2020-017861
家禽の脚または家禽の脚の一部から皮膚を剥ぎ取るための装置および方法
- 審判番号
- 2020-017861
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-212592外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月28日
- 審決日
- 2021年12月22日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
- 【請求人代理人】特許業務法人森本国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A22C) / P18 .575-Z (A22C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年11月13日に出願(パリ条約による優先権主張2017年11月16日、オランダ国)されたものであって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
令和2年1月14日付け 拒絶理由通知
令和2年4月21日 意見書及び手続補正書の提出
令和2年8月26日付け 拒絶査定
令和2年12月28日 審判請求書、同時に手続補正書の提出
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年12月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「【請求項1】家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の皮膚を剥ぎ取る装置(1)であって、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部を吊り下げ可能なコンベヤ要素(3)を有するコンベヤ(14)を備え、コンベヤ(14)よりも下方に設けられるとともに、実質的に水平またはわずかに傾斜した、互いに反対の方向に回転可能な協働式の底部ローラ(4)を備え、この底部ローラは、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部から皮膚(6)を剥ぎ取るための噛み合い歯を備え、前記装置(1)には、1組の上部ローラ(7)が底部ローラ(4)よりも上方かつコンベヤ(14)よりも下方に設けられており、この1組の上部ローラは、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部における互いに反対側に接触するものであり、前記1組の上部ローラ(7)が支持部材に対して弾力的に取り付けられて、上部ローラ(7)が、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の寸法に対して自己調整するように構成されていることを特徴とする皮膚を剥ぎ取る装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和2年4月21日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の皮膚を剥ぎ取る装置(1)であって、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部を吊り下げ可能なコンベヤ要素(3)を有するコンベヤ(14)を備え、コンベヤ(14)よりも下方に設けられるとともに、実質的に水平またはわずかに傾斜した、互いに反対の方向に回転可能な協働式の底部ローラ(4)を備え、この底部ローラは、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部から皮膚(6)を剥ぎ取るための噛み合い歯を備え、前記装置(1)には、1組の上部ローラ(7)が底部ローラ(4)よりも上方かつコンベヤ(14)よりも下方に設けられており、この1組の上部ローラは、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部における互いに反対側に接触するものであることを特徴とする皮膚を剥ぎ取る装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1を特定するために必要な事項である「1組の上部ローラ」について、「支持部材に弾力的に取り付けられ」、「家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の寸法に対して自己調整するように構成されている」との限定を新たに付加する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
そこで本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
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ア 引用例1
原査定の理由に引用され、本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に頒布された引用文献である、特表2010-512784号公報(以下、「引用例1」という。)には、「解体処理された家禽の胴体部分から背皮と背肉とを別々に採取するための方法および装置」に関して図面とともに以下の記載がある(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下、同様。)。
(ア)引用例1の記載
「【請求項11】解体処理された家禽の胴体部分から背皮を採取するための装置であって、前記胴体部分は、初めには、前記背中の上部の少なくとも一部と、前記背中に接続した脚の少なくとも一部と、を備え、前記胴体部分から胸肉キャップが取り除かれており、前記背中の上部の一部は、背肉と、背皮と、を備え、前記脚部分は、少なくとも腿を備え、かつ少なくとも部分的に前記背皮に接続されている脚皮を少なくとも部分的に備え、前記胴体部分は、前面、後部および2つの側部を有し、当該装置は、- 第1および第2側部切込を形成するための第1切断手段であって、前記側部上の前記側部切込が前記胴体部分の両側に配置されかつ背骨とほぼ垂直に延在し、各側部切込が少なくとも前記胴体部分の各側部上の前記脚皮を前記背皮から分離する第1切断手段と、- 前記胴体部分の後部側に配置され、前記背皮を前記脚皮から実質的に分離する後部切込を作成するための第2切断手段と、- 前記背肉から前記背皮を切り離すための背皮採取機と、- 前記皮がすでに取り除かれた背肉を採取するための背肉採取機と、を備え、当該装置は、前記胴体部分の前記脚部分に係合するのに適した製品キャリアと相互作用するように構成された装置。」
「【0033】好ましくは、任意選択で使用される背皮採取デバイス、すなわち背皮採取機は、それぞれが螺旋形状などの歯を備える少なくとも2つの相互作用ロールを備える。ロールは、好ましくは、製品キャリアが胴体部分を移動させる方向にロールの軸方向がほぼ平行になるように配置される。好ましくは、背皮採取機のロールは、一定の間隔で互いに隣接して配置される。これにより、採取中に、背皮が望ましくない程度まで傷付くことが回避される。あるいは、他のタイプの背皮採取機を使用することができる。例は、皮を除去するロールによる背皮採取機、または単一のロールが第2のロールとでなく1つのプレートと相互作用する背皮採取機を含む。使用されるロールは、製品キャリアが胴体部分を移動させる方向にロールの軸方向の軸がほぼ平行な状態ではなく、上記方向とほぼ垂直にまたは異なる好適な角度で配置された状態でロールの軸方向の軸を配置することができる。」
「【0038】本発明による方法は、解体処理された家禽の胴体部分1の処理に関し、本例示のニワトリでは、この胴体部分1は、前面部9と、後部7と、2つの側部6と、を有する。」
「【0042】本発明による方法は、例示の実施形態において、処理すべき胴体部分1を製品キャリア50内に吊り下げることによって開始する。製品キャリア50は、この場合、胴体部分1の2つの脚部分5に係合するように構成されている。この例において、キャリア50は、各脚部分用に受け入れスロットを有し、任意選択で、該スロット内に脚部分を閉じ込めるためにロック部材を備える。製品キャリア50は、胴体部分1を搬送方向Tに走路52に沿って搬送するように構成される。製品キャリア50は、この場合、この分野の従来技術から周知の高架コンベヤ走路52に取り付けられる。任意選択で、製品キャリア50は、垂直軸回りで回転可能である、かつ/または1以上の他の軸回りで回転可能である。」
「【0060】図6は、背皮4の採取の一例を示す。背皮4の採取中、この場合には、背皮採取機30が使用される。背皮採取機30は、この場合、それぞれが、螺旋形状32を備える4つ(好ましくは、少なくとも2つ)の回転可能ロール31を備える。ロール31は、この場合、その軸方向の軸が搬送方向Tとほぼ平行に配置されるが、例えば、搬送方向Tを横切るように配置されたロールを使用することも可能である。【0061】互いに隣り合って配置されたロール31の側面部32は、形状側面部32間に把持される背皮4に対して作用する。胴体部分1が背皮採取機30に対して移動する結果として、かつロール31が回転する結果として、背皮4は、背肉8から離れるように引っ張られる。好ましくは、側面部は、背皮4を搬送方向Tと反対の方向に移動させる。これは、背皮4を一つの部位として採取することを促進させる。切込10a、10bおよび11は、このとき、胴体部分1に付随したままの脚皮に対して除去される背皮4を形成する。【0062】4つのロール31が使用される場合、それらは好ましくは、搬送方向Tの方向から見て、胴体部分1の形状に適合するように配置される。」
「[図:0001384717000001.jpg]」
「[図:0001384717000002.jpg]」
(イ)上記(ア)から分かること
1a)段落【0042】の「製品キャリア50は、胴体部分1を搬送方向Tに走路52に沿って搬送するように構成される。製品キャリア50は、この場合、この分野の従来技術から周知の高架コンベヤ走路52に取り付けられる。」との記載及び図2をみると、胴体部分1を吊り下げ可能な製品キャリア50を有する高架コンベア走路52が記載されていることが分かる。また、家禽は上下方向ではなく、横方向に移動させるものであることが分かる。
1b)段落【0060】の「背皮採取機30は、この場合、それぞれが、螺旋形状32を備える4つ(好ましくは、少なくとも2つ)の回転可能ロール31を備える」との記載があり、図6をみると左右のロール31の間かつ下方向に向けて背皮4を剥いでいることが分かる。そして、左右のロール31の間に背皮を剥ぐためには、左右のロール31の間に背皮4を巻き込むように互いに反対方向に回転する必要があることは技術常識からみて明らかである。また、図2をみると、高架コンベア走路52は製品キャリア50よりも上方にあることが分かる。そうしてみると、上記の記載及び技術常識から、背皮採取機30は、高架コンベヤ走路52よりも下方に設けられ互いに反対の方向に回転可能な下方側に設けられた2つのロール31と当該下方側のロール31よりも上方かつ高架コンベヤ走路52よりも下方に設けられた上方側に設けられた2つのロール31とを備えていることが分かる。
1c)段落【0033】の「ロールは、好ましくは、製品キャリアが胴体部分を移動させる方向にロールの軸方向がほぼ平行になるように配置される。」、「使用されるロールは、製品キャリアが胴体部分を移動させる方向にロールの軸方向の軸がほぼ平行な状態ではなく、上記方向とほぼ垂直にまたは異なる好適な角度で配置された状態でロールの軸方向の軸を配置することができる。」との記載から、ロール31は、胴体部分を移動させる方向に実質的に平行または好適な角度をもって傾斜していることが分かる。
1d)段落【0033】の「背皮採取機は、それぞれが螺旋形状などの歯を備える少なくとも2つの相互作用ロールを備える」との記載があることから、ロール31は歯を有しておりかつ相互作用するものであることが分かる。
1e)図6をみると、上方側に設けられたロール31は、胴体1における互いに反対側に接触していることが分かる。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)からみて、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「家禽の胴体部1の背皮を剥ぎ取る背皮採取機30を備えた装置であって、家禽の胴体部1を吊り下げ可能な製品キャリア50を有する高架コンベヤ走路52を備え、高架コンベヤ走路52よりも下方に設けられるとともに、胴体部分を移動させる方向に実質的に平行または好適な角度をもって傾斜した、互いに反対の方向に回転可能な相互作用する下方側に設けられたロール31を備え、この下方側に設けられたロール31は、家禽の胴体部1から背皮4を剥ぎ取るための歯を備え、前記背皮採取機30には、1組の上方側に設けられたロール31が下方側に設けられたロール31よりも上方かつ高架コンベヤ走路52よりも下方に設けられており、この1組の上方側に設けられたロール31は、家禽の胴体部1における互いに反対側に接触するものである背皮採取機30を備えた装置。」
イ 引用例2
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特開平5-192069号公報(以下、「引用例2」という。)には、「屠殺した鳥の足の皮の処理方法とその装置」に関して、図面とともに以下の記載がある。
(ア)引用例2の記載
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、屠殺した鳥や鳥の胴体から切り離された足を、決められた所定工程を経てコンベヤーで運ぶ屠殺した鳥等の処理工場において使用する、鳥屠殺した鳥の足の皮の処理方法とその装置に係るものである。」
「【0016】大腿部の皮剥き装置52は、コンベイヤー4の道筋の下方に、搬送方向から見て、前記切断装置34の下手側に位置するように設けられている。該装置52は、処理される足の寸法に適合するよう、バー54、およびクランピングブロック56によって高さが調節可能になるように、架枠(フレーム)2に連結されており、該装置52は2つの並行した螺旋状のローラー58(図1にはその1つのみ示されている)を有しており、前記ローラー58は、ローラーの上を引っ張られる足の皮がすきまに引き込まれ、足から剥ぎ取られるよう、矢印59の方向に、互いに噛み合いながら反対方向に回転するよう構成される。該ローラーは、ベルト60及びモータ64によりトランスミッション62により駆動される。図1においては、皮剥ぎ装置52は水平方向に設けられているが、該装置52は、もし希望するのであれば、軸66に対して固定もしくは揺動するように連結する連結部材68によってコンベイヤー4に対して傾斜するよう設けることもできる。」
「[図:0001384717000003.jpg]」
(イ)上記(ア)から分かること
2a)段落[0002]の「屠殺した鳥の足の皮の処理方法とその装置」、段落[0016]の「該装置52は2つの並行した螺旋状のローラー58(図1にはその1つのみ示されている)を有しており、前記ローラー58は、ローラーの上を引っ張られる足の皮がすきまに引き込まれ、足から剥ぎ取られるよう、矢印59の方向に、互いに噛み合いながら反対方向に回転するよう構成される。」の記載から、互いに噛み合いながら反対方向に回転するよう構成されるローラー58で鳥の足の皮を剥ぎ取っていることが分かる。
(ウ)引用例2に記載された技術
上記(ア)及び(イ)からみて、引用例2には、以下の技術(以下、「引用例2技術」という。)が記載されている。
「互いに噛み合いながら反対方向に回転するよう構成されるローラー58で鳥の足の皮を剥ぎ取る技術。」
ウ 引用例3
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特開2012-161339号公報(以下、「引用例3」という。)には、「屠殺された家禽の胴体部を処理する方法および装置」に関して、図面とともに以下の記載がある。
(ア)引用例3の記載
「【技術分野】【0001】本発明は、少なくとも肋骨の部分、および肋骨に自然に付いている肉の部分を有する、屠殺された家禽の胴体部を処理する方法および装置に関する。【背景技術】【0002】現在、家禽、特に鶏から得られた肉生産品の消費者は、様々な形にカットされた内側ささみ(フィレット)、外側ささみ(シングル、ダブル)、ドラムスティック、もも、および手羽のような多数の高級生産品の中から幅広く選択することに慣れ始めている。消費者の要望を満足させるため、屠殺された家禽の加工業者は、高品質生産品に対する消費者の要望を効率的に満足させるように、屠殺された家禽の胴体部を処理する柔軟な方法および装置が必要である。」
「【0044】本発明の第3の態様によれば、屠殺された家禽の胴体部は、胴体部に自然に付いている胸郭の少なくとも一部と皮の部分とを含み、胴体部は内部を有し、屠殺された家禽の胴体部の処理は、以下のステップを有する方法によってさらに最適化され、この方法は、パスに沿って移動可能であり、好ましくは、このパスに対して複数の平面内で旋回可能であり、かつ胴体部の内部を係止するように構成された生産品運搬装置に、胴体部を被せ固定するステップと、胴体部を第1の処理ユニットに対して位置合わせするステップと、皮剥用ロールが、取り外されるべき皮を捕らえ、かつ皮を胴体部から引き離すように、皮剥されるべき胴体部の一部が皮剥用ロールに押し付けられる相互作用し弾性的に取り付けられた少なくとも2対の皮剥用ロールに、胴体部を通過させることにより、皮を取り外すステップとを有し、少なくとも2対の皮剥用ロールは、胴体部の輪郭に合うように相互に位置合わせされる。」
「【0121】胴体部1は、次に、少なくとも二対の相互作用する弾性的に取り付けられた皮剥用ロール41ab、42abを通過する。胴体部1の皮剥されるべき部分は、皮剥用ロール41ab、42abが取り外されるべき皮膚を捕らえ、胴体部1から引き離すように、皮剥用ロール41ab、42abに押し付けられる。【0122】本発明の第3の態様によれば、皮剥用ロール41ab、42abの相互の位置合わせは、胴体部1の予想される輪郭に合わされ、即ち、胴体部1の輪郭は、搬送方向Tとは逆方向で見られるように、皮剥用ロール41ab、42abの間の空間の形状に全体的に対応する。【0123】皮剥作業を更に最適化するため、皮剥用ロール41ab、42abに対する胴体部1の向きは、胴体部が皮剥用ロール41ab、42abを通過するときに合わされるので、胴体部1は、常に、皮剥用ロール41ab、42abに対してできるだけ最適に位置合わせされる。」
「[図:0001384717000004.jpg]」
(イ)上記(ア)から分かること
3a)段落【0001】の「屠殺された家禽の胴体部を処理する方法および装置」、段落【0121】の「胴体部1は、次に、少なくとも二対の相互作用する弾性的に取り付けられた皮剥用ロール41ab、42abを通過する。」との記載から、家禽の胴体部の皮剥用ロール41ab、42abは、弾性的に取り付けられていることが分かる。
そして、段落【0122】には「皮剥用ロール41ab、42abの相互の位置合わせは、胴体部1の予想される輪郭に合わされ」との記載があり、図11には皮剥用ロール41ab、42abに関して左右に矢印が記載されている。また、家禽の胴体部は形状や大きさに個体差があり、個体差があっても適切に皮を剥ぐためにはロールが被皮剥部の輪郭に沿って動く必要があることは技術常識であることから、皮剥用ロール41ab、42abを弾性的に取り付けることは、ロール41ab、42abが家禽の胴体部の輪郭に対して沿うように移動可能とするためであることは明らかである。
(ウ)引用例3に記載された技術
上記(ア)及び(イ)からみて、引用例3には、以下の技術(以下、「引用例3技術」という。)が記載されている。
「皮剥用ロール41ab、42abを弾性的に取り付けることでロール41ab、42abが家禽の胴体部の輪郭に対して沿うように移動可能とする技術。」
(3)対比・判断
引用発明における「製品キャリア50」は本願補正発明における「コンベア要素(3)」に相当し、以下同様に、「高架コンベヤ走路52」は「コンベヤ(14)」に、「相互作用する」ことは「協働式」であることに、「下方側に設けられたロール31」は「底部ローラ(4)」に、「上方側に設けられたロール31」は「上部ローラ(4)」に、「背皮採取機30を備えた装置」は「装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「家禽の胴体部1」は、本願補正発明における「家禽の脚(2)または家禽の脚の一部」と、「家禽」という限りにおいて一致し、引用発明における「家禽の胴体部1の背皮」は、本願補正発明における「家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の皮膚」と、「家禽の皮膚」という限りにおいて一致し、引用発明の「家禽の胴体部1から背皮4を剥ぎ取るための歯」は、本願発明の「家禽の脚(2)または家禽の脚の一部から皮膚(6)を剥ぎ取るための噛み合い歯」と「家禽の皮膚を剥ぎ取る歯」という限りにおいて一致する。
したがって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「家禽の皮膚を剥ぎ取る装置であって、家禽を吊り下げ可能なコンベヤ要素を有するコンベヤを備え、コンベヤよりも下方に設けられるとともに、互いに反対の方向に回転可能な協働式の底部ローラを備え、この底部ローラは、家禽の皮膚を剥ぎ取るための歯を備え、前記装置には、1組の上部ローラが底部ローラよりも上方かつコンベヤよりも下方に設けられており、この1組の上部ローラは、家禽における互いに反対側に接触するものである皮膚を剥ぎ取る装置。」
[相違点1]
本願補正発明においては、「家禽の脚(2)または家禽の脚の一部」を対象として、コンベヤ(14)による吊り下げ、上部ローラ(7)の接触、底部ローラ(7)による皮の剥ぎ取りを行っているのに対し、引用発明においては、「家禽の胴体部1」を対象として、製品キャリア50による吊り下げ、上方側に設けられたロール31の接触、下方側に設けられたロール31による背皮の剥ぎ取りを行っている点。
[相違点2]
本願発明においては、底部ローラが「実質的に水平またはわずかに傾斜した」ものであるのに対し、引用発明においては、下方側に設けられたロール31が実質的に水平またはわずかに傾斜しているかどうか不明である点。
[相違点3]
本願発明においては、底部ローラの歯が「噛み合い歯」であるのに対し、引用発明においては、歯が噛み合い歯であるかどうか不明である点。
[相違点4]
上部ローラに関して、本願補正発明においては、「1組の上部ローラ(7)が支持部材に対して弾力的に取り付けられて、上部ローラ(7)が、家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の寸法に対して自己調整するように構成されている」のに対して、引用発明においては、弾力的に取り付けられて、家禽の脚または家禽の脚の一部の寸法に対して自己調整するように構成されているか不明である点。
以下、相違点について検討する。
[相違点1]について
引用例2技術は「互いに噛み合いながら反対方向に回転するよう構成されるローラー58で鳥の足の皮を剥ぎ取る技術。」である。
そして、引用例1の段落【0038】の「解体処理された家禽の胴体部分1の処理に関し、本例示のニワトリ」との記載、引用例2の段落【0001】の「屠殺した鳥や鳥の胴体から切り離された足」の記載のとおり、引用発明及び引用例2技術はともに、皮を剥ぎ取る家禽の種類として鳥を対象としており、その皮をロールで剥ぎ取るとの機能を有するものである。
そうしてみると、引用発明の装置に、皮をロールで剥ぎ取るとの機能を有することで共通する引用例2技術を適用して、皮を剥ぐ対象を、家禽の足の皮として、家禽の足の皮を剥ぐために、家禽の足に対して、製品キャリア50による吊り下げ、上方側に設けられたロール31の接触、下方側に設けられたロール31による皮の剥ぎ取りを行うように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
[相違点2]について
引用発明においては、胴体部分を移動させる方向が実質的に水平であるか否か不明であるため、下方側に設けられたロール31が実質的に水平であるか、また、わずかに傾斜しているかどうか不明であるが、引用例1における段落[0042]や図2の記載をみると、上下方向に家禽を移動させるものではなく、横方向に家禽を移動させるものと認められる。
そして、横方向に家禽を移動させるにあたって、実質的に水平方向またはわずかに傾斜した方向に移動させることに困難性はなく、その際、引用発明における胴体部分を移動させる方向に実質的に平行または好適な角度をもって傾斜している下方側に設けられたロール31を、実質的に水平方向またはわずかに傾斜した方向に移動する家禽に合わせて、下方側に設けられたロール31を実質的に水平方向またはわずかに傾斜するように設置することは、当業者が適宜なし得たことである。
[相違点3]について、
引用例2技術は「互いに噛み合いながら反対方向に回転するよう構成されるローラー58で鳥の足の皮を剥ぎ取る技術。」である。
そして、引用例1の段落【0033】には「背皮採取機は、それぞれが螺旋形状などの歯を備える少なくとも2つの相互作用ロールを備える。」との記載があることから、引用例1の下方側に設けられたロール31は相互作用して家禽の皮を剥ぎ取るとの機能を有しているので、引用発明の下方側に設けられたロール31を、家禽の皮を剥ぎ取るとの機能を有することで共通する引用例2技術を適用することにより、互いに噛み合う歯を設けたものとすることは当業者が容易になし得たことである。
[相違点4]について
引用例3技術は、「皮剥用ロール41ab、42abを弾性的に取り付けることでロール41ab、42abが家禽の胴体部の輪郭に対して沿うように移動可能とする技術。」である。ここで、皮剥用ロール41ab、42abが、弾性的に取り付けられることにより家禽の胴体部の輪郭に対して沿うように移動可能であるということは、皮剥用ロール41ab、42abが家禽の寸法に対して自己調整するように構成されていることに等しいと認められる。
そして、皮を剥ぐ対象である家禽の大きさや形状には、同じ種類の家禽であっても個体差があることは技術常識である。そして、個体差があっても皮を適切に剥ぐ必要があることは、皮を剥ぐ装置が一般的に有している課題であり、引用発明も皮を剥ぐ装置であるので、当該課題を内在している。
そうしてみると、引用発明において、家禽の大きさや形状に個体差があっても、適切に皮を剥げるようにするために、引用例3技術を適用して、上方側に設けられたロール31を弾性的に取り付けることで、上方側に設けられたロール31が家禽の胴体部の輪郭に対して自己調整するように構成することに困難性はなく、引用例2技術に照らせば、皮を剥ぐ対象を家禽の足とすることも、当業者が適宜なし得ることである。
そして、本願補正発明は、引用発明、引用例2技術及び引用例3技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2技術及び引用例3技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし24に係る発明は、令和2年4月21日提出の手続補正書により補正された請求項1ないし24に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2 1(2)に記載したとおりである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし24に係る発明は、本願の出願日(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
・請求項1ないし24に対して、引用例1ないし4
<引用例一覧>
1.特表2010-512784号公報
2.特開平5-192069号公報
3.特開2012-161339号公報
4.特表2016-537977号公報
3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1、引用例2及び引用例3の記載事項は、前記第2 2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は前記第2 2で検討した本願補正発明から、「1組の上部ローラ(7)」についての「支持部材に弾力的に取り付けられ」、「家禽の脚(2)または家禽の脚の一部の寸法に対して自己調整するように構成されている」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、上記第2 2(3)で検討した[相違点1]ないし[相違点4]のうち、[相違点1]ないし[相違点3]において相違し、その余の点で一致する。
そして、上記[相違点1について]ないし[相違点3について]において検討したとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定による特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-017861