特許異議申立
2020-700740
ガス系消火設備
- 審判番号
- 2020-700740
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-090208
- 登録番号
- 6674704
- 請求日
- 2020年09月29日
- 審決日
- 2023年08月16日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】エア・ウォーター防災株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】廣瀬 文雄
- 審判長/審判官
- 審判長 河端 賢
- 審判官 倉橋 紀夫
- 審判官 星名 真幸
- 分類
- P1651.121-YAA(A62C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第6項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6674704号「ガス系消火設備」に関する特許異議の申立てについてされた令和3年12月21日付け異議の決定に対し、知的財産高等裁判所において請求項1に係る特許に対する部分の決定取消しの判決(令和4年(行ケ)第10009号、令和5年3月27日判決言渡)があったので、決定が取り消された部分の請求項1に係る特許についてさらに審理のうえ、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6674704号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。
特許第6674704号の請求項1に係る特許を維持する。
特許第6674704号の請求項2に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 本件特許、本件特許異議の申立て
特許第6674704号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成27年4月27日に出願され、令和2年3月11日にその特許権の設定登録がされ、令和2年4月1日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和2年9月29日に特許異議申立人廣瀬文雄(以下「特許異議申立人」という。)により請求項1及び2に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、令和3年1月7日付け(発送日:令和3年1月14日)で取消理由が通知され、令和3年3月11日に特許権者により意見書及び訂正請求書が提出され、令和3年4月23日に特許異議申立人により意見書が提出され、令和3年6月30日付け(発送日:令和3年7月5日)で取消理由(決定の予告)が通知され、令和3年9月2日に特許権者により意見書及び訂正請求書が提出された(以下当該訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」という。)。
なお、令和3年3月11日提出の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
2 異議の決定
令和3年12月21日付けで異議の決定がされ、その結論は、以下のとおりである。
「特許第6674704号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。
特許第6674704号の請求項1に係る特許を取り消す。
特許第6574704号の請求項2に係る特許についての特許異議申立てを却下する。」
3 訴えの提起、判決
令和4年2月1日に訴えの提起(令和4年(行ケ)第10009号)がなされ、令和5年3月27日に以下の判決言渡がされた。
「1 特許庁が異議2020-700740号事件について令和3年12月21日にした決定のうち、「特許第6674704号の請求項1に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。」
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第6674704号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1および2について訂正することを求める。」というものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示すために付した。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載の
「消火剤ガスが貯蔵された複数の容器と、
複数の前記容器内の消火剤ガスを、電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない防護区画へ導入する導入手段と、
消火剤ガスが導入される前記防護区画の側面を貫通するように前記側面に接続されて前記防護区画から消火剤ガスを排出するためのダクトと、
前記防護区画の避圧口で前記ダクトの端部に設けられたダンパとを備え、
前記ダンパが開閉することで前記ダクトと前記防護区画とが連通および遮断され、
複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との開弁時期をずらして前記防護区画へ消火剤ガスが導入される、ガス系消火設備。」を、
「建物内でのダクトおよび配管を細くすることで施工コストを低下させ、かつ、設計の自由度を高めたガス系消火設備であって、
消火剤ガスが貯蔵された複数の容器と、
複数の前記容器内の消火剤ガスを、電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない、前記建物に設けられる部屋である防護区画へ導入する前記配管により構成される導入手段と、
消火剤ガスが導入される前記防護区画の側面を貫通するように前記側面に接続されて前記防護区画から消火剤ガスを排出するための、前記建物内で縦および/または横方向に延びるダクトと、
前記防護区画の避圧口で前記ダクトの端部に設けられたダンパとを備え、
前記ダンパが開閉することで前記ダクトと前記防護区画とが連通および遮断され、
複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との容器弁の開弁時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され、
前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し、前記各容器弁に接続される制御部をさらに備える、ガス系消火設備。」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1のガス系消火設備について、「建物内でのダクトおよび配管を細くすることで施工コストを低下させ、かつ、設計の自由度を高めたガス系消火設備であって、」「前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し、前記各容器弁に接続される制御部をさらに備える」ことを限定し、防護区画について、「前記建物に設けられる部屋である」ことを限定し、導入手段について、「前記配管により構成される」ことを限定し、ダクトについて、「前記建物内で縦および/または横方向に延びる」ことを限定し、開弁時期について、「容器弁の」ものであること及び「前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止」することを限定するものであるから、この訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
本件特許明細書には、段落【0018】に「曲線111から115は、第1から第5のガス貯蔵容器5を開弁した場合における容器弁としての減圧弁50の出口での消火ガス剤の圧力を示す。曲線104は曲線111から115で示す消火剤の圧力の合計により構成される減圧弁50の出口での消火剤ガスの圧力を示す。」(下線は当審で付した。以下同様。)と記載され、段落【0019】に「点105は曲線102における最大圧力を示しており、この最大圧力を考慮して避圧口1aの大きさを決定する。すなわち点105で示す最大圧力が大きければ避圧口の径、およびダクト2の径を大きくする必要があり、建設コストが増大する。5本のガス貯蔵容器5を同時に開弁すれば、各々のガス貯蔵容器5から放出される消火剤ガスのピーク圧力が重なる。その結果、最大圧力が大きくなり、避圧口1aおよびダクト2の径が大きくなる。これに対して、5本のガス貯蔵容器5の開弁時期をずらすことにより、曲線111から115で示す各ガス貯蔵容器5から放出される消火剤ガスのピーク圧力が重なることを防止できる。その結果、曲線104における最大圧力は、曲線105における最大圧力よりも小さくなる。したがって、避圧口1aおよびダクト2を小型化することが可能となる。さらに、配管3も細くすることができる。」と記載されているところ、訂正事項1は、これらの記載に基づくものと認められるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
訂正事項1は、請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
3 小括
本件訂正請求による訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項1及び2について訂正を認める。
第3 取消理由(決定の予告)の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審で令和3年6月30日付け取消理由通知(決定の予告)により通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
請求項1に係る発明は、異議申立書に添付され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明、並びに、令和3年4月23日に申立人が提出した意見書に添付され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第7号証及び甲第8号証にて例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という。)。
《引用文献》
甲1.“不活性ガス消火設備設計・工事基準書”,第2版,一般社団法人日本消火装置工業会,平成25年5月,p.45ないし48,p.93ないし100,p.192ないし199,p.203ないし204,p.207ないし210,p.212
甲2.国際公開第2007/032764号
甲7.特開2007-330438号公報(周知技術を示す文献)
甲8.特開平7-39603号公報(周知技術を示す文献)
第4 当審の判断
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、令和3年9月2日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
建物内でのダクトおよび配管を細くすることで施工コストを低下させ、かつ、設計の自由度を高めたガス系消火設備であって、
消火剤ガスが貯蔵された複数の容器と、
複数の前記容器内の消火剤ガスを、電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない、前記建物に設けられる部屋である防護区画へ導入する前記配管により構成される導入手段と、
消火剤ガスが導入される前記防護区画の側面を貫通するように前記側面に接続されて前記防護区画から消火剤ガスを排出するための、前記建物内で縦および/または横方向に延びるダクトと、
前記防護区画の避圧口で前記ダクトの端部に設けられたダンパとを備え、
前記ダンパが開閉することで前記ダクトと前記防護区画とが連通および遮断され、
複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との容器弁の開弁時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され、
前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し、前記各容器弁に接続される制御部をさらに備える、ガス系消火設備。」
2 引用文献、引用発明等
(1)甲1の記載事項及び甲1発明
取消理由(決定の予告)で引用した甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
ア 「7)通信機器室で、床面積が500m2以上のもの」 (45頁,「第3章 不活性ガス消火設備の設置対象物」における表9.3.1.1「不活性ガス消火設備の設置対象物基準面積等」の「令第13条」「防火対象物又はその部分」欄)
イ 「電話機械室、通信機室、電算機室、機械制御室等」 (「第5章 二酸化炭素を放出する不活性ガス消火設備」の「2.6.2 火災感知装置の選択」における表9.5.2.10「環境状態と適応感知器(その2)」(99頁)の「設置場所」欄の「環境状態」が「燻焼火災となるおそれのある場所」に対応する「具体例」)
ウ 「第6章 窒素を放出する不活性ガス消火設備
第1節 窒素を放出する不活性ガス消火設備の種類および構成
1.1 消火剤
窒素を放出する不活性ガス消火設備(以下、窒素消火設備という。)の消火剤には窒素ガスが用いられる。窒素ガスは、JIS K 1107の2級に適合するものを使用する。」(192頁1行ないし5行)
エ 「窒素消火設備においては、火災報知器との連動による自動起動方式を原則とし、メンテナンス時など有人となる場合において手動式に切り換える方式が基本となっている。」(192頁34行及び35行)
オ 図9.6.1.2「設備の構成例(その2)」(194頁)には、防護区画1の右壁面に「避圧ダンパー」が記載され、また、図の右下には、複数の「容器弁付き窒素ガス貯蔵容器」が記載されている。
[図:0001403604000001.jpg]
カ 「『全域放出方式』によって防護する部分は、二酸化炭素消火設備と同様に、不燃材で造られた壁、柱、床または天井(天井のない場合にあっては梁または屋根)により区画されていることが必要である。また、上記の部分(以下、防護区画という。)に設けられた開口部には、自動閉鎖装置が設けられていなければならない。窒素消火設備にあっては、後述の「避圧口」を除くすべての開口部を消火剤放射前に自動的に閉鎖することとされている。なお、排水ドレンの開口部など消火効果を減ずるおそれがないものにあっては、自動閉鎖装置を設けないことができる。」(196頁12行ないし17行)
キ 「2.1.3 付帯設備
窒素消火設備を設置する場合は、消火設備以外に種々の付帯設備が必要となる。必要となる付帯設備の例を次に示す。ここに記した事項以外にも必要となる事項があるため、防護区画ごとに勘案し、また管轄消防機関とも協議することが重要である。
・・・
(9)消火後の消火剤排出措置としての排気ファンおよびダクト(流れ方向を考慮するなど、他の区画への流出がない場合には通常の排気ファン・排気ダクトを兼用することができる。)の設置
(10)手動起動装置(操作箱)部分の照度の確保
(11)圧力逃がし口(避圧口)および同ダクトおよびダンパーの設置」(198頁1行ないし16行)
ク 「2.2.4 貯蔵容器本数
設置消火剤量は、前記のW(m3)を、貯蔵容器1本当たりの充てん量で除して得られる容器本数(小数点以下切り上げ)に充てん量を乗じた値となる。容器本数は次により求める。
N=W/充てん量
N:容器本数(本)」(199頁3行ないし7行)
ケ 「2.5.1 配管方式の選定
(1)落差
貯蔵容器室に設置された貯蔵容器と防護区画に設置された噴射ヘッドまでは、配管で接続されることになるが、このときの配管の落差(当該区画のための配管の最も低い位置にある部分から最も高い位置にある部分までの垂直距離をいう。)は、50m以下とであることと定められている。」(203頁5行ないし9行)
コ 「2.5.6 避圧措置
防護区画内への消火剤の放射によって上昇する区画内部圧力を緩和するために、避圧口を適正に設置しなければならない。この避圧口は、区画内の消火剤濃度をより長時間維持するために消火剤の放射が終了した時点で閉鎖することとされている。このために、防護区画の壁面直近に避圧ダンパーが設けられる。図9.6.2.7に示すような構造例のもので、放出された消火剤の圧力によりダンパーが「開」となり、圧力が復旧(大気圧へ戻る)すれば調整おもりにより「閉」となる。この他にも、電動式のダンパーを使用することも可能であるが、開閉の制御や電源を非常電源にすることなどに留意する必要がある。」(207頁8行ないし15行)
サ 「(2)避圧口についての留意事項
避圧により排出される気体は防護区画内の空気だけでなく、火災により発生した燃焼生成ガスも含まれる。燃焼生成ガスは一酸化炭素等の有毒ガスが含まれている場合が多いことから避圧用ダクトの経路や外部への放出先は、他の居室や放出先に存在する人が曝露しないように充分留意する必要がある。したがって、避圧口は屋外に面した壁に設置するか、あるいは屋外の安全な場所までダクトにより導かれていなければならない。ここでいう屋外の安全な場所とは、人が容易に近づかない場所で、屋上や付近に住居の窓などが無い高所部分を指し、外気の通風が良好であり排気される煙等が充分に拡散する場所をいい、次に示す条件を満足することを原則とする。
・・・
さらに、避圧措置に用いるダクトは専用とすることが望ましい。ただし、消火剤放出後に消火剤を排出する排気用ダクトや一般空調用ダクトと兼用する場合は、避圧により排出されるガスが他の居室等に流入しないようにチャッキダンパーやモーターダンパ等により制御を行うことが肝要である。」(207頁下から8行ないし208頁9行)
シ 図9.6.2.8「避圧装置の例(ダクト経路)」(208頁)には、避圧措置イメージとして、建築物内のガス防護区画の右壁面を貫通する避圧ダクトが、ガス防護区画を有する建築物の外まで延びて設けられ、また、ガス防護区画の避圧口で避圧ダクトの端部に避圧ダンパーが設けられていることが看取できる。
[図:0001403604000002.jpg]
ス 「2.6.2 火災感知装置の選択
第5章第2節2.6.2による。」(210頁8行ないし9行)
セ 「2.12 消火剤排出措置
窒素消火設備を設置した防護区画には、消火剤を安全な場所に排出するための措置を講じること。」(212頁3行ないし4行)
ソ 上記ウの記載から、甲1には、窒素を放出する不活性ガス消火設備である窒素消火設備に関する事項が記載されているといえる。
上記オ、ク及びケの記載から、窒素消火設備として容器弁付き窒素ガス貯蔵容器が、必要な容器本数設置されていることが把握される。
上記アの記載から、防火対象物として通信機器室が記載され、また、上記シで引用するイの記載によれば、感応感知器の設置場所の具体例として、電話機械室、通信機室、電算機室及び機械制御室が記載されている。したがって、上記カに記載された防護区画には、電話機械、通信機及び電算機等が設けられていることが把握される。
上記ケの記載によれば、貯蔵容器室に設置された貯蔵容器と防護区画に設置された噴射ヘッドまでは、配管で接続されているから、窒素ガス貯蔵容器の窒素ガスは、配管を経て防護区画の噴射ヘッドにより放出されることが明らかである。
上記オないしキ及びコないしシの記載によれば、防護区画の壁面を貫通する避圧ダクトが、防護区画を有する建物の屋外まで導かれるように設けられ、また、防護区画の避圧口で避圧ダクトの端部に避圧ダンパーが設けられていることが把握される。
そして、上記サ及びセの記載によれば、避圧措置に用いるダクトは、消火剤放出後に消火剤である窒素ガスを排出する消火排出装置である排気用ダクトと兼用できるものである。
上記コの記載によれば、消火剤の放射が終了した時点で避圧口を閉鎖するために、防護区画の壁面直近に避圧ダンパーが設けられ、放出された消火剤の圧力によりダンパーが「開」となり、圧力が復旧(大気圧へ戻る)すれば「閉」となることが記載されているから、避圧ダンパーが開閉することで避圧ダクトと防護区画とが連通及び遮断されるようになっていることは明らかである。
以上のことから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
《甲1発明》
「複数本数の容器弁付き窒素ガス貯蔵容器と、
窒素ガス貯蔵容器内の窒素ガスを、電話機械、通信機及び電算機等が設けられている建築物内の防護区画の噴射ヘッドにより放出する配管と、
窒素ガスが放出される防護区画の壁面を貫通するように壁面に接続され、防護区画を有する建築物の屋外まで導かれるように設けられ、防護区画から窒素ガスを排出するための排気用ダクトと兼用の避圧ダクトと、
防護区画の避圧口で避圧ダクトの端部に設けられた避圧ダンパーとを備え、
避圧ダンパーが開閉することで避圧ダクトと防護区画とが連通及び遮断される、
自動起動式の窒素を放出する不活性ガス消火設備である窒素消火設備。」
(2)甲2の記載事項
取消理由(決定の予告)で引用した甲2には、以下の事項が記載されている。なお、()内は当審訳であり、申立人が作成した翻訳を採用した。
ア 「FlRE HAZARD SUPPRESSION SYSTEM WITH SEQUENTIAL DISCHARGING OF INERT GAS BY RUPTURABLE DISC AND DECAYING PRESSURE
BACKGROUND OF THE INVENTION
Fire hazard suppression systems have long been employed for protecting areas containing valuable equipment or components, such as art galleries, data centers, and computer rooms. Traditionally, these systems utilize Halon, which is ideal for hazard suppression because it is capable of very quickly suppressing a hazard, it can be stored at relatively low pressures, and only a relatively small quantity is required.
However, in recent years the adverse environmental effects of Halon on the ozone have become evident, and many governmental agencies have banned further use of Halon. In some countries, existing Halon systems are being replaced by systems using more environmentally friendly inert gases such as nitrogen, argon, carbon dioxide, and mixtures thereof. Unlike the Halon-based fire hazard suppression systems, inert gas-based fire suppression systems use natural gases and do not contribute to atmospheric ozone depletion.
Combustion occurs when fuel, oxygen, and heat are present in sufficient amounts to support the ignition of flammable material. Inert gas fire hazard suppression systems are based on reducing the level of oxygen in an enclosure to a level that will not sustain combustion. In order to extinguish a fire hazard, inert gas stored in a large number of high-pressure gas cylinders is released into the enclosure to reduce the concentration of oxygen by displacing oxygen with the inert gas until combustion is extinguished. Typically, ambient air comprises 21% concentration by volume of oxygen. This concentration must be reduced to below 12.54% to effectively extinguish the fire hazard. To reach this objective, a relatively large volume of gas must be released.
There are health and safety implications for facility personnel, particularly in relation to the reduction of oxygen in the atmosphere once the system is discharged. Careful calculation is required to ensure that the concentration of inert gas released is sufficient to control combustion, yet not so high as to pose a serious risk to personnel.
The replacement of Halon with inert gas for fire hazard protection presents two issues with the system design. First, the delivery of a large amount of gas into a protected room within a short period time (fire codes in some countries require that the gas be delivered in less than one minute) may generate overpressure in the room that could potentially damage equipment in the room. Current industrial practice is to use a special, expensive vent in the room to prevent the overpressure. Second, unlike Halon, inert gas is stored under normal room temperature in gaseous form, rather than liquid form. To reduce the storage vessel volume, a very high pressure is preferred, typically between 100 bar and 3O0 bar. As a result, the gas distribution system must be capable of withstanding extremely high pressures. These two limitations are key factors in the cost of both new installation and retrofit.
The overpressure in a protected room is primarily caused by an uneven discharge of the inert gas from the pressure vessel or a high pressure peak upon discharge of the inert gas greater than a safe threshold level. The pressure in the gas vessel decays exponentially during gas release, so the overpressure typically occurs in the first few seconds of the discharge. If the gas release can be throttled to a fairly uniform pressure profile over the duration of the discharge or be maintained below the threshold level at all times during the gas release, overpressure in the protected room can be prevented while ensuring that the predetermined amount of inert gas is delivered within the required time.
Current systems used for throttling the gas flow require either a valve with a controllable variable opening area or an on/off valve.」(1頁1行ないし2頁26行)
(ラプチャーディスクと圧力低下による不活性ガスの連続放出を伴う火災危険抑制システム
発明の背景
火災危険抑制システムは、アートギャラリー、データセンター及びコンピュータルーム等の貴重な機器又はコンポーネントを含むエリアを保護するために長い間使用されてきた。従来、これらのシステムは、ハロンを利用しているが、非常に迅速に危険を抑制できるため、危険抑制のためには理想的であり、比較的低圧での保管が可能で、比較的少量で済むものである。
しかしながら、近年、オゾンに対するハロンの環境への悪影響が明らかになり、多くの政府機関がハロンのさらなる使用を禁止している。既存のハロンシステムが、窒素、アルゴン、二酸化炭素、及びそれらの混合物など、より環境にやさしい不活性ガスを使用するシステムに置き換えている国がある。ハロンベースの消火システムとは異なり、不活性ガスベースの消火システムは、天然ガスを使用しており、大気中のオゾン層破壊の一因とはならない。
燃焼は、燃料、酸素、及び熱が、可燃性物質の点火をサポートするのに十分な量で存在する場合に発生する。不活性ガスの火災危険抑制システムは、囲われた場所内部の酸素レベルを、燃焼を維持できないレベルまで下げることに基づいている。火災の危険性をなくすために、多数の高圧ガスシリンダーに貯蔵された不活性ガスが囲われた場所に放出され、燃焼がなくなるまで酸素を不活性ガスに置き換えることで、酸素濃度を低減する。通常、周囲空気は、体積で21%の酸素濃度を含んである。火災の危険を効果的に消すためには、この濃度を12.54%未満に下げる必要がある。この目標を達成するためには、比較的大量のガスを放出する必要がある。
特に、システムが放出された場合の大気中の酸素の減少に関しては、施設の人員には健康と安全に影響がでる。放出される不活性ガスの濃度が燃焼を制御するのに十分ではあるが、人員に深刻なリスクをもたらすほど高くはないことを確実にするために、慎重な計算が必要となる。
火災の危険を防止するためにハロンを不活性ガスで置き換えると、システム設計に2つの問題が生じることになる。まず第1に、短期間に大量のガスを保護された部屋に供給することで(国によっては、消防法で、ガスは1分未満で供給する必要がある)、室内に過剰圧力が発生し、室内の機器に損傷を与える可能性がある。現在の産業慣行では、過剰な圧力を防ぐために、部屋に特別で高価な通気孔を使用している。第2に、ハロンとは異なり、不活性ガスは、通常の室温で、液体ではなく気体で保管される。貯蔵容器の容積を減らすために、非常に高い圧力が好ましく、典型的には100バールから300バールの間である。その結果、ガス分配システムは、非常に高い圧力に耐えることができなければならない。これら2つの制限は、新規取付と改造の両方のコストにおける重要な要素である。
保護された部屋の過圧は、主に圧力容器からの不活性ガスの不均一な放出、又は安全なしきい値レベルを超える不活性ガス放出時の高圧ピークが原因である。ガス容器内の圧力は、ガス放出中に指数関数的に減衰するため、通常、過圧は放出の最初の数秒で発生する。放出中にガス放出をかなり均一な圧力プロファイルに絞ったり、又は、ガス放出中に常にしきい値レベル未満に維持したりできる場合は、必要な時間内に所定の量の不活性ガスが供給されるのを確保しながら、保護された部屋の過圧を防止できる。
ガスの流れを絞るために使用される現在のシステムは、制御可能な可変開口面積を備えたバルブ又はオン/オフバルブのいずれかを必要とする。)
イ 「BRIEF SUMMARY OF THE INVENTION
A controlled pressure release system prevents overpressure in a protected area upon delivery of gas. The system includes a first gas container having a first gas outlet, a second gas container having a second gas outlet, piping having a discharge outlet, a first pressure responsive valve (such as a rupturabie disc), and a valve. The piping connects the first and the second gas containers to each other. The first pressure responsive valve is positioned between the first and second qas outlets. The valve actuates the system and is between a closed position and an open position. When the valve switches to the open position, the first gas container is in communication with the discharge outlet. The first pressure responsive valve subsequently opens as a function of a gas pressure differential caused by decreasing gas pressure in the first gas container.」(2頁28行ないし3頁7行)
(発明の簡単な概要
制御された圧力解放システムは、ガスの供給時に保護領域の過圧を防止する。システムは、第1のガス出口を有する第1のガス容器、第2のガス出口を有する第2のガス容器、放出口を有する配管、第1の圧力応答バルブ(ラプチャーディスクなど)、及びバルブを含む。配管は、第1及び第2のガス容器を互いに接続している。第1の圧力応答バルブは、第1及び第2のガス出口の間に配置されている。バルブは、システムを作動させ、閉位置と開位置の間で切り替えることができる。バルブが開位置に切り替わると、第1のガス容器は放出口と連通する。その後、第1の圧力応答バルブは、第1のガス容器内のガス圧の低下によって引き起こされるガス圧差の機能で開くことになる。)
ウ 「DETAILED DESCRIPTION
FIG 1 is a schematic representation of a sequential discharging fire hazard suppression system 10. A plurality of high pressure inert gas storage cylinders 12a-12c are located in a storage area or room proximate an enclosed room 14 to be protected. Inert gas storage cylinders 12a-12c contain inert gas to be released into protected room 14 in case of a fire. Located between gas cylinders 12a and 12b is a differential pressure responsive valve (rupturable disc 16a). A similar valve (rupturable disc 16b) is located between gas cylinders 12b and 12c. When a fire is detected in protected room 14 by a detector 18 located in protected room 14, a control signal from control panel 20 opens main valve 22. Gas is then discharged into protected room 14 through delivery line 24 and discharge nozzles 26 to deplete the concentration of oxygen in protected room 14 and extinguish the fire. The discharge of gas from cylinders 12a-12c is sequential as a result of staggered opening times of main valve 22, rupturable disc 16a, and rupturable disc 16b.
FIG. 2 is a front view of a first embodiment of sequential discharging suppression system 10. Suppression system 10 generally includes first gas cylinder 12a, second gas cylinder 12b, third gas cylinder 12c, first rupturable disc 16a, second rupturable disc 16b, main valve 22, delivery line 24, first gas outlet 28, first valve 30, second gas outlet 32, second valve 34, third gas outlet 36, third valve 38, and piping 40. Suppression system 10 throttles the release of inert gas from gas cylinders 12a-12c by sequential discharging of first, second, and third gas cylinders 12a, 12b, and 12c, respectively, in order to control the pressure discharge into protected room 14 (shown in FIG. 1).
First valve 30 is located at first gas outlet 28 and controls gas flow from first gas cylinder 12a to piping 40. First valve 30 is switchable between a closed position and an open position. When first valve 30 is in the closed position, gas from first gas cylinder 12a cannot flow through first gas outlet 28 to piping 40. When first valve 30 is in the open position, gas from first gas cylinder 12a is allowed to flow from first gas cylinder 12a through first gas outlet 28 to piping 40. First valve 30 can be activated electrically, pneumatically, or manually to open upon command from control panel 20 (shown in FlG. 1). First valve 30 is opened manually if control panel 20 is not functioning properly. In one embodiment, first valve 30 is a solenoid valve.
Second gas outlet 32, second valve 34, second gas cylinder 12b, and piping 40 interact and function in the same manner as first valve 30, first gas outlet 28, first gas cylinder 12a, and piping 40. Also, third gas outlet 36, third valve 38, third gas cylinder 12c, and piping 40 interact and function in the same manner as first valve 30, first gas outlet 28, first gas cylinder 12a, and piping 40.
Piping 40 of suppression system 10 includes first intermediate line 40a, second intermediate line 40b, and third intermediate line 40c. First intermediate line 40a is located between main valve 22 and first rupturable disc 16a. First gas outlet 28 connects first gas cylinder 12a to piping 40 at first intermediate line 40a. Second intermediate line 40b is located between first rupturabie disc 16a and second rupturable disc 16b. Second gas outlet 32 connects second gas cylinder 12b to piping 40 at second intermediate line 40b. Third intermediate line 40c is located between second rupturable disc 16b and third gas cylinder 12c. Third gas outlet 36 connects third gas cylinder 12c to piping 40 at third intermediate line 40c.
Main valve 22 is located between piping 40 and delivery line 24 and controls the release of gas from gas cylinders 12a-12c through first intermediate line 40a of piping 40. When main valve 22 is powered off or deactivated (closed), gas cannot leave piping 40. When main valve 22 is activated (open), gas is allowed to leave through piping 40 to protected room 14. Main valve 22 may be activated electrically or manually. When main valve 22 is activated electrically, main valve 22 opens upon command from control panel 20 (shown in FIG. 1). Main valve 22 may also act as a manual override if control panel 20 is not functioning properly. In one embodiment, main valve 22 is a solenoid valve.
First rupturable disc 16a is located along piping 40 between first intermediate line 40a and second intermediate line 40b and controls the release of gas from second gas cylinder 12a through first intermediate line 40a to protected room 14. First rupturabie disc 16a controls the release of gas from second gas cylinder 12b by acting as a barrier between second gas outlet 32 and delivery line 24. When first rupturable disc 16a is intact, gas cannot pass from second gas cylinder 12b to delivery line 24. Upon rupture of first rupturable disc 16a, gas is free to pass from second gas outlet 32 through first rupturabie disc 16a and first intermediate line 40a to delivery line 24. First rupturable disc 16a ruptures as a function of a pressure differential between first intermediate line 40a and second intermediate line 40b, which are based on the pressures in first gas cylinder 12a and second gas cylinder 12b, respectively. As gas leaves first gas cylinder 12a and the pressure in first gas cylinder 12a decreases, the pressure differential on first rupturable disc 16a increases. First rupturabie disc 16a ruptures when the pressure differential between first Intermediate line 40a and second intermediate line 40b reaches a predetermined value.
Second rupturable disc 16b is located along piping 40 between second intermediate line 40b and third intermediate line 40c and controls the release of gas from third gas cylinder 12c through first and second intermediate line 40a and 40b to protected room 14. Second rupturable disc 16b functions in the same manner as first rupturable disc 16a and acts as a barrier between third gas outlet 38 and delivery line 24. When second rupturable disc 16b is intact, gas cannot pass from third gas cylinder 12c to main valve 22. Upon rupture of second rupturable disc 16b, gas is free to pass from third gas outlet 36 through second rupturabie disc 16b, second intermediate line 40b, first rupturabie disc 16a, and first intermediate line 40a to delivery line 24. Second rupturable disc 16a ruptures as a function of a pressure differential between third intermediate line 40c and first and second intermediate lines 40a and 40b. which are based on the pressures in third gas cylinder 12c and first and second gas cylinders 12a and 12b respectively. Rupturable discs 16 can be manufactured to have varying rupture limits and rupture at any pressure differential depending on the delay desired between firing of gas cylinders 12a-12c. In one embodiment, rupturable discs 16 are burst discs. Rupturable discs 16 can be any type of barrier that breaks or opens as a function of a differential pressure without departing from the intended scope of the present invention.」(3頁18行ないし6頁19行)
(詳細な説明
図1は、順次放出する火災危険抑制システム10の概略図である。複数の高圧不活性ガス貯蔵シリンダー12a~12cが、保護されるべき閉鎖された部屋14に近接する貯蔵領域または部屋に配置される。不活性ガス貯蔵シリンダー12a~12cには、火災が発生した場合に、保護された部屋14に放出される不活性ガスが含有されている。ガスシリンダー12aと12bとの間には、差圧応答バルブ(ラプチャーディスク16a)が配置されている。同様のバルブ(ラプチャーディスク16b)がガスシリンダー12bと12cとの間に配置されている。保護された部屋14に配置された検出器18によって、保護された部屋14で火災が検出されると、制御パネル20からの制御信号がメインバルブ22を開くことになる。次に、保護された部屋14で酸素の濃度を低下させ、火を消すために、ガスが、供給ライン24及び放出ノズル26を通って保護された部屋14に放出される。メインバルブ22、ラプチャーディスク16a及びラプチャーディスク16bの開放時間をずらした結果として、シリンダー12a~12cからのガスの放出が順次行われる。
図2は、順次放出する抑制システム10の第1の実施形態の正面図である。抑制システム10は、一般に、第1のガスシリンダー12a、第2のガスシリンダー12b、第3のガスシリンダー12c、第1のラプチャーディスク16a、第2のラプチャーディスク16b、メインバルブ22、供給ライン24、第1のガス出口28、第1のバルブ30、第2のガス出口32、第2のバルブ34、第3のガス出口36、第3のバルブ38、及び配管40を含む。抑制システム10は、保護された部屋14への圧力放出を制御するために、第1、第2、及び第3のガスシリンダー12a、12b、及び12cそれぞれを順次放出することにより、ガスシリンダー12a~12cからの不活性ガスの放出を抑制する(図1に示す)。
第1のバルブ30は、第1のガス出口28に配置され、第1のガスシリンダー12aから配管40へのガス流を制御する。第1のバルブ30は、閉位置と開位置との間で切り替えることができる。第1のバルブ30が閉位置にあるとき、第1のガスシリンダー12aからのガスは、第1のガス出口28を通って配管40に流れることができない。第1のバルブ30が開位置にあるとき、第1のガスシリンダー12aからのガスは、第1のガスシリンダーから第1のガス出口28を通って配管40に流れることができる。第1のバルブ30は、制御パネル20からの命令により開くために、電気的に、空気圧的に、又は手動で作動させることができる(図1に示す)。制御パネル20が正常に機能していない場合は、第1のバルブ30を手動で開かれる。一実施形態では、第1のバルブ30はソレノイドバルブである。
第2のガス出口32、第2のバルブ34、第2のガスシリンダー12b、及び配管40は、第1のバルブ30、第1のガス出口28、第1のガスシリンダー12a、及び配管40と同じように相互作用し、機能する。また、第3のガス出口36、第3のバルブ38、第3のガスシリンダー12c、及び配管40は、第1のバルブ30、第1のガス出口28、第1のガスシリンダー12a、及び配管40と同じように相互作用し、機能する。
抑制システム10の配管40は、第1の中間ライン40a、第2の中間ライン40b、及び第3の中間ライン40cを含む。第1の中間ライン40aは、メインバルブ22と第1のラプチャーディスク16aとの間に配置されている。第1のガス出口28は、第1のガスシリンダー12aを第1の中間ライン40aで配管40に接続する。第2の中間ライン40bは、第1のラプチャーディスク16aと第2のラプチャーディスク16bとの間に配置されている。第2のガス出口32は、第2のガスシリンダー12bを第2の中間ライン40bで配管40に接続する。第3の中間ライン40cは、第2のラプチャーディスク16bと第3のガスシリンダー12cとの間に配置されている。第3のガス出口36は、第3のガスシリンダー12cを第3の中間ライン40cで配管40に接続する。
メインバルブ22は、配管40と供給ライン24との間に配置され、配管40の第1の中間ライン40aを介してガスシリンダー12a~12cからのガスの放出を制御する。メインバルブ22の電源が切られているか、又は非アクティブ化(閉じられている)の場合、ガスは配管40から出ることができない。メインバルブ22が作動(開放)されると、ガスは、配管40を通って保護された部屋14に出ることができる。メインバルブ22は、電気的に又は手動で作動させることができる。メインバルブ22が電気的に作動すると、メインバルブ22は、制御パネル20からのコマンドにより開かれる(図1に示す)。制御パネル20が適切に機能していない場合、メインバルブ22は、無視して手動で機能し得る。一実施形態では、メインバルブ22はソレノイドバルブである。
第1のラプチャーディスク16aは、第1の中間ライン40aと第2の中間ライン40bとの間の配管40に沿って配置され、第2のガスシリンダー12aから第1の中間ライン40aを通って保護された部屋14へのガスの放出を制御する。第1のラプチャーディスク16aは、第2のガス出口32と供給ライン24との間の障壁として作用することにより、第2のガスシリンダー12bからのガスの放出を制御する。第1のラプチャーディスク16aが無傷の場合、ガスは、第2のガスシリンダー12bから供給ライン24に通過できない。第1のラプチャーディスク16aが破裂すると、ガスは、第2のガス出口32から第1のラプチャーディスク16a及び第1の中間ライン40aを通って供給ライン24に自由に通過する。第1のラプチャーディスク16aは、第1のガスシリンダー12a及び第2のガスシリンダー12b内の圧力にそれぞれ基づく、第1の中間ライン40aと第2の中間ライン40bとの間の圧力差の機能で破裂する。ガスが第1のガスシリンダー12aを出て、第1のガスシリンダー12a内の圧力が減少すると、第1のラプチャーディスク16aの圧力差が増加する。第1の中間ライン40aと第2の中間ライン40bとの間の圧力差が所定の値に達すると、第1のラプチャーディスク16aが破裂する。
第2のラプチャーディスク16bは、第2の中間ライン40bと第3の中間ライン40cとの間の配管40に沿って配置され、第3のガスシリンダー12cから第1及び第2の中間ライン40a及び40bを通って保護された部屋14へのガスの放出を制御する。第2のラプチャーディスク16bは、第1のラプチャーディスク16aと同じように機能し、第3のガス出口38と供給ライン24の間の障壁として作用する。第2のラプチャーディスク16bが無傷の場合、ガスは、第3のガスシリンダー12cからメインバルブ22に通過できない。第2のラプチャーディスク16bが破裂すると、ガスは、第3のガス出口36から第2のラプチャーディスク16b、第2の中間ライン40b、第1のラプチャーディスク16a、及び第1の中間ライン40aを通って供給ライン24に自由に通過する。第2のラプチャーディスク16aは、第3のガスシリンダー12cと第1及び第2のガスシリンダー12a及び12b内のそれぞれの圧力に基づく、第3の中間ライン40cと第1及び第2の中間ライン40a及び40bとの間の圧力差の機能で破裂する。ラプチャーディスク16は、ガスシリンダー12a~12cの点火の間に望まれる遅延に応じて、様々な破裂限界及び任意の圧力差での破裂を有するように製造することができる。一実施形態では、ラプチャーディスク16はバーストディスクである。ラプチャーディスク16は、本発明の意図された範囲から逸脱することなく、差圧の機能として壊れたり開いたりする、あらゆるタイプの障壁とすることができる。)
エ 「When main valve 22 is activated (opened), gas is allowed to flow from first gas cylinder 12a through first intermediate line 40a, main valve 22, and delivery line 24 into protected room 14. The pressure in first gas cylinder 12a decreases as gas is being expelled from first gas cylinder 12a into protected room 14 and the pressure differential across first rupturable disc 16a begins to increase as the pressure in first intermediate line 40a decays and the pressure in second intermediate line 40b remains constant. As the pressure in first intermediate line 40a continues to decay, the pressure differential at first rupturable disc 16a eventually reaches a predetermined level and first rupturable disc 16a reaches its rupture limit. When first rupturable disc 16a reaches its rupture limit, first rupturabie disc 16a ruptures, allowing gas from second gas cylinder 12b to flow through second intermediate line 40b and first rupturable disc 16a to join the gas from first gas cylinder 12a.
After first rupturable disc 16a ruptures, gas from second gas cylinder 12b joins the gas from first gas cylinder 12a and leaves suppression system 10. The pressures in first and second gas cylinders 12a and 12b combine and quickly reach a new pressure equilibrium due to the gas cross-charging. As gas is discharged into protected room 14, the combined pressure in first and second gas cylinders 12a and 12b continually decreases. Thus, the pressure differential across second rupturable disc 16b begins to increase as the pressure in first and second intermediate lines 40a and 40b decay and the pressure in third intermediate line 40c remains constant. When the pressure in first and second gas cylinders 12a and 12b has decayed below a second predetermined level, the pressure differential across second rupturable disc 16b reaches a maximum limit and second rupturable disc 16b reaches its rupture limit. Second rupturable disc 16b then ruptures and gas from third gas cylinder 12c is allowed to flow to delivery line 24, along with the gas from first and second gas cylinders 12a and 12b.」 (7頁23行ないし8頁18行)
(メインバルブ22が作動(開放)されると、ガスは、第1のガスシリンダー12aから第1の中間ライン40a、メインバルブ22、及び供給ライン24を介して保護された部屋14に流れることができる。ガスが第1のガスシリンダー12aから保護された部屋14に放出されると、第1のガスシリンダー12aの圧力が低下し、第1の中間ライン40a内の圧力が減衰し、第2の中間ライン40b内の圧力が一定のままであるため、第1のラプチャーディスク16aにかかる圧力差は増加し始める。第1の中間ライン40aの圧力が減衰し続けると、第1のラプチャーディスク16aでの圧力差は最終的に所定のレベルに達し、第1のラプチャーディスク16aはその破裂限界に達する。第1のラプチャーディスク16aがその破裂限界に達すると、第1のラプチャーディスク16aが破裂し、第2のガスシリンダー12bからのガスが第2の中間ライン40bと第1のラプチャーディスク16aを通って流れ、第1のガスシリンダー12aからのガスに合流する。
第1のラプチャーディスク16aが破裂した後、第2のガスシリンダー12bからのガスは、第1のガスシリンダー12aからのガスと合流し、抑制システム10を出る。第1及び第2のガスシリンダー12a及び12bの圧力は組み合わさり、ガスの相互充填のために新しい圧力平衡に迅速に到達する。ガスが保護された部屋14に放出されると、第1と第2のガスシリンダー12aと12bの合計圧力は継続的に減少する。したがって、第1と第2の中間ライン40aと40bの圧力が低下し、第3の中間ライン40cは一定のままであるため、第2のラプチャーディスク16bにかかる圧力差が増加し始める。第1及び第2のガスシリンダー12a及び12b内の圧力が第2の所定のレベル未満に減少すると、第2のラプチャーディスク16bにかかる圧力差は最大限界に達し、第2のラプチャーディスク16bはその破裂限界に達する。次に、第2のラプチャーディスク16bが破裂し、第3のガスシリンダー12cからのガスは、第1及び第2のガスシリンダー12a及び12bからのガスとともに、供給ライン24に流れることができる。)
オ 「Althouqh FIGS. 1 and 2 represent suppression system 10 having three gas cylinders and two rupturabie discs, more gas cylinders and rupturabie discs may be used as needed to adequately protect the enclosed room without departing from the intended scope of the present invention. For example, more than one gas cylinder may be attached between rupturabie discs if necessary to adequately suppress the fire in the enclosed room. In addition, if more gas cylinders are needed, more rupturabie discs may also be needed to ensure that overpressure does not occur in the protected room. More gas cylinders and rupturable discs may be needed depending on the size of the protected room, the volume of the gas cylinders, and other factors.」(9頁11行ないし21行)
(図1及び2は、3つのガスシリンダーと2つのラプチャーディスクを有する抑制システム10を示すが、本発明の意図する範囲から逸脱することなく、必要に応じてより多くのガスシリンダー及びラプチャーディスクを使用して、閉鎖された部屋を適切に保護することができる。例えば、密閉された部屋での火災を適切に抑制する必要がある場合は、ラプチャーディスクの間に複数のガスシリンダーを取り付けることができる。さらに、より多くのガスシリンダーが必要な場合は、密閉された部屋内で過圧が発生しないようにするために、ラプチャーディスクをさらに必要とする場合がある。保護された部屋の大きさ、ガスシリンダーの容積、及びその他の要因によっては、より多くのガスシリンダーとラプチャーディスクが必要になる場合がある。)
カ 「FIG. 4 is a qraph of the pressure in an enclosed room during sequential discharging from gas cylinders 12a-12c as a function of time. As can be seen in FIG. 4, suppression system 10 releases gas into the enclosed room at a controlled rate so that there is no overpressure in the enclosed room. While there is a relatively high initial peak pressure P1 in the enclosed room when main valve 22 is activated and gas from first gas cylinder 12a discharges into the enclosed room, the initial high pressure increase is still below a pre-speclfied threshold limit. As the gas in first cylinder 12a is released and the level of gas remaining in first gas cylinder 12a decays, the pressure differential at first rupturable disc 16a increases until first rupturable disc 16a ruptures and there is a second peak in pressure P2 in the enclosed room as gas is also being emitted from second gas cylinder 12b. The pressure in the enclosed room then continues to decrease as the level of gas remaining in first and second gas cylinders 12a and 12b decays. As gas from first and second gas cylinders 12a and 12b is discharged into the enclosed room, the pressure differential across second rupturable disc 16b increases until second rupturable disc 16b ruptures and gas is also emitted from third gas cylinder 12c, causing a third pressure peak P3 in the enclosed room. Gas continues to discharge from gas cylinders 12a-12c until there is a nominal amount of gas left in suppression system 10 and no more gas is emitted.
The number and values of pressure peaks P1, P2, and P3 depend on the number of gas cylinders and their volumes, respectively. Various fire codes mandate that the requisite amount of gas for suppressing a fire or other hazard in an enclosed room must be discharged into the enclosed room within sixty seconds. As can be seen in FIG. 4, even with the time delay between pressure peaks P1, P2, and P3, all of the gas is emitted from suppression system 10 within 60 seconds. The time delays between pressure peaks P1, P2, and P3 are controlled based on the pressure differential required to rupture rupturable discs 16 and can be manufactured to meet any specification. The optimal pressure differentials will vary depending on the size of the room, the number of gas cylinders, the volumes of the gas cylinders, and the time delay desired between sequential firing of the gas cylinders. In one embodiment, the pressure differential required to rupture rupturable discs 16 is between approximately 15 bar and 50 bar.」(9頁22行ないし10頁23行)
(図4は、時間の関数として、ガスシリンダー12a~12cから順次放出を行っている間における、密閉された部屋内の圧力のグラフである。図4に見られるように、抑制システム10は、制御された速度でガスを密閉された部屋に放出し、密閉された部屋に過剰圧力がかからないようにする。メインバルブ22が作動し、第1のガスシリンダー12aからのガスが密閉された部屋に放出されるとき、閉鎖された部屋の圧力P1に比較的高い初期ピークがあるが、初期の高圧の増加は、以前として予め指定された閾値限界を下回っている。第1のシリンダー12a内のガスが解放され、第1のガスシリンダー12a内に残っているガスのレベルが低下すると、第1のラプチャーディスク16aでの圧力差が増大し、第1のラプチャーディスク16aが破裂し、ガスが第2のガスシリンダー12bからも放出されているため、密閉された部屋で圧力P2の第2のピークが発生する。次に、第1及び第2のガスシリンダー12a及び12bに残っているガスのレベルが低下するにつれて、密閉された部屋の圧力は減少し続ける。第1及び第2のガスシリンダー12a及び12bからのガスが密閉された部屋に放出されると、第2のラプチャーディスク16bにかかる圧力差は、第2のラプチャーディスク16bが破裂してガスが第3のガスシリンダー12cからも放出されるまで増大し、密閉された部屋で第3の圧力ピークP3を引き起こす。ガスは、抑制システム10内に公称量のガスが残され、それ以上ガスが放出されなくなるまで、ガスシリンダー12a~12cから放出され続ける。
圧力ピークP1、P2、及びP3の数と値は、それぞれガスシリンダーの数とその容積に依存する。様々な消防法により、密閉された部屋での火災やその他の危険を抑制するために必要な量のガスを60秒以内に密閉された部屋に放出する必要がある。図4に見られるように、圧力ピークP1、P2、及びP3の間の時間遅延があっても、すべてのガスが抑制システム10から60秒以内に放出される。圧力ピークP1、P2、及びP3の間の時間遅延は、ラプチャーディスク16を破壊するために必要な圧力差に基づいて制御され、任意の仕様を満たすように製造することができる。最適な圧力差は、部屋の大きさ、ガスシリンダーの数、ガスシリンダーの容量、及びガスシリンダーの連続点火の間に必要な時間遅延によって異なる。一実施形態では、ラプチャーディスク16の破裂に必要な圧力差は約15barと50barの間である。)
キ 「The sequential discharging fire hazard suppression system of the present invention efficiently prevents overpressure in a protected room upon discharge while reducing equipment, installation costs, and maintenance costs. The fire hazard suppression system automatically discharges inert gas and controls the flow rate of the released inert gas by disposable rupturable discs as a function of the pressure differential across the rupturable discs without using an expensive throttling valve. When a main valve is activated, gas from a first gas cylinder discharges into the protected room. As the pressure from the first gas cylinder decays, the pressure differential at a first rupturable disc acting as a barrier between the first gas cylinder and a second gas cylinder ruptures and allows gas from the second gas cylinder to also discharge into the protected room. The pressures in the first and second gas cylinders quickly reach a combined pressure equilibrium due to the gas cross-charglng, and form a new pressure. As the new pressure in the first and second gas cylinders decays, the pressure differential at a second rupturable disc located between the second gas cylinder and a third gas cylinder ruptures so that gas from the third gas cylinder is allowed to pass into the protected room. The gas from all three gas cylinders continue to discharge into the protected room until there is a nominal amount of gas left in the suppression system.」(10頁24行ないし11頁10行)
(本発明の順次放出する火災危険抑制システムは、機器、設置費及びメンテナンス費を削減する一方、放出時に保護された部屋の過圧を効率的に防止する。火災危険抑制システムは、高価なスロットルバルブを使用せずに、使い捨てのラプチャーディスクにより、ラプチャーディスク間の圧力差の機能として不活性ガスを自動的に放出し、放出される不活性ガスの流量を制御する。メインバルブが作動すると、第1のガスシリンダーからのガスが保護された部屋に放出される。第1のガスシリンダーからの圧力が減衰すると、第1のガスシリンダーと第2のガスシリンダーの間のバリアとして機能する第1のラプチャーディスクが圧力差で破裂し、第2のガスシリンダーからのガスも保護された部屋に放出されることになる。第1と第2のガスシリンダー内の圧力は、ガスのクロスチャージにより急速に結合圧力が平衡に達し、新しい圧力となる。第1と第2のガスシリンダーの新しい圧力が減衰すると、第2のガスシリンダーと第3のガスシリンダーの間にある第2のラプチャーディスクが圧力差で破裂し、第3のガスシリンダーからのガスが保護された部屋に入ることになる。3つのガスシリンダーすべてからのガスは、抑制システム内にわずかな量のガスが残るまで、保護された部屋に放出され続ける。)
ク 「CLAIMS:
1. A controlled pressure release system for preventing overpressure in a protected area upon delivery of gas from a plurality of gas containers, the system comprising:
a first gas container;
a second gas container;
piping contacting the first and second gas containers, the piping having a discharge outlet;
a first gas outlet and a second gas outlet connecting the first gas container and the second gas container to the piping. respectively;
a first differential pressure responsive valve positioned between the first and second gas outlets; and
a valve for actuating the system, the valve switchable between a closed position and an open position, wherein when the valve switches to the open position, the first gas container is in communication with the discharge outlet, and wherein the first differential pressure responsive valve opens as a function of a decreasing gas pressure in the first gas container.
2. The system of claim 1, wherein a first gas pressure in the first gas container is approximately equal to a second gas pressure in the second gas container when the valve is in the closed position.
3. The system of claim 1, wherein the first differential pressure responsive valve comprises a first rupturable disc.」(12頁1行ないし25行)
(請求項:
1.複数のガス容器からのガスが供給されるときに、保護領域内の過圧を防止するための制御された圧力解放システムであって、
第1のガス容器、
第2のガス容器、
第1及び第2のガス容器に接触する配管であって、放出口を有する配管、
第1のガス出口及び第2のガス出口は、第1のガス容器及び第2のガス37容器を配管にそれぞれ接続する、
第1と第2のガス出口の間に配置された第1の差圧応答バルブ、
システムを作動させるためのバルブであって、バルブは閉位置と開位置との間で切り替え可能であり、バルブが開位置に切り替わると、第1のガス容器は放出口と連通し、第1の差圧応答バルブは最初のガス容器内のガス圧力の低下に応じて開くシステム。
2.前記第1のガス容器内の第1のガス圧力は、前記バルブが前記閉位置にあるとき、前記第2のガス容器内の第2のガス圧力にほぼ等しい、請求項1に記載のシステム。
3.前記第1の差圧応答バルブが第1のラプチャーディスクを含む、請求項1記載のシステム。)
ケ 「
[図:0001403604000003.jpg]
」(図2)
コ 上記ア及びウの記載によれば、甲2には、火災危険抑制システム10に関する事項が記載されているといえる。
上記ウの記載によれば、複数の高圧不活性ガス貯蔵シリンダー12a~12cには、保護された部屋14に放出される不活性ガスが含有されている。また、上記アの記載によれば、火災危険抑制システム10は、データセンター及びコンピュータルーム等の貴重な機器又はコンポーネントを含むエリアを保護するためのものであることが把握される。
上記ウの記載によれば、不活性ガスは、供給ライン24及び排出ノズル26を通って保護された部屋14に放出される。
上記アの記載によれば、現在の産業慣行では、過剰な圧力を防ぐために、部屋14に特別で高価な通気孔を使用していることが把握される。
上記ウないしキの記載によれば、配管40と供給ライン24との間に配置されたメインバルブ22と、ガスシリンダー12aと12bとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16aと、ガスシリンダー12bと12cとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16bの開放時間をずらすことで、シリンダー12aからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12bからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12cからのガスの供給を開始する時点とをずらした結果として、シリンダー12a~12cからのガスは、過剰圧力がかからないように制御された速度で、保護された部屋14に順次放出されることが把握される。
以上のことから、甲2には、次の技術的事項(以下、「甲2技術的事項」という。)が記載されているといえる。
《甲2技術的事項》
「不活性ガスが含有された複数の高圧不活性ガス貯蔵シリンダー12a~12cと、
ガスシリンダー12aと12bとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16aと、ガスシリンダー12bと12cとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16bと、
不活性ガスを、データセンター及びコンピュータルーム等の貴重な機器又はコンポーネントを含む保護された部屋14に放出する供給ライン24及び排出ノズル26と、
過剰な圧力を防ぐために、保護された部屋14に設けられた通気孔と、
を備えた、火災危険抑制システム10において、
配管40と供給ライン24との間に配置されたメインバルブ22と、ガスシリンダー12aと12bとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16aと、ガスシリンダー12bと12cとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16bの開放時間をずらすことで、シリンダー12aからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12bからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12cからのガスの供給を開始する時点とをずらした結果として、不活性ガスが、過剰圧力がかからないように制御された速度で、保護された部屋14に順次放出されること。」
(3)甲7及び甲8の記載事項
取消理由(決定の予告)で引用した甲7及び甲8には、次の事項が記載されている。
ア 甲7の記載事項
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに開閉自在のガス圧開閉弁を備えた複数の二酸化炭素容器と、これら各二酸化炭素容器のガス圧開閉弁を開閉させるための、電磁開閉弁を備えた窒素ガス容器と、各二酸化炭素容器から燃焼試験室内に向けて二酸化炭素ガスを放射する放射手段と、上記二酸化炭素容器のガス圧開閉弁を開閉操作する制御手段とからなり、制御手段は二酸化炭素容器内の残ガス量を重量または放出時間で計測して容器内の残ガス量が減少したとき、残ガスが減少した二酸化炭素容器のガス圧開閉弁を閉鎖するとともに次の二酸化炭素容器のガス圧開閉弁を順次開くようにしたことを特徴とする燃焼試験場用二酸化炭素消火方法。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電池や各種のプリンタ装置の燃焼試験、あるいは各種プラスチック製品、壁紙、建材、繊維製品などの燃焼試験など、各種被試験品の燃焼状況を監視・確認をおこなうための燃焼試験場に設置する二酸化炭素消火設備に関し、消火活動の安全かつ迅速化をはかり、しかも二酸化炭素の使用量を減少させて低コスト化をはかるとともに、メンテナンス性を良好にすることを目的とする。」
(ウ)「【0014】
また9は上記した二酸化炭素容器11のガス圧開閉弁10a~10eを電気的に自動で開閉操作する制御手段をあらわしており、該制御手段9は二酸化炭素容器11内の残ガス量を重量または放出時間で計測して容器11内の残ガス量が減少したとき、残ガスが減少した二酸化炭素容器11のガス圧開閉弁10を閉鎖するとともに次の二酸化炭素容器11のガス圧開閉弁を順次開くように制御手段9、および該制御手段9の一つである電磁弁9a~9e、および配管により窒素ガス導管の回路が構成されており、そのガス導管回路を複数の電磁弁9a・・・を作動させることにより制御するようになっている。」
イ 甲8の記載事項
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安全対策がなされた二酸化炭素消火設備に関する。」
(イ)「【0014】制御盤3は、各防護区画11、21、31への配管に設けられた加圧開放型の制御弁16、26、36の電動式の制御パイロット弁17、27、37を選択的に開放して二酸化炭素の放出先を制御すると共に、消火薬剤としての二酸化炭素が充填されている消火ボンベ41、42、43、44、45、46を電動式の起動パイロット弁52、53、54、55、56の開放制御によって、個別に開放させて二酸化炭素の放出量を制御することができる。これらの各パイロット弁52、53、54、55、56は信号線を介して電気的に制御され、受信機2の信号に基づき自動的に行われる。」
(ウ)「【0018】防護区画11内は、消火ボンベ41の1本分の二酸化炭素のみを放出しているので、即座にその濃度は上昇しない。そして二酸化炭素の濃度は、酸素濃度を測定している濃度センサ15によりその増加の程度が間接的に検出され、所定のレベルに達すると、濃度センサ15は信号を制御盤3へ出力し、制御盤3は、防護区画11の消火に必要な量の二酸化炭素を放出するため、起動パイロット弁52、53、54を順次開放させ、順次消火ボンベ42、43、44をボンベ41と同様に加圧開放させる。」
3 本件発明と甲1発明との対比、判断
(1)対比
本件発明と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「窒素ガス」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件発明の「消火剤ガス」に相当し、以下同様に、「複数本数の容器弁付き窒素ガス貯蔵容器」は「消火剤ガスが貯蔵された複数の容器」に、「電話機械、通信機及び電算機等が設けられている建築物内の防護区画」は「電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない、建物内に設けられる部屋である防護区画」に、「噴射ヘッドにより放出する配管」は「配管より構成される導入手段」に、「防護区画の避圧口で避圧ダクトの端部に設けられた避圧ダンパー」は「前記防護区画の避圧口で前記ダクトの端部に設けられたダンパ」に、「避圧ダンパーが開閉することで避圧ダクトと防護区画とが連通及び遮断され」は「前記ダンパが開閉することで前記ダクトと前記防護区画とが連通および遮断され」に、「窒素を放出する不活性ガス消火設備である窒素消火設備」は「ガス系消火設備」に、それぞれ相当する。
また、本件特許の発明の詳細な説明の段落【0011】を見ても、ダクトが「縦および/または横方向に延びる」とは、建物や防護区画との関係で、縦方向、横方向が規定されているものではなく、単にダクトを建物の外まで延ばすために、垂直方向および/または水平方向にダクトを延ばしていくことを意味している。そして甲1発明においても、避圧ダクトを建築物の屋外まで導くためには、垂直方向および/または水平方向に避圧ダクトを延ばしていかなければならないことは明らかである。よって甲1発明の「窒素ガスが放出される防護区画の壁面を貫通するように壁面に接続され、防護区画を有する建築物の屋外まで導かれるように設けられ、防護区画から窒素ガスを排出するための排気用ダクトと兼用の避圧ダクト」は、本件発明の「消火剤ガスが導入される前記防護区画の側面を貫通するように前記側面に接続されて前記防護区画から消火剤ガスを排出するための、前記建物内で縦および/または横方向に延びるダクト」に相当する。
してみると、本件発明と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
《一致点》
消火剤ガスが貯蔵された複数の容器と、
複数の前記容器内の消火剤ガスを、電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない、建物内に設けられる部屋である防護区画へ導入する配管により構成される導入手段と、
消火剤ガスが導入される前記防護区画の側面を貫通するように前記側面に接続されて前記防護区画から消火剤ガスを排出するための、前記建物内で縦および/または横方向に延びるダクトと、
前記防護区画の避圧口で前記ダクトの端部に設けられたダンパとを備え、
前記ダンパが開閉することで前記ダクトと前記防護区画とが連通および遮断される、
ガス系消火設備。
《相違点1》
本件発明は、「複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との容器弁の開弁時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され、前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し、前記各容器弁に接続される制御部をさらに備える」のに対し、甲1発明は、自動起動式ではあるが、「複数本数の容器弁付き窒素ガス貯蔵容器」の容器弁の開弁時期、及び、一つの貯蔵容器と別の貯蔵容器とから放出される窒素ガスのピーク圧力が重なることを防止して防護区画へ窒素ガスが導入されることが規定されておらず、制御部に関する事項も規定されていない点。
《相違点2》
本件発明は、「建物内でのダクトおよび配管を細くすることで施工コストを低下させ、かつ、設計の自由度を高めたガス系消火設備」であるのに対し、甲1発明は、「避圧ダクト」及び「配管」を備えるが、施工コスト及び設計の自由度について規定されていない点。
(2)判断
上記相違点について、以下検討する。
《相違点1》について
ア 上記2(1)の甲1の記載事項によれば、甲1には、窒素消火設備の構成例として、貯蔵容器室に設置された複数の「容器弁」付き窒素ガス貯蔵容器が記載され、貯蔵容器の本数(N)は、必要消火剤量W(m3)を貯蔵容器1本当たりの充てん量で除して得られる本数であることの記載がある。一方で、甲1には、各貯蔵容器の容器弁の開弁時期や、一つの貯蔵容器と別の貯蔵容器とから放出される窒素ガスのピーク圧力が重なることを防止して防護区画へ窒素ガスが導入されることについて記載や示唆はない。
イ 次に、上記2(2)の甲2の記載事項によれば、甲2には、上記2(2)に記載した甲2技術的事項が記載されていることが認められる。
しかるところ、甲2技術的事項の「ラプチャーディスク」は、配管等の内部のあらかじめ決められた圧力により動作(破裂)し、一旦動作(破裂)した後は再閉鎖されない、使い捨ての部材であり、弁が繰り返し開閉する「容器弁」とは、動作及び機能が異なるものである。
そして、前記2(2)の甲2の記載事項によれば、甲2には、甲2記載の火災危険抑制システムは、複数(第1及び第2)のガスシリンダー間にラプチャーディスクを取り付け、第1のガスシリンダー内のガスが保護された部屋(密閉された部屋)に放出されて第1のガスシリンダー内の残存ガスのレベルが低下すると、第1及び第2のガスシリンダー間の圧力差で、ラプチャーディスクが破裂して第2のガスシリンダー内のガスが保護された部屋に放出され、このように複数のガスシリンダーからそれぞれ順次ガスが放出されることによって、保護された部屋の過圧を防止できること(前記2(2)エ、キ)、保護された部屋の大きさ、ガスシリンダーの容積、及びその他の要因によって、必要に応じてより多くのガスシリンダー及びラプチャーディスクを使用して、閉鎖された部屋(保護された部屋)を適切に保護することができること(前記2(2)オ、カ)の開示があることが認められる。
一方で、甲2には、バルブ(図2記載の第1のバルブ30、第2のバルブ34、第3のバルブ38)の開閉によりガスシリンダーから配管へのガス流を制御することの記載はあるものの、ラプチャーディスクを使用することを前提とした記載であって、ラプチャーディスクを使用せずに、各バルブの開弁時期をずらして複数のガスシリンダーからそれぞれ順次ガスを放出することよって保護区域又は保護された部屋の加圧を防止することについて記載や示唆はない。
ウ 以上のとおり、甲1記載の「容器弁」付き窒素ガス貯蔵容器の「容器弁」と甲2技術的事項の「ラプチャーディスク」は、動作及び機能が異なること、甲1及び甲2のいずれにおいても貯蔵容器の容器弁又はガスシリンダーのバルブの開閉時期をずらして複数のガスシリンダーからそれぞれ順次ガスを放出することによって保護区域又は保護された部屋の加圧を防止することについての記載や示唆はないことに照らすと、甲1及び甲2に接した当業者は、甲1発明において、保護区域又は保護された部屋の加圧を防止するために甲2記載のラプチャーディスクを適用することに思い至ることがあり得るとしても、ラプチャーディスクを用いることなく、甲1発明の各「窒素ガス貯蔵容器」に付いた「容器弁」の開弁時期をずらして複数のガスシリンダーからそれぞれ順次ガスを放出することよって加圧を防止することが実現できると容易に想到することができたものと認めることはできない。
エ 仮に、甲7及び甲8の記載から、「複数の消火ガス容器を備え、防護区画へ配管等の導入手段を介して消火ガスを導入する消火設備において、複数の消火ガス容器のうちの一つの容器の容器弁と別の容器の容器弁との開弁時期をずらして、防護区画へ消火ガスを導入し、容器弁の開弁時期は制御部により決定づけられること」は、ガス系消火設備の技術分野において、本件出願前、周知であったことが認められるとしても、当業者が、甲1発明において、上記周知技術を適用することについての動機付けがあることを認めるに足りる証拠はなく、そのような論理付けができるものとは認められない。
オ したがって、当業者が甲1発明、甲2技術的事項及び上記周知技術に基いて、甲1発明において、相違点1に係る本件発明の構成とすることを容易に想到することができたものとはいえない。
カ そうすると、当業者が相違点1に係る本件発明の構成とすることを容易に想到することができないものである以上、相違点2について検討するまでもなく、本件発明について、当業者が甲1発明、甲2技術的事項及び上記周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
4 まとめ
よって、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、取消理由(決定の予告)によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1)申立理由1
本件発明は、異議申立書に添付され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1発明並びに甲2及び甲3に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2
本件発明は、異議申立書に添付され、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明及び甲1に記載された慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
《引用文献として採用しなかった甲号証》
甲3.特開2001-61985号公報
甲4.特開2005-131387号公報
甲5.特開平7-299158号公報
甲6.特開2014-108185号公報
2 甲2に記載された発明
甲2には、上記第4の2(2)に記載した事項に加えて、以下の事項が記載されている。
ア 「FIG. 3 shows a second embodiment of suppression system 100 which is identical to the first embodiment of suppression system 10 (discussed in FIG. 2) in design and functionality, with the exceptions that main valve 22 is not necessary and that when gas cylinders 12a-12c are installed, first, second, and third valves 30, 34, and 38 remain closed. Because second embodiment of suppression system 100 may not include a main valve 22, first, second, and third valves 30, 34, and 38 remain closed so that no gas is allowed to pass into piping 40. When a fire is sensed in protected room 14, control panel 20 successively sends signals V1, V2, and V3 to open first, second, and third valves 30, 34, and 38, respectively.
When inert gas is needed in protected room 14 to suppress a fire, control panel 20 first sends a signal V1 to open first valve 30. When first valve 30 opens, gas is allowed to pass from first gas cylinder 12a through discharge outlet 24 into protected room 14. Shortly after first valve 30 opens, control panel 20 sends a signal V2 to second valve 34 and a signs! V3 to third valve 38, which are opened sequentially. Although FIG. 3 does not depict main valve 22 in the second embodiment of suppression system 100, a main valve 22 may be added to act as a safety to ensure that gas does leak from gas cylinders 12a-12c prior to activation of suppression system 100. If main valve 22 is installed in second embodiment of suppression system 10, control panel 20 sends a signal to main valve 22 and first valve 30 either simultaneously, or in dose sequence to each other. Rupturabie discs 16a and 16b function in the same manner in the second embodiment of suppression system 100 as in the first embodiment of suppression system 10.」(8頁19行ないし9頁10行)
(図3は、抑制システム100の第2の実施形態を示し、これは、抑制システム10の第1の実施形態(図2で述べた)と設計及び機能において同一であるが、メインバルブ22は不要であり、ガスシリンダー12a~12cが取り付けられたときには、第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38は閉じたままである。抑制システム100の第2の実施形態はメインバルブ22を含まなくてもよいので、第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38は、ガスが配管40に通過できないように閉じたままである。保護された部屋14で火災が感知されると、制御パネル20は信号V1、V2、及びV3を連続的に送信して、それぞれ第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38を開く。
火災を抑制するために保護された部屋14に不活性ガスが必要な場合、制御パネル20は、第1のバルブ30を開くために、最初に信号V1を送信する。第1のバルブ30が開くと、ガスは、第1のガスシリンダー12aから放出口24を通って保護された部屋14に入ることができる。第1のバルブ30が開いた直後に、制御パネル20は、信号V2を第2のバルブ34に送信し、信号V3を第3のバルブ38に送信し、これらを順次開く。図3は、抑制システム100の第2の実施形態におけるメインバルブ22を示していない。抑制システムの作動前に、ガスがガスシリンダー12a~12cから漏れることを確実にするための安全として、メインバルブ22を追加することができる。メインバルブ22が抑制システム10の第2の実施形態に設置されている場合、制御パネル20は、メインバルブ22と第1のバルブ30に、同時に又は近接して順次、信号を送る。ラプチャーディスク16a及び16bは、抑制システム100の第2の実施形態において、抑制システム10の第1の実施形態と同様に機能する。)
イ 「
[図:0001403604000004.jpg]
」(図3)
以上のことから、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
《甲2発明》
「不活性ガスが含有された複数の高圧不活性ガス貯蔵シリンダー12a~12cと、
ガスシリンダー12aと12bとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16aと、ガスシリンダー12bと12cとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16bと、
不活性ガスを、データセンター及びコンピュータルーム等の貴重な機器又はコンポーネントを含む保護された部屋14に放出する供給ライン24及び排出ノズル26と、
過剰な圧力を防ぐために、保護された部屋14に設けられた通気孔と、
を備えた、火災危険抑制システム100であって、
配管40と供給ライン24との間に配置されたメインバルブ22と、ガスシリンダー12aと12bとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16aと、ガスシリンダー12bと12cとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16bの開放時間をずらすことで、シリンダー12aからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12bからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12cからのガスの供給を開始する時点とをずらした結果として、不活性ガスが、過剰圧力がかからないように制御された速度で、保護された部屋14に順次放出され、
信号V1、V2、及びV3を連続的に送信して、それぞれ第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38を開く制御パネル20をさらに備える、火災危険抑制システム100。」
3 甲3ないし甲6に記載された事項
(1)甲3の記載事項
甲3には、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二酸化炭素等の消火ガスを放出して火災を消火するガス系消火設備において、消火ガスの放出起動を行う起動装置を制御するためのガス系消火設備の起動システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、火災発生時に二酸化炭素やハロンガス等の消火ガスを放出して火災を消火するガス系消火設備が提案されている。このガス系消火設備は、水損や汚損を嫌う機器が設置されている室内において、消火時の機器損失を最小限に抑えつつ迅速な消火を行うことができるという特徴を有するものである。
【0003】このようなガス系消火設備の全体構成図を図1に示す。この図1において、複数の防護区画A、Bのそれぞれの内部には、火災を感知するための火災感知器1、消火ガスを噴射するための噴射ヘッド2a、2b1~2bn、及び非常放送を行うための放送スピーカー3が設けられている。また防護区画A、Bそれぞれの外部近傍には、消火ガスの放出を手動で行うための操作箱4及び消火ガスの放出を表示する放出表示灯5が設けられている。さらに防護区画の外部には、消火ガスを貯蔵する消火薬剤貯蔵容器6、消火ガスの放出を行う選択弁7a、7b1~7bn、この選択弁7を駆動する起動装置8a、8b1~8bn、及び制御盤9等が設けられている。」
イ 「【0009】一方、起動回路Sbには、防護区画Bに割り当てられたn台の起動装置8b1~8bnが並列に接続されている。そして防護区画Bでガス放出条件が確立した場合には、起動回路Sbに起動信号が出力され、これら複数の起動装置8b1~8bnが同時に起動される。そして選択弁7b1~7bnが駆動され、噴射ヘッド2b1~2bnから防護区画B内に消火ガスが放出される。また検知回路Pbには、複数の圧力スイッチPSb1~PSbnが直列接続されており、各圧力スイッチPSb1~PSbnからの検知信号が直列出力される。そしてこの検知信号が所定時間以上経過しても得られない場合には、いずれかのガス系統にて異常があったものと判断して、制御盤9に起動回路異常が表示がされる。」
ウ 「【0015】まずガス系消火設備全体の構成及び制御手順について説明し、その後、起動装置の起動に関する構成及び制御手順について説明する。本実施形態におけるガス系消火設備全体の構成は、制御盤9の構成を除いて、上述した従来のガス系消火設備の構成と同じである。すなわち図1に示すように、防護区画A、Bそれぞれの内部には、火災感知器1、噴射ヘッド2a、2b1~2bn、及び放送スピーカー3が設けられている。また防護区画A、Bの外部近傍には、操作箱4及び放出表示灯5が設けられている。さらに防護区画A、Bの外部には、消火薬剤貯蔵容器6、選択弁7a、7b1~7bn、起動装置8a、8b1~8bn、及び制御盤9等が設けられている。ここで防護区画Aは通常の広さの防護区画であり、起動装置8a、選択弁7a、及び噴射ヘッド2aを含んで構成される1系統のガス経路が割り当てられている。また防護区画Bは広域の防護区画であり、起動装置8b1~8bn、選択弁7b1~7bn、及び噴射ヘッド2b1~2bnを含んで構成されるn系統(n>1)のガス経路が割り当てられている。
【0016】火災感知器1は、各防護区画A、B内における火災の発生を感知して発報を行う火災感知手段であり、1つの防護区画に対して複数設けられている。これら複数の火災感知器1は、相互に別系統の受信回路を経て制御盤9に接続されている。このように別系統の受信回路を設けるのは、火災感知器1や受信回路の異常による誤放出を回避するため、自動モードにおいてはこれら両系統の受信回路に接続された火災感知器1からの発報のANDが得られたことを条件として火災発生を判断するためである。
【0017】噴射ヘッド2a、2b1~2bnは、消火ガスを噴射する噴射手段であり、ガス管路を介して消火薬剤貯蔵容器6に接続されている。この管路中には選択弁7a、7b1~7bnが設けられており、この選択弁7a、7b1~7bnを開くことによって消火ガスの放出が行われる。起動装置8a、8b1~8bnは選択弁7a、7b1~7bn及び消火薬剤貯蔵容器6に向けて駆動用のガスを噴射するものであり、このガスによって消火薬剤貯蔵容器6の開放弁及び選択弁7a、7b1~7bnが瞬時に駆動される。また放送スピーカー3は、消火ガスが放出される旨を告げる音声を放送するものであり、また放出表示灯5は、消火ガスが放出される旨を表示するものである。」
エ 「【0025】一方、起動回路Sb1~Sbnには、防護区画Bに割り当てられた複数の起動装置8b1~8bnがそれぞれ直列に接続されている。例えば、起動回路Sb1には起動装置8b1のみが直列に接続され、起動回路Sbnには起動装置8bnのみが直列に接続されている。また検知回路Pb1~Pbnには、防護区画Bに割り当てられた複数の圧力スイッチPSb1~PSbnがそれぞれ直列に接続されている。例えば、検知回路Pb1には圧力スイッチPSb1のみが直列に接続され、検知回路Pbnには圧力スイッチPSbnのみが直列に接続されている。これら圧力スイッチPSb1~PSbnは、起動装置8b1~8bnが割り当てられたガス経路内の圧力が所定値以上になった際に検知信号を出力する。
【0026】このような構成において、防護区画Bにおいてガス放出条件が確立した場合の起動装置の起動制御手順について説明する。図8は起動装置の起動制御手順を示すフローチャートである。防護区画Bにおいてガス放出条件が確立すると起動制御手順が開始され(ステップS20)、まず起動装置8b1を起動させるための起動ステージ(ステップS21~S25)に移行する。この起動ステージでは、まず制御盤9の起動回路Sb1から起動信号が出力され、起動装置8b1が起動される(ステップS21)。この起動信号は当然のことながら、起動装置8b1のみを起動するために必要な電流値にて出力される。その後、圧力スイッチPSb1からの検知信号の有無を監視することによって、起動装置8b1が正常に起動動作したか否かが監視される(ステップS22)。
【0027】ここで所定時間経っても検知信号が得られない場合には、起動装置8b1の割り当てられたガス経路に何らかの異常があったものと判断し、制御盤9の障害灯を点灯させる(ステップS23、S24)。一方、所定時間以内に検知信号が得られた場合には、消火ガスが正常に放出されて起動装置8b1の起動は不要になったと判断できるので、起動装置8b1の起動を停止するための停止信号が起動回路Sb1から出力され、これによって起動装置8b1の起動が停止される(ステップS25)。またこの時、制御盤9の放出灯30が点灯される。これらステップS21~S25の一連の処理によって、起動装置8b1を起動するための起動ステージが完了する。
【0028】そして、以下同様に、起動装置8b2~8bnを起動するための起動ステージを行う。最後の起動装置8bnを起動するための起動ステージにおいては、起動装置8bnが起動され(ステップS26)、圧力スイッチPSbnからの検知信号の有無が監視され(ステップS27~S29)、所定時間以内に検知信号が得られた場合には起動装置8bnの起動が停止され(ステップS30)、全ての起動制御処理が終了する(ステップS31)。
【0029】さてこれまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記に示した実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものであり、以下、これら異なる形態について説明する。例えば上述の実施形態においては、起動装置が正常に起動したことを圧力スイッチの検知信号にて検知してから、次の起動装置の起動処理を行っているが、単に各起動装置を所定時間間隔で順次起動させてもよい。あるいは所定時間以内に検知信号が得られない場合には、障害灯を点灯させると共に、次の起動装置を起動してもよい。また障害灯を点灯させることに加え、スピーカによる警報を行って監視員へ確認を促したり、起動装置への起動信号を再度出力してもよい。また圧力スイッチを、起動装置の起動条件を得ることのみを目的として設置する場合には、最後に圧力検知を行う圧力スイッチ(上記実施形態では圧力スイッチPSbn)を省略することもできる。
【0030】
【発明の効果】これまで説明したように請求項1に記載の本発明は、複数の起動装置は、制御盤に設けた起動回路に対して個別に接続され、制御盤は、消火ガスを放出するための放出条件が確立された際、複数の起動回路に対して順次起動信号を出力し、複数の起動装置を順次に起動することにより、複数の起動装置を同時に起動させる必要がないため、制御盤全体の電源容量を大きくする必要がなくなる。したがって、制御盤のコスト低減を図ることができる。」
オ 「【図1】
[図:0001403604000005.jpg]
」
(2)甲4の記載事項
甲4には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、不活性ガス消火設備における不活性ガス消火剤の放出方法に関し、特に、消火剤貯蔵容器内にガス状態で貯蔵されている不活性ガス消火剤を消火区画内に放出し、消火区画内の不活性ガス消火剤の濃度を消炎濃度以上に維持することによって消火を行う不活性ガス消火設備における不活性ガス消火剤の放出方法に関するものである。」
イ 「【0004】
そして、これらの二酸化炭素やハロンガス等の不活性ガスを使用する不活性ガス消火設備は、急速に火災を鎮圧できること、消火剤による消火区画内の汚染がほとんどないこと、電気の絶縁性を損なわないこと、消火剤が隙間から浸透して構造が複雑な消火対象に対しても強力な消火効果を発揮できること、消火剤の経年変化がなく長期に亘って一定の消火能力を有すること等の利点を有することから、石油関連施設、電気関連施設のみならず、一般の施設にも広く使用されている。」
ウ 「【0008】
しかしながら、不活性ガス消火設備の消火剤として窒素ガスや混合ガスを使用した場合も、以下の問題点があることがわかった。(1)不活性ガス消火設備の消火剤としての窒素ガスや混合ガスは、加圧してガス状態で貯蔵されたものを使用するため、加圧液化した状態で貯蔵されたものを使用する二酸化炭素やハロンガスに比べて、同容積の消火区画の消火に要する消火剤貯蔵容器の数が数倍必要となり、消火剤貯蔵容器の大きな設置スペースが必要となる。(2)設置する消火剤貯蔵容器の数を低減するためには、消火剤貯蔵容器に充填する不活性ガス消火剤の充填圧力を高める必要があるが、不活性ガス消火剤の充填圧力を高めた場合、選択弁、主配管、枝管、噴射ヘッド等の消火設備の二次側機器にも不活性ガス消火剤の高いガス圧がかかることとなり、このため、これら二次側機器の耐圧グレードを上げる必要があり、設備費が著しく高くなり、また、既存の設備には適用できない。
【0009】
この問題に対して、本件出願人は、不活性ガス消火設備の消火剤として窒素ガスや混合ガスを充填圧力を高めて消火剤貯蔵容器に充填した場合でも、消火設備の二次側機器に不活性ガス消火剤の高いガス圧がかかることがない不活性ガス消火設備を提案した(特許文献3参照)。
【0010】
しかしながら、この不活性ガス消火設備の場合も、以下の問題点があることがわかった。
(1)不活性ガス消火設備においては、不活性ガス消火剤を設定放出時間内(例えば、1分以内)に、所要量の不活性ガス消火剤(例えば、貯蔵容器内に貯蔵されている不活性ガス消火剤の90%以上)を放出する必要があるが、特許文献3に記載した発明の場合、不活性ガス消火剤の放出量が設定放出時間内で大きく変動、具体的には、不活性ガス消火剤の放出開始時から不活性ガス消火剤の設定放出時間の1/2が経過しない間に、消火剤貯蔵容器側の不活性ガス消火剤の圧力の低下に伴って不活性ガス消火剤の放出量が低下してしまい、不活性ガス消火設備の消火剤流通経路の容量を十分生かし切れていない。
(2)不活性ガス消火剤の放出開始時から短時間に大量の不活性ガス消火剤が放出されることとなるため、消火区画内の内圧の上昇を防止するために設けられる避圧ダンパーの容量(開口面積)を大きくする必要がある。」
エ 「【0013】
上記目的を達成するため、本発明の不活性ガス消火設備における不活性ガス消火剤の放出方法は、消火剤貯蔵容器内にガス状態で貯蔵されている不活性ガス消火剤を消火区画内に放出し、消火区画内の不活性ガス消火剤の濃度を消炎濃度以上に維持することによって消火を行う不活性ガス消火設備における不活性ガス消火剤の放出方法において、消火剤貯蔵容器から消火剤噴射ヘッドに至る消火剤流通経路の適宜位置に流量可変弁を配設して不活性ガス消火剤の流量を制御することにより、不活性ガス消火剤の放出開始時から、不活性ガス消火剤の設定放出時間の少なくとも1/2が経過するまでの間、不活性ガス消火剤の放出量が略一定に保持されるようにしたことを特徴とする。」
オ 「【0023】
この不活性ガス消火設備は、複数、例えば、2つの消火区画6-1、6-2を有し、不活性ガス消火剤として、例えば、窒素ガスを使用し、これを加圧して高圧ガス容器に充填した状態(35℃において、18MPa)で消火設備内に保管することにより、消火剤貯蔵容器1として利用する。この実施例の不活性ガス消火設備には、3本の消火剤貯蔵容器1を備え、各消火剤貯蔵容器1には、容器弁2を介して連結管3を接続し、さらに連結管3を1本の集合管4に接続し、この集合管4を各消火区画6-1、6-2まで延設した主配管5-1、5-2に接続する。主配管5-1、5-2には、選択弁9-1、9-2を配設し、消火区画6-1、6-2に選択的に不活性ガス消火剤を送るようにする。消火区画6-1、6-2まで延設した主配管5-1、5-2を、消火区画6-1、6-2内にそれぞれ配設した枝管7-1、7-2に接続し、この枝管7-1、7-2を消火区画6-1、6-2内の適所に複数個配設した噴射ヘッド8-1、8-2に接続する。」
カ 「【0025】
この場合において、容器弁2には、図2に示す、容器弁2の放出側の不活性ガス消火剤のガス圧Pを定圧ガス源のガス圧P1によって規定される基準ガス圧P0以下に規制する制圧弁を用いることが望ましい。
この制圧弁2は、不活性ガス消火剤の流路21に設けた3本のガイド部材22aを有する流路弁22と、不活性ガス消火剤の流路21を閉鎖する方向に流路弁22を付勢するばね23と、定圧ガス源(本実施例の場合は、定圧ガス源として、窒素ガスを充填(35℃において、11MPa)した定圧ガス容器15を利用するようにしている。)からのガス供給口24と、一端をガス供給口24に、他端を不活性ガス消火剤の流路21の放出側に接続したシリンダ25内に配設したピストン26と、不活性ガス消火剤の流路21を開放する方向に流路弁22を操作するピストン26の端部に形成した操作棒27と、流路弁22とは逆方向にピストン26を付勢するばね28とから構成したものである。」
キ 「【0029】
そこで、本実施例においては、消火剤貯蔵容器1から消火剤噴射ヘッド8に至る消火剤流通経路の適宜位置、本実施例においては、選択弁9-1、9-2の上流側の集合管4に流量可変弁17を配設して不活性ガス消火剤の流量を制御することにより、不活性ガス消火剤の放出開始時から、不活性ガス消火剤の設定放出時間の少なくとも1/2、より好ましくは2/3が経過するまでの間、不活性ガス消火剤の放出量が略一定に保持されるようにしている。」
(3)甲5の記載事項
甲5には、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不活性ガスを消火剤として使用する消火設備に関するものである。より詳しくは、消火剤貯蔵容器内に高い圧力で充填されている不活性ガス消火剤が、消火剤貯蔵容器から開放されて配管内を流れるときの、当該消火剤による圧力を緩和するための配管システムに関するものである。」
イ 「【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記図10、図11および図12の例に示す構成のガス系消火設備において、消火剤貯蔵容器として、このように窒素、アルゴンなどの不活性ガスを高圧で容器に充填したものを使用すれば、これはそのままガス系消火設備として設立することは明らかである。しかしながら、消火剤貯蔵容器に充填する消火剤が、液化ガスから高圧の不活性ガスに置き換わると、次のような不具合が生じる問題点がある。
【0009】(1)従来使用されている二酸化炭素やハロンガスなどの液化ガスは、消火剤貯蔵容器内の圧力が高々10MPa(約100kgf/cm2) の中程度の圧力であるのに対して、窒素、アルゴンなどの高圧の不活性ガスを充填した消火剤貯蔵容器内の圧力は、15MPa(約150kgf/cm2) 乃至20MPa(約200kgf/cm2) の高圧であるため、特に消火剤放出開始初期の高圧に耐える配管が必要となること。
(2)現在、20MPa(約200kgf/cm2) のクラスの高圧の配管材料は、10MPa(約100kgf/cm2) クラスの配管材料に比較して汎用性に乏しいため、その価格が2倍程度ではなく4倍乃至それ以上の極めて高価となること。
(3)窒素、アルゴンなどの気体の圧力を10MPa(約100kgf/cm2) 程度に下げて消火剤貯蔵容器に充填すると、上記(1)及び(2)の問題点は解決するが、設置すべき消火剤貯蔵容器の数が1.5倍乃至2倍必要となること。
【0010】本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、高圧の不活性ガスを消火剤として使用する消火設備において、消火剤が放出する場合の配管内の圧力を緩和することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願第1発明は、高圧の不活性ガスを充填した消火剤貯蔵容器の出口から、消火対象区画内に取り付けられた消火剤噴射ヘッドまで配管を接続した消火設備において、消火剤貯蔵容器の出口から消火対象区画の入口までの配管(配管の端部を含む)にオリフィスを装備する。即ち、配管の途中にオリフィスを挿入するか配管の端部(消火剤貯蔵容器の出口との接続部または消火対象区画の入口との接続部)にオリフィスを介装する。本願第2発明は、複数の消火区画に対応してそれぞれ選択弁を設置した消火設備において、選択弁出口から対応する前記消火対象区画までの配管(配管の両端を含む)にオリフィスを装備する。
【0012】
【作用】高圧ガス流路である配管(その両端を含む)に装備されたオリフィスにより、高圧ガスは当該オリフィスを通過する際、断熱膨張して圧力降下を生じる。その結果、当該オリフィスより下流側の配管部分の圧力が緩和される。
【0013】
【実施例】本願第1発明によるガス系消火設備の第1実施例を図1に示す。図1において、1、1、‥‥は高圧の不活性ガスを充填した消火剤貯蔵容器であり、各消火剤貯蔵容器1、1、‥‥に取り付けられた容器弁2、2、‥‥の出口には連結管3、3、‥‥を接続し、連結管3、3、‥‥の先を更に集合管4に接続する。集合管4と、消火対象区画6へ至る、集合管4に比較して極めて長い主配管5とを、間に図7に示すオリフィス10を介して接続する。主配管5は、消火対象区画6の内部の要所に配置した噴射ヘッド7、7、‥‥の各々に、主配管5から分岐する枝管8、8、‥‥を介して接続する。」
ウ 「【0015】上記の本願第1発明の第1実施例のガス系消火設備は、火災の際は、電気的に又は空圧的に(いずれも手段の図示省略)容器弁2、2、‥‥を開放することにより、消火剤貯蔵容器1、1、‥‥内から高圧、例えば20MPa(約200kgf/cm2) の圧力の気体の不活性消火剤が連結管3、3、‥‥を経て集合管4に流れ出す。続いて、消火剤はオリフィス10を通過して主配管2に入るが、このときオリフィス10により断熱膨張して圧力は例えば10MPa(約100kgf/cm2)に降下する。圧力降下を起こして中圧となった消火剤は、主配管2の中を流れて枝管8、8、‥‥に至り、最後に噴射ヘッド7、7、‥‥に達してここより大気中に放射され、消火剤は消火対象区画内に充満して火災を鎮圧する。かく構成することにより、配管の大部分を占める主配管2及び枝管8、8、‥‥の部分の圧力を緩和することが出来ることとなり、配管材料のコストを大幅に低下させることが可能となった。なお、オリフィス10の上流側の圧力が例えば20MPa(約200kgf/cm2)の高圧のときに、オリフィス10の下流側の圧力を10MPa(約100kgf/cm2) 程度の中圧となるようにオリフィス10の寸法を定めることは容易であり、その方法の例を次に示す。」
エ 「【0030】
【発明の効果】本願発明のガス系消火設備は、消火剤貯蔵容器から噴射ヘッドまでの配管の途中(配管端部の容器弁出口、主配管端部の選択弁出口を含む)にオリフィスを装備したから、高圧の不活性ガス消火剤はオリフィスを通過する際に圧力降下を生じさせ、その結果、配管内部の圧力が緩和され、配管の大部分又は全配管部の配管材料コストを大幅に低下させ得る効果がある。」
(4)甲6の記載事項
甲6には、次の事項が記載されている。
ア 「【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るガス系消火設備は、防護区画1の避圧口1aに設置された避圧ダンパ2と、防護区画1内へ消火剤ガスを送る配管3と、を備えている。
【0013】
ここで、消火剤ガスは、防護区画1内へ2分間で放出される。本発明の実施形態は、この2分間という放出時間に着目し、従来よりも低コストで施工できるガス系消火設備を提供するものである。
【0014】
すなわち、消火剤ガスが防護区画1内へ2分間で放出される場合は、消火剤ガスが防護区画1内へ1分間で放出される場合よりも、単位時間あたりに防護区画1内へ放出される消火剤ガスの量が少なくなる。
【0015】
したがって、避圧ダンパ2の避圧面積S(図1におけるA-A断面の拡大図を参照。)を小さくしても、配管3の径D(図1におけるB-B断面の拡大図を参照。)を小さくしても、及び/又は配管3の敷設距離(L=L1+L2+L3)を長くしても、消火剤ガスの放出時における防護区画1内の圧力は、消火剤ガスが防護区画1内へ1分間で放出される場合における防護区画1内の圧力と同等程度に保たれる。
【0016】
そこで、本発明の実施形態に係るガス系消火設備では、消火剤ガスが防護区画1内へ1分間で放出される場合よりも、避圧ダンパ2の避圧面積Sは小さく、配管3の径Dは小さく、及び配管3の敷設距離(L=L1+L2+L3)は長い、ものとした。
【0017】
避圧ダンパ2は避圧面積Sが小さいほど安価であり、配管3は径Dが小さいほど安価である。したがって、本発明の実施形態によれば、従来よりも低コストで施工することができるガス系消火設備を提供することができる。
【0018】
また、配管3の敷設距離(L=L1+L2+L3)を長くとることができる本発明の実施形態によれば、後述するガス貯蔵容器5を防護区画1から離れた場所に設置することが可能なガス系消火設備を提供することができる。」
4 申立理由1について
(1)判断
上記第4の3(1)に記載のとおり、本件発明と甲1発明とを対比すると、上記相違点1及び2で相違する。
そして、相違点1に係る本件発明の構成である「複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との容器弁の開弁時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され、前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し、前記各容器弁に接続される制御部をさらに備える」ことは、甲2及び甲3に記載されたことではなく、周知技術であるとはいえない。
さらに、相違点1に係る本件発明の構成は、上記甲4ないし甲8のいずれにも記載されたことではない。
よって、当業者が甲1発明並びに甲2及び甲3に記載された周知技術に基いて、甲1発明において、相違点1に係る本件発明の構成とすることを容易に想到することができたものとはいえない。
したがって、上記のとおり、当業者が相違点1に係る本件発明の構成とすることを容易に想到することができないものである以上、相違点2について検討するまでもなく、本件発明は、当業者が甲1発明並びに甲2及び甲3に記載された周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、上記申立理由1によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
5 申立理由2について
(1)対比
本件発明と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「不活性ガス」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件発明の「消火剤ガス」に相当し、以下同様に、「不活性ガスが含有された複数の高圧不活性ガス貯蔵シリンダー12a~12c」は「消火剤ガスが貯蔵された複数の容器」に、「データセンター及びコンピュータルーム等の貴重な機器又はコンポーネントを含む保護された部屋14」は「電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない、建物内に設けられる部屋である防護区画」に、「放出する」は「導入する」に、「供給ライン24及び排出ノズル26」は「配管より構成される導入手段」に、「過剰な圧力を防ぐために、保護された部屋14に設けられた通気孔」は「避圧口」に、「火災危険抑制システム100」は「ガス系消火設備」に、それぞれ相当する。
また、甲2発明の「配管40と供給ライン24との間に配置されたメインバルブ22と、ガスシリンダー12aと12bとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16aと、ガスシリンダー12bと12cとの間の配管40に沿って配置されたラプチャーディスク16bの開放時間をずらすことで、シリンダー12aからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12bからのガスの供給を開始する時点と、シリンダー12cからのガスの供給を開始する時点とをずらした結果として、不活性ガスが、過剰圧力がかからないように制御された速度で、保護された部屋14に順次放出され」と本件発明の「複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との容器弁の開弁時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され」とは、「複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との開放時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され」という限りにおいて一致し、同様に「信号V1、V2、及びV3を連続的に送信して、それぞれ第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38を開く制御パネル20」と「前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し、前記各容器弁に接続される制御部」とは、「容器の近傍に配置された弁の開弁タイミングを決定し、前記弁に接続される制御部」という限りにおいて一致する。
してみると、本件発明と甲2発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
《一致点》
消火剤ガスが貯蔵された複数の容器と、
複数の前記容器内の消火剤ガスを、電子機器が設けられており消火のために水を用いることができない、前記建物に設けられる部屋である防護区画へ導入する前記配管により構成される導入手段と、
避圧口とを備え、
複数の前記容器のうちの一つの容器と別の容器との開放時期をずらして、前記一つの容器と前記別の容器とから放出される消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止して前記防護区画へ消火剤ガスが導入され、
前記容器の近傍に配置された弁の開弁タイミングを決定し、前記弁に接続される制御部をさらに備える、ガス系消火設備。
《相違点3》
本件発明は、「容器弁の開弁時期」をずらし、さらに制御部が、「前記一つの容器の容器弁の第一の開弁タイミングと、前記別の容器の容器弁の第二の開弁タイミングであって前記第一の開弁タイミングとは異なり消化剤ガスのピーク圧力が重なることを防止する前記第二の開弁タイミングとを決定し」ているのに対し、甲2発明は、メインバルブ22、ラプチャーディスク16a及びラプチャーディスク16bの開放時間をずらし、さらに制御パネル20が「信号V1、V2、及びV3を連続的に送信して、それぞれ第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38を開く」点。
《相違点4》
本件発明は、「消火剤ガスが導入される前記防護区画の側面を貫通するように前記側面に接続されて前記防護区画から消火剤ガスを排出するための、前記建物内で縦および/または横方向に延びるダクトと、前記防護区画の避圧口で前記ダクトの端部に設けられたダンパとを備え」、「建物内でのダクトおよび配管を細くすることで施工コストを低下させ、かつ、設計の自由度を高めたガス系消火設備」であるのに対し、甲2発明は、そのようなダクト及びダンパを備えているか不明であり、かつ、「配管40」を備えるものの施工コスト及び設計の自由度について規定されていない点。
(2)判断
上記相違点について、以下検討する。
《相違点3》について
ア 上記第4の3(1)で本件発明と甲1発明とを対比したように、相違点3に係る本件発明の構成は、甲1に記載されたものではなく、また、慣用技術であるという客観的証拠もない。
イ 甲2発明は、制御パネル20が信号V1、V2、及びV3を連続的に送信して、それぞれ第1、第2、及び第3のバルブ30、34、及び38を開くことによりガスシリンダーから配管へのガス流を制御するものではあるものの、ラプチャーディスク16a及び16bを使用することを前提としたものであって、ラプチャーディスク16a及び16bを使用せずに、各バルブ30、34、及び38の開弁時期をずらして複数のガスシリンダーからそれぞれ順次ガスを放出することよって保護区域又は保護された部屋の加圧を防止することが実現できると当業者が容易に想到することができたものと認めることはできない。
ウ さらに、相違点3に係る本件発明の構成は、上記甲3ないし8のいずれにも記載されたことではない。
エ したがって、当業者が甲2発明及び甲1に記載された慣用技術に基いて、甲2発明において、相違点3に係る本件発明の構成とすることを容易に想到することができたものとはいえない。
オ そうすると、上記のとおり、当業者が相違点3に係る本件発明の構成とすることを容易に想到することができないものである以上、相違点4について検討するまでもなく、本件発明は、当業者が甲2発明及び甲1に記載された慣用技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(3)まとめ
よって、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、上記申立理由2によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件の請求項2に係る特許は、本件訂正により、削除されたため、特許異議申立人がした特許異議の申立てのうち、本件特許の請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700740