特許訂正審判
2020-390099
回転軸の角度較正方法および角度較正プログラム
- 審判番号
- 2020-390099
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-100567
- 登録番号
- 特許第6416983号(P6416983)
- 請求日
- 2020年10月23日
- 審決日
- 2021年01月07日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ファナック 株式会社
- 【請求人代理人】上田 邦生
- 【請求人代理人】柳 順一郎
- 【請求人代理人】小栗 眞由美
- 【請求人代理人】竹内 邦彦
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 岸 智史
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P141 .852-Y (G01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6416983号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6416983号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6416983号は、平成29年5月22日に出願された特願2017-100567号の請求項1~3に係る発明について、平成30年10月12日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和2年10月26日に本件訂正審判の請求がされた。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6416983号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものであって、その訂正の内容は、次の訂正事項からなる。なお、下線部は訂正箇所を示す。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度」と記載されているのを、「前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度」と記載されているのを、「前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0006】及び【0010】のそれぞれに「前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度」と記載されているのを、「前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1の記載は、次のとおりである(ア~オは、記載を分説するために当審が付した。)。
「【請求項1】
ア 複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、
イ 前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、
ウ 前記第1の回転軸を回転させ、
エ 前記制御部において、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出し、
オ 算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する回転軸の角度較正方法。」
アの記載から、「較正用角度センサ」が取り付けられるのは「第1の回転軸」であることが理解でき、ウ及びオの記載から、「第1の回転軸」を回転させて算出した「第1角度」と「第2角度」の「差分」を「第1の回転軸」の回転角度の較正値とすることが理解できる。
エにおいて、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」は「第2の回転軸」の角度であるとしているが、請求項1に係る発明が「角度較正方法」の発明であることからして、「第1の回転軸」の回転角度の検出値を校正するために、当該軸とは異なる「第2の回転軸」の回転を検出することは、あり得ないことであって、エの記載がその他の記載との整合性を著しく欠いていて、誤記があり、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」が「第1の回転軸」の角度であるとするのが正しい記載であることは、当業者には明らかである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項3の記載は、次のとおりである(カ~コは、記載を分説するために当審が付した。)。
「【請求項3】
カ 複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、
キ 前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、
ク 前記第1の回転軸を回転させたときに、
ケ 前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出する差分算出ステップと、
コ 該差分算出ステップにより算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する記憶ステップとをコンピュータに実行させる角度較正プログラム。」
前記(1)における検討と同様にして、ケにおいて、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」が「第2の回転軸」の角度であるとする記載が誤記を含み、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」が「第1の回転軸」の角度であるとするのが正しい記載であることは、当業者には明らかである。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
(3)訂正事項3
訂正前の明細書の段落【0006】及び【0010】の記載は、それぞれ次のとおりである。
「【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させ、前記制御部において、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出し、算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する回転軸の角度較正方法を提供する。」
「【0010】
本発明の他の態様は、複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させたときに、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出する差分算出ステップと、該差分算出ステップにより算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する記憶ステップとをコンピュータに実行させる角度較正プログラムを提供する。」
訂正事項3は、訂正前の請求項1及び3の引き写しがそれぞれ記載された訂正前の明細書の段落【0006】及び【0010】の記載について、それぞれ訂正事項1及び2と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
2 新規事項の追加の有無について
前記1で検討したとおり、訂正事項1~3による訂正は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1~3による訂正は、特許法126条5項の規定に適合するものである。
3 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の有無について
前記1で検討したとおり、訂正事項1~3による訂正は、誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1~3による訂正は、特許法126条6項の規定に適合するものである。
4 独立特許要件について
訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び3のいずれにも、「前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し」と記載されているところ、この記載は、「較正用角度センサ」が何に「接続」されるかが、一見すると不明瞭であるようにも思われる。
しかしながら、訂正後の請求項1及び3の記載全体を参酌すると、「較正用角度センサ」は「制御部」に「接続」され、上記「前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し」という記載が、「前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサの出力配線に代えて前記較正用角度センサの出力配線を制御部に接続し」の意味であることは、当業者には明らかである(明細書の段落【0015】の「第2の回転テーブルを回転させるモータ(以下、第2のモータという。)3に備えられているエンコーダ7と制御部6とを接続する配線9を取り外し、これに代えて、較正用角度センサ8の出力配線10を制御部に接続するステップS2」という記載も参照。)。したがって、訂正後の請求項1及び3の記載は、発明を明確に把握できる程度には明瞭であって、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
そして、訂正事項1及び2による訂正後の請求項1~3に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
また、訂正事項3による訂正後の請求項1~3に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
したがって、訂正事項1~3による訂正は、特許法126条7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条5項から7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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