2020-012574
遊技機
- 審判番号
- 2020-012574
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-205833外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年09月08日
- 審決日
- 2022年01月18日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ソフイア
- 【請求人代理人】特許業務法人後藤特許事務所
- 分類
- P18 .161-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
1 手続の経緯の概要
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本願は、平成29年10月25日の出願であって、令和1年11月13日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年1月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月10日付け(送達日:同年同月16日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年9月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審判合議体において、令和3年7月20日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
本願の令和3年9月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~2のうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A~Hは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 遊技を実行可能な遊技制御手段と、当該遊技に関連する演出を実行可能な演出制御手段と、を備えた遊技機において、B 電気的に読取り可能な第1識別情報が割り当てられた着脱可能な部品を備え、C 前記演出制御手段は、続きを表示(全12行)C1 当該遊技機の機種に対応する第2識別情報を保持し、C2 前記部品の前記第1識別情報を読取って前記第2識別情報と比較し、C3 前記第1識別情報と前記第2識別情報が不一致である場合に、不一致であることを報知し、D 前記部品は、当該遊技機に備わる枠に取り付けられ、E 前記部品には、当該遊技機の機種に関する文字情報が常時表示され、F 当該遊技機には、前記枠により前面を覆われた遊技盤をさらに備え、G 前記遊技盤には、当該遊技機の正式な名称である型式名が表示されていることを特徴とするH 遊技機。」
3 拒絶の理由
当審による拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
1 (拡大先願)この出願の請求項1~2に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願(先願1)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
1.特願2017-159793号(特開2019-37336号)
2.特開2017-70612号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2017-99700号公報(周知技術を示す文献)
4 拡大先願について
(1)先願発明
当審判合議体による拒絶理由において提示された、本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特願2017-159793号(特開2019- 37336号公報参照。以下「先願」という。)(出願日:平成29年8月22日、出願人:株式会社サンセイアールアンドディ、発明者:原 一功、他1名)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、「遊技機」に関して次の事項が記載されている。
ア 記載事項
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(ア)「【発明が解決しようとする課題】【0004】遊技盤は機種ごとに異なるが、枠体については、複数の機種で使用されるもの(共通枠)もあれば、特定の機種だけで使用されるもの(専用枠)もある。このため、ある機種の遊技盤を当該機種に対応していない枠体に装着してしまうことも起こり得る。このように遊技盤を装着した枠体が、当該遊技盤(機種)との関係において適切でないにもかかわらず、そのまま遊技機を使用(稼働)すると、遊技盤や枠体が備える機器の故障を招いたり適正な遊技ができなくなったりする等、遊技に支障をきたす虞がある。【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遊技に支障をきたすことのない遊技機を提供することにある。」
(イ)「【実施例1】【0011】図1~図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、表側に装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。この遊技機枠50は、本発明の「枠体」の一態様に相当するものである。・・・【0015】また、枠可動演出ユニット141には、当該枠可動演出ユニット141の動作(収容部141aの開閉、演出可動体の出没等)に必要な各種データや電気信号等の入出力を行う入出力回路(I/Oエクスパンダ)やモータ等の駆動回路等を備える枠可動演出基板(図示せず)が設けられている。枠可動演出基板は、収容部141aの内部に配置されており、後述するランプ制御基板107に中継基板108を介して接続される。ここで、ランプ制御基板107は、後述するサブ制御基板90に接続されるため、枠可動演出基板は、中継基板108およびランプ制御基板107を介してサブ制御基板90に接続されることになる(図5を参照)。尚、枠可動演出基板は、本発明の「枠部品基板」の一態様に相当する。また、本実施例の枠可動演出ユニット141は、破損や故障等のトラブルに備えて、前面枠51(枠演出ユニット設置部)に対して着脱可能に構成されている。さらに、前面枠51の枠演出ユニット設置部には、枠可動演出ユニット141に代わる、機種に応じた演出用の枠部品(演出用部品)が取り付け可能となっている。」
(ウ)「【0046】次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7や演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。」
(エ)「【0068】本実施例では、前述のように、枠可動演出ユニット141は、本パチンコ遊技機1に係る機種専用の枠可動物となっており、枠可動演出ユニット141が設けられた遊技機枠50(前面枠51)は、本パチンコ遊技機1の専用枠となっている。このことに対応して、枠可動演出基板(スレーブ)から演出制御用マイコン91(マスタ)に対して出力される8ビットデータ(P00~P07)は、当該8ビットデータのうちの特定のビットデータを機種固有のビット値として、枠可動演出ユニット141の対応する機種の識別信号となっている。そして、遊技盤2を遊技機枠50(本体枠52)に装着し、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)と枠可動演出基板を接続した状態で、識別信号(8ビットデータ)のシリアル通信(I2C通信)を行うこととしている。つまり、枠可動演出基板(スレーブ)は、その枠可動演出基板が設けられる枠可動演出ユニット141の該当する機種に応じた識別信号(8ビットデータ)を出力可能に構成されている。」
(オ)「【0167】[サブ制御メイン処理]次に、図37~図43に基づいて、演出制御用マイコン91の動作(サブ制御部90による制御処理)について説明する。尚、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ、タイマ等は、サブ制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、サブ制御基板90のROMから図37に示すサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まず、電源投入フラグをONにする処理を行う(S4000)。これは、電源投入(電源オン)による電力供給の開始に際して、後述の枠確認処理(S4200)を実行するためである。次いで、CPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。・・・【0170】乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM内の出力バッファ(「サブ出力バッファ」ともいう)に格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106およびランプ制御基板107のうち、対応するコマンド送信先となる制御基板に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従い各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動演出部材等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出や、大当り遊技に係る特別遊技演出等)を実行する。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7a(演出図柄表示領域7b)上で実行される演出図柄等の表示制御や、各種ランプの点灯制御や、可動演出部材の動作制御や、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。」
(カ)「【0190】[枠確認処理]次に、2msタイマ割り込み処理(S4009)にて実行される枠確認処理(S4200)について説明する。図43に示すように、枠確認処理(S4200)では、まず、電源投入フラグがONであるか否かを判定する(S4601)。前述のように、電源投入フラグは、電源投入(電源オン)に伴う電力供給の開始に基づいてONされるものである。したがって、電源投入フラグがONである場合には、電力供給が開始されたタイミング(電源投入時)であることを意味する。その結果、電源投入フラグがONでない(OFFである)場合には(S4601でNO)、本処理を終え、ONである場合には、S4602以降の処理を行う。つまり、枠確認処理(S4200)は、実質的には、電源投入時に行われるのである。・・・続きを表示(全12行)【0192】次いで、S4606では、枠可動演出基板(枠可動演出ユニット141)からの8ビットデータ(識別信号)と、演出制御用マイコン91(サブ制御基板90側)で予め記憶している本パチンコ遊技機1(機種A)の識別信号に係る信号情報とを比較して、枠可動演出基板から入力のあった8ビットデータ(識別信号)が適切なビット値であるか否か(正常であるか否か)を確認する(S4606)。ここで、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)のROMには、本パチンコ遊技機1の機種、すなわち、遊技機枠50(本体枠52)に装着される遊技盤2の該当機種に対応する識別信号の適正なビット値に係る情報(ビット情報)が予め記憶されている(信号情報記憶部)。S4606では、その記憶されているビット情報(信号情報)を読み出して、S4603で入力のあった枠可動演出基板(枠可動演出ユニット141)からの8ビットデータ(識別信号)と比較し、両者が一致するか否かを判定する。尚、本実施例のパチンコ遊技機1は機種Aであり、前面枠51に設けられた枠可動演出ユニット141は機種Aに対応するものであることから、枠可動演出基板からの8ビットデータ(識別信号)は、機種Aを示すデータ(ビット値)となっている。・・・【0194】一方、枠可動演出基板から入力のあった8ビットデータ(識別信号)が適切なビット値でない(正常でない)と判定した場合には(S4607でNO)、遊技機枠50(枠可動演出ユニット141)が、これに装着された遊技盤2との関係において適切でない旨を示すエラー報知を行う(S4608)。この場合、遊技盤2が装着された遊技機枠50(枠可動演出ユニット141)は、当該遊技盤2に適合しないもの、すなわち、機種Aとは別の機種の遊技機枠(枠可動演出ユニット)であるため、遊技盤2との関係において適切でないと判別できる。尚、この場合のエラー報知は、遊技盤2を装着した遊技機枠50(枠可動演出ユニット141)が当該遊技盤2に対応していないことを、遊技機メーカーや遊技ホールの従業員等の第三者に認識させることができる態様であればよい。具体的には、例えば、画像表示装置7や枠ランプ66等による視覚的な警告表示(エラー表示)や、スピーカ67からの警告音(エラー音)により行うことが可能である。・・・【0197】また、実施例1のパチンコ遊技機1では、枠可動演出ユニット141が前面枠51に対して着脱可能に構成されている。このため、例えば、枠確認処理(S4200)において、枠可動演出ユニット141が遊技盤2との関係において適切でないと判別された場合に、その枠可動演出ユニット141を取り外したり、適切なユニット(対応品)に交換したりする等の措置が可能となる。」
イ 先願発明
上記アの記載事項を総合すると、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる(a~hは、本願発明のA~Hに対応させて付与した。)。
「a遊技機枠50と、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80と、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う、演出制御用マイコン91を備えたサブ制御基板90と、続きを表示(全14行)を備えているパチンコ遊技機1(【0011】、【0046】、【0167】)において、b、d、f遊技機枠50は、表側に装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、を有して構成されており(【0011】)、枠可動演出ユニット141は、前面枠51に対して着脱可能に構成されており、枠可動演出ユニット141には、当該枠可動演出ユニット141の動作に必要な各種データや電気信号等の入出力を行う入出力回路やモータ等の駆動回路等を備える枠可動演出基板が設けられており(【0015】)、枠可動演出基板は、その枠可動演出基板が設けられる、機種専用の枠可動物である枠可動演出ユニット141の該当する機種に応じた識別信号である8ビットデータを出力可能に構成されており(【0068】)、c、c1、c2、c3演出制御用マイコン91は、サブ制御メイン処理の2msタイマ割り込み処理にて実行される枠確認処理において、サブ制御基板90のROMに予め記憶されている、本パチンコ遊技機1の機種に対応する識別信号の適正なビット値に係る情報を読み出して、入力のあった枠可動演出基板からの8ビットデータと比較し、両者が一致するか否かを判定し(【0190】、【0192】)、枠可動演出基板から入力のあった8ビットデータが適切なビット値でないと判定した場合には、枠可動演出ユニット141が遊技盤2との関係において適切でない旨を示すエラー報知を行う(【0192】、【0194】、【0197】)、hパチンコ遊技機1(【0011】)。」
(2)周知例、周知技術
ア 特開2017-70612号公報(当審判合議体において提示した文献)
【0024】~【0025】、【0030】、【図1】、【図3】には、「上側に上側装飾ユニット200を備えて構成された前枠53を有し、上側装飾ユニット200は、上側が開放した箱状の収容部290を備え、収容部290の前壁部291には、枠ランプ66が設けられ、枠ランプ66は左側から右側に向かって順番に第1発光部66aと第2発光部66bと第3発光部66cと第4発光部66dとを備え、第1発光部66aは正面視で「L」字形状であり、第2発光部66bは正面視で「O」字形状であり、第3発光部66cは正面視で「G」字形状であり、第4発光部66dは正面視で「O」字形状であり、このようにアルファベット形状に形成された各発光部66a,66b,66c,66dによって、枠ランプ66は「LOGO」から成る一連の意味ある文字列を形成しており、この「LOGO」とは、本パチンコ遊技機1の機種名の略称(「ロゴ」)であると共に、主人公キャラの名称を意味しているパチンコ遊技機1。」が記載されている。
イ 特開2017-99700号公報(当審判合議体において提示した文献)
【0111】~【0113】、【図6】、【図8】~【図9】には、「ロゴユニット58は、導電性を有する金属製のフレーム部材111に対して取り付けられ、ロゴユニット58は、前面カバー580を有し、前面カバー580は、前面カバー本体580Aと、複数のアウターレンズ580Bとを有し、複数のアウターレンズ580Bは、機種名などのロゴを一文字ずつ照らし出すためのものであり、前面カバー本体580Aの前面に沿って左右方向に並ぶように設けられているパチンコ遊技機1」が記載されている。
ウ 周知技術1
上記ア、イより、遊技機の技術分野において、遊技機に備わる枠に取り付けられる部品に遊技機の機種に関する文字情報を常時表示することは、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知技術1」という。)である。
エ 特開2008-264372号公報
【0156】~【0157】、【図7】には、「遊技盤81の右下隅部に証紙貼付部106を設け、その表面に型式名が記載された盤用証紙107を貼り付けられたこと」が記載されている。
【図7】遊技盤の構成を示す正面図である。
[図:0001382720000001.jpg]
オ 特開2000-42228号公報
【0020】~【0021】、【図1】~【図2】には、「遊技盤1aの左下隅に内蔵されている遊技制御装置の表面にゲーム名、型名、製造番号が表示されること」が記載されている。
【図1】実施例のパチンコ遊技機の正面図である。
[図:0001382720000002.jpg]
【図2】遊技制御装置の正面図(a)及び側面図(b)である。
[図:0001382720000003.jpg]
カ 周知・慣用手段
上記エ、オより、遊技機の技術分野において、遊技盤に、遊技機の正式な名称である型式名を表示することは、本願出願前に周知・慣用の手段である。
(3)対比
本願発明と先願発明とを、分説に従い対比する。
(a、h)構成A、Hについて
先願発明の「遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80」は、本願発明の「遊技を実行可能な遊技制御手段」に相当し、先願発明の「遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90」は、本願発明の「当該遊技に関連する演出を実行可能な演出制御手段」に相当し、先願発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
したがって、先願発明の構成a、hは、本願発明の構成A、Hに相当する構成を有している。
(b)構成Bについて
先願発明の「前面枠51に対して着脱可能に構成されて」いる「機種専用の枠可動物である枠可動演出ユニット141」は、本願発明の「着脱可能な部品」に相当する。
また、先願発明の「8ビットデータ」は、「枠可動演出ユニット141の該当する機種に応じた識別信号である」から、枠可動演出ユニット141に「割り当てられた」ものであるといえ、本願発明の「第1識別情報」に相当する。
そして、先願発明において、「出力可能に構成されて」いる「8ビットデータ」は、「電気信号」であることは明らかであり、また、構成c、c1、c2、c3より、「枠可動演出基板からの8ビットデータ」が「演出制御用マイコン91」に「入力」されることから、電気的に読取り可能な情報であるといえる。
したがって、先願発明の構成b、d、fは、本願発明の構成Bに相当する構成を有している。
(c~c3)構成C~C3について
上記(a、h)より、先願発明の「サブ制御基板90」は、本願発明の「演出制御手段」に相当することから、先願発明の「サブ制御基板90」が備える「演出制御用マイコン91」も、本願発明の「演出制御手段」に相当する。
そして、先願発明の「本パチンコ遊技機1の機種に対応する識別信号の適正なビット値に係る情報」は、本願発明の「第2識別情報」に相当することから、先願発明の「サブ制御基板90のROMに」「本パチンコ遊技機1の機種に対応する識別信号の適正なビット値に係る情報」が「予め記憶されて」いることは、本願発明の「当該遊技機の機種に対応する第2識別情報を保持」することに相当する。
また、上記(b)より、先願発明の「枠可動演出ユニット141」、「枠可動演出基板からの8ビットデータ」は、それぞれ、本願発明の「部品」、「第1識別情報」に相当する。
そうすると、先願発明の「本パチンコ遊技機1の機種に対応する識別信号の適正なビット値に係る情報を読み出して、入力のあった枠可動演出基板からの8ビットデータと比較」することは、本願発明の「部品の第1識別情報を読取って第2識別情報と比較」することに相当する。
同様に、先願発明の「(サブ制御基板90のROMに予め記憶されている、本パチンコ遊技機1の機種に対応する識別信号の適正なビット値に係る情報を読み出して、入力のあった枠可動演出基板からの8ビットデータと比較し、)両者が一致するか否かを判定し」、「枠可動演出基板から入力のあった8ビットデータが適切なビット値でないと判定した場合には、枠可動演出ユニット141が遊技盤2との関係において適切でない旨を示すエラー報知を行う」ことは、本願発明の「第1識別情報と第2識別情報が不一致である場合に、不一致であることを報知」することに相当する。
したがって、先願発明の構成c、c1、c2、c3は、本願発明の構成C、C1、C2、C3に相当する構成を有している。
(d)構成Dについて
先願発明の「前面枠51」は、本願発明の「枠」に相当する。
また、先願発明において、「枠可動演出ユニット141は、前面枠51に対して着脱可能に構成されて」いるから、「枠可動演出ユニット141」は、「前面枠51」に取り付けられるものであるといえる。
さらに、先願発明において、構成aより、「パチンコ遊技機1」は、「遊技機枠50」「を備えて」おり、構成b、d、fより、「遊技機枠50は、」「前面枠51」「を有して構成されて」いるから、「前面枠51」は、「パチンコ遊技機1」に備わるものであるといえる。
したがって、先願発明の構成b、d、fの「枠可動演出ユニット141は、前面枠51に対して着脱可能に構成されて」いることは、本願発明の構成Dの「部品は、当該遊技機に備わる枠に取り付けられ」ていることに相当する。
(f)構成Fについて
上記(d)より、先願発明の「前面枠51」は、本願発明の「枠」に相当する。
そして、先願発明において「遊技盤2」は、「本体枠52」に「取り付け」られるものであって、また、「表側に装飾面を有する前面枠51」にその前面を覆われるものであることは明らかであるから、本願発明の「枠により前面を覆われた遊技盤」に相当する。
したがって、先願発明の構成b、d、fは、本願発明の構成Fに相当する構成を有している。
以上のことから、本願発明1と先願発明とは、
[一致点]
「A 遊技を実行可能な遊技制御手段と、当該遊技に関連する演出を実行可能な演出制御手段と、を備えた遊技機において、B 電気的に読取り可能な第1識別情報が割り当てられた着脱可能な部品を備え、C 前記演出制御手段は、C1 当該遊技機の機種に対応する第2識別情報を保持し、C2 前記部品の前記第1識別情報を読取って前記第2識別情報と比較し、C3 前記第1識別情報と前記第2識別情報が不一致である場合に、不一致であることを報知し、D 前記部品は、当該遊技機に備わる枠に取り付けられ、F 当該遊技機には、前記枠により前面を覆われた遊技盤をさらに備えるH 遊技機。」
である点で一致し、次の点で一応相違する。
[相違点1](構成E)
「部品」に関して、
本願発明は、「部品には、遊技機の機種に関する文字情報が常時表示され」ているのに対して、
先願発明の「枠可動演出ユニット141」(部品)は、「遊技機の機種に関する文字情報が常時表示され」ているのか不明である点。
[相違点2](構成G)
「遊技盤」に関して、
本願発明は、「遊技盤には、当該遊技機の正式な名称である型式名が表示されている」のに対して、
先願発明の「遊技盤2」には、「遊技機の正式な名称である型式名が表示されている」のか不明である点。
(4)判断
上記一応の相違点1、2について検討する。
ア 相違点1(構成E)について
先願発明の「機種に応じた」「枠可動演出ユニット141」に、機種に関する文字情報を常時表示することは、上記周知技術1の単なる付加であると認められる。
ここで、本願発明の課題は、「従来の遊技機では、他機種の部品(パーツ)が間違って取り付けられた場合に適切に報知されていなかったため、遊技機において、間違った部品が取り付けられた場合に適切に報知すること」(【0005】)である。
一方、先願発明は、構成c、c1、c2、c3を備えることで、「枠可動演出ユニット141が、これに装着された遊技盤2との関係において適切でない旨を示すエラー報知を行」うものである。
そして、先願明細書の【0004】には、「遊技盤は機種ごとに異なる」ことが記載されている。
そうすると、先願発明の「前面枠51に対して着脱可能に構成されて」いる「枠可動演出ユニット141」は、「枠可動演出ユニット141が遊技盤との関係において、適切でない間違った機種に取り付けられた旨のエラー報知を行うものであるから、本願発明の課題を解決するものである。
したがって、先願発明は、本願発明の課題を解決済みであるから、先願発明に上記周知技術1を付加しても新たな効果を奏するものではない。
よって、上記相違点1は、課題解決のための具体化手段における微差であり、実質的な相違点ではない。
イ 相違点2について
先願発明の「遊技盤2」に遊技機の正式な名称である型式名を表示することは、周知・慣用手段の単なる付加であると認められる。
また、上記アにおいて検討したように、先願発明は、本願発明の課題を解決済みであるから、先願発明に上記周知・慣用手段を付加しても新たな効果を奏するものではない。
よって、上記相違点2は、課題解決のための具体化手段における微差であり、実質的な相違点ではない。
ウ 小括
上記ア~イより、本願発明は、先願発明と同一である。
エ 請求人の主張について
請求人は、令和3年9月24日提出の意見書において、次の主張をしている。
「4.(拡大先願)の拒絶理由を解消した旨の説明(1)先願1との対比先願1には、拒絶理由通知書に記載のとおり、(相違点)となる『機種に関する文字情報が常時表示されている』について明らかではない遊技機が記載されている。さらに、先願1については、型式名の表示に関する内容の記載がない。よって、『前記遊技盤には、当該遊技機の正式な名称である型式名が表示されている』については、(相違点2)に相当する。このため、本願発明は、先願1に記載の発明と実質同一ではない。」
(2)引用例2、引用例3について
「・・・このように、引用例2及び引用例3には、いずれも(相違点2)にあたる『前記遊技盤には、当該遊技機の正式な名称である型式名が表示されている』に相当する内容の開示がない。このため、(相違点2)は、引用例2及び引用例3を参照する限り周知技術に該当しない。なお、仮に(相違点2)が周知技術にあたるとしても、先願1に記載の発明との対比においおいて、本願発明は、誤った部品が取り付けられていても遊技場の店員が遊技盤に表示される型式名の表示を頼りに対応することができるという本願発明特有の効果を奏する。よって、上記の(相違点2)はいわゆる課題解決のための具体化手段における微差にあたらない。」
そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記ア~ウにおいて検討したように、本願発明の課題は構成c、c1、c2、c3等の構成により解決済みである。
そして、請求人が、本願発明が奏する効果であると主張する「誤った部品が取り付けられていても遊技場の店員が遊技盤に表示される型式名の表示を頼りに対応することができる」という効果は、先願発明の課題を解決することにより奏される効果とは異なるものであって、先願発明に上記周知・慣用手段を単に付加することにより奏される自明の効果に過ぎない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(4)まとめ
上記(1)~(3)より、本願発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本願の発明者が先願の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願時点において、その出願人が先願の出願人と同一であるともいえないので、本願発明は特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-012574