2020-390027
糸を製造する装置および方法
- 審判番号
- 2020-390027
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2009-542691外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月02日
- 審決日
- 2020年09月15日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ザ メリノ カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】宮崎 昭夫
- 【請求人代理人】緒方 雅昭
- 分類
- P141 .851-Y (D01H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条、特許法第36条第4項第1号、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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本件訂正審判に係る特許第4782874号(以下「本件特許」という。)の請求項1~19に係る特許についての出願は、2007年(平成19年)12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年12月22日(NZ)ニュージーランド)を国際出願日とする出願であって、平成23年7月15日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成23年9月28日)がされ、令和2年4月2日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判は「特許第4782874号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16~19について訂正することを認める」ものであり、その訂正の内容は、本件特許に係る特許請求の範囲を、次のように訂正するものである。
なお、訂正後の請求項16~19に係る発明については、以下「本件訂正発明16~19」といい、訂正事項については、訂正箇所に下線を付して示す。
<訂正事項1>
特許請求の範囲の請求項16に「糸が巻かれる巻き取りホルダの回転速度を制御する駆動システムであって、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」と記載されているのを、「糸が巻かれる巻き取りホルダの回転速度を制御する駆動システムであって、糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」に訂正する(請求項16の記載を引用する請求項17~19も同様に訂正する)。
第3 当審の判断
1 一群の請求項
訂正前の請求項17~19は、訂正前の請求項16を直接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項16に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求は、特許法第126条第3項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。
2 訂正の目的の適否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項16の「糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」としていたものを、撚りステージを出た後の糸の状態について限定し、「糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」と限定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
3 新規事項の有無
本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)には、
「撚られたストランドに作用する張力を制御することによって、実質的にむらのない撚り構造を有する糸を製造することができるだけではなく、糸の用途に応じて特定の糸構造/撚りプロフィールを有する様々な種類の糸を製造することができる。」(段落[0009])
「往復運動する撚りステージ6は、1対の回転ローラ6a,6b(図3および図4を参照)を有しており、機械が動作すると、その一方または両方が、図3および図4中に矢印Bで示されるように、スライバの移動方向を横切って前後にも往復運動する。」(段落[0041])
「撚られたストランドが撚りローラから出た後に、セルフツイスト糸に作用する張力を変化させると、撚りプロフィール、糸構造、および糸の性質が変化することが見出された。特に、低い張力が作用した糸(低張力糸)は、撚りステージを出た後、巻き取りホルダに巻かれる前に、撚りステージを出た後に積極的に張られた糸(高張力糸)とは異なる糸構造を有することになることが見出された。」(段落[0052])
「撚りローラと巻き取りホルダとの間の糸の張力は、糸の中に蓄えられているトルクの大きさに影響し、それが糸の撚りプロフィールに影響し、特に糸内の撚られたストランドが互いに自撚りするように影響する。そのため、本発明の利点は、糸の張力を変化、制御することによって、様々な撚りプロフィール、それゆえ様々な糸構造を有する様々な糸を製造できるということであり、そのようにして目的とする特有の糸を製造できる。」(段落[0064])
「糸を1つ以上の巻き取りホルダに巻き取る直線速度が、ストランドが1つ以上の撚りローラから出る直線速度よりも、約0.1%から5%の間、より好ましくは約0.25%から3%の間、最も好ましくは約0.5%から2%高くなるように、駆動システムは、1つ以上の巻き取りホルダを駆動するようになっていることが好ましい。」(段落[0024])
と記載されている。
そして、糸が巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度を、ストランドが1つ以上の撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、巻き取りホルダを駆動すれば、糸が撚りステージを出た後に積極的に張られることは自明なことであるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
4 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1によって本件訂正発明の「糸を製造する装置」の技術的事項は減縮されており、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
5 独立特許要件について
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなくてはならない。
そして、訂正事項1については、本件訂正発明の「糸を製造する装置」について、「糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動する」ものに限定するものであり、訂正事項1に係るこの限定により、特許要件(特許法第29条柱書、第29条第1項、第29条第2項、第29条の2、第32条、第39条第1項~第4項)の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、本件訂正により特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
したがって、本件訂正発明16~19は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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