2020-011713
分散性の周期的なコンセントレータ
- 審判番号
- 2020-011713
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-527622外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月21日
- 審決日
- 2021年05月10日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コンコード (エイチケー) インターナショナル エデュケーション リミテッド
- 【請求人代理人】村井 康司
- 【請求人代理人】西尾 剛輝
- 分類
- P18 .575-Z (G09F) / P18 .121-Z (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成27年11月23日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張、2014年11月24日、米国)、平成29年6月28日に翻訳文が提出され、令和元年12月2日付けの拒絶理由通知に対し、令和2年1月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月14日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(原査定の謄本の送達日:同年4月21日)、これに対して、同年8月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、以下の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は、補正箇所を示す。
(1)本件補正前
「【請求項1】リフレクティブ画像ディスプレイであって、基板と;基板に支えられ、第1の色と第2の色にそれぞれ対応する第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタを備える複数のカラーフィルタと;複数のカラーフィルタに対して配置され、複数の光学フィルタのそれぞれが、入ってくる光線を受けるとともに、(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させるか、または(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射するかの少なくとも1つを行うよう構成された複数の光学フィルタとを備え、基板が、さらに、光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む、リフレクティブ画像ディスプレイデバイス。」
(2)本件補正後
「【請求項1】後方反射型画像ディスプレイであって、基板と;基板に支えられ、第1の色と第2の色にそれぞれ対応する第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタを備える複数のカラーフィルタと;複数のカラーフィルタに対して配置され、複数の光学フィルタのそれぞれが、入ってくる光線を受けるとともに、(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させるか、または(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射するかの少なくとも1つを行うよう構成された複数の光学フィルタとを備え、基板が、さらに、光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む、後方反射型画像ディスプレイデバイス。」
2 本件補正についての当審の判断
本件補正は、請求項1の「画像ディスプレイ」について、本件補正前は「リフレクティブ画像ディスプレイ」としていたものを、本件補正後は「後方反射型画像ディスプレイ」と補正することを含むものである。
ここで、本願明細書の段落【0003】には「カラーリフレクティブディスプレイは、典型的には、赤色、緑色、青色(RGB)のフィルタで構成されるカラーフィルタ層を備えている。このフィルタは、制御可能に調節する反射体アセンブリの上に配置されている。このアセンブリは、入射光を吸収するか、または入射光を、フィルタを通り、ディスプレイを見ている視聴者の方へと後方反射する。」(下線は当審が付与した。)と記載されているから、この記載を参酌すれば「後方反射型画像ディスプレイ」とは、入射光をディスプレイを見ている視聴者の方へ反射するタイプの画像ディスプレイを指すと解される。
そうすると、上記補正は、「リフレクティブ画像ディスプレイ」という単に反射するタイプの画像ディスプレイを、入射光をディスプレイを見ている視聴者の方へ反射するタイプに限定したものであるといえる。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、以下では、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、について検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次に特定されるとおりのものである。
「後方反射型画像ディスプレイであって、基板と;基板に支えられ、第1の色と第2の色にそれぞれ対応する第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタを備える複数のカラーフィルタと;複数のカラーフィルタに対して配置され、複数の光学フィルタのそれぞれが、入ってくる光線を受けるとともに、(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させるか、または(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射するかの少なくとも1つを行うよう構成された複数の光学フィルタとを備え、基板が、さらに、光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む、後方反射型画像ディスプレイデバイス。」
(2)引用文献
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用された特表2008-502936号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は当審が付した。
「【技術分野】【0001】本発明は、光学分離フィルタ、この光学分離フィルタを有する表示パネル、この表示パネルを有する表示装置及びこの光学フィルタを有するソーラーパネルに関する。」
「【0052】図2は、ディスプレイの画素と組み合わされる光学分離フィルタの実施例の断面を概略的に示している。光学分離フィルタOF及びディスプレイDの画素PR,PGは、図1に示される構成に基づいている。ここでは、画素PR,PGの間にオプションとしての自由空間があり、錐状カラーフィルタCF2が加えられている。またここでも、漏斗状構造体F1は、画素PGの領域をカバーする出口領域OA2と関連した底面B1を有する錐状体PE1の側壁の上にある反射型フィルタFRにより形成される。漏斗状構造体F2は、画素PRの領域をカバーする出口領域OA1と関連した底面B2を有する錐状体PE2の側壁の上にある反射型フィルタFGにより形成される。漏斗体F1の入口領域はIA1として示され、漏斗体F2の入口領域はIA2として示される。光学分離フィルタOFとディスプレイDとの組み合わせは、表示パネルDPと呼ぶことにする。図2は、等しい寸法の出力領域OA1,OA2及び画素PR,PGを示しているが、このことは必須ではない。」
「【0054】好ましくは、錐状体PE1,PE2及び画素PR,PGは、周囲媒質の屈折率n0よりも高い同じ屈折率n1を有するのがよい。錐状体PE1,PE2の間の領域は、屈折率n1の透過性材料により充填されてもよいし、或いは空間として屈折率n0を有するものとしてもよいし、或いはn0ないしn1の屈折率を有するものとしてもよい。大抵は、錐状体PE1,PE2は、それらの頂部上に透過性のプレート(図示せず)を加えることにより保護される。」
「【0058】図5は、出口領域において吸収性カラーフィルタを有する光学分離フィルタの実施例の断面を概略的に示している。図5に示される構成は、図2に示される構成に基づいている。図5及び図2における同一の符号は同じ機能を有する同じアイテムを指し示している。ここでは、第2の錐状構造体PE2がPR及びPBで示される画素の上方に存在する。第1の錐状構造体PE1はここでも、PGで示される画素の上方に存在する。ここで、例示として、錐状体PE1及びPE2の全ての底面B1,B2は、同じ寸法を有し、画素PR,PB,PGの間には自由な空間がない。注記すると、画素PR,PB,PGが異なる符合で示されているが、実際には画素PR,PG,PGの構成は同じものとすることができ、当該画素に入り及び/又は当該画素により反射される光の特性だけが異なるものとすることができる。さらに、ここでの色吸収性フィルタCF3,CF4,CF5は、画素PB,PR,PGにそれぞれ向かって方向づけられた光をフィルタ処理するように付加される。【0059】以下、図示の構成の動作を詳説する。例示の目的でのみ述べれば、括弧内には、画素PB,PR,PGがそれぞれ原色の青B,赤R及び緑Gを透過又は反射する必要がある場合の事柄が説明されている。図示の例において、画素PGの上方の錐状体PE1の反射型フィルタFRに入る入射光ILは、画素PBに向かって、隣接のピラミッド体PE2の反射型フィルタFG(色R及びBを透過する)及びカラーフィルタCF3(色Rを吸収し色Bを透過する)を通じるように、第1の特性C1(色R及びBを有する)の反射光RLとして反射される。画素PBにより跳ね返された光BLの特性(色B)は、カラーフィルタCF3がスペクトルの一部(色B)に対してのみ透過性であるので、変えられる。隣接の錐状体PE1に入射する光BLは、看視者に向かって反射型フィルタFR(色R及びBを反射する)により反射される。【0060】画素PGの上方の錐状体PE1の反射型フィルタFRに入る入射光ILは、錐状体PE1を通じて第2の特性(色G)を有する透過光TLとして透過される。この透過光は、光吸収型フィルタCF5(色G又は色Gの限定されたスペクトルのみを透過し、他の色は吸収する)を介して画素PGに達する。フィルタCF5は、原色Gの色ポイントを改善するようにしてもよい。画素PGにより後ろに反射した光は、隣接の錐状体PE2上のフィルタFG(色Gを反射する)に当たり看視者に向かって反射される。【0061】画素PR(図示せず)に向かって錐状体PE1により反射した光は、ここでも第1の特性C1(色R及びBを有する)を有する。吸収性フィルタCF4(色Rを透過し色Bを吸収する)は、特性C1の光をフィルタ処理して、画素PRだけが第4の特性(色Rのみ)の光に対して有効なものとする。」
「【0116】本発明による光学分離フィルタは、例えば、eインクディスプレイ、LCD、電気湿式ディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイなどの幾つかのディスプレイと共働作用することができる。好ましくは、ディスプレイは拡散反射ディスプレイとするのがよい。何故なら、このようなディスプレイは最良の視認性のある画像を提供するからである。理想的ではないフィルタ特性又は構造上の機械的ずれによる色誤差を回避するために吸収性カラーフィルタを追加することは有利になる場合がある。」
「【図2】」
「【図5】」
イ 引用発明の認定
上記アの記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「光学分離フィルタOFとディスプレイDを表示パネルDPに備えた表示装置であって、(【0001】、【0052】、【0058】、【図2】、【図5】)光学分離フィルタOFは、出口領域OA1、OA2、OA3において吸収性カラーフィルタCF4、CF5、CF3をそれぞれ有し、吸収性カラーフィルタCF3、CF4、CF5は、画素PB、PR、PGにそれぞれ向かって方向づけられた光をフィルタ処理するように付加され、続きを表示(全21行)第2の錐状構造体PE2が画素PR及びPBの上方に存在し、第1の錐状構造体PE1は、画素PGの上方に存在し、画素PR、PG、PGは、当該画素に入り及び/又は当該画素により反射される光の特性だけが異なり、その構成は同じものであり、(【0058】、【図5】)錐状構造体PE1、PE2及び画素PR、PG、PBは、周囲媒質の屈折率n0よりも高い同じ屈折率n1を有するものであり、(【0054】、【図5】)画素PB、PR及びPGが、それぞれ原色の青B、赤R及び緑Gを反射する場合、画素PGの上方の錐状構造体PE1の反射型フィルタFRに入る入射光ILは、画素PBに向かって、隣接の錐状構造体PE2の反射型フィルタFG(色R及びBを透過する)及びカラーフィルタCF3(色Rを吸収し色Bを透過する)を通じるように、第1の特性C1(色R及びBを有する)の反射光RLとして反射され、隣接の錐状構造体PE1に入射する光BLは、看視者に向かって反射型フィルタFR(色R及びBを反射する)により反射され、(【0059】、【図5】)画素PGの上方の錐状構造体PE1の反射型フィルタFRに入る入射光ILは、錐状構造体PE1を通じて第2の特性(色G)を有する透過光TLとして透過され、この透過光は、光吸収型フィルタCF5(色G又は色Gの限定されたスペクトルのみを透過し、他の色は吸収する)を介して画素PGに達し、画素PGにより後ろに反射した光は、隣接の錐状構造体PE2上のフィルタFG(色Gを反射する)に当たり看視者に向かって反射され、(【0060】、【図5】)画素PRに向かって錐状構造体PE1により反射した光は、ここでも第1の特性C1(色R及びBを有する)を有し、吸収性カラーフィルタCF4(色Rを透過し色Bを吸収する)は、特性C1の光をフィルタ処理して、画素PRだけが第4の特性(色Rのみ)の光に対して有効なものとし、(【0061】、【図5】)光学分離フィルタは、eインクディスプレイと共働作用するものであり、ディスプレイは拡散反射ディスプレイである、(【0116】)表示装置。」
ウ 引用文献2
原査定の拒絶の理由において引用された特開2004-98322号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は当審が付した。
「【0027】画像表示層にマイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイを用いた場合の構成について説明する。【0028】マイクロカプセル50の一例を図9に示す。マイクロカプセル50は、メタクリル酸樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴム等をカプセル殻51とし、内部には酸化チタンからなる白の粒子53とカーボンブラックからなる黒の粒子54が、シリコーンオイル等の粘性の高い分散媒で分散され封入されている。白の粒子である酸化チタンは正電荷を帯びており、一方黒の粒子であるカーボンブラックは負電荷を帯びている。【0029】このため、図10(b)に示すように、二つの電極フィルム55、56に電界を印加して、電極フィルム55が負極、電極フィルム56が正極になった場合、正に帯電した白の粒子53が電極フィルム55側に引かれ、黒の粒子54が電極フィルム56側に引かれるので、少なくとも電極フィルム55を透明電極としておき、電極フィルム55側の上方から観察するとその部分が白く見える。【0030】逆に電極フィルム55が正極、電極フィルム56が負極になった場合、正に帯電した白の粒子53が電極フィルム56側に引かれ、黒の粒子54が電極フィルム55側に引かれるので、電極フィルム55の上方から観察するとその部分が黒く見える。」
「【0042】上記の例では、モノクロ(白黒)の画像表示の例であるが、カラー画像表示の場合にはに示すように画素単位に分割されたR(赤),G(緑),B(青)の色を有するカラーフィルタを画素単位で電界を印加することができる透明な電極フィルム側に設けることで実現できる。【0043】すなわち、白い粒子が電極フィルム側に引かれている部分の観察光は白粒子で反射されカラーフィルタを通過してくるので、カラーフィルタの色が観察されることになる。」
「【0076】次に、カラーフィルタを以下の方法で作成した。【0077】まず、メタクリル酸ブチル50部、メタクリル酸メチル20部、アクリル酸30部をシクロヘキサノンを溶媒として共重合させ、アクリル樹脂を作成した。続きを表示(全26行)【0078】このアクリル樹脂25部に対し、溶媒が47部の比率になるようにアクリル樹脂溶液を調整し、これに赤色顔料(Pigment Red22)20部を配合し、ビーズミルで1時間分散した。その後、更に感光性モノマーとしてジペンタエリスリトール4部、ヘキサアクリレート4部、および光重合開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド0.3部をディスパーにて混合し、赤色フォトレジスト材料を調整した。【0079】この赤色フォトレジスト材料を、0.1mm厚のPETフィルム基材4上にスピンコートし、常温で5分間放置して膜表面を平滑化した後、減圧乾燥させて赤色フォトレジスト層を形成した。【0080】そして、この赤色フォトレジスト層に、縦100mm×横110μmの露光部ストライプパーターンが横方向280μmの遮光部を介して繰り返し形成されてなるフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯により、露光量150mJ/cm2の条件で密着露光した。【0081】露光後、温度20℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴出圧力1kg/cm2で噴霧するスプレー現像を20秒間行い、未露光部位を除去して、PETフィルム基材を露出させた。【0082】現像処理後の基板4を乾燥した後、EBキュアプロセスにより硬膜処理を行い、図2に示すように、膜厚1.1μmの赤色パターン111を得た。【0083】次に、この赤色パターンが形成された基板上に、色材として緑色顔料(Pigment Green7)を用い、前記と同様の組成で作成した緑色フォトレジスト材料を使用し、緑色フォトレジスト層を形成した。【0084】そして前記と同様のフォトマスクを赤色パターンを形成した位置から横方向に130μm移動させた位置に設置し、露光量200mJ/cm2の条件で密着露光した。【0085】露光後、温度20℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴出圧力1kg/cm2で噴霧するスプレー現像を30秒間行い、未露光部位を除去してガラス基板を露出させた。【0086】現像処理後の基板4を乾燥した後、前記と同様にEBキュアプロセスにより硬膜処理を行い、膜厚1.2μmの緑色パターン112を得た。【0087】更に、前記と同様に、色材として青色顔料(Pigment Blue15:6)を用い、青色フォトレジスト材料を作成し、膜厚1.1μmの青色パターン113を得た。【0088】このようにして3色の着色パターンが形成されたカラーフィルタの前面に、ITO電極3をAr-02雰囲気下におけるRFスパッタ法で20nm厚形成し、これを前記のマイクロカプセル層16上に、画素電極2と着色パターン111,112,113との位置を合わせて張り合わせ、図1に示す多色表示パネルである電気泳動表示パネルを得た。」
「【図1】」
「【図2】」
エ 引用文献3
当審が新たに引用する特表2008-529052号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【背景技術】【0002】最初のパラグラフにおいて言及されたタイプのディスプレイ装置は、国際特許出願公開WO99/53373から知られている。該特許出願は、2つの基板を有する電子インクディスプレイ(Eインクディスプレイとも呼ばれる)を開示している。一方の基板は透明であり、他方の基板は行及び列に配置された電極を備える。表示要素即ち画素は、行電極及び列電極の交点と関連付けられる。各表示要素は、薄膜トランジスタ(TFTとも呼ばれる)の主電極を介して、列電極に結合される。TFTのゲートは、行電極と結合される。表示要素のこの構成、TFT、並びに行及び列電極は、合わせてアクティブマトリクス型ディスプレイ装置を形成する。【0003】各画素は画素電極、即ちTFTを介して列電極に接続された画素の電極を有する。画像の更新又は画像のリフレッシュ期間の間、行ドライバは、表示要素の全ての行を1つずつ選択するように制御され、列ドライバは、選択された行の表示要素と並行して列電極及びTFTを介して、データ信号を供給するように制御される。データ信号は、マトリクス型ディスプレイ装置に表示されるべき画像データに対応する。【0004】更に、透明基板に配置された画素電極と共通電極との間に、電子インクが備えられる。電子インクはかくして、共通電極と画素電極との間に挟持される。電子インクは、約10乃至50ミクロンの多数のマイクロカプセルを有する。各マイクロカプセルは、液体中に浮遊した正に帯電した白色の粒子と負に帯電した黒色の粒子とを有する。正の電荷が画素電極に印加された場合、白色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側に移動し、観測者にとって表示要素が白く見える。同時に、黒色の粒子がマイクロカプセルの反対側における画素電極に移動し、観測者からは隠される。負の電圧を画素電極に印加することにより、黒色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側における共通電極に移動し、観測者にとって表示要素が黒く見える。電場が除去されると、ディスプレイ装置は得られた状態に留まり、双安定の特性を呈する。白色及び黒色の粒子を持つ電子インクディスプレイは、電子書籍として特に有用である。」
オ 引用文献4
当審が新たに引用する特開2011-65035号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【0051】<実施例1>ポリエチレン樹脂で表面を被覆した平均粒径3μmの酸化チタン粉末(白色粒子)と、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドで表面処理した平均粒径4μmのカーボンブラック粉末(黒色粒子)を透明分散媒のテトラクロロエチレンに分散し、分散液Aを得た。この場合、白色粒子が負に帯電し、黒色粒子が正に帯電する。【0052】続きを表示(全39行)次いで、水にゼラチンとポリスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解した水溶液を調製し、分散液Aと混合し、液温を40℃に調整した後、液温を保持しながら、ホモジナイザーにより攪拌し、O/Wエマルションを得た。【0053】次に、得られたO/Wエマルションと、水にアラビアゴムを溶解した水溶液とを、40℃でディスペンサーを用いて混合し、液温を40℃に維持しながら、酢酸を用いて溶液のpHを4に調整し、コンプレックス・コアセルベーション法によりゼラチン-アラビアゴムを殻材とするマイクロカプセルを形成した。【0054】更に、液温を5℃に低下させた後、37質量%ホルマリン溶液を加えてマイクロカプセル殻の壁材を硬化させ、白色粒子(酸化チタン粒子)と黒色粒子(カーボンブラック粒子)が分散した分散液Aを封入したマイクロカプセルを得た。【0055】このようにして得られたマイクロカプセルを篩い分けして、平均粒径が40μmで、かつ、30~50μmの粒径のマイクロカプセルの割合が50%以上になるように、粒径をそろえた。【0056】次に、上記粒径をそろえたマイクロカプセルを固形分として、固形分40質量%のマイクロカプセルの水分散液を調整した。その水分散液と、固形分25質量%のウレタン系バインダー(CP-7050、DIC株式会社製)と、界面活性剤と、増粘剤と、純水を混合し、マイクロカプセルインキを作製した。【0057】一方、カラーフィルタを以下の方法で作成した。ここで部は全て質量部である。まず、メタクリル酸ブチル50部、メタクリル酸メチル20部、アクリル酸30部をシクロヘキサノンを溶媒として共重合させ、アクリル樹脂を作成した。【0058】このアクリル樹脂25部に対し、溶媒が47部の比率になるようにアクリル樹脂溶液を調製し、これに赤色顔料(Pigment Red22)20部を配合し、ビーズミルで1時間分散した。その後、更に、感光性モノマーとしてジペンタエリスリトール4部、ヘキサアクリレート4部、および光重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド0.3部をディスパーにて混合し、赤色フォトレジスト材料を調整した。【0059】この赤色フォトレジスト材料を、縦400mm×横320mm、厚さ0.7mmの透明ガラス基板上にスピンコートし、常温で5分間放置して膜表面を平滑化した後、70℃で20分間乾燥させ、赤色フォトレジスト層を形成した。【0060】そして、この赤色フォトレジスト層に、図4(b)に示すように、表示画面が縦97.28mm×横128.08mmの6型パネルが6面付けされ、図4(a)に示すように、サブ画素サイズが151μm×153μmで、RGBWで構成される画素サイズが302μm×306μmの画素縦横に繰り返されるパターンに対応したフォトマスクを、赤色露光の位置に設置し、超高圧水銀灯により、露光量150mJ/cm2の条件で密着露光した。露光後、温度20℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴出圧力1Kg/cm2で噴霧するスプレー現像を20秒間行い、未露光部位を除去して、ガラス基板を露出させた。現像処理後のガラス基板を乾燥した後、230℃で1時間加熱することにより硬膜処理を行い、膜厚1.1μmの赤色パターンを得た。【0061】次に、この赤色パターンが形成されたガラス基板上に、色材として緑色顔料(Pigment Green7)を用い、前記した赤色フォトレジストと同様の組成で作成した緑色フォトレジスト材料を使用し、緑色フォトレジスト層を形成した。そして、前記と同様のフォトマスクを、緑色パターンを形成する位置に移動設置し、露光量200mJ/cm2の条件で密着露光した。露光後、温度20℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴出圧力1Kg/cm2で噴霧するスプレー現像を30秒間行い、未露光部位を除去して、ガラス基板を露出させた。現像処理後のガラス基板を乾燥した後、前記と同様に230℃で1時間加熱することにより硬膜処理を行い、膜厚1.2μmの緑色パターンを得た。【0062】更に、前記と同様に、色材として青色顔料(Pigment Blue15:6)を用いて青色フォトレジスト材料を使用し、青色フォトレジスト層を形成した。そして、前記と同様のフォトマスクを、青色パターンを形成する位置に移動設置して密着露光して現像を行い、未露光部位を除去してガラス基板を露出させた。現像処理後のガラス基板を乾燥した後、前記と同様に230℃で1時間加熱することにより硬膜処理を行い、膜厚1.1μmの青色パターンを得た。【0063】次に、着色顔料のみを除いた感光性アクリル樹脂を用いて、上記と同様の操作を行って、膜厚1.1μmのW(透明)パターンを得た。RGBWそれぞれのサブ画素は、隣接する各画素同士はオーバーラップがなく、かつボトムエッジで接触するかたちで形成され、、離れている場合でも最大1.0μm以下であった。また、トップエッジはいずれも画素境界から3.3μm以内であった。また、各画素間及び画素内の段差(膜厚差)は最大で0.15μmであった。【0064】このようにして、ガラス基板上に、表示画面が縦97.28mm×横128.08mmの6型パネルが6面付けされ、サブ画素サイズが151μm×153μmで、RGBWで構成される画素サイズが302μm×306μmのパターンを有するカラーフィルタ層が形成された基板を得た。次に、研磨処理を行わずに、このカラーフィルタ層及び露出しているガラス基板の全面に、スッパタリング法で厚さ150nmのITOからなる透明電極層を形成した。【0065】次に、前記したマイクロカプセルインキを、スロットダイコータを使用して、前記したカラーフィルタ層を形成した透明ガラス基板上の透明電極層上に直接塗布した。塗布は、マイクロカプセル層の厚みが40μmで、マイクロカプセル同士が重なり合わず、粒径が大きなマイクロカプセルがマイクロカプセル層に押し込まれた状態となるように、押し付ける形でおこなった。塗布後60℃で10分間乾燥して、マイクロカプセル付カラーフィルタを得た。【0066】さらに、上記のマイクロカプセル付カラーフィルタのマイクロカプセル層上に、スロットダイコータを使用して、固形分25質量%のウレタン系バインダー(CP-7050、DIC株式会社製)を表面平滑化用インキとして重ねて塗布し、乾燥して、表面平滑化層付のマイクロカプセル付カラーフィルタを得た。【0067】別に、片面に導電層としてアルミニュウムを100nm厚で蒸着し、更に、その上にシリコン系剥離コート層が設けられた50μm厚のポリエチレンテレフタレートシートの剥離コート面側に、ポリエステル-ウレタン系接着剤を25μm厚塗布して接着剤シートを調整した。【0068】次に、上記表面平滑化層付のマイクロカプセル付カラーフィルタに、上記接着シートを貼り合わせ、6型表示画面が6面付けされたカラーフィルタ電気泳動表示方式前面板を得た。この状態で、透明電極層と導電層に電圧を印加して、マイクロカプセル層の駆動確認を行った。【0069】次に、このカラーフィルタ電気泳動表示方式前面板につて、ポリエステル-ウレタン系接着剤の接着剤層を残して、シリコン系剥離コートが設けられた50μm厚のポリエチレンテレフタレートシートを剥がし、カラーフィルタの位置決めマークで合わせて、カラーフィルタに対応した6型で6面付きの、TFT基板としてのガラス基板の上に薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクス型駆動方式の回路構成のITOから成る画素電極を有する背面電極板の画素電極面に0.50MPの圧力で貼り合せ、さらに、6面の表示画面を個片化して、本発明のカラーフィルタ付きマイクロカプセル型電気泳動表示パネルとしての多色表示パネルを得た。」
「【図1】」
「【図2】」
カ 技術常識の認定
(ア)引用文献2の記載事項(【0027】、【0042】、【0076】~【0088】)及び引用文献4の記載事項(【0059】~【0065】、【0069】)から明らかなように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という)。
[技術常識1]
「マイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイにおいて、画素単位に分割されたR(赤)、G(緑)、B(青)の色を有するカラーフィルタを設けてカラー画像表示を行う場合、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色パターンが基板上に形成されること。」
(イ)引用文献3の記載事項(【0002】~【0004】)から明らかなように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という)。
[技術常識2]
「2つの基板を有する電子インクディスプレイは、Eインクディスプレイとも呼ばれるものであり、一方の基板は透明であり、他方の基板は行及び列に配置された電極を備えており、共通電極と画素電極との間に挟持される電子インクは、約10乃至50ミクロンの多数のマイクロカプセルを有し、各マイクロカプセルは、液体中に浮遊した正に帯電した白色の粒子と負に帯電した黒色の粒子とを有し、正の電荷が画素電極に印加された場合、白色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側に移動し、観測者にとって表示要素が白く見え、同時に、黒色の粒子がマイクロカプセルの反対側における画素電極に移動して観測者からは隠され、負の電圧を画素電極に印加することにより、黒色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側における共通電極に移動し、観測者にとって表示要素が黒く見えること。」
キ 周知技術の認定
引用文献4の記載事項(【0064】~【0065】、【0069】)から、次の技術事項は当業者にとって周知であったと認められる(以下「周知技術」という。)。
[周知技術]
「マイクロカプセル型電気泳動表示パネルにおいて、透明基板にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタ層及び露出している透明基板の全面にITOからなる透明電極層を形成し、透明電極層上にマイクロカプセルインキを直接塗布することにより、マイクロカプセル層付きのカラーフィルタを得ること。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「吸収性カラーフィルタCF4、CF5、CF3」は、本件補正発明の「第1の色と第2の色にそれぞれ対応する第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタを備える複数のカラーフィルタ」に相当する。
イ ケにおいて後述するとおり、引用発明の「eインクディスプレイ」とは、「2つの基板を有する電子インクディスプレイ」であって、「一方の基板は透明であり、他方の基板は行及び列に配置された電極を備えており、共通電極と画素電極との間に挟持される電子インクは、約10乃至50ミクロンの多数のマイクロカプセルを有し、各マイクロカプセルは、液体中に浮遊した正に帯電した白色の粒子と負に帯電した黒色の粒子とを有し、正の電荷が画素電極に印加された場合、白色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側に移動し、観測者にとって表示要素が白く見え、同時に、黒色の粒子がマイクロカプセルの反対側における画素電極に移動して観測者からは隠され、負の電圧を画素電極に印加することにより、黒色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側における共通電極に移動し、観測者にとって表示要素が黒く見える」「ディスプレイ」を意味するところ、このようなマイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイにおいて、画素単位に分割されたR(赤)、G(緑)、B(青)の色を有するカラーフィルタを設けてカラー画像表示を行う場合、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色パターンが基板上に形成されることは、技術常識である。
(前記(2)のカ(ア)の技術常識1を参照。)
この技術常識1に照らすと、引用発明の「吸収性カラーフィルタCF4、CF5、CF3」が基板上に形成されていることは自明であり、引用発明も、基板を備えており、「吸収性カラーフィルタCF4、CF5、CF3」は基板に支えられているといえる。
ウ 引用発明の「反射型フィルタFR」は、色R及びBを反射させ色Gを透過させるものであり、「反射型フィルタFG」は、色Gを反射させ色R及びBを透過させるものであるから、いずれも本件補正発明の「入ってくる光線を受けるとともに」、「入ってくる光線」の一部分を「通過させ」、「入ってくる光線」の他の部分を「反射」する「ダイクロイックフィルタ」に相当する。
エ 引用発明の「反射型フィルタFR」は「画素PGの上方に存在」し、「反射型フィルタFG」は「画素PR及びPBの上方に存在」するものであるところ、「吸収性カラーフィルタCF3、CF4、CF5」は、「画素PB、PR、PGにそれぞれ向かって方向づけられた光をフィルタ処理するように付加され」ているから、引用発明の「反射型フィルタFR」及び「反射型フィルタFG」は、本件補正発明の「複数のカラーフィルタに対して配置され」る「複数の光学フィルタ」に相当する。
オ 引用発明では、「反射型フィルタFRに入る入射光IL」は、「第2の特性(色G)を有する透過光TLとして透過され、この透過光は、光吸収型フィルタCF5(色G又は色Gの限定されたスペクトルのみを透過し、他の色は吸収する)を介して画素PGに達」するから、この「第2の特性(色G)を有する透過光TL」は、本件補正発明の「第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分」に相当する。
そうすると、引用発明において、「反射型フィルタFR」が「第2の特性(色G)を有する透過光TL」を「透過」させることは、本件補正発明の「(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させる」ことに相当する。
カ 引用発明において、「入射光IL」が「反射型フィルタFR」により「反射」された「第1の特性C1(色R及びBを有する)の反射光RL」は、「隣接の錐状構造体PE2の反射型フィルタFG(色R及びBを透過する)及びカラーフィルタCF3(色Rを吸収し色Bを透過する)を通じ」て「画素PBに向か」うから、この「第1の特性C1(色R及びBを有する)の反射光RL」は、本件補正発明の「入ってくる光線の第2の部分」に相当する。
そうすると、引用発明において、「反射光RL」が「隣接の錐状構造体PE2の反射型フィルタFG(色R及びBを透過する)及びカラーフィルタCF3(色Rを吸収し色Bを透過する)を通じ」て「画素PBに向か」うことは、本件補正発明の「(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射する」ことに相当する。
キ 上記オ及びカにおいて検討した内容は、「入射光IL」が「反射型フィルタFR」に入射した場合のものであるが、上記ウにおいて説示したとおり、「反射型フィルタFG」は、色Gを反射させ色R及びBを透過させるダイクロイックフィルタであるから、入射光が「反射型フィルタFG」に入射した場合も、同様に考えることができる。
すなわち、引用発明において、「反射型フィルタFG」が第1の特性C1(色R及びB)を有する光を透過させることは、本件補正発明の「(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させる」ことに相当し、第2の特性(色G)を有する反射光が隣接の錐状構造体PE1の反射型フィルタFR(色Gを透過する)及びカラーフィルタCF5(色Gを透過する)を通じて画素PGに向かうことは、本件補正発明の「(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射する」ことに相当する。
ク 上記ウ~キの検討内容をまとめると、引用発明の「反射型フィルタFR」及び「反射型フィルタFG」は、本件補正発明の「複数のカラーフィルタに対して配置され、複数の光学フィルタのそれぞれが、入ってくる光線を受けるとともに、(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させるか、または(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射するかの少なくとも1つを行うよう構成された複数の光学フィルタ」に相当する。
ケ 引用発明は、「光学分離フィルタは、eインクディスプレイと共働作用するものであ」るとしているところ、この「eインクディスプレイ」とは、「2つの基板を有する電子インクディスプレイ」であって、「一方の基板は透明であり、他方の基板は行及び列に配置された電極を備えており、共通電極と画素電極との間に挟持される電子インクは、約10乃至50ミクロンの多数のマイクロカプセルを有し、各マイクロカプセルは、液体中に浮遊した正に帯電した白色の粒子と負に帯電した黒色の粒子とを有し、正の電荷が画素電極に印加された場合、白色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側に移動し、観測者にとって表示要素が白く見え、同時に、黒色の粒子がマイクロカプセルの反対側における画素電極に移動して観測者からは隠され、負の電圧を画素電極に印加することにより、黒色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側における共通電極に移動し、観測者にとって表示要素が黒く見える」「ディスプレイ」を意味することは、技術常識である(前記(2)のカ(イ)の技術常識2を参照。)。
ここで、上記「液体中に浮遊した正に帯電した白色の粒子と負に帯電した黒色の粒子」は、本件補正発明の「液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子」に相当し、「黒色の粒子」は、本件補正発明の「光を吸収する粒子」に相当するから、上記「約10乃至50ミクロンの多数のマイクロカプセル」を有する「共通電極と画素電極との間に挟持される電子インク」は、本件補正発明の「光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調整層」に相当する。
また、上記「正の電荷が画素電極に印加された場合、白色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側に移動し、観測者にとって表示要素が白く見え、同時に、黒色の粒子がマイクロカプセルの反対側における画素電極に移動して観測者からは隠され、負の電圧を画素電極に印加することにより、黒色の粒子がマイクロカプセルの透明基板の側における共通電極に移動し、観測者にとって表示要素が黒く見える」ことは、本件補正発明の「電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されて」いることに相当する。
そうすると、引用発明の「光学分離フィルタ」と「共働作用する」「eインクディスプレイ」は、上記技術常識2に照らせば、本件補正発明の「光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む」に相当する構成を備えている。
コ 前記「2 本件補正についての当審の判断」の冒頭において検討したとおり、本願明細書の段落【0003】の記載を参酌すれば、本件補正発明の「後方反射型画像ディスプレイ」とは、入射光をディスプレイを見ている視聴者の方へ反射するタイプの画像ディスプレイを指すと解される。
ここで、引用発明は、「画素PB、PR及びPGが、それぞれ原色の青B、赤R及び緑Gを反射する」ものであり、「画素PBにより跳ね返された光BL」は、「看視者に向かって反射型フィルタFR(色R及びBを反射する)により反射され」、「画素PGにより後ろに反射した光は、隣接の錐状体PE2上のフィルタFG(色Gを反射する)に当たり看視者に向かって反射され」る。
そうすると、引用発明の「光学分離フィルタOFとディスプレイDを表示パネルDPに備えた表示装置」は、本件補正発明の「後方反射型画像ディスプレイ(デバイス)」に相当する。
上記ア~コより、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「後方反射型画像ディスプレイであって、基板と;基板に支えられ、第1の色と第2の色にそれぞれ対応する第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタを備える複数のカラーフィルタと;複数のカラーフィルタに対して配置され、複数の光学フィルタのそれぞれが、入ってくる光線を受けるとともに、(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させるか、または(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射するかの少なくとも1つを行うよう構成された複数の光学フィルタとを備え、光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む、後方反射型画像ディスプレイデバイス。」
[相違点]
本件補正発明は、「複数のカラーフィルタ」が「支えられ」る「基板」が「さらに、光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え」ているのに対して、引用発明は、「複数のカラーフィルタ」が「支えられ」る「基板」を備え、「光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え」ているものの、「光調節層」を備える主体が「基板」であるか明らかでない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
マイクロカプセル型電気泳動表示パネルにおいて、透明基板にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタ層及び露出している透明基板の全面にITOからなる透明電極層を形成し、透明電極層上にマイクロカプセルインキを直接塗布することにより、マイクロカプセル層付きのカラーフィルタを得ることは、周知技術である(前記(2)のキを参照)。
引用発明において、「吸収性カラーフィルタCF4、CF5、CF3」が形成された基板に対し、上記周知技術を適用することにより、カラーフィルタ層が形成された基板が、さらにマイクロカプセル層を備えるようにして、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する効果についても、引用発明、周知技術及び技術常識1、2から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術及び技術常識1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。
「4-2.本願発明独立請求項である請求項1は、下記の発明特定事項を有します。(R0)光線の第1の部分を通過させるか光線の第2の部分を反射する「光学フィルタ」が存在する。(R1)「基板」が「入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層」を含む。(R2)「光調節層」が「電気泳動的に移動する粒子」を含む。(R3)「電気泳動的に移動する粒子」が「光を吸収する粒子」を含む。(R4)「後方反射型」画像ディスプレイデバイスである。」
「4-3-1.引用文献1の発明引用文献1は光学フィルタを備えたディスプレイを開示します。しかし、このディスプレイの光変調層PR、PG、PBは「電気泳動的に移動する粒子」を含みません。したがって、引用文献1の構成は、少なくとも発明特定事項R2及びR3を充足しません。」
「4-3-6.引用文献6の発明(当審注:この審決では引用文献2とした。以下同様。)引用文献6は、ブックカバーを開示します。しかし、このブックカバーには、光線の第1の部分を通過させるか光線の第2の部分を反射する「光学フィルタ」が存在しません。したがって、引用文献5(当審注:「引用文献6」の誤記であると思われる。)の構成は、少なくとも発明特定事項R0を充足しません。」
「4-4-3.引用文献6引用文献6の発明は、引用文献1~4、7と組み合わせることが容易ではありません。引用文献6はブックカバーを開示します。引用文献6には、「ディスプレイ」及び「パネル」といった用語こそ登場しますが、一般的な意味合いでの電子ディスプレイとブックカバーは用途や機能が異なる技術分野と言えます。」
イ 上記「4-3-1.」の主張について検討すると、上記「(3)対比」の「ケ」において説示したとおり、引用発明の「eインクディスプレイ」は、上記技術常識2に照らせば、本件補正発明の「光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む」に相当する構成を備えている。
したがって、この主張を採用することはできない。
ウ 上記「4-3-6.」及び「4-4-3.」の主張について検討すると、引用文献2(原査定の引用文献6)の段落【0027】には、「画像表示層にマイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイを用いた場合」と記載されているから、引用発明の「eインクディスプレイ」と大差がなく、両者が用途や機能において異なる技術分野に属する旨の主張を採用することはできない。
(6)小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1~24に係る発明は、令和2年1月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~24に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。
「【請求項1】リフレクティブ画像ディスプレイであって、基板と;基板に支えられ、第1の色と第2の色にそれぞれ対応する第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタを備える複数のカラーフィルタと;複数のカラーフィルタに対して配置され、複数の光学フィルタのそれぞれが、入ってくる光線を受けるとともに、(i)第1のカラーフィルタに入ってくる光線の第1の部分にダイクロイックフィルタを通過させるか、または(ii)入ってくる光線の第2の部分を第2のカラーフィルタに向けて反射するかの少なくとも1つを行うよう構成された複数の光学フィルタとを備え、基板が、さらに、光学フィルタを通過するか、または光学フィルタによって反射した、入ってくる光線を反射または吸収するための光調節層をさらに備え、光調節層は、液体媒体に懸濁した複数の電気泳動的に移動する粒子を含み、電気泳動的に移動する粒子が、外部の供給源によってバイアスをかけられた場合、入ってくる光線に対して移動するように構成されており、複数の電気泳動的に移動する粒子は、光を吸収する粒子を含む、リフレクティブ画像ディスプレイデバイス。」
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
特表2008-502936号公報
特開2004-098322号公報
なお、この審決では、特表2008-502936号公報を引用文献1とし、特開2004-098322号公報を引用文献2としている。
3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、[引用発明]において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、上記引用文献2、4の記載事項から、[技術常識1]において認定したとおりの技術常識1が認められ、上記引用文献3の記載事項から、[技術常識2]において認定したとおりの技術常識2が認められる。
さらに、上記引用文献4の記載事項から、[周知技術]において認定したとおりの周知技術が認められる。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「後方反射型画像ディスプレイ」を「リフレクティブ画像ディスプレイ」としたものであり、その他の構成は、本件補正発明の構成と同じである。
ここで、前記「第2 補正の却下の決定」「2 本件補正についての当審の判断」「(3)対比」「コ」における検討内容を踏まえると、引用発明の「光学分離フィルタOFとディスプレイDを表示パネルDPに備えた表示装置」は、本願発明の「リフレクティブディスプレイ(デバイス)」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、本件補正発明と引用発明の相違点と同じ相違点を有し、その余の点で一致する。
そして、前記「第2 補正の却下の決定」「2 本件補正についての当審の判断」「(4)判断」において説示したとおり、本件補正発明が、引用発明、周知技術及び技術常識1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、周知技術及び技術常識1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-011713