2020-011276
核酸の高忠実度アセンブリのための組成物および方法
- 審判番号
- 2020-011276
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-038387外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月13日
- 審決日
- 2022年02月15日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジェン9・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】冨田 憲史
- 【請求人代理人】稲井 史生
- 【請求人代理人】笹倉 真奈美
- 分類
- P18 .113-Z (C12N) / P18 .121-Z (C12N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成24年 8月23日(パリ条約による優先権主張 2011年 8月26日 (US)アメリカ合衆国、2011年 9月 9日 (US)アメリカ合衆国、2012年 8月23日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-527291号の一部を平成29年 3月 1日に新たに特許出願されたものであって、主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成30年12月17日付け 拒絶理由通知書
令和 1年 7月 8日 意見書、手続補正書
令和 1年 9月24日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 3月31日 意見書
令和 2年 4月 9日付け 拒絶査定
令和 2年 8月13日 審判請求書
令和 2年 9月24日 審判請求書の手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1~30に係る発明は、令和 1年 7月 8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~30に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】所定の配列を有する標的核酸を作製する方法であって、複数のオリゴヌクレオチドから複数の平滑末端二本鎖核酸断片を提供すること、ここで、複数の平滑末端二本鎖核酸断片の各々が各々の末端に制限酵素認識配列を有し、複数のオリゴヌクレオチドの各々が、5’末端および/または3’末端に位置するユニバーサルプライマー結合部位を含む;複数の平滑末端二本鎖核酸断片の酵素消化を経て、標的核酸配列をともに含む複数の付着末端二本鎖核酸断片を生成すること、ここで、複数の付着末端二本鎖核酸配列の各々が2つの異なる非相補性突出を有する;複数の付着末端二本鎖核酸断片をリガーゼでライゲーションすること、ここで、第一の付着末端二本鎖核酸断片の第一の突出が、第二の付着末端二本鎖核酸断片の第二の突出に一意的に相補である;および複数の付着末端二本鎖核酸断片の直線配置を形成すること、ここで、一意的な配置が、所定の配列を有する標的核酸を含む、を含む、方法。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、請求項1~30に係る発明は、本願優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、当該引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
第4 引用文献の記載事項
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原査定の拒絶理由で引用文献1として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2008-523786号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は合議体による。)。
ア.「高忠実度合成ポリヌクレオチドのアセンブリ方法」(発明の名称)
イ.「【請求項1】
予め特定された配列を有する長いポリヌクレオチド構造物(construct)のアセンブル方法であり、下記ステップを含む方法:
(a)構造体(construction)オリゴヌクレオチドのプールを用意するステップ;
(b)下記(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)を順番に又は同時に行うステップ:
(i)構造体オリゴヌクレオチドを増幅する;
(ii)構造体オリゴヌクレオチドをエラー減少プロセスで処理する;並びに
(c)構造体オリゴヌクレオチドのプールをハイブリダイゼーション条件並びに1以上の下記(i)~(iii)条件下に曝し:(i)ライゲーション条件、(ii)鎖伸長条件、又は(iii)鎖伸長及びライゲーション条件、上記構造体オリゴヌクレオチドよりも長い少なくとも1の二本鎖サブアセンブリ構造物の複数のコピーを形成するステップ;
(d)下記(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)を順番に又は同時に行うステップ:
(i)上記サブアセンブリ構造物を増幅する;
(ii)そのサブアセンブリ構造物をエラー減少プロセスにかける;並びに
(e)2以上のサブアセンブリ構造物をハイブリダイゼーション条件及び1以上の下記条件下でインキュベートし:(i)ライゲーション条件、(ii)鎖伸長条件、又は(iii)鎖伸長及びライゲーション条件、長いポリヌクレオチド構造物の複数のコピーを形成するステップ。
・・・・・・・・・・・・
【請求項46】
上記プールは複数の二本鎖サブアセンブリ構造物を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項47】
2以上のサブアセンブリ構造物が別反応でアセンブルされる請求項1に記載の方法。
【請求項48】
2以上のサブアセンブリ構造物が同一の反応でアセンブルされる請求項1に記載の方法。
【請求項49】
複数のサブアセンブリ構造物がハイブリダイゼーション条件下並びに少なくとも1の下記(i)~(iii)条件下でインキュベートされ:(i)ライゲーション条件、(ii)鎖伸長条件、(iii)鎖伸長及びライゲーション条件、複数の長いポリヌクレオチド構造物を形成する請求項1に記載の方法。
・・・・・・・・・・・・
【請求項51】
構造体オリゴヌクレオチドは約20~約150ヌクレオチド長である請求項1に記載の方法。
【請求項52】
サブアセンブリ構造物は少なくとも約200~約750ヌクレオチド長である請求項1に記載の方法。
【請求項53】
サブアセンブリ構造物は構造体オリゴヌクレオチドの少なくとも約5倍である請求項1に記載の方法。
・・・・・・・・・・・・
【請求項62】
オリゴヌクレオチド固体サポート上で合成される請求項1又は3に記載の方法。
・・・・・・・・・・・・
【請求項68】
オリゴヌクレオチドは、増幅前に固体サポートから切り離される請求項62に記載の方法。
【請求項69】
オリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分へフランキングし、少なくとも1のサブセットの上記オリゴヌクレオチドに共通する少なくとも1対のプライマーハイブリダイゼーション部位を有する請求項1又は3に記載の方法。
【請求項70】
全てのオリゴヌクレオチドは、共通する少なくとも1対のプライマーハイブリダイゼーション部位を有する請求項69に記載の方法。
【請求項71】
オリゴヌクレオチドは、プライマーハイブリダイゼーション部位の少なくとも一部分及びオリゴヌクレオチド間の切断部位を有する請求項69に記載の方法。
【請求項72】
切断部位は制限エンドヌクレアーゼ部位である請求項71に記載の方法。
【請求項73】
制限エンドヌクレアーゼはタイプIISエンドヌクレアーゼである請求項72に記載の方法。
【請求項74】
サブアセンブリ構造物は、上記サブアセンブリ構造物の少なくとも一部分へフランキングし、上記サブアセンブリ構造物の少なくとも1のサブセットに共通する少なくとも1対のプライマーハイブリダイゼーション部位を有する請求項1又は46に記載の方法。
【請求項75】
サブアセンブリ構造物は、プライマーハイブリダイゼーション部位の少なくとも1及びサブアセンブリ構造物間の切断部位を有する請求項74に記載の方法。」(【請求項1】~【請求項75】)
ウ.「【0036】
用語「構造体オリゴヌクレオチド」は、構造体オリゴヌクレオチド自身より長い核酸分子をアセンブルするために使用される一本鎖オリゴヌクレオチドを言う。例えば、構造体オリゴヌクレオチドは、構造体オリゴヌクレオチドより約3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍以上長い核酸分子をアセンブルするために使用される。一般的に、予め決定された配列を有する一組の異なる構造体オリゴヌクレオチドは、目的の配列を有する、より大きな核酸分子へアセンブリするために使用される。例えば、構造体オリゴヌクレオチドは、約25~約200、約50~約150、約50~約100、又は約50~約75ヌクレオチド長である。構造体オリゴヌクレオチドのアセンブリは種々の方法により実施され、例えば、PAM、PCRアセンブリ、ライゲーション連鎖反応、ライゲーション/融合PCR、デュアル非対称PCR、オーバーラップ伸長PCR、及びそれらの組み合わせが挙げられる。構造体オリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチド又は二本鎖オリゴヌクレオチドである。本発明の例示では、構造体オリゴヌクレオチドは、基質上で並行して合成された合成オリゴヌクレオチドである。・・・・・・・・・・・・」(【0036】)
エ.「【0048】
用語「リガーゼ」は、近接したオリゴヌクレオチド中にホスホジエステル結合を形成する機能を有する酵素の一種を言う。これらオリゴヌクレオチドは、同一のオリゴヌクレオチドへアニールされ、又は付着又は相補末端を使用して互いにアニールされる。又別の例では、これらオリゴヌクレオチドは平滑末端化されるが近接した位置にある。1のオリゴヌクレオチドの末端ホスファート及び近接した第2のオリゴヌクレオチドの末端水酸基が、二重らせん内でそれらの相補的配列を横切って一緒にアニールされる場合、即ちライゲーションプロセスがライゲート可能なニック部位で「ニック」をライゲートし、相補的デュプレックスを形成する場合に、特に有効なライゲーションが起きる(Blackburn、M.及びGait、M.(1996)「化学及び生物学における核酸」オックスフォード大学出版、オックスフォード、pp.132-33、481-2)。近接したオリゴヌクレオチド間の部位は、「ライゲート可能なニック部位」、「ニック部位」、又は「ニック」と称し、それによりホスホジエステル結合は存在せず、又は切断される。」(【0048】)
オ.「【0085】
用語「タイプII制限エンドヌクレアーゼ」は、非パリンドローム認識配列及び認識部位の外側(例えば認識部位から0~約20ヌクレオチド遠位)で発生する切断部位を有する制限エンドヌクレアーゼを言う。タイプII制限エンドヌクレアーゼは、1の二本鎖核酸分子中に1のニックを生じるか、平滑又は付着末端のいずれかを生じる1の二本鎖破断を生じる(例えば5’又は3’オーバーハングのいずれか)。タイプIIエンドヌクレアーゼの例として、3’オーバーハングを生じる酵素、例えばBsrI、BsmI、BstF5I、BsrDI、BtsI、MnlI、BciVI、HphI、MboII、EciI、AcuI、BpmI、MmeI、BsaXI、BcgI、BaeI、BfiI、TspDTI、TspGWI、TaqII、Eco57I、Eco57MI、GsuI、PpiI及びPsrI等;5’オーバーハングを生じる酵素、例えばBsmAI、PleI、FauI、SapI、BspMI、SfaNI、HgaI、BvbI、FokI、BceAI、BsmFI、Ksp632I、Eco31I、Esp3I、AarI等;及び平滑末端を生じる酵素、例えばMlyI及びBtrIが挙げられる。タイプIIエンドヌクレアーゼは、市販品を入手可能であり公知である(ニューイングランドBiolabs社、ベバリー、MA)。認識部位、切断部位及びタイプIIエンドヌクレアーゼを使用して消化する条件に関する情報は、例えばwwwアドレスneb.com/nebecomm/enzymefindersearchbytypeIIs.aspに記載されている。
【0086】
用語「ユニバーサルタグ」は、5’及び/又は3’末端上の多数の核酸配列へフランキングするヌクレオチド配列を言い、例えばユニバーサルタグは更に1以上の核酸配列に共通する。ユニバーサルタグには1以上の下記が含まれる:プライマーハイブリダイゼーション配列、ミスマッチ修復酵素切断部位、制限酵素認識部位、制限酵素切断部位(又は半分部位、例えば、部位の半分はユニバーサルタグ中に含まれ部位の半分は核酸配列中に含まれる)、アプタマー、1以上のウラシル残基、1以上の修飾された核酸残基、又は検出及び/又は固定化を促進する薬剤(例えば、ビオチン、フルオレセイン、検出用マーカー等)。本発明の例示では、ユニバーサルタグは、例えばmutHエンドヌクレアーゼ又はmutHLS複合体により切断される配列GATC等のミスマッチ修復酵素切断部位を含有する。例えば、ユニバーサルタグは、ユニバーサルプライマー用結合部位を含有する。
【0087】
用語「ユニバーサルプライマー」は、多数の核酸配列の鎖伸長/増幅に使用される一組のプライマー(例えば、フォワード及びリバースプライマー)、例えば多数の核酸配列に共通する部位へハイブリダイズするプライマーを言う。例えば、ユニバーサルプライマーは、1のプール中の全ての、又は本質的に全ての核酸の増幅に使用され、プールとして例えば構造体オリゴヌクレオチドのプール、選択オリゴヌクレオチドのプール、サブアセンブリのプール、及び/又はポリヌクレオチド構造物のプール等が挙げられる。例えば、単一のプライマーが、1のプール中の多数の核酸のフォワード及びリバースストランド両方を増幅するために使用されてもよい。例えばユニバーサルプライマーは、増幅後に酵素的又は化学的切断により除去される一時的プライマーでもよい。他の例として、ユニバーサルプライマーは、鎖伸長において核酸分子へ組み込まれる修飾(modification)を含んでいても良い。例示的な修飾として、例えば3’又は5’末端キャップ、又は核酸の検出、固定化又は単離を促進する薬剤(例えば、フルオレセイン又はビオチン等)が挙げられる。」(【0085】~【0087】)
カ.「【0090】
2.高忠実度の長い核酸分子のアセンブリ:
例えば、本発明は高忠実度を有する合成核酸を提供する。合成核酸は、少なくとも約500塩基;又は少なくとも約1、2、3、4、5、8、10、15、20、25、30、40、50、75、又は100キロベース(kb);又は少なくとも約1メガベース(mb);又はそれ以上である。例えば合成核酸組成物は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、50%、60%、70%、80%、90%以上のエラーフリーなコピーを有する(例えば予め決定された配列からの逸脱のない配列を有する。)。エラーフリーコピーの割合は、正しい、例えば予め特定された配列を有することを目的とされた組成物中の核酸のコピー数全てと比較された、その組成物中のエラーフリーコピー数に基づく。例えば合成核酸の組成物は、組成物中に少なくとも約10フェムトモル、100フェムトモル、1ナノモル、10ナノモル、100ナノモル、1マイクロモル、10マイクロモル以上の核酸を含む。他の例として、組成物は1以上の大量の核酸、例えば、少なくとも約1ミリグラム、1グラム、10グラム、100グラム、1キログラム以上を有する。これら大スケール製剤も有用であり、例えばワクチン、遺伝子治療法構造物、他の市販用途品の製造のために使用できる。例えば、合成核酸は、細胞フリー環境中で構築され、そのためin vivoで製造される核酸には必ず含まれる1以上の細胞質不純物及び/又は修飾を含まない。例えば、合成核酸は、1以上の下記からフリー又は本質的にフリーである:膜成分(例えば、脂質)、リポ多糖類(LPS)、炭水化物、発熱物質、蛋白質(例えばDNA結合蛋白質、DNase、RNase等)、又はDNA結合分子、及び/又はメチル化等の修飾。本発明の例示では、合成核酸の組成物は、核酸製造プロセスの間に組成物へ意図して添加される蛋白質、例えばポリメラーゼ、ミスマッチ結合蛋白質、制限エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、エキソヌクレアーゼ、及び/若しくは抗体等以外の蛋白質を含まない。又別の例では、合成核酸の組成物は、核酸製造プロセスの間に組成物へ意図して添加される小分子、例えばdNTP、ビオチン、及び/又化学的架橋薬剤等以外の小分子を含まない。本発明の例示では、合成核酸は、2以上の構造体オリゴヌクレオチド及び/又はサブアセンブリからアセンブルされたポリヌクレオチド構造物である。
【0091】
又、本発明、ポリヌクレオチド構造物の複合アセンブリ方法、例えば異なる予め決定された配列を有する2以上のポリヌクレオチド構造物のアセンブリを提供する。図2に、本発明の複合アセンブリ方法の一例を示す。予め決定された配列を有する2以上のポリヌクレオチド構造物を製造するために、一組の構造体オリゴヌクレオチドが、それぞれのポリヌクレオチド構造物の完全配列を一緒にカバーするように設計された。構造体オリゴヌクレオチドは、オーバーラップする相補的領域を有するように設計され、その領域は相補的領域間のハイブリダイゼーションを可能として、ハイブリダイゼーション条件下で一緒に混合された場合に構造体オリゴヌクレオチドの正確に配列された鎖を生じる(例えば図2C中のabc、def、及びghi)。アセンブリ混合物は次に、ライゲーション又は重合及びライゲーションされてサブアセンブリ又はポリヌクレオチド構造物を形成する(図2D)。例えば、構造体オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチド構造物の完全長さをカバーするために、一緒に混合された場合にはオリゴは単純に一緒にライゲートされてサブアセンブリ/ポリヌクレオチド構造物を形成する(例えば、図3A)。あるいは、構造体オリゴヌクレオチドは完全にオーバーラップせず、その代わりオリゴヌクレオチドセグメントのライゲーション前にポリメラーゼにより補完された一本鎖領域のギャップを残し、サブアセンブリ/ポリヌクレオチド構造物となる(図3C)。又、オーバーラップするフラグメントは連続的に、複数の一連の変性/ハイブリダイゼーション及び鎖伸長を通して、完全長産物が形成されるまで伸長される(参照、例えば、図3B)。例えば、種々の構造体オリゴヌクレオチドのサブアセンブリは、更にアセンブルされてより一層長いポリヌクレオチド構造物となる。例えば、二本鎖サブアセンブリは融解され、リアニールされて、2以上のサブアセンブリの相補的領域間のハイブリダイゼーションが可能となる。サブアセンブリは、次にライゲーション又は鎖伸長され、更に次にライゲーションされて一組のサブアセンブリからなるポリヌクレオチド構造物を形成する。又、サブアセンブリは、目的の配列で種々のサブアセンブリの結合を可能とする配列特異的付着末端を含んでもよい(例えば、3’又は5’オーバーハング)。付着末端は構造体オリゴヌクレオチドの設計(例えば、5’及び/又は3’最末端構造体オリゴヌクレオチドは、一本鎖オーバーハングを有するように設計できる)により形成されてもよく、サブアセンブリが1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され付着末端を形成することもできる。付着末端を通したサブアセンブリの結合後に、ポリヌクレオチド構造物は、ライゲーション及び/又は鎖伸長により形成できる。一組のサブアセンブリから形成されるポリヌクレオチド構造物は、任意で更に一連のアセンブリが行われ、より一層長いポリヌクレオチド構造物が製造される(参照、例えば、図4)。
【0092】
同様に、本発明は、ユニバーサルプライマーを使用する1以上のステップで核酸を増幅することを含むポリヌクレオチド構造物のアセンブル方法を提供する。例えば図5に示されるように、構造体オリゴヌクレオチド(例えば、a、b、c、d、e、及びf)は、ユニバーサルプライマーのための結合部位(例えば、白及び黒の四角で表される)を囲むように設計されてもよい。基質からの構造体オリゴヌクレオチドの除去の前後で、完全プールはただ一組のユニバーサルプライマーを使用して増幅される。本発明の例示では、ユニバーサルプライマーは、増幅後に酵素的又は化学的切断により除去される。増幅された構造体オリゴヌクレオチドのプールは、次に融解され、アニールされ、ライゲーション及び/又は鎖伸長されてサブアセンブリを形成する(例えば図5中のabc又はdef)。例えばサブアセンブリ自体が、第2のユニバーサルプライマーセット(図示せず)を使用して増幅されてもよい。例えば5’及び3’最末端構造体オリゴヌクレオチド(例えばそれぞれ図5中のa及びd及びc及びf)は、第2のユニバーサルプライマーセット結合部位を囲むように設計されてもよい(参照図6)。第2のユニバーサルプライマーセットのサブアセンブリプールへの添加において、複数のサブアセンブリが増幅される。本発明の例示では、第2のユニバーサルプライマーセットは、次に化学的又は酵素的切断により除去される。サブアセンブリは、次に、相補鎖のハイブリダイゼーション又は付着末端による結合(上記記載の通り)それに続くライゲーション及び/又は鎖伸長によりアセンブルされて更により長いポリヌクレオチド構造物となる。このプロセスは、複数回、例えばユニバーサルプライマーを使用した増幅(例えば、第3のセット、第4のセット、第5のセット等を使用して)、プライマーの切断、及びアセンブリを、目的のポリヌクレオチド構造物が形成されるまで連続的に繰り返してもよい。例えば複数のアセンブリは、混合物中で単一の反応を実施してもよい。しかし、例えば非常に大きな数のポリヌクレオチド構造物をアセンブルする場合、一組の高度に相同なポリヌクレオチド構造物をアセンブルする場合、又は1以上の領域の内部の相同性を含むポリヌクレオチド構造物をアセンブルする場合、階層化されたアセンブリ方法を使用することが望ましい。様々な階層化されたアセンブリ方法を下記に記載する。」(【0090】~【0092】)
キ.「【0094】
3.オリゴヌクレオチド設計及び合成:
・・・・・・・・・・・・
【0095】
例えば、構造体オリゴヌクレオチドは、目的のポリヌクレオチド構造物のセンス及びアンチセンスストランドの本質的に完全な相補物を提供するように設計される。例えば、構造体オリゴヌクレオチドは、完全なポリヌクレオチド構造物を形成するためには、単に一緒にハイブリダイズされ、ライゲーションされるだけでよい。他の例として、構造体オリゴヌクレオチドの相補物は、完全配列をカバーするが、ライゲーション前の鎖伸長により埋め込まれる一本鎖ギャップを保存するように設計される。この場合、それがより少ない及び/又はより短い構造体オリゴヌクレオチド及び/又は選択オリゴヌクレオチドの合成を必要とするために、ポリヌクレオチド構造物の製造が促進される。
【0096】
例えば、構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、ユニバーサルタグを含む。ユニバーサルタグは、5’末端若しくは3’末端のいずれか又は両方上の構造体オリゴヌクレオチドにフランキングし、かつプール中の少なくとも一部分の構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドと共通する配列である。例示的なユニバーサルタグは例えば1以上の下記を含む:ユニバーサルプライマー結合部位、ミスマッチ修復酵素切断部位、オリゴヌクレオチドの検出/単離/固定化を促進する薬剤、及び接合部ユニバーサルタグ及び構造体オリゴヌクレオチド間の制限エンドヌクレアーゼ切断部位。
【0097】
本発明の例示では、構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、1セットの又は数セットのプライマーを使用する核酸のプールの増殖に使用されるユニバーサルプライマーのための1以上のセットの結合部位を含む。ユニバーサルプライマー結合部位の配列は、有効なプライマーハイブリダイゼーション及び鎖伸長を効率的に行うことを可能とする適切な長さ及び配列を有するように選択される。更に、ユニバーサルプライマー結合部位の配列は、核酸プール中の目的とされない領域への非特異的結合を最小化するために最適化される。ユニバーサルプライマー及びユニバーサルプライマーへの結合部位の設計は、例えば商品名DNAワークス(supra)、商品名ジーン2オリゴ(supra)、又は更に下記記載の実施システム及び方法等のコンピュータプログラムを使用して容易化される。例えば、ポリヌクレオチド構造体の異なる段階での核酸の増幅を可能とする、幾つかのユニバーサルプライマー/プライマー結合部位セットを設計することが望ましい(図6)。例えば、一組のユニバーサルプライマーが、一組の構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドを増幅するために使用される。一組の構造体オリゴヌクレオチドをサブアセンブリへアセンブリした後、サブアセンブリは同一又は異なるセットのユニバーサルプライマーを使用して増幅されてもよい。例えば、サブアセンブリへ組み込まれた3’及び5’最末端構造体オリゴヌクレオチド(一本鎖に関して)は、2以上の入れ子状態のユニバーサルプライマー結合部位セット、構造体オリゴの最初の増幅に使用される最も外側のセット、及びサブアセンブリの増幅に使用される第2のセットを含む。アセンブリのそれぞれの段階での増幅用のユニバーサルプライマー(例えば、構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチド、サブアセンブリ、及び/又はポリヌクレオチド構造物)の複数のセットを、組み込むこともできる。
【0098】
例えば、化学的又は酵素的切断により核酸分子から除去されるプライマー等のユニバーサルプライマーは、一時的プライマーとして設計されてもよい。核酸の化学的、熱的、光による、又は酵素的な切断方法は、下記に詳細に記載される。本発明の例示では、ユニバーサルプライマーは、タイプIIS制限エンドヌクレアーゼ又はDNAグリコシラーゼを使用して除去される。」(【0094】~【0098】)
ク.「【0122】
4.核酸の増幅:
様々な態様において、本発明の方法は、構造体オリゴヌクレオチド、選択オリゴヌクレオチド、サブアセンブリ及び/又はポリヌクレオチド構造物等の核酸の増幅ステップを含む。増幅は、アセンブリ法中1以上の段階で実施されても、及び/又はアセンブリ中の所定の段階で1回以上実施されてもよい。増幅方法は、核酸と、ハイブリダイゼーション及び鎖伸長を促進する条件下で核酸と特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーとを接触させるステップを含む。例示的な核酸増幅方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)・・・・・・・・・・・・又は当業者に公知である技術を使用した他の核酸増幅方法が挙げられる。例えば本発明の方法はPCR増幅法を使用する。
【0123】
例えば核酸配列に特異的なプライマーセットが、単離される特定の核酸配列を増幅するため、又は核酸配列のプールの一部である特定の核酸配列を増幅するために使用される。
又別の例では、複数のプライマーセットが単一の反応混合物中に一緒に任意でプールされてもよい多数の特定の核酸配列を増幅するために使用される。本発明の例示では、一組のユニバーサルプライマーは、1のプール中にあるか又は複数のプールへ分離されている多数の核酸配列を増幅するために使用できる(図5)。アセンブリ中の異なる段階で核酸を増幅する場合、増幅を目的とするそれぞれの段階用に異なるセットのユニバーサルプライマーを使用することが望ましい(図6)。例えば第1のセットのユニバーサルプライマーは構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドを増幅するために使用され、第2のユニバーサルプライマーセットは、サブアセンブリ又はポリヌクレオチド構造物を増幅するために使用される(図6)。上記記載の通り、構造体オリゴヌクレオチド及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、1以上のユニバーサルプライマーセット用のプライマー結合部位を有するように設計されてもよい。あるいは、プライマー結合部位は、合成後に、目標核酸に相補的な領域及び非相補的領域を含むキメラ性プライマーを使用して、増幅プロセス中に組み込まれて、核酸に追加されてもよい(参照:例えば国際公開WO99/58721)。
【0124】
例えば、プライマー/プライマー結合部位は、一時的な、例えばプライマー/プライマー結合部位の除去をアセンブリ中の目的の段階で可能とするものとして設計される。一時的プライマーは、化学薬品、熱的、光ベースの、又は酵素的切断により除去可能なように設計される。・・・・・・・・・・・・
【0126】
他の例として、一時的プライマー/プライマー結合部位は酵素的切断を使用して除去される。例えば、プライマー/プライマー結合部位は制限エンドヌクレアーゼ切断部位を有するように設計される。増幅後、核酸のプールは1以上のエンドヌクレアーゼと接触して二本鎖破断を生じ、プライマー/プライマー結合部位が除去される。例えばフォワード及びリバースプライマーは、同一又は異なる制限エンドヌクレアーゼにより除去される。いずれの種類の制限エンドヌクレアーゼも核酸配列からプライマー/プライマー結合部位を除去するために使用できる。特異的結合及び/又は切断部位を有する様々な種類の制限エンドヌクレアーゼが市販品として、例えばニューイングランドバイオラボ社(ベバリー、MA)から入手できる。様々な態様において、3’オーバーハング、5’オーバーハング又は平滑末端を生成する制限エンドヌクレアーゼが使用される。オーバーハングを生じる制限エンドヌクレアーゼを使用する場合、エキソヌクレアーゼ(例えばRecJf、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼT、S1ヌクレアーゼ、P1ヌクレアーゼ、大豆ヌクレアーゼ、T4DNAポリメラーゼ、CELIヌクレアーゼ等)が平滑末端を生成するために使用される。あるいは、特異的制限エンドヌクレアーゼにより形成された付着末端が、目的の配置中のサブアセンブリのアセンブリを促進するために使用される(参照、例えば、図4A)。本発明の例示では、タイプIIS制限エンドヌクレアーゼ用の結合及び/又は切断部位を含有するプライマー/プライマー結合部位が、一時的プライマーを除去するために使用される。」(【0122】~【0126】)
ケ.「【0131】
5.アセンブリ方法:
様々な態様において、本発明の方法は、短オリゴヌクレオチドから長いポリヌクレオチド構造物へのアセンブル方法を使用し、例えば、PCR型アセンブリ方法(PAM又はポリメラーゼアセンブリ複合化を含む)及びライゲーション型アセンブリ方法(例えば、相補的又は平滑末端を有する核酸セグメントの結合)が挙げられる。本発明の例示では、複数のポリヌクレオチド構造物は、単一の反応混合物中でアセンブルされる。他の例として、例えば大きな数のポリヌクレオチド構造物、内部相同性領域を有するポリヌクレオチド構造物を合成する際、又は高度に相同であるか、相同性領域を含む2以上のポリヌクレオチド構造物を合成する際には、階層化型アセンブリ方法も使用できる。本発明の核酸プールを含む組成物及び方法では、サポートへ結合された及び結合されていない核酸両方、並びにそれらの組み合わせを含むものである。
【0132】
例えば、ポリヌクレオチド構造物は、形成を目的とするポリヌクレオチド構造物の配列を部分的に又は完全に有する相補的にオーバーラップする領域を有する複数の短オリゴヌクレオチドと共に混合することによりアセンブルされる。例えば図3B及び3Cに図示されるように、短オリゴヌクレオチドは部分的に二本鎖になった核酸を形成し、鎖伸長又は鎖伸長及びライゲーションの組み合わせを使用して短オリゴヌクレオチド間に残されたギャップを埋め込み、アセンブルされてポリヌクレオチド構造物となる。あるいは図3Aに図示されたように、短オリゴヌクレオチドは、それらはアセンブリにおいて、産物を形成するために短オリゴヌクレオチド間のライゲーションのみを必要として(例えば、ギャップは、アセンブリプロセス中に短オリゴヌクレオチド間に埋め込まれる必要がない)互いに接触してポリヌクレオチド構造物を形成するように設計される。例えば図3Aに図示されるように、ポリヌクレオチド構造物の形成は、より効率的にエラー減少を行うことにより、特異性を制御し、忠実度を増加することを助ける。
・・・・・・・・・・・・
【0142】
本発明の別の例では、階層化されたアセンブリが制限エンドヌクレアーゼを使用して実施され、目的の順序で一緒に結合される相補末端を形成する。構造体オリゴヌクレオチドは、特定の順序での結合を促進する部位に、1以上の制限エンドヌクレアーゼが認識及び切断部位を有するように設計され合成される。DNAデュプレックス形成後、オリゴヌクレオチドのプールは1以上の制限エンドヌクレアーゼと接触し、相補末端を形成する。プールは次にハイブリダイゼーション条件及びライゲーション条件へ曝されて、デュプレックスを一緒に結合する。結合の順番は、相補的相補末端のハイブリダイゼーションにより決定される。制限エンドヌクレアーゼは、一度に1のみのサブセットの相補末端が形成するように時差を設けて添加される。次にこれら末端は互いに結合され、続いて別の一連のエンドヌクレアーゼ消化、ハイブリダイゼーション、ライゲーションが次々と続く。本発明の例示では、タイプIISエンドヌクレアーゼ認識部位が構造体オリゴヌクレオチドの末端へ組み込まれ、タイプIIS制限エンドヌクレアーゼによる切断を可能とする。」(【0131】~【0142】)
コ.「【0169】
7.エラー減少:
・・・・・・・・・・・・
【0193】
長いDNA分子中のエラーを減少させる簡単な方法は、DNA主鎖の両ストランドを、短い一本鎖オーバーハングを切断部位に生成する部位特異的エンドヌクレアーゼ等により、複数の部位で切断することである。得られるセグメントでは、ミスマッチをいくらか含むことが予測される。これらは、ミスマッチ結合蛋白質の作用及びその次のミスマッチ結合蛋白質の除去により、図20に記載されたように除去できる。セグメントの残存プールは、完全長配列へ再ライゲートできる。図26の手法に関して、この手法は下記幾つかの利点を有する:1)完全完全長DNAデュプレックスの除去は、エラーを除去するために必要ではない;2)DNAデュプレックスの全体的解離及び再アニールは、必要ではない;3)エラー遊離DNA分子がどの成分もエラー遊離DNA分子ではない出発プールから構築できる。
【0194】
制限エンドヌクレアーゼの最も共通するタイプがこの手法に使用される場合、全てのDNA切断部位は同一のオーバーハングを生じる。従って、セグメントは、ランダムな順序で結合及びライゲートする。しかし部位特異的「外側カッター」エンドヌクレアーゼ(HgaI、FokI、又はBspMI等)の使用は、(非オーバーラップする)DNA認識部位へ近接した切断部位を生じる。従って、それぞれのオーバーハングは他の部位のそれから識別できるDNA部分に特異的な配列を有する。これら特異的に相補的な相補末端の再結合は、次にセグメントを適切な順序で組み合わせる。生成した相補末端は、5個までの塩基長となり、45=1024種までの異なる組み合わせを可能とする。たぶん、この多くの識別性のある制限部位が、相補末端間でのニアマッチを避ける必要性からこの数字は少なくなるにしても使用できる。」(【0169】~【0194】)
サ.「
[図:0001386529000001.jpg]
」(図2)
シ.「
[図:0001386529000002.jpg]
」(図3)
ス.「
[図:0001386529000003.jpg]
」(図4)
セ.「
[図:0001386529000004.jpg]
」(図5)
ソ.「
[図:0001386529000005.jpg]
」(図6)
第5 引用発明の認定
上記記載事項イ.から、引用文献1には、予め特定された配列を有する長いポリヌクレオチド構造物のアセンブル方法であって、構造体オリゴヌクレオチドのプールを用意する工程、構造体オリゴヌクレオチドを増幅する工程、構造体オリゴヌクレオチドのプールをハイブリダイゼーション条件及びライゲーション条件下に曝し、上記構造体オリゴヌクレオチドよりも長い複数の二本鎖サブアセンブリ構造物を形成する工程、上記サブアセンブリ構造物を増幅する工程、複数のサブアセンブリ構造物をハイブリダイゼーション条件及びライゲーション条件下でインキュベートし、長いポリヌクレオチド構造物を形成する工程、を含む、方法が記載されているといえる。
引用文献1には、「用語「ユニバーサルタグ」は、5’及び/又は3’末端上の多数の核酸配列へフランキングするヌクレオチド配列を言い、・・・・・・ユニバーサルタグは、ユニバーサルプライマー用結合部位を含有する。」(上記記載事項オ.)、「構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、ユニバーサルタグを含む。ユニバーサルタグは、5’末端若しくは3’末端のいずれか又は両方上の構造体オリゴヌクレオチドにフランキングし、かつプール中の少なくとも一部分の構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドと共通する配列である。例示的なユニバーサルタグは例えば1以上の下記を含む:ユニバーサルプライマー結合部位、・・・・・・構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、1セットの又は数セットのプライマーを使用する核酸のプールの増殖に使用されるユニバーサルプライマーのための1以上のセットの結合部位を含む。」(上記記載事項キ.)、「図5に示されるように、構造体オリゴヌクレオチド(例えば、a、b、c、d、e、及びf)は、ユニバーサルプライマーのための結合部位(例えば、白及び黒の四角で表される)を囲むように設計されてもよい。」(上記記載事項カ.及びセ.)と記載されており、構造体オリゴヌクレオチドは、5’末端及び/又は3’末端にユニバーサルタグを含み、当該ユニバーサルタグが、ユニバーサルプライマー結合部位を含むことが記載されている。
また、引用文献1には、「【請求項69】オリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分へフランキングし、少なくとも1のサブセットの上記オリゴヌクレオチドに共通する少なくとも1対のプライマーハイブリダイゼーション部位を有する請求項1又は3に記載の方法。【請求項70】全てのオリゴヌクレオチドは、共通する少なくとも1対のプライマーハイブリダイゼーション部位を有する請求項69に記載の方法。【請求項71】オリゴヌクレオチドは、プライマーハイブリダイゼーション部位の少なくとも一部分及びオリゴヌクレオチド間の切断部位を有する請求項69に記載の方法。【請求項72】切断部位は制限エンドヌクレアーゼ部位である請求項71に記載の方法。【請求項73】制限エンドヌクレアーゼはタイプIISエンドヌクレアーゼである請求項72に記載の方法。【請求項74】サブアセンブリ構造物は、上記サブアセンブリ構造物の少なくとも一部分へフランキングし、上記サブアセンブリ構造物の少なくとも1のサブセットに共通する少なくとも1対のプライマーハイブリダイゼーション部位を有する請求項1又は46に記載の方法。【請求項75】サブアセンブリ構造物は、プライマーハイブリダイゼーション部位の少なくとも1及びサブアセンブリ構造物間の切断部位を有する請求項74に記載の方法。」(上記記載事項イ.)、「用語「ユニバーサルタグ」は、5’及び/又は3’末端上の多数の核酸配列へフランキングするヌクレオチド配列を言い、・・・・・・ユニバーサルタグには1以上の下記が含まれる:・・・・・・制限酵素認識部位」(上記記載事項オ.)、「構造体及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、ユニバーサルタグを含む。ユニバーサルタグは、5’末端若しくは3’末端のいずれか又は両方上の構造体オリゴヌクレオチドにフランキングし、・・・・・・例示的なユニバーサルタグは例えば1以上の下記を含む:・・・・・・構造体オリゴヌクレオチド間の制限エンドヌクレアーゼ切断部位」(上記記載事項キ.)、と記載されており、構造体オリゴヌクレオチド又はサブアセンブリ構造物は、その末端に制限酵素認識部位を有することが記載されている。
また、引用文献1には、「構造体オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチド構造物の完全長さをカバーするために、一緒に混合された場合にはオリゴは単純に一緒にライゲートされてサブアセンブリ/ポリヌクレオチド構造物を形成する(例えば、図3A)。」(上記記載事項カ.及びシ.)、「構造体オリゴヌクレオチドは、完全なポリヌクレオチド構造物を形成するためには、単に一緒にハイブリダイズされ、ライゲーションされるだけでよい。」(上記記載事項キ.)、「サブアセンブリが1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され付着末端を形成することもできる。付着末端を通したサブアセンブリの結合後に、ポリヌクレオチド構造物は、ライゲーション及び/又は鎖伸長により形成できる。一組のサブアセンブリから形成されるポリヌクレオチド構造物は、任意で更に一連のアセンブリが行われ、より一層長いポリヌクレオチド構造物が製造される(参照、例えば、図4)。」(上記記載事項カ.及びス.)と記載されており、ポリヌクレオチド構造物の完全長さをカバーするために、構造体オリゴヌクレオチドは、ライゲーションされてサブアセンブリ構造物又はポリヌクレオチド構造物を形成すること、サブアセンブリ構造物は、ライゲーションされてポリヌクレオチド構造物を形成することが記載されている。
そして、上記記載事項エ.、シ.及びス.によれば、ライゲーションはリガーゼで行うことが記載されている。
また、引用文献1には、「サブアセンブリは、目的の配列で種々のサブアセンブリの結合を可能とする配列特異的付着末端を含んでもよい(例えば、3’又は5’オーバーハング)。・・・・・・サブアセンブリが1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され付着末端を形成することもできる。」(上記記載事項カ.)、「特異的制限エンドヌクレアーゼにより形成された付着末端が、目的の配置中のサブアセンブリのアセンブリを促進するために使用される(参照、例えば、図4A)。」(上記記載事項ク.)、「階層化されたアセンブリが制限エンドヌクレアーゼを使用して実施され、目的の順序で一緒に結合される相補末端を形成する。・・・・・・オリゴヌクレオチドのプールは1以上の制限エンドヌクレアーゼと接触し、相補末端を形成する。」(上記記載事項ケ.)と記載されており、構造体オリゴヌクレオチド又はサブアセンブリ構造物は、1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化されて、相補的な付着末端を形成することが記載されている。
上記記載事項イ.~コ.及びシ.~セ.によると、引用文献1には、「予め特定された配列を有するポリヌクレオチド構造物のアセンブル方法であって、
複数の構造体オリゴヌクレオチドを用意すること、ここで、複数の構造体オリゴヌクレオチドの各々が、5’末端および/または3’末端に位置するユニバーサルプライマー結合部位を含む、
複数の構造体オリゴヌクレオチドを増幅して、複数の二本鎖構造体オリゴヌクレオチドを提供すること、ここで、複数の二本鎖構造体オリゴヌクレオチドの各々が各々の末端に制限酵素認識配列を有し、
複数の構造体オリゴヌクレオチドを1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し、付着末端を形成すること、
複数の構造体オリゴヌクレオチドをリガーゼでライゲーションすること、
上記構造体オリゴヌクレオチドよりも長い複数の二本鎖サブアセンブリ構造物を形成すること、
上記複数の二本鎖サブアセンブリ構造物を増幅して、複数の二本鎖サブアセンブリ構造物を提供すること、ここで、複数の二本鎖サブアセンブリ構造物の各々が各々の末端に制限酵素認識配列を有し、
複数の二本鎖サブアセンブリ構造物を1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し、付着末端を形成すること、
複数の二本鎖サブアセンブリ構造物をリガーゼでライゲーションすること、
予め特定された配列を有するポリヌクレオチド構造物を形成すること、を含む、方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
第6 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「予め特定された配列を有するポリヌクレオチド構造物」は、本願発明の「所定の配列を有する標的核酸」に相当し、引用発明の「二本鎖構造体オリゴヌクレオチド」又は「二本鎖サブアセンブリ構造物」は、本願発明の「二本鎖核酸断片」に相当し、引用発明の「ポリヌクレオチド構造物のアセンブル方法」は、ポリヌクレオチド構造物を形成する方法であるから、本願発明の「核酸を作製する方法」に相当する。
そして、上記記載事項カ.、ク.、セ.及びソ.によれば、構造体オリゴヌクレオチド又はサブアセンブリ構造物は、ユニバーサルプライマーを用いて増幅がなされるので、「二本鎖構造体オリゴヌクレオチド」又は「二本鎖サブアセンブリ構造物」は、平滑末端を有するものと認められる。
また、引用文献1には、「階層化されたアセンブリが制限エンドヌクレアーゼを使用して実施され、目的の順序で一緒に結合される相補末端を形成する。構造体オリゴヌクレオチドは、特定の順序での結合を促進する部位に、1以上の制限エンドヌクレアーゼが認識及び切断部位を有するように設計され合成される。DNAデュプレックス形成後、オリゴヌクレオチドのプールは1以上の制限エンドヌクレアーゼと接触し、相補末端を形成する。プールは次にハイブリダイゼーション条件及びライゲーション条件へ曝されて、デュプレックスを一緒に結合する。結合の順番は、相補的相補末端のハイブリダイゼーションにより決定される。制限エンドヌクレアーゼは、一度に1のみのサブセットの相補末端が形成するように時差を設けて添加される。次にこれら末端は互いに結合され、続いて別の一連のエンドヌクレアーゼ消化、ハイブリダイゼーション、ライゲーションが次々と続く。」(上記記載事項ケ.)と記載されており、複数の付着末端二本鎖核酸断片をリガーゼでライゲーションする際に、1以上の制限エンドヌクレアーゼと接触し、相補末端を形成した後、ハイブリダイゼーション条件及びライゲーション条件へ曝されて、相補的相補末端のハイブリダイゼーションにより結合の順番が決定されること、制限エンドヌクレアーゼは、一度に1のみのサブセットの相補末端が形成するように時差を設けて添加されて、これらの相補末端が互いに結合されることが記載されているから、これは、第一の付着末端二本鎖核酸断片の第一の突出が、第二の付着末端二本鎖核酸断片の第二の突出に一意的に相補であるものとなっていることを意味しているといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「所定の配列を有する標的核酸を作製する方法であって、複数のオリゴヌクレオチドから複数の平滑末端二本鎖核酸断片を提供すること、ここで、複数の平滑末端二本鎖核酸断片の各々が各々の末端に制限酵素認識配列を有し、複数のオリゴヌクレオチドの各々が、5’末端および/または3’末端に位置するユニバーサルプライマー結合部位を含む;複数の平滑末端二本鎖核酸断片の酵素消化を経て、標的核酸配列をともに含む複数の付着末端二本鎖核酸断片を生成すること;複数の付着末端二本鎖核酸断片をリガーゼでライゲーションすること、ここで、第一の付着末端二本鎖核酸断片の第一の突出が、第二の付着末端二本鎖核酸断片の第二の突出に一意的に相補である、を含む、方法。」である点で一致し、両者は以下の点で一応相違する。
第7 判断
以下、上記相違点について検討する。
相違点1について
引用文献1には、目的の順序で一緒に結合される相補末端を形成するために、1以上の制限エンドヌクレアーゼと接触し、相補末端を形成した後、ハイブリダイゼーション条件及びライゲーション条件へ曝されて、相補的相補末端のハイブリダイゼーションにより結合の順番が決定されること、制限エンドヌクレアーゼは、一度に1のみのサブセットの相補末端が形成するように時差を設けて添加されて、これらの相補末端が互いに結合され、続いて別の一連のエンドヌクレアーゼ消化、ハイブリダイゼーション、ライゲーションが次々と続くことが記載されており(上記記載事項ケ.)、複数の平滑末端二本鎖核酸断片を酵素消化して、付着末端二本鎖核酸断片を生成する際に、第一の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化して、第一の突出を生成させた後に、それとは異なる第二の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化して、前記第一の突出とは異なる(非相補性の)第二の突出を生成させることが記載されている。また、引用文献1には、「制限エンドヌクレアーゼの最も共通するタイプがこの手法に使用される場合、全てのDNA切断部位は同一のオーバーハングを生じる。従って、セグメントは、ランダムな順序で結合及びライゲートする。しかし部位特異的「外側カッター」エンドヌクレアーゼ(HgaI、FokI、又はBspMI等)の使用は、(非オーバーラップする)DNA認識部位へ近接した切断部位を生じる。従って、それぞれのオーバーハングは他の部位のそれから識別できるDNA部分に特異的な配列を有する。これら特異的に相補的な相補末端の再結合は、次にセグメントを適切な順序で組み合わせる。生成した相補末端は、5個までの塩基長となり、45=1024種までの異なる組み合わせを可能とする。たぶん、この多くの識別性のある制限部位が、相補末端間でのニアマッチを避ける必要性からこの数字は少なくなるにしても使用できる。」と記載されており(上記記載事項コ.)、これは、複数の平滑末端二本鎖核酸断片の酵素消化を経て、複数の付着末端二本鎖核酸断片を生成する際に、複数の付着末端二本鎖核酸配列の各々が2つの異なる非相補性突出を有することを意味しているといえるから、上記相違点は、実質的な相違点とはいえない。
また、仮に、本願発明と引用発明が、「複数の付着末端二本鎖核酸配列の各々が2つの異なる非相補性突出を有する」点で相違するものであったとしても、両発明の解決しようとする課題は、高忠実度のアセンブリ方法(上記記載事項ア.及びカ.)を提供する点で共通するから、目的の順序(配置)で結合される相補末端を形成するために、複数の付着末端二本鎖核酸配列の各々が2つの異なる非相補性突出を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
相違点2について
上記記載事項サ.~ソ.によれば、標的核酸が、複数の付着末端二本鎖核酸断片の直線配置を形成していることは明らかであり、また、上記記載事項サ.~ソ.及び「サブアセンブリは、目的の配列で種々のサブアセンブリの結合を可能とする」(上記記載事項カ.)、「目的の配置中のサブアセンブリのアセンブリを促進する」(上記記載事項ク.)、「目的の順序で一緒に結合される・・・特定の順序での結合を促進する・・・結合の順番は、相補的相補末端のハイブリダイゼーションにより決定される。」(上記記載事項ケ.)、等の記載から、その一意的な配置が、所定の配列を有する標的核酸を含むといえるから、上記相違点は、実質的な相違点とはいえない。
第8 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和 2年 9月24日付け手続補正書により補正された審判請求書において、以下のア.~ウ.の点を主張しているので、以下この点について検討する。
ア.引用文献1の図5では、酵素消化の後に平滑末端二本鎖断片を生成する
下図は、引用文献1の図5を再掲し、強調を追加したものである。
[図:0001386529000006.jpg]
引用文献1の図5の方法におけるプライマーは、酵素的に切断され、平滑末端二本鎖断片を生成する(例えば、上記図5の、平滑末端の二本鎖構造体オリゴヌクレオチドからプライマーを酵素的に除去した後に形成される平滑末端の二本鎖断片を強調表示した破線の長方形を参照)。すなわち、引用文献1は、平滑末端二本鎖構造体オリゴヌクレオチドが制限エンドヌクレアーゼを使用して切断されて、平滑末端二本鎖断片の別のセットを生成することを教示するが、本願発明の方法では、複数の平滑末端二本鎖核酸断片の酵素的切断の際に付着末端二本鎖断片を生成し、それが独自の線形順序に容易に組み立てられ、それによって所定の配列を有する標的核酸を形成する。
引用文献1の図5は、平滑末端と付着末端の断片やサブアセンブリが非常に明確に区別されており、例えば、プライマーを酵素で除去した後に生成された二本鎖断片に、一本鎖のオーバーハングがないことが非常に明確に示されている(例えば、上記図5、破線の長方形で強調された部分では、プライマーを酵素で除去した後に形成された平滑末端の二本鎖断片が明確に示されている)が、付着末端サブアセンブリ、すなわち付着末端を持つオリゴヌクレオチドは、図5に一本鎖のオーバーハングで表されている(例えば、上記図5、一点鎖線の長方形で強調された部分では、融解およびアニーリング後に生成された付着末端サブアセンブリが示されている)。
イ.引用文献1の図5は、付着末端サブアセンブリを生成するための融解およびアニーリングを含む
引用文献1の図5の方法は、サブアセンブリ(例えば、上記図5の、一点鎖線の長方形で強調された範囲を参照、例えばab’c、a’bc’など)を作製するために増幅された二本鎖核酸配列を融解およびアニーリングするさらなる工程を含み、また、アニーリング後に鎖伸長を行うことによりポリヌクレオチド構造物を得るが、これらの融解、アニーリングといった工程は、本願発明の方法では必要なく、また実行されない。以下の図(a)に示すように、引用文献1の図5の方法は、融解およびアニーリングを使用してサブアセンブリを生成するが、このような方法は、図(b)に示される本願発明の方法とは完全に異なる。
[図:0001386529000007.jpg]
[図:0001386529000008.jpg]
融解およびアニーリングは、引用文献1の図5の方法において、(例えば、付着末端のサブアセンブリを生成するため)重要な工程であるが、そのような工程は本願発明の方法において付着末端断片を生成するために不要であり、実施する意味のない工程である。例えば、本願発明の方法における平滑末端二本鎖断片が融解され、アニーリングされた場合、同じ平滑末端二本鎖断片が生成されるだけである。したがって、融解、アニーリングといった工程は、本願発明の方法では必要ないことは明白であり、当業者の認識に沿わない、意味のない工程を追加するものであるが、融解およびアニーリングは、引用文献1の図5の方法において重要な工程であり、この点において、引用文献1の図5の方法は、本願発明の方法とは全く異なる。
ウ.引用文献1の図5は、本願発明の付着末端二本鎖断片とは異なる付着末端サブアセンブリを生成する
上記図(a)及び(b)に示すように、引用文献1の図5の方法を使用して生成された付着末端サブアセンブリ(図(a))は、本願発明の方法で生成された付着末端二本鎖断片とは異なり、例えば、図(a)及び(b)から明らかなように、サブアセンブリは3つの異なる一本鎖断片(例えば、ab’c、a’bc’など)で構成されているが、本願発明の方法で生成された付着末端二本鎖断片は、互いに相補的な領域を有する二つの一本鎖断片のみを含むから、引用文献1のサブアセンブリと本願発明の方法における付着末端断片を比較することは発明の比較として正しくない。
主張ア.について
審判請求人が「平滑末端二本鎖断片」であると主張する、引用文献1の図5の「プライマー除去」後のものは、一本鎖のオーバーハングが明示的に記載されていないという点で、引用文献1の図4Aの「増幅(任意)+消化」後のものと形状が類似している。
そして、引用文献1には、「サブアセンブリは、目的の配列で種々のサブアセンブリの結合を可能とする配列特異的付着末端を含んでもよい(例えば、3’又は5’オーバーハング)。付着末端は構造体オリゴヌクレオチドの設計(例えば、5’及び/又は3’最末端構造体オリゴヌクレオチドは、一本鎖オーバーハングを有するように設計できる)により形成されてもよく、サブアセンブリが1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され付着末端を形成することもできる。付着末端を通したサブアセンブリの結合後に、ポリヌクレオチド構造物は、ライゲーション及び/又は鎖伸長により形成できる。一組のサブアセンブリから形成されるポリヌクレオチド構造物は、任意で更に一連のアセンブリが行われ、より一層長いポリヌクレオチド構造物が製造される(参照、例えば、図4)。・・・
同様に、本発明は、ユニバーサルプライマーを使用する1以上のステップで核酸を増幅することを含むポリヌクレオチド構造物のアセンブル方法を提供する。例えば図5に示されるように、構造体オリゴヌクレオチド(例えば、a、b、c、d、e、及びf)は、ユニバーサルプライマーのための結合部位(例えば、白及び黒の四角で表される)を囲むように設計されてもよい。基質からの構造体オリゴヌクレオチドの除去の前後で、完全プールはただ一組のユニバーサルプライマーを使用して増幅される。本発明の例示では、ユニバーサルプライマーは、増幅後に酵素的又は化学的切断により除去される。増幅された構造体オリゴヌクレオチドのプールは、次に融解され、アニールされ、ライゲーション及び/又は鎖伸長されてサブアセンブリを形成する(例えば図5中のabc又はdef)。例えばサブアセンブリ自体が、第2のユニバーサルプライマーセット(図示せず)を使用して増幅されてもよい。例えば5’及び3’最末端構造体オリゴヌクレオチド(例えばそれぞれ図5中のa及びd及びc及びf)は、第2のユニバーサルプライマーセット結合部位を囲むように設計されてもよい(参照図6)。第2のユニバーサルプライマーセットのサブアセンブリプールへの添加において、複数のサブアセンブリが増幅される。本発明の例示では、第2のユニバーサルプライマーセットは、次に化学的又は酵素的切断により除去される。サブアセンブリは、次に、相補鎖のハイブリダイゼーション又は付着末端による結合(上記記載の通り)それに続くライゲーション及び/又は鎖伸長によりアセンブルされて更により長いポリヌクレオチド構造物となる。」と記載されており(上記記載事項カ.)、また、「一組のユニバーサルプライマーは、1のプール中にあるか又は複数のプールへ分離されている多数の核酸配列を増幅するために使用できる(図5)。・・・・・・上記記載の通り、構造体オリゴヌクレオチド及び/又は選択オリゴヌクレオチドは、1以上のユニバーサルプライマーセット用のプライマー結合部位を有するように設計されてもよい。・・・・・・特異的制限エンドヌクレアーゼにより形成された付着末端が、目的の配置中のサブアセンブリのアセンブリを促進するために使用される(参照、例えば、図4A)。本発明の例示では、タイプIIS制限エンドヌクレアーゼ用の結合及び/又は切断部位を含有するプライマー/プライマー結合部位が、一時的プライマーを除去するために使用される。」と記載されている(上記記載事項ク.)。
上記記載事項ク.中の「特異的制限エンドヌクレアーゼにより形成された付着末端が、目的の配置中のサブアセンブリのアセンブリを促進するために使用される(参照、例えば、図4A)。」という記載から、引用文献1の図4についての説明(上記記載事項カ.)において、「サブアセンブリが1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され付着末端を形成」し、「付着末端を通したサブアセンブリの結合後に、ポリヌクレオチド構造物は、ライゲーション」により形成することは、図4Aに対応するものと考えられ、図4Aの「増幅(任意)+消化」後のものは、「制限エンドヌクレアーゼで消化され付着末端を形成」したものに該当することは明らかであるから、上記記載事項カ.において、「ユニバーサルプライマーは、増幅後に酵素的・・・切断により除去される」と記載されている、図5の「プライマー除去」後のものも、同様にユニバーサルプライマーが酵素的切断により除去され付着末端を形成したものを表すといえるから、審判請求人の「引用文献1の図5の方法におけるプライマーは酵素的に切断され、平滑末端二本鎖断片を生成する」との主張は採用できない。
また、審判請求人が平滑末端断片と明確に区別していると主張している「付着末端サブアセンブリ」と類似した形状を有するものとして、図2Cに示されているものがある。
そして、引用文献1には、「構造体オリゴヌクレオチドは、オーバーラップする相補的領域を有するように設計され、その領域は相補的領域間のハイブリダイゼーションを可能として、ハイブリダイゼーション条件下で一緒に混合された場合に構造体オリゴヌクレオチドの正確に配列された鎖を生じる(例えば図2C中のabc、def、及びghi)。」と記載されているように、図2Cに示されているものは、「オーバーラップする相補的領域」を有するものとして記載されているから、図5の「融解、アニール」後のものも同様に、「オーバーラップする相補的領域」を有するものが記載されているだけで、図5の「プライマー除去」後のものが、「平滑末端二本鎖断片」である理由にはならない。
なお、引用文献1の図5の「プライマー除去」後のもの、「融解、アニール」後のものと類似の形状を有するものが、本願の図10A、Bに記載されている。引用文献1の図5の「プライマー除去」後のものは、「50%」の上に記載されたものと類似の形状を有し、引用文献1の図5の「融解、アニール」後のものは、「25%」の上に記載されたものと類似の形状を有しているが、本願の図10A、Bに記載されている「50%」の上に記載されたものは、制限酵素で切断後のものであるから、付着末端を有することは明らかであるから、一本鎖のオーバーハングが記載されていないという理由だけから、図面に記載されている二本鎖断片が、「平滑末端二本鎖断片」であるということはできない。
主張イ.について
上記「第5 引用発明の認定」において述べたように、融解およびアニーリング工程は、引用発明に必須の工程ではないから、引用文献1の図5の方法は、融解およびアニーリングするさらなる工程を含むことが、本願発明と引用発明が異なることの根拠にはならないから、審判請求人の上記主張イ.は採用できない。
なお、本願明細書には、「【0066】 付着末端を露出させるための他の戦略(オフセットアセンブリ)は図10Aに示される。・・・・・・・・・・・・増副産物は、増幅配列(矢じり)を除去する切断(例えば、制限酵素で)され、主要な70-マーの二本鎖のアセンブリ配列をそこから精製できる。これらの二本鎖アセンブリ配列は次いで、単一のシャッフリング段階で溶解され(例えば、95℃で)、再アニーリングできる(例えば、65℃で)。・・・・・・・・・・・・【0067】 第二のオフセットアセンブリ戦略は図10Bで示され、別々の2段階(すなわち、アセンブリ段階およびライゲーション段階)とは対照的に、単一の組み合わせられたアセンブリ-(拡張)-ライゲーション段階が使用され得る。例えば、シャッフリング段階(例えば、95℃で溶解し、65℃で再アニーリングする)の後、ギャップのない解析オリゴヌクレオチド(gapless parse oligonucleotide)が、完全長産物または部分組立品を形成するためにライゲーションできる。・・・・・・・・・・・・」と記載されており(【0066】~【0067】)、融解、アニーリングする工程を含む態様も記載されている。
主張ウ.について
上記「主張ア.について」において述べたように、図5の「プライマー除去」後のものは、ユニバーサルプライマーが酵素的切断により除去され付着末端を形成したものを表すといえるから、図5の「融解、アニール」後のものが、本願発明の方法における付着末端二本鎖断片とは異なることが、本願発明と引用発明が異なることの根拠にはならないから、審判請求人の上記主張ウ.は採用できない。
第9 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-011276