特許拒絶査定不服審判
2020-013419
メモリ動作の暗号化
- 審判番号
- 2020-013419
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-536461外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年09月25日
- 審決日
- 2021年07月21日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】早川 裕司
- 【請求人代理人】佐野 良太
- 【請求人代理人】村雨 圭介
- 分類
- P18 .121-Z (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第184条の4第1項、特許法第164条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-536461「メモリ動作の暗号化」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月20日国際公開,WO2017/123285,平成31年 1月24日国内公表,特表2019-502211〕について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本願は,2016年9月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年1月12日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって,
平成30年9月10日付けで特許法184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出され,令和1年9月12日付けで審査請求がなされると共に手続補正がなされ,令和1年12月4日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して令和2年5月8日付けで意見書が提出されたが,令和2年5月20日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して令和2年9月25日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,令和2年10月15日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。
第2.補正の適否及び本願発明について
令和2年9月25日付けの手続補正(以下,これを「本件手続補正」という)は,令和1年9月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項(以下,これを「補正前の請求項」という)1~補正前の請求項20から,補正前の請求項3,同請求項4,同請求項6,同請求項7,同請求項10,同請求項19,及び,同請求項20を削除するものであるから,請求項の削除を目的とするものである。
したがって,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,本件手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。
「専用の相互接続を介してメモリモジュールに接続された処理モジュールを備える電子デバイスにおいて,
記憶動作の開始に応じて,
前記処理モジュールの前記相互接続に対する第1インタフェースにおいて,第1暗号化データを生成するために,第1キー及び第1フィードバックベース暗号プロセスを使用して,前記記憶動作の記憶データ表現を暗号化することと,
前記第1インタフェースにおいて,暗号化メモリアドレスを生成するために,前記第1キー及び前記第1フィードバックベース暗号プロセスを使用して,前記記憶動作のメモリアドレスを暗号化することであって,前記メモリアドレスは,複数のメモリ位置を含む前記メモリモジュールのメモリ位置に対応する,ことと,
前記第1暗号化データ及び暗号化メモリアドレスを,前記相互接続を介して前記メモリモジュールに送信することと,を含む,
方法。」
第3.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願の請求項1に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2,引用文献3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
1.特開2002-328845号公報
2.特開2013-236376号公報
3.特開2002-091828号公報
第4.引用文献に記載の事項
1.引用文献1(特開2002-328845号公報)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
A.「【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を,添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0013】図1は,本発明によるICカードの原理構成を示す図である。
【0014】図1のICカードは,乱数発生器1,時間割込み発生器2,キーレジスタ3,暗号化・復号化アドレスレジスタ4,暗号化・復号化データレジスタ5,暗号・復号回路6,メモリ7,MPU13,ROM15,RAM16,及びアドレスデータバス17を含む。
【0015】MPU13は,ROM15に格納されるプログラムに基づいて,ICカードの種々の処理を実行する。ROM15は,暗号・復号処理プログラム14を格納すると共に,MPU13の通常動作に必要な種々のプログラムを格納する。RAM16は,MPU13が動作する際のワークエリアとして使用されると共に,MPU13の動作に必要なデータが格納される。メモリ7は,不揮発性のメモリであり,ICカードの認証の為に必要なIDデータ等が格納される。
【0016】乱数発生器1,時間割込み発生器2,キーレジスタ3,暗号化・復号化アドレスレジスタ4,暗号化・復号化データレジスタ5,暗号・復号回路6は,重要データ保護部12を構成する。重要データ保護部12は,MPU13とメモリ7との間に設けられる。この重要データ保護部12を設けることによって,MPU13がメモリ7の重要データ(IDデータ等の秘密データ)をアクセスする際には,アドレスデータバス17に現れるアドレス及びデータが全て暗号化されており,且つ時間と共に暗号化された内容が変化するように処理される。以下に,この重要データ保護部12の動作について詳細に説明する。
【0017】図2は,重要データ保護部12において時間割込み発生器2によるイベントが発生した際の処理を示す状態遷移図である。
【0018】時間割込み発生器2は,ある所定の間隔で割り込み信号を発生する。割り込み信号発生のイベントが発生すると,このイベント発生は,乱数発生器1とMPU13とに通知される。イベントを通知されると,乱数発生器1とMPU13とは,暗号化・復号化アドレスレジスタ4,暗号化・復号化データレジスタ5,及び暗号・復号回路6が通常処理に使用されているか否かを確認する。これらのレジスタ及び回路が通常動作に使用されていなければ,乱数発生器1は新規の乱数を生成する。生成された乱数は,重要データ保護部12内のキーレジスタ3に格納される。またMPU13は,イベント発生に応じて実行される割り込みプログラムによって,乱数発生器1から新規に生成された乱数を読み出し,MPU13内部のレジスタ18に格納する。この後,時間割込み発生器2による更なる割り込み信号発生を待つ状態へと遷移する。
【0019】このように本発明においては,重要データ保護部12の時間割込み発生器2によって所定の時間間隔で割り込みを発生させ,この割り込みに応じて乱数を生成し,重要データ保護部12内のキーレジスタ3に格納すると共に,MPU13内部のレジスタ18に格納する。MPU13からメモリ7に対する以降のアクセスは,全てこの乱数を暗号化のキーとして使用して,暗号化した形で実行される。乱数の発生は,時間割込み発生器2により所定時間間隔で行われるので,所定時間間隔で暗号化キーが書き換えられることになる。従って,本発明によるICカードにおいては,所定のアドレスを繰り返し読み出しても常に同一のデータが読み出されることはなく,所定の時間間隔で読み出されるデータは変化する。従って,メモリ中のある番地から特定の値を繰り返し読み出すことで電源電圧の変動の統計的平均値からデータ内容を推測するDPA法などの電流解析法に対して,有効なセキュリティー保護を提供することが出来る。」
B.「【0033】図4は,MPUによるメモリへのデータ書き込み動作を示すフローチャートである。
【0034】図4に示されるデータ書き込み動作は,時間割込み発生器2による割り込みが終了して通常処理状態に戻った後,MPU13においてIDデータ等の重要データをメモリ7に書き込むことが必要になったときに実行される処理である。この時,MPU13の動作は,ROM15に格納される暗号・復号処理プログラム14に基づいて実行される。
【0035】ステップS1で,MPU13から重要データの書き込み処理が実行開始される。
【0036】ステップS2で,MPU13は,内部レジスタ18の乱数値を参照する。
【0037】ステップS3で,MPU13は,乱数値に基づいて書き込みたいデータと書き込みアドレスとを暗号化する。
【0038】ステップS4で,MPU13は,アドレスデータバス17を介して,暗号化されたアドレスを暗号化・復号化アドレスレジスタ4に格納すると共に,暗号化されたデータを暗号化・復号化データレジスタ5に格納する。
【0039】ステップS5で,暗号・復号回路6は,キーレジスタ3に格納されている乱数を暗号化キーとして用いて,暗号化・復号化アドレスレジスタ4に格納されている暗号化されたアドレスを復号化する。また更に,暗号・復号回路6は,キーレジスタ3に格納されている乱数を暗号化キーとして用いて,暗号化・復号化データレジスタ5に格納されている暗号化されたデータを復号化する。暗号・復号回路6は,復号化されたアドレスを実アドレス信号としてメモリ7に供給すると共に,復号化されたデータを実データ信号としてメモリ7に供給する。
【0040】ステップS6で,メモリ7の指定されたアドレスに指定したデータが書き込まれる。
【0041】ステップS7で,書き込み処理が実行される前に実行されていた処理ルーチンに戻り,処理が続行される。」
C.「
[図:0001380480000001.jpg]
」
D.「
[図:0001380480000002.jpg]
」
2.引用文献2(特開2013-236376号公報)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
E.「【0029】
暗号化/復号化エンジン150は,メインメモリ300からメモリコントローラ130とバス110とを介して伝送された平文データを暗号文データに変換,即ち暗号化する。暗号化/復号化エンジン150は,暗号文データを,バス110を経由せずに不揮発性メモリコントローラ140に直接,例えばオンザフライ(on-the-fly)で伝送する。
【0030】
暗号化/復号化エンジン150は,不揮発性メモリコントローラ140から出力された暗号文データを,バス110を経由せずに直接,例えばオンザフライで受信する。暗号化/復号化エンジン150は,暗号文データを平文データに変換,例えば復号化する。
【0031】
暗号化/復号化エンジン150の暗号化過程又は復号化過程には,暗号キーが使われる。暗号化/復号化エンジン150は,暗号キーを保存するための記憶媒体(図示せず)を含む。他の実施形態として,暗号キーは,セキュリティモード(Secure Mode)でのみ記憶媒体にアクセス可能になるように設定し得る。セキュリティモードは,図3を参照して詳しく説明する。
【0032】
暗号化/復号化エンジン150は,データを所定サイズ,例えば64ビット,128ビット,又は256ビットのブロック(block)単位で暗号化又は復号化する。この場合,暗号化又は復号化のための暗号キーとアルゴリズム(algorithm)は,ブロック単位で適用可能である。
【0033】
暗号化アルゴリズムは,DES(Data Encryption Standard)アルゴリズム又はAES(Advanced EncryptionStandard)アルゴリズムであり得るが,これに限定されるものではない。実施形態として,暗号化/復号化エンジン150がデータをブロック単位で変換,例えば暗号化又は復号化する方法を決定する暗号モードは,ECB(Electronic Code Book)モード,CBC(Cipher Block Chaining)モード,PCBC(Propagating Cipher Block Chaining)モード,又はCFB(Cipher Feed Back)モードであり得るが,本発明の範囲はこれに限定されるものではない。」
F.「
[図:0001380480000003.jpg]
」
3.引用文献3(特開2002-091828号公報)には,次の事項が開示されている。
G.「
[図:0001380480000004.jpg]
」
第5.引用文献1に記載の発明
1.上記Aの「図1のICカードは,乱数発生器1,時間割込み発生器2,キーレジスタ3,暗号化・復号化アドレスレジスタ4,暗号化・復号化データレジスタ5,暗号・復号回路6,メモリ7,MPU13,ROM15,RAM16,及びアドレスデータバス17を含む」という記載,同じく,上記Aの「乱数発生器1,時間割込み発生器2,キーレジスタ3,暗号化・復号化アドレスレジスタ4,暗号化・復号化データレジスタ5,暗号・復号回路6は,重要データ保護部12を構成する。重要データ保護部12は,MPU13とメモリ7との間に設けられる」という記載,及び,同じく,上記Aの「MPU13がメモリ7の重要データ(IDデータ等の秘密データ)をアクセスする際には,アドレスデータバス17に現れるアドレス及びデータが全て暗号化されており,且つ時間と共に暗号化された内容が変化するように処理される」という記載と,上記Cに引用した【図1】に開示された事項から,「MPU13」,「重要データ保護部12」,及び,「メモリ7」は,相互接続されていることは,明らかであることから,引用文献1には,
“メモリ7に,重要データ保護部12を介してアドレスデータバス17を用いて相互接続されたMPU13を備えるICカード”が記載されていることが読み取れる。
2.上記Bの「図4は,MPUによるメモリへのデータ書き込み動作を示すフローチャートである」という記載,および,同じく,上記Bの「MPU13においてIDデータ等の重要データをメモリ7に書き込むことが必要になったときに実行される処理である」という記載から,引用文献1においては,
“MPU13が,メモリ7へのデータ書き込み動作を開始する”ものであることが読み取れる。
3.上記Bの「ステップS3で,MPU13は,乱数値に基づいて書き込みたいデータと書き込みアドレスとを暗号化する」という記載から,引用文献1においては,
“MPU13が,乱数値を用いて書き込みたいデータを暗号化し,乱数値を用いて書き込みアドレスを暗号化している”ことが読み取れる。
4.上記Bの「ステップS4で,MPU13は,アドレスデータバス17を介して,暗号化されたアドレスを暗号化・復号化アドレスレジスタ4に格納すると共に,暗号化されたデータを暗号化・復号化データレジスタ5に格納する」という記載から,引用文献1においては,
“MPU13は,アドレスデータバス17を介して,暗号化されたアドレスを暗号化・復号化アドレスレジスタ4に送信し,暗号化された書き込みたいデータを暗号化・復号化データレジスタに送信する”ものであることが読み取れる。
5.以上,上記1.~上記4.において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。
メモリ7に,重要データ保護部12を介してアドレスデータバス17を用いて相互接続されたMPU13を備えるICカードにおいて,
前記MPU13が,前記メモリ7へのデータ書き込み動作を開始し,
前記MPU13が,乱数値を用いて書き込みたいデータを暗号化し,乱数値を用いて書き込みアドレスを暗号化し,
前記MPU13は,アドレスデータバス17を介して,暗号化されたアドレスを暗号化・復号化アドレスレジスタ4に送信し,暗号化された書き込みたいデータを暗号化・復号化データレジスタに送信する,方法。
第6.本願発明と引用発明との対比
1.引用発明における「ICカード」が,「電子デバイス」の一種であることは明らかであるから,
引用発明における「メモリ7」,「MPU13」,「アドレスデータバス17」,及び,「ICカード」が,それぞれ,
本願発明における「メモリモジュール」,「処理モジュール」,「専用の相互接続」,及び,「電子デバイス」に相当し,
引用発明において,「MPU13」と,「メモリ7」は,「重要データ保護部12を介して相互接続」されているので,当該「MPU13」と,「メモリ7」が,通信線等を介して相互接続されていることは明らかである。
よって,引用発明における「メモリ7に,重要データ保護部12を介してアドレスデータバス17を用いて相互接続されたMPU13を備えるICカード」が,
本願発明における「専用の相互接続を介してメモリモジュールに接続された処理モジュールを備える電子デバイス」に相当する。
2.引用発明における「書き込み動作を開始」が,
本願発明における「記憶動作の開始」に相当し,
引用発明における「書き込みたいデータ」が,
本願発明における「記憶動作の記憶データ表現」に相当し,
引用発明おける「暗号化された書き込みたいデータ」が,
本願発明における「第1暗号化データ」に相当し,
引用発明において,「乱数値」は,暗号化に用いられる「鍵」であることは明らかであり,
引用発明においても,「書き込みたいデータ」,及び,「書き込みアドレス」を「暗号化」するための「暗号化アルゴリズム」が存在することも明らかである。
よって,引用発明における「乱数値」が,
本願発明における「第1キー」に相当し,
引用発明おける「暗号アルゴリズム」と,
本願発明における「第1フィードバックベース暗号プロセス」とは,
“暗号化方法”である点で共通する。
そして,引用発明において,「書き込みたいデータ」の「書き込み動作」が開始されることで,当該「書き込みたいデータを暗号化」するのであるから,
引用発明において,「前記MPU13が,前記メモリ7へのデータ書き込み動作を開始し,前記MPU13が,乱数値を用いて書き込みたいデータを暗号化し,乱数値を用いて書き込みアドレスを暗号化」することは,
“データ書き込み動作を開始することに応じて,乱数値を用いて書き込みたいデータを暗号化し,乱数値を用いて書き込みアドレスを暗号化する”ことに他ならない。
よって,引用発明における「前記MPU13が,前記メモリ7へのデータ書き込み動作を開始し,
前記MPU13が,乱数値を用いて書き込みたいデータを暗号化し,乱数値を用いて書き込みアドレスを暗号化」することと,
本願発明における「記憶動作の開始に応じて,
前記処理モジュールの前記相互接続に対する第1インタフェースにおいて,第1暗号化データを生成するために,第1キー及び第1フィードバックベース暗号プロセスを使用して,前記記憶動作の記憶データ表現を暗号化すること」とは,
“記憶動作の開始に応じて,処理モジュールにおいて,第1暗号化データを生成するために,第1キー及び暗号化方法を使用して,前記記憶動作の記憶データ表現を暗号化すること”である点で共通する。
3.引用発明において,「書き込みたいデータ」の書き込み位置に応じて,「書き込みアドレス」が,「メモリ7」の様々な位置を指すものであることは明らかであるから,
引用発明における「書き込みアドレス」,「暗号化されたアドレス」が,それぞれ,
本願発明における「記憶動作のメモリアドレス」,「暗号化メモリアドレス」に相当するので,上記2.において検討した事項を踏まえると,
引用発明における「乱数値を用いて書き込みアドレスを暗号化し」と,
本願発明における「前記第1インタフェースにおいて,暗号化メモリアドレスを生成するために,前記第1キー及び前記第1フィードバックベース暗号プロセスを使用して,前記記憶動作のメモリアドレスを暗号化することであって,前記メモリアドレスは,複数のメモリ位置を含む前記メモリモジュールのメモリ位置に対応する」とは,
“暗号化メモリアドレスを生成するために,前記第1キー及び前記暗号化方法を使用して,前記記憶動作のメモリアドレスを暗号化することであって,前記メモリアドレスは,複数のメモリ位置を含む前記メモリモジュールのメモリ位置に対応する”点で共通する。
4.引用発明においても,「暗号化された書き込みたいデータ」と,「暗号化されたアドレス」とを送信しているので,
引用発明における「暗号化されたアドレスを暗号化・復号化アドレスレジスタ4に送信し,暗号化された書き込みたいデータを暗号化・復号化データレジスタに送信する」ことと,
本願発明における「第1暗号化データ及び暗号化メモリアドレスを,前記相互接続を介して前記メモリモジュールに送信する」こととは,
“第1暗号化データ及び暗号化メモリアドレスを,送信する”点で共通する。
5.以上,上記1.~上記4.において検討した事項から,本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。
[一致点]
専用の相互接続を介してメモリモジュールに接続された処理モジュールを備える電子デバイスにおいて,
記憶動作の開始に応じて,前記処理モジュールにおいて,第1暗号化データを生成するために,第1キー及び暗号化方法を使用して,前記記憶動作の記憶データ表現を暗号化することと,
暗号化メモリアドレスを生成するために,前記第1キー及び前記暗号化方法を使用して,前記記憶動作のメモリアドレスを暗号化することであって,前記メモリアドレスは,複数のメモリ位置を含む前記メモリモジュールのメモリ位置に対応する,ことと,
前記第1暗号化データ及び暗号化メモリアドレスを,送信することと,含む,方法。
[相違点1]
“記憶動作の記憶データ表現を暗号化すること”,及び,“記憶動作のメモリアドレスを暗号化すること”に関して,
本願発明においては,“記憶動作の記憶データ表現を暗号化すること”,及び,“記憶動作のメモリアドレスを暗号化すること”は,「第1インタフェース」において行われるものであるのに対して,
引用発明においては,「MPU13」が行っている点。
[相違点2]
“暗号化方法”に関して,
本願発明においては,「第1フィードバックベース暗号プロセス」であるのに対して,引用発明においては,「暗号化」の方法について,特に限定されていない点。
[相違点3]
“第1暗号化データ及び暗号化メモリアドレスを,送信する”ことに関して,
本願発明においては,「メモリモジュールに送信する」ものであるのに対して,
引用発明においては,「暗号化されたアドレスを暗号化・復号化アドレスレジスタ4に送信し,暗号化された書き込みたいデータを暗号化・復号化データレジスタに送信する」ものである点。
第7.相違点についての当審の判断
1.[相違点1]について
上記Gに引用した,引用文献3の【図3】に開示されているように,「データ処理装置2」と,「記憶装置1」とを接続する際,「インタフェース」に相当する箇所に,「暗号化/復号化器」を設けることは,本願の第1国出願前に,当業者に広く知られた技術事項である。
そして,引用発明においても,引用文献1の【図1】に開示されているように,「メモリ7」と,「重要データ保護部12」との間に,「暗号・復号回路6」を設けており,ここで「MPU13」以外で「暗号化」を行う構成も採用しているので,引用発明においても,引用文献3に開示の技術を採用して,「MPU13」ではなく,「メモリ7」との「インタフェース」部分に,「暗号化」機能を有するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
なお,請求人は,引用発明と,引用文献3に記載の技術事項とでは,組み合わせる動機付けない旨主張しているが,引用文献3は,引用文献3に記載の技術事項が,「暗号化/復号器」が,装置設計者の要求に応じて,任意の箇所に設定可能であることの周知性を示すためのものであって,引用発明と,引用文献3に記載の技術事項との関連性に基づく点を引用するものでなく,請求人の主張は,引用文献3の意義を正しく理解したものではないので,採用できない。
よって,[相違点1]は,格別のものではない。
2.[相違点2]について
引用発明において,「暗号化アルゴリズム」として,「第1フィードバックベース暗号プロセス」を採用することは,文献を引用するまでもなく,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。
3.[相違点3]について
上記E,及び,上記Fに引用した引用文献2の記載にもあるとおり,目的に応じて,「暗号文データ」をメモリに送信すること,
及び,上記Gに引用した引用文献3の記載にもあるとおり,目的に応じて,「暗号化されたアドレス」を記憶装置に送信することは,本願の第1国出願前に,当業者には広く知られた技術事項である。
よって,引用発明においても,「暗号化されたアドレス」と,「暗号化された書き込みたいデータ」とを,「メモリ7」まで,送信するよう構成することは,当業者が,目的に応じて適宜なし得る事項である。
4.以上,上記1.~上記3.において検討したとおり,[相違点1]~[相違点3]は格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず,格別なものとは認められない。
第8.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2020-013419