特許異議申立
2021-701205
消火設備の施工方法、消火設備、及び、消火設備用配管ユニット
- 審判番号
- 2021-701205
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-128182
- 登録番号
- 6892074
- 請求日
- 2021年12月17日
- 審決日
- 2022年10月06日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社横井製作所
- 【権利者代理人】谷田 龍一
- 【権利者代理人】吉武 賢一
- 【権利者】株式会社テクノフレックス
- 【権利者代理人】谷田 龍一
- 【権利者代理人】吉武 賢一
- 【権利者】日本ドライケミカル株式会社
- 【権利者代理人】谷田 龍一
- 【権利者代理人】吉武 賢一
- 【異議申立人】伊藤 道子
- 審判長/審判官
- 審判長 山本 信平
- 審判官 河端 賢
- 審判官 鈴木 充
- 分類
- P1651.537-YAA(A62C) / P1651.121-YAA(A62C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6892074号発明「消火設備の施工方法、消火設備、及び、消火設備用配管ユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6892074号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔11-14〕について訂正することを認める。
特許第6892074号の請求項1-14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6892074号の請求項1-14に係る特許についての出願は、平成29年6月30日に出願され、令和3年5月31日にその特許権の設定登録がされ、同年6月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年12月20日に特許異議申立人 伊藤 道子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされ、当審は、令和4年3月15日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年5月9日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、当審は期間を指定して申立人に意見書を提出する機会を与えたが、応答がなかった。
第2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断
1 請求項11-14及び明細書に係る訂正
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項11に
「可撓管と、前記可撓管の一端に設けられた消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、を備えることを特徴とする消火設備用配管ユニット。」
とあるのを、
「可撓管と、前記可撓管の一端に設けられて消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔に挿通可能な消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、を備えることを特徴とする消火設備用配管ユニット。」
に訂正する。
請求項11を直接又は間接的に引用する請求項12-14についても同様に訂正する。
イ 訂正事項2
明細書の段落0071に
「本発明の請求項11に記載の消火設備用配管ユニットは、可撓管と、前記可撓管の一端に設けられた消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、を備えることに特徴がある。」
とあるのを、
「本発明の請求項11に記載の消火設備用配管ユニットは、可撓管と、前記可撓管の一端に設けられて消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔に挿通可能な消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、を備えることに特徴がある。」
に訂正する。
上記訂正事項1-2は、請求項11についてのものであるところ、請求項11の記載を直接又は間接的に請求項12-14が引用する引用関係にあるから、訂正事項1-2を含む本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔11-14〕に対して請求されたものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件
本件特許異議申立ては、全ての請求項に対してされたものであるから、訂正事項1-2において、独立特許要件は課されない。
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項11に係る特許発明の「消火栓弁」に「消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔に挿通可能な」なる事項を追加して、その内容を減縮するものである。
同様に、訂正後の請求項12-14係る特許発明は、訂正後の請求項11に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項12-14に係る特許発明の内容を減縮するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1において追加される事項は、願書に添付した明細書の段落【0080】の「前記消火栓格納箱1は、図1~図3に示す如く、前面が開放された金属板製の裏箱1Aと、裏箱1Aの開口部に取付ビス(図示省略)により取り付けられた金属板製の扉枠1Bと、扉枠1B内に開閉自在に取り付けられた金属板製の消火栓扉1Cと、を備えており、前記裏箱1Aの背面板には、消火栓弁6が裏箱1Aの背面側から挿通可能で且つフランジ状の取付板10よりも小さい開口面積を有する円形の消火栓弁挿通用孔1aが形成されている。」なる記載から、「消火栓弁」(消火栓弁6)が「消火栓格納箱」(消火栓格納箱1)の「裏箱」(裏箱1)に「形成」された「消火栓弁挿通用孔」(消火栓弁挿通用孔1a)に「挿通可能」であることが記載されていると認められるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)に記載したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項11に係る特許発明の「消火栓弁」の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
同様に、訂正後の請求項12-14に係る特許発明は、訂正後の請求項11に係る特許発明の発明特定事項の記載を引用することにより、訂正前の請求項12-14に係る特許発明の内容を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項11に対応する記載がなされていた明細書の段落【0071】について、訂正事項1と同様に訂正して整合を図るものであるから、その訂正の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号の明瞭でない記載の釈明に該当する。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正前の請求項11に対応する記載がなされていた明細書の段落【0071】について、訂正事項1と同様に訂正して整合を図るものであるから、上記ア(イ)と同様の理由により、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、訂正前の請求項11に対応する記載がなされていた明細書の段落【0071】について、訂正事項1と同様に訂正して整合を図るものであるから、上記ア(ウ)と同様の理由により、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
2 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔11-14〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正請求による訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項11-14を含む請求項1-14に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」、請求項2-14に係る発明を、各請求項の番号に対応させて、それぞれ「本件発明2」-「本件発明14」といい、請求項1-14に係る発明をまとめて「本件発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
一端に消火栓弁を備える可撓管の他端に設けられた継手部を、建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続する工程と、
消火栓格納箱の裏箱に形成されて前記消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通用孔に、前記消火栓弁を挿通し、前記裏箱に固定する工程と、を含む、消火設備の施工方法。
【請求項2】
一端に前記消火栓弁を備える前記可撓管の他端に設けられた前記継手部を、前記建物壁の内側に配管された前記給水管に設けられた前記分岐継手に接続する工程の後に、
前記配管の水圧試験を1回行った後に前記配管内の水抜き作業を行わない工程と、
を含む、請求項1に記載の消火設備の施工方法。
【請求項3】
前記可撓管が前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板を備え、前記取付板より小さい開口面積を有する前記消火栓弁挿通用孔に、前記消火栓弁を挿通し、前記取付板を前記裏箱に固定する工程と、を含む、請求項1又は2に記載の消火設備の施工方法。
【請求項4】
前記取付板と前記裏箱とをねじにより固定することを特徴とする請求項3に記載の消火設備の施工方法。
【請求項5】
前記消火栓弁に接続された箇所を両側から挟むようにして前記消火栓弁挿通用孔を前記消火栓格納箱の内側から覆い隠す一対のカバープレートを前記裏箱に固定する工程を更に含む、請求項1~4の何れかに記載の消火設備の施工方法。
【請求項6】
可撓管と、前記可撓管の一端に設けられた消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、前記消火栓弁が挿通可能で且つ前記取付板より小さい開口面積を有する消火栓弁挿通用孔が裏箱に形成された消火栓格納箱と、を備え、
前記消火栓弁挿通用孔に前記消火栓弁が挿通されて前記取付板が前記裏箱に固定され、
前記継手部が建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続されていることを特徴とする消火設備。
【請求項7】
前記取付板と前記裏箱とを固定するねじを更に有することを特徴とする請求項6に記載の消火設備。
【請求項8】
前記消火栓弁に接続された箇所を両側から挟むようにして前記消火栓弁挿通用孔を前記消火栓格納箱の内側から覆い隠す一対のカバープレートが前記裏箱に固定されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の消火設備。
【請求項9】
前記取付板が、前記消火栓弁を接続するための消火栓弁用継手部を備えていることを特徴とする請求項6~8の何れかに記載の消火設備。
【請求項10】
前記取付板が、前記可撓管を接続するための可撓管用継手部を備えていることを特徴とする請求項6~9の何れかに記載の消火設備。
【請求項11】
可撓管と、前記可撓管の一端に設けられて消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔に挿通可能な消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、を備えることを特徴とする消火設備用配管ユニット。
【請求項12】
前記取付板にねじが設けられていることを特徴とする請求項11に記載の消火設備用配管ユニット。
【請求項13】
前記取付板が、前記消火栓弁を接続するための消火栓弁用継手部を備えていることを特徴とする請求項11又は12に記載の消火設備用配管ユニット。
【請求項14】
前記取付板が、前記可撓管を接続するための可撓管用継手部を備えていることを特徴とする請求項11~13の何れかに記載の消火設備用配管ユニット。
第4 取消理由通知により通知した取消理由についての当審の判断
本件訂正請求による訂正前の請求項11-14に係る特許に対して、当審が令和4年3月15日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
1 取消理由通知において通知した取消理由の概要
◎ 取消理由1(サポート要件)
請求項11-14に係る特許は、下記第5の1記載の理由により、特許請求の範囲の記載が発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
本件特許の発明が解決しようとする課題は、
「配管作業完了後の水圧試験が1回で済むと共に、格納箱の設置位置が前後方向、上下方向又は左右方向へ変更になっても、問題を生じることなく容易に対応することができ、また、ねじ接続による配管作業が不要になって配管作業を簡略化できるようにした消火設備の施工方法、消火設備、及び、消火設備用配管ユニットを提供すること」
である。
これに対して、本件特許の請求項11-14は、「消火栓格納箱の裏箱」に形成される「消火栓弁用挿通孔」に関して何ら特定されていないから、「消火栓弁」が「消火栓格納箱の裏箱」に形成される「消火栓弁用挿通孔」よりも大きなものを含んでいる。
そして、そのような「消火栓格納箱の裏箱」に形成される「消火栓弁用挿通孔」よりも大きな「消火栓弁」の場合は、消火栓格納箱の裏箱を設置する前と後で水圧試験が2回必要であることから、上記課題を解決することができない。
したがって、本件特許の請求項11-14に係る発明は、本件特許の発明の課題を解決することができないものを含むものであり、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
2 上記1の理由が解消しているか否かについて
「消火栓弁」について、訂正後の請求項11-14では「消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔に挿通可能な」ものであることが特定されたことから、上記1の理由は解消したものと認められる(ここで、上記下線は訂正箇所に付した。)。
3 小括
以上のとおりであるから、取消理由通知書により通知した取消理由1によっては、請求項11-14に係る特許を取り消すことはできない。
第5 取消理由として採用しなかった異議申立理由についての判断
1 取消理由として採用しなかった異議申立理由(進歩性)の概要
異議申立書に記載した特許異議申立理由のうち、本件訂正請求による訂正前の請求項1-14に係る特許に対して、当審が令和4年3月15日付けで特許権者に通知した取消理由として採用しなかった理由は以下のとおりである。
(1) 請求項1-2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証-甲第7号証にて例示される周知技術並びに甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(異議申立書の第30ページ-第38ページ)。
(2) 請求項3-4、6-7、9-14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証-甲第7号証にて例示される周知技術、甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項並びに甲第9号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3-4、6-7、9-14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(異議申立書の第38ページ-第39ページ、第41ページ-第47ページ)。
(3) 請求項5、8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証-甲第7号証にて例示される周知技術、甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項、甲第9号証に記載された技術的事項並びに甲第10号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5、8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(異議申立書の第39ページ-第40ページ、第44ページ)。
◎証拠一覧
甲第1号証:特開2017-106480号公報
甲第2号証:特開平3-121082号公報
甲第3号証:特開2007-14373号公報
甲第4号証:実願平4-15786号(実開平5-76461号)のCD-ROM(注:異議申立書における「実開平5-76461号全文明細書」を読み替えて記載した。)
甲第5号証:実願平3-50720号(実開平4-133856号)のマイクロフィルム(注:異議申立書における「実開平4-133856号全文明細書公報」を読み替えて記載した。)
甲第6号証:実願平3-107133号(実開平6-467号)のCD-ROM(注:異議申立書における「実開平6-467号全文明細書公報」を読み替えて記載した。)
甲第7号証:実願昭59-578号(実開昭60-112780号)のマイクロフィルム(注:異議申立書における「実開昭60-112780号全文明細書公報」を読み替えて記載した。)
甲第8号証:実願昭58-166868号(実開昭60-76944号)のマイクロフィルム(注:異議申立書における「実開昭60-76944号全文明細書公報」を読み替えて記載した。)
甲第9号証:実願昭62-14797号(実開昭63-103655号)のマイクロフィルム(注:異議申立書における「実開昭63-103655号全文明細書公報」を読み替えて記載した。)
甲第10号証:実願昭62-71017号(実開昭63-180790号)のマイクロフィルム(注:異議申立書における「実開昭63-180790号全文明細書公報」を読み替えて記載した。)
2 甲第1号証の記載及び甲第1号証に記載された発明
(1) 甲第1号証の記載事項(下線は当審で付した。以下同様。)
ア 発明の詳細な説明
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は、初期消火活動を行う消火栓ボックス内に送水管を接続するための貫通部装着部材に関し、特に、内部に消火用ノズルや消火用ホースとともに、消火用ホースを接続する消火栓(バルブ)を具備している消火栓ボックスに送水管を接続するための貫通部装着部材に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の消火栓ボックスは、ビル等の建物の側壁部に配置されることが多く、ボックス内に消火用ノズルや消火用ホース、警告灯や警報装置が収容配置されており、ボックス外に配管されている送水親管から分岐導出した枝管をボックス側壁を貫通させてボックス内に導入し、この枝管の先端部に消火用ホースに連結する消火栓バルブを装着するようにしている(特許文献1)。」
(イ) 「【発明を実施するための形態】
【0012】
この消火栓ボックス(1)は、図5に示すように、鋼板で形成され、内部に消火用ノズル(2)や消火用ホース(3)、あるいは図示を省略した警告灯や警報装置が収容配置されており、ボックス外部に配管されている送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)が消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)を貫通してボックス内に突入し、該枝管(5)の先端に調圧機構を有する開閉弁(7)が取り付けてある。
【0013】
消火栓ボックス(1)の枝管(5)の貫通部は、図1、図2及び図7に示すように、消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に枝管(5)の外径よりも大径の貫通孔(8)を形成し、この貫通孔(8)を挿通する枝管(5)に貫通部装着部材(9)を装着することで、枝管(5)と貫通孔(8)との間の空間を閉鎖するようにしている。
【0014】
貫通部装着部材(9)は、枝管(5)の外周面に装着される筒状の絶縁リング(10)と、消火栓ボックス(1)の壁構成部材(6)に外面から当接する鋼板製のシーリングプレート(11)と、消火栓ボックス(1)の壁構成部材(6)に内面から当接する合成樹脂製の抑えプレート(12)とで構成してある。
【0015】
絶縁リング(10)は、図2及び図3に示すように、一端部に消火栓ボックス(1)の側壁(6)に形成した貫通孔(8)よりも小径に形成したフランジ(13)が突設する筒体(14)で形成してあり、フランジ(13)を突設していない側の筒体(14)の端部寄り部分の外周面(15)に嵌込み溝(16)が刻設してある。なお、この筒体(14)のフランジ(13)を突設していない側の端縁は斜めに面取りをしてある。
【0016】
消火栓ボックス(1)の壁構成部材(6)に外面から当接する鋼板製のシーリングプレート(11)は、前記絶縁リング(10)での筒体外周面(15)に挿嵌可能な口径の開口部(17)がその中央部に形成してある。」
(ウ) 「【0019】
上述の構成からなる貫通部装着部材(9)は、図2に示すように、シーリングプレート(11)を装着させた状態の絶縁リング(10)を枝管(5)に挿嵌し、この枝管(5)が貫通孔(7)を貫通する状態に位置させて消火栓ボックス(1)を設置し、枝管(5)の開放端から抑えプレート(12)を挿入して絶縁リング(10)の嵌込み溝(16)に嵌め込み固定することで、消火栓ボックス(1)の壁構成部材(6)をシーリングプレート(11)と抑えプレート(12)とで挟持固定する。その後消火栓ボックス(1)内に開口している枝管(5)に開閉弁(7)を取付ける。」(注:「貫通孔(7)」は「貫通孔(8)」の誤記と認められる。)
イ 図面
(ア) 「
[図:0001393080000001.jpg]
」(【図1】)
(イ) 「
[図:0001393080000002.jpg]
」(【図2】)
(ウ) 「
[図:0001393080000003.jpg]
」(【図3】)
(エ) 「
[図:0001393080000004.jpg]
」(【図5】)
ウ 上記ア及びイからみて、甲第1号証には以下の事項が記載されていると認められる。
(ア) 本件発明1に関連する事項について
a 継手部を、分岐継手に接続する工程に関して
(a) 上記ア(イ)-(ウ)及びイ(エ)からみて、
「枝管(5)」は、その「先端に開閉弁(7)を取り付ける」ものであると認められる。
(b) 上記ア(ア)-(イ)並びにイ(ア)及び(エ)からみて、
「枝管(5)」は、「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出」しており、実質的にみて、該「分岐導出」する工程も記載されていると認められる。
b 消火栓弁挿通用孔に、消火栓弁を挿通し、裏箱に固定する工程に関して
(a) 上記ア(イ)並びにイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「貫通孔(8)」は、「消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成されて」いると認められる。
(b) 上記ア(イ)並びにイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「貫通孔(8)」は、「枝管(5)の先端が貫通する」ものであると認められる。
(c) 上記ア(ウ)及びイ(ア)-(エ)からみて、
「枝管(5)の先端」を「貫通」し、「壁構成部材(側壁)(6)」に「固定する」「工程」が記載されていると認められる。
c 消火設備の施工方法に関して
上記ア(ア)-(ウ)及びイ(ア)-(エ)からみて、
「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)と消火栓ボックス(1)の接続方法」が記載されていると認められる。
(イ) 本件発明6に関連する事項について
a 可撓管と、消火栓弁と、フランジ状の取付板と、消火栓格納箱に関して
(a) 上記ア(ア)-(ウ)及びイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「枝管(5)」を備えていること
が記載されていると認められる。
(b) 上記ア(ア)-(ウ)及びイ(エ)からみて、
「枝管(5)の先端に取り付けられた開閉弁(7)」を備えていること
が記載されていると認められる。
(c) 上記ア(イ)-(ウ)及びイ(イ)-(エ)からみて、
「シーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)」は、上記(イ)dの【図5】の消火栓ボックスの状態において、「開閉弁(7)から離間して挿嵌され」ているものであると認められる。
(d) 上記ア(イ)-(ウ)並びにイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「貫通孔(8)」は、「枝管(5)の先端が貫通」するものであると認められる。
(e) 上記ア(イ)-(ウ)並びにイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「貫通孔(8)」は、「シーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)よりも小径に形成した」ものであると認められる。
(f) 上記ア(イ)-(ウ)並びにイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「貫通孔(8)」は、「消火栓ボックス(1)」の「壁構成部材(側壁)(6)に形成された」ものであると認められる。
b 消火栓弁挿通用孔に消火栓弁が挿通されて取付板が裏箱に固定されることに関して
上記ア(ウ)及びイ(ア)-(エ)からみて、
「貫通孔(8)」に「枝管(5)の先端」が「貫通されて」「シーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)」が「壁構成部材(側壁)(6)に固定され」ているものであると認められる。
c 継手部が給水管に設けられた分岐継手に接続されていることに関して
上記ア(ア)-(イ)並びにイ(ア)及び(エ)からみて、
「枝管(5)」が「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出」していることが記載されていると認められる。
d 消火設備に関して
上記ア(ア)-(ウ)及びイ(ア)-(エ)からみて、
「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)と開閉弁(7)とシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)と消火栓ボックス(1)。」が記載されていると認められる。
(ウ) 本件発明11に関連する事項について
a 消火栓弁に関して
上記(イ)a(b)に加えて、さらに、上記ア(イ)-(ウ)並びイ(ア)-(イ)及び(エ)からみて、
「開閉弁(7)」は、前記貫通孔(8)を貫通した後の枝管(5)の先端に取り付けられるものであり、また、【図1】、【図2】及び【図5】に図示された「枝管(5)」、「貫通孔(8)」及び「開閉弁(7)」の大小関係から「開閉弁(7)」は「貫通孔(8)」より大径であることが明らかであることから、「開閉弁(7)」は、「消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成された貫通孔(8)」を「貫通可能なものではない」ものであると認められる。
b 消火設備用配管ユニットに関して
上記ア(ア)-(ウ)及びイ(ア)-(エ)からみて、
「枝管(5)と枝管(5)の先端とシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)」が記載されていると認められる。
エ 甲第1号証に記載された発明
エ-1 甲第1号証に記載された第1発明
甲第1号証には、上記ウ(ア)からみて、以下の発明(以下、「甲第1号証に記載された第1発明」という。)が記載されていると認められる。
「先端に開閉弁(7)を取り付ける枝管(5)を、消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出する工程と、
消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成されて枝管(5)の先端が貫通する貫通孔(8)に、枝管(5)の先端を貫通し、壁構成部材(側壁)(6)に固定する工程と、を含む、消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)と消火栓ボックス(1)の接続方法。」
エ-2 甲第1号証に記載された第2発明
甲第1号証には、上記ウ(イ)からみて、以下の発明(以下、「甲第1号証に記載された第2発明」という。)が記載されていると認められる。
「枝管(5)と、枝管(5)の先端に取り付けられた開閉弁(7)と、開閉弁(7)から離間して挿嵌されたシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)と、枝管(5)の先端が貫通し且つシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)よりも小径に形成した貫通孔(8)が壁構成部材(側壁)(6)に形成された消火栓ボックス(1)と、を備え、
前記貫通孔(8)に枝管(5)の先端が貫通されてシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)が壁構成部材(側壁)(6)に固定され、
前記枝管(5)が消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出している消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)と開閉弁(7)とシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)と消火栓ボックス(1)。」
エ-3 甲第1号証に記載された第3発明
甲第1号証には、上記ウ(イ)a(a)-(c)及び(f)並びに上記ウ(ウ)からみて、以下の発明(以下、「甲第1号証に記載された第3発明」という。)が記載されていると認められる。
「枝管(5)と、前記枝管(5)の先端に取り付けられて消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成された貫通孔(8)を貫通可能なものではない開閉弁(7)と、前記開閉弁(7)から離間して挿嵌されたシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)と、を備える枝管(5)と開閉弁(7)とシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)。」
3 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 甲第1号証に記載された第1発明との対比
本件発明1と甲第1号証に記載された第1発明とを対比する。
(ア) 継手部を、分岐継手に接続する工程に関して
a 甲第1号証に記載された第1発明における「開閉弁(7)」は、本件発明1における「消火栓弁」に相当する。
また、甲第1号証に記載された第1発明における「枝管(5)」の「先端」は、「管」の「一端」という限りにおいて、本件発明1における「可撓管」の「一端」と一致する。
そうすると、甲第1号証に記載された第1発明における「先端に開閉弁(7)を取り付ける枝管(5)」は、「一端に消火栓弁を取り付ける管]」という限りにおいて、本件発明1における「一端に消火栓弁を備える可撓管」と一致する。
b 甲第1号証に記載された第1発明における「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)」は、「消火栓格納箱の外側に配管された給水管」という限りにおいて、本件発明1における「建物壁の内側に配管された給水管」と一致する。
そして、甲第1号証に記載された第1発明における「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出する」ことは、「消火栓格納箱の外側に配管された給水管から分岐して形成する」ことという限りにおいて、本件発明1における「建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続する」と一致する。
c 上記a及びbを踏まえると、甲第1号証に記載された第1発明における「先端に開閉弁(7)を取り付ける枝管(5)を、消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出する工程」は、「一端に消火栓弁を取り付ける管を、消火栓格納箱の外側に配管された給水管から分岐して形成する工程」という限りにおいて、本件発明1における「一端に消火栓弁を備える可撓管の他端に設けられた継手部を、建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続する工程」と一致する。
(イ) 消火栓弁挿通用孔に、消火栓弁を挿通し、裏箱に固定する工程に関して
a 甲第1号証に記載された第1発明における「消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)」は、「消火栓格納箱の裏板」という限りにおいて、本件発明1における「消火栓格納箱の裏箱」と一致する。
また、甲第1号証に記載された第1発明における「枝管(5)の先端が貫通する」ことは、「管の一端側が挿通可能」であることという限りにおいて、本件発明1における「消火栓弁が挿通可能」であることと一致する。
そうすると、甲第1号証に記載された第1発明における「消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成されて枝管(5)の先端が貫通する貫通孔(8)]」は、「消火栓格納箱の裏板に形成されて管の一端側が挿通可能な挿通用孔]」という限りにおいて、本件発明1における「消火栓格納箱の裏箱に形成されて消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通用孔」と一致する。
b 上記aを踏まえると、甲第1号証に記載された第1発明における「消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成されて枝管(5)の先端が貫通する貫通孔(8)に、枝管(5)の先端を貫通し、壁構成部材(側壁)(6)に固定する工程」は、「消火栓格納箱の裏板に形成されて管の一端側が挿通可能な挿通用孔に、管の一端側を挿通し、裏板に固定する工程」という限りにおいて、本件発明1における「消火栓格納箱の裏箱に形成されて消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通用孔に、消火栓弁を挿通し、裏箱に固定する工程」と一致する。
(ウ) 消火設備の施工方法に関して
上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲第1号証に記載された第1発明における「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)と消火栓ボックス(1)の接続方法」は、上記(ア)c及び上記(イ)bの限りの各工程を含む「消火設備の施工方法」という限りにおいて、本件発明1における「消火設備の施工方法」と一致する。
(エ)一致点、相違点
したがって、本件発明1と甲第1号証に記載された第1発明とは、以下のaの点で一致し、bの点で相違する。
a 一致点
「一端に消火栓弁を取り付ける管を、消火栓格納箱の外側に配管された給水管から分岐して形成する工程と、
消火栓格納箱の裏板に形成されて管の一端側が挿通可能な挿通用孔に、管の一端側を挿通し、裏板に固定する工程と、を含む、消火設備の施工方法。」
b 相違点
<相違点1-1>
「一端に消火栓弁を取り付ける管を、消火栓格納箱の外側に配管された給水管から分岐して形成する工程」について、
本件発明1においては、「一端に消火栓弁を備える可撓管の他端に設けられた継手部を、建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続する工程」であるのに対して、
甲第1号証に記載された第1発明においては、「先端(一端)に開閉弁(7)(消火栓弁)を取り付ける枝管(5)を、消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)(給水管)から分岐導出する工程」ではあるものの、「枝管(5)」は本件発明1のように開閉弁(7)(消火栓弁)を「備える」ものではなく「他端」に「継手部」が設けられた「可撓管」ではない上、送水親管(4)(給水管)が配管された「消火栓ボックス(1)外部」は本件発明1のように「建物壁の内側」かは明らかでなく、送水親管(4)(給水管)には本件発明1のように「分岐継手」は設けられておらず、該「分岐継手」に接続」するものではない点。
<相違点1-2>
「消火栓格納箱の「裏板」に形成されて「管の一端側」が挿通可能な「挿通用孔」に、「管の一端側」を挿通し、前記「裏板」に固定する工程」について、
本件発明1においては、「消火栓格納箱の「裏箱」に形成されて「消火栓弁」が挿通可能な「消火栓弁挿通用孔」に、「消火栓弁」を挿通し、「裏箱」に固定する工程」であるのに対して、
甲第1号証に記載された第1発明においては、「消火栓ボックス(1)(消火栓格納箱)の「壁構成部材(側壁)(6)」に形成されて「枝管(5)の先端」が貫通する(挿通可能な)「貫通孔(8)」に、「枝管(5)の先端」を貫通(挿通)し、「壁構成部材(側壁)(6)」に固定する工程」ではあるものの、「貫通孔(8)」は、本件発明1のように消火栓ボックス(1)(消火栓格納箱)の「裏箱」に形成されているものではなく、本件発明1のように開閉弁(7)(消火栓弁)が挿通可能な「消火栓弁挿通用孔」でもなく、本件発明1のように「消火栓弁挿通用孔」に、「消火栓弁」を挿通し、「裏箱」に固定するものではない点。
イ 判断
事案に鑑みて、上記相違点1-2についてまず検討する。
(ア) 甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項について
異議申立書において、上記相違点1-2に関連して、同異議申立書の第30ページ及び第33ページ-第37ページで「本件特許発明1と甲1発明との相違点1及び3について検討いたします。」(異議申立書第33ページ第8行)として提示された甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項について検討する。
a 甲第4号証の記載事項及び甲第4号証に記載された技術的事項
(a) 甲第4号証の記載事項
甲第4号証には以下のような記載がある。
「【0002】
【従来の技術】
従来、スプリンクラーヘッド部を天井プレートの取付孔に臨ませて固定するのに、スプリンクラー側の配管施工と、天井板を施工する天井施工とが別々におこなわれ、スプリンクラー側の配管施工において固定されるスプリンクラーヘッド部の位置は、天井施工において寸法測定され、すみ出しされて形成された取付孔に対して合致するようになされるものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところがこのような構成のものにおいては、スプリンクラーヘッド部を所定の位置に固定するのに、配管を何度も屈曲させ、そして固定用のバーと固定用の金具とを必要とし、施工に時間がかかり、それでいてスプリンクラーヘッド部と天井プレートに形成された取付孔との位置ずれが生じることがあり、スプリンクラーヘッドの取付けに苦慮され、また、施工後におこなう水圧テストも2度おこなわなければならないなどという問題があった。」
「【0006】
【作用】
フレキシブル管2を自在に曲げてフレキシブル管2に移動自在に挿通されたカップリング5を天井プレート8側のカップリング受部11に連結して、スプリンクラーヘッド部3を天井プレート8に取付ける。スプリンクラーヘッド部3を天井側に形成される取付孔9に対して位置合わせをおこなう施工、及び寸法測定による位置決め施工を回避する。また、スプリンクラーヘッド部3を固定するバーや金具を必要とせず、スプリンクラーヘッド部3の取付けを容易迅速におこなう。このように天井施工後にスプリンクラーヘッド部3の取付け施工をおこなってスプリンクラーヘッド部3における水圧テストも一度で済ませる。」
「【0007】
【実施例】
天井裏にスプリンクラー用の配管がなされ、この給水用枝管1に連通接続されてフレキシブル管2が延出されている。フレキシプル管2の先端にスプリンクラーヘッド部3が取付けられている。・・・天井プレート8には鍔部4よりも小径な取付孔9が形成され、取付孔9の内部周部からカップリング受部11としての雄ねじ筒10が天井プレート8の背方に立設されている。
【0008】
しかして、スプリンクラーヘッド部3が取付孔9に挿通され、カップリング5を天井プレート8の雄ねじ筒10に螺合して、雄ねじ筒10とカップリング5にてリング状の鍔部4を挟持して、スプリンクラーヘッド部3を天井プレート8に取付けるのである。」
「
[図:0001393080000005.jpg]
」(【図1】)
「
[図:0001393080000006.jpg]
」(【図2】)
(b) 甲第4号証に記載された技術的事項
甲第4号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第4号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる(なお、括弧内に本件発明の対応する用語を付記する。以下同様。)。
「天井プレート8に形成されてスプリンクラーヘッド部3が挿通可能な取付孔9に、スプリンクラーヘッド部3を挿通し、天井プレート8に取付ける(固定する)工程。」
b 甲第5号証の記載事項及び甲第5号証に記載された技術的事項
(a) 甲第5号証の記載事項
甲第5号証には以下のような記載がある。
「【0003】
次に、前記スプリンクラの配水管取付構造の工事工程を、図5を参照しながら説明する。先ず、加圧送水装置から送水用配管2までの配管工事を行い、この送水用配管2に加圧送水装置から実際に水を送水して、送水用配管2の漏水テストを行う。次に、漏水テスト合格後、軽量鉄骨6、6・・・を天井室1に組付ける。次いで、巻出し管を送水用配管2に連結すると共に、巻出し管と放水口5を前記軽量鉄骨6に固定する。そして、天井壁7を敷設した後、前記巻出し管に加圧送水装置から送水用配管2を介して実際に水を送水して巻出し管の漏水テストを行う。巻出し管の漏水テストが合格することにより、スプリンクラの工事工程が終了する。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の消化設備の配水管取付構造では、巻出し管と放水口5とを軽量鉄骨6、6・・・を利用して固定しているので、軽量鉄骨6の敷設終了後に巻出し管と放水口5との取付け工事を行わなければならない。この為、送水用配管2と、巻出し管と放水口5との工事工程を分けなければならず、また前記工事工程を分けることによって漏水テストが2回必要となるので、エ期が長期化するという欠点がある。」
「【0007】
【作用】
本考案によれば、先ず、放水口が取付けられた可撓性の連結管を送水管に予め連結した状態で送水管と一緒に天井室に配設する。この時、前記連結管を、天井部材の組付作業に邪魔にならないように送水管に設けた保持治具に固定する。次に、送水管と連結管の漏水テストを同時に行う。次いで、前記漏水テスト合格後、天井部材を組付けて天井壁を敷設すると共に、前記連結管を前記保持治具から取外して放水口を天井壁の所定位置に固定する。このように、本考案によれば送水管と連結管とを1つの工事工程で配設することができ、また漏水テストも1回で済ますことができるので、エ期を大幅に短縮することができる。」
「【0009】
前記送水用配管16は、図2に示すように建屋の天井室18内に配設され、この送水用配管16には図1に示すように巻出し管としての複数本の可撓性連結管20、20・・・が分岐して連結される。
前記可撓性連結管20の先端には放水口22が取付けられている。この放水口22は、前記天井室18内に配設された軽量鉄骨材24、24・・・等の天井部材に固定治具26によって固定されると共に、天井壁28の所定位置に開口された開口部に取付けられている。」
「
[図:0001393080000007.jpg]
」(【図1】)
「
[図:0001393080000008.jpg]
」(【図2】)
「
[図:0001393080000009.jpg]
」(【図3】)
(b) 甲第5号証に記載された技術的事項
甲第5号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第5号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「天井壁28に開口(形成)されて放水口が取付可能な開口部に、放水口22が取付けられ、天井壁28に取付ける(固定する)工程。」
c 甲第6号証の記載事項及び甲第6号証に記載された技術的事項
(a) 甲第6号証の記載事項
甲第6号証には以下のような記載がある。
「【0003】
・・・
また図9に示すように、巻出し配管30とスプリンクラーヘッド5との間をフレキシブル管35で連結する構造とすることで、設置寸法に狂いがあっても容易に連結できるようにしたものもある。」
「【0010】
【実施例】
図1は本考案の第1実施例を示した実施例構成図である。
図1において、1は分岐管として知られた消火配管であり、天井面の内側に設置されている。消火配管1のスプリンクラー巻出し配管位置にはT字型継手として知られたチーズ2が設けられている。
【0011】
一方、天井ボード6の取付穴にはスプリンクラーヘッド5が装着されている。本考案にあっては、消火配管1のチーズ2に雄側ワンタッチ継手3をネジ込み 固定し、またこの実施例にあっては、天井ボード6側に設置するスプリンクラーヘッド5の背後に雄側ワンタッチ継手部9を一体に設けている。
消火配管1とスプリンクラーヘッド5との間の配管接続は、この実施例にあってはフレキシブル管8を使用して行われる。フレキシプル管8の消火配管1側にはカシメ金具7により雌側ワンタッチ継手4が装着されている。また、フレキシブル管8のスプリンクラーヘッド5側についても、カシメ金具7により雌側ワンタッチ継手4が装着されている。」
「
[図:0001393080000010.jpg]
」(【図1】)
(b) 甲第6号証に記載された技術的事項
甲第6号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第6号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「天井ボード6の(に形成されて)スプリンクラーヘッド5が挿入可能な取付穴に、スプリンクラーヘッド5を挿入し、天井ボード6に装着(固定)する工程。」
d 甲第8号証の記載事項及び甲第8号証に記載された技術的事項
(a) 甲第8号証の記載事項
甲第8号証には以下のような記載がある。
「防火箱13は矩形状の箱本体14と、箱本体14の開口部を閉塞する半透明な合成樹脂板よりなる蓋体15とからなり、これらは互いに蝶番16,16を介して開閉可能に連結されている。・・・18は箱本体14の底板で、その中央位置には大小二つの透孔19,20が形成され、これらに給水管路21が配管されている。
給水管路21は防火箱13の後方に配管された水道本管に連通する給水本管22と、給水本管22の管端部から二方向に分流するバイパス管23,24とからなり、一方のバイパス管23は給水本管22より略直角に分岐して水平面と平行に位置し、その管端部を前記一方の透孔20内に導入し、該端部に押し回し操作型の給水弁25を取り付けている。」(第3ページ第19行-第4ページ第17行)
「
[図:0001393080000011.jpg]
」(第7図)
(b) 甲第8号証に記載された技術的事項
甲第8号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第8号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「防火箱13(消火栓格納箱)の箱本体14(裏箱)に形成されて給水弁25(消火栓弁)を取り付けるバイパス管23の管端部が導入可能な(挿通可能な)透孔20に、給水弁25(消火栓弁)を取り付けるバイパス管23の管端部を導入(挿通)する工程。」
e 相違点1-2の容易想到性
甲第1号証に記載された第1発明及び甲第4号証-甲第6号証又は甲第8号証のそれぞれに記載された技術的事項に基いて、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に容易に想到し得るかについて、検討する。
甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項は、上記a(b)、b(b)、c(b)及びd(b)のとおりであり、いずれにおいても、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項のうち、「消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通用孔」に、「消火栓弁を挿通」することに対応する事項を備えるものではない。
そうすると、甲第1号証に記載された第1発明に甲第4号証-甲第6号証又は甲第8号証に記載された技術的事項のいずれを採用したとしても、また、これらを全て組み合わせたとしても、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に至るものではないことから、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲第1号証に記載された第1発明並びに甲第4号証-甲第6号証及び甲第8号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。
(イ) 甲第2号証-甲第3号証及び甲第7号証に記載された技術的事項について
異議申立書において、本件発明1について、上記(ア)以外に、同異議申立書の第30ページ-第33ページ及び第37ページで提示された甲第2号証-甲第3号証及び甲第7号証に記載された技術的事項についても検討する。
a 甲第2号証の記載事項及び甲第2号証に記載された技術的事項
(a) 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には以下のような記載がある。
「このような消火装置として本発明にあっては、まずグランドの所定位置に埋込ボックスを設置し、該埋込ボック内に、消火ポンプから消火用水が加圧供給される送水管に弁を介して分岐接続した消火栓接続口と、前記消火ポンプを遠隔制御する制御機を接続するアダプタ装置とを設け、更に、前記埋込ボックス内の消火栓接続口に接続可施なノズル付きホースと、前記アダプタ装置にケーブル接続されて前記消火ポンプを遠隔制御する制御装置とを有する可動式の消火栓装置とを設けたものである。」(第2ページ左下欄第3行-第13行)
「一方、可動式消火栓装置18は、装置本体36に対し開閉自在な扉39を有し、装置本体36内に放水ノズル38を装着したホース40を折返し吊下げ状纏で収納しており、ホース40の付け根には、図示のように埋込みボックス16の消火栓接続口28に接続可能なフレキシブル接続管42を装着している。」(第3ページ右上欄第16行-左下欄第4行)
「
[図:0001393080000012.jpg]
」(第1図)
(b) 甲第2号証に記載された技術的事項
甲第2号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第2号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「装置本体36(消火栓格納箱の裏箱)に形成されてフレキシブル接続管42が挿通可能な孔に、フレキシブル接続管42を挿通する工程。」
b 甲第3号証の記載事項及び甲第3号証に記載された技術的事項
(a) 甲第3号証の記載事項
甲第3号証には以下のような記載がある。
「【0009】
このスプリンクラー設備1は、図1に示すように、貯水槽2に接続された給水本管3から建物の各階ごとに分岐管4を配管し、この分岐管4に複数のスプリンクラーヘッド5を設置し、該スプリンクラーヘッド5が設置されていない箇所、すなわち廊下などに分岐管4で補助散水栓6が設置されている。」
「
[図:0001393080000013.jpg]
」(【図1】)
(b) 甲第3号証に記載された技術的事項
甲第3号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第3号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「補助散水栓6(消火栓格納箱)に形成されて分岐管4が挿通可能な孔に、分岐管4を挿通する工程。」
c 甲第7号証の記載事項及び甲第7号証に記載された技術的事項
(a) 甲第7号証の記載事項
甲第7号証には以下のような記載がある。
「この考案はスプリンクラー,泡等の消火設備の配管に用いられる管継手に関する。
建物等に設置される例えばスプリンクラー等の消火設備は、地下の給水タンクから給水ポンプを介して各階の放出ヘッドに給水され、消火するものであり、この給水設備は建物の建設時に予め配管される。
これらの配管はポンプから各階を貫通して設けられる給水本管あるいはこの給水本管から各階毎に分岐し放出ヘッドにつながる配水本管等から成り、これらの接続には多数の管継手が用いられる。」(第1ページ第11行-第2ページ第3行)
「第1図において、1はポンプ室から建物の各階を貫通して設けられた給水本管、2,3は給水本管1より各階へ分岐して配管された配水本管、4は管継手をそれぞれ示し、これらは配管ダクト内に設置され、配水本管2,3の一方3は壁5を貫通して天井裏へ伸びている。」(第2ページ第12行-第17行)
「
[図:0001393080000014.jpg]
」(第1図)
(b) 甲第7号証に記載された技術的事項
甲第7号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第7号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「壁5に形成されて配水本管3が貫通可能な(挿通可能な)孔に、配水本管3を貫通(挿通)する工程。」
d 相違点1-2の容易想到性
甲第1号証に記載された第1発明及び甲第2号証-甲第3号証又は甲第7号証のそれぞれに記載された技術的事項に基いて、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に容易に想到し得るかについて、検討する。
甲第2号証-甲第3号証及び甲第7号証に記載された技術的事項は、上記a(b)、b(b)及びc(b)のとおりであり、いずれにおいても、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項のうち、「消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通用孔」に、「消火栓弁を挿通」することに対応する事項を備えるものではない。
そうすると、甲第1号証に記載された第1発明に甲第2号証-甲第3号証又は甲第7号証に記載された技術的事項のいずれを採用したとしても、また、上記(ア)に加えてこれらを全て組み合わせたとしても、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に至るものではないことから、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲第1号証に記載された第1発明並びに甲第2号証-甲第3号証及び甲第7号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。
(ウ) 甲第9号証-甲第10号証に記載された技術的事項について
異議申立書において、本件発明1についての上記(ア)及び(イ)以外に提示された甲第9号証-甲第10号証に記載された技術的事項についても検討する。
a 甲第9号証の記載事項及び甲第9号証に記載された技術的事項
(a) 甲第9号証の記載事項
甲第9号証には以下のような記載がある。
「図示していない消火薬剤容器内に接続されたステンレス製フレキシブルチューブよりなる導管(1)が第1図に示すように家屋の天井裏に挿通され、その先端が天井(2)にくり抜いた孔に臨んでいる。」(第3ページ第1行-第5行)
「一方導管(1)の先端には第2図のようにノズルユニオン(6),固定板受け(7)および固定用ナット(8)を介してノズル(9)および低融点メタルで開口を塞がれた熱感知板(10)よりなる感知器ノズルが着脱可能に取付けられる。
このように感知器ノズルと共に導管(1)の先端に取付けられた固定板受け(7)を前出のノズル固定板(4)の中央孔の裏側から辺々相重ね、それらのビス孔(12)を通して止めネジ(13)で両者(4)(7)を着脱可能に取付ける。」(第3ページ第12行-第4ページ第1行)
「
[図:0001393080000015.jpg]
」(第1図)
「
[図:0001393080000016.jpg]
」(第2図)
(b) 甲第9号証に記載された技術的事項
甲第9号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第9号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「天井(2)のノズル固定板(4)に形成されてノズル(9)および低融点メタルで開口を塞がれた熱感知板(10)よりなる感知器ノズルが挿通可能な中央孔に、感知器ノズルを挿通し、ノズル固定板(4)に取付ける(固定する)工程。」
b 甲第10号証の記載事項及び甲第10号証に記載された技術的事項
(a) 甲第10号証の記載事項
甲第10号証には以下のような記載がある。
「2.実用新案登録請求の範囲
(1)管体等を挿通した建物壁体の内外貫通孔の開口部を密封するための環状のシーリングプレートにおいて、プラスチック製または金属製のプレート基材と、該プレート基材に接着されたゴムまたはプラスチックの発泡体からなるスポンジシートと、該スポンジシートの表面に設けた粘着剤層と、該粘着剤層に貼着された離型紙とからなり、かつ、スポンジシート及び離型紙外径がプレート基材の外径よりも小さく形成されてなることを特徴とするシーリングプレート。
(2)前記環状のシーリングプレートの半径方向に内外周に通ずる1個のスリットが形成されてなる実用新案登録請求の範囲第1項記載のシーリ
ングプレート。」(第1ページ第4行-第18行)
「壁におけるパイプ等の挿通部の美観のために貫通孔の開口部壁面にプラスチック製あるいは金属製の例えばウォールキャップと呼ばれるものが用いられる場合もあるが、安価なものとしてシーリングプレートが使用されることも多い。」(第2ページ第8行-第14行)
「第1図(ハ)は本考案のシーリングプレートの使用例を示す断面図であり、シーリングプレートの第1図(イ)及び(ロ)に示す離型紙13を取り去りスリット14を開いて、建物壁5の内外貫通孔6に挿通された管体等4に装着して壁面に圧着させる。」(第6ページ第1行-第6行)
「
[図:0001393080000017.jpg]
」(第1図)
(b) 甲第10号証に記載された技術的事項
甲第10号証には、上記各記載からみて、以下の技術的事項(以下「甲第10号証に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「建物壁5に形成されて管体等4が挿通可能な内外貫通孔6に、管体等4を挿通し、建物壁5に固定する工程。」
c 相違点1-2の容易想到性
甲第1号証に記載された第1発明及び甲第9号証-甲第10号証のそれぞれに記載された技術的事項に基いて、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に容易に想到し得るかについて、検討する。
甲第9号証-甲第10号証に記載された技術的事項は、上記a(b)及びb(b)のとおりであり、いずれにおいても、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項のうち、「消火栓格納箱の裏箱に形成されて」「消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通用孔」に、「消火栓弁を挿通」し、「裏箱に固定する」ことに対応する事項を備えるものではない。
そうすると、甲第1号証に記載された第1発明に甲第9号証又は甲第10号証に記載された技術的事項を採用したとしても、また、上記(ア)及び(イ)に加えてこれらを全て組み合わせたとしても、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に至るものではないことから、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲第1号証に記載された第1発明並びに甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。
ウ 小括
よって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証-甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明2-5について
本件発明2-5は、本件発明1の発明特定事項を備えるものであるから、上記(1)に説示する理由と同様の理由により、本件発明2-5は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証-甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 本件発明6について
ア 甲第1号証に記載された第2発明との対比
本件発明6と甲第1号証に記載された第2発明とを対比する。
(ア) 可撓管と、消火栓弁と、フランジ状の取付板と、消火栓格納箱に関して
a 甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)」は、「管」という限りにおいて、本件発明6における「可撓管」と一致する。
b 甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)の先端」は、「管の一端」という限りにおいて、本件発明6における「可撓管の一端」と一致する。
そうすると、甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)の先端に取り付けられた開閉弁(7)」は、「管の一端に設けられた消火栓弁」という限りにおいて、本件発明6における「可撓管の一端に設けられた消火栓弁」と一致する。
c 甲第1号証に記載された第2発明における「開閉弁(7)から離間して挿嵌された」ことは、「消火栓弁に固定された」ことという限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁の近傍に固定された」ことと一致する。
そうすると、甲第1号証に記載された第2発明における「開閉弁(7)から離間して挿嵌されたシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)」は、「消火栓弁に固定されたフランジ状の取付板」という限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板」と一致する。
d 甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)の先端が貫通」することは、「管の一端側が挿通可能」であることという限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁が挿通可能」であることと一致する。
また、甲第1号証に記載された第2発明における「シーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)よりも小径に形成した」ことは、
本件発明6における「取付板より小さい開口面積を有する」ことに相当する。
そうすると、甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)の先端が貫通し且つシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)よりも小径に形成した貫通孔(8)」は、「管の一端側が挿通可能で且つ取付板より小さい開口面積を有する挿通用孔」という限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁が挿通可能で且つ取付板より小さい開口面積を有する消火栓弁挿通用孔」と一致する。
さらに、甲第1号証に記載された第2発明における「壁構成部材(側壁)(6)に形成された」ことは、「裏板に形成された」ことという限りにおいて、
本件発明6における「裏箱に形成された」ことと一致する。
したがって、甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)の先端が貫通し且つシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)よりも小径に形成した貫通孔(8)が壁構成部材(側壁)(6)に形成された消火栓ボックス(1)」は、「管の一端側が挿通可能で且つ取付板より小さい開口面積を有する挿通用孔が裏板に形成された消火栓格納箱」という限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁が挿通可能で且つ取付板より小さい開口面積を有する消火栓弁挿通用孔が裏箱に形成された消火栓格納箱」と一致する。
(イ) 消火栓弁挿通用孔に消火栓弁が挿通されて取付板が裏箱に固定されることに関して
a 甲第1号証に記載された第2発明における「貫通孔(8)に枝管(5)の先端が貫通され」ることは、「挿通用孔に管の一端側が挿通され」ることという限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁挿通用孔に消火栓弁が挿通され」ることと一致する。
b また、甲第1号証に記載された第2発明における「壁構成部材(側壁)(6)に固定され」ることは、「裏板に固定され」ることという限りにおいて、本件発明6における「裏箱に固定され」ることと一致する。
c そうすると、甲第1号証に記載された第2発明における「貫通孔(8)に枝管(5)の先端が貫通されてシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)が壁構成部材(側壁)(6)に固定され」ることは、「挿通用孔に管の一端側が挿通されて取付板が裏板に固定され」ることという限りにおいて、本件発明6における「消火栓弁挿通用孔に消火栓弁が挿通されて取付板が裏箱に固定され」ることと一致する。
(ウ) 継手部が給水管に設けられた分岐継手に接続されていることに関して
a 甲第1号証に記載された第2発明における「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)」は、「消火栓格納箱の外側に配管された給水管」という限りにおいて、本件発明6における「継手部が建物壁の内側に配管された給水管」と一致する。
b また、甲第1号証に記載された第2発明における「送水親管(4)から分岐導出している」ことは、「給水管から分岐して形成されている」ことという限りにおいて、本件発明6における「給水管に設けられた分岐継手に接続されている」ことと一致する。
c そして、甲第1号証に記載された第2発明における「枝管(5)が消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出している」ことは、「管が消火栓格納箱の外側に配管された給水管から分岐して形成されている」ことという限りにおいて、本件発明6における「継手部が建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続されている」ことと一致する。
(エ) 消火設備に関して
甲第1号証に記載された第2発明における「消火栓ボックス(1)外部に配管された送水親管(4)から分岐導出した枝管(5)と開閉弁(7)とシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)と消火栓ボックス(1)」は、上記(ア)-(ウ)の限りの各事項を備えた「消火設備」という限りにおいて、本件発明6における「消火設備」と一致する。
(オ)一致点、相違点
したがって、本件発明6と甲第1号証に記載された第2発明とは、以下のaの点で一致し、bの点で相違する。
a 一致点
「管と、管の一端に設けられた消火栓弁と、消火栓弁に固定されたフランジ状の取付板と、管の一端側が挿通可能で且つ取付板より小さい開口面積を有する挿通用孔が裏板に形成された消火栓格納箱と、を備え、
挿通用孔に管の一端側が挿通されて取付板が裏板に固定され、
管が消火栓格納箱の外側に配管された給水管から分岐して形成されている消火設備。」
b 相違点
<相違点6-1>
「管」について、
本件発明6においては、「可撓管」であるのに対して、
甲第1号証に記載された第2発明においては、「枝管(5)」ではあるものの、本件発明6のように「可撓管」ではない点。
<相違点6-2>
「フランジ状の取付板」について、
本件発明6においては、「消火栓弁の近傍に固定された」ものであるのに対して、
甲第1号証に記載された第2発明においては、「開閉弁(7)から離間して挿嵌された」ものである点。
<相違点6-3>
本件発明6においては、「可撓管の他端に設けられた継手部」を備えるものであるのに対して、
甲第1号証に記載された第2発明においては、そのようなものは備えていない点。
<相違点6-4>
「挿通用孔」について、
本件発明6においては、「消火栓弁]が挿通可能で且つ取付板よりも小さい開口面積を有する「消火栓弁挿通用孔]であり、「裏箱」に形成されたものであって、「消火栓弁挿通用孔」に「消火栓弁」が挿通されて取付板が「裏箱」に固定されるものであるのに対して、
甲第1号証に記載された第2発明においては、「枝管(5)の先端」が貫通し(挿通可能で)且つシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)(取付板)よりも小径に形成した(小さい開口面積を有する)「貫通孔(8)」であり、「壁構成部材(側壁)(6)」に形成されたものであって、「貫通孔(8)」に「枝管(5)の先端」が貫通されて(挿通されて)シーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)(取付板)が「壁構成部材(側壁)(6)」に固定されるものではあるものの、「貫通孔(8)」は、本件発明6のように開閉弁(7)(消火栓弁)が挿通可能な「消火栓弁挿通用孔」ではなく、本件発明6のように消火栓ボックス(1)(消火栓格納箱)の「裏箱」に形成されているものではなく、本件発明6のように「消火栓弁挿通用孔」に「消火栓弁」が挿通されて取付板が「裏箱」に固定されるものではない点。
<相違点6-5>
「管」が「消火栓格納箱の外側」に配管された給水管「から分岐して形成されている」ことについて、
本件発明6においては、「継手部」が「建物壁の内側」に配管された給水管「に設けられた分岐継手に接続されている」のに対して、
甲第1号証に記載された第2発明においては、「枝管(5)」が「消火栓ボックス(1)外部」に配管された送水親管(4)(給水管)「から分岐導出している」ものの、
送水親管(4)(給水管)が配管された「消火栓ボックス(1)外部」は本件発明6のように「建物壁の内側」かは明らかでなく、送水親管(4)(給水管)には本件発明6のように「分岐継手」は設けられておらず、本件発明6のように該「分岐継手」に「継手部」を接続」するものではない点。
イ 判断・小括
本件発明6は、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項と同様に、相違点6-4に係る本件発明6の発明特定事項のうち「消火栓格納箱」の「裏箱に形成され」て「消火栓弁が挿通可能」な「消火栓弁挿通用孔」に「消火栓弁が挿通され」るという事項を備えるものであるから、上記(1)イに説示する理由と同様の理由により、本件発明6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証-甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4) 本件発明7-10について
本件発明7-10は、本件発明6の発明特定事項を備えるものであるから、上記(3)に説示する理由と同様の理由により、本件発明7-10は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証-甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5) 本件発明11について
ア 甲第1号証に記載された第3発明との対比
本件発明11と甲第1号証に記載された第3発明とを対比する。
(ア) 可撓管と、消火栓弁と、フランジ状の取付板に関して
a 可撓管と、フランジ状の取付板に関しては、上記(3)(ア)a及びcと同様である。
b 消火栓弁に関しては、まず、上記(3)(ア)bの第1段落と同様に、甲第1号証に記載された第3発明における「枝管(5)の先端」は、「管の一端」という限りにおいて、本件発明11における「可撓管の一端」と一致に相当する。
そして、甲第1号証に記載された第3発明における「枝管(5)の先端に取り付けられた」ことは、「管の一端に設けられた」ことという限りにおいて、本件発明11における「可撓管の一端に設けられた」と一致する。
また、甲第1号証に記載された第3発明における「消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成された貫通孔(8)」は、「消火栓格納箱の裏板に形成された挿通用孔」という限りにおいて、本件発明11における「消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔]」と一致する。
そうすると、甲第1号証に記載された第3発明における「枝管(5)の先端に取り付けられて消火栓ボックス(1)の壁構成部材(側壁)(6)に形成された貫通孔(8)を貫通可能なものではない開閉弁(7)」は、「管の一端に設けられた消火栓弁」という限りにおいて、本件発明11における「可撓管の一端に設けられて消火栓格納箱の裏箱に形成された消火栓弁挿通用孔に挿通可能な消火栓弁」と一致する。
(イ) 消火設備用配管ユニットに関して
甲第1号証に記載された第3発明における「枝管(5)と開閉弁(7)とシーリングプレート(11)を装着した絶縁リング(10)」は、
上記(ア)の限りの各事項を備えた「消火設備用配管部品」という限りにおいて、
本件発明11における「消火設備用配管ユニット」と一致する。
(ウ)一致点、相違点
したがって、本件発明11と甲第1号証に記載された第3発明とは、以下のaの点で一致し、bの点で相違する。
a 一致点
「管と、管の一端に設けられた消火栓弁と、消火栓弁に固定されたフランジ状の取付板と、を備える消火設備用配管部品。」
b 相違点
<相違点11-1>
「管」について、
本件発明11においては、「可撓管」であるのに対して、
甲第1号証に記載された第3発明においては、「枝管(5)」ではあるものの、本件発明11のように「可撓管」ではない点。
<相違点11-2>
「フランジ状の取付板」について、
本件発明11においては、「消火栓弁の近傍に固定された」ものであるのに対して、
甲第1号証に記載された第3発明においては、「開閉弁(7)から離間して挿嵌された」ものである点。
<相違点11-3>
本件発明11においては、「可撓管の他端に設けられた継手部」を備えるものであるのに対して、
甲第1号証に記載された第3発明においては、そのようなものは備えていない点。
<相違点11-4>
「管の一端に設けられた消火栓弁」について、
本件発明11においては、「消火栓格納箱」の「裏箱」に形成された「消火栓弁挿通用孔」に「挿通可能な」「消火栓弁」であるのに対して、
甲第1号証に記載された第3発明においては、「壁構成部材(側壁)(6)」に形成された「貫通孔(8)」を貫通可能なものではない開閉弁(7)であり、本件発明11のように「消火栓弁挿通用孔」に挿通可能な開閉弁(7)(消火栓弁)ではなく、本件発明11のように「貫通孔(8)」は消火栓ボックス(1)(消火栓格納箱)の「裏箱」に形成されているものではない点。
イ 判断・小括
本件発明11は、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項及び相違点6-4に係る本件発明6の発明特定事項と同様に、相違点11-4に係る本件発明11の発明特定事項の「消火栓格納箱」の「裏箱に形成され」た「消火栓弁挿通用孔」に「消火栓弁が挿通可能」であるという事項を備えるものであるから、上記(1)イ及び上記(3)イに説示する理由と同様の理由により、本件発明11は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証-甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、異議申立書において、第14ページ、第16ページ及び第46ページでは、本件発明11は、甲1発明乃至甲9発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとされていることから、上記のように甲第1号証に記載された発明を主引用発明とするものと理解されるものの、同第13ページ-第14ページ及び第45ページ-第46ページでは、甲第4、5または6号証に記載された発明を主引用発明とするものであって、これに甲第7号証及び第9号証に記載された事項を組み合わせることにより本件発明11を当業者が容易に発明をすることができたものであるとも解し得るところ、その場合についても検討するに、甲第4、5または6号証並びに甲第7号証及び甲第9号証のいずれにおいても、本件発明11の発明特定事項の「消火栓格納箱」の「裏箱に形成され」た「消火栓弁挿通用孔」に「消火栓弁が挿通可能」であることに対応する事項を備えるものではない以上、同様に、かかる事項は、これら各甲号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。
(6) 本件発明12-14について
本件発明12-14は、本件発明11を引用する発明であって、本件発明11の発明特定事項を備えるものであるから、上記(5)に説示する理由と同様の理由により、本件発明12-14は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証-甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7) 本件発明1-14の容易想到性
したがって、取消理由として採用しなかった異議申立理由によって、本件発明1-14に係る特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1-14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1-14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701205