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特許拒絶査定不服審判

2020-008752

塗布栓

審判番号
2020-008752
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-170216外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年06月24日
審決日
2021年03月24日
公報発行日
2021年05月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-170216「塗布栓」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 8日出願公開、特開2018- 34859、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 10項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、平成28年8月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年12月24日付け:拒絶理由通知
令和2年3月9日    :意見書、手続補正書の提出
令和2年3月16日付け :拒絶査定
令和2年6月24日   :審判請求書の提出

第2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~4に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~2に記載された発明に基いて、この出願の請求項5に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~2に記載された発明及び引用文献3に例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平06-170320号公報
引用文献2:実願昭61-003792号(実開昭62-118570号)のマイクロフィルム
引用文献3:特開2002-079168号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明5」という。)は、令和2年3月9日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~5にそれぞれ記載された事項によって特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔、及び前記連通孔に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔が形成された筒状の中栓部材と、
前記中栓部材の内側に、先端部が前記吐出孔から外部に突出した状態で前記連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材と、
前記塗布部材を前記吐出孔側に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
続きを表示(全32行)
前記中栓部材には、前記連通孔と前記吐出孔との間に位置する部分に、前記塗布部材に形成された弁体が前記連通孔側から離反可能に当接する弁座が形成され、
前記中栓部材と前記塗布部材との間には、前記塗布部材の先端部を前記吐出孔の外部に突出させた状態で、前記連通孔側に向けた前記塗布部材の所定量を超える移動を規制する規制部材が配設され、
前記塗布部材は、
前記弁体が形成された第1塗布部材と、
前記第1塗布部材よりも前記吐出孔側に配設され、先端部が前記吐出孔から外部に突出した第2塗布部材と、を備え、
前記中栓部材は、
前記規制部材として機能する第2環状壁部と、
前記第1塗布部材を囲むと共に、その内側が前記吐出孔に連通し、前記弁座が形成された筒体と、
前記第2塗布部材を移動可能に収容すると共に、前記吐出孔を有する収容筒部と、を備え、
前記第1塗布部材と前記筒体との間には、内容液を前記連通孔から前記吐出孔に向けて供給する環状の隙間が形成され、
前記第2塗布部材と前記収容筒部との間は、内容液が流通する液通路、及び外部から前記容器本体内に外気を導入させる空気通路として機能し、
前記塗布部材は、前記第2塗布部材が前記第2環状壁部に接触することで、前記環状の隙間を塞ぐと共に、前記連通孔側へのそれ以上の移動が規制される、塗布栓。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布栓において、
前記弁座は、前記筒体の開口端縁に形成され、
前記弁体は、前記吐出孔側から前記連通孔側に向かうに従い漸次拡径したテーパ状に形成されている、塗布栓。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塗布栓において、
前記第2塗布部材は、内容液を含浸可能な含浸材で形成されている、塗布栓。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の塗布栓において、
前記中栓部材は、
前記容器本体の口部に装着され、前記連通孔が形成された第1中栓部材と、
前記第1中栓部材に対して組み合わされ、前記第2環状壁部、前記筒体及び前記収容筒部を有する第2中栓部材と、を備え、
前記第1中栓部材は、前記付勢部材を前記連通孔側から支持する支持部を備えている、塗布栓。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の塗布栓において、
前記付勢部材は、金属製のコイルスプリングとされている、塗布栓。」

第4 引用文献、引用発明

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 変形自在な液含浸性材料からなる軸本体と、この軸本体を長手方向に沿って包囲する硬質材料からなる保持部材とで構成されてなる液剤用塗布軸。
【請求項2】 液剤容器の口部近傍に、環状弁座と、この環状弁座の内側に挿通した弁杆と、該弁杆を閉弁側へ押し付けるばね部材とからなるバルブ機構が設けられ、上記液剤容器の口部に先端開口を有する塗布先ホルダーが装着され、この塗布先ホルダー内に請求項1記載の液剤用塗布軸が先端部を上記先端開口から外方突出して且つ基端部を上記弁杆に接して軸方向移動自在に装填されてなる液剤塗布器。」
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、修正液、マーキングインキ、液状接着剤、液状シール剤等の液剤を塗布するのに用いられる塗布軸と、これを液剤容器の塗布先部に装着した塗布器に関する。」
「【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述の情況に鑑み、液流通性に優れ、常に使用開始時から良好な塗布性を発揮でき、しかも被塗面に強く押し付けても軸形状の崩れを生じず、修正液や肉盛り状筆記線を得る高粘度インキを始めとする種々の高粘度液剤の塗布に適用可能な塗布軸と、これを用いたバルブ機構付きの液剤塗布器を提供することを目的としている。
【0011】上記目的において、この発明の請求項1に係る液剤用塗布軸は、変形自在な液含浸性材料からなる軸本体と、この軸本体を長手方向に沿って包囲する硬質材料からなる保持部材とで構成したものである。
・・・
【0013】
【作用】この発明の液剤用塗布軸では、硬質の保持部材により被塗面への押圧に耐える剛性が確保されるから、軸本体は軸形状を保つための硬度を必要としない。従って、軸本体として、例えば軟質合成樹脂の連続気泡発泡体からなる所謂スポンジ、従来のノック式マーカー等に汎用される塗布軸よりも繊維密度が小さく柔らかい合成繊維束よりなる軸体、毛のような細い線材を単に束ねた刷毛状ないし毛筆状のもの等、専ら液流通性のよい変形自在な液含浸性材料を利用でき、これによって従来では液含浸性の塗布軸には使用できなかった高粘度インキ、修正液、液状接着剤、液状シール剤等の高粘度液剤の塗布にも適用可能となる。
【0014】また軸本体が変形自在な材料であるため、その先端部は被塗面へ押し付けた際に潰れるが、押圧の解除により元の状態に復帰して以降の塗布に支障を生じることがない上、この塗布時の先端部の潰れとそれに伴う軸本体の撓みによって塗布性能が著しく改善されることになる。」
「【0018】
【実施例】図1はこの発明を適用した一実施例の液剤塗布器を示す。図中、1は内部に高粘度液剤を収容する合成樹脂又は金属製の長円筒状の容器(上部のみ図示)であり、その口部1aの内側に半硬質合成樹脂樹脂からなる弁ケース2が挿嵌されると共に、該口部1aの外側には先端側へ段階的に縮径した筒形の硬質合成樹脂からなる塗布先ホルダー3が基端側でねじ部4を介して螺着されている。そして、塗布先ホルダー3内には、塗布軸5がその先端部を該ホルダー3の先端開口3aより外方突出する状態で挿嵌配置されると共に、軟質合成樹脂スポンジ等よりなるリング状の液含浸体6が塗布軸5の基端部に外嵌する形で装填されている。また弁ケース2内には塗布軸5と同軸上に配置した弁杆7及びコイルスプリング8が装填されている。3bは塗布先ホルダー3の先端側内周に形成された軸方向に沿うガイド突条である。なお、不使用時には塗布先部に図示しないキャップが嵌着される。
【0019】塗布軸5は、図2でも示すように、軟質合成樹脂の連続気泡発泡体(スボンジ体)よりなる軸本体50と、これを被包する硬質材料からなる有底筒状の保持部材51とで構成されており、該保持部材51の斜め切りした先端開口51aより軸本体50の先端部50aが膨出している。そして、保持部材51の下部周面には多数の透孔51bが設けられている。
【0020】弁ケース2は、下部が若干縮径した略円筒形のケース本体20と、その上部開口側に挿嵌した略短円筒形の弁座部材21とからなり、両者20,21の上縁外周のフランジ部20a,21aが重合した状態で容器1の開口端縁に係止されると共に、該開口端縁と塗布先ホルダー3の内面に形成された環状段部3cとの間で挟着されてパッキンとして機能している。しかして、弁座部材21は下端部内周が環状弁座9を構成している。
【0021】弁杆7は、図2でも示すように、太径の上軸部7aと細径の下軸部7bとの間に下方へ拡径する鍔状の弁体部10を有している。そして、該弁体部10の下側の環状段部7cと、ケース本体20の下端部内周に突設したばね受け片20bとの間に、コイルスプリング8が圧縮状態で装填されており、その蓄力によって弁杆7は弁体部10が環状弁座9に押当して閉弁するように付勢されており、この閉弁状態で弁杆7の上下両端部が弁ケース2の外側へ突出し、且つ上端部は塗布軸5の基端に接している。
【0022】上記構成の液剤塗布器では、塗布に当たり、被塗面に塗布軸5の先端を押し付けて退入させる。これにより、弁杆7が塗布軸5に押されてコイルスプリング8の付勢に抗して退入作動し、その弁体部10が環状弁座9から離れて開弁し、その間隙より容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入し、液含浸体6を透過して塗布軸5における保持部材51の透孔51bを通って軸本体50に供給される。しかして、塗布軸5の先端を被塗面に接触させたまま移動することにより、軸本体50を透通した液剤がその先端部50aより被塗面に線状に塗布される。一方、塗布軸5の被塗面への押し付けを解除すれば、コイルスプリング8の蓄力により弁杆7が進出作動して閉弁し、塗布軸5への液剤の供給が絶たれる。」
「
」

以上に摘記した事項及び図示を総合すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「容器1の口部1aの内側に弁ケース2が挿嵌され、弁ケース2は、下部が若干縮径した略円筒形のケース本体20と、その上部開口側に挿嵌した略短円筒形の弁座部材21とからなり、両者20,21の上縁外周のフランジ部20a,21aが重合した状態で容器1の開口端縁に係止され、
該口部1aの外側には先端側へ段階的に縮径した筒形の塗布先ホルダー3が基端側でねじ部4を介して螺着され、
塗布先ホルダー3内には、軟質合成樹脂の連続気泡発泡体(スボンジ体)よりなる軸本体50と、これを被包する硬質材料からなる有底筒状の保持部材51とで構成された塗布軸5がその先端部を該ホルダー3の先端開口3aより外方突出する状態で挿嵌配置されると共に、リング状の液含浸体6が塗布軸5の基端部に外嵌する形で装填され、
弁座部材21は下端部内周が環状弁座9を構成しており、
弁ケース2内には塗布軸5と同軸上に配置した弁杆7及びコイルスプリング8が装填され、弁杆7は、太径の上軸部7aと細径の下軸部7bとの間に下方へ拡径する鍔状の弁体部10を有し、該弁体部10の下側の環状段部7cと、ケース本体20の下端部内周に突設したばね受け片20bとの間に、コイルスプリング8が圧縮状態で装填されており、その蓄力によって弁杆7は弁体部10が環状弁座9に押当して閉弁するように付勢されており、
弁体部10が環状弁座9から離れて開弁した間隙より容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入し、液含浸体6を透過して塗布軸5における保持部材51の透孔51bを通って軸本体50に供給され、塗布軸5の先端を被塗面に接触させたまま移動することにより、軸本体50を透通した液剤がその先端部50aより被塗面に線状に塗布される、
液剤塗布器。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「前記塗布部材3は、軸筒2に先端部を突出させて緩挿され、後端面を弁機構部4の弁杆前面に当接させており、バネ体で弾圧された弁体4-1を塗布部材3先端の押圧及び押圧解除により作動させて塗布液の流出をコントロールするよう構成されている。(弁機構部4は、従来より公知の構造が有効である。)」(明細書5ページ13~19行)

「
」

以上に摘記した事項及び図示を総合すると、上記引用文献2には、「塗布部材3は、後端面を弁機構部4の弁杆前面に当接させており、バネ体で弾圧された弁体4-1を塗布部材3先端の押圧及び押圧解除により作動させて塗布液の流出をコントロールする」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断

(なお、以下において下線は強調のため当審が付した。)

1.本願発明1について

(1)対比

引用発明の「容器1」は、その機能・構成からみて、本願発明1の「容器本体」に相当するから、引用発明の「容器1の口部1a」は、本願発明1の「容器本体の口部」に相当する。

そして、引用発明は「容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入」するものであるから、引用発明の「容器1の口部1aの内側に」「挿嵌され、」「下部が若干縮径した略円筒形のケース本体20と、その上部開口側に挿嵌した略短円筒形の弁座部材21とからなり、両者20,21の上縁外周のフランジ部20a,21aが重合した状態で容器1の開口端縁に係止され」た「弁ケース2」及び「先端開口3a」が形成され、「該口部1aの外側に」、「基端側でねじ部4を介して螺着され先端側へ段階的に縮径した筒形の塗布先ホルダー3」は、本願発明1の「容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔、及び前記連通孔に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔が形成された筒状の中栓部材」と、「容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔、及び前記連通孔に連通し、且つ孔が形成された筒状の中栓部材」である限りにおいて、一致する。

引用発明の「太径の上軸部7aと細径の下軸部7bとの間に下方へ拡径する鍔状の弁体部10」は、本願発明1の「弁体」に相当するから、引用発明の「太径の上軸部7aと細径の下軸部7bとの間に下方へ拡径する鍔状の弁体部10を有し」、「弁ケース2内に」「装填され」「塗布軸5と同軸上に配置した弁杆7」は、本願発明1の「前記弁体が形成された第1塗布部材50」に相当し、引用発明の「塗布先ホルダー3内には、」「その先端部を該ホルダー3の先端開口3aより外方突出する状態で挿嵌配置されると共に、リング状の液含浸体6が塗布軸5の基端部に外嵌する形で装填され」た「軟質合成樹脂の連続気泡発泡体(スボンジ体)よりなる軸本体50と、これを被包する硬質材料からなる有底筒状の保持部材51とで構成された塗布軸5」は、本願発明1の「前記第1塗布部材よりも前記吐出側に配設され、先端が前記吐出孔から外部に突出した第2塗布部材」と、「前記第1塗布部材よりも前記孔側に配設され、先端部が前記孔から外部に突出した第2塗布部材」である限りにおいて、一致するので、引用発明の「弁杆7」及び「塗布軸5」は、本願発明1の「前記中栓部材の内側に、先端部が前記吐出孔から外部に突出した状態で前記連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材」と、「前記中栓部材の内側に、先端部が前記孔から外部に突出した状態で前記連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材」である限りにおいて、一致する。

引用発明の「ケース本体20の下端部内周に突設したばね受け片20bとの間に、」「圧縮状態で装填されて」いる「コイルスプリング8」は、本願発明1の「前記塗布部材を前記吐出孔側に向けて付勢する付勢部材」と、「前記塗布部材を前記孔側に向けて付勢する付勢部材」である限りにおいて、一致する。

引用発明の「環状弁座9」は、本願発明1の「弁座」に相当する。

引用発明の「略短円筒形の弁座部材21」は、本願発明1の「前記規制部材として機能する第2環状壁部」及び「前記第1塗布部材50を囲むと共に、その内側が前記吐出孔21に連通し、前記弁座45が形成された筒体」と、「第2環状壁部」及び「前記第1塗布部材を囲むと共に、その内側が前記孔に連通し、前記弁座が形成された筒体」である限りにおいて、一致する。

引用発明の「先端側へ段階的に縮径した筒形の塗布先ホルダー3」は、本願発明1の「前記第2塗布部材を移動可能に収容すると共に、前記吐出孔を有する収容筒部」と、「前記第2塗布部材を移動可能に収容すると共に、前記孔を有する収容筒部」である限りにおいて、一致する。

引用発明の「弁体部10が環状弁座9から離れて開弁した間隙より容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入」することは、本願発明1の「前記第1塗布部材と前記筒体との間には、内容液を前記連通孔から前記吐出孔に向けて供給する環状の隙間が形成され」と、「前記第1塗布部材と前記筒体との間には、内容液を前記連通孔から前記孔に向けて供給する環状の隙間が形成され」ている限りにおいて、一致する。

そうすると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1~3で相違する。

[一致点]

「容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔、及び前記連通孔に連通する孔が形成された筒状の中栓部材と、
前記中栓部材の内側に、先端部が前記孔から外部に突出した状態で前記連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材と、
前記塗布部材を前記吐出孔側に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記中栓部材には、前記連通孔と前記孔との間に位置する部分に、前記塗布部材に形成された弁体が前記連通孔側から離反可能に当接する弁座が形成され、
続きを表示(全12行)
前記塗布部材は、
前記弁体が形成された第1塗布部材と、
前記第1塗布部材よりも前記孔側に配設され、先端部が前記吐出孔から外部に突出した第2塗布部材と、を備え、
前記中栓部材は、
第2環状壁部と、
前記第1塗布部材を囲むと共に、その内側が前記孔に連通し、前記弁座が形成された筒体と、
前記第2塗布部材を移動可能に収容すると共に、前記吐出孔を有する収容筒部と、を備え、
前記第1塗布部材と前記筒体との間には、内容液を前記連通孔から前記孔に向けて供給する環状の隙間が形成される、塗布栓。」

[相違点1]

「中栓部材」に形成された「孔」について、本願発明1は「内容液を吐出する吐出孔」でるのに対し、引用発明は「先端開口3a」であり、内容液を吐出するものではない点。

[相違点2]

本願発明1は「前記第2塗布部材と前記収容筒部との間は、内容液が流通する液通路、及び外部から前記容器本体内に外気を導入させる空気通路として機能し」ているのに対し、引用発明は「弁体部10が環状弁座9から離れて開弁した間隙より容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入し、液含浸体6を透過して塗布軸5における保持部材51の透孔51bを通って軸本体50に供給され、塗布軸5の先端を被塗面に接触させたまま移動することにより、軸本体50を透通した液剤がその先端部50aより被塗面に線状に塗布される」ものであり、「塗布軸5」と「塗布先ホルダー3」との間を「液剤」が流通しない点。

[相違点3]

「第2環状壁部」について、本願発明1は、「規制部材として機能」し、「前記塗布部材は、前記第2塗布部材が前記第2環状壁部に接触することで、前記環状の隙間を塞ぐと共に、前記連通孔側へのそれ以上の移動が規制される」ものであるのに対し、引用発明はその点が不明である点。

(2)相違点についての判断

相違点1及び2について検討する。

引用発明は「弁体部10が環状弁座9から離れて開弁した間隙より容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入し、液含浸体6を透過して塗布軸5における保持部材51の透孔51bを通って軸本体50に供給され、塗布軸5の先端を被塗面に接触させたまま移動することにより、軸本体50を透通した液剤がその先端部50aより被塗面に線状に塗布される」ことを前提とするものであるから、「塗布軸5」と「塗布先ホルダー3」との間を「液剤」が流通し、「液剤」が「先端開口3a」から吐出することはない。

また、引用発明は「液流通性に優れ、常に使用開始時から良好な塗布性を発揮でき、しかも被塗面に強く押し付けても軸形状の崩れを生じず、修正液や肉盛り状筆記線を得る高粘度インキを始めとする種々の高粘度液剤の塗布に適用可能な塗布軸と、これを用いたバルブ機構付きの液剤塗布器を提供すること」(【0010】)を発明が解決しようとする課題とし、当該課題を解決するために、「塗布軸5」を「軟質合成樹脂の連続気泡発泡体(スボンジ体)よりなる軸本体50と、これを被包する硬質材料からなる有底筒状の保持部材51とで構成」したものであるから、引用発明には、「保持部材51」を取り除き、「容器1内の液剤が塗布先ホルダー3内に流入し、液含浸体6を透過して塗布軸5における保持部材51の透孔51bを通って軸本体50に供給」しない構成とする動機はないし、上記相違点1及び2に係る構成とすることに阻害要因がある。

したがって、上記相違点3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2~5について

本願発明2~5は、本願発明1を直接的あるいは間接的に引用する発明であるから、本願発明1と同一の構成を備えるものである。

上記1.に示したように、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本願発明1の構成をすべて包含しさらに限定された発明である本願発明2~5も、同様に引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が、容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1~5は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-008752

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