特許異議申立
2020-700091
商品データ処理装置及びプログラム
- 審判番号
- 2020-700091
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-145289
- 登録番号
- 特許第6564504号(P6564504)
- 請求日
- 2020年02月19日
- 審決日
- 2020年10月22日
- 公報発行日
- 2021年01月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東芝テック株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】中島 健
- 審判長/審判官
- 審判長 氏原 康宏
- 審判官 藤井 昇
- 審判官 島田 信一
- 分類
- P1651.113-YAA(G07G) / P1651.121-YAA(G07G) / P1651.851-YAA(G07G) / P1651.841-YAA(G07G) / P1651.854-YAA(G07G) / P1651.855-YAA(G07G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6564504号発明「商品データ処理装置及びプログラム」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6564504号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-5〕,6について訂正することを認める。
特許第6564504号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
特許第6564504号の請求項1~6に係る特許についての出願は,平成25年7月12日に出願した特願2013-146892号の一部を,平成28年1月22日に新たな特許出願とした特願2016-011066号の一部を,さらに平成29年7月24日に新たな特許出願とした特願2017-142919号の一部を,さらに平成30年8月1日に新たな特許出願としたものであって,令和1年8月2日にその特許権の設定登録がされ,令和1年8月21日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許の請求項1~6について,令和2年2月19日付けで特許異議申立人 中島 健(以下,「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ,令和2年4月28日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である同年7月10日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ,同年8月18日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項),同年9月23日付けで特許異議申立人により意見書の提出があったものである。
第2.訂正の適否
1.訂正の内容
令和2年7月10日付けの訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項1,2のとおりである(下線部は,訂正箇所を示し,当審で付与した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載の「前記税率の特定に係る条件を表示する表示手段」を,「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する)。
また,特許請求の範囲の請求項1に記載の「前記算出手段は,取引の途中で前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」を,「前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に記載の「前記税率の特定に係る条件を表示部に表示させる表示制御手段」を,「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示部に表示させる表示制御手段」に訂正する。
また,特許請求の範囲の請求項6に「前記算出手段は,取引の途中で前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」と記載されているのを,「前記算出手段は,前記表示制御手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」に訂正する。
(3)一群の請求項についての説明
訂正前の請求項1~5について,請求項2~5はそれぞれ請求項1を直接的または間接的に引用しているものであって,訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって,訂正前の請求項1~5の各請求項に対応する訂正後の請求項1~5の各請求項は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2.訂正要件についての判断
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る特許発明は,表示手段が表示する表示内容について「前記税率の特定に係る条件」を表示することを特定している。
これに対して,訂正後の請求項1は,「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段」との記載により,表示手段が表示する表示内容を具体的に特定し,更に限定するものである。
また,訂正前の請求項1に係る特許発明は,算出手段の動作について「取引の途中で前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」ことを特定している。これに対して,訂正後の請求項1は,「前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」との記載により,第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けるタイミング,つまり税区分変更のタイミングと,変更後の税区分に対応する税率を適用する商品(商品コード)とを具体的に特定し,更に限定するものである。
したがって,当該訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は,以下のとおり,願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。
段落【0029】には,「表示制御部35は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部34が登録した各商品の商品名,価格,税額,税込み価格等を表示する(ステップS17)。」と記載されている。
段落【0030】には,「次に,購入形式受付部31は,キーボード13において購入形式を変更する操作が生じたか否かを判定する(ステップS18)。」と記載されている。
段落【0031】には,「ステップS18において,購入形式受付部31は,購入形式を変更する操作が行われたと判定すると(ステップS18: Yes),ステップS11に戻り,操作された区分キーをもとにステップS12の処理を実行させる。」との記載がある。
また,段落【0026】には,ステップS12について「入力された税区分IDをもとに,この税区分IDに対応付けられた税率を税率マスタM2から取得することで,税率と特定する(ステップS12)」の記載がある。また,図7のフローチャートでは,ステップS12の処理の後,ステップS13に移行することで,新たな商品コードの入力を待機 する旨の記載がある。
そして,段落【0027】には,「スキャナ19によりバーコードがスキャンされると,商品コード受付部32は,このバーコードのデータから商品コードを読み取って受け付ける(ステップS13:Yes)。」 との記載があり,続く段落【0028】には,「販売登録部34は,商品コードに対して商品マスクM1に設定されている商品名や価格等の商品情報を取得し,税率特定部33が特定した税率をもとに,税額や税込み価格を算出する(ステップS14)」との記載がある。
このため,これらの記載から,「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段」及び「前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」が導き出される。
したがって,当該訂正事項1の訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように,訂正事項1は,「表示手段」が表示する「前記税率の特定に係る条件」という表示内容を,概念的により下位の「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報と」に減縮したものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではない。
また,訂正事項1は,「算出手段」という発明特定事項の動作を,概念的により下位の「前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記 第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」に減縮したものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではない。
また,訂正事項1は,訂正前の請求項1の記載以外に,訂正前の請求項2~5の記載について訂正するものではなく,請求項2~5のカテゴリーや対象,目的を変更するものではない。
したがって,当該訂正事項1による訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項6に係る特許発明は,表示制御手段が表示する表示内容について「前記税率の特定に係る条件」を表示することを特定している。これに対して,訂正後の請求項6は,「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示部に表示する表示制御手段」との記載により,表示制御手段が表示する表示内容を具体的に特定し,更に限定するものである。
また,訂正前の請求項6に係る特許発明は,算出手段の動作について「取引の途中で前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」ことを特定している。これに対して,訂正後の請求項6は,「前記表示制御手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」との記載により,購入形式の変更する操作を受け付けるタイミングと,変更後の購入形式の税区分に対応する税率を適用する商品(商品コード)を具体的に特定し,更に限定するものである。
したがって,当該訂正事項2は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は,以下のとおり,願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。
段落【0029】には,「表示制御部35は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部34が登録した各商品の商品名,価格,税額,税込み価格等を表示する(ステップS17)。」と記載されている。
段落【0030】には,「次に,購入形式受付部31は,キーボード13において購入形式を変更する操作が生じたか否かを判定する(ステップS18)。」と記載されている。
段落【0031】には,「ステップS18において,購入形式受付部31は,購入形式を変更する操作が行われたと判定すると(ステップS18:Yes),ステップS11に戻り,操作された区分キーをもとにステップS12の処理を実行させる。」との記載がある。
また,段落【0026】には,ステップS12について「入力された税区分IDをもとに,この税区分IDに対応付けられた税率を税率マスタM2から取得することで,税率と特定する(ステップS12)」の記載がある。また,図7のフローチャートでは,ステップS12の処理の後,ステップS13に移行することで,新たな商品コードの入力を待機する旨の記載がある。
そして,段落【0027】には,「スキャナ19によりバーコードがスキャンされると,商品コード受付部32は,このバーコードのデータから商品コードを読み取って受け付ける(ステップS13:Yes)。」 との記載があり,続く段落【0028】には,「販売登録部34は,商品コードに対して商品マスクM1に設定されている商品名や価格等の商品情報を取得し,税率特定部33が特定した税率をもとに,税額や税込み価格を算出する(ステップS14)。」との記載がある。
このため,これらの記載から,「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示部に表示させる表示制御手段」及び「前記算出手段は,前記表示制御手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」が導き出される。
したがって,当該訂正事項2による訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記ア.の理由から明らかなように,訂正事項2は,「表示制御手段」が表示する「前記税率の特定に係る条件」という表示内容を,概念的により下位の「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報と」に減縮したものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではない。
また,訂正事項2は,「算出手段」という発明特定事項の動作を,概念的により下位の「前記表示制御手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」に減縮したものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではない。
したがって,当該訂正事項1による訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1~5],6について訂正することを認める。
第3.訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下,「本件発明1」~「本件発明6」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
購入形式を指定する操作を受け付ける第1受付手段と,
商品コードの入力を受け付ける第2受付手段と,
前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での税率とが対応付けて設定された税率設定情報から,前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて前記第2受付手段で受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を算出する算出手段と,
前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段と,
を備え,
前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する商品データ処理装置。
【請求項2】
前記第1受付手段は,前記商品を持ち帰る第1形式と,当該商品を店舗内で消費する第2形式とを,前記購入形式として受け付け,
前記税率設定情報は,前記第1形式及び前記第2形式それぞれの税区分と,当該税区分での税率とを対応付けて記憶する請求項1に記載の商品データ処理装置。
【請求項3】
前記商品コードに対応する商品を示す情報と,当該商品について前記算出手段が算出した税額とを出力する出力手段を更に備える請求項1又は2に記載の商品データ処理装置。
【請求項4】
前記商品コードに対応する商品の販売登録を行う販売登録手段を更に備え,前記出力手段は,前記販売登録された前記商品について,当該商品を示す情報と,当該商品について前記算出手段が算出した税額とを出力する請求項3に記載の商品データ処理装置。
【請求項5】
前記出力手段は,前記税区分ごとに,前記商品コードに対応する商品を示す情報と,当該商品について前記算出手段が算出した税額とを出力する請求項3又は4に記載の商品データ処理装置。
【請求項6】
商品データ処理装置のコンピュータを,
購入形式を指定する操作を受け付ける第1受付手段と,
商品コードの入力を受け付ける第2受付手段と,
前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での税率とが対応付けて設定された税率設定情報から,前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて前記第2受付手段で受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を算出する算出手段と,
前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示部に表示させる表示制御手段と,
して機能させ,
前記算出手段は,前記表示制御手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出するプログラム。」
第4.取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1~6に係る特許に対して,当審が令和2年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。
「1(新規性)この出願の下記の請求項1~6に係る発明は,本件特許出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当するから,下記の請求項に係る特許は,特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2(進歩性)この出願の下記の請求項1~6に係る発明は,本件特許出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,下記の請求項に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
<理由1>
・請求項 1~6
・引用文献 1
<理由2>
・請求項 6
・引用文献 1
・請求項 1~6
・引用文献 2,3
1.引用文献
引用例1:OPERATION MANUAL SX-7000/7500/ SX-8000/8500 SX-700/800」(Uniwell Corporation作成によるレジスターシステムの操作マニュアル)(特許異議申立人が提出した甲第1号証)
引用例2:特開平4-68496号公報(特許異議申立人が提出した甲第2号証)
引用例3:特開2012-181752号公報(特許異議申立人の提出した甲第3号証)」
2.引用文献の記載事項
2-1.引用例1
本件の原出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例1には,図面とともに以下の事項が記載されている(以下,翻訳文を示す。)。
・「3. PLU販売操作
3-1. PLU登録
PLUは,「プライスルックアップ(価格検索)」の略です。販売する各アイテム(品目)はPLUです。PLUシステムでは,各アイテムにさまざまな設定を関連付けることができます。たとえば,価格,販売グループ(飲み物,食べ物),説明,税情報,調理指示などです。PLUの販売にはさまざまな方法があり,それを以下に説明します。
a)ハードPLUキー/スキャナー
ハードPLUキーを押すか,商品に添付されているバーコードをスキャンすると,1つのPLUが販売されます。
1.コントロールキーをR位置に回します。
2.担当者(クラーク)を指定(サインオン)します。
3.HARD PLUキーのいずれかを押すか,バーコードをスキャンします。
b)コード化されたPLU
コード化されたPLUは,キーボードには割り当てられていないPLUです。
1.コントロールキーをRの位置に回します。
2.担当者を指定します。
3.PLUコードを入力します。
4.PLU/REPEATキーを押します。」(8ページ1~16行に対応)
・「 3-19. コンボメニューを使用したシステムでのテイクアウト・イートイン(拡張ルックアップPLU機能)
この機能は,販売方法に応じて,たとえばテイクアウト(持ち帰り)とイートイン(店内飲食)の間などで異なる価格が採用されている事業に便利です。
取引用の販売方法を示すのに押すキーとしてEAT IN,TAKE OUTおよびDELIVERYがあり,これらは前面ディスプレイ上に表示され,各レシートのヘッダーとして印刷されます。異なる価格レベルを「イートイン(店内飲食)」,「テイクアウト(持ち帰り)」および「デリバリー(配食)」にプログラミングすることができ,それは自動的に採用されます。そのため,「イートイン」,「テイクアウト」および「デリバリー」の取引販売データおよび各価格レベルのPLU販売データについての分析を行うことができます。
コンボメニューという発想は,セットメニューとして単一キーにより取引するものですが,各PLUの当初価格データとセットメニューの割引額を伴っています。そのため,正確な在庫・販売量の管理が可能です。
この機能を使用する前に,
- SP-110によりEAT IN,TAKE OUT,DELIVERYの各キーを割り当てます。
- SP-113により,「テイクアウトシステム」[SF-100.H]を選択します。
- 必要となる場合には,価格レベルシフト(b参照)およびSF-101を有するリンク用にその他のフラグSF-100を設定します。」(38ページ1~14行に対応)
・「a)イートイン・テイクアウト操作
1.コントロールキーをR位置に回します。
2.担当者を指定します。
3.[SF-100.G]をYESに設定した場合,警告99「イートイン・テイクアウト?」)がブザーとともに表示されます。
イートイン/テイクアウト?
標準価格
テーブル 請求書 給仕人 客数
店舗
警告メッセージ#99
4.EAT INまたはTAKE OUTキーを押します。
担当者 001
標準価格
テーブル 請求書 給仕人 客数
イートイン 店舗
イートイン用ユーザーテキスト#107
テイクアウト用ユーザーテキスト#108
デリバリー用ユーザーテキスト#112
5.アイテムの入力および取引の確定は,通常どおり進行します。
」(39ページ1~6行(表を除く)に対応)。
・「EAT IN/TAKE OUTの切り替えに関する注意事項
イートイン/テイクアウト/デリバリーが[SF-100.F-A, SF-107.C-A]により価格レベルシフトにリンクしている場合,取引中のモード変更は禁止されています。
すべてのモードで同じ価格レベルが使用されている場合,取引中にイートイン,テイクアウト,デリバリーを変更できます。これは,同じ取引で価格の異なるPLUが存在しないようにするためです。
(後者の場合,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷されることに注意してください。)」(40ページ3~8行(ただし,レシートのサンプルの図を除く)に対応。 )。
・「f)テイクアウトシステムでの自動税シフト
f-1.(レストランでの)イートイン,テイクアウトまたはデリバリーなどの消費方法に応じて,異なる税金が課される可能性があります。これに対応するため,以下のようなフラグがあります。
プログラムオプション
[SF-107 - TAKE OUT SYSTEM <3>](テイクアウトシステム<3>)
H-EATINTAX1 ->TAX3(イートイン税1 -> 税3)
YES = イートインモードの課税対象1アイテムは課税対象3に移行します。
G-EATINTAX2->TAX4(イートイン税2 -> 税4)
YES = イートインモードの課税対象2アイテムが課税対象4に移行します。
F-TAKE OUT/DELIVERYTAX1 -> TAX3(テイクアウト/デリバリー税1 -> 税3)
YES = テイクアウト/デリバリーの課税対象1アイテムが課税対象3に移行します。
E-TAKE OUT/DELIVERY TAX2 -> TAX4(テイクアウト/デリバリー税2 -> 税4)
YES = テイクアウト/デリバリーの課税対象2アイテムが課税対象4に移行します。
注:課税対象3および4は上記の税シフトのために予約されていることから,これらのフラグのいずれかが選択された場合,PLUに割り当てられる税金は課税対象1および2に制限されます。
-この機能でAdjustment(調整)と%を使用する場合,フラグ[SF-28-30, 61,62]を設定してそれぞれの税を指定します。
-「GST税制」[SF-5.H]が選択されている場合,フラグHおよびFは無視されます。
-「シンガポールGST」[SF-5.E]が選択されている場合,フラグH,G,F,Eは無視されます。
-VATシフト操作[SF-5.B]は,フラグH,G,F,EがすべてNOに設定されている場合にのみ使用されます。
サンプル設定
SP-155税率
税1:食べ物アイテムの場合5% 税2:飲み物アイテムの場合10% 税3:0%(無税)
SP-122 PLU
PLU1(食べ物アイテム):課税対象1および3に割り当てられます [PF-1.C=YES]税3指定 [PF-1.A=YES]税1指定 注:テイクアウトシステムによる税シフトには課税対象3を割り当てる必要があり,そうでない場合には,課税対象3への税シフトは不可能です。
PLU2(飲み物アイテム):課税対象2に割り当てられます
[PF-1.B = YES]税2指定
SP-113システム機能フラグ
[SF-4.H=YES] 付加税システム
[SF-78.G,F,E=YES] TAX3,2,1:付加税方法
[SF-107.F=YES] テイクアウト/デリバリー税1 -> 税3 テイクアウト/デイバリ―モードの課税対象1アイテムは課税対象3に移行します。 食べ物アイテムが持ち出しまたは配達される場合,税金は請求されません(税3=0%)。
レシートサンプル
イートイン/テイクアウト/デリバリーには関係なく,PLU税制措置[PF-1.D~A]がグループ1(飲料)にリンクしたPLUに適用されます。」(44ページに対応)
・「f-2. グループフラグ[GF-2.G,F,E]により,イートイン,テイクアウトまたはデリバリーなどの販売方法に従って,税制措置を変更できます。例えば,税率7%は食べ物アイテムの持ち出しにのみ使用され,それ以外は常に16%です。
・・・
例:
税1:VAT 16%
税2:VAT 7%
グループ1: 飲み物 [GF-2.G,F,E] = N,N,N(イートイン/テイクアウト/デリバリー = すべて「NO」)
イートイン/テイクアウト/デリバリーには関係なく,PLU税制措置[PF-1.D~A]がグループ1(飲料)にリンクしたPLUに適用されます。.
PLU:省略
グループ2: 食べ物
[GF-2.G,F,E] = N,Y,Y(イートイン= NO。テイクアウト= YES。デリバリー = YES)
[GF-2.D,C,B,A] = N,N,Y,N(税2指定)
グループ税制措置[GF-2.D~A](上記の例は税2です)が,テイクアウトおよびデリバリー用のグループ2(食べ物)にリンクしたPLUに適用されます。」(45ページに対応)
・「イートイン([GF-2.G=NO])が,食べ物・飲み物用に選択されています)
テイクアウト(GF-2.F=YES)が,食べ物アイテム用に選択されています)
デリバリー([GF-2.E=YES])が食べ物アイテム用に選択されています
」(46ページに対応。)
・38ページ1~14行の下線部の記載からみて,取引用の販売方法として割り当てられたイートイン,テイクアウトおよびデリバリーの各キーが理解できる。
・8ページ1~16行の下線部の記載からみて,PLUを登録するためにハードPLUキーを押すか商品に添付されているバーコードをスキャンするか,PLUコードを入力することが理解できる。
・46ページのレシートを参照すると,飲み物アイテムおよび食べ物アイテムの両方が16%の税率に基づいて税額を算出したイートインのレシートと,飲み物アイテムが16%,食べ物アイテムが7%の税率に基づいて税額を算出したテイクアウトおよびデリバリーのレシートとが開示されており,さらに,それらのレシートの例には,税率の特定にかかる条件である税区分であるイートインとテイクアウトおよびデリバリーのいずれかと,イートインの場合には,それぞれの商品名,それぞれの商品の税込価格,税込の合計価格,本体価格の合計と税額の合計が表示され,テイクアウトとデリバリーの場合には,それぞれの商品名,それぞれ商品のの税込価格,税込の合計価格,飲み物に対する本体価格の合計と税額の合計及び食べ物に対する本体価格の合計と税額の合計が表示されていることが理解できる。
・46ページのレシートの例は,40ページの下線部に記載された,「すべてのモードで同じ価格レベルが使用されている場合」であるので,「取引中にイートイン,テイクアウト,デリバリーを変更でき」,この変更後に,食べ物アイテムの税額を,変更後の税率に基づいて算出していることが理解できる。そして,その際,40ページの下線部に記載されるように,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷されるものである。
そうすると,引用例1には,以下の発明(以下,「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。
「取引用の販売方法として割り当てられたイートイン,テイクアウトおよびデリバリーの各キーと,
PLUを登録するためにハードPLUキーを押すか商品に添付されているバーコードをスキャンするか,PLUコードを入力することと,
グループフラグ[GF-2,G,F,E]により,イートイン,テイクアウトまたはデリバリーなどの販売方法に従って,税制措置を変更でき,例えば,税率7%は食べ物アイテムの持ち出しのみに使用され,それ以外は常に16%であり,
飲み物アイテムおよび食べ物アイテムの両方が16%の税率に基づいて税額を算出したイートインのレシートと,飲み物アイテムが16%,食べ物アイテムが7%の税率に基づいて税額を算出したテイクアウトおよびデリバリーのレシートとが開示されており,
レシートの例には,税率の特定にかかる条件である税区分であるイートインとテイクアウトおよびデリバリーのいずれかと,イートインの場合には,それぞれの商品名,それぞれの商品の税込価格,税込の合計価格,本体価格の合計と税額の合計が表示され,テイクアウトとデリバリーの場合には,それぞれの商品名,それぞれ商品の税込価格,税込の合計価格,飲み物に対する本体価格の合計と税額の合計及び食べ物に対する本体価格の合計と税額の合計が表示されが表示されており,
すべてのモードで同じ価格レベルが使用されている場合,取引中にイートイン,テイクアウト,デリバリーを変更でき,この変更後に,食べ物アイテムの税額を,変更後の税率に基づいて算出し,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷される,装置。」
2-2.引用例2
引用例2には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「(イ)産業上の利用分野
本発明は,販売登録装置の割引登録機能に関する。」(1ページ右下欄1~3行)
・「ステップS2にて,このキー人力が商品登録キー4aの操作であることを判別すると,CPUl0はステップS3の処理となり,このときキーボード入力回路14から出力される商品コードでPLUテーブル13bを検索し,対応する品名,金額を販売登録ファイル13aに格納する。また,CPUl0は,取り出した品名,金額を表示バッファ及びプリントバッファにも格納し,表示制御回路15及びプリンタ制御回路16を駆動して,第6図aに示すようにレシートにプリントアウトすると共に,表示器3には第7図aに示す画面を表示する。
ステップS4にてキー人力がテンキー4bの操作であることを判別すると,CPUl0は置数された数字データをテンキーバッファに格納する。
ステップS10にて,キー人力が「割引」キーの操作であることを判別すると,CPUl0はステップS11の処理に進む。このステップS11では,テンキーバッファに数字データが格納されているかを判断することにより,「割引」キーの操作の前にテンキー4bが操作されているかを判別する。そして,テンキー4bが操作されていると,CPUl0はステップ512に進みテンキーバッファが記憶している数値を割引率とし,次のステップ514では,この割引率と商品金額とに基づき割引金額を算出する。」(3ページ左上欄10行~右上欄15行)
・「ステップS21にて,キー人力が「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーの操作であることを判別すると,CPUl0はステップS22の処理に進む。
このステップS22では,登録した商品の販売金額から合計金額を算出し,または登録した商品が割引登録している場合には割引金額を減算した販売金額から合計金額を算出し,算出した合計金額に税率を掛けて客の支払金額を演算する。飲食店の場合,商品を店内で飲食するのと持ち帰るのとでは税率が異なるために,合計時に客の希望に応じて「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーを操作するものである。
ステップS23にて,キー人力が[預/現計」キーの操作であることを判別すると,CPUl0はステップS24の処理に進み精算業務を行う。」(4ページ左上欄11行~右上欄5行)
・第5図には以下の内容が示されている。
・「飲食店の場合,商品を店内で飲食するのと持ち帰るのとでは税率が異なるために,合計時に客の希望に応じて「EAT IN」キー及び「TAKE OUT」キーを操作する」ことをステップ21に行うことにより,引用例2の販売登録装置が,「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーで購入形式を指定する操作ができること」は明らかである。
・「ステップS21にて,キー人力が「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーの操作であることを判別する」,「ステップS23にて,キー人力が[預/現計」キーの操作であることを判別すると,CPUl0はステップS24の処理に進み精算業務を行う。」という記載と,第5図のフローチャートからみて,「ステップS23にて「預/現計」キーが操作されて精算業務を行う前に,ステップS21にて「EAT IN」または「TAKE OUT」キーの操作を複数回実行できる」ことは明らかである。
そうすると,引用例2には,以下の発明(以下,「引用発明2-1」という。)が記載されていると認められる。
「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーで購入形式を指定する操作ができることと,
ステップS2にて,このキー入力が商品登録キー4aの操作であることを判定すると,ステップS3の処理となり,このときキーボード入力回路14から出力される商品コードでPLUテーブル13bを検索し,対応する品名,金額を販売登録ファイル13aに格納し,取り出した品名,金額を表示バッファ及びプリントバッファにも格納し,表示制御回路15及びプリンタ制御回路16を駆動して,品名,個数,金額をレシートにプリントアウト(第6図a参照)すると共に,表示器3には品名,個数,金額を示す画面(第7図a参照)を表示することと,
飲食店の場合,商品を店内で飲食するのと持ち帰るのとでは税率が異なるために,合計時に客の希望に応じて「EAT IN」キーおよび「TAKE OUT」キーを操作するものであり(4ページ左上欄18行~右上欄2行),算出した合計金額に税率をかけて客の支払い金額を演算することと,
ステップS23にて「預/現計」キーが操作されて精算業務を行う前に,ステップS21にて「EAT IN」または「TAKE OUT」キーの操作を複数回実行できる,
販売登録装置)。」
2-3.引用例3
引用例3には,以下の事項が記載されている。
・「【背景技術】
【0002】
従来,POS(Point Of Sale)端末等,商品コードを元に特定される商品にかかる商品データを取り扱う商品データ処理装置では,商品ごとに税率を設定している。そして,商品の販売登録時には,各商品に対応する税率をもとに税額を算出し,商品ごとに算出した税額や税率をレシート用紙に印字している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,従来技術においては,レシート用紙などに商品ごとの税額が出力されるため,消費税,酒税,たばこ税などの税の種別ごとの商品の税額が分かりづらかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために,実施形態の商品データ処理装置は,商品の商品コードを受け付ける商品コード受付手段と,前記商品ごとに税の種別を示す税種別情報と,当該税の種別で課税される税額の算出にかかる情報とが設定された税設定情報をもとに,受け付けられた前記商品コードで特定される商品にかかる税の種別を判別する税種別判別手段と,前記税額の算出にかかる情報をもとに,判別された前記税の種別において前記商品にかかる税額を算出する算出手段と,前記税の種別ごとに,当該税の種別が判別された前記商品を示す情報と,当該商品にかかる税額とを出力する出力手段と,を備える。」
・「【0010】
図3は,商品マスタMのデータ構成を示す図である。図3に示すように,商品マスタMには,各商品の商品コードに対応付けて,商品名や商品の価格等の商品情報が設定される。商品コードは,商品ごとにユニークに設定される識別情報であり,商品の特定に用いられる。例えば,店舗では,商品に添付したラベルに,その商品に設定された商品コードを記載しておく。そして,ラベルに記載された商品コードをバス42や通信I/F43を介して接続するPOS端末2のスキャナ19(図6参照)などで入力する。ストアサーバ4では,入力された商品コードで商品マスタMを参照することで,商品の特定を行うことができる。
【0011】
税率設定データベースDBは,商品マスタMに設定されている商品,すなわち店舗で取り扱う商品ごとに,商品にかかる税の情報が設定されたデータベースである。具体的には,税率設定データベースDBは,商品別税率設定マスタD1,税種別設定マスタD2とを含む構成である。
【0012】
図4は,商品別税率設定マスタD1のデータ構成を示す図である。図4に示すように,商品別税率設定マスタD1は,商品を識別する「商品コード」ごとに,税込の価格を算出するための「税率」と,その商品コードで識別される商品にかかる税の種別を示す「税コード」とを記憶する。「商品コード」で識別される商品については,商品マスタMに設定されている価格と,商品別税率設定マスタD1の「税率」で設定されている値とを掛け合わせることで,税込の価格を算出することができる。また,「税コード」は,税の種別ごとにユニークに設定された識別情報であり,「商品コード」で識別される商品にかかる税の種別の特定に用いられる。
【0013】
図5は,税種別設定マスタD2のデータ構成を示す図である。図5に示すように,税種別設定マスタD2は,「税コード」ごとに,「税種別」と,「税額算出式」と,「表示データ」とを記憶する。「税種別」は,「税コード」で識別される税の種別の名称を示す。具体的には,「消費税」,「たばこ税」,「酒税」など,税の項目名が記述されている。「税額算出式」は,税の種別において商品に課税される税額分を算出するための算出式が記述されている。具体的には,(商品の価格)×(商品の価格に対する税額の割合)などが記述されている。この「税額算出式」を参照することで,商品コードで識別される商品にかかる税の種別において,販売時に商品の価格に課す税額の他,商品の価格に予め課されている税額などの算出が可能となる。「表示データ」は,税の種別において商品の価格に対して課税される割合など,税の種別に関して表示(又は印字)する情報が記述されている。例えば,「税種別」が消費税の場合には,消費税として商品の価格に対して課税される割合である「5%」など情報が記述される。」
・「【0019】
商品コード受付部25は,各商品に付されたバーコードがスキャナ19によってスキャンされた場合に,バーコードのデータから商品コードを読み取って受付ける。尚,商品コード受付部25は,キーボード13から入力されたキーにより商品コードの入力を受付けるとしてもよい。また,商品コード受付部25は,二次元コードのようなその他のコードシンボルから商品コードを読み取ってその入力を受付けるとしてもよい。」
・「【0021】
販売登録部27は,商品コード受付部25が受け付けた商品コードで特定される商品の売登録を行う。具体的には,商品コード受付部25が受け付けた商品コードを通信I/F23を介してストアサーバ4に問い合わせ,その商品コードに対して商品マスタMに設定されている商品名や価格を取得する。次いで,取得した価格と,税種別判別部26が取得した「税率」とをもとに税込み価格を算出する。また,取得した価格と,税種別判別部26が取得した「税額算出式」とをもとに,商品にかかる税額(販売時に商品の価格に課す税額,商品の価格に予め課されている税額等)を算出する。次いで,販売登録部27は,商品名,価格,税込み価格(販売価格),商品にかかる税額を販売された商品の情報として登録する。
【0022】
表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税額等を表示する。具体的には,表示制御部28は,税種別判別部26による判別結果をもとに,税の種別ごとに,その税の種別が判別された商品を示す情報(商品名,価格,税込み価格)と,その商品にかかる税額とを表示する(詳細は後述する)。なお,表示制御部28が表示する表示内容は,店員用ディスプレイ15及び客用ディスプレイ16の双方においてその全てを表示する必要はなく,表示内容は利便性に応じて適宜振り分けて表示されればよい。
【0023】
印刷制御部29は,販売店の店名や連絡先,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税額等をプリンタ17によってレシート用紙に印字する。具体的には,印刷制御部29は,税種別判別部26による判別結果をもとに,税の種別ごとに,その税の種別が判別された商品を示す情報(商品名,価格,税込み価格)と,その商品にかかる税額とをレシート用紙に印字する(詳細は後述する)。印字したレシート用紙はレシート発行口18から発行される。」
・「【0031】
図9は,POS端末2が印字するレシート用紙の一例を示す概念図である。図9に示すように,S9によりレシート用紙には,税の種別ごとに各商品の品名,税込み価格,各商品にかかる税額が印字される。図示例では,消費税,酒税ごとに,商品(XXノオイシイミズ500ml,お酒等)と税額(¥6,¥XX等)とがレシート用紙に印字されている。また,税の種別に関する情報として,商品の価格に対して課税される割合(図示例では消費税にかかる「ゼイ:5%」,酒税にかかる「ゼイ:XX%」)が印字される。」
・図8,図9には,以下の内容が図示されている。
3.当審の判断
(1)引用例1を主引用発明とする理由について
ア.本件発明1について
本件発明1と引用発明1-1とを対比すると,後者の「取引用の販売方法として割り当てられたイートイン,テイクアウトおよびデリバリーの各キー」は前者の「購入形式を指定する操作を受け付ける第1の受付手段」に相当する。
後者の「PLUを登録するためにハードPLUキーを押すか商品に添付されているバーコードをスキャンするか,PLUコードを入力すること」は前者の「商品コードの入力を受け付ける第2受付手段」に相当する。
後者の「グループフラグ[GF-2,G,F,E]により,イートイン,テイクアウトまたはデリバリーなどの販売方法に従って,税制措置を変更でき,例えば,税率7%は食べ物アイテムの持ち出しのみに使用され,それ以外は常に16%であ」ることは前者の「前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での比率とが対応付けられて設定された税率設定情報」に相当する。
後者の「飲み物アイテムおよび食べ物アイテムの両方が16%の税率に基づいて税額を算出したイートインのレシートと,飲み物アイテムが16%,食べ物アイテムが7%の税率に基づいて税額を算出したテイクアウトおよびデリバリーのレシートとが開示され」ていることは前者の「前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて前記第2受付手段で受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を算出する算出手段」に相当する。
後者の「レシートの例には,税率の特定にかかる条件である税区分であるイートインとテイクアウトおよびデリバリーのいずれかと,イートインの場合には,それぞれの商品名,それぞれの商品の税込価格,税込の合計価格,本体価格の合計と税額の合計が表示され,テイクアウトとデリバリーの場合には,それぞれの商品名,それぞれ商品の税込価格,税込の合計価格,飲み物に対する本体価格の合計と税額の合計及び食べ物に対する本体価格の合計と税額の合計が表示されて」いることと,前者の「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段」とは,「前記商品に関する情報を表示する表示手段」において共通する。
後者の「すべてのモードで同じ価格レベルが使用されている場合,取引中にイートイン,テイクアウト,デリバリーを変更でき,この変更後に,食べ物アイテムの税額を,変更後の税率に基づいて算出し,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷される,装置」と,前者の「前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する商品データ処理装置」とは,「前記算出手段は,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,前記第2受付手段が受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する商品データ処理装置」において共通する。
そうすると,両者は,
「購入形式を指定する操作を受け付ける第1受付手段と,
商品コードの入力を受け付ける第2受付手段と,
前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での税率とが対応付けて設定された税率設定情報から,前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて前記第2受付手段で受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を算出する算出手段と,
前記商品に関する情報を表示する表示手段と,
を備え,
前記算出手段は,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,前記第2受付手段が受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する商品データ処理装置。」の点で一致し,以下の各点で相違すると認められる。
<相違点>
本件発明1では,表示手段が「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段」であり,「前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」のに対して,引用発明1-1では,「レシートの例には,税率の特定にかかる条件である税区分であるイートインとテイクアウトおよびデリバリーのいずれかと,イートインの場合には,それぞれの商品名,それぞれの商品の税込価格,税込の合計価格,本体価格の合計と税額の合計が表示され,テイクアウトとデリバリーの場合には,それぞれの商品名,それぞれ商品の税込価格,税込の合計価格,飲み物に対する本体価格の合計と税額の合計及び食べ物に対する本体価格の合計と税額の合計が表示されており,すべてのモードで同じ価格レベルが使用されている場合,取引中にイートイン,テイクアウト,デリバリーを変更でき,この変更後に,食べ物アイテムの税額を,変更後の税率に基づいて算出し,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷される」点。
<相違点についての判断>
引用発明1-1のレシートの例には,商品に関する情報は表示されているが,「税率に関する情報」は表示されていない上に,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷されるから,前記算出手段は,「前記表示手段による表示の後,」前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,「この操作後に」前記第2受付手段が受け付けた「新たな」前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出するものではない。
そうすると,上記相違点は,実質的な相違点であるから,本件発明1は,引用発明1-1ではない。
イ.本件発明2~5について
本件発明2~5は,本件発明1の発明特定事項をすべて含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本件発明1と同様の理由により,本件発明2~5は,引用発明1-1ではない。
ウ.本件発明6について
引用例1の装置が商品データ処理装置としてコンピュータを使用していること(以下「構成A」という。)及び,引用例1の装置がプログラムによって作動していること(以下「構成B」という。)は自明である。
引用発明1-1に上記構成A,構成Bを併せてプログラムとして特定した発明を引用発明1-6とする。
本件発明6と引用発明1-6とを対比すると,本件発明1と引用発明1-1との対比における相違点と同じ相違点で相違し,残余の点で一致する。
そうすると,本件発明6は,本件発明1と同様の理由により,引用発明1-6ではない。
そして,上記相違点について検討すると,上述したように,引用発明1-1では,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷されるから,レシートの印刷による表示は,最後に選択したモードとなる購入形式を変更する操作の前にされることはあり得ない。
そうすると,引用発明1-6も同様に,レシートの印刷による表示は,最後に選択したモードとなる購入形式を変更する操作の前にされることはあり得ないから,引用発明1-6に基いて相違点に係る本件発明6の発明特定事項とすることには阻害要因があるといえる。
よって,本件発明6は,引用発明1-6に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)引用例2を主引用発明とする理由について
ア.本件発明1について
本件発明1と引用発明2-1とを対比する。
後者の「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーで購入形式を指定する操作ができること」の「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キー」は前者の「購入形式を指定する操作を受け付ける第1受付手段」に相当する。
後者の「ステップS2にて,このキー入力が商品登録キー4aの操作であることを判定すると,ステップS3の処理となり,このときキーボード入力回路14から出力される商品コードでPLUテーブル13bを検索し,対応する品名,金額を販売登録ファイル13aに格納」するとの「商品登録キー4a」は,前者の「商品コードの入力を受け付ける第2受付手段」に相当する。
後者の「取り出した品名,金額を表示バッファ及びプリントバッファにも格納し,表示制御回路15及びプリンタ制御回路16を駆動して,品名,個数,金額をレシートにプリントアウトすると共に,表示器3には品名,個数,金額を示す画面を表示すること」と前者の「前記商品に関する情報と前記税率に関する情報とを表示する表示手段」とは,「前記商品に関する情報を表示する表示手段」において共通する。
後者の「飲食店の場合,商品を店内で飲食するのと持ち帰るのとでは税率が異なるために,合計時に客の希望に応じて「EAT IN」キーおよび「TAKE OUT」キーを操作するものであり,算出した合計金額に税率をかけて客の支払い金額を演算すること」と,前者の「前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での税率とが対応付けて設定された税率設定情報から,前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて前記第2受付手段で受け付けた前記商品コードに対応する商品の税額を算出する算出手段」とは,「前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での税率とが対応付けて設定された税率設定情報から,前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて税額を算出する算出手段」において共通する。
図5のフローチャートからみて,ステップS3の処理の後にステップS21やステップS23が行われることは明らかであるから,後者の「ステップS3の処理となり,このときキーボード入力回路14から出力される商品コードでPLUテーブル13bを検索し,対応する品名,金額を販売登録ファイル13aに格納し,取り出した品名,金額を表示バッファ及びプリントバッファにも格納し,表示制御回路15及びプリンタ制御回路16を駆動して,品名,個数,金額をレシートにプリントアウトすると共に,表示器3には品名,個数,金額を示す画面を表示すること」,「ステップ23にて「預/現計」キーが操作されて精算業務を行う前に,ステップ21にて「EAT IN」または「TAKE OUT」キーの操作を複数回実行できる」ことと,前者の「前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」こととは,「前記算出手段は,前記表示手段の表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付ける」ことにおいて共通する。
後者の「販売登録装置」は前者の「商品データ処理装置」に相当する。
そうすると,両者は,
「購入形式を指定する操作を受け付ける第1受付手段と,
商品コードの入力を受け付ける第2受付手段と,
前記購入形式ごとに区分された税区分と,当該税区分での税率とが対応付けて設定された税率設定情報から,前記第1受付手段で受け付けた購入形式の税区分に対応する税率を特定し,当該税率に基づいて税額を算出する算出手段と,
前記商品に関する情報を表示する表示手段と,
を備え,
前記算出手段は,前記表示手段による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付ける,
商品データ処理装置。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。
<相違点1>
当該税率に基づいて税額を算出する算出手段に関して,本件発明1では,当該税率に基づいて「前記第2受付手段で受け付けた前記商品コードに対応する商品の」税額を算出する算出手段であるのに対して,引用発明2-1では,「算出した合計金額に税率を掛けて客の支払い金額を演算する」ものであり,商品ごとに税額を算出できるものであるのか否かが不明である点。
<相違点2>
本件発明1では,前記商品に関する情報と「前記税率に関する情報」を表示する表示手段を備え,前記算出手段は,「前記表示手段」による表示の後,前記第1受付手段が購入形式を変更する操作を受け付けたことを条件に,「この操作後に前記第2受付手段が受け付けた新たな前記商品コードに対応する商品の税額を,変更後の購入形式の税区分に対応する税率に基づいて算出する」のに対して,引用発明2-1では,「品名,個数,金額を示す画面を表示する」「表示器3」を備え,「表示器3」による「品名,個数,金額を示す画面を表示」した後,「ステップ23にて「預/現計」キーが操作されて精算業務を行う前に,ステップ21にて「EAT IN」または「TAKE OUT」キーの操作を複数回実行できる」ものの,それ以上の特定はなされていない点。
<相違点1について>
商品ごとの税額を算出した上で個別の税額を合算するのか,合計金額に税率を掛けて全体の税額を算出するのか,といった違いは,処理の順番の違いに過ぎず,技術の具体的適用に伴う設計変更に過ぎない。
また,引用例3の段落【0021】には,「販売登録部27は,商品コード受付部25が受け付けた商品コードで特定される商品の売登録を行う。具体的には,商品コード受付部25が受け付けた商品コードを通信I/F23を介してストアサーバ4に問い合わせ,その商品コードに対して商品マスタMに設定されている商品名や価格を取得する。次いで,取得した価格と,税種別判別部26が取得した「税率」とをもとに税込み価格を算出する。また,取得した価格と,税種別判別部26が取得した「税額算出式」とをもとに,商品にかかる税額(販売時に商品の価格に課す税額,商品の価格に予め課されている税額等)を算出する。次いで,販売登録部27は,商品名,価格,税込み価格(販売価格),商品にかかる税額を販売された商品の情報として登録する。」との記載がある。
すなわち,引用例3には,商品ごとに税率を特定し,その税率に基づいて商品の税額を算出することが記載されている。
そして,引用発明2-1と引用例3に記載された事項とはいずれも販売登録装置に関するものであり,商品に係る税額等を算出するものであり,引用発明2-1に引用例3に記載された事項を適用して,上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が適宜なし得る事項である。
<相違点2ついて>
引用例2の第5図のフローチャートを参照すると,商品登録をした商品の全体の金額(値引き,割引きがあれば,その処理を行った後に)に購入形式による税率をかけることにより,税額を算出するものであり,ステップS3の「表示器3」により「品名,個数,金額を示す画面を表示」する際には,「EAT IN」または「TAKE OUT」キーの操作(購入形式の指定)がされていないので,「税率に関する情報を表示すること」はできない。
一方,引用例3のPOS端末が実行する動作の手順を示すフローチャートである図8には,現計キーが押下されるかを問う(S8)前にS7として「店員用ディスプレイ,客用ディスプレイに商品名,税込み価格,税率等を表示」することが記載されており,引用例3には,「商品に関する情報と税率に関する情報を表示する表示手段」について記載されているといえる。
しかしながら,引用例3は,予め商品と税率が紐付けられていることを前提としており,引用例3に「商品に関する情報と税率に関する情報を表示する表示手段」が記載されてはいても,商品登録に先だって,購入形式の指定を行うことは,引用例2,3には記載されていないし,引用例2において,商品登録と購入形式の指定の順序を変えようとする積極的な動機付けの示唆もないから,引用発明2-1に引用例3に記載された事項を適用しても,相違点2における本件発明1の構成には至らない。
したがって,本件発明1は,引用発明2-1,引用例2に記載された事項,及び,引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ.本件発明2~5について
本件発明2~5は,本件発明1の発明特定事項をすべて含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本件発明1と同様の理由により,本件発明2~5は,引用発明2-1, 引用例2に記載された事項,及び,引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.本件発明6について
(ア)引用例2に係る販売登録システムは,CPUにより処理を実行するものである。
よって,「商品データ処理装置のコンピュータを,」という構成は,引用例2に記載されている。
(イ)引用例2記載の装置がプログラムによって作動していることは明らかである。
(ウ)上記引用発明2-1に上記(ア),(イ)を併せてプログラムとして特定した発明を引用発明2-6とする。
本件発明6と引用発明2-6とを対比すると,本件発明1と引用発明2-1との対比と同様の<相違点1><相違点2>で相違し,残余の点で一致する。
(エ)相違点についての検討は,(2)ア.と同様である。
(オ)したがって,本件発明6は,引用発明2-6,引用例2に記載された事項,及び,引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知においては,本件発明1~5は,引用発明1-1により,新規性がないとされたが,引用発明1-1に基いて,当業者が容易に発明をすることができたか否かという特許異議申立理由は検討されていない。
そこで,以下,その点について検討する。
1.本件発明1について
第4.3.(1)アにおいて述べたように,引用発明1-1では,最後に選択したモードがレシートヘッダーとして印刷されるため,レシートの印刷による表示は,最後に選択したモードとなる購入形式を変更する操作の前にされることはあり得ないから,引用発明1-1に基づいて相違点に係る本件発明1の発明特定事項とすることには,阻害要因があるといえる。
よって,本件発明1は,引用発明1-1に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2.本件発明2~5は,本件発明1の発明特定事項をすべて含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本件発明1と同様の理由により,本件発明2~5は,引用発明1-1に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6.むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
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2020-700091