカ18Bから音声が出力されたり、通信用アンテナ111Aから電波信号が送信されたり、フラッシュメモリ14Aにデータが保存されたりする。」(段落【0116】) 「また、携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合、テレビ受信用アンテナ112Aで受信したテレビ放送信号は、テレビチューナ112B及びAD/DA変換部1_112Cでデジタル動画信号及びデジタル音声信号に変換され、バス19を経由して中央演算回路1_10A1に送信される。」(段落【0118】) ここで、上記各段落に記載された「インターネットプロトコルに準拠した電波信号」及び「テレビ放送信号」が、いずれも電波を利用した信号であることは明らかであるから、上記「インターネットプロトコルに準拠した電波信号」及び「テレビ放送信号」は、いずれも「無線信号」といい得るものであり、「通信用アンテナ111A」は、無線信号の受信及び送信を行うものであって、「テレビ受信用アンテナ112A」は、無線信号の受信を行うものであるといえる。そして、「RF送受信部111B」、「ベースバンドプロセッサ11」、「テレビチューナ112B」、及び「AD/DA変換部1_112C」は、このような無線信号とデジタル信号との間の変換、及び、中央演算回路1_10A1に対するバス19を経由したデジタル信号の転送を行うものであるといえる。 よって、本件明細書等に記載された「通信用アンテナ111A」、「RF送受信部111B」、「ベースバンドプロセッサ11」、「テレビ受信用アンテナ112A」、「テレビチューナ112B」、及び「AD/DA変換部1_112C」は、いずれも無線通信を行うための機能手段であり、「無線通信手段」を構成するものであるといえる。 また、本件明細書の段落【0032】には、「携帯情報通信装置に係る第1の発明は、・・・(中略)・・・無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記データ処理手段に送信するとともに、後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と、・・・(中略)・・・とを備える携帯情報通信装置であって」と記載されており、段落【0056】には、「携帯情報通信装置に係る第25の発明は、第1乃至第24のいずれか1つの発明の携帯情報通信装置において、前記無線通信手段は、アナログテレビ放送信号、デジタルテレビ放送信号、携帯テレビ電話信号、インターネットプロトコルに準拠した無線ストリーミング信号のうちの少なくとも1つの無線信号(以下、無線動画信号と略記する)を受信し、デジタル動画信号に変換の上、前記データ処理手段に転送する機能を有し」と記載されているから、「無線通信手段」が、インターネットプロトコルに準拠した無線信号による無線通信とテレビ放送信号による無線通信との両方を行うことが想定されていることは、これらの記載からも明らかである。 したがって、本件訂正後の請求項1に記載された「無線通信手段」とは、本件明細書等に記載された「通信用アンテナ111A」、「RF送受信部111B」、「ベースバンドプロセッサ11」、「テレビ受信用アンテナ112A」、「テレビチューナ112B」、及び「AD/DA変換部1_112C」を含む機能手段であると解することができ、そのように解すると、本件明細書等には、無線受信機能と無線送信機能とを有する無線通信手段が、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信する構成が記載されているといえるから、請求人の上記主張は採用できない。 (イ) 訂正事項1に係る訂正により特定される、「前記グラフィックコントローラ」が「該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する」ことは、本件明細書の段落【0118】、【0124】、【0126】~【0129】に記載された「テレビ放送を視聴している場合」に実現される機能に関する説明に記載されている事項である。 具体的には、本件明細書の段落【0118】、【0127】、【0129】には、以下の記載がある(下線は、当審において付与した。)。 「また、携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合、・・・(中略)・・・携帯電話機1においては、テレビ番組の画像を、・・・(中略)・・・選択することができ、中央演算回路1_10A1は、この選択に対応した入力信号及び前記デジタル動画信号に基づき、LCDパネル15Aに表示される画面イメージ(ただし、縦長画面の場合、上部及び/又は下部に非表示領域が生じた画面イメージ)のビットマップデータを作成する描画命令を生成し、該描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに送信する。・・・(中略)・・・グラフィックコントローラ1_10B、VRAM1_10C及びLCDドライバ15Bの動作は、キー操作部16Aの操作に従った画像のスクロールがないことを除けば、ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり、結果として、LCDパネル15Aにテレビ放送の動画がリアルタイムで表示される。」(段落【0118】) 「グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10Cに書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、・・・(中略)・・・外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ13Aに送信し」(段落【0127】) 「外部ディスプレイ装置5として、上記のようにフルハイビジョンテレビモニタのような高解像度ディスプレイ装置を採用している場合には、外部ディスプレイ装置5に表示される画像は、以下のように変わる。・・・(中略)・・・次に、テレビ放送を視聴している場合、被写体を撮影している場合には、又は携帯テレビ電話でのコミュニケーションを行っている場合には、上記のように、通常のケースでは、中央演算回路1_10A1においてデジタル動画信号における本来画像の描画命令が生成・送信されることに対応して、外部ディスプレイ装置5の画面には本来画像が表示される。」(段落【0129】) また、上記段落【0118】には、「グラフィックコントローラ1_10B、VRAM1_10C及びLCDドライバ15Bの動作は、・・・(中略)・・・ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり」と記載されているところ、「ウェブページのページ画像を表示する場合」について説明した段落【0117】には、以下の記載がある。 「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10Cに書き込むとともに、LCDパネル15Aに表示され、LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出してLCDドライバ15Bに送信する。」 そうすると、本件明細書のこれらの段落には、訂正事項1に係る訂正で付加された、「前記グラフィックコントローラ」が「該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する」との構成が記載されているといえる。 この点に関し、請求人は、同審判事件弁駁書(12ページ20行~13ページ19行)において、本件明細書等には「前記ディスプレイ手段」に「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を表示させることが記載されていないから、訂正事項1に係る訂正は、訂正要件を満たさないと主張している。 しかしながら、本件訂正後の請求項1には、「前記ディスプレイ手段」に「画像を表示する」との記載はあるものの、「前記ディスプレイ手段」に「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」それ自体を表示させることは記載されていないから、上記主張は本件訂正後の請求項1の記載に基づくものではなく、採用できない。 (ウ) 以上のとおり、訂正事項1に係る訂正により特定される「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能」、すなわち「高解像度画像受信・処理・表示機能」は、本件明細書の段落【0118】、【0124】、【0126】~【0129】に記載された「テレビ放送を視聴している場合」に実現される機能に関する説明に記載されている事項である。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「前記無線通信手段」、「前記中央演算回路」、「前記グラフィックコントローラ」、「前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段」をそれぞれ技術的に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2) 訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合」を、「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合」に訂正するものである。 ここで、「高解像度画像受信・処理・表示機能」とは、「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能」を意味するものであるから、当該訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して」を「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して」に限定するとともに、本件訂正前の請求項1の「画像を表示する」を「前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する」に限定するものである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 本件明細書の段落【0118】、【0127】、【0129】には、テレビ放送を視聴している場合に「グラフィックコントローラ」が実現する機能について以下の記載がある。 「また、携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合、・・・(中略)・・・携帯電話機1においては、テレビ番組の画像を、・・・(中略)・・・選択することができ、中央演算回路1_10A1は、この選択に対応した入力信号及び前記デジタル動画信号に基づき、LCDパネル15Aに表示される画面イメージ(ただし、縦長画面の場合、上部及び/又は下部に非表示領域が生じた画面イメージ)のビットマップデータを作成する描画命令を生成し、該描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに送信する。・・・(中略)・・・グラフィックコントローラ1_10B、VRAM1_10C及びLCDドライバ15Bの動作は、キー操作部16Aの操作に従った画像のスクロールがないことを除けば、ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり、結果として、LCDパネル15Aにテレビ放送の動画がリアルタイムで表示される。」(段落【0118】) 「グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10Cに書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、・・・(中略)・・・外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ13Aに送信し」(段落【0127】) 「外部ディスプレイ装置5として、上記のようにフルハイビジョンテレビモニタのような高解像度ディスプレイ装置を採用している場合には、外部ディスプレイ装置5に表示される画像は、以下のように変わる。・・・(中略)・・・次に、テレビ放送を視聴している場合、被写体を撮影している場合には、又は携帯テレビ電話でのコミュニケーションを行っている場合には、上記のように、通常のケースでは、中央演算回路1_10A1においてデジタル動画信号における本来画像の描画命令が生成・送信されることに対応して、外部ディスプレイ装置5の画面には本来画像が表示される。」(段落【0129】) また、上記段落【0118】には、「グラフィックコントローラ1_10B、VRAM1_10C及びLCDドライバ15Bの動作は、・・・(中略)・・・ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり」と記載されているところ、「ウェブページのページ画像を表示する場合」について説明した段落【0117】には、以下の記載がある。 「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10Cに書き込むとともに、LCDパネル15Aに表示され、LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出してLCDドライバ15Bに送信する。」 そうしてみると、「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合」に、「前記グラフィックコントローラ」が「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し」と特定する、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合」を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 4 本件訂正請求についてのむすび 以上のとおり、本件訂正請求は、適法なものであるから、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおりに訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上述のとおり、本件訂正請求は適法なものとして認められるので、本件訂正により訂正された請求項1に係る発明は、令和3年3月22日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりの発明(以下、「本件訂正発明」という。)である(なお、請求項1の分説は、被請求人による令和3年3月22日付けの意見書の5ページの記載、及び請求人による令和3年7月2日付けの審判事件弁駁書の9~11ページの記載に基づくものである。)。 「【請求項1】 A ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と; B 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と; C 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と; D 前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と; E 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と; F 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と; を備え、 G’ 前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する)を有する、 携帯情報通信装置において、 H’ 前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、 I 前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、 J ことにより、 前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、 K ことを特徴とする携帯情報通信装置。」 第4 請求人の主張の概要 1 請求の趣旨 本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、というものである。 2 無効理由 請求人が主張する無効理由は、概略、以下のとおりである。 (1) 無効理由1 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 (2) 無効理由2 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に周知技術及び必要により甲第6号証に記載された技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3) 無効理由3 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第6号証に記載された発明に周知技術並びに甲第1号証及び/又は甲第7号証に記載された技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (4) 無効理由4 平成30年4月9日付けの訂正審判請求(訂正2018-390070号)による訂正は、「単一のVRAM」という語句を特許請求の範囲の記載に追加するものであるが、本件明細書等には「単一のVRAM」という語句は記載されておらず、また「単一のVRAM」という技術的事項は本件明細書等の全ての記載を総合することによって導かれる技術的事項ではないから、この訂正は、特許法第126条第5項の規定に違反するものである。 (5) 無効理由5 本件特許の請求項1に係る発明は、請求項1に記載された「単一のVRAM」という語句の意義が不明確であるため、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。 (6) 無効理由6 本件明細書の発明の詳細な説明には「単一のVRAM」の作用効果について何ら記載がないため、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものということができず、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができない。 (7) 無効理由7 本件特許の請求項1に係る発明には、「必要な処理を行い」又は「処理する」との要件が含まれるが、本件明細書には、段落【0032】に記載されている「適切に処理する」以外の処理が記載されていないから、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明の範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができない。 3 証拠方法 甲第1号証 特開2000-066649号公報 甲第2号証 特開平11-311969号公報 甲第3号証 特開2001-228841号公報 甲第4号証 特開2004-208162号公報 甲第5号証 特開2003-087752号公報 甲第6号証 特開2004-214766号公報 甲第7号証 特開平9-090919号公報 第5 当審において通知した無効理由 令和3年2月16日付けの無効理由通知書において当審が通知した無効理由は、概略、以下のとおりである。 理由1(甲第1号証を主引例とした場合の理由) 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(以下、「当審無効理由1」という。)。 理由2(甲第6号証を主引例とした場合の理由) 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第6号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明、甲第7号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(以下、「当審無効理由2」という。)。 <引用文献等一覧> 甲第1号証 特開2000-066649号公報 甲第2号証 特開平11-311969号公報 甲第3号証 特開2001-228841号公報 甲第4号証 特開2004-208162号公報 甲第5号証 特開2003-087752号公報 甲第6号証 特開2004-214766号公報 甲第7号証 特開平9-090919号公報 第6 被請求人の主張の概要 1 答弁の趣旨 本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、というものである。 2 無効理由について (1) 無効理由1について 本件特許の請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明との間には、実質的な相違点が存在するから、無効理由1は失当である。 (2) 無効理由2について 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、周知技術、及び甲第6号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、無効理由2は失当である。 (3) 無効理由3について 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第6号証に記載された発明、周知技術、並びに甲第1号証及び/又は甲第7号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、無効理由3は失当である。 (4) 無効理由4について 本件特許の特許請求の範囲において「単一のVRAM」という語句を追加する訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に違反するものではないから、無効理由4は失当である。 (5) 無効理由5について 本件特許の請求項1における「単一のVRAM」なる語句の意義は明確であるから、無効理由5は失当である。 (6) 無効理由6について 無効理由6の前提は、特許法第36条第6項第1号の規定が「特許を受けようとする発明の作用効果」を記載すべきことを要求している、と解釈するものであり、特許法第36条第6項第1号の条文解釈として誤っている。また、本件明細書の発明の詳細な説明には、「単一のVRAM」としたことの作用効果が記載されているから、無効理由6は失当である。 (7) 無効理由7について 本件明細書の発明の詳細な説明には、「中央演算回路が適切な処理を行う」との記載はなく、反対に、「中央演算回路は(適切な処理以外の)広義の勉理を行う」との記載が多数含まれるのであるから、無効理由7は失当である。 3 当審において通知した無効理由について (1) 当審無効理由1について 本件訂正後の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 当審無効理由2について 本件訂正後の請求項1に係る発明は、甲第6号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明、甲第7号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 当審の判断 1 各甲号証の記載事項等 (1) 甲第1号証の記載事項及び甲1発明 甲第1号証(特開2000-066649号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下、同様。)。 ア 請求項1 「【請求項1】内蔵された内部表示装置における表示以外に、外部表示装置を 接続して表示させることが可能な携帯情報処理装置において、 前記内部表示装置と、前記内部表示装置よりも高解像度の前記外部表示装置に表示させる表示データを格納する表示メモリと、 前記内部表示装置による内部表示と、前記外部表示装置による外部表示とをそれぞれ制御して、前記表示メモリに格納された表示データに応じた画面を表示させる表示コントローラと、 前記前記内部表示装置による内部表示の内容を選択的に前記外部表示装置に表示させる表示制御手段とを具備したことを特徴とする携帯情報処理装置。」 イ 段落【0002】-【0007】 「【0002】 【従来の技術】一般に、携帯情報処理装置は、携帯性を確保するために装置の小型化が要求され、それに伴って出力装置として内蔵した表示デバイスの表示サイズも小さくなってしまうため、例えば特開平8-115063号に開示されているように、大きな表示サイズでの表示を可能とするために外部表示機器であるCRTを接続可能な機能が設けられている。 【0003】携帯情報処理装置は、外部表示機器を接続した場合、内蔵した表示デバイスにおいて表示する描画イメージと同じ描画イメージを外部表示機器において表示させる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このように従来の携帯情報処理装置では、外部表示機器を接続した場合には、内蔵した表示デバイスでの描画イメージと同じ描画イメージを、外部表示機器において表示させていた。 【0005】従って、外部表示機器を用いた場合には、画面の物理的な表示サイズが大きくなるだけであって、外部表示機器の解像度が内蔵した表示デバイスの解像度よりも高く、より多くの情報を表示可能であったとしても、同じ情報を提供するだけとなっていた。 【0006】つまり、従来の携帯情報処理装置では、内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の外部表示機器を利用することで生じる、より広い画面表示サイズを有効に利用することができなかった。 【0007】本発明は前記のような事情を考慮してなされたもので、外部表示機器における表示を有効に活用することが可能な携帯情報処理装置及び外部表示出力の制御方法を提供することを目的とする。」 ウ 段落【0012】-【0020】 「【0012】図1に示すように、本実施形態における携帯機器2は、CPU10、システムメモリ(DRAM)12、ROM14、入力装置16、表示メモリ18、表示コントローラ20、及び内部表示装置22を有して構成されている。また、携帯機器2は、表示コントローラ20を介して、外部表示装置24(図1中に示す外部表示デバイス4)を接続して表示させることができる。 【0013】CPU10は、システム全体の制御を司るもので、システムメモリ12やROM14に格納されたプログラム、例えば表示制御に関係するOS(オペレーティングシステム)、表示描画プログラム、デバイスドライバ等に従って各種の制御を実行する。 【0014】システムメモリ12は、プログラムやデータ等の一時使用の記憶領域として使用される。ROM14は、プログラム等の本体の記憶領域として使用される。 【0015】入力装置16は、画面の座標位置等入力するペン(タブレット)やマウス等のポインティングデバイス、文字等を入力するキーボードなどにより構成される。表示メモリ18は、内部表示装置22及び外部表示装置24において表示させる表示データの記憶領域として使用される。表示メモリ18の記憶領域の制御については後述する。 【0016】表示コントローラ20は、内部表示装置22及び外部表示装置24における表示を制御するもので、表示メモリ18に格納された表示データに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して異なる画面を表示させることができる。 【0017】内部表示装置22は、携帯機器2に予め内蔵されたLCD等によって構成される表示デバイスであり、携帯機器2の筐体のサイズに応じて比較的、表示サイズが小さい表示装置である。ペンによるポインティングデバイスが設けられる場合、内部表示装置22の表示面と積層一体化して、座標データ入力用のタブレットが設けられる(図21参照)。 【0018】外部表示装置24は、携帯機器2にケーブル等(無線等による接続も可能)を介して任意に接続されるCRT等によって構成される表示デバイスであり、本実施形態では内部表示装置22よりも表示サイズが大きく、かつ高解像度であるものが用いられるものとする。 【0019】図3は、図1に示す表示コントローラ20の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、表示コントローラ20には、メモリコントローラ20a、レジスタ20b、内部表示用回路20c、外部表示用回路20dを含んで構成されている。 【0020】メモリコントローラ20aは、CPUI/F(インタフェース)を経由して入力されるCPU10からの指示に応じて表示制御を行なうもので、表示データのリード/ライトが指示された場合には、この指示に応じて表示メモリ18に対して表示データをリード/ライトし、またレジスタ20bに設定されたアドレスをもとに表示メモリ18から表示データをリードし、内部表示用回路20cを介して内部表示装置22へ、また外部表示用回路20dを介して外部表示装置24へ出力する。なお、メモリコントローラ20aによる表示データの表示メモリ18からのリード、及び出力の処理は一定間隔で繰り返して実行されているので、プログラム(CPU10)が表示メモリ18の表示データ(描画イメージ)を変更すると出力画面にただちに反映される。」 エ 段落【0025】-【0029】 「【0025】また、CPU10は、各デバイスの初期設定として(ステップA2)、表示描画プログラムに従って表示制御に関係する初期化処理を実行する。まず、内部と外部の表示デバイス固有の初期化処理(例えば表示に必要な走査線の周波数など)を行い(ステップa1)、内部表示に必要な表示メモリ18のエリアを確保する(ステップa2)。 【0026】また、表示コントローラ20(レジスタ20b)に対して、表示を開始するアドレスを設定する(内部表示は先に確保した表示メモリ18エリアの先頭のアドレス)(ステップa3)。 【0027】そして、表示描画プログラムによる初期化の終わりの処理にて、表示デバイスへの出力の開始を表示コントローラ20へ設定する。これよりシステムの画面が表示される。 【0028】こうして各デバイスの処理設定が完了すると、システム定常状態となる。なお、システムの定常状態とは、キーボードやペン等の入力装置16からの入力待ちの状態である。このシステムの定常状態において入力装置16から入力があると割り込み処理が実行される。 【0029】図5は、割り込み処理の簡単な流れをソフトウェア的に示す図である。まず、入力機器等のハードウェア34において割り込みが発生すると、OS31により割り込み処理が実行される。例えば、入力装置16がユーザによって操作されると入力の割り込みが発生する(例えばキーボードの打鍵やペンのタッチなど)。」 オ 段落【0033】-【0041】 「【0033】次に、内部表示装置22及び外部表示装置24における描画の動作について説明する。図6は、内部表示装置22及び外部表示装置24で描画を行なうための簡単な流れの仕組みを示す図である。 【0034】ここでは、システムは定常状態であり、通常の表示、すなわち内部表示装置22における内部表示が行われているものとし、さらに外部表示装置24による外部表示を行わせる。 【0035】まず、外部表示装置24において外部表示させるために、ユーザによって外部表示装置24への表示データ(描画イメージ)の出力方法を指定させる。この出力方法の指定は、例えばアプリケーションプログラム35の実行により提供される機能によって、ユーザからの指示を入力装置16から指定させる。出力方法の指定の内容としては、例えば「内部表示と同じ描画イメージを表示する」、「内部表示と異なった描画イメージを表示する」といった指定があるものとする。 【0036】アプリケーション35によって出力方法の指定が入力されると、OS38の制御のもとで、内部表示用と外部表示用のそれぞれの描画プログラム(以下、内部表示ドライバ36、外部表示ドライバ37)に従って、表示コントローラ20に対してユーザからの指定の設定、すなわち内部表示と外部表示に用いる表示データ(描画イメージ)を示すアドレスを表示コントローラ20内のレジスタ20bに設定する。 【0037】一方、アプリケーションプログラム35は、内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライトする。 【0038】表示コントローラ20は、アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させる。 【0039】図7は、前述のようにして内部表示イメージと外部表示イメージがライトされる、表示メモリ18の使用方式の一例を示す図である。図7(a)に示す例は、解像度の異なる内部表示装置22(低解像度)と外部表示装置24(高解像度)に対して、表示メモリ18の表示エリアの一部を共有させることを示している。 【0040】図7(a)に示すように、表示エリアの一部を共有させることにより、外部表示装置24において表示される描画イメージが、内部表示装置22おいて表示される描画イメージの一部と同じになる。なお、図7(a)に示す例は、内部表示装置22と外部表示装置24の横方向の解像度が同じ場合である。 【0041】表示エリアの一部を共有させる場合、表示コントローラ20のレジスタ20bに対して、外部表示用の出力アドレスと内部表示用の出力アドレスとを同じにすることによって実現することができる。」 カ 段落【0044】-【0045】 「【0044】以上説明したように、本実施形態における携帯機器2は、図1~図7に示すように構成され、表示コントローラ20の内部表示用の出力アドレスと外部表示用の出力アドレスの設定を行なうことによって、異なる解像度を持つ内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれ異なるイメージや同一のイメージを表示させることが可能となる。 【0045】次に、前述した基本構成をもとにして実行される、本発明における第1~第5の特徴的な機能について説明する。 (第1機能:外部表示エリアへ表示データをコピーするコピー機能)コピー機能では、前述した図1~5までの基本構成で、例えば内部表示デバイス(内部表示装置22)が640×240の解像度、外部表示デバイス(外部表示装置24)が640×480の解像度を持ち、内部と外部でメモリの一部を共有するといった環境の装置(図7(a)参照)において、外部表示エリアに内部・外部共有表示エリアの表示データをコピーすることによって、外部表示装置24において参照したい画面を一時的に表示させることができるようにする。」 キ 段落【0083】 「【0083】表示描画プログラムは、外部表示用の領域に関する情報(例えば開始アドレス、メモリサイズなど)をシステムメモリ12へ記憶することでOSへ渡す。また、表示コントローラ20に表示を開始するアドレスを設定して表示を行う(ステップE15)。なお、表示内容に関しては、内部表示及び外部表示の何れについても上位のアプリケーションによって指定される。」 ク 段落【0103】-【0104】 「【0103】なお、上述した実施形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。 【0104】 【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、内部表示装置における内部表示用の表示データを格納するための領域と、内部表示装置よりも高解像度の外部表示装置における外部表示用の表示データを格納するための領域を表示メモリに確保し、内部表示用の表示データを選択的に外部表示用の領域に格納することで、解像度の違いによる外部表示装置における表示領域を有効に利用することが可能となる。」 上記ア~クの記載より、特に下線部に着目すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「携帯機器2は、CPU10、システムメモリ(DRAM)12、ROM14、入力装置16、表示メモリ18、表示コントローラ20、及び内部表示装置22を有して構成されており、 携帯機器2は、表示コントローラ20を介して、外部表示装置24を接続して表示させることができ、 CPU10は、システムメモリ12やROM14に格納されたプログラム、例えば表示制御に関係するOS、表示描画プログラム、デバイスドライバ等に従って各種の制御を実行し、 システムメモリ12は、プログラムやデータ等の一時使用の記憶領域として使用され、 ROM14は、プログラム等の本体の記憶領域として使用され、 入力装置16は、画面の座標位置等入力するペン(タブレット)やマウス等のポインティングデバイス、文字等を入力するキーボードなどにより構成され、 表示メモリ18は、内部表示装置22及び外部表示装置24において表示させる表示データの記憶領域として使用され、 表示コントローラ20は、内部表示装置22及び外部表示装置24における表示を制御するものであり、 内部表示装置22は、携帯機器2に予め内蔵されたLCD等によって構成される表示デバイスであり、 外部表示装置24は、携帯機器2にケーブル等を介して任意に接続されるCRT等によって構成される表示デバイスであり、 表示コントローラ20には、メモリコントローラ20a、レジスタ20b、内部表示用回路20c、外部表示用回路20dを含んで構成されており、 メモリコントローラ20aは、CPU10からの指示に応じて表示制御を行なうもので、表示データのリード/ライトが指示された場合には、この指示に応じて表示メモリ18に対して表示データをリード/ライトし、またレジスタ20bに設定されたアドレスをもとに表示メモリ18から表示データをリードし、内部表示用回路20cを介して内部表示装置22へ、また外部表示用回路20dを介して外部表示装置24へ出力し、 キーボードやペン等の入力装置16からの入力待ちの状態であるシステム定常状態となり、このシステムの定常状態において入力装置16から入力があるとOS31により割り込み処理が実行され、 アプリケーションプログラム35の実行により提供される機能によって、ユーザからの指示を入力装置16から指定させ、 アプリケーション35によって出力方法の指定が入力されると、OS38の制御のもとで、内部表示用と外部表示用のそれぞれの描画プログラムに従って、表示コントローラ20に対してユーザからの指定の設定、すなわち内部表示と外部表示に用いる表示データ(描画イメージ)を示すアドレスを表示コントローラ20内のレジスタ20bに設定し、 一方、アプリケーションプログラム35は、内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライトし、 表示コントローラ20は、アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させ、 内部表示装置22が640×240の解像度、外部表示装置24が640×480の解像度を持ち、内部と外部でメモリの一部を共有するといった環境の装置において、外部表示エリアに内部・外部共有表示エリアの表示データをコピーすることによって、外部表示装置24において参照したい画面を一時的に表示させ、 表示内容に関しては、内部表示及び外部表示の何れについても上位のアプリケーションによって指定され、 通信媒体を介してプログラムを受信する、 携帯機器2。」 (2) 甲第6号証の記載事項及び甲6発明 甲第6号証(特開2004-214766号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 段落【0001】-【0002】 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、携帯電話機(通信機能搭載のパームトップPCやPDA[Personal Digital/Data Assistant]などの携帯電子機器を含む)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来より、携帯電話機の多くは、各種情報(静止画や動画、文字など)を表示する手段として、数インチの表示部(液晶ディスプレイなど)を有して成る。」 イ 段落【0004】-【0005】 「【0004】 【発明が解決しようとする課題】 確かに、上記構成から成る携帯電話機は、アドレス帳や電子メールの内容、或いは携帯電話機での閲覧を目的として作成されたWebコンテンツ等を表示部に出力することができるので、ユーザにとって非常に便利である。 【0005】 しかしながら、上記構成から成る携帯電話機では、本体の携帯性を考慮して表示部の設置面積を大きくとれないため、表示内容の視認性や臨場感が乏しい上、ユーザの視力低下を招くおそれがあった。また、携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについては、正常に表示することすらできなかった。」 ウ 段落【0008】 「【0008】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明に係る携帯電話機は、入力された情報を外部表示装置で読取可能な画像信号形式に変換して出力する画像出力部を有して成り、前記外部表示装置への情報出力を行う構成としている。このような構成とすることにより、本体の携帯性を損なうことなく、表示内容の視認性や臨場感を向上させることが可能となる。」 エ 段落【0012】-【0013】 「【0012】 また、上記構成から成る携帯電話機において、前記外部表示装置に出力される情報は、サーバから取得されたWebコンテンツ情報とすればよい。このような構成とすることにより、外部表示装置には、閲覧中のWebコンテンツ情報が表示されることになるので、携帯電話機本体の携帯性を損なうことなく、表示内容の視認性を向上させることが可能となる上、携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても、正常に表示することが可能となる。また、ユーザは、外部表示装置を通してWebコンテンツ情報を閲覧しながら、携帯電話機本体で良好な音声通話を行うことが可能となる。 【0013】また、上記構成から成る携帯電話機において、前記外部表示装置に出力される情報は、サーバから取得されたストリーミング情報に含まれる画像情報とすればよい。このような構成とすることにより、外部表示装置には、再生中のストリーミング画像が表示されることになるので、携帯電話機本体の携帯性を損なうことなく、表示内容の視認性及び臨場感を向上させることが可能となる。また、ユーザは、外部表示装置を通して再生中のストリーミング画像を見ながら、携帯電話機本体で良好な音声通話を行うことが可能となる。」 オ 段落【0015】-【0016】 「【0015】 【発明の実施の形態】 図1は本発明に係る携帯電話機の要部構成を示すブロック図である。本図に示すように、本発明に係る携帯電話機1は、制御部10と、送受信部11と、表示部12と、音声部13と、操作部14と、撮像部15と、記憶部16と、画像出力部17と、を有して成る。 【0016】 制御部10は、CPU[Central Processing Unit]等から成り、上記各部11~17を含む装置全体の動作を制御する。送受信部11は、送信回路と受信回路を有して成り、アンテナ11aを介して電波を送受信することで、基地局(不図示)との双方向通信を行う。なお、アンテナ11aとしては、携帯性や格納性に優れたロッドアンテナを用いるとよい。表示部12は、液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である。音声部13は、マイク13aやスピーカ13bを制御する音声入出力手段である。操作部14は、ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスである。撮像部15は、CCDカメラやCMOSカメラから成る画像撮影手段である。記憶部16は、ROMやRAMから成る情報格納手段である。本発明の特徴部分である画像出力部17は、入力された情報(静止画や動画、文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば、ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部である。」 カ 段落【0018】 「【0018】 第1の具体例は、記憶部16の格納情報(アドレス帳や電子メールの内容等)を外部表示装置2に出力する場合である。この場合、制御部10は、記憶部16から所望の情報を読み出して画像出力部17に送出し、該情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は、制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により、外部表示装置2には、携帯電話機1の記憶部16から読み出された情報が表示されることになる。従って、外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば、携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく、表示内容の視認性を向上させることが可能となる。」 キ 段落【0020】 「【0020】 第3の具体例は、閲覧中のWebコンテンツ情報を外部表示装置2に出力する場合である。この場合、制御部10は、送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出し、該情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は、制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により、外部表示装置2には、閲覧中のWebコンテンツ情報が表示されることになる。従って、外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば、携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく、表示内容の視認性を向上させることが可能となる。また、携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても、表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となる。」 上記ア~キの記載より、特に下線部に着目すると、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。 「携帯電話機1は、制御部10と、送受信部11と、表示部12と、操作部14と、記憶部16と、画像出力部17と、を有して成り、 制御部10は、CPU[Central Processing Unit]等から成り、装置全体の動作を制御し、 送受信部11は、送信回路と受信回路を有して成り、アンテナ11aを介して電波を送受信することで、基地局との双方向通信を行い、 表示部12は、液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段であり、 操作部14は、ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスであり、 記憶部16は、ROMやRAMから成る情報格納手段であり、 画像出力部17は、入力された情報(静止画や動画、文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば、ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部であり、 記憶部16の格納情報を外部表示装置2に出力する場合、制御部10は、記憶部16から所望の情報を読み出して画像出力部17に送出し、該情報を外部出力するように要求し、該要求を受けた画像出力部17は、制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力し、 閲覧中のWebコンテンツ情報を外部表示装置2に出力する場合、制御部10は、送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出し、該情報を外部出力するように要求し、該要求を受けた画像出力部17は、制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力し、 外部表示装置2には、閲覧中のWebコンテンツ情報が表示され、 外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用い、 携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても、表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となる、 携帯電話機1。」 (3) 甲第7号証の記載事項及び甲7発明 甲第7号証(特開平9-090919号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 請求項1 「【請求項1】情報処理装置に接続された複数の表示装置間で表示信号の出力先を切り換えるための画面表示制御方法において、(a) 接続されている複数の表示装置夫々の物理的な最高解像度を検査し且つ記憶するための第1の解像度管理段階と、(b) 画面バッファのアロケーションを行うための最高解像度(静的最高解像度)を設定するための第2の解像度管理段階と、(c) ユーザからの指示に応じて表示信号の出力先となる表示装置を指定するための切り換え段階と、(d) 現在画面表示を行っているソフトウェアの表示能力に応じて最高解像度(動的最高解像度)を設定するための第3の解像度管理段階と、(e) 前記切り換え段階によって新たに表示信号の出力先として指定された表示装置上での物理的な解像度を、前記第1の解像度管理段階にて管理されている該表示装置の物理的な解像度か、又は前記第3の解像度管理段階によって設定された動的解像度のうちいずれか低いものに設定するための解像度決定手段と、を具備することを特徴とする画面表示制御方法」 イ 段落【0006】 「【0006】PCが表示信号の出力先を切り換えるときの問題点の1つは、表示装置間での解像度の相違である。(例えば家庭用TVモニタの解像度は、NTSC方式なら640×400ドットであり、PAL方式なら800×600ドットである。また、LCDディスプレイの解像度は640×480ドット、800×600ドット、1024×768ドットなど、画面サイズに応じて様々である。また、CRTディスプレイの解像度は比較的高く、1024×768ドット、又は1280×1024ドットが一般的である。)」 ウ 段落【0026】-【0027】 「【0026】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳解する。 【0027】A.パーソナル・コンピュータ(PC)100のハードウェア構成 図1は、本発明の実施に供されるPC(以下、「システム」ともいう)100のハードウェア構成を概略的に示したブロック図である。以下、各部について簡単に説明する。」 エ 段落【0034】-【0036】 「【0034】ビデオ・アダプタ20は、コンピュータ信号をビデオ信号に変換して表示装置(例えばLCD52、あるいはTVモニタ51やCRTモニタ53など)に出力するための周辺機器である。より具体的には、ビデオ・アダプタ20は、CPU10から受け取った描画命令を処理してフレーム・バッファ(VRAM)40に一旦書き込むとともに、表示装置の走査タイミングに同期させてフレーム・バッファ40中から画像情報を順次読み出して、ビデオ信号に変換して表示装置(例えば標準装備されたLCD52)に供給するようになっている。また、ビデオ・アダプタ20は、画面の解像度や発色数、表示速度などをコントロールするようにもなっている。 【0035】フレーム・バッファ40は、WindowsやOS/2、あるいはDOSなどの起動中のソフトウェアが表示する画面を一時書き込むための記憶媒体である。フレーム・バッファ40は、各ドットの持つデータ数に応じた枚数(R,G,B,…)だけプレーン数で構成され、1プレーンのドット・サイズは、ビデオ・アダプタ20が許容する最高解像度に応じた充分な大きさであり、例えば最高解像度のCRTディスプレイ53に対応した1280×1024ドット・サイズである。実際にフレーム・バッファ40に書き込まれる画面サイズは、起動中のソフトウェアにも依存し、例えばWindowsやOS/2が表示可能な最高解像度(すなわちウィンドウ画面)は1024×768である。フレーム・バッファ40中に書き込まれたソフトウェア画面は、表示装置51,52,53(後述)上の現実に映し出された画面ではないことから、「仮想スクリーン」とも呼ばれる。 【0036】TVモニタ51,LCD52,及びCRTディスプレイ53は、システム100に装着可能な、あるいは標準装備された表示装置である。一般には、ノートブック型PCはLCDを、デスクトップ型PCはCRTディスプレイを、それぞれ標準装備しているが、いずれを装備するかということ自体は設計的事項に過ぎない。TVモニタ51やLCD52は、時としてフレーム・バッファ40の仮想スクリーンよりも解像度が低いこともあるが、このような場合にはビデオ・アダプタ20が仮想スクリーンから適切なサイズだけを切り出して表示するようになっている。表示装置51,52,53上に現実に映し出された画面は、「実スクリーン」とも呼ばれる。」 オ 段落【0038】 「【0038】B.ビデオ・アダプタ20のハードウェア構成 図2は、PC100のハードウェア構成要素のうち、ビデオ・アダプタ20、及びその周辺をさらに詳しく示したブロック図である。同図において、ビデオ・アダプタ20は、インターフェース部21と、フレーム・バッファ制御部22と、LCD表示制御部23と、内部RAMDAC24と、CRT表示制御部25とを含んでいる。また、ビデオ・アダプタ20は、TVモニタ51,LCD52,CRTディスプレイ53の各々にビデオ信号を出力するための出力端子を有している。」 カ 段落【0040】-【0046】 「【0040】フレーム・バッファ制御部22は、フレーム・バッファ40へのアクセス(リード及びライト)を制御するためのものである。より具体的には、フレーム・バッファ制御部22は、仮想スクリーンをフレーム・バッファ40に書き込むとともに、仮想スクリーンから実スクリーンを切り出すようになっている。 【0041】LCD表示制御部23は、フレーム・バッファ40から読み出された画像情報を並列?直列変換して直列のビデオ信号を発生し、表示タイミングをとりながらLCD52に供給するためのものである。本実施例のLCD表示制御部23は、設定された解像度に従って、1画面のサイズが640×400、640×480、800×600、1024×768のいずれかとなるタイミングで駆動する。 【0042】LCD表示制御部23が出力するビデオ信号は、TVモニタ51やLCD52に供給される。TVモニタ51は、NTSC/PAL方式でありPC100とはデータ・フォーマットが異なるため、TVエンコーダ27によって復号化したビデオ信号が供給されるようになっている。本実施例のTVモニタ51は、最高で640×4080ドット・サイズの画面を表示することができる(但しNTSC方式の場合。PAL方式なら800×600)。また、LCD52の最大表示画面サイズは、640×480ドット,800×600ドット,1024×768ドットのいずれかである。 【0043】内部RAMDAC24は、フレーム・バッファ40から読み出されたデジタル形式のままの画像情報をアナログ形式のビデオ信号に変換してから、CRTディスプレイ53に供給するようになっている。RAMDAC24は、カラー・パレットを持ち、これに基づいてアナログ信号に高速変換することが可能である。 【0044】CRT表示制御部25は、表示タイミングをとるための駆動制御信号(例えば水平同期信号hsyncや垂直同期信号vsync)をCRTディスプレイ53に供給するためのものである。本実施例のCRT表示制御部25は、設定された解像度に従って、1画面のサイズが1024×768、又は1280×1024のいずれかとなるタイミングで駆動する。 【0045】内部RAMDAC24及びCRT表示制御部25が出力するビデオ信号及び駆動制御信号は、CRTディスプレイ53に供給される。本実施例のCRTディスプレイ53の最高解像度は、1024×768、又は1280×1024のいずれかである。 【0046】表示画面の解像度の制御は、ビデオ・アダプタ20が所与の設定値に基づいて行う(前述)。システム起動時には、ビデオ・アダプタ20の解像度(すなわちLCD表示制御部23やCRT表示制御部25が駆動する解像度)は、CMOSRAM55の書き込みデータに従って設定される。そして、LCD表示制御部23やCRT表示制御部25は、設定された解像度に応じて各表示装置51,52,53を駆動制御するようになっている。本実施例では、D項で後述するように、BIOSの中に特別なインターフェースが用意されており、該インターフェースによってビデオ・アダプタ20に設定された解像度を動的に切り換えることができるようになっている。」 上記ア~カの記載より、特に下線部に着目すると、甲第7号証には、次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。 「ビデオ・アダプタ20は、CPU10から受け取った描画命令を処理してフレーム・バッファ(VRAM)40に一旦書き込むとともに、表示装置の走査タイミングに同期させてフレーム・バッファ40中から画像情報を順次読み出して、ビデオ信号に変換して表示装置に供給するようになっており、 実際にフレーム・バッファ40に書き込まれる画面サイズは、起動中のソフトウェアにも依存し、例えばWindowsやOS/2が表示可能な最高解像度は1024×768であり、 TVモニタ51やLCD52は、時としてフレーム・バッファ40の仮想スクリーンよりも解像度が低いこともあるが、このような場合にはビデオ・アダプタ20が仮想スクリーンから適切なサイズだけを切り出して表示するようになっており、 ビデオ・アダプタ20は、インターフェース部21と、フレーム・バッファ制御部22と、LCD表示制御部23と、内部RAMDAC24と、CRT表示制御部25とを含んでいる、 ビデオ・アダプタ20。」 (4) 甲第2号証ないし甲第5号証の記載事項及び周知技術 ア 甲第2号証の記載事項 甲第2号証(特に、段落【0007】-【0024】)には、次の事項が記載されている。 「【0007】液晶ディスプレイ装置を用いて映像や文字を表示するための信号方式の種類としては、各社固有の専用方式以外に、ディスプレイ装置の製造元や型番(モデル)に依存することなく使用できる汎用的な方式として、次の種類の規格がある。 (a)CRT(Cathode Ray Tube)用アナログRGB方式 (b)LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式 (c)LDI(LVDS Display Interface)方式 (d)TMDS(Transition Minimized Differential Signaling) 方式 (e)GVIF(Giga-bit Video InterFace)方式 【0008】これらの方式について簡単に説明する。(a)のCRT用アナログRGB方式とは、VESA、DSUB15ピンのコネクタを介して映像信号を入出力させるもので、アメリカ合衆国のVESA規格で定められるモニタ・インタフェイスである。詳細については、VESA STANDARD VGA PASS-THROUGH CONNECTOR、VS890803、VESAを参照すれば、その内容が明記されている。 【0009】(b)のLVDS方式とは、シリアル低電圧振幅差動伝送方式のひとつで、元来、パラレルのデジタル信号をパラレル・シリアル変換し、ノイズに強い低電圧振幅の差動電送を行う方式である。この方式を液晶ディスプレイ装置に対応させるべく、シリアル伝送のペア数を1から3~4に増やし、更にクロック・ペアを追加したものがその後に開発されている。 【0010】(c)のLDI方式とは、低電圧振幅差動伝送方式のひとつで、前記のLVDS方式を2回路分を組み合わせ、シリアル伝送のペア数を8としたものである。 【0011】(d)のTMDS方式とは、低電圧振幅差動伝送方式のひとつで、前記のLVDSと基礎的な部分は共通しているが、信号に冗長性を持たせ、伝送線路の前後で符号化、復号化を夫々行い、よりEMI(Electromagnetic Interference)に強くしていることが特徴である。 【0012】(e)のGVIF方式とは、シリアル低電圧振幅差動伝送方式のひとつで、1つのペアのみで、信号を高速に伝送する方式である。伝送線として光ファイバーも使用できる。 【0013】以上のように、液晶ディスプレイ装置の一つをとっても、種々の信号方式が存在する。通常はこれらの信号方式のうち、いずれか1つの方式が選定され、ディスプレイ装置が設計及び生産される。また、ディスプレイ装置200のディスプレイ側コネクタ202の仕様も、選択された信号方式に従って一意に決定される。 ・・・(中略)・・・ 【0024】本願の請求項6の発明は、信号伝送手段を介して外部の信号源より入力された表示信号を表示部に表示するディスプレイ装置であって、前記信号伝送手段と前記表示部との間に着脱自在に取り付けられ、前記信号源の出力信号方式を前記表示部の入力信号方式に変換する信号方式変換装置を具備し、前記信号方式変換装置は、前記信号源の表示信号として、CRT用アナログRGB方式、CRT用デジタルRGB方式、低電圧振幅差動信号シリアル伝送フォーマットのLVDS方式、低電圧振幅差動信号シリアル伝送フォーマットのLDI方式、低電圧振幅差動信号シリアル伝送フォーマットのTMDS方式、及び低電圧振幅差動信号シリアル伝送フォーマットのGVIF方式のいずれか1つの信号方式の信号が入力され、アナログRGB信号、TFTデジタル・ダイレクト信号、及びSTNデジタル・ダイレクト信号のいずれか1つの方式の信号を前記表示部に出力することを特徴とするものである。」 イ 甲第3号証の記載事項 甲第3号証(特に、段落【0004】)には、次の事項が記載されている。 「【0004】また、超高精細のディスプレイパネルにホストPC(ホスト側)から送られるビデオデータを表示させる場合、ディスプレイパネル側で同じフレームレートを維持しようとすると、その高精細度が増せば増すほど、ビデオインターフェイス上の転送レートを大きくする必要がある。一方、昨今では、ホストPCとディスプレイシステムとの間のビデオインターフェイスは、従来のアナログインターフェイスに変わってLVDS(Low Voltage Differential Signaling)、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)、GVIF(Gigabit Video InterFace)といった低電圧作動タイプのデジタルデータ伝送方式を使った、所謂デジタルインターフェイスが広まりつつある。そこで、このデジタルインターフェイスの転送クロックを上げたり、ビデオインターフェイスのシグナル本数を倍(Dual Channel)や4倍(Quadruple Channel)にすることで、これらの転送レートの増加を実現することが可能である。」 ウ 甲第4号証の記載事項 甲第4号証(特に、段落【0002】-【0003】)には、次の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】図11に、従来のDVI規格に基づく、信号伝送システムの構成を示す。同図において、符号2601、2602、および2603は、送信側に設けられたトランジション・ミニマイズド・ディファレンシャル・シグナリング(以降「TMDS」と略称する)・エンコーダ/シリアライザを示す。そして、符号2604、2605、および2606は、受信側に設けられたTMDSデコーダ/リカバリーを示す。 【0003】同図に示すように、従来の信号伝送システムSTScにおいては、赤、緑、および青のコンポーネント信号SR、SG、およびSBが、それぞれ、TMDSエンコーダ/シリアライザ2601、2602、および2603に入力される。そして、TMDSエンコーダ/シリアライザ2601、2602、および2603のそれぞれは、入力されたコンポーネント信号SR、SG、およびSBをTMDSエンコードし、シリアライズして得られるシリアル信号を伝送路TPcに送出する。そして、受信側では、受信したシリアライズ信号をTMDSデコーダ/リカバリー2604、2605、および2606のそれぞれでTMDSデコードし、リカバーしてコンポーネント信号SR、SG、およびSBを復元する。」 エ 甲第5号証の記載事項 甲第5号証(特に、段落【0001】-【0003】)には、次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、映像信号と共に音声信号および制御信号を伝送できるDVI(Digital Visual Interface)規格に適合する信号伝送システムに関するものであり、さらに詳述すれば、このような信号伝送を管理する制御信号およびベースバンド映像伝送システムに関する。 【0002】 【従来の技術】図11に、従来のDVI規格に基づく、信号伝送システムの構成を示す。同図において、符号2601、2602、および2603は、送信側に設けられたトランジション・ミニマイズド・ディファレンシャル・シグナリング(以降「TMDS」と略称する)・エンコーダ/シリアライザを示す。そして、符号2604、2605、および2606は、受信側に設けられたTMDSデコーダ/リカバリーを示す。 【0003】同図に示すように、従来の信号伝送システムSTScにおいては、赤、緑、および青のコンポーネント信号SR、SG、およびSBが、それぞれ、TMDSエンコーダ/シリアライザ2601、2602、および2603に入力される。そして、TMDSエンコーダ/シリアライザ2601、2602、および2603のそれぞれは、入力されたコンポーネント信号SR、SG、およびSBをTMDSエンコードし、シリアライズして得られるシリアル信号を伝送路TPcに送出する。そして、受信側では、受信したシリアライズ信号をTMDSデコーダ/リカバリー2604、2605、および2606のそれぞれでTMDSデコードし、リカバーしてコンポーネント信号SR、SG、およびSBを復元する。」 オ 周知技術 上記甲第2号証ないし甲第5号証の記載事項より、本願の優先日前において、表示装置に表示信号を送信する際に、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信することは周知技術であったと認められる。 2 当審無効理由1について (1) 対比 本件訂正発明と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 甲1発明の、「画面の座標位置等入力するペン(タブレット)やマウス等のポインティングデバイス、文字等を入力するキーボード」などにより構成される「入力装置16」は、「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力」するための手段であるといえる。 また、甲1発明の「CPU10」は、OS等に従って各種の制御を実行するものであり、「キーボードやペン等の入力装置16からの入力待ちの状態」である「システム定常状態」において「入力装置16から入力」があるとOSによる割り込み処理が実行されるものであるから、甲1発明において、「入力装置16」から入力されたデータが「CPU10」、すなわち中央演算回路へ送信されていることは明らかである。 したがって、甲1発明の「入力装置16」は、本件訂正発明の「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段」に相当する。 イ 甲1発明の「システムメモリ12」及び「ROM14」は、それぞれ「プログラムやデータ等の一時使用の記憶領域」及び「プログラム等の本体の記憶領域」として使用されるものである。そして、プログラムやデータがCPUによって読み込まれることは明らかであり、「データ」を「ファイル」として格納することは、広く一般に行われることである。 したがって、甲1発明の「システムメモリ12」及び「ROM14」は、本件訂正発明の「後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段」に相当する。 ウ (ア) 甲1発明は、「CPU10は、システムメモリ12やROM14に格納されたプログラム、例えば表示制御に関係するOS、表示描画プログラム、デバイスドライバ等に従って各種の制御を実行し」、「メモリコントローラ20aは、CPU10からの指示に応じて表示制御を行なうもので、表示データのリード/ライトが指示された場合には、この指示に応じて表示メモリ18に対して表示データをリード/ライトし」、「ユーザからの指示を入力装置16から指定させ」、「アプリケーション35によって出力方法の指定が入力されると、OS38の制御のもとで、内部表示用と外部表示用のそれぞれの描画プログラムに従って、表示コントローラ20に対してユーザからの指定の設定、すなわち内部表示と外部表示に用いる表示データ(描画イメージ)を示すアドレスを表示コントローラ20内のレジスタ20bに設定し」、「アプリケーションプログラム35は、内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライトし」という構成を備えている。 ここで、甲1発明の、「入力装置16から」の「ユーザからの指示」に基づく「指定」は、本件訂正発明の「入力手段から受信したデータ」に相当し、甲1発明の「OS」、「アプリケーション」及び「内部表示用と外部表示用のそれぞれの描画プログラム」は、本件訂正発明の「記憶手段に格納されたプログラム」に相当する。 甲1発明において、「内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせ」るということは、「それぞれの表示装置の解像度に合わせ」て「描画させるイメージ」を「生成する」ことであるから、本件訂正発明の「リアルタイムでデジタル表示信号を生成する」ことに相当する。そして、甲1発明において、「それぞれの表示装置の解像度に合わせ」て「描画させるイメージ」を「生成する」際に、「CPU10」が、描画イメージに対応するデジタル信号を「処理」していることは明らかである。 また、CPUが処理を行う際にメモリから情報を読み出すことは技術常識であるから、甲1発明の、「アプリケーションプログラム35」が「内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライト」することは、本件訂正発明の「自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する」ことに相当する。 したがって、甲1発明の「CPU10」と、本件訂正発明の「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路」とは、「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、 デジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路」である点で共通するといえる。 また、甲1発明において、「それぞれの表示装置の解像度に合わせ」て「描画させるイメージ」を「生成する」際に、「CPU10」が、描画イメージに対応する画像データを「処理」していることは明らかであるから、甲1発明は、本件訂正発明の「画像データを処理し」との構成を備えているといえる。 (イ) 甲1発明の「表示コントローラ20」は、「メモリコントローラ20a」を用いて、「CPU10からの指示に応じて表示制御を行なうもので、表示データのリード/ライトが指示された場合には、この指示に応じて表示メモリ18に対して表示データをリード/ライトし、またレジスタ20bに設定されたアドレスをもとに表示メモリ18から表示データをリードし」、「アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させ」るものであるから、本件訂正発明の「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ」に相当する。 同様に、甲1発明は、本件訂正発明の「前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信し」との構成を備えているといえる。 (ウ) 甲1発明の「CPU10」及び「表示コントローラ20」は、通信可能に接続されており、協働して「データ」を表示するための処理を行っていることから、本件訂正発明の、「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」から構成される「データ処理手段」に相当する。 エ 甲1発明は、「内部表示装置22は、携帯機器2に予め内蔵されたLCD等によって構成される表示デバイスであり」、「表示コントローラ20は、アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させ」という構成を備えている。 ここで、甲1発明の「内部表示装置22」は、「携帯機器2に予め内蔵されたLCD等によって構成」され、「表示コントローラ20」によって、「内部表示イメージ」に応じて「描画イメージを表示」するものであり、「LCD」は、一般に「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネル」であることが知られている。 甲1発明には、「前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づきディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」については明示されていないが、ディスプレイパネルを使用する場合に、受信した表示信号に基づいて、該ディスプレイパネルの各々の画素の駆動信号を生成するための「ディスプレイ制御手段」を併せて設けることは、当然に行われることである。 したがって、甲1発明の「内部表示装置22」は、本件訂正発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段」に相当する。 また、甲1発明の「内部表示装置22」は、「描画イメージを表示」するものであるから、甲1発明は、本件訂正発明の「前記ディスプレイ手段」「に画像を表示する」との構成を備えているといえる。 オ 甲1発明は、「外部表示装置24は、携帯機器2にケーブル等を介して任意に接続されるCRT等によって構成される表示デバイスであり」、「メモリコントローラ20a」は「レジスタ20bに設定されたアドレスをもとに表示メモリ18から表示データをリードし、内部表示用回路20cを介して内部表示装置22へ、また外部表示用回路20dを介して外部表示装置24へ出力し」、「表示コントローラ20は、アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させ」という構成を備えている。 ここで、甲1発明の「外部表示装置24」は、「表示コントローラ20」から「外部表示用回路20dを介し」、「ケーブル等を介して任意に接続されるCRT等によって構成される表示デバイス」であるから、甲1発明の「外部表示装置24」は、本件訂正発明の「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置」のうちの「外部ディスプレイ手段を備える周辺装置」に相当する。 また、甲1発明において、携帯機器2と外部表示装置24とは、「ケーブル等を介して任意に接続され」ていることから、明示は無いが、「ケーブル等を介して」「表示データ」を送信する何らかの「インターフェース手段」を備えていることは自明である。 したがって、甲1発明は、本件訂正発明の「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段」を備えているといえる。 また、甲1発明の「外部表示装置24」は、「描画イメージを表示」するものであるから、甲1発明は、本件訂正発明の「前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する」との構成を備えているといえる。 カ 甲1発明の「携帯機器2」と、本件訂正発明の「携帯情報通信装置」とは、「携帯装置」である点で共通するといえる。 キ 甲1発明は、「アプリケーションプログラム35は、内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライトし」、「内部表示装置22が640×240の解像度、外部表示装置24が640×480の解像度を持ち」という構成を備えている。 ここで、表示装置において表示画面を表示させるためには、VRAMから表示画面の各画素に対応したビットマップデータを読み出す必要があることは技術常識であり、ビットマップデータは画像データであるから、「表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライト」された「イメージ」が、各表示装置の解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータであることは自明である。そして、甲1発明の「内部表示装置」は、「LCD」、すなわち「ディスプレイパネル」によって構成されるものであって、「640×240の解像度」を持っており、「外部表示装置」は「640×480の解像度を持」っていることから、「内部表示イメージ」は、640×240の解像度を有する画像のビットマップデータであり、「外部表示イメージ」は、640×480の解像度を有する画像のビットマップデータであるといえる。 よって、甲1発明の「内部表示イメージ」は、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」に相当し、甲1発明の「外部表示イメージ」は、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」に相当する。 また、甲1発明の「表示コントローラ20」は、「表示メモリ18から表示データをリードし、内部表示用回路20cを介して内部表示装置22へ、また外部表示用回路20dを介して外部表示装置24へ出力」し、「アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させ」るものであるから、甲1発明の「内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に」「表示」される「描画イメージ」は、本件訂正発明の「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」「を伝達するデジタル表示信号」と、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」「を伝達するデジタル表示信号」に、それぞれ相当する。 したがって、甲1発明の「表示コントローラ20」と、本件訂正発明の「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」を実現する「グラフィックコントローラ」とは、「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」を実現する「グラフィックコントローラ」である点で共通するといえる。 ク 甲1発明の「外部表示装置24」は、「640×480の解像度」の「描画イメージを表示」し、「内部表示装置22」は、「640×240の解像度」の「描画イメージを表示」するものであるから、甲1発明の「外部表示装置24」は、本件訂正発明の「「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できる」「外部ディスプレイ手段」に相当する。 (2) 一致点・相違点 以上から、本件訂正発明と甲1発明とは、以下の点において一致、及び相違する。 [一致点] 「 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と; 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と; 前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、デジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と; 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と; 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と; を備え、 前記中央演算回路が画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能を有する、 携帯装置において、 前記グラフィックコントローラは、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現する、 ことにより、 前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、 ことを特徴とする携帯装置。」 [相違点] <相違点1> 本件訂正発明は、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」を備えているのに対し、甲1発明では、「無線通信手段」について特定されていない点。 <相違点2> 本件訂正発明の「中央演算回路」は、「無線通信手段から受信した」デジタル信号を処理しているのに対し、甲1発明の「CPU10」は、「表示データ」をどこから受信したかについて特定されていない点。 <相違点3> 本件訂正発明は「携帯情報通信装置」についての発明であるが、甲1発明は「携帯機器」であって、「情報通信」を行う点について特定されていない点。 <相違点4> 本件訂正発明は、 「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記される機能を有し、 グラフィックコントローラは、「携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインターフェース手段に送信する機能を実現するのに対して、 甲1発明は、 無線通信手段を有さず、また、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信するものではないため、この「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を基に、ディスプレイ制御手段やインターフェース手段に送信するデジタル表示信号を生成する機能を有さないところ、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記される機能を有さず、 グラフィックコントローラも、本件訂正発明の上記送信機能と同様の機能は実現可能であるものの、この送信機能で送信されるデジタル表示信号は、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」生成、送信されるものではない点。 <相違点5> 本件訂正発明の「インターフェース手段」は、「前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する」のに対し、甲1発明では、表示信号の「伝送方式」について特定されていない点。 (3) 判断 事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討する。 甲第1号証には、「無線通信手段」は明示されていないが、段落【0103】の「本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。」との記載より、通信媒体を介して「プログラム」を「受信」するための「通信手段(有線及び無線)」の存在は示唆されている。そして、同段落【0083】の「なお、表示内容に関しては、内部表示及び外部表示の何れについても上位のアプリケーションによって指定される。」との記載と、携帯装置のアプリケーションにおいて、画像データを扱うものは周知技術であることを踏まえると、甲1発明において、「無線通信手段」を設け、「無線通信手段」で受信した「画像データ」を処理して画像を表示するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことと認められたとしても、甲1発明にそのような構成を採用した上で、さらに、無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信して、この「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を基に、ディスプレイ制御手段やインターフェース手段に送信するデジタル表示信号を生成する構成までは、いずれの甲号証にも開示されておらず、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。また、この点を単なる設計事項とする理由も見いだせない。 よって、上記相違点4に係る本件訂正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 当審無効理由2について (1) 対比 本件訂正発明と甲6発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 甲6発明の「操作部14」は、「ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイス」であり、「操作部14」と「制御部10」は互いに接続されているから、「操作部14」に入力されたデータが「制御部10」へ「送信」されることは明らかである。 したがって、甲6発明の「操作部14」は、本件訂正発明の「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段」に相当する。 イ 甲6発明の「送受信部11」は、「送信回路と受信回路を有して成り、アンテナ11aを介して電波を送受信することで、基地局(不図示)との双方向通信を行う」ものであるから、無線通信手段であるといえる。 そして、甲6発明の「送受信部11」と「制御部10」は互いに接続されており、甲6発明の「アンテナ11a」で受信される「電波」が無線信号であり、「制御部10」に送受信される信号がデジタル信号であることは技術常識であるから、甲6発明の「送受信部11」が、受信した無線信号をデジタル信号に変換して「制御部10」に送信し、「制御部10」から受信したデジタル信号を無線信号に変換して「アンテナ11a」から送信していることは明らかである。 したがって、甲6発明の「送受信部11」は、本件訂正発明の「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」に相当する。 また、甲6発明と、本件訂正発明の「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し」とは、「前記無線通信手段が無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し」との共通の構成を備えている。 ウ 甲6発明の「記憶部16」は、「ROMやRAMから成る情報格納手段」であり、「外部表示装置2に出力する」ことのできる「格納情報」を格納しており、「制御部10」が「記憶部16から所望の情報を読み出して画像出力部17に送出」することを可能としている。ここで、甲6発明の「格納情報」及び「所望の情報」は、本件訂正発明の「中央演算回路で処理可能なデータファイル」に相当する。 また、「ROMやRAMから成る情報格納手段」に、中央演算回路を動作させるプログラムを格納することは、広く一般に行われることである。 したがって、甲6発明の「記憶部16」は、本件訂正発明の「後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段」に相当する。 エ 甲6発明の「制御部10」は、「CPU等から成り」、「装置全体の動作を制御」しており、「送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出」するものであるから、甲6発明の「制御部10」と、本件訂正発明の「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路」とは、「前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、処理する中央演算回路」である点で共通するといえる。 そして、甲6発明において、「送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出」する際に、「制御部10」が、「Webコンテンツ情報」に含まれる画像データを処理していることは明らかであるから、甲6発明は、本件訂正発明の「前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し」との構成を備えているといえる。 また、「装置全体の動作を制御する」ために、データの処理は当然に行われることであるから、甲6発明の「制御部10」は、本件訂正発明の「データ処理手段」に相当する。 オ 甲6発明の「表示部12」は、「液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段」であり、「液晶ディスプレイ」は、一般に「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネル」であることが知られている。 甲6発明には、「ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」については明示されていないが、ディスプレイパネルを使用する場合に、該ディスプレイパネルを駆動するための「ディスプレイ制御手段」を併せて設けることは、当然に行われることである。 したがって、甲6発明の「表示部12」と、本件訂正発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段」とは、「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、デジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段」である点で共通するといえる。 カ 甲6発明の「外部表示装置2」は、「画像出力部17」を介して「携帯電話機1」と接続された「モニタ装置」であるから、本件訂正発明の「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置」のうちの「外部ディスプレイ手段を備える周辺装置」に相当する。 また、甲6発明の「画像出力部17」は、「入力された情報(静止画や動画、文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば、ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部」であることから、本件訂正発明の「周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段」とは、「周辺装置に対して、デジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段」である点で共通するといえる。 キ 甲6発明の「携帯電話機1」は、本件訂正発明の「携帯情報通信装置」に相当する。 ク 甲6発明の「画像出力部17」は、「入力された情報(静止画や動画、文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば、ビデオ信号形式)に変換して出力する」ことから、甲6発明の「画像出力部17」と、本件訂正発明の「前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する」「インターフェース手段」とは、「受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する」ものである点で共通するといえる。 ケ 甲6発明の「画像出力部17」は、「制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力」することで、「外部表示装置2には、閲覧中のWebコンテンツ情報が表示され」、「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても、表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となる」ものである。 したがって、甲6発明の「画像出力部17」は、本件訂正発明の、「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」「インターフェース手段」に相当する。 (2) 一致点・相違点 以上から、本件訂正発明と甲6発明とは、以下の点において一致、及び相違する。 [一致点] 「 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と; 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と; 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と; 前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、処理する中央演算回路と、から構成されるデータ処理手段と; 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、デジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と; 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、デジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と; を備え、 前記無線通信手段が無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理する機能を有する、 携帯情報通信装置において、 前記インターフェース手段は、受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、 ことにより、 前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、 ことを特徴とする携帯情報通信装置。」 [相違点] <相違点6> 本件訂正発明の「中央演算回路」は、「前記無線通信手段から受信したデジタル信号」に対して、「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき」、「リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出」すという手順を踏んで処理するのに対し、甲6発明の「制御部10」は、受信した信号に対する具体的な処理手段について記載されていない点。 <相違点7> 本件訂正発明の「ディスプレイ手段」は、「グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき」動作するのに対し、甲6発明の「表示部12」は、「デジタル表示信号」が「グラフィックコントローラから受信した」ものである点が特定されていない点。 <相違点8> 本件訂正発明の「インターフェース手段」は、「グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき」動作するのに対し、甲6発明の「画像出力部17」は、「グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき」動作することについて特定されていない点。 <相違点9> 本件訂正発明は、 「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記される機能を有し、 グラフィックコントローラは、「携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインターフェース手段に送信する機能を実現するのに対して、 甲6発明は、 送受信部11が、「本来解像度がディスプレイパネル(表示部12)の画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信するものではないため、「本来解像度がディスプレイパネル(表示部12)の画面解像度より大きい画像データ」を基に、表示部12で画像を表示するための信号と外部表示装置2で画像を表示するための信号との両方を生成するものではなく、また、グラフィックコントローラや単一のVRAMも備えないところ、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記される機能を有さず、 表示部12や外部表示装置2で画像を表示するための信号は、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」生成、送信されるものではない点。 <相違点10> 本件訂正発明の「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」は「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」で伝送されるのに対し、甲6発明では、「伝送方式」について特定されていない点。 (3) 判断 事案に鑑みて、上記相違点9について先に検討する。 上記2(1)ウ(イ)で述べたとおり、甲1発明の携帯機器は「表示コントローラ20」を備えており、当該「表示コントローラ20」は、本件訂正発明の「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ」に相当している。また、上記1(3)で示したとおり、甲7発明のビデオ・アダプタは、画像信号の生成・送信のための、「LCD表示制御部23」、「内部RAMDAC24」及び「CRT表示制御部25」を備えており、これらが果たす機能は、本件訂正発明のグラフィックコントローラの機能と同等である。 そうすると、甲6発明において、甲1発明や甲7発明を適用して、「グラフィックコントローラ」及び「単一のVRAM」を備えるように構成し、これを本件訂正発明のグラフィックコントローラと同様に機能させることは、当業者が容易に想到し得たことであるとしても、甲6発明にそのような構成を採用した上で、さらに、送受信部11で「本来解像度がディスプレイパネル(表示部12)の画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信して、この「本来解像度がディスプレイパネル(表示部12)の画面解像度より大きい画像データ」を基に、表示部12及び外部表示装置2に画像を表示するための信号を生成する構成までは、いずれの甲号証にも開示されておらず、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。また、この点を単なる設計事項とする理由も見いだせない。 よって、上記相違点9に係る本件訂正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲6発明、甲1発明、甲7発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 請求人の主張する無効理由1~7について (1) 無効理由1について 本件訂正により、本件訂正発明は、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有し、グラフィックコントローラが、「携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインターフェース手段に送信する機能を実現するという構成を有するものとなっており、当該構成は、甲第1号証には記載されていないから、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。 したがって、無効理由1により、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 (2) 無効理由2について 本件訂正により、本件訂正発明は、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有し、グラフィックコントローラが、「携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインターフェース手段に送信する機能を実現するという構成を有するものとなった。 そして、当該構成は、甲第1号証及び甲第6号証には記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であるともいえないから、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明、周知技術、及び甲第6号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、無効理由2により、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 (3) 無効理由3について 本件訂正により、本件訂正発明は、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有し、グラフィックコントローラが、「携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインターフェース手段に送信する機能を実現するという構成を有するものとなった。 そして、当該構成は、甲第6号証、甲第1号証、及び甲第7号証には記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であるともいえないから、本件訂正発明は、甲第6号証に記載された発明、周知技術並びに甲第1号証及び/又は甲第7号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、無効理由3により、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 (4) 無効理由4について 請求人は、本件明細書等には、「単一のVRAM」という語句はなく、また、「単一のVRAM」という技術的事項は、本件明細書等の全ての記載を総合することによって導かれる技術的事項ではないから、特許請求の範囲の記載に「単一のVRAM」という語句を追加する訂正は、特許法第126条第5項の規定に違反すると主張している。 上記主張について検討する。 一般に、「単一」とは、「ひとつ」(株式会社岩波書店広辞苑第六版)を意味し、「VRAM」とは、「ディスプレイに表示する画像データを記憶するために使われる半導体RAM」(ブリタニカ国際大百科事典小項目事典)を意味するものであるから、「単一のVRAM」とは、ディスプレイに表示する画像データを記憶するために使われる半導体RAMが、1つ存在することを意味するものと理解できる。 そして、「VRAM」について、本件明細書等の段落【0115】、【0117】、【0127】には、「グラフィックコントローラ1_10Bは、・・・(中略)・・・ビットマップデータを生成し、必要に応じてVRAM(Video RAM)1_10Cへの書き込み/読み出しを行いつつ、該ビットマップデータをLCDドライバ15Bに送信する。」、「グラフィックコントローラ1_10Bは、・・・(中略)・・・LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出してLCDドライバ15Bに送信する。」、「さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、・・・(中略)・・・外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。」などの記載があり、【図1】にも「VRAM1」が記載されている。 本件明細書等には、「VRAM」の個数については具体的に特定されていないものの、本件明細書等の段落【0115】、【0117】、【0127】や【図1】における「VRAM」に関する上記記載は、「VRAM」が物理的に1つ存在することと矛盾するものではなく、また、本件明細書等には、「VRAM」が物理的に複数存在する必要があることを示すような記載も見られない。 よって、特許請求の範囲に「単一のVRAM」との語句を追加する訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものであるといえる。 したがって、無効理由4により、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 (5) 無効理由5について 請求人は、本件特許の請求項1に記載された「単一のVRAM」という語句の意義が不明確であるため、本件特許の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号の要件(明確性要件)を満たさないと主張する。 しかしながら、上記(4)で述べたとおり、「単一のVRAM」は、ディスプレイに表示する画像データを記憶するために使われる半導体RAMが、1つ存在することを意味するものと理解できるから、「単一のVRAM」という語句の意義は明確であり、本件訂正発明は明確である。 したがって、無効理由5により、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 (6) 無効理由6及び7について 請求人は、本件明細書の発明の詳細な説明には「単一のVRAM」としたことの作用効果について何ら記載がないため、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものということができず、特許法第36条第6項第1号の要件(サポート要件)を満たさないと主張する。 また、請求人は、本件特許の構成要件Dには、「必要な処理を行い」及び「処理する」との要件が含まれるが、本件明細書には、段落【0032】に記載されている「適切に処理する」以外の処理が記載されていないから、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明の範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号の要件(サポート要件)を満たさないと主張する。 ここで、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、この観点に立って検討する。 本件明細書の段落【0014】~【0022】には、「携帯情報通信装置に、該携帯情報通信装置の付属ディスプレイよりも画面が大きい外部ディスプレイ装置(以下、大画面外部ディスプレイ装置と略称する)を接続することにより、大画面外部ディスプレイ装置で画像を表示する技術がいくつか開示されて」いるが、いずれの技術でも「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題を回避できないことが記載されており、本件訂正発明の解決しようとする課題は、「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題を回避することであると解される。 そして、本件訂正発明は、上記課題を解決するため、本件訂正後の特許請求の範囲に記載された構成であって「単一のVRAM」を含む構成を採用することで、「携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することにより、該大画面外部ディスプレイ手段において、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示すること」を「該大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生成手段を、付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である表示データ生成手段とは別個に使用することなく、大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置と間のインターフェース手段の追加と、付属表示データ生成手段への若干の機能追加だけで実現する」(段落【0031】)という作用効果を奏するものであると認められる。 また、本件明細書の段落【0032】には、「適切に処理する」ことの具体的な処理内容について、「そして、表示信号、画像データファイル又は動画信号(以下、表示信号等と略記する)を「適切に処理する」とは、ディスプレイ手段、又は、データ処理手段及びディスプレイ手段が、表示信号等に含まれている画素ごとの論理的な色情報を、ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化することを意味しており、より具体的には、物理的な現実化にあたって画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり、画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしないことを意味している。」と記載されているが、本件訂正発明の構成要件Dには、「必要な処理を行い」又は「処理する」との記載はあるものの、「適切に処理する」との記載はないから、段落【0032】の上記記載は、構成要件D中の「必要な処理を行い」及び「処理する」との記載の解釈を左右するものではない。そして、本件明細書には、例えば、段落【0118】に「AD/DA変換部1_112Cから送信されるデジタル動画信号を一部間引くことによって、解像度の低い画像の全体画像の描画命令を生成する。」と記載され、段落【0120】に「逆にデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより、描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに出力したり」と記載されているように、「適切に処理する」以外の処理が記載されており、構成要件D中の「必要な処理を行い」及び「処理する」が、上記のような「適切に処理する」以外の処理を意味するものと解したとしても、本件訂正発明が上記作用効果を奏することは明らかである。 そうすると、当業者は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載から、上記課題について、本件訂正後の特許請求の範囲に記載された構成を採用することによって解決できることを認識できるものと認められ、本件訂正発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるから、本件訂正発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものであると認められる。 したがって、無効理由6又は7により、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、適法なものである。 そして、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明についての特許を無効とすることはできない。 なお、審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とするものとする。

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2020-800032

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