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特許拒絶査定不服審判

2020-009615

遊技機

審判番号
2020-009615
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-131955外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年07月08日
審決日
2021年08月10日
公報発行日
2021年11月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .161-WZ (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条の2
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-131955号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月11日出願公開、特開2018-   575号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 20項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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本願は、平成28年7月1日の出願であって、令和1年6月26日に手続補正書が提出され、同年10月31日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年1月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年3月11日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年7月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和3年3月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A-Dは、本願発明を分説するために当審で付与した)。

「【請求項1】
A 複数のリールと、
B 小役及びリプレイを含む複数種類の役の内部抽選を行う内部抽選手段と、
C 有利期間と、非有利期間と、の間での移行に係る制御を行う有利期間制御手段と、を備え、
続きを表示(全13行)
C1 前記有利期間制御手段は、前記有利期間である場合に、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行可能であり、
C2 前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であり、
C3 前記有利期間制御手段は、前記有利期間から前記非有利期間に移行する場合に、前記有利期間における処理で変更可能な情報をすべて初期化し、
C4 前記有利期間は、
第1期間と、
前記第1期間とは遊技者にとって有利な度合いが異なる複数種類の第2期間と、を含み、
C5 前記有利期間開始から所定の遊技回数の遊技が実行される場合に、前記第1期間に設定された前記第1期間を継続可能な遊技回数及び前記第2期間に設定された前記第2期間を継続可能な遊技回数によらず前記有利期間制御手段によって前記非有利期間に移行され、
C6 前記複数種類の第2期間は、前記有利期間制御手段によって前記第1期間への移行に係る処理である第1期間移行処理が実行される確率がそれぞれ異なる、
D ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要

令和3年3月30日付けの当審における拒絶の理由のうちの理由2は、以下のとおりのものである。

(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

●理由2(拡大先願)について

・請求項1

・先願 1

1.特願2016-60364号(特開2017-169905号公報)

第4 先願の記載及び先願発明

1 先願1の記載

当審における拒絶の理由(令和3年3月30日付け拒絶理由通知書)で、先願1として引用された本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特願2016-60364号(特開2017-169905号公報参照。以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている(下線部は当審で付与した。)。

(1)「【0040】
[スロットマシンの構成]
図1は、本実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。図1および図3に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられ、透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能となる。図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。」
(2)「【0074】
なお、リプレイGR1~GR6、リプレイGR11~GR13、およびリプレイGR21~GR23は、遊技者によるストップスイッチの操作手順(押し順)に応じて入賞する再遊技役(リプレイ)が異なるため、押し順リプとも称する。また、左ベル1~4、中ベル1~4、および右ベル1~4は、遊技者によるストップスイッチの操作手順(押し順)に応じて入賞する小役(ベル)が異なるため、押し順ベルとも称する。
【0075】
リプレイGR1~6のいずれかに当選したときに昇格リプレイ1,2が入賞する押し順を正解手順とも称し、通常リプレイが入賞する押し順を不正解手順とも称する。リプレイGR11~13のいずれかに当選したときに通常リプレイが入賞する押し順を正解手順とも称し、転落リプレイが入賞する押し順を不正解手順とも称する。リプレイGR21~23のいずれかに当選したときに特殊リプレイが入賞する押し順を正解手順とも称し、通常リプレイが入賞する押し順を不正解手順とも称する。また、押し順ベルのいずれかに当選したときに中段ベルや右下がりベルが入賞する押し順を正解手順とも称し、上段ベルが入賞したり移行出目が導出したりする押し順を不正解手順とも称する。
続きを表示(全12行)
・・・
【0077】
なお、本実施の形態においては、AT中に押し順ベルや押し順リプに当選したときに、正解手順を報知するナビ演出が実行される。このため、押し順ベルや押し順リプをナビ対象役とも称する。スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L,2C,2Rが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、リール2L,2C,2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0078】
[ゲーム処理]
メイン制御部41は、ゲーム処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。
【0079】
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理(図10~図12など参照)が行われる。たとえば、乱数回路は、所定範囲(1~65536)に属する判定値を所定の更新規則にしたがって更新する。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたときに乱数回路が更新している判定値を抽出する。そして、メイン制御部41は、抽出した判定値が抽選対象役ごとに予め定められた所定範囲に属する判定値(たとえば、弱チェリー1の場合は1~100)に該当すれば、該当した抽選対象役の当選を決定する。内部抽選において抽選対象役に当選したときには、当該抽選対象役に含まれる入賞役の当選フラグがRAMの所定領域に設定される。たとえば、BB1に当選したときには、BB1当選フラグが設定され、強チェリーに当選したときには、下段チェリーの当選フラグと、1枚役の当選フラグとが設定される。BB1,BB2の当選フラグについては、当選したBBに入賞するまで持ち越される一方、BB1,BB2以外の入賞役に対応する当選フラグは、入賞の発生の有無に関わらず、当選したゲームが終了したときに消去される。」
(3)「【0083】
[ATに関する処理について]
メイン制御部41は、ボーナスやRT2などの有利な状態に加えて、AT(アシストタイム)に制御可能である。メイン制御部41は、ATに制御する権利となるATゲームの付与に関するAT抽選を実行する。具体的には、メイン制御部41は、ATゲームを付与するか否か、およびATゲームを付与する場合の付与数(ATゲーム数)をAT抽選で決定する。なお、AT抽選においてATゲームを付与することが決定されることをAT当選とも称し、AT抽選においてATゲームを付与することが決定されないことを非AT当選とも称する。AT当選したときには、たとえば、当選報知LED70が赤色で点灯することによってAT当選の可能性が示唆される。
・・・
続きを表示(全12行)
【0085】
また、CZ1、CZ2、およびCZ3といった3種類のCZが設けられている。CZ1、CZ2、およびCZ3のいずれにおいても、AT当選(すなわち、ATゲーム数の付与)に関する有利度合いが通常よりも高まるが、そのうち、CZ2が最もAT当選の期待値および付与されるATゲーム数の期待値が高く、CZ3が最もAT当選の期待値および付与されるATゲーム数の期待値が低い(具体的には、CZ3は非CZ中とほぼ同じである)。また、CZ1は、CZ3よりもAT当選の期待値および付与されるATゲーム数の期待値が高い一方で、CZ2よりもAT当選の期待値および付与されるATゲーム数の期待値が低い。よって、CZ2は、CZ1やCZ3よりも遊技者にとっての有利度合いが高い。なお、CZ2のCZゲーム数は20ゲームであり、CZ1およびCZ3のCZゲーム数はともに10ゲームである。
・・・
【0090】
[示唆ナビ]
CZ1、CZ2、およびCZ3のいずれに制御される場合でも、示唆ナビが実行される。示唆ナビは、特定の図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出であり、実行されることによってCZへの制御が示唆される。
【0091】
たとえば、CZ当選した後、所定ゲーム数に亘り前兆期間に突入する。そして、前兆期間を経た後、所定ゲーム数に亘り示唆ナビ期間に突入する。示唆ナビ期間においては、押し順ベルに当選したゲームで示唆ナビが実行され、中段ベルや右下がりベルを入賞させるための正解手順が報知される。つまり、CZに制御される前においては、押し順ベル当選時に最も多くのメダルが払い出される役(本実施の形態においては、中段ベルや右下がりベル)を入賞させるための正解手順を報知する示唆ナビが少なくとも1回(本実施の形態においては、1回)実行される。」
(4)「【0107】
また、AT当選時に限らず、CZ当選時においてもカウントゲーム数のカウントが開始される。たとえば、CZ当選したゲームからカウントゲーム数がカウントされ、その後CZ中にAT当選したときには、そのままカウントゲーム数のカウントを継続する。そして、前述したように、一連のATが終了するまでカウントゲーム数がカウントされる。なお、CZ当選したゲームからカウントゲーム数がカウントされた場合であっても、CZ中にAT当選しなかった場合や、新たにCZ当選しなかった場合には、CZの終了とともにカウントゲーム数のカウントも終了する。このように、スロットマシン1においては、有利区間におけるゲーム数がクリアカウンタによってカウントされるようになっている。」
(5)「【0114】
[CZ抽選]
図15は、CZ抽選を説明するための図である。CZ抽選としては、CZ1に制御するか否かを抽選によって決定するCZ1抽選と、CZ2に制御するか否かを抽選によって決定するCZ2抽選と、CZ3に制御するか否かを抽選によって決定するCZ3抽選とが設けられている。
【0115】
続きを表示(全11行)
図15(a)は、CZ1抽選を説明するための図である。図15(a)に示すように、CZ1抽選は、非CZ中において弱チェリー1当選および弱スイカ1当選のいずれかが成立したときに実行される。そして、CZ1抽選テーブルに示す当選確率に基づいて、CZ当選するか否か(すなわち、CZ1に制御するか否か)が決定される。
・・・
【0117】
図15(b)は、CZ2抽選を説明するための図である。図15(b)に示すように、CZ2抽選は、CZ1中において弱チェリー1当選および弱スイカ1当選のいずれかが成立したときに実行される。そして、CZ2抽選テーブルに示す当選確率に基づいて、CZ当選するか否か(すなわち、CZ2に制御するか否か)が決定される。
・・・
【0119】
図15(c)は、CZ3抽選を説明するための図である。図15(c)に示すように、CZ3抽選は、非CZ中において弱チェリー2当選および弱スイカ2当選のいずれかが成立したときに実行される。そして、CZ3抽選テーブルに示す当選確率に基づいて、CZ当選するか否か(すなわち、CZ3に制御するか否か)が決定される。」
(6)「【0121】
[AT抽選]
図16は、AT抽選を説明するための図である。AT抽選としては、AT初当りするか否かを抽選によって決定する初当り抽選と、AT上乗せするか否かを抽選によって決定する上乗せ抽選とが設けられている。
【0122】
続きを表示(全15行)
図16(a)は、非CZ中における初当り抽選を説明するための図である。図16(a)に示すように、非CZ中における初当り抽選は、非CZ中において弱チェリー1当選、弱スイカ1当選、強チェリー当選、強スイカ当選、中段チェリー当選、および非AT中のゲーム数が消化ゲーム数に達するごとのいずれかが成立したときに実行される。そして、初当り抽選テーブルAに示す当選確率に基づいて、AT当選(AT初当り)するか否か、および付与されるATゲーム数が決定される。なお、消化ゲーム数については、後述する図17に示す消化ゲーム数抽選によって決定される。
・・・
【0125】
初当り抽選においては、50ゲーム、150ゲーム、および250ゲームのうちのいずれかのATゲーム数の付与が決定される。ここで、本実施の形態においては、ART中に限りATゲームが消化され、ART中は純増枚数が約2枚である。すなわち、1ゲーム当りのATゲーム中における見込みの純増枚数は2枚である。よって、ATゲーム数が50ゲーム付与されたときには、実質的に100枚の純増枚数が見込まれ、ATゲーム数が150ゲーム付与されたときには、実質的に300枚の純増枚数が見込まれ、ATゲーム数が250ゲーム付与されたときには、実質的に500枚の純増枚数が見込まれる。
【0126】
図16(b)は、CZ1中における初当り抽選を説明するための図である。図16(b)に示すように、CZ1中における初当り抽選は、CZ1中において弱チェリー1当選、弱スイカ1当選、強チェリー当選、強スイカ当選、中段チェリー当選、および非AT中のゲーム数が消化ゲーム数に達するごとのいずれかが成立したときに実行される。そして、初当り抽選テーブルBに示す当選確率に基づいて、AT当選(AT初当り)するか否かが決定される。
・・・
【0129】
図16(c)は、CZ2中における初当り抽選を説明するための図である。図16(c)に示すように、CZ2中における初当り抽選は、CZ2中においていずれかの役当選、および非AT中のゲーム数が消化ゲーム数に達するごとのいずれかが成立したときに実行される。そして、初当り抽選テーブルCに示す当選確率に基づいて、AT当選(AT初当り)するか否かが決定される。
【0130】
図16(d)は、CZ3中における初当り抽選を説明するための図である。図16(d)に示すように、CZ3中における初当り抽選は、CZ3中において弱チェリー1当選、および弱スイカ1当選のいずれかが成立したときに実行される。そして、初当り抽選テーブルDに示す当選確率に基づいて、AT当選(AT初当り)するか否かが決定される。」
(7)「【0155】
[メイン制御部41の主な処理]
図19および図20を参照しながら、メイン制御部41が実行する主な処理について説明する。なお、本実施の形態においては、遊技に関する区間として、通常区間と有利区間とが設けられている。有利区間とは、CZのようなAT抽選の高確率状態、ATのような純増枚数が多くなる状態など、遊技者にとっての有利度合いが高い状態にある区間のことを言う。なお、有利区間は、AT当選およびCZ当選のいずれかが成立したゲームから開始し、ATおよびCZの全てが終了するまで継続する。なお、本実施の形態においては、BBのような小役当選の高確率状態、RT0やRT2といったリプレイ当選の高確率状態は有利区間に入らないが、これらのような有利状態も有利区間に入れてもよい。一方、通常区間は、有利区間以外の区間のことを言う。
・・・
続きを表示(全12行)
【0160】
次に、図20は、メイン制御部が実行する有利区間処理を示すフローチャートである。図20に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S30)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されない場合(S30でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S30でYES)、内部抽選を実行する(S31)。
・・・
【0163】
次に、メイン制御部41は、クリアカウンタに1を加算する(S35)。そして、メイン制御部41は、クリアカウンタの値が1500に達していないか否か、すなわちカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを判定する(S36)。メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合(S36でNO)、クリアカウンタに0を設定する(S39)。
・・・
【0166】
次に、メイン制御部41は、初期化処理を行い(S40)、有利区間に関わる全ての情報を初期化する。これにより、たとえば、リミット処理が行われてATが終了するとともに、背景演出も通常背景に切り替わる。なお、リミット処理を含む初期化処理は、設定値に関わらず実行される。その後、メイン制御部41は、当選報知LED70を消灯させる(S41)。それ以降、メイン制御部41は、通常区間処理へ移行し(S42)、本ルーチンを終了する。」
(8)「【0254】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
・・・
続きを表示(全18行)
【0259】
[有利区間作動抽選について]
有利区間作動抽選を複数種類設け、さらに、抽選対象役ごとに複数種類の有利区間作動抽選のうちのいずれで当選するかについて当選確率を振り分けてもよい。たとえば、CZ1、CZ2、およびATといった3種類の有利区間作動抽選を設け、押し順ベル、チェリー、およびBBといった抽選対象役を設けてもよい。そして、押し順ベルに当選したときには有利区間作動抽選において60%の確率でCZ1、20%の確率でCZ2に当選し、チェリーに当選したときには有利区間作動抽選において40%の確率でCZ1、40%の確率でCZ2、20%の確率でATに当選し、BBに当選したときには有利区間作動抽選において20%の確率でCZ1、40%の確率でCZ2、40%の確率でATに当選するようにしてもよい。
【0260】
有利区間作動抽選を複数種類を設け、さらに、制御中の有利区間の種類ごとに複数種類の有利区間作動抽選のうちのいずれで当選するかについて当選確率を振り分けてもよい。たとえば、通常状態と、CZ1、CZ2、およびATといった3種類の有利区間とを設けてもよい。そして、通常状態では有利区間作動抽選において60%の確率でCZ1、20%の確率でCZ2に当選し、CZ1中では有利区間作動抽選において40%の確率でCZ1、40%の確率でCZ2、20%の確率でATに当選し、CZ2中では有利区間作動抽選において20%の確率でCZ1、40%の確率でCZ2、40%の確率でATに当選し、AT中では有利区間作動抽選において10%の確率でCZ1、30%の確率でCZ2、60%の確率でATに当選してもよい。
・・・
【0272】
[CZへの制御タイミングについて]
本実施の形態においては、示唆ナビ期間が終了した次のゲームからCZに制御されたが、CZの制御契機はこれに限らない。
【0273】
たとえば、図22(a),(b)に示すように、示唆ナビが実行された後にCZへの制御が行われる場合、1回目の示唆ナビが実行されたゲームからCZへの制御が行われてもよいし、1回目の示唆ナビが実行されたゲームの次のゲーム、あるいはそれ以降のゲームからCZへの制御が行われてもよい。なお、前兆期間は設けられておらず、CZ当選したゲームから示唆ナビ期間に突入してもよいし、CZ当選したゲームの次のゲーム、あるいはそれ以降のゲームから示唆ナビ期間に突入してもよい。
【0274】
また、たとえば、図28(a)~(c)に示すように、示唆ナビ期間中に示唆ナビが1回実行されたゲームからCZに制御されてもよい。また、示唆ナビ期間に突入したゲーム(この例の場合、内部抽選でハズレになったゲーム)からCZに制御されてもよい。このように、示唆ナビの実行が開始したときからCZへの制御が行われるため、CZへの制御を遊技者に分かり易く知らせることができる。
【0275】  なお、図28(a)~(c)に示すように、示唆ナビの実行が開始したときからCZへの制御が行われる場合、示唆ナビが1回実行されたゲームからCZへの制御が行われてもよいし、示唆ナビが実行されたゲームの次のゲーム、あるいはそれ以降のゲームからCZへの制御が行われてもよい。なお、前兆期間は設けられておらず、CZ当選したゲームから示唆ナビ期間に突入し、かつCZへの制御が行われてもよい。」
(9)「【図10】
【図11】
」

【図10】~【図11】には、抽選対象役として、ベル、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4等の小役、および通常リプレイ、リプレイGR1~6、リプレイGR11~GR13、リプレイGR21~GR23等のリプレイが含まれることが図示されている。

(10)「【図20】
」

2 先願発明

上記1(1)-(8)の記載事項、上記1(9)-(10)の図示内容から、先願1には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる(a-dは、発明の構成を分説するため当審で付与した)。

「a リール2L,2C,2Rと(【0040】)、
b 入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理を行い(【0079】)、ベル、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4等の小役、および通常リプレイ、リプレイGR1~6、リプレイGR11~GR13、リプレイGR21~GR23等のリプレイが含まれる(上記1(9))抽選対象役の当選を決定するメイン制御部41と(【0079】)、を備え、
c、c1、c2、c4 遊技に関する区間として通常区間と有利区間とが設けられ、有利区間以外の区間が通常区間であり、前記メイン制御部41は、有利区間をAT当選およびCZ当選のいずれかが成立したゲームから開始させ、ATおよびCZの全てが終了するまで継続するようにし(【0155】)、
リプレイGR1~6のいずれかに当選したときに昇格リプレイ1,2が入賞する押し順を正解手順とし、通常リプレイが入賞する押し順を不正解手順とし、リプレイGR11~13のいずれかに当選したときに通常リプレイが入賞する押し順を正解手順とし、転落リプレイが入賞する押し順を不正解手順とし、リプレイGR21~23のいずれかに当選したときに特殊リプレイが入賞する押し順を正解手順とし、通常リプレイが入賞する押し順を不正解手順とし、押し順ベルのいずれかに当選したときに中段ベルや右下がりベルが入賞する押し順を正解手順とし、上段ベルが入賞したり移行出目が導出したりする押し順を不正解手順とし(【0075】)、
続きを表示(全16行)
メイン制御部41は(【0083】)、左ベル1~4、中ベル1~4、および右ベル1~4である押し順ベルや、リプレイGR1~GR6、リプレイGR11~GR13、およびリプレイGR21~GR23である押し順リプ(【0074】、【0077】)に当選したときに、正解手順を報知するナビ演出が実行される(【0077】)ATに制御可能であり(【0083】)、
CZ当選した後、押し順ベル当選時に最も多くのメダルが払い出される役(中段ベルや右下がりベル)を入賞させるための正解手順を報知する(【0091】)示唆ナビが1回実行されたゲームからCZへの制御が行われるようにし(【0275】)、
CZ1、CZ2、およびCZ3といった3種類のCZが設けられ(【0085】)、
CZ1抽選は、非CZ中において弱チェリー1当選および弱スイカ1当選のいずれかが成立したときに実行され(【0115】)、CZ2抽選は、CZ1中において弱チェリー1当選および弱スイカ1当選のいずれかが成立したときに実行され(【0117】)、CZ3抽選は、非CZ中において弱チェリー2当選および弱スイカ2当選のいずれかが成立したときに実行され(【0119】)、
非CZ中におけるAT初当り抽選は、非CZ中において弱チェリー1当選、弱スイカ1当選、強チェリー当選、強スイカ当選、中段チェリー当選、および非AT中のゲーム数が消化ゲーム数に達するごとのいずれかが成立したときに実行され(【0122】、【0121】)、CZ1中におけるAT初当り抽選は、CZ1中において弱チェリー1当選、弱スイカ1当選、強チェリー当選、強スイカ当選、中段チェリー当選、および非AT中のゲーム数が消化ゲーム数に達するごとのいずれかが成立したときに実行され(【0126】、【0121】)、CZ2中におけるAT初当り抽選は、CZ2中においていずれかの役当選、および非AT中のゲーム数が消化ゲーム数に達するごとのいずれかが成立したときに実行され【0129】、【0121】)、CZ3中におけるAT初当り抽選は、CZ3中において弱チェリー1当選、および弱スイカ1当選のいずれかが成立したときに実行され(【0130】、【0121】)、
c3、c5 AT初当りするか否かを抽選によって決定する(【0121】)AT初当り抽選においては、50ゲーム、150ゲーム、および250ゲームのうちのいずれかのATゲーム数の付与が決定され(【0125】、【0121】)、
CZ2のCZゲーム数は20ゲームであり、CZ1およびCZ3のCZゲーム数はともに10ゲームであり(【0085】)、
AT当選時に限らず、CZ当選時においてもカウントゲーム数のカウントが開始され、
CZ当選したゲームからカウントゲーム数がカウントされ、その後CZ中にAT当選したときには、そのままカウントゲーム数のカウントを継続し(【0107】)、
有利区間処理において(【0160】、【図20】)、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合、クリアカウンタに0を設定し(【0163】)、メイン制御部41は、初期化処理を行い、有利区間に関わる全ての情報を初期化し、リミット処理が行われてATが終了するとともに、通常区間処理へ移行し(【0166】)
c6 CZ2が最もAT当選の期待値が高く、CZ3が最もAT当選の期待値が低い(【0085】)、
d スロットマシン1(【0040】)。」

(以下、「先願発明」という。)が記載されている(なお、記号a等については、請求項1の上記A等に対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した)。

第5 対比

本願発明と先願発明とを対比する。

1 特定事項Aについて

先願発明の特定事項aの「リール2L,2C,2R」は、本願発明の特定事項Aの「複数のリール」に相当する。

2 特定事項Bについて

先願発明の特定事項bの「ベル、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4等の小役、および通常リプレイ、リプレイGR1~6、リプレイGR11~GR13、リプレイGR21~GR23等のリプレイが含まれる抽選対象役」、及び「入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理を行い」「抽選対象役の当選を決定するメイン制御部41」は、それぞれ、本願発明の特定事項Bの「小役及びリプレイを含む複数種類の役」、及び「内部抽選を行う内部抽選手段」に相当する。

したがって、先願発明の特定事項bの「入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理を行い、ベル、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4等の小役、および通常リプレイ、リプレイGR1~6、リプレイGR11~GR13、リプレイGR21~GR23等のリプレイが含まれる抽選対象役の当選を決定するメイン制御部41」は、本願発明の特定事項Bの「小役及びリプレイを含む複数種類の役の内部抽選を行う内部抽選手段」に相当する。

3 特定事項Cについて

先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「有利区間」、「通常区間」、及び「メイン制御部41」は、それぞれ、本願発明の特定事項Cの「有利期間」、「非有利期間」、及び「有利期間制御手段」に相当する。

また、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4では「遊技に関する区間として通常区間と有利区間とが設けられ、有利区間以外の区間が通常区間であり、前記メイン制御部41は、有利区間をAT当選およびCZ当選のいずれかが成立したゲームから開始させ、ATおよびCZの全てが終了するまで継続するようにし」ており、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「メイン制御部41」は、「有利区間」(有利期間)と「通常区間」(非有利期間)の間での移行制御をしているといえるから、本願発明の特定事項Cの「有利期間と、非有利期間と、の間での移行に係る制御を行う有利期間制御手段」に相当する特定事項を有している。

4 特定事項C1について

先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「リプレイGR1~6のいずれかに当選したとき」「正解手順」で「入賞」する「昇格リプレイ1,2」、「リプレイGR11~13のいずれかに当選したとき」「正解手順」で「入賞」する「通常リプレイ」、「リプレイGR21~23のいずれかに当選したとき」「正解手順」で「入賞」する「特殊リプレイ」、「左ベル1~4、中ベル1~4、および右ベル1~4である」「押し順ベルのいずれかに当選したとき」「正解手順」で「入賞」する「中段ベルや右下がりベル」は、本願発明の特定事項C1の「特定役」に相当する。

また、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「正解手順」は、「昇格リプレイ1,2」、「中段ベルや右下がりベル」等(特定役)を入賞させるための手順であるから、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「AT」(有利期間)における「正解手順を報知するナビ演出が実行」、及び「CZ」(有利期間)における「正解手順を報知する示唆ナビが」「実行」は、本願発明の特定事項C1の「特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行」に相当する。

したがって、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「メイン制御部41」は、本願発明の特定事項C1の「前記有利期間制御手段は、前記有利期間である場合に、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行可能であ」ることに相当する特定事項を有している。

5 特定事項C2について

(1)先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「AT」(有利期間)では「正解手順を報知するナビ演出が実行され」、「CZ」(有利期間)では「正解手順を報知する示唆ナビが」「実行され」るが、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)では、「正解手順を報知するナビ演出」及び「示唆ナビ」(入賞補助制御)は実行されない。

また、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4のATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)には、「AT」(有利期間)及び「CZ」(有利期間)に移行しない場合が含まれることは明らかである。

これらのことから、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「メイン制御部41」(有利期間制御手段)は、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)であり、かつ、「AT」(有利期間)及び「CZ」(有利期間)に移行しない場合には、「正解手順を報知するナビ演出」及び「示唆ナビ」(入賞補助制御)は実行されないようにしているから、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「メイン制御部41」(有利期間制御手段)は、本願発明の特定事項C2の「前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係る」「制御を実行不能であ」ることに相当する特定事項を有している。

(2)また、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「CZ1抽選」、及び「CZ3抽選」は、「非CZ中において」「実行され」、「AT初当り抽選」は、「CZ1中」、「CZ2中」、及び「CZ3中」だけでなく、「非CZ中において」も「実行され」る。

そして、「非CZ中」には、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)が含まれていることは明らかであり、「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」において、当選しない場合もあることも明らかであるから、「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」は、「非CZ中」(非有利期間)であり、かつ「AT」又は「CZ」(有利期間)に移行しない場合に実行可能である。

しかしながら、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」は、当選時に、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)から、「AT」(有利期間)及び「CZ」(有利期間)に移行させる制御であり、「非CZ中」(非有利期間)に「正解手順を報知するナビ演出」又は「示唆ナビ」(入賞補助制御)を実行するものではないから、本願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「入賞補助制御に係る」「制御」ではないが、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」には、入賞補助制御状態になるまでの抽選等のいかなる制御も含まれる可能性があることが懸念される。

(3)ここで、本願発明の特定事項C2の「前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であり」における、「入賞補助制御に係るすべての制御」について、「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」が含まれるか否かについて検討する。

(4)本願明細書の【0093】には「有利期間制御手段200は、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行可能な遊技が実行される期間である有利期間と、入賞補助制御を実行不能な遊技が実行される期間である非有利期間と、の間での移行に係る制御を実行する。本実施形態の有利期間制御手段200は、有利期間と非有利期間との間での移行に係る制御処理である期間移行処理や有利期間内における移行に係る制御処理である有利期間内移行処理を実行する期間制御手段200Aと、有利期間内において入賞補助制御に係る制御を実行するアシストタイム期間制御手段200B(AT期間制御手段)と、を有している。」(下線部は当審で付与した。以下同じ。)と記載され、

本願明細書の【0097】には「AT期間制御手段200Bは、期間制御手段200Aによって有利期間が開始された場合、期間制御手段200Aによって開始された有利期間が第1AT期間である場合には特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行し、期間制御手段200Aによって開始された有利期間が第2AT期間である場合には入賞補助制御を低確率で実行する。本実施形態において、AT期間制御手段200Bは、入賞補助制御として、打順によって入賞する役が異なる当選エリアに内部抽選で当選した場合に、特定役が入賞する確率を上げるための制御として、内部抽選手段120に当選した当選エリアに応じてそれぞれ異なる当選コマンドを作成させ、作成させた当選コマンドを主制御表示装置500に送信させることで、内部抽選で当選した当選エリアがいずれの当選エリアであるかを報知する報知表示が主制御表示装置500に実行される制御を実行可能となるように構成されている。ここで、入賞補助制御の対象になる当選エリアは、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル3」と、当選エリア「打順リプレイ1」~当選エリア「打順リプレイ6」と、が含まれる。また、入賞補助制御によって入賞する確率が上がる役(特定役)は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル3」の当選時のベル、当選エリア「打順リプレイ1」~当選エリア「打順リプレイ3」の当選時のRT2移行リプレイ、当選エリア「打順リプレイ4」~当選エリア「打順リプレイ6」の当選時のRT3移行リプレイである。」と記載され、

本願明細書の【0100】には「<有利期間制御手段によって制御される期間の詳細> 図6に示すように、非有利期間は、AT期間制御手段200Bによる入賞補助制御が実行されない期間である。期間制御手段200Aは、非有利期間における遊技において、有利期間移行抽選で複数種類の有利期間のいずれかの開始に当選するまで非有利期間を継続する。期間制御手段200Aは、有利期間移行抽選において複数種類の有利期間のいずれかの開始に当選した場合に、非有利期間の終了を決定するとともに、次ゲームから当選した有利期間を開始するように構成されている。なお、期間制御手段200Aは、当選エリア「BB」に当選したことに基づく有利期間移行抽選において有利期間への移行が決定された場合、リール制御手段130によるリール停止制御によってBBの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示され遊技状態がボーナス状態に移行した遊技において非有利期間を終了し、次ゲームから有利期間を開始する。」と記載されている。

(5)このことから、上記【0093】、【0097】、【0100】には、入賞補助制御を実行可能な有利期間と、入賞補助制御を実行不能な非有利期間があり、有利期間内において入賞補助制御に係る制御を実行するAT期間制御手段200Bは、期間制御手段200Aによって有利期間が開始された場合、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行し、入賞補助制御として、打順によって入賞する役が異なる当選エリアに内部抽選で当選した場合に、特定役が入賞する確率を上げるための制御として、内部抽選で当選した当選エリアがいずれの当選エリアであるかを報知する報知表示が実行されることが記載されている。

しかしながら、上記【0093】、【0097】、【0100】には、「入賞補助制御に係る」「制御」として、有利期間に行われる特定役の入賞を補助する入賞補助制御以外の制御があることは記載されておらず、本願出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本願明細書等」という。)の他の記載を参照しても、「入賞補助制御に係る」「制御」として、有利期間に行われる特定役の入賞を補助する入賞補助制御以外の制御があることは、記載も示唆もされていない。

これらのことから、本願発明における「入賞補助制御に係るすべての制御」は、有利期間に行われる特定役の入賞を補助する制御であるといえる。

(6)また、本願明細書の【0117】には「図7(A)は、非有利期間における有利期間移行抽選において、複数種類の有利期間のいずれかに移行する確率(以下、非有利期間又は複数種類の有利期間のいずれかを終了して別の期間を開始する確率のことを「期間移行確率」とも記載)を示す図である。期間制御手段200Aは、特定当選エリアの当選時における有利期間移行抽選において、図7(A)に示す確率で非有利期間を終了した後の移行先を決定しており、第1AT期間、第2AT期間A~第2AT期間Cのいずれかの有利期間を約1/86.31の確率で移行先として決定し、第1AT期間と、終了後に第1AT期間の実行が決定されている第2AT期間Cと、のART遊技の実行が決定されるいずれかの有利期間を約1/1058.63の確率で移行先として決定する。この、ART遊技の実行が決定される第1AT期間と第2AT期間Cとのいずれかに当選する確率を、ART当選確率とも記載する。」と記載されているとともに、以下の【図7】(A)が図示されている。

(7)「【図7】
」

(8)本願の【図7】(A)及び本願明細書の【0117】の「図7(A)は、非有利期間における有利期間移行抽選において、複数種類の有利期間のいずれかに移行する確率(以下、非有利期間又は複数種類の有利期間のいずれかを終了して別の期間を開始する確率のことを「期間移行確率」とも記載)を示す図である。期間制御手段200Aは、特定当選エリアの当選時における有利期間移行抽選において、図7(A)に示す確率で非有利期間を終了した後の移行先を決定しており、第1AT期間、第2AT期間A~第2AT期間Cのいずれかの有利期間を約1/86.31の確率で移行先として決定し、第1AT期間と、終了後に第1AT期間の実行が決定されている第2AT期間Cと、のART遊技の実行が決定されるいずれかの有利期間を約1/1058.63の確率で移行先として決定する。」との記載から、

本願の【図7】(A)及び本願明細書の【0117】には、期間制御手段200Aは、非有利期間における有利期間移行抽選により、非有利期間を終了した後に、第2AT期間A、第2AT期間B、第2AT期間C、第1AT期間に移行することが、それぞれ、1/139.24、1/289.02、1/1512.57、1/3495.25の確率で決定することが記載されている。

また、本願の【図7】(A)に記載された「第2AT期間A」、「第2AT期間B」、「第2AT期間C」は、本願発明の「第2期間」(有利期間)に対応し、「第1AT期間」は、本願発明の「第1期間」(有利期間)に対応するとともに、「第2AT期間A、第2AT期間B、第2AT期間C、第1AT期間に移行する」確率が定められているから、「非有利期間における有利期間移行抽選」において、当選しない場合がある。

これらのことから、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」は、非有利期間で当選した場合に、非有利期間から有利期間に移行させる制御である。

(9)仮に、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」が、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に含まれるとすると、本願発明の特定事項C2の「前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であ」ることは、発明の詳細な説明に記載したものではないこととなるから、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」が、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に含まれないことは明らかである。

(10)そして、上記(2)で述べた、先願発明の「非CZ中において」実行される「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」も、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」と同様に、当選時に、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)から、「AT」(有利期間)及び「CZ」(有利期間)に移行させる制御であるから、先願発明の「非CZ中において」実行される「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」は、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に含まれない。

(11)これらのことから、先願発明において、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に相当するのは、上記(1)で述べた、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)では実行されない、「正解手順を報知するナビ演出」及び「示唆ナビ」(入賞補助制御)のみであるから、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「正解手順を報知するナビ演出」及び「示唆ナビ」(入賞補助制御)は、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に相当する。

したがって、上記(ア)の検討内容を考慮すると、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「メイン制御部41」(有利期間制御手段)は、本願発明の特定事項C2の「前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であ」ることに相当する特定事項を有している。

6 特定事項C3について

先願発明の特定事項c3、c5では「有利区間処理において、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合」「メイン制御部41は、初期化処理を行い、有利区間に関わる全ての情報を初期化し、リミット処理が行われてATが終了するとともに、通常区間処理へ移行する」から、先願発明の特定事項c3、c5の「メイン制御部41」は、本願発明の特定事項C3の「前記有利期間制御手段は、前記有利期間から前記非有利期間に移行する場合に、前記有利期間における処理で変更可能な情報をすべて初期化」することに相当する特定事項を有している。

7 特定事項C4について

先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「AT」では「押し順ベル」と「押し順リプ」の「正解手順を報知するナビ演出が実行される」が、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「CZ」の「示唆ナビ」では「押し順ベル」の「正解手順を報知する」が「押し順リプ」の「正解手順」は報知しないから、「AT」と「CZ」とでは、遊技者にとっての有利度合いが異なる。

したがって、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「AT」、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「CZ」は、それぞれ、本願発明の特定事項C2の「第1期間」、「第2期間」に相当するとともに、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4は、本願発明の特定事項C4の「前記有利期間は、第1期間と、前記第1期間とは遊技者にとって有利な度合いが異なる複数種類の第2期間と、を含み」に相当する特定事項を有している。

8 特定事項C5について

先願発明の特定事項c3、c5の「AT当選時に限らず、CZ当選時においても」「カウントが開始され」る「カウントゲーム数」である「1500ゲーム」は、本願発明の「有利期間開始から所定の遊技回数」に相当する。

また、先願発明の特定事項c3、c5の「AT」(第1期間)「ゲーム数」である「50ゲーム、150ゲーム、および250ゲーム」、及び「CZ」(第2期間)「ゲーム数」である「20ゲーム」「10ゲーム」は、それぞれ、本願発明の特定事項C5の「前記第1期間に設定された前記第1期間を継続可能な遊技回数」、及び「前記第2期間に設定された前記第2期間を継続可能な遊技回数」に相当する。

そして、先願発明の特定事項c3、c5では「有利区間」(有利期間)「処理において、カウントゲーム数が1500ゲーム」(所定の遊技回数)「に達している場合」「通常区間」(非有利期間)「処理へ移行する」から、先願発明の特定事項c3、c5の「AT」(第1期間)「ゲーム数」である「50ゲーム、150ゲーム、および250ゲーム」(継続可能な遊技回数)、及び「CZ」(第2期間)「ゲーム数」である「20ゲーム」「10ゲーム」(継続可能な遊技回数)によらず、「通常区間」(非有利期間)に移行している。

したがって、先願発明の特定事項c3、c5は、本願発明の特定事項C5の「前記有利期間開始から所定の遊技回数の遊技が実行される場合に、前記第1期間に設定された前記第1期間を継続可能な遊技回数及び前記第2期間に設定された前記第2期間を継続可能な遊技回数によらず前記有利期間制御手段によって前記非有利期間に移行され」に相当する特定事項を有している。

9 特定事項C6について

先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「有利区間」を「ATおよびCZの全てが終了するまで継続するようにする」「メイン制御部41」により、「AT」(第1期間)への移行処理が実行されることは明らかである。

また、特定事項c、c1、c2、c4の「CZ1、CZ2、およびCZ3といった3種類のCZ」については、先願発明の特定事項c6では「CZ2」(第2期間)「が最もAT」(第1期間)「当選の期待値が高く、CZ3」(第2期間)「が最もAT」(第1期間)「当選の期待値が低」くなっている。

したがって、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4、及び特定事項c4、c6は、本願発明の特定事項C6の「前記複数種類の第2期間は、前記有利期間制御手段によって前記第1期間への移行に係る処理である第1期間移行処理が実行される確率がそれぞれ異なる」に相当する特定事項を有している。

10 特定事項Dについて

先願発明の特定事項dの「スロットマシン1」は、本願発明の特定事項Dの「遊技機」に相当する。

上記1~10から、本願発明と先願発明とは、

[一致点]

「A 複数のリールと、
B 小役及びリプレイを含む複数種類の役の内部抽選を行う内部抽選手段と、
C 有利期間と、非有利期間と、の間での移行に係る制御を行う有利期間制御手段と、を備え、
C1 前記有利期間制御手段は、前記有利期間である場合に、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行可能であり、
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C2 前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であり、
C3 前記有利期間制御手段は、前記有利期間から前記非有利期間に移行する場合に、前記有利期間における処理で変更可能な情報をすべて初期化し、
C4 前記有利期間は、
第1期間と、
前記第1期間とは遊技者にとって有利な度合いが異なる複数種類の第2期間と、を含み、
C5 前記有利期間開始から所定の遊技回数の遊技が実行される場合に、前記第1期間に設定された前記第1期間を継続可能な遊技回数及び前記第2期間に設定された前記第2期間を継続可能な遊技回数によらず前記有利期間制御手段によって前記非有利期間に移行され、
C6 前記複数種類の第2期間は、前記有利期間制御手段によって前記第1期間への移行に係る処理である第1期間移行処理が実行される確率がそれぞれ異なる、
D 遊技機。」

である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は、先願発明と同一である。

第6 請求人の主張

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審判請求人は、令和3年5月18日提出の意見書の「(5)拒絶理由2について」において、概ね以下のように主張している。

「審査官殿は、AT及びCZのすべてが終了するまで継続する有利区間と、有利区間と通常区間との間での移行に係る制御が行われる構成と、有利区間処理において、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合に、メイン制御部が初期化処理を行って有利区間に関わるすべての情報を初期化し、リミット処理が行われてATが終了し通常区間処理へ移行する構成と、が記載されており、請求項1に係る発明と、引用文献1に記載された発明と、は同一である、と指摘されている。
しかしながら、引用文献1に記載された遊技機は、通常区間において実行されるAT又はCZの初当たり抽選から有利区間作動抽選が構成されている。また、引用文献1に記載された遊技機は、段落[0260]に記載されている通り、通常区間に相当する通常状態だけでなく、CZ1やCZ2、ATにおいても有利区間作動抽選を実行可能に構成されている。
つまり、引用文献1に記載された有利区間作動抽選は、有利区間といった単語は用いられているものの、その実態について、通常状態においても実行可能な入賞補助制御に係る制御(入賞補助制御を実行可能な状態への移行についての制御)として実行される抽選として構成されており、通常状態においても、当該入賞補助制御に係る制御を実行可能な遊技機として構成されていることが明らかであり、通常状態において入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能な構成について、一切の記載がない。」

しかしながら、上記第5 5(1)、(5)、(9)~(11)において既に述べたように、本願明細書等において、「入賞補助制御に係る」「制御」として、有利期間に行われる特定役の入賞を補助する入賞補助制御以外の制御があることは、記載も示唆もされておらず(上記第5 5(5))、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」が、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に含まれるとすると、本願発明の特定事項C2の「前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であ」ることは、発明の詳細な説明に記載したものではないこととなるから、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」が本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に含まれないことは明らかであり(上記第5 5(9))、先願発明の「非CZ中において」実行される「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選」も、本願明細書の【0117】に記載された「非有利期間における有利期間移行抽選」と同様に、当選時に、非有利期間から有利期間に移行させる制御であるから、先願発明の「非CZ中において」実行される「CZ1抽選」、「CZ3抽選」、及び「AT初当り抽選は、本願発明の特定事項C2の「入賞補助制御に係るすべての制御」に含まれるものではなく(上記第5 5(10))、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「AT」(有利期間)では「正解手順を報知するナビ演出が実行され」、「CZ」(有利期間)では「正解手順を報知する示唆ナビが」「実行され」るが、ATでもCZでもない「AT当選およびCZ当選」以前(非有利期間)では、「正解手順を報知するナビ演出」及び「示唆ナビ」(入賞補助制御)は実行されず(上記第5 5(1))、先願発明の特定事項c、c1、c2、c4の「メイン制御部41」(有利期間制御手段)は、本願発明の特定事項C2の「前記有利期間制御手段は、前記非有利期間であり、かつ前記有利期間に移行しない場合に、前記入賞補助制御に係るすべての制御を実行不能であ」ることに相当する特定事項を有している(上記第5 5(11))。

したがって、請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、先願発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一ではなく、また、本願出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-009615

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    共通の審決分類: 161・A63F
  • 2025-003268拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)ぱちんこ遊技機
    共通の審決分類: 161・A63F
  • 2025-003269拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)ぱちんこ遊技機
    共通の審決分類: 161・A63F
  • 2025-003272拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)ぱちんこ遊技機
    共通の審決分類: 161・A63F

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