2020-006419
屋外空気調和装置
- 審判番号
- 2020-006419
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-124987外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年05月12日
- 審決日
- 2021年04月02日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WZ (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月29日の出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。
令和 1年 8月 2日付け 拒絶理由の通知
令和 1年10月10日 手続補正書、意見書の提出
令和 2年 1月28日付け 拒絶査定(2月12日送達)
令和 2年 5月12日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年12月10日付け 当審による拒絶理由の通知
令和 3年 2月15日 手続補正書、意見書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年2月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】屋外で使用される空気調和装置(100)であって、圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(6)と、続きを表示(全17行)前記熱源側熱交換器に空気を通すための第1ファン(7)と、利用側熱交換器(3)と、前記利用側熱交換器に空気を通すための第2ファン(4)と、前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記第1ファン、前記利用側熱交換器、および、前記第2ファンを収容するケーシング(10)と、を備え、前記第2ファンは、ターボファンであり、かつ、前記利用側熱交換器より上に配置されており、前記ケーシングには、前記熱源側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部上方に向かって吹出す第1吹出し口(29)と、前記第1吹出し口よりも下に配置された吹出し口であって、前記利用側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部横方向に向かって吹出す複数の第2吹出し口(31a~31d)と、が形成されており、前記利用側熱交換器を通過した空気は、前記第2ファンの横方向に向かって吹出され、前記第2吹出し口を出た風の風速は、12m/s以上、18m/s以下であり、前記利用側熱交換器は複数面を有し、縦方向に配置される、屋外空気調和装置。」
第3 令和2年12月10日付けで通知した拒絶の理由
当審において、令和2年12月10日付けで通知した拒絶の理由における理由1は、以下の内容を含む。
<理由1(進歩性)>
本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1ないし6に記載された発明に基いてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.実願昭50-120914号(実開昭52-34150号)のマイクロフィルム
引用文献2.特開平9-14691号公報
引用文献3.実願昭50-64961号(実開昭51-143338号)のマイクロフィルム
引用文献4.特開2000-74414号公報
引用文献5.特開2004-226014号公報
引用文献6.特開2002-115866号公報
第4 理由1に関する当審の判断
1.引用文献1
(1) 当審の拒絶の理由において通知した引用文献1には、次の事項が記載されている。ただし、「・・・」は省略を意味する。また、下線は参考のため当審で付与したものである。以下、同様。
「3.考案の詳細な説明本考案は縦形床置式スポットクーラに関するものである。従来の床置式スポットクーラは、・・・このため狭小な作業室内に設置するには不向きであるなど設置場所が限定されるのである。・・・続きを表示(全16行)以下、本考案の実施例を第1図~第3図に示す図面に基づき詳記する。第1図において、(1)は縦長の円筒状本体ケーシングで、該本体ケーシング(1)は、縦に上部室(1a)、中間室(1b)、下部室(1c)に3分割されており、それぞれの室は前記中間室(1b)を構成する上板(13)、下板(14)にて仕切られている。前記上部室(1a)には、該上部室(1a)の周壁に空気吸込口(9)が設けられており、該空気吸込口(9)に対面して円筒状の凝縮機(2)が立設されている。また天板(12)には熱気吹出口(11)が設けられており、該熱気吹出口(11)の内方にはプロペラファン(5)が設けられている。前記下部室(1c)には、該下部室(1c)の上方に周壁に空気吸込口(10)が設けられており、該空気吸込口(10)に対面して円筒状の蒸発器3が立設されるとともに内方に吹出部を上方に向けてシロッコファン(6)が配設されており、該ファン(6)の下方に圧縮機(7)が底板に据付けられている。また(15)はドレンパンである。前記中間室(1b)は冷気吹出室となるものであって、前記上板(13)、下板(14)、支持部材(17)…、および吹出パネル(8)で空間が形成されるごとく構成されており、前記下板(14)には前記シロッコファン(6)の吹出部が連結している。また前記支持部材(17)…は前記下部室(1c)の上方に前記上部室(1a)を支持するごとく4ヶ所に設けられている。また前記吹出パネル(8)は本考案の構成要件のうち主要部となるものであって、第2図に示すごとく円筒状に形成されているとともに、該吹出パネル(8)の一部を切り欠いて吹出口(16)を設けている。しかして、該吹出パネル(8)は、第3図に拡大して示すごとく、本体ケーシング(1)の側板と該本体ケーシング(1)の内側に設けたガイド部材(18)および(19)とによりそれぞれ本体ケーシング(1)の周囲に形成される溝(20)および(21)に前記吹出パネル(8)の上縁が嵌装されるとともに前記吹出パネル(8)は前記溝(20)、(21)中を回動自在に摺動するごとく装着されている。なお(4)…は移動用キャスターである。・・・しかして前記下部室(1c)の空気吸込口(10)から吸込まれた空気は、蒸発器(2)を通過して冷気となった後、シロッコファン(6)により下部室(1c)から中間室(1b)に導かれ、その後吹出パネル(8)の吹出口(16)から作業者に向かって吹出される。・・・また前記上部室(1a)に設けられた空気吸込口(9)から吸い込まれた空気は、凝縮機(2)を通過して熱気となった後、前記天板(12)の熱気吹出口(11)から上方へ向かって吹き出されるので、冷房される局所域とは離れた遠方に熱気が排出されるのである。」
「第1図」
「第2図」
「第3図」
(2) 上記(1)の記載された事項からわかること
「その後吹出パネル(8)の吹出口(16)から作業者に向かって吹出される。」、第1図及び第2図から、「吹出口(16)から横方向に向かって吹出される」ことが明らかである。
「円筒状の蒸発器3が立設される」及び第1図から、「蒸発器3が縦方向に配置される」ことが明らかである。
(3) 引用文献1に記載された発明
上記(1)及び(2)の事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「移動用キャスター(4)を備え、作業室内に設置される縦形床置式スポットクーラであって、圧縮機(7)と、凝縮機(2)と、プロペラファン(5)と、続きを表示(全16行)蒸発器(3)と、シロッコファン(6)と、前記圧縮機(7)、前記凝縮機(2)、前記プロペラファン(5)、前記蒸発器(3)、および、前記シロッコファン(6)を収容する本体ケーシング(1)と、を備え、前記シロッコファン(6)は、前記蒸発器(3)の内方に配設されており、前記本体ケーシング(1)は、縦に上部室(1a)、中間室(1b)、下部室(1c)に3分割されており、それぞれの室は前記中間室(1b)を構成する上板(13)、下板(14)にて仕切られ、前記上部室(1a)の天板(12)には、熱気吹出口(11)が設けられており、該熱気吹出口(11)の内方にはプロペラファン(5)が設けられており、前記上部室(1a)に設けられた空気吸込口(9)から吸い込まれた空気は、前記凝縮機(2)を通過して熱気となった後、前記天板(12)の前記熱気吹出口(11)から上方へ向かって吹き出され、前記中間室(1b)は、側板とガイド部材(18及び19)とにより前記本体ケーシング(1)の周囲に形成される溝(20及び21)に吹出パネル(8)が装着され、前記吹出パネル(8)には、吹出口(16)が設けられており、前記下部室(1c)の空気吸込口(10)から吸込まれた空気は、前記蒸発器(3)を通過して冷気となった後、前記シロッコファン(6)により前記下部室(1c)から中間室(1b)に導かれ、その後前記吹出パネル(8)の前記吹出口(16)から横方向に向かって吹き出され、前記蒸発器(3)は、円筒状であり、縦方向に配置される、縦形床置式スポットクーラ。」
2.引用文献2
(1) 当審の拒絶の理由において通知した引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0009】また、第2発明に係る移動式空気調和装置は、第1発明のものにおいて、本体下部にキャスタを設けたものである。・・・【0021】次に、この実施例の動作を説明する。本体1はキャスタ8により所望の場所へ移動させて使用される。使用する際の電力には電池が用いられる。この装置の基本的な動作は従来装置と同様であり、圧縮機16が運転されると、図6の冷凍サイクルが動作し、吸込空気a2は凝縮器4で加熱されて吹出空気b2となり、室内に吹き出される。また、吸込空気a1は蒸発器3で冷却されて吹出空気b1となり、室内に吹き出される。【0022】このようにして、本体1は台車等に載置することなく移動は容易であり、屋外でも使用が可能である。蒸発器3及び凝縮器4は薄形に形成されているため、装置を小形軽量に構成することが可能である。」
(2) 引用文献2に記載された技術
上記(1)の事項を総合すると、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されていると認められる。
「本体下部にキャスタを設けた移動式空気調和装置について、屋外でも使用可能なこと。」
3.引用文献3
(1) 当審の拒絶の理由において通知した引用文献3には、次の事項が記載されている。
「3. 考案の詳細な説明本考案は空気調和機に係り、特にシロッコファンのごとき遠心型送風機を用いて本空気調和機を中心として放射状の任意方向へ選択的に空気を吹き出し得るごとくしたものに関する。従来、例えば室内に設置される空気調和機は、第4図に示すごとく、本体ケーシング(A)の上部に前面に空気吹出口(14a)を有するプレナム室(8)を設け、該プレナム室(8)の直下にシロッコファン(10)(以下送風機という)を設けて、該送風機(10)ハウジングの吹出部(6)を上方に向けて前記プレナム室(8)に接続している。該送風機(10)の下方には蒸発器(3)および空気吸込口(4)を設けるのである。また(1)は圧縮機、(2)は凝縮機でそれぞれ本体ケーシング(A)の下部に設けている。しかしながら斯かる構成の空気調和機においては、前記送風機(10)の吹出方向は上向き(垂直方向)であるとともに前記プレナム室(8)の空気吹出口(14a)は前向き(水平方向)であるので、前記送風機(10)から吹き出された空気は(垂直方向に上昇して、プレナム室(8)の天板(16)に衝突し、その後風向きを直角に曲げ、前記空気吹出口(14a)からそのまま水平方向に吹き出される。続きを表示(全16行)したがって前記プレナム室(8)中の空気流通抵抗が大きくなるので送風量が減少し、これが送風機(10)の送風効率を低下する一因となるのである。しかも前記の如く送風機(10)から吹き出された空気はプレナム室(8)の天板(16)に衝突することにより風速が減速されるので、空気吹出口(14a)からの到達距離が短縮され、極端な場合にはショートサーキットを起こすことになる。さらに前記プレナム室(8)を設けることにより、それだけ本体ケーシング(A)が大きくなるとともに前記送風機(10)の送風効率を低下させないためにはプレナム室の形状を大きくせねばならないという構造上の不利な欠点があり、さらに室内への吹出方向は空気吹出口(14a)からの一方向のみである。本考案は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、本体ケーシング内にファン室各壁をファンハウジングと兼用させ、遠心型送風機のロータを回転軸が垂直になるごとく設けるとともに、該ロータの吹出部に面するケーシング側板に開閉自在の空気吹出口を設けることにより、前記遠心型送風機の空気流れ方向が直角に曲がる空気流通特性を利用して、ファン室内における空気流通抵抗を少なくせしめるとともに、本空気調和機を中心として放射状の任意方向へ選択的に空気を吹き出し得るごとくしたものに関する。以下本考案の実施例を図面に基づき詳記する。第1図および第2図に示す空気調和機は室内中央に設置されるものであって、本体ケーシング(A)は断面が略正方形に形成され、上部室(B)と中間部室(C)と下部室(D)との3つの室から縦方向長方形に形成される。前記上部室(B)は空孔(22)を設けた仕切板(7)により中間部室(c)と仕切られており、また中間部室(c)はドレンパン(20)により下部室(D)と仕切られている。前記上部室(B)の横断面中央部には遠心型送風機としてのシロッコファンのロータ(9)が、回転軸(11)を垂直に向けかつ該ロータ(9)の空気吸入部(5)を下方の前記仕切板(7)の空孔(22)に対面させて前記上部室(B)内に装設される。前記ロータ(9)の周囲空気吹出部(6)に直面する本体ケーシング(A)の側板、すなわち前板(13a)、後板(13b)、左右側板(13c)および(13d)にはそれぞれ空気吹出口(14a)、(14b)、(14c)、(14d)が設けられており、これら空気吹出口(14a)、(14b)、(14c)、(14d)にはそれぞれ遮蔽板(15a)、(15b)、(15c)、(15d)が着脱自在に設けられている。・・・次に中間部室(C)には蒸発器となる熱交換器(3)が水平に装設されており、また本体ケーシング(A)の前板(18a)及び後板(18b)にはそれぞれ空気吸込口(4a)および(4b)が設けられている。次に下部室(D)には圧縮機(1)、凝縮機となる熱交換器(2)がそれぞれ配設されていている。・・・前記圧縮機(1)を駆動させるとともに前記モータ(10)を駆動させて前記ロータ(9)を回転させると、前記ロータ(9)の回転により空気吸込口(4a)、(4b)から吸込まれた室内空気は、蒸発器となる熱交換器(3)で冷却された後ほぼ垂直方向に上昇し前記ロータ(9)の吸込部(5)に吸込まれる。該冷却空気は前記ロータ(9)内で遠心送風機の空気流通の特性上垂直方向から水平方向へ直角にその向きを変えて前記周囲吹出部(6)から周囲に吹き出されるが、該空気はファンハウジングを兼用する前記ガイド板(12)、仕切板(7)に沿って流通した後、空気吹出口(14a)からそのまま同一方向に室内に向かって吹き出されるので、前記従来例で、ファンハウジング内で方向転換し、かつプレナム室内で方向転換するものに比し、送風量が低下することなく、しかも遠くまで到達する風速を保持しながら吹き出し得るのである。」
「第1図」
「第2図」
「第4図」
(2) 引用文献3に記載された技術
上記(1)の事項を総合すると、引用文献3には、以下の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されていると認められる。
「断面が略正方形に形成された本体ケーシング(A)は、上部室(B)と中間部室(C)と下部室(D)との3つの室から縦方向長方形に形成され、前記上部室(B)は空孔(22)を設けた仕切板(7)により前記中間部室(C)と仕切られており、前記上部室(B)の横断面中央部に遠心型送風機としてのシロッコファンのロータ(9)が、回転軸(11)を垂直方向に向けかつ前記ロータ(9)の空気吸入部(5)を下方の前記仕切板(7)の前記空孔(22)に対面させて装設され、前記ロータの周囲空気吹出部(6)に直面する本体ケーシング(A)の側板、すなわち前板(13a)、後板(13b)、左右側板(13c、13d)にはそれぞれ空気吹出口(14a~14d)が設けられており、これら空気吹出口(14a~14d)にはそれぞれ遮蔽板(15a~15d)が着脱自在に設けられ、前記中間部室(C)には蒸発器となる熱交換器(3)が装設され、前記ロータ(9)の回転により空気吸込口(4a、4b)から吸込まれた空気は、前記熱交換器(3)で冷却された後ほぼ垂直方向に上昇し前記ロータ(9)の空気吸入部(5)に吸込まれ、前記ロータ(9)内で水平方向へ直角にその向きを変えて前記空気吹出口(14a~14d)から吹き出される空気調和機。」
4.引用文献4
当審の拒絶の理由において通知した引用文献4には、次の事項が記載されている。
「【0020】前記室内ファン4として用いられる両吸込型遠心ファンは、吸込開口13,14をそれぞれ有する上下一対のシュラウド11,12と、該シュラウド11,12の外周側に架設された多数の後退翼形状(即ち、羽根の外端が内端より回転方向後側に位置する翼形状)の羽根15,15・・とより構成された両吸込型ターボファンとされている。・・・【0050】また、駆動源となる両軸モータ21は、可逆回転可能に構成されるとともに、前記室内ファンとして用いられる両吸込型ターボファン4には、逆回転時において外気導入口24へ向かって室内空気Wfを吹き出す羽根30,30・・が付設されている。該羽根30,30・・は、斜流タイプあるいは軸流タイプの羽根とされている。」
「【図9】」
5.引用文献5
当審の拒絶の理由において通知した引用文献5には、次の事項が記載されている。
「【0062】従来は室内側のファンとして、シロッコファンを採用することが多かった。しかし本実施例では室内ファン19にも図14に示すような後傾翼のターボファンを採用している。そして図1、図15に示すように、化粧カバー3の中央部に空気吸込み口9を設け、空気吸込み口9の両側に空気吹出し口10を設けて、化粧カバー3の両側から冷風を吹き出すようにしている。冷風を化粧カバー3の両側から吹き出すことにより、一つの空気吹出し口から冷風を室内に吹き出す場合よりも、室内の広い範囲に冷風を送り出せるようになり室内を一様に冷房することができる。なお、空気吸込口9の上部にも空気吹出口を設けることは可能である。この場合、天井に向かう空気流が発生するので室内を隈なく冷房することができる。」
6.引用文献6
当審の拒絶の理由において通知した引用文献6には、次の事項が記載されている。
「【0020】前記流動案内部131は、室内熱交換器11を介して流入した室内気を案内するベルマウス131aが形成された吸入面131bと、前記室内気を吸入するターボファン14が設置された前記吸入面131bに対向する底面131cと、前記吸入面と底面131b、131cとの間に設置され、前記ターボファン14を囲む隔壁131dとからなっている。」
7.対比・判断
(1) 引用発明と本願発明とを対比する。
ア 引用発明の「縦形床置式スポットクーラ」、「圧縮機(7)」、「凝縮機(2)」、「プロペラファン(5)」、「蒸発器(3)」、「シロッコファン(6)」は、本願発明の「空気調和装置(100)」、「圧縮機(1)」、「熱源側熱交換器(6)」、「第1ファン(7)」、「利用側熱交換器(3)」、「第2ファン(4)」にそれぞれ相当する。
イ 引用発明は「前記上部室(1a)の天板(12)には、熱気吹出口(11)が設けられており、該熱気吹出口(11)の内方にはプロペラファン(5)が設けられており、前記上部室(1a)に設けられた空気吸込口(9)から吸い込まれた空気は、前記凝縮機(2)を通過して熱気となった後、前記天板(12)の前記熱気吹出口(11)から上方へ向かって吹き出され」るから、引用発明の「プロペラファン(5)」は、本願発明の「前記熱源側熱交換器に空気を通すための第1ファン(7)」に相当する。
ウ 引用発明は「前記下部室(1c)の空気吸込口(10)から吸込まれた空気は、前記蒸発器(3)を通過して冷気となった後、前記シロッコファン(6)により前記下部室(1c)から中間室(1b)に導かれ、その後前記吹出パネル(8)の前記吹出口(16)から横方向に向かって吹き出され」るから、引用発明の「シロッコファン(6)」は、本願発明の「前記利用側熱交換器に空気を通すための第2ファン(4)」に相当する。
エ 引用発明の「前記圧縮機(7)、前記凝縮機(2)、前記プロペラファン(5)、前記蒸発器(3)、および、前記シロッコファン(6)を収容する本体ケーシング(1)」は、本願発明の「前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記第1ファン、前記利用側熱交換器、および、前記第2ファンを収容するケーシング(10)」に相当する。
オ 引用発明は「前記上部室(1a)に設けられた空気吸込口(9)から吸い込まれた空気は、前記凝縮機(2)を通過して熱気となった後、前記天板(12)の前記熱気吹出口(11)から上方へ向かって吹き出され」るから、引用発明の「熱気吹出口(11)」は、本願発明の「前記熱源側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部上方に向かって吹出す第1吹出し口(29)」に相当する。
引用発明は「前記本体ケーシング(1)は、縦に上部室(1a)、中間室(1b)、下部室(1c)に3分割されて」いるから、上部室(1a)等は、本体ケーシング(1)の一部分である。そして、引用発明の「熱気吹出口(11)」は、「前記上部室(1a)の天板(12)に」「設けられて」いるから、引用発明の「熱気吹出口(11)」は、本願発明の「第1吹出し口(29)」と、「前記ケーシングに」「形成されて」いる点において一致する。
カ 引用発明において、「吹出口(16)が設けられ」た「吹出パネル(8)」は、「中間室(1b)」に「装着され」ているから、引用発明の「吹出口(16)」は、「上部室(1a)の天板(12)に」「設けられて」いる「熱気吹出口(11)」よりも下に配置されていることは明らかであり、本願発明の「前記第1吹出し口よりも下に配置された吹出し口であって、前記利用側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部横方向に向かって吹出す複数の第2吹出し口(31a~31d)」と、「前記第1吹出し口よりも下に配置された吹出し口であ」るという点において一致する。
また、引用発明は「前記下部室(1c)の空気吸込口(10)から吸込まれた空気は、前記蒸発器(3)を通過して冷気となった後、」「前記吹出パネル(8)の前記吹出口(16)から横方向に向かって吹き出され」るから、引用発明の「吹出口(16)」は、本願発明の上記複数の第2吹出し口(31a~31d)と、「前記利用側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部横方向に向かって吹出す」という点において一致する。
さらに、引用発明の中間室(1b)は、本体ケーシング(1)の一部分であり、「吹出口(16)が設けられ」た「吹出パネル(8)」は、「中間室(1b)」に「装着され」ているから、引用発明の「吹出口(16)」は、本願発明の上記複数の第2吹出し口(31a~31d)と、「前記ケーシングに」「形成されて」いるという点において一致する。
キ 引用発明の「蒸発器(3)」と、本願発明の「利用側熱交換器」とは、「縦方向に配置される」点において一致する。
したがって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「空気調和装置であって、圧縮機と、熱源側熱交換器と、前記熱源側熱交換器に空気を通すための第1ファンと、続きを表示(全13行)利用側熱交換器と、前記利用側熱交換器に空気を通すための第2ファンと、前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記第1ファン、前記利用側熱交換器、および、前記第2ファンを収容するケーシングと、を備え、前記ケーシングには、前記熱源側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部上方に向かって吹出す第1吹出し口と、前記第1吹出し口よりも下に配置された吹出し口であって、前記利用側熱交換器を通過した空気を、前記ケーシングの外部横方向に向かって吹出す第2吹出し口と、が形成されており、前記利用側熱交換器は縦方向に配置される、空気調和装置。」
[相違点1]
使用される場所に関して、本願発明は、「屋外で使用される」もので、「屋外」空気調和装置であるのに対し、引用発明は、「移動用キャスター(4)を備え、作業室内に設置される」ものである点。
[相違点2]
本願発明は、「前記第2ファンは、ターボファンであり、かつ、前記利用側熱交換器より上に配置されており、」「前記利用側熱交換器を通過した空気は、前記第2ファンの横方向に向かって吹出され」るのに対し、引用発明は、「前記シロッコファン(6)は前記蒸発器(3)の内方に配設されて」いる点。
[相違点3]
利用側熱交換器を通過した空気をケーシングの外部横方向に向かって吹出す吹出し口について、本願発明は、「複数」であるのに対し、引用発明は、複数ではない点。
[相違点4]
本願発明は、「利用側熱交換器は複数面を有」するのに対し、引用発明は、「蒸発器(3)は、円筒状であ」る点。
[相違点5]
第2吹出し口を出た風の風速に関して、本願発明は、「12m/s以上、18m/s以下であ」るのに対し、引用発明は、風速が不明な点。
(2) 相違点に関する判断
[相違点1について]
「移動用キャスター(4)を備え」る引用発明に、引用文献2技術(上記2.(2)を参照。)を適用して屋外で使用するように構成し、相違点1に係る本願発明の構成とすることに格別の困難性は認められない。
[相違点2及び3について]
引用文献3には、「前記送風機(10)の吹出方向は上向き(垂直方向)であるとともに前記プレナム室(8)の空気吹出口(14a)は前向き(水平方向)であるので、前記送風機(10)から吹き出された空気は(垂直方向に上昇して、プレナム室(8)の天板(16)に衝突し、その後風向きを直角に曲げ、前記空気吹出口(14a)からそのまま水平方向に吹き出される。したがって前記プレナム室(8)中の空気流通抵抗が大きくなるので送風量が減少し、これが送風機(10)の送風効率を低下する一因となるのである。しかも前記の如く送風機(10)から吹き出された空気はプレナム室(8)の天板(16)に衝突することにより風速が減速されるので、空気吹出口(14a)からの到達距離が短縮され、極端な場合にはショートサーキットを起こすことになる。」、「さらに室内への吹出方向は空気吹出口(14a)からの一方向のみである。」という課題が記載されている。
そして、当該課題を解決する技術として、引用文献3技術(上記3.(2)を参照。)が記載されていると認められる。
さらに、引用文献3には、「従来例で、ファンハウジング内で方向転換し、かつプレナム室内で方向転換するものに比し、送風量が低下することなく、しかも遠くまで到達する風速を保持しながら吹き出し得る」、「本空気調和機を中心として放射状の任意方向へ選択的に空気を吹き出し得るごとくした」という、引用文献3技術の作用効果が記載されている。
引用発明は、“シロッコファン(6)の吹出方向は上向き(垂直方向)であるとともに中間室(1b)の吹出口(16)は横方向(水平方向)であるので、前記シロッコファン(6)から吹き出された空気は垂直方向に上昇して、中間室(1b)の上板(13)に衝突し、その後風向きを直角に曲げ、前記吹出口(16)からそのまま水平方向に吹き出される。”及び“吹出方向は吹出口(16)からの一方向のみである。”という引用文献3に記載された課題と同等の問題点を抱えるものである。
そうすると、引用発明の中間室(1b)及び下部室(1c)におけるシロッコファン(6)、蒸発器(3)及び吹出口(16)の配置の代わりに引用文献3技術の上部室(B)及び中間部室(C)における遠心型送風機、蒸発器及び吹出し口の配置(遠心型送風機が蒸発器より上に配置されており、蒸発器を通過した空気は、シロッコファンの横方向に向かって、複数の空気吹出口から吹出される構造)を適用することの動機付けは十分にあるといえる。
また、熱源側熱交換器及び利用側熱交換器を備える一体型空気調和装置において、利用側送風機の形式としてターボファンを用いることは、引用文献4、引用文献5、引用文献6に見られるように、本願の出願日前より周知な技術(以下、単に「周知技術」という。)である。したがって、引用発明に引用文献3技術を適用したものおいて、その送風機の形式であるシロッコファンに換えて周知技術であるターボファンを用いるようにすることは、スポットクーラに要求される性能(風量・風速の大小)等に応じて、当業者が適宜選択し得る程度のことである。
したがって、引用発明に引用文献3技術及び周知技術を適用して、相違点2及び3に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易になし得ることである。
[相違点4について]
引用発明において、蒸発器(3)の形状は当業者が適宜決定し得る程度のものであるので、蒸発器(3)の形状を角筒状(複数の面を有する)とすることに格別の困難性は認められない。
[相違点5について]
引用発明において、吹出パネル(8)の吹出口(16)から吹き出される空気の風速をどの程度にするかは、引用発明の使用環境や目的等、必要に応じて当業者が適宜決定し得ることであるので、風速を12m/s以上、18m/s以下とすることに格別の困難性は認められない。
(3) 本願発明の作用効果
本願発明の作用効果は、引用発明、引用文献2技術、引用文献3技術及び周知技術から、当業者が予測し得る範囲を超えるものではない。
特に、第2ファンがターボファンである点について、本願の明細書には、【0042】に「第2ファン4は、ターボファンである。プロペラファン、シロッコファンであってもよい。」と記載されている程度で、ターボファンを用いることの作用効果(例えば、第2吹出し口を出た風の風速との関係等)については何ら記載されていない。そうすると、ターボファンを用いることの作用効果は、ファンの種類と性能に関する一般的な知識に基づいて当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
また、「前記第2吹出し口を出た風の風速は、12m/s以上、18m/s以下であ」ることに、いわゆる臨界的意義は認められない。
(4) 請求人の主張について
ア 請求人は、令和3年2月15日に提出した意見書(以下、「意見書」という。)において、以下のように説明して、本願発明は当業者が容易に想到できるものではないと主張している。(ただし、下線は当審で付した。以下同様。)
「引用文献3は、遠心型送風機(シロッコファン)の回転軸を鉛直方向に配置し、ファンの回転軸から周方向かつ水平方向に空気を吹き出す構成を有しています。そしてこのような構成によって、作用効果として、引用文献3のp7、15行目~p8、3行目には、『・・・該空気はファンハウジングを兼用する前記ガイド板(12)、仕切板(7)に沿って流通した後、空気吹出口(14a)からそのまま同一方向に室内に向かって吹き出されるので、前記従来例で、ファンハウジング内で方向転換し、かつプレナム室内で方向転換するものに比し、送風量が低下することなく、しかも遠くまで到達する風速を保持しながら吹き出し得るのである。』と記載されています。これに対して、引用文献4~6の開示は、ターボファンを用いるとの開示はあるものの、ターボファンの回転軸から周方向に向かって吹き出された空気はハウジング内で方向転換したのちに外部へ吹き出される構成を有しています。したがって、引用文献3でシロッコファンを使っている当業者が、引用文献4~6のターボファンに代替したとしても、周方向に遠くまで到達する風速を保持しながら吹き出し得るとは考えられません。すなわち、引用文献3に引用文献4~6を組み合わせる動機付けは、存在しないと思料いたします。」(4.補正後の本願発明1と引用発明(引用文献1に記載の発明)との対比)
しかしながら、拒絶理由の論理構成は、「引用文献3に引用文献4~6を組み合わせる」というものではなく、上記[相違点2及び3について]で述べたように、引用発明に引用文献3技術を適用したものおいて、その送風機の形式であるシロッコファンに換えて、引用文献4~6に例示された送風機の形式として周知技術であるターボファンを用いるようにするというものである。
よって、請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、意見書において、以下のように主張している。
「本願発明1は、『前記第2吹出し口を出た風の風速は、12m/s以上、18m/s以下』(相違点5)との構成を有しています。このように強力な風を複数の横方向に吹き出す構成は、引用文献1、3のシロッコファンを用いた場合は、効率を無視した試験としては可能であったとしても、現実的には困難です。引用文献4~6のターボファンの配置でも実現は困難です。したがって、『前記第2吹出し口を出た風の風速は、12m/s以上、18m/s以下』の構成は、各引用文献から、容易に想到できる構成ではありません。」(4.補正後の本願発明1と引用発明(引用文献1に記載の発明)との対比)
しかしながら、引用発明において、吹出パネル(8)の吹出口(16)から吹き出される空気の風速は、シロッコファン(6)、中間室(C)、吹出口(16)のそれぞれのサイズや形状、シロッコファン(6)を回転させるモータの性能等によって大きくすることが可能であり、『12m/s以上』とすることが現実的には困難であるとする合理的な根拠を見いだせない。
仮に、シロッコファン(6)を用いる引用発明では、風速を12m/s以上とすることが現実的には困難であるとしても、上記[相違点2及び3について]で述べたように、引用発明において、シロッコファンをターボファンに換えることを阻害する特段の理由はなく、ターボファンを用いるようにすることは、スポットクーラに要求される性能(風量・風速の大小)等に応じて、当業者が適宜選択し得る程度のことであるから、「『前記第2吹出し口を出た風の風速は、12m/s以上、18m/s以下』の構成は、各引用文献から、容易に想到できる構成ではありません。」という請求人の主張は採用できない。
ウ 請求人は、意見書において、以下のように説明して、本願発明は当業者が容易に想到できるものではないと主張している。
「本願発明1の、ターボファンにより、複数の第2吹出し口より外部複数の横方向に向かって、12m/s以上の風速で吹き出すという特有の構成は、本願発明1が屋外利用であって、広範囲に涼風または暖風を提供するという課題を解決するための構成です。引用文献1、3、4~6には、このような課題についても記載も示唆もされていません。」(4.補正後の本願発明1と引用発明(引用文献1に記載の発明)との対比)
しかしながら、引用発明も作業室内で使用するものであり、工場等の広い作業スペースで利用することが想定されていると考えられるので、広範囲に冷風を提供するという課題を内在しているといえる。
したがって、請求人の主張は採用できない。
8.小括
上記1ないし7の検討によれば、本願発明は、引用発明、引用文献2技術、引用文献3技術及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2技術、引用文献3技術及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-006419