2020-017875
集積回路、制御装置、情報配信方法及び情報配信システム
- 審判番号
- 2020-017875
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-254788外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月28日
- 審決日
- 2021年10月25日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第164条、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1.手続の経緯
本願は,平成29年12月28日の出願であって,
平成31年2月12日付けで審査請求がなされ,令和2年1月29日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して令和2年4月6日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,令和2年9月18日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して令和2年12月28日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,令和3年3月10日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。
第2.令和2年12月28日付けの手続補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和2年12月28日付け手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
令和2年12月28日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,令和2年4月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】プログラムに従って動作する制御部と,電源が供給されている間,集積回路の物理的特性に固有であるPUF情報を出力するPUF情報出力部と,電源が供給されている間,前記PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部と,続きを表示(全56行)前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部と,外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部と,を備え,前記キーペア出力部は,電源が供給されている間,生成した前記公開鍵を前記公開鍵送信部に出力し,かつ,生成した前記秘密鍵を前記共有暗号鍵復号部に出力している,集積回路。【請求項2】前記公開鍵送信部は,外部から公開鍵要求メッセージを受信した場合に,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を外部に送信し,前記復号部は,外部から復号要求メッセージを受信した場合に,外部から受信した前記被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する請求項1に記載の集積回路。【請求項3】前記復号部は,前記被暗号化情報として,保護対象情報を暗号化する共有暗号鍵を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する請求項1又は請求項2に記載の集積回路。【請求項4】不揮発性メモリを更に備え,前記制御部は,外部から公開鍵要求メッセージを受信した場合に,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を前記不揮発性メモリに記録し,外部から復号要求メッセージを受信した場合に,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵が,前記不揮発性メモリに記録された前記公開鍵と一致するか否かを判定し,当該判定の結果に基づいて,前記キーペア出力部から前記秘密鍵が正しく出力されているか否かを判定する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の集積回路。【請求項5】前記PUF情報出力部は,外部から復号要求メッセージを受信した場合において,前記キーペア出力部から正しい前記秘密鍵が出力されていない場合に,出力している前記PUF情報の一部を変更してなる変更後PUF情報を出力し,前記キーペア出力部は,前記変更後PUF情報に基づく変更後公開鍵及び変更後秘密鍵を出力し,前記制御部は,前記キーペア出力部から出力されている前記変更後公開鍵が,前記不揮発性メモリに記録された前記公開鍵と一致するか否かを判定し,前記復号部は,前記変更後公開鍵が,前記不揮発性メモリに記録された前記公開鍵と一致する場合に,外部から受信した前記被暗号化情報を,前記変更後秘密鍵で復号する請求項4に記載の集積回路。【請求項6】不正な干渉を検知する耐タンパ検知部と,前記不正な干渉が検知された場合に,電源の供給を遮断する電源管理部と,を更に備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載の集積回路。【請求項7】請求項1から請求項6の何れか一項に記載の集積回路を具備する制御装置。【請求項8】請求項1から請求項6の何れか一項に記載の集積回路に情報を配信する情報配信方法であって,情報配信装置が,前記集積回路の出荷前の段階において,前記集積回路に向けて,PUF情報に基づく公開鍵を外部に送信させるための公開鍵要求メッセージを送信するステップと,前記情報配信装置が,前記集積回路から受信した前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を生成するステップと,前記情報配信装置が,前記集積回路の出荷後の段階において,前記集積回路に向けて,前記被暗号化情報と,前記PUF情報に基づく前記秘密鍵で前記被暗号化情報を復号させるための復号要求信号を送信するステップと,を有する情報配信方法。【請求項9】請求項1から請求項6の何れか一項に記載の集積回路と,情報配信装置と,を備え,前記情報配信装置は,前記集積回路から受信した前記公開鍵を記録し,記録した前記公開鍵を用いて前記被暗号化情報を生成するとともに,前記集積回路に対し,当該被暗号化情報を配信する情報配信システム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】プログラムに従って動作する制御部と,電源が供給されている間,集積回路の物理的特性に固有であるPUF情報を出力するPUF情報出力部と,電源が供給されている間,前記PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部と,続きを表示(全54行)前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部と,外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部と,不正な干渉を検知する耐タンパ検知部と,前記不正な干渉が検知された場合に,前記PUF情報出力部,前記キーペア出力部,および,自機が有する揮発性メモリへの電源の供給を遮断する電源管理部と,を備え,前記キーペア出力部は,電源が供給されている間,生成した前記公開鍵を前記公開鍵送信部に出力し,かつ,生成した前記秘密鍵を前記復号部に出力している,集積回路。【請求項2】前記公開鍵送信部は,外部から公開鍵要求メッセージを受信した場合に,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を外部に送信し,前記復号部は,外部から復号要求メッセージを受信した場合に,外部から受信した前記被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する請求項1に記載の集積回路。【請求項3】前記復号部は,前記被暗号化情報として,保護対象情報を暗号化する共有暗号鍵を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する請求項1又は請求項2に記載の集積回路。【請求項4】不揮発性メモリを更に備え,前記制御部は,外部から公開鍵要求メッセージを受信した場合に,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を前記不揮発性メモリに記録し,外部から復号要求メッセージを受信した場合に,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵が,前記不揮発性メモリに記録された前記公開鍵と一致するか否かを判定し,当該判定の結果に基づいて,前記キーペア出力部から前記秘密鍵が正しく出力されているか否かを判定する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の集積回路。【請求項5】前記PUF情報出力部は,外部から復号要求メッセージを受信した場合において,前記キーペア出力部から正しい前記秘密鍵が出力されていない場合に,出力している前記PUF情報の一部を変更してなる変更後PUF情報を出力し,前記キーペア出力部は,前記変更後PUF情報に基づく変更後公開鍵及び変更後秘密鍵を出力し,前記制御部は,前記キーペア出力部から出力されている前記変更後公開鍵が,前記不揮発性メモリに記録された前記公開鍵と一致するか否かを判定し,前記復号部は,前記変更後公開鍵が,前記不揮発性メモリに記録された前記公開鍵と一致する場合に,外部から受信した前記被暗号化情報を,前記変更後秘密鍵で復号する請求項4に記載の集積回路。【請求項6】請求項1から請求項5の何れか一項に記載の集積回路を具備する制御装置。【請求項7】請求項1から請求項5の何れか一項に記載の集積回路に情報を配信する情報配信方法であって,情報配信装置が,前記集積回路の出荷前の段階において,前記集積回路に向けて,PUF情報に基づく公開鍵を外部に送信させるための公開鍵要求メッセージを送信するステップと,前記情報配信装置が,前記集積回路から受信した前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を生成するステップと,前記情報配信装置が,前記集積回路の出荷後の段階において,前記集積回路に向けて,前記被暗号化情報と,前記PUF情報に基づく前記秘密鍵で前記被暗号化情報を復号させるための復号要求信号を送信するステップと,を有する情報配信方法。【請求項8】請求項1から請求項5の何れか一項に記載の集積回路と,情報配信装置と,を備え,前記情報配信装置は,前記集積回路から受信した前記公開鍵を記録し,記録した前記公開鍵を用いて前記被暗号化情報を生成するとともに,前記集積回路に対し,当該被暗号化情報を配信する情報配信システム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。
2.補正の適否
本件手続補正は,補正前の請求項1に記載の集積回路を,補正前の請求項6に記載の構成で限定すると共に,補正前の請求項6を削除し,それに関連して,補正前の請求項7以降の項番を修正するものであるから,特許法17条の2第3項~第5項の規定を満たすものである。
そこで,本件手続補正が,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際,独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。
(1)本件補正発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」に引用した,次のとおりのものである。
「プログラムに従って動作する制御部と,電源が供給されている間,集積回路の物理的特性に固有であるPUF情報を出力するPUF情報出力部と,電源が供給されている間,前記PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部と,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部と,外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部と,不正な干渉を検知する耐タンパ検知部と,前記不正な干渉が検知された場合に,前記PUF情報出力部,前記キーペア出力部,および,自機が有する揮発性メモリへの電源の供給を遮断する電源管理部と,を備え,前記キーペア出力部は,電源が供給されている間,生成した前記公開鍵を前記公開鍵送信部に出力し,かつ,生成した前記秘密鍵を前記復号部に出力している,集積回路。」
(2)引用文献に記載の事項
ア.原審における令和2年1月29日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2007-215104号公報(平成19年8月23日公開,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
A.「【0155】
次に,図18を用いて,子機9の出荷前処理から設置までの手順の全体構成について説明する。図中に手順の順序を括弧にて示してあり,以下,この順序に従って説明していく。なお,機器7は,既に情報処理システム1に設置されているものとする。
また,手順(1)から手順(4)までは,子機9の設置前(好ましくは顧客への出荷前)に行う作業である。
(1)(子機秘密鍵と子機公開鍵の非対称暗号鍵ペアの生成)
子機9のハードウェアが完成すると,作業担当者が子機9を操作して非対称暗号鍵生成プログラムを実行し,耐タンパ部20内でCPU21に子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる。
そして,子機9は,生成した子機秘密鍵をEEPROM25の所定のエリアに記憶する。」
B.「【0157】
(5)(接続要求)
子機9は,出荷された後,設置担当者によって設置箇所に設置される。機器7と子機9が無線通信できる範囲は限られているので,子機9は,親機となる機器7との通信範囲内(例えば,機器7から半径百メートルの範囲)に設置される。
子機9では,設置箇所に設置された後,設置担当者によって接続要求プログラムが起動される。
【0158】
子機9は,接続要求プログラムが起動すると,通信範囲内にある機器7を検出する。
そして,子機9は,検出された機器7に対して接続要求を行い,子機証明書を機器7に送信する。このように子機9は,暗号化子機公開鍵(子機証明書に含まれている)送信手段を備えている。
機器7が複数検出された場合,子機9は,例えば,各機器7の機器IDを取得して表示装置に表示し,設置担当者に接続する機器7を選択させる。」
C.「【0164】
(9)(機器7への子機公開鍵の送信)
顧客サーバ4は,検証サーバ5から子機公開鍵を受信すると,これを機器7に転送する。
(10)(共通鍵の送信)
機器7は,顧客サーバ4から子機公開鍵を受信し(子機公開鍵受信手段),これをRAM24に一時記憶する。そして,機器7は,乱数を発生させるなどして共通鍵を生成し,これを一時記憶しておいた子機公開鍵で暗号化して子機9に送信する。
子機9は,機器7からこの暗号化共通鍵を受信し,これを子機秘密鍵で復号化して共通鍵を復元する。
以後,機器7と子機9は,この共通鍵を用いて情報を暗号化し,通信する。即ち,機器7と子機9のうち,情報送信側は,共通鍵で情報を暗号化して送信し,情報受信側は,共通鍵で情報を復号化する。
【0165】
なお,以上の例では,機器7は顧客サーバ4を介して検証サーバ5に暗号化子機公開鍵証明書を送信し,更に顧客サーバ4を介して子機公開鍵を受信したが,これに限定するものではなく,例えば,機器7が検証サーバ5と接続し,機器7から検証サーバ5に暗号化子機公開鍵証明書を直接送信し,また,子機公開鍵の受信も検証サーバ5から直接行うように構成することもできる。」
イ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,米国特許出願公開第2015/0188707号明細書(2015年7月2日公開,以下,これを「引用文献2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
D.「[0041] SoC 100 includes a hardware-programmable logic unit 110 in the form of a field programmable gate array FPGA, a processor unit 130, and an external memory 120, or a memory unit 120, in particular in the form of a flash memory.
[0042] So-called enrollment firmware is loaded into FPGA 110 in a first step 201. Hardware of FPGA 110 is appropriately configured in the process. This enrollment firmware contains a physical unclonable function (PUF) unit 111, an auxiliary data generator 112, a private key generator 113, and a public key generator 114. PUF unit 111 is configured for carrying out a physical unclonable function (PUF).
[0043] In a step 202, auxiliary data generator 112 generates auxiliary data which are needed for carrying out the physical unclonable function by PUF unit 111. In particular, an error correction may be made with the aid of these auxiliary data. An error of the PUF keys due to various temperature and voltage fluctuations may be compensated for with the aid of such an error correction.
[0044] In step 203, private key generator 113 generates a private PUF key with the aid of the auxiliary data and the physical unclonable function executed by PUF unit 111. Public key generator 114 generates a public PUF key with the aid of this private PUF key.」
([0041] SoC100は,FPGA形式のハードウェア-プログラマブル論理ユニット110,プロセッサ・ユニット130,及び,外部メモリ120,あるいは,メモリ・ユニット120,特に,フラッシュメモリ形式の,メモリ・ユニットを有している。
[0042] いわゆる登録ファームウェアが,最初のステップ201において,FPGA110にロードされる。FPGA110のハードウェアは,プロセスにおいて,適切に構築される。この登録ファームウエアは物理複製困難関数(PUF)ユニット111,補助データ生成器112,プライベート鍵生成器113,及び,公開鍵生成器114を含んでいる。PUFユニット111は,物理複製困難関数(PUF)を実行するよう構成されている。
[0043] ステップ202において,補助データ生成器112は,PUFユニット111において,物理複製困難関数を実行するために必要とされる,補助データを生成する。
特に,誤りの修正は,これら補助データを用いてされる。種々の温度と,電圧変動によるPUF鍵のエラーは,このような誤りの修正を活用して補償される。
[0044] ステップ203において,プライベート鍵生成器113は,補助データと,PUFユニット111によって実行される物理複製困難関数を活用して,プライベートPUF鍵を生成する。公開鍵生成器114は,プライベートPUF鍵を活用して,公開PUF鍵を生成する。<当審にて訳出,以下,同じ。>)
ウ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特表2017-511095号公報(公表日;平成29年4月13日,以下,これを「引用文献3」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
E.「【0024】
図1は,一態様によりインスタント公開キーとインスタント個人キーを提供する認証装置を示すブロック図である。装置100は,少なくとも1つのプロセッサを含むコンピューティング端末の少なくとも一部分である。このコンピューティング端末は例示的なものであり,これに限定されないように,スマートフォン,タブレット,ラップトップ,汎用コンピュータ,サーバ,又は,暗号化通信用専用端末などであってもよい。装置100は公開キー基盤暗号化アルゴリズム,例えば,RSAのような非対称キー暗号化アルゴリズムによる認証手続を行う。
【0025】
一態様によれば,装置100の生成部110は,RSAアルゴリズムに対応する電子署名が必要な場合に応答して,第1インスタント公開キー「E」を生成する。このような第1インスタント公開キーEの生成は,ランダムナンバー生成の過程で実行される。一方,生成されるEは3以上の奇数でなければならない。少数又は極めて大きい数である場合にも疑似-少数でなければならないためである。生成部110は,生成されたEが奇数であるか,その値が1ではないかを確認する。
【0026】
一方,一態様によれば,装置100にはランダムに発生する半導体工程偏差を用いてハードウェアフィンガープリントを提供するPUF(図示せず)が含まれている。半導体工程偏差を用いてPUFを実現する例は様々である。例示的に,半導体の伝導性レイヤ間に配置されるビア又はインターレイヤコンタクトのランダム形成-形成失敗の結果を用いてPUFが実現され,これを詳細に公開した’630特許の明細書が参考としてこの明細書に引用される。
【0027】
一方,このような例示的な状況で,PUFが提供しているハードウェアフィンガープリントは前記固定個人キー生成アルゴリズムに用いられる。装置が基本的に有する301固定個人キーp,qは少数であり,これを生成するとき固定個人キーp,qの候補値としてハードウェアフィンガープリントを用いる。この場合,ハードウェアフィンガープリント値と実際に生成された固定個人キーp,q値との差のみをメモリに記録すればよい。記録される値は,32-bitとして充分であるため,その値のみをもって本来の固定個人キーp,qを推測することができない。また,必要に応じて,ハードウェアフィンガープリント値から固定個人キー値を早く再生産することも可能である。
【0028】
一方,このような例示的な状況で,PUFが提供するハードウェアフィンガープリントは,前記ランダムナンバー生成アルゴリズムに用いられてもよい。例えば,ソフトウェア及び/又はハードウェアに動作するランダムナンバーアルゴリズムで求められるオリジナル値,又は,シードキー(seed key)としてハードウェアフィンガープリントを使用することができる。
【0029】
【数1】
E=random()
【0030】
上記の数式(1)によって第1インスタント公開キーEが生成されれば,算出部120は,RSA方式で規定された算出方式に基づいてアルゴリズムにより第1インスタント公開キーEを用いてEのRSA対である,言い換えれば,Eと対を成す第1インスタント個人キー「D」を算出する。
【0031】
【数2】
D=E-1mod(p-1)(q-1)
【0032】
このようにRSAアルゴリズムでキー発給過程の対象である,個人キー公開キーを直ちに生成及び算出することは次のような長所を有する。RSA方式で個人キーは{D,p,q}があり,相手側の機器に提供される公開キーは{E,N}がある。ここで,Nはpとqの積であり,DとEはD×E=1mod(p-1)(q-1) の関係が成立つ。他の機器や認証機関に伝えられるEやNとは異なって,認証装置の内部にのみ存在する(存在しなければならず)個人キー{D,p,q}はセキュリティー攻撃の対象となる。Dが第三者に露出されれば,直接的な電子署名の偽造が可能である。そして,Dを知らなくてもp及び/又はqの値を第三者が知ることになると,外部に公開されているEと共に用いてDを算出することもできるため,RSAの暗号化はこれ以上の価値がなくなる。」
エ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2003-337753号公報(平成15年11月28日公開,以下,これを「引用文献4」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
F.「【0026】図1は,本発明の第1の実施の形態の耐タンパ装置のブロック図を示す。
【0027】図1に示すように,本発明の第1の実施の形態の耐タンパ装置は,電池などの回路電源とは分離された電源供給手段1と,電源供給手段1よりの電源供給を制御する電源制御手段2と,カバーが開けられたことを検知する耐タンパスイッチなどの不正行為認識手段3と,メモリなどに代表されるデータ記憶手段4とから構成されている。
【0028】図2は,本発明の第1の実施の形態の耐タンパ装置の回路図を示す。
【0029】図2に示すように,メモリ電源11は図1に示す電源供給手段1に相当し,電源遮断電子スイッチ12は図1に示す電源制御手段2に相当し,耐タンパスイッチ13は図1に示す不正行為認識手段3に相当し,RAM14は図1に示すデータ記憶手段4に相当する。
【0030】以上のように構成された本発明の第1の実施の形態の耐タンパ装置について,図2を用いその動作を説明する。
【0031】図2に示すように,耐タンパスイッチ13がオフの状態のときには,電源遮断電子スイッチ12はオン状態となっており,メモリ電源11がRAM14に供給されている。なお,RAM14には事前にIDや暗号キーなどの大切な固有情報である予め定められたデータが書き込まれているものとする。メモリ電源11は,回路電源とは分離されている。
【0032】上記状態で動作しているときに,耐タンパスイッチ13がオンとなった場合には,電源遮断電子スイッチ12がオフ状態となり,RAM14への電源が遮断される。するとRAM14内のデータが徐々に消滅していき,事前に書き込まれていたIDや暗号キーなどの大切な固有情報を消すことができる。
【0033】以上,本発明の第1の実施の形態によれば,耐タンパスイッチが働くといった不正な行為が行われた場合は,回路電源の通電無通電に関係なく,メモリ電源を遮断しメモリ情報を消滅させ,大切な固有情報が第3者に不正に読み出されることを確実に防ぐことができる。」
オ.本願の出願前に既に公知である,特開2001-251293号公報(平成13年9月14日公開,以下,これを「周知文献」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
G.「【0011】コンピュータ本体の電源は攻撃検出装置との接続のため攻撃検出コネクタを追加し,攻撃検出コネクタが短絡されている状態を通常状態,解放されている状態を攻撃検出状態とする。コネクタが解放され攻撃検出状態になると,電源供給を強制的に終了する。
【0012】図3はBBRAMのブロック構成図である。BBRAMは従来の外部記憶装置に記憶していた電子暗号鍵を外部記憶装置に代わり記憶する装置である。このBBRAMは制御装置(9),記憶装置(10),バッテリー(11),攻撃検出コネクタ(12),ISAバス(13)から構成されている。BBRAMが動作するための電源はバッテリーまたはISAバスのどちらか片方からのみ供給される。両方からの電源が供給されない場合は記憶装置内の電子暗号鍵は消失する。攻撃検出コネクタは,攻撃検出コネクタが短絡されている状態を通常状態とし,解放されている状態を攻撃検出状態とする。攻撃検出コネクタにより外部攻撃が検出された場合も記憶装置内の電子暗号鍵を消失する。この攻撃検出コネクタは攻撃検出装置に接続される。」
(3)引用文献1に記載の発明
ア.上記Aの「子機9を操作して非対称暗号鍵生成プログラムを実行し,耐タンパ部20内でCPU21に子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる」という記載から,引用文献1に記載の「子機9」は,
“プログラムによって動作するCPU”と,“子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる生成手段”を有していることは明らかである。
イ.上記Bの「子機9は,検出された機器7に対して接続要求を行い,子機証明書を機器7に送信する。このように子機9は,暗号化子機公開鍵(子機証明書に含まれている)送信手段を備えている」という記載から,引用文献1に記載の「子機9」は,
“子機公開鍵を送信するための送信手段”を有している。
ウ.上記Cの「子機9は,機器7からこの暗号化共通鍵を受信し,これを子機秘密鍵で復号化して共通鍵を復元する」という記載から,引用文献1に記載の「子機9」は,
“受信した子機9の公開鍵で暗号化された情報を,子機9の秘密鍵で復号する復号手段”を有することは,明らかである。
エ.以上,上記ア.~上記ウ.において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。
「プログラムによって動作するCPUと,子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる生成手段と,子機公開鍵を送信するための送信手段と,受信した子機9の子機公開鍵で暗号化された情報を,子機9の子機秘密鍵で復号する復号手段と,を有する,子機9。」
(4)本件補正発明と引用発明との対比
ア.引用発明において,「CPU」が,「プログラムによって動作する」ということは,「CPU」が,「プログラムに従って動作する」ことに他ならないので,
引用発明における「CPU」が,
本件補正発明における「制御部」に相当し,
引用発明における「プログラムによって動作するCPU」が,
本件補正発明における「プログラムに従って動作する制御部」に相当する。
イ.引用発明において,「生成手段」が,「子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる」とは,当該「生成手段」が,「子機秘密鍵と子機公開鍵のペア」を「出力」していることに他ならず,そして,当該「出力」は,「電源が供給されている間」に行われることは,明らかであるから,
引用発明における「生成手段」が,
本件補正発明における「キーペア出力部」に相当し,
引用発明における「子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる生成手段」と,
本件補正発明における「電源が供給されている間,前記PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部」とは,
“電源が供給されている間,公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部」である点で共通する。
ウ.引用発明において,「送信手段」は,「子機公開鍵」を,外部に「送信」するためのものであるから,
引用発明における「子機公開鍵を送信するための送信手段」が,
本件補正発明における「前記キーペア部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部」に相当する。
エ.引用発明において,「復号手段」は,「生成手段」が生成した,「子機」の「公開鍵」で,外部から「子機」が受信した「暗号化された情報」を,同じく,「生成手段」が生成した,「子機秘密鍵」で復号するものであるから,
引用発明における「復号手段」が,
本件補正発明における「復号部」に相当し,
引用発明における「受信した子機9の子機公開鍵で暗号化された情報を,子機9の子機秘密鍵で復号する復号手段」が,
本件補正発明における「外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部」に相当する。
オ.そして,引用発明における「子機9」と,本件補正発明における「集積回路」とは,
「制御部」,「キーペア出力部」等を有する“デバイス”である点で共通する。
カ.以上,上記ア.~上記オ.において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。
[一致点]
プログラムに従って動作する制御部と,
電源が供給されている間,公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部と,
前記キーペア部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部と,
外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部と,を備える,デバイス。
[相違点1]
本件補正発明においては,「電源が供給されている間,集積回路の物理的特性に固有であるPUF情報を出力するPUF情報出力部」を有するのに対し,
引用発明においては,「PUF」について,特に言及されていない点。
[相違点2]
“公開鍵及び秘密鍵”について,
本件補正発明においては,「PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵」であるのに対して,
引用発明においては,「公開鍵及び秘密鍵」の生成において,「PUF」を使用するか否かについて,特に言及されていない点。
[相違点3]
本件補正発明においては,「不正な干渉を検知する耐タンパ検知部」と,「不正な干渉が検知された場合に,前記PUF情報出力部,前記キーペア出力部,および,自機が有する揮発性メモリへの電源の供給を遮断する電源管理部」とを,備えるものであるのに対して,
引用発明においては,「耐タンパ検知部」,及び,「電源管理部」については,特に言及されてない点。
[相違点4]
本件補正発明においては,「キーペア出力部は,電源が供給されている間,生成した前記公開鍵を前記公開鍵送信部に出力し,かつ,生成した前記秘密鍵を前記復号部に出力している」ものであるのに対して,
引用発明においては,そのような「キーペア」の「出力」について,特に言及されていない点。
(5)相違点についての当審の判断
ア.[相違点1]及び[相違点2]について
「PUF」を出力する点(「相違点1」)については,上記Dに引用した,引用文献2の段落[0042]に,「Hardware of FPGA 110 is appropriately configured in the process. This enrollment firmware contains a physical unclonable function (PUF) unit 111, an auxiliary data generator 112, a private key generator 113, and a public key generator 114. PUF unit 111 is configured for carrying out a physical unclonable function (PUF)(FPGA110のハードウェアは,プロセスにおいて,適切に構築される。この登録ファームウエアは物理複製困難関数(PUF)ユニット111,補助データ生成器112,プライベート鍵生成器113,及び,公開鍵生成器114を含んでいる。PUFユニット111は,物理複製困難関数(PUF)を実行するよう構成されている)」と記載され,上記Eに引用した,引用文献3の【0026】に,「装置100にはランダムに発生する半導体工程偏差を用いてハードウェアフィンガープリントを提供するPUF(図示せず)が含まれている。半導体工程偏差を用いてPUFを実現する例は様々である。例示的に,半導体の伝導性レイヤ間に配置されるビア又はインターレイヤコンタクトのランダム形成-形成失敗の結果を用いてPUFが実現され」と記載されてもいるように,本願の出願前に当業者には周知の技術事項であり,「PUF」を用いて,「秘密鍵」,及びそれと対になる「公開鍵」を生成する点についても,上記Dに引用した,引用文献2の段落[0044]に,「private key generator 113 generates a private PUF key with the aid of the auxiliary data and the physical unclonable function executed by PUF unit 111. Public key generator 114 generates a public PUF key with the aid of this private PUF key(プライベート鍵生成器113は,補助データと,PUFユニット111によって実行される物理複製困難関数を活用して,プライベートPUF鍵を生成する。公開鍵生成器114は,プライベートPUF鍵を活用して,公開PUF鍵を生成する)」と記載され,上記Eに引用した,引用文献3に,
「【0028】一方,このような例示的な状況で,PUFが提供するハードウェアフィンガープリントは,前記ランダムナンバー生成アルゴリズムに用いられてもよい。例えば,ソフトウェア及び/又はハードウェアに動作するランダムナンバーアルゴリズムで求められるオリジナル値,又は,シードキー(seed key)としてハードウェアフィンガープリントを使用することができる。【0029】【数1】E=random()【0030】上記の数式(1)によって第1インスタント公開キーEが生成されれば,算出部120は,RSA方式で規定された算出方式に基づいてアルゴリズムにより第1インスタント公開キーEを用いてEのRSA対である,言い換えれば,Eと対を成す第1インスタント個人キー「D」を算出する」,
と記載されてもいるように,本願の出願前に当業者には周知の技術事項であった。
そして,引用発明においても,「秘密鍵」,「公開鍵」を生成する「生成手段」,及び,「プログラムによって動作するCPU」を有してして,少なくとも「CPU」が,電源が供給さえている間「PUF」を出力し得ることは明らかであるから,引用発明においても,「PUF」を出力し,当該,「PUF」を用いて,「秘密鍵」,「公開鍵」を生成するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点1],及び,[相違点2]は,格別のものではない。
イ.[相違点3]について
「不正な干渉を検知」した場合に,「電源」の供給を停止する点については,上記Fに引用した,引用文献4の段落【0027】に,「本発明の第1の実施の形態の耐タンパ装置は,電池などの回路電源とは分離された電源供給手段1と,電源供給手段1よりの電源供給を制御する電源制御手段2と,カバーが開けられたことを検知する耐タンパスイッチなどの不正行為認識手段3と,メモリなどに代表されるデータ記憶手段4とから構成されている」と記載され,同じく,上記Fに引用した,引用文献4の段落【0033】に,「耐タンパスイッチが働くといった不正な行為が行われた場合は,回路電源の通電無通電に関係なく,メモリ電源を遮断しメモリ情報を消滅させ,大切な固有情報が第3者に不正に読み出されることを確実に防ぐことができる」と記載され,或いは,上記Gに引用した,周知文献の段落【0012】に,「両方からの電源が供給されない場合は記憶装置内の電子暗号鍵は消失する。攻撃検出コネクタは,攻撃検出コネクタが短絡されている状態を通常状態とし,解放されている状態を攻撃検出状態とする。攻撃検出コネクタにより外部攻撃が検出された場合も記憶装置内の電子暗号鍵を消失する」と記載されているように,本願の出願前に当業者には周知の技術事項であり,周知文献は,「電子暗号鍵」を「消失」させるものである。
したがって,引用発明においても,「不正な干渉を検知」した場合に,「電源」の供給を停止する機構を導入することは,当業者が適宜選択し得る事項である。
よって,[相違点3]は,格別のものではない。
ウ.[相違点4]について
通常動作時に,「秘密鍵」,「公開鍵」を常時供給できるよう構成することは,先行技術を提示するまでもなく,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点4]は,格別のものではない。
エ.以上,上記ア.~上記ウ.において検討したとおりであるから,[相違点1]~[相違点4]はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,引用発明,引用文献2,引用文献3,及び,周知文献4に記載された記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際,独立して特許を受けることができない。
3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3.本願発明について
令和2年12月28日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,令和2年4月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.令和2年12月28日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。
「プログラムに従って動作する制御部と,電源が供給されている間,集積回路の物理的特性に固有であるPUF情報を出力するPUF情報出力部と,電源が供給されている間,前記PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部と,前記キーペア出力部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部と,外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部と,を備え,前記キーペア出力部は,電源が供給されている間,生成した前記公開鍵を前記公開鍵送信部に出力し,かつ,生成した前記秘密鍵を前記共有暗号鍵復号部に出力している,集積回路。」
第4.原審の拒絶査定の理由
原審における拒絶査定の理由は,概略,次のとおりである。
「本願の請求項1に係る発明は,引用発明,引用文献2,及び,引用文献3に記載された記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。引用文献一覧1.特開2007-215104号公報2.米国特許出願公開第2015/0188707号明細書(周知技術を示す文献)3.特表2017-511095号公報(周知技術を示す文献)」
第5.引用文献に記載の発明
引用文献1には,上記「第2.令和2年12月28日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(3)引用文献1に記載の発明」において認定したとおりの,次の引用発明が記載されている。
「プログラムによって動作するCPUと,子機秘密鍵と子機公開鍵のペアを生成させる生成手段と,暗号化子機公開鍵を送信するための送信手段と,受信した子機9の公開鍵で暗号化された情報を,子機9の秘密鍵で復号する復号手段と,を有する,子機9。」
第6.本願発明と引用発明との対比及び判断
1.対比
本願発明は,上記「第2.令和2年12月28日付けの手続補正の却下の決定」において検討した本件補正発明から,「不正な干渉を検知する耐タンパ検知部」と,「不正な干渉が検知された場合に,前記PUF情報出力部,前記キーペア出力部,および,自機が有する揮発性メモリへの電源の供給を遮断する電源管理部」という構成を取り除いたものであるから,
本願発明と引用発明との,一致点,及び,相違点は次のとおりである。
[一致点]
プログラムに従って動作する制御部と,
電源が供給されている間,公開鍵及び秘密鍵を出力するキーペア出力部と,
前記キーペア部から出力されている前記公開鍵を外部に送信する公開鍵送信部と,
外部から受信した,前記公開鍵で暗号化された被暗号化情報を,前記キーペア出力部から出力されている前記秘密鍵で復号する復号部と,を備える,デバイス。
[相違点a]
本件補正発明においては,「電源が供給されている間,集積回路の物理的特性に固有であるPUF情報を出力するPUF情報出力部」を有するのに対し,
引用発明においては,「PUF」について,特に言及されていない点。
[相違点b]
“公開鍵及び秘密鍵”について,
本件補正発明においては,「PUF情報に基づく公開鍵及び秘密鍵」であるのに対して,
引用発明においては,「公開鍵及び秘密鍵」の生成において,「PUF」を使用するか否かについて,特に言及されていない点。
[相違点c]
本件補正発明においては,「キーペア出力部は,電源が供給されている間,生成した前記公開鍵を前記公開鍵送信部に出力し,かつ,生成した前記秘密鍵を前記復号部に出力している」ものであるのに対して,
引用発明においては,そのような「キーペア」の「出力」について,特に言及されていない点。
2.相違点についての当審の判断
本願発明と引用発明との[相違点a]~[相違点c]は,それぞれ本件補正発明と引用発明との[相違点1],[相違点2],及び,[相違点4]と同じものであるから,上記「第2.令和2年12月28日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(5)相違点についての当審の判断」において検討したとおり,格別のものではない。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。
第7.むすび
以上のとおり,本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明,引用文献2,及び,引用文献3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
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