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特許拒絶査定不服審判

2022-021144

固形燃料の製造方法

審判番号
2022-021144
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-047992
請求日
2022年12月27日
審決日
2026年03月19日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社サムズ
  • 【請求人代理人】弁理士法人日誠国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 八木 誠
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 西山 智宏
分類
P18 .121-WZ (C10L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-47992「固形燃料の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和5年10月5日出願公開、特開2023-141589〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特願2022-47992号(以下、「本願」という。)は、令和4年3月24日の出願であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和4年 5月27日付け :拒絶理由通知(発送日:同年6月7日) 令和4年 8月 2日 :意見書及び手続補正書の提出 令和4年 9月28日付け :拒絶査定(発送日:同年10月11日) 令和4年12月27日 :審判請求書及び手続補正書の提出 令和7年 6月 4日付け :拒絶理由通知(発送日:同年6月10日) 令和7年 7月29日 :意見書及び手続補正書の提出 第2 本願発明 令和7年7月29日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「使用済み紙おむつ(1)と分解処理液(3)とが投入され、使用済み紙おむつ(1)を紙おむつを構成する複数種の素材に分離機(2)で分解し、前記分離機(2)内で使用済み紙おむつ(1)を分解した後の固形成分であるプラスチック(8)と、このプラスチック(8)に付着しているパルプ(6)を選別機(10)で乾燥させて選別し、前記選別機(10)で選別された前記プラスチック(8)と、前記プラスチックに付着したパルプ(6)とで固形燃料を形成する固形燃料の製造方法であって、前記プラスチック(8)を50~60質量%、前記パルプ(6)を40~50質量%含み、前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%の前記固形燃料(13)を形成することを特徴とする固形燃料の製造方法。」 第3 拒絶の理由 令和7年6月4日付けで当審より請求項1ないし4について通知した進歩性に係る拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。 (進歩性)この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2019-35162号公報 2.特開2001-172655号公報 第4 引用文献 1 引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載事項 ア 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。 (ア)「【0017】 図1に示すように、紙おむつは製造してから、リサイクルされるまでの間で、紙おむつが製造・販売され使用される製造販売、使用の段階1と、使用された後の使用済み紙おむつを保管し、保管した使用済み紙おむつを収集する保管・収集段階2と、収集した使用済み紙おむつをリサイクルし、製品化するリサイクル段階3とに分類される。 【0018】 なお、本実施の形態の紙おむつは、表面材、漏れ防止の立体ギャザー、吸水材、防水材、その他で構成されている。表面材は、ポリエステルやポロプロピレンの不織布などが使用されている。漏れ防止の立体ギャザーは不織布と伸縮性素材が使用されている。吸水材は吸水紙、綿状パルプ、高分子吸収体などの組み合わせで構成されている。防水材は、紙おむつの外側を覆う防水シートで合成繊維等からなる不織布が使用されている。その他に、紙おむつを止める粘着テープ、止着材等が使用されている。本実施の形態において、リサイクルする素材とは、紙おむつの高分子吸収体、表面材、立体ギャザー等に用いられているプラスチック、吸水紙等に用いられているパルプ、粘着テープやゴム等のその他を意味する。 【0019】 また、本実施の形態において紙おむつを構成する複数種の素材に分解する分解水は、分解剤としての石灰と、消毒剤としての次亜塩素酸と、水又は温水とを混合したものであり、処理(分解)する使用済み紙おむつの種類、処理する使用済み紙おむつの量によって、石灰、次亜塩素酸、水又は温水の配合量が設定されている。なお、分解水として石灰と水又は温水とを混合したものを用い、消毒剤としての次亜塩素酸は、石灰と水又は温水とを混合した分解水とは別に供給してもよい。なお、温水は、使用済み紙おむつが良好に分解することができる温度に設定されることが好ましい。 以下、製造販売、使用の段階1、保管・収集段階2、リサイクル段階3について説明し、リサイクル段階3において、本発明の実施の形態に係る段ボール原料の製造方法について説明する。 【0020】 上記製造販売、使用の段階1では、上記した紙おむつの素材(パルプ、プラスチック、その他)から紙おむつメーカ4によって紙おむつが製造され、製造された紙おむつは、販売店5によって一般家庭6や、病院・老人ホーム等の施設7に販売される。販売された紙おむつは、一般家庭6や、病院・老人ホーム等の施設7で使用される。 【0021】 保管・収集段階2では、使用済み紙おむつは、それぞれ定められた保管14がなされ、保管された場所から収集15がなされる。一般家庭6で使用された使用済み紙おむつは、保管・収集段階2で、各地域によって定められた集積所8に集積される。この場合、使用済み紙おむつは、生ゴミ等の「燃えるごみ」とともに専用の袋に廃棄された状態で集積所に集積される。病院・老人ホーム等の施設7から出る使用済み紙おむつは、専用保管容器9によって保管されたり、施設内保管場所10に保管される。 【0022】 集積所8に集積された一般家庭から出た使用済み紙おむつは、他の一般廃棄物とともにごみ収集車(パッカー車)11等によって運搬され焼却施設・処分場12にて処分される。また、専用保管容器9に保管された病院・老人ホーム等の施設7からの使用済み紙おむつは、専用車両13によって収集され、リサイクル段階3でリサイクルされる。なお、病院、老人ホーム等の施設7から出る使用済み紙おむつは、リサイクル段階3でリサイクルされる他に、施設内保管場所10に保管された使用済み紙おむつが、一般家庭6から出て集積所に集積された使用済み紙おむつと同様に、パッカー車11等によって回収されて、焼却施設・処分場12にて処分される場合もある。 【0023】 専用車両によって収集されて、リサイクル段階3で保管される使用済み紙おむつは、一次的に保管工程16で保管される。その後、計量工程17で所定の重さに計量された後に、使用済み紙おむつの処理装置18により、処理されて、再生パルプ19が生成される。すなわち、使用済み紙おむつの処理装置18は、洗浄・消毒・分離・乾燥工程47、排水工程48、選別・脱水工程49によって、使用済み紙おむつを紙おむつを構成する複数種の素材に分解し、使用済み紙おむつから分解されて分離したパルプを含む排水を取り出し、取り出した排水中からパルプを回収して再生パルプ19を生成し、段ボール原料37を製造する。 【0024】 使用済み紙おむつの処理装置18は、図2に示すように、分離機20と、選別機21と、パルプ回収装置22とで構成されている。分離機20は、筒状の外胴分離槽と、この外胴分離槽内に回転自在に配置され、外周面に多数の小孔が形成された内胴分離槽とで形成されている。内胴分離槽内には、所定の重さに計量された使用済み紙おむつが投入される。また、内胴分離槽内には、分解剤と消毒剤を含む排水が供給される。 【0025】 分解剤、消毒剤、使用済み紙おむつが投入された状態で内胴分離槽が回転することで、内胴分離槽内で、使用済み紙おむつが分解剤によって紙おむつを構成する複数種の素材に分解され、消毒剤によって消毒される。内胴分離槽内で複数種の素材に分離された使用済み紙おむつは、パルプが分解剤や消毒剤とともにパルプ回収装置22に排出され、内胴分離槽内には、パルプとプラスチックが固形物として残る。 【0026】 内胴分離槽内に残ったパルプとプラスチックは、選別機21に送られて乾燥されることでパルプとプラスチックに選別され、パルプとプラスチックが回収される。ここで回収されたパルプ及びプラスチック(プラパルプ23)は、固形燃料24の原料として再利用される。また、プラスチック25のみでも固形燃料26の原料として再利用される。 【0027】 なお、上記固形燃料24は、RPF(Refuse Paper Plastic Fuel)であり、発熱量が調整された固形化燃料である。また、上記固形燃料26は、RPF-Aであり、RPFの中の等級がAのものであり、全塩素分が低く、発熱量が高いものである。また、上記固形燃料26は、JISに規定されたRPF-Aの規格値0.3%以下より相当低い0.02~0.03%となっている。」 (イ)「 [図:0001434425000001.jpg] 」(【図1】) (ウ)「 [図:0001434425000002.jpg] 」(【図2】) (2)引用発明 上記(1)を総合すると、引用文献1には、実施の形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「使用済み紙おむつと分解水とが投入された状態で、使用済み紙おむつを紙おむつを構成する複数種の素材に分離機20の内胴分離槽で分解し、分離機20の内胴分離槽内で使用済み紙おむつが分離され内胴分離槽内に残った固形物であるプラスチックと、プラスチックとパルプを選別機21で乾燥することで選別し、選別機21で選別されたプラスチックと、パルプを原料とするRPFであるプラパルプ23を構成する固形燃料24の原料として再利用する固形燃料24の製造方法であって、プラスチック及びパルプを原料とするRPFであるプラパルプ23を構成する固形燃料24の原料として再利用する固形燃料24の製造方法。」 2 引用文献2の記載 (1)引用文献2の記載事項 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック粒子およびセルロース粒子を含有する原料流れ(feed stream)をペレット化装置に供給する、プラスチック粒子およびセルロース粒子を含有するペレット化燃料の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】この方法は、特に家庭および工業の廃棄物流れをペレット化燃料にリサイクルするプロセスに使用される。セルロース粒子は、例えば紙、木材、おむつ、包帯および織物から生じる。プラスチック粒子は、例えば包装材料、特にポリエチレンフィルムから生じる。このようなペレット化燃料リサイクル物は高い燃焼熱を有し、炉中で燃料として使用される。本発明はまた、ペレット化燃料、ペレット化燃料の二次燃料としての使用およびペレット化燃料で炉を点火する種々の方法にも関する。 【0003】市販されているペレット化燃料リサイクル物は、これまで実際に専ら、流動層炉におけるような非臨界燃焼条件下で使用された。このような焼却炉における長い滞留時間のため、ペレット化燃料の性質およびその製造方法に関して若干の要求が課せられる。公知ペレットは実際に、例えば溶鉱炉および微粉炭焚き発電所炉におけるようなより臨界的燃焼条件下で二次燃料としては使用されない。結果として、ペレット化燃料リサイクル物に対する潜在的要求は、巨大な潜在的供給に遥かに遅れている。これは、非常に大量の汚染廃物を集積するかまたは高い費用をかけて処理しなければならず、一方で莫大なエネルギー源が使用されていないので非常に不利である。 【0004】US-A5342418号は、燃焼炉用の石炭の混合物で二次燃料として使用するための、家庭廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキンからペレット化燃料を製造する方法を記載する。ペレットのプラスチック含量は、この目的のために10~40質量%にあるように選択される。寸法のようなペレット化燃料の性質、組成および密度は、一次燃料として石炭を含有する混合物の形で二次燃料としての使用を考慮して選択された。これらのペレットは、シュレッダーおよびハンマーミルを使用してプラスチック粒子およびセルロース粒子からなる廃棄物流れ中の粒径を縮小し、得られた原料流れをペレット化装置に供給することにより製造される。得られたペレットは軽く結合していて容易に破壊することおよびプラスチック含量を減少し、水分を増加することにより硬いペレットを得ることができることが記載されている。US-A5342418号によれば、高いプラスチック含量は、ペレットがさらにより容易に破壊する結果としてさらに低い硬さを附与する。60質量%までの高いプラスチック含量は実際に可能であるが、このようなペレット化燃料は石炭に対する二次燃料としての使用には適当でなく、特殊なペレット焼却炉中で燃焼しなければならないことも記載されている。プラスチック含量およびセルロース含量は、ここおよび以下にその都度、プラスチックおよびセルロースの全乾燥質量のパーセントで表されている。ここおよび以下に燃料ペレットまたは粒子集合体中の粒子の性質に言及する場合、これは十分に大きい数のペレット化燃料または粒子の平均値を意味する。“原料流れ”は、ここおよび以下にその都度ペレット化装置に供給される流れであると解される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】現在、高いプラスチック含量を有し、それにも拘わらず二次燃料としてのその使用を可能にするために十分に良好な性質を有するペレット化燃料の製造方法のプロセスに対する要求が存在する。高い発熱量のほかに、“良好な性質”は特に、空気力計量供給性、少ないペレット破損、少ない粒度偏析、高い密度および良好な流動性のような良好な嵩、貯蔵および輸送性をペレットに与える良好な硬さを意味すると解される。他の重要な所望の性質は、良好な粉砕性である。本発明の目的は、この要求を満足することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】この目的は本発明により、原料流れがプラスチック少なくとも40質量%(プラスチックおよびセルロース繊維の全乾燥質量に対して)を含有しおよびペレット化装置は、有効孔長(L)と孔径(D)の比(R)が少なくとも5である孔を有する環状金型を有することにより達成される。‘孔径’はそれぞれの場合に、ペレットの直径を決定する孔の最小直径であると解される。‘有効孔長(L)’は、原料流れが有効に圧搾される孔の部分の長さであると解される。 【0007】意外にも、本発明による方法においてペレット化技術を用いて、二次燃料としての使用に適当な高いプラスチック含量を有するペレット化燃料を製造することが可能であることが見い出された。これは特に驚異的である、それというのもこのような高いプラスチック含量を有するペレットは普通、押出機またはペレット化装置を用いてのみ製造することができ、異なる目的のためであるからである。これは、ペレット化が押出しまたはアグロメレーションと比べて非常に廉価な成形技術であるので廃棄物処理の主要な利点である。好ましくは、プラスチック含量はさらに高く、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、最も好ましくは少なくとも75質量%である。このプロセスで得られるペレット化燃料は、非常に高い発熱量、良好な燃焼性および良好な硬さおよび粉砕性の利点を結合することが判明した。 【0008】好ましくは、本発明の方法におけるプラスチックは、実質的にポリエチレンからなる。大部分の廃棄物流れは、主にポリエチレンからなる包装材料に由来する。‘ポリエチレン’は、ここでも原則的にエチレンの線状、枝分かれのホモポリマーまたはコポリマーのような、モノマーとしてエチレンを含有するすべてのポリマーを含むと解される。ポリエチレンに加えて、原料流れは1種以上の他のプラスチック最高で約30質量%、より好ましくは最高で20質量%を含有しうる。下記に記載した処理条件は、廉価な成分としてポリエチレンに基づく。しかし本発明による方法は、下記に記載する処理条件はそれに応じて調節しなければならないことを理解して、原則的にポリエチレン以外のプラスチックを含有する原料流れに対して類似に適用することができる。特に、温度は原料流れ中のプラスチックの軟化温度の差にほぼ一致する量により調節される。当業者は、この記述に基づき最適値を簡単に決定することができる。 【0009】本発明による方法において、原料流れは好ましくは最高で90℃、より好ましくは最高で75℃の温度(T1)を有する。この温度において、原料流れはペレット化装置前または装置中でアグロメレーション、スミアリング(smearing)およびフィラメント形成の問題を包含することなしに、十分に良好な輸送性を有する。‘スミアリング’は、高い温度がプラスチックを軟化、溶融させるかまたは少なくともプラスチックが接触するすべての部分を覆ってそれに付着するような程度に流体になることを意味すると解される。これらの目的に関連して、温度は最高で60℃、最も好ましくは最高で50℃である。好ましくは、原料流れはペレット化段階前に乾燥段階において上述した温度に加熱される。原料流れのプラスチック含量が少なくとも60質量%である場合、原料流れは好ましくは、アグロメレーションおよびスミアリングを阻止する目的のために、最高で75℃、より好ましくは最高で60℃の温度(T1)を有する。 【0010】ペレット化プロセスの安定性および得られるペレット化燃料の品質を考慮して、RおよびT1の値は好ましくは互いに関連して、環状金型を去るペレットの温度(T2)が80~125℃であるように選択される。好ましくは、温度T2は90℃以上である、それというのもその場合に良好なペレット硬さが得られるからである。好ましくは、温度は一般に125℃より低く、好ましくは120℃よりも低く、さらにより好ましくは115℃よりも低い、それというのもその際金型を去るペレットは凝集物が少ないからである。プラスチック含量が高ければ高いほど凝集物を生じる傾向はますます大きい。従って、60質量%以上のプラスチック含量において、RおよびT1の値は互いに関連して、環状金型を去るペレットの温度(T2)が80~110℃であるように選択される。ペレット装置内に起きる温度の上昇(T2-T1)は、良好な硬さを得る目的で、好ましくは少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも20℃、さらにより好ましくは少なくとも30℃、最も好ましくは少なくとも40℃である。温度のより大きい上昇は、例えばより高いRを設定することにより選択することができる。これは、よりコンパクトで硬い燃料ペレットを生じる。この理由で、Rは好ましくは少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらにより好ましくは少なくとも12および最も好ましくは少なくとも15である。選択されるRの値は、生産性に不利に影響するような高い値であることはできない。従って、Rの値は一般に20以下である。温度のより高い上昇は、加熱または断熱された環状金型を選択することにより実現することもできる。 【0011】好ましくは、環状金型中の孔の直径は、最大10mmである。この利点は、その際より硬いペレットが得られることである。その際、比Rは上記に記載したように、5よりも大きくなければならない。所望の高い硬さを考慮して、直径は好ましくは最大8mm、より好ましくは最大6mmおよび最も好ましくは最大4mmである。これに対する可能な説明は、発生した熱がペレットの内部へより迅速に浸透して、ペレット内部の軟化したプラスチック粒子とセルロース粒子の良好な付着を生じることである。ペレットの長さは一般に、直径の1~10倍、好ましくは1~5倍およびより好ましくは1~3倍であるように選択される。最も好ましくは、長さは直径とほぼ同じである。(平均)の長さは例えば、金型表面に関して移動する1つ以上のナイフまたは破断棒を用いて、環状金型を去るペレットを切断または破砕することにより選択することができる。 【0012】本発明による方法において、原料流れは好ましくは廃棄物流れから、スクリーンマットおよび磨砕装置を含有する粉砕装置(reducing device)中でそれの粉砕により製造され、スクリーンマットは、それに作用する引張り荷重の頻繁な変化の結果として、廃棄物流れをルーズに振動し、その間および/またはその後に大きさに基づき、小さい粒子の部分および大きい粒子の部分に分離され、その後大きい粒子の部分は粉砕装置中で所望の粒径を有する粉砕生成物に粉砕され、その後に粉砕生成物および小さい粒子の部分は一緒にされる。スクリーンマットにおける激しい振動は小さい凝集粒子を破壊させ、その結果として比較的大きい部分は既に所望の最大寸法に従うことができる。これは、主要な容量の利点を包含する。好ましくは、廃棄物流れの少なくとも20~30質量%が、既にスクリーンマットの網目の大きさよりも小さい。この方法の他の利点は、金属片のような重い破片はセルロース粒子およびプラスチック粒子のような軽い破片から完全に分離することができ、その結果としてこれらは、大きい粒子の部分が磨砕装置に供給される前に、廃棄物流れからより容易に、より完全におよびより選択的に除去することができる。好ましくは、金属片は磁石、好ましくはベルト磁石により、スクリーンマットにおける振動の間および/または振動後に除去される。容量は、所望の粉砕度、従って廃棄物流れと原料流れとの粒径の差に依存する。‘磨砕装置’は特にシュレッダーであると解されるが、本方法は原則的にこれに制限されない。上述した廃棄物流れの粉砕法は、本発明による方法だけでなく、一般にプラスチック粒子およびセルロース粒子を含有する廃棄物流れを粉砕するため、上述した好ましい実施態様において使用することができる。 【0013】スクリーンの網目の大きさ、従って粉砕後の粒子の大きさは、環状金型の孔径に関して選択される。十分にペレット化できる原料流れを得ることを考慮して、ペレット化装置に供給される流れ中のプラスチック粒子およびセルロース粒子の大きさは、好ましくは主に次のペレット化段階における環状金型の孔径の最大で6倍、より好ましくは最大で5倍および最も好ましくは最大で4倍である。ここでは‘主に’は、少なくとも約75質量%を意味すると解される。粒子が大きすぎる場合、ペレット化装置中での材料の滞留時間が過度に長くなり、その結果として温度が高くなりすぎおよびプラスチック粒子のスミアリングが生じうる。5~10mmの直径を有するペレット化燃料に関し、原料流れ中の粒子が主に30mmよりも小さい場合に良好なペレット化の結果を得ることができる。原料流れ中の粒径30mm以上では、ペレット化段階において5mmよりも小さい直径を有する燃料ペレットを得ることが困難である。 【0014】廃棄物流れは通常高い含水量を有するので、廃棄物流れのリサイクルプロセスは1個以上の乾燥段階を包含する。含水量は、原料流れのペレット化において重要な部分を演じる。含水量は全質量の百分率で表され、プラスチックおよびセルロース含量はプラスチック粒子およびセルロース粒子の乾燥質量の百分率で表される。好ましくは、本発明による方法において原料流れは、1~15質量%の含水量(原料流れの全質量に対して)を有する。好ましくは、含水量は2~10質量%、より好ましくは3~5質量%である。水の特定最小量の利点は、原料流れがより容易に変形し、従ってより容易にペレット化できることである。プラスチック含量が60質量%よりも高い場合、原料流れの含水量はより低く、特に1~5質量%または1~3質量%であってもよく、これは最終製品が少ない水分を含有し、いっそう高い発熱量を有するという利点を有する。最小量の水分存在の他の利点は、金型孔を去るペレットが速く冷却し、さらになお存在する水分の蒸発のため冷却し、その結果としてアグロメレーションがあまり容易には起きないことである。従って、本発明による方法においては、環状金型を去るペレットは好ましくは2~5質量%の含水量を有し、その後ペレットはガス流中で冷却および乾燥される。原料流れの含水量は、原料流れの温度および金型を去るペレットの温度の制御パラメーターでもある。従ってこの含量は、好ましくは金型孔を去るペレットの温度が、上述した特殊な選択の理由および該選択で125℃よりも高くないように選択される。他方で含水量は、燃料ペレット製造後の残留水分が多すぎる程度に多く選択することはできない、それというのも水分は高い蒸発熱のため燃料ペレットの発熱量を実質的に低下するからである。この理由で、最後の燃料ペレットの含水量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。 【0015】要約のため、本発明によるペレット化燃料の製造方法の最も適当な実施態様は、プラスチック粒子、実質的にはポリエチレン粒子少なくとも40質量%、セルロース粒子および水分最大15質量%を含有する原料流れを、最高で90℃の温度(T1)で、最大10mmの孔径を有し、かつ有効孔長と孔径の比(R)が少なくとも5である孔を有する環状金型を含有するペレット化装置に供給し、RおよびT1の値は互いに関連して、環状金型を去るペレットの温度(T2)が80~125℃であり、かつT2-T1の温度上昇が少なくとも10℃であるように選択する方法に関する。 【0016】本発明による方法の特殊な実施態様においては、ペレット化は2つの連続する段階で実施し、環状金型の孔径は第二ペレット化段階においては第一ペレット化段階におけるよりも小さい。高い全容量を得る目的で、Rは第一段階においては好ましくは第二段階におけるよりも小さい。この方法の利点は、非常に小さい直径を有するペレットを製造するのに非常に適当であることである。好ましくは2段階ペレット化プロセスは、8mm以下の所望のペレット直径、より好ましくは5mm以下のペレット直径およびさらにより好ましくは4mm以下のペレット直径に対して使用される。このような小さいペレットを、ペレット化段階における長すぎる滞留時間およびプラスチック粒子のスミアリングの危険なしにペレット化技術を用いて製造することができることは非常に驚異的である。上述した2段階ペレット化は好ましくは、原料流れ中の粒径が最終燃料ペレットの直径の約4倍、好ましくは5倍、より好ましくは6倍よりも大きい場合に使用される。上述したペレット製造方法は、本質的に前記ペレット化燃料の製造に制限されない。本発明は一般に、連続的に実施される2つのペレット化段階で、固体粒子、好ましくは少なくとも40質量%のプラスチック粒子を含有する粒子の流れから、10mm以下、好ましくは8mm以下およびより好ましくは5mm以下の直径を有するペレットを形成することに関し、環状金型の孔径は第二ペレット化段階においては第一ペレット化段階におけるよりも小さい。 【0017】本発明はさらに、上述した本発明による方法により得ることのできるペレット化燃料に関する。特に本発明は、セルロース粒子およびプラスチック粒子少なくとも40質量%(プラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して)を含有し、ペレットが少なくとも10kgf(カール試験により測定)の硬さを有する燃料ペレットに関する。その際本発明による燃料ペレットは、好ましくは最大10mmの直径を有する。これらのペレットは二次燃料としての使用に非常に適当である。燃料ペレットが60質量%以上のプラスチック含量を有する場合、硬さは好ましくは少なくとも15kgfである。一般に、硬さは好ましくは20kgf以上、より好ましくは25kgf以上および最も好ましくは30kgf以上である。ペレットは、特に非常に高い発熱量のような良好な燃焼性、および特に良好な空気力計量供給性のような良好な嵩、貯蔵および輸送性、少しのダスト形成、破損および粒度偏析、良好な流れ特性および良好な粉砕性を有する。」 (2)引用文献2の認定事項 ア 上記(1)アの段落【0006】、【0015】、【0016】、【0017】の記載からみて、「プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して少なくとも40質量%含有」するものであると認められる。 イ 上記アに加えて、さらに、上記(1)アの段落【0014】に「プラスチックおよびセルロース含量はプラスチック粒子およびセルロース粒子の乾燥質量の百分率で表される。」と記載されていることから、セルロースは、水分量を含まない「プラスチックおよびセルロース繊維の全質量」から「プラスチック」を「少なくとも40質量%含有」する分を差し引いた「60%以下含有」するものであると認められる。 すなわち、「セルロースをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して60%以下含有」するものであると認められる。 ウ 上記(1)アの段落【0014】に「最後の燃料ペレットの含水量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。」と記載され、同段落【0014】に「含水量は全質量の百分率で表され」と記載され、「最後の燃料ペレット」は「プラスチック粒子」及び「セルロース粒子」を含有するものであることからみて、「プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレットの含水量が3質量%以下」であると認められる。 (3)引用文献2に記載された技術的事項 上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「家庭用廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキンからプラスチックと、プラスチックに付着したセルロースを含有する固形燃料24を製造する固形燃料24の製造方法であって、プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して少なくとも40質量%、セルロースをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して60%以下含有し、プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレットの含水量」が3質量%以下の固形燃料24を製造する固形燃料24の製造方法。」 3 電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった技術常識を示す情報の記載 (1)技術常識を示す情報の記載事項 平成22年1月20日に制定されたJIS Z7311:2010「廃棄物由来の紙,プラスチックなど固形化燃料(RPF)」(「一般社団法人日本RPF工業会」ホームページ:https://www.jrpf.gr.jp/rpf-1/rpf-4において「JIS Z7311:2010」の抜粋が掲載。)には、次の事項が記載されている。 ア「 [図:0001434425000003.jpg] 」 イ「 [図:0001434425000004.jpg] 」 ウ「 [図:0001434425000005.jpg] 」 エ「 [図:0001434425000006.jpg] 」 オ「 [図:0001434425000007.jpg] 」 カ「 [図:0001434425000008.jpg] 」 (2)技術常識 上記(1)を総合すると、上記技術常識を示す情報には、次の技術的事項(以下、「技術常識」という。)が記載されているものと認められる。 「廃棄物由来の紙、プラスチックなど固形化燃料(RPF)品種がRPFの水分は5質量分率(%)以下であること。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明における「使用済み紙おむつ」は本願発明における「使用済み紙おむつ(1)」に相当し、同様に、「分解水」は「分解処理液(3)」に、「投入された状態で」は「投入され」に、「紙おむつ」は「紙おむつ」に、「構成する」は「構成する」に、「複数種の素材」は「複数種の素材」に、「分離機20の内胴分離槽」は「分離機(2)」に、「分解し」は「分解し」に、「分離機20の内胴分離槽内で使用済み紙おむつが分離され内胴分離槽内に残った」は「分離機(2)内で使用済み紙おむつ(1)を分解した後の」に、「固形物」は「固形成分」に、「プラスチック」は「プラスチック(8)」に、「プラスチックとパルプ」は「このプラスチック(8)に付着しているパルプ(6)」に、「選別機21」は「選別機(10)」に、「乾燥することで」は「乾燥させて」に、「選別し」は「選別し」に、「選別された」は「選別された」に、「パルプ」は「プラスチックに付着したパルプ(6)」に、「を原料とする」は「とで」に、「RPFであるプラパルプ23を構成する固形燃料24」は「固形燃料」に、「の原料として再利用する」は「を形成する」に、「固形燃料24」は「固形燃料」に、「製造方法」は「製造方法」に、それぞれ相当する。 (2)引用発明における「プラスチック及びパルプを原料とする」ことは本願発明における「プラスチック(8)を50~60質量%、パルプ(6)を40~50質量%含」むことと「プラスチック及びパルプを含」むことの限りにおいてに一致することから、引用発明における「プラスチック及びパルプを原料とするRPFであるプラパルプ23を構成する固形燃料24」は本願発明における「プラスチック(8)を50~60質量%、パルプ(6)を40~50質量%含み、前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%の固形燃料(13)」と「プラスチック及びパルプを含む固形燃料」の限りにおいて一致する。 そうすると、引用発明における「プラスチック及びパルプを原料とするRPFであるプラパルプ23を構成する固形燃料24の原料として再利用する固形燃料24の製造方法」は本願発明における「プラスチック(8)を50~60質量%、パルプ(6)を40~50質量%含み、前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%の固形燃料(13)を形成する固形燃料の製造方法」と「プラスチック及びパルプを含む固形燃料を形成する固形燃料の製造方法」の限りにおいて一致する。 2 一致点、相違点 したがって、本願発明と引用発明は、 「使用済み紙おむつと分解処理液とが投入され、使用済み紙おむつを紙おむつを構成する複数種の素材に分離機で分解し、分離機内で使用済み紙おむつを分解した後の固形成分であるプラスチックと、このプラスチックに付着しているパルプを選別機で乾燥させて選別し、選別機で選別されたプラスチックと、パルプとで固形燃料を形成する固形燃料の製造方法であって、プラスチック及びパルプを含む固形燃料を形成する固形燃料の製造方法。」 である点で一致し、次の点において相違する。 <相違点> 形成する固形燃料に関して、本願発明は、プラスチック(8)を「50~60質量%」、パルプ(6)を「40~50質量%」含み、「前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%」の固形燃料(13)を形成するものであるのに対し、引用発明は、プラスチック(プラスチック(8))及びパルプ(パルプ(6))を原料とする(を含む)「RPFである」プラパルプ23を構成する固形燃料24(固形燃料(13))の原料として再利用する(を形成する)ものではあるものの、プラスチック(プラスチック(8))及びパルプ(パルプ(6))の「質量%」並びにプラスチック(プラスチック(8))及びパルプ(パルプ(6))「にそれぞれ含有する水分を合計した水分量」の「質量%」が不明である点。 第6 判断 1 相違点の検討 上記相違点について検討する。 (1)引用発明について 引用発明における固形燃料24(固形燃料(13))は「RPFである」ことから、上記第4の3(2)の平成22年1月20日に制定されたJIS Z7311:2010「廃棄物由来の紙,プラスチックなど固形化燃料(RPF)」(「一般財団法人日本規格協会」ホームページ:https://www.jrpf.gr.jp/rpf-1/rpf-4)に係る技術常識からみて、水分量は5質量分率(%)以下であるといえる。 (2)引用文献2記載技術的事項について ア 引用文献2には、上記第4の2(2)のとおり、以下の引用文献2記載技術的事項が記載されている。 「家庭用廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキンからプラスチックと、プラスチックに付着したセルロースを含有する固形燃料24を製造する固形燃料24の製造方法であって、プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して少なくとも40質量%、セルロースをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して60%以下含有し、プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレットの含水量が3質量%以下の固形燃料24を製造する固形燃料24の製造方法。」 イ ここで、引用文献2記載技術的事項における「家庭用廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキン」のうち、例示されている「家庭用廃棄物」である「おむつ」は、本願発明における「使用済み紙おむつ(1)」に相当し、同様に、「プラスチック」は「プラスチック(8)」に、「付着した」は「付着した」に、「セルロース」は「パルプ(6)」に、「を含有する」は「とで」に、「固形燃料24」は「固形燃料」に、「製造する」は「形成する」に、「製造方法」は「製造方法」に、それぞれ相当する。 ウ また、引用文献2記載技術的事項における「プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して少なくとも40質量%」「含有」することは、引用文献2の段落【0014】に「プラスチックおよびセルロース含量はプラスチック粒子およびセルロース粒子の乾燥質量の百分率で表される。」と記載されていることから、水分量を含まない「プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量」に対して含有するものであると認められ、本願発明における「プラスチック(8)を50~60質量%」「含」むことに相当する。 エ さらに、引用文献2記載技術的事項における「セルロースをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して60%以下含有」することは、同様に引用文献2の段落【0014】に「プラスチックおよびセルロース含量はプラスチック粒子およびセルロース粒子の乾燥質量の百分率で表される。」と記載されていることから、水分量を含まない「プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量」に対して含有するものであると認められ、本願発明における「パルプ(6)を40~50質量%含」むことに相当する。 オ さらにまた、本願発明における「前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%」(審決注:下線は令和7年7月29日の補正により追加された事項である。)なる事項のうち、下線を付した事項以外の「水分量が1.91~3.01%」なる事項は、令和4年12月27日に審判請求書と同時の補正により追加された事項であり、審判請求書において「本審判請求書と同時に提出する手続補正書における新請求項1の補正事項は、出願当初明細書の段落〔0025〕の記載および図2に基づきます。」(審判請求書の3.〔2〕欄)とされ、同段落【0025】には「図2に示すように、使用済み紙おむつ1から回収したプラスチック8、その他9、プラパル11から形成した固形燃料13の試料1~試料9の・・・水分の平均値は2.52%であり」と記載され、【図2】には「組成分析」の「水分(%)」について最小値が試料5の「1.91」、最大値が試料4の「3.01」として記載されていることからみて、上記「水分量が1.91~3.01%」は、プラスチック、その他及びプラパル(すなわち、「少量のパルプ6が付着しているプラスチック(プラパル)」(本願明細書の段落【0023】))にそれぞれ含有する水分を合計した水分量を意味すると解される。 そして、本願発明における「前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%」なる事項について、令和7年7月29日に提出された意見書においては「手続補正書による補正前の請求項と補正後の請求項とでは、次のような対応関係にあります。」として「<補正後>」とされる「新請求項1」は「<補正前>」とされる「請求項1+請求項3」とされているまでであり、同「<補正前>」における「請求項3」に対応する審判請求書と同時に補正された請求項3には「前記使用済み紙おむつ(1)と前記分解処理液(3)とが投入され、使用済み紙おむつ(1)を紙おむつを構成する複数種の素材に分離機(2)で分解し、前記分離機(2)内で使用済み紙おむつ(1)を分解した後の固形成分であるプラスチック(8)と、このプラスチック(8)に付着しているパルプ(6)を選別機(10)で乾燥させて選別し、前記選別機(10)で前記パルプ(6)と選別されたプラスチック(8)を用いて前記固形燃料(13)を形成したことを特徴とする請求項2に記載の固形燃料(13)の製造方法。」と記載されているまでであって、本願発明における上記事項の下線を付した事項は記載されていない。 これより、本願発明における「前記プラスチック(8)及び前記パルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%」なる事項は、実質的にみて、プラスチック、その他及びパルプにそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%であることを意味すると解される。 そうすると、引用文献2記載技術的事項における「プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレットの含水量が3質量%以下」であることは、「プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレット」全質量に対する「含水量が3質量%以下」であることを意味することから、本願発明における「プラスチック(8)及びパルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%」であることに相当する。 カ そうすると、引用文献2記載技術的事項を本願発明の用語を用いて整理すると以下のようになる。 「使用済み紙おむつからプラスチックと、プラスチックに付着したパルプとで固形燃料を形成する固形燃料の製造方法であって、プラスチックを50~60質量%、パルプを40~50質量%含み、プラスチック及びパルプにそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%の固形燃料を形成する固形燃料の製造方法。」 (3)組み合わせ容易 引用発明と引用文献2記載技術的事項は、固形燃料の製造という同一の技術分野に属するものであり、原料を使用済み紙おむつにするという点でも共通するものであるから、引用発明において、引用文献2記載技術的事項におけるペレット化燃料(固形燃料(13))のプラスチック(プラスチック(8))及びセルロース(パルプ(6))の含有量並びに含水量(水分量)の数値範囲を参照し、当業者における通常の創作能力の発揮により、相違点に係る請求項1に係る発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 そして、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明、技術常識及び引用文献2記載技術的事項から当業者が予測し得る程度のものである。 2 小括 したがって、本願発明は、引用発明、技術常識及び引用文献2記載技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 審判請求人の主張について 1 令和7年7月29日に提出された意見書における主張 (1)審判請求人の主張の内容 審判請求人は、上記意見書において、以下のように主張する(審決注:下線は当審にて付した。)。 ア 「 1)引用文献1には、上記しましたように、使用済み紙おむつから回収したパルプ及びプラスチック(プラパル23)が固形燃料として再利用されることについて開示されておりますが、プラスチックとパルプの配合割合についてなんら特定しておりません。これに対して、本願請求項1に記載の発明では、JIS規格である高位発熱量25MJ/kg以上を満たすためのプラスチックとパルプの配合割合をプラスチックが50~60%、パルプが40~50%と特定しています。 2)また、引用文献1における固形燃料がRPF-Aであることが開示されていますが、JIS規格では高位発熱量が25MJ/kg以上であることが条件であって、プラスチックとパルプの配合割合が規定されているものではありません。このため、プラスチックの含有量が60%を超えて、パルプの含有量が40%以下とすると、固形燃料に成形した際に成形状態が悪く、固形燃料としての形態に成形しづらくなり、パルプの含有量が40%を上回り、プラスチックの含有量が50%を下回ると高位発熱量が低下し、JIS規格に定める規格値を満足することができません。」(上記意見書の「〔6〕各引用文献に記載の発明と本願請求項1に係る発明との対比」の「〔6-1〕引用文献1との対比」欄) イ 「 2)引用文献2と本願発明との違いについて (a)段落〔0007〕、〔0014〕、〔0015〕、〔0017〕に記載されていることを考慮すると、引用文献2における発明では、 ア 好ましいプラスチックの含有量、好ましい含水量については開示されていますが、そのときのセルロース(パルプ)の含有量についてはなんら記載されておりません。すなわち、好ましいプラスチックの含有量は75質量%ですが、そのときの水分量、セルロースの含有量についてはなんら記載されておりません。 イ また、プラスチックの含有量が60質量%より高い場合は、含水量が1~5質量%と記載されていますが、そのときのセルロースの含有量についてはなんら記載されておりません。 ウ さらに、引用文献2における発明の最も適当な実施態様として、プラスチック40質量%、セルロース粒子15質量%、水分最大量15質量%であることが記載されていますが、本願発明の水分量とは全く異なります。本願発明では、プラスチック50~60質量%、パルプ40~50%質量%、プラスチック、パルプに含有する水分の合計水分量が1.91~3.01質量%であり、水分量が全く異なります。 エ 本願発明において例えば、プラスチックが60質量%、パルプが40質量%の場合でも、合計の水分量は1.91~3.01質量%であり、引用文献2に開示されている水分量と異なります。 オ 引用文献2では、なるべくプラスチックの含有量を高くして高い発熱量を得ることができるペレットを得ることが目的であり、プラスチックを75質量%含む場合は、1~5質量%の水分量が好ましいことから、プラスチックを75質量%、水分量5質量%とすると、セルロースは20質量%含有することになり、セルロース(パルプ)の含有量は、本願発明とは全く異なります。 カ さらに、本願発明において、最大のプラスチック含有量を60質量%とすると、パルプの含有量は40質量%であり、そのときの合計水分量は最大でも3.01質量%となり、引用文献2に記載されている最も適当な実施態様の配合割合と異なり、引用文献2には、本願発明のような配合の割合についてなんら記載されておりません。 キ 引用文献2におけるプラスチック粒子、セルロース粒子は、家庭および工業の廃棄物流れをペレット化燃料にリサイクルするプロセスに使用されることが、同文献〔0002〕に記載されています。 (b)これに対して、本願発明では、使用済み紙おむつを分解処理して回収したプラスチック、パルプを用いて固形燃料を製造するものです。すなわち、使用済み紙おむつを分解処理し、回収したプラスチック、パルプは、原材料がほぼ同一の種類のプラスチック、パルプであることから、含有する水分量を乾燥工程における乾燥度合いにより調節することが可能ですが、引用文献2におけるプラスチック、セルロース粒子は、複数の種類のプラスチック、セルロース粒子であることから乾燥工程において、含水量の調整は非常に困難であり、水分量が多すぎれば、発熱量が低くなり、水分量が少なすぎればペレットとしての形態をなすことができません。これに対して、本願発明における固形燃料は、乾燥工程において含有する水分量を容易に調整することができ、固形燃料としての形態をなすことができるプラスチック、パルプの含有量と、そのときの水分量を特定したものです。」(上記意見書の「〔6〕各引用文献に記載の発明と本願請求項1に係る発明との対比」の「〔6-2〕引用文献2との対比」欄) (2)審判請求人の主張の検討 上記(1)の主張について検討する。 ア 上記(1)アの主張について (ア)上記(1)ア1)の主張について 上記第5の2の相違点のとおりである。 そして、上記第6の1(2)のとおり、引用発明において、引用文献2記載技術的事項における数値範囲を参照し、当業者における通常の創作能力の発揮により、相違点に係る請求項1に係る発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 (イ)上記(1)ア2)の主張について a 引用発明における固形燃料としては、上記(1)ア2)の主張の「固形燃料がRPF-Aである」ものとされる「固形燃料26」(上記第4の1(1)ア(ア)の段落【0027】の「上記固形燃料26は、RPF-Aであり」を参照。)ではなく、令和7年6月4日付けの拒絶理由通知により当審より通知し、かつ、上記第4の1(2)のとおり、「RPFである」ものとされる「固形燃料24」(上記第4の1(1)ア(ア)の段落【0027】の「上記固形燃料24は、RPF(Refuse Paper Plastic Fuel)であり」を参照。)としているので、上記(1)ア2)の主張は、前提において誤りがあり、失当である。 b また、上記(1)ア2)の主張の「JIS規格」については、上記(1)ア2)の主張の「高位発熱量」や「プラスチックとパルプの配合割合」についてではなく、令和7年6月4日付けの拒絶理由通知により当審より通知し、かつ、上記第4の3(2)のとおり、「廃棄物由来の紙、プラスチックなど固形化燃料(RPF)品種がRPFの水分は5質量分率(%)以下であること。」を技術常識として認定するものであることから、上記(1)ア2)の主張は、前提において誤りがあり、失当である。 (ウ)そうすると、上記(1)アの主張はいずれも採用することができない。 イ 上記(1)イの主張について (ア)上記(1)イの主張のうち(a)アないしカの主張について a 引用文献2記載技術的事項における「プラスチック」の含量については、上記第4の2(2)アのとおり、引用文献2の段落【0006】、【0015】、【0016】、【0017】の記載からみて、「プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して少なくとも40質量%含有」するものであると認められる。 また、引用文献2記載技術的事項における「セルロース」の含量については、上記第4の2(2)イのとおり、引用文献2の段落【0006】、【0015】、【0016】、【0017】の記載に加えて、さらに、上記(1)アの段落【0014】に「プラスチックおよびセルロース含量はプラスチック粒子およびセルロース粒子の乾燥質量の百分率で表される。」と記載されていることから、セルロースは、水分量を含まない「プラスチックおよびセルロース繊維の全質量」から「プラスチック」を「少なくとも40質量%含有」する分を差し引いた「60%以下含有」するものであると認められる。すなわち、「セルロースをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して60%以下含有」するものであると認められる。 さらに、引用文献2記載技術的事項における「含水量」については、上記第4の2(2)ウのとおり、上記(1)アの段落【0014】に「最後の燃料ペレットの含水量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。」と記載され、同段落【0014】に「含水量は全質量の百分率で表され」と記載され、「最後の燃料ペレット」は「プラスチック粒子」及び「セルロース粒子」を含有するものであることからみて、「プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレットの含水量が3質量%以下」であると認められる。 b そして、上記第6の1(2)ウのとおり、引用文献2記載技術的事項における「プラスチックをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して少なくとも40質量%」「含有」することは、本願発明における「プラスチック(8)を50~60質量%」「含」むことに相当する。 また、上記第6の1(2)エのとおり、引用文献2記載技術的事項における「セルロースをプラスチックおよびセルロース繊維の全質量に対して60%以下含有」することは、本願発明における「パルプ(6)を40~50質量%含」むことに相当する。 さらに、上記第6の1(2)オのとおり、引用文献2記載技術的事項における「プラスチック及びセルロースを含有する最終の燃料ペレットの含水量が3質量%以下」であることは、本願発明における「プラスチック(8)及びパルプ(6)にそれぞれ含有する水分を合計した水分量が1.91~3.01質量%」であることに相当する。 c そうすると、上記(1)イの主張のうち(a)アないしカの主張はいずれも採用することができない。 (イ)上記(1)イの主張のうち(a)キ及び(b)の主張について a 上記(1)イの主張のうち、(b)の「引用文献2におけるプラスチック、セルロース粒子は、複数の種類のプラスチック、セルロース粒子である」なる主張について、この直前に記載された上記(a)キの主張における引用文献2の【従来の技術】欄の段落【0002】の「この方法は、特に家庭及び工業の廃棄物流れをペレット化燃料にリサイクルするプロセスに使用される。」なる記載については、引用文献2に記載された「プラスチック粒子およびセルロース粒子を含有するペレット化燃料の製造方法」(引用文献2の段落【0001】)が使用される「プロセス」における「廃棄物流れ」の候補として、「家庭」の「廃棄物流れ」や「工業の廃棄物流れ」を「特に」なる字句を伴って例示的に列挙しているのであって、両者が常に並存する「廃棄物流れ」を意味すると解されるものではないといえる。そして、引用文献2の段落【0002】において、上記記載に続く「セルロース粒子は、例えば紙、木材、おむつ、包帯および織物から生じる。プラスチック粒子は、例えば包装材料、特にポリエチレンフィルムから生じる。」なる記載からみて、「家庭」や「工業」を含む各「廃棄物流れ」を「生じる」もととなる「廃棄物」が、「例えば」や「特に」なる字句を伴って例示的に列挙されているのであって、これらを常に全て並存する「廃棄物流れ」を意味すると解されるものではないといえる。そうすると、上記(1)イの主張のうちの同(a)キ及び同(b)の主張は、引用文献2の記載における根拠が希薄なものである。 また、上記(1)イの主張のうち、同(b)の「本願発明では、・・・原材料がほぼ同一の種類のプラスチック、パルプである」なる主張についても、本願発明は、「使用済み紙おむつ」のみとは特定していないことから、本願発明の発明特定事項による根拠が希薄なものである b そうすると、上記(1)イの主張のうちの同(a)キ及び同(b)の主張は、引用文献2の記載及び本願発明の発明特定事項による根拠が希薄なものであり、採用するに足るものとはいえない。 c そして、引用文献2記載技術的事項は、上記(1)イの段落【0002】では「セルロース粒子」について「おむつ」と記載され、続く同様に【従来の技術】欄の段落【0004】では「家庭廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキン」と記載され、これを踏まえて、上記第4の2(1)アの【課題を解決するための手段】として記載されている技術的事項として、上記第4の2(3)に示したとおり、「家庭用廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキンからプラスチックと、プラスチックに付着したセルロースを含有する固形燃料24を製造する固形燃料24の製造方法」として認定しており、上記第6の1(2)イのとおり、引用文献2記載技術的事項における「家庭用廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキン」は、このうち、例示されている「家庭用廃棄物」である「おむつ」は、本願発明における「使用済み紙おむつ(1)」に相当するものである。 また、本願発明は、「使用済み紙おむつ」のみとは特定していないことからみても、上記(1)イの主張のうち、同(a)キの「原材料がほぼ同一の種類のプラスチック」なる主張は、本願発明の発明特定事項による根拠が希薄であるとともに、上記のとおり、引用文献2記載技術的事項における「家庭用廃棄物、特におむつおよび生理用ナプキン」は、本願発明における「使用済み紙おむつ(1)」に相当するものである。 ウ 以上より、上記(1)の主張は採用することができない。 2 小括 したがって、審判請求人の主張はいずれも採用することができず、上記第6のとおり、本願発明は、引用発明、技術常識及び引用文献2記載技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、技術常識及び引用文献2記載技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-021144

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