特許拒絶査定不服審判
2020-006142
高効率確認応答送信のためのプロシージャ
- 審判番号
- 2020-006142
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-517690外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年05月07日
- 審決日
- 2021年01月21日
- 公報発行日
- 2021年03月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-517690「高効率確認応答送信のためのプロシージャ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月13日国際公開、WO2017/062947、平成30年11月29日国内公表、特表2018-535591、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)10月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年10月9日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 6月 6日 :手続補正書の提出
平成31年 4月15日付け :拒絶理由通知書
令和 1年 7月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和 1年12月25日付け :拒絶査定
令和 2年 5月 7日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和1年12月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1(進歩性):下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1、6-7、12に対して、引用文献1、2
・請求項2、4、8、10に対して、引用文献1-3
・請求項3、9に対して、引用文献1、2、4
・請求項5、11に対して、引用文献1、2、5
引用文献等一覧
1.Alfred Asterjadhi, Qualcomm et.al,Scheduled Trigger frames,IEEE 802.11-15/0880r2,2015年7月4日,InternetURL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/15/11-15-0880-02-00ax-scheduled-trigger-frames.pptx(以下、「引用例1」という。)
2.特表2015-511077号公報(以下、「引用例2」という。)
3.米国特許出願公開第2012/0314697号明細書(以下、「引用例3」という。)
4.特表2015-513867号公報(以下、「引用例4」という。)
5.国際公開第2015/081179号(以下、「引用例5」という。)
第3 本願発明
本願請求項1ないし12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明12」という。)は、令和2年5月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)システムにおいて通信するワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)であって、
ベースバンドプロセッサおよびアンテナに結合されたトランシーバを備え、
前記トランシーバは、ターゲットウェイクタイム(TWT)期間の表示、ならびに前記TWT期間中の、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいるビーコンフレームを受信するように構成され、
前記トランシーバは、前記TWT期間の開始をトリガするトリガフレームを受信するように構成され、前記WTRUは前記TWT期間中にアウェイクであり、
前記トランシーバは、前記TWT期間中に少なくとも1つのフレームを送信するように構成され、前記少なくとも1つのフレームは前記タイプ表示に基づくSUアップリンク送信またはMUアップリンク送信である、WTRU。
【請求項2】
前記ビーコンフレームまたは前記トリガフレームは、前記WLANシステムのWTRUが、前記TWT期間中にワイヤレス媒体にアクセスすることを許可されることの表示、前記TWT期間中に使用されることになる割り当てられたリソース、またはマルチWTRU確認応答/ブロック確認応答(ACK/BA)フレームが前記TWT期間中に送信されることになるという表示のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のWTRU。
【請求項3】
前記ビーコンフレームおよび前記トリガフレームはショートビーコンである、請求項1に記載のWTRU。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフレームは、以前に前記WTRUによって受信されたフレームのためのブロック確認応答(BA)を含む、請求項1に記載のWTRU。
【請求項5】
前記トランシーバは、トリガされた送信機会(TXOP)期間中に、確認応答のためにマルチWTRU ACK/BAが使用されることの表示を含んでいる第3のフレームを受信するようにさらに構成された、請求項1に記載のWTRU。
【請求項6】
802.11局(STA)として構成されたWTRUであって、前記トランシーバはアクセスポイント(AP)から前記ビーコンフレームおよび前記トリガを受信するように構成された、請求項1に記載のWTRU。
【請求項7】
ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)システムにおいて、ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)によって実行される方法であって、
ターゲットウェイクタイム(TWT)期間の表示、ならびに前記TWT期間中の前記WTRUに対する、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいるビーコンフレームを受信するステップと、
前記TWT期間の開始をトリガするトリガフレームを受信するステップであって、前記WTRUは前記TWT期間中にアウェイクであるステップと、
前記TWT期間中に少なくとも1つのフレームを送信するステップであって、前記少なくとも1つのフレームは前記タイプ表示に基づくSUアップリンク送信またはMUアップリンク送信であるステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記ビーコンフレームまたは前記トリガフレームは、前記WLANシステムのWTRUが、前記TWT期間中にワイヤレス媒体にアクセスすることを許可されることの表示、前記TWT期間中に使用されることになる割り当てられたリソース、またはマルチWTRU確認応答/ブロック確認応答(ACK/BA)フレームが前記TWT期間中に送信されることになるという表示のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビーコンフレームおよび前記トリガフレームはショートビーコンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのフレームは、以前に前記WTRUによって受信されたフレームのためのブロック確認応答(BA)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
トリガされた送信機会(TXOP)期間中に、確認応答のためにマルチWTRU ACK/BAが使用されることの表示を含んでいる第3のフレームを受信するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記WTRUは802.11局(STA)として構成され、前記ビーコンフレームおよび前記トリガフレームはアクセスポイント(AP)から受信される、請求項7に記載の方法。」
第4 引用文献、引用発明
1.引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された、Alfred Asterjadhi, Qualcomm et.al,Scheduled Trigger frames([当審仮訳]:スケジュールされたトリガーフレーム),IEEE 802.11-15/0880r2,2015年7月4日,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/15/11-15-0880-02-00ax-scheduled-trigger-frames.pptx>(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「Introduction
・MU procedures are under discussion in 11ax
-The AP enables multiple STAs to transmit UL frames via Trigger frames (TFs)
-MU STAs wait for the TF prior to transmitting UL frames
・Upon reception of a TF intended to them they can transmit to the AP
・In this presentation we focus on trigger frame scheduling with TWT signaling [1]
-This way we also enable other useful operation modes for power save that fit in the 11ax use cases
・I.e., STAs wake up only in the allocated TWT SP and can sleep outside of them
・For simplicity, we focus on the implicit TWT operation which enables:
-“Broadcast” TWT: Scheduled by the AP, irrespective of TWT requests, and indicated in the Beacon for multiple STAs (a generic scheduling mechanism that covers operation in [1])
-“Solicited” TWT: Scheduled by the AP, accounting for the STA’s TWT request
」(スライド8)
([当審仮訳]:
序論
・MUの手続きは11axで検討中
-APは、複数のSTAがトリガーフレーム(TF)を介してULフレームを送信することを可能にする。
-複数のMU STA は UL フレームを送信する前に TF を待つ。
・自分が意図したTFを受信すると,APに送信することができる。
・本発表では、TWTシグナリングを用いたトリガフレームスケジューリングに焦点を当てる[1]。
-このようにして、11axのユースケースに適合する省電力のための他の有用な動作モードも可能にする。
・すなわち,複数のSTA は割り当てられた TWT SP 内でのみ起床し,その外で寝ることができる。
・簡単にするために、暗黙のTWT操作を可能にすることに焦点を当てる。:
-"ブロードキャスト" TWT: TWTリクエストに関係なくAPによってスケジュールされ、複数のSTAのためにビーコンで示される([1]の動作をカバーする汎用スケジューリング機構)。
-"依頼された”TWT: APによってスケジュールされ、複数のSTAのTWT要求を処理する。)
(2)「Basics of Trigger TWTs
・“Broadcast” trigger TWT:
-AP indicates the target trigger times in a TWT response included in the Beacon
・The pattern can be periodic, aperiodic (i.e., single indication for multiple Trigger frames)
-The pattern is only valid for the Beacon Interval following the Beacon.
・The AP can indicate the broadcast trigger TWTs during a TWT Setup
・“Solicited” trigger TWT:
-A STA requests the AP to schedule TFs (using TWT request)
・TWT pattern is based on STA’s UL traffic pattern and QoS requirements
-The pattern can be periodic or aperiodic
-The AP responds confirming or providing alternative TWT schedules
・The AP allocates its resources based on multiple STA’s information
-STAs with similar traffic pattern can be allocated in similar TWTs, with similar TWT service periods (SPs), and other similar parameters」(スライド9)
([当審仮訳]:
トリガーTWTの基本
・"ブロードキャスト "トリガーTWT:
-APは、ビーコンに含まれるTWTレスポンスのターゲットトリガータイムを示している。
・パターンは、周期的、非周期的(すなわち、複数のトリガフレームのための単一の表示)であることができる。
-このパターンは、ビーコンに続くビーコン間隔でのみ有効である。
・APは、TWTセットアップ中にブロードキャストトリガーTWTを示すことができる。
(図略)
"勧誘された "トリガーTWT
-STAがAPにTFのスケジュールを要求(TWTの要求を使用)
・TWTパターンはSTAのULトラフィックパターンとQoS要件に基づいている。
-パターンは周期的または非周期的であることができる。
-AP は TWT の代替スケジュールの確認または提供に応答する。
・APは、複数のSTAの情報に基づいてリソースを割り当てる。
-類似のトラフィックパターンを持つSTAは、類似のTWTで割り当てられ、類似の TWT サービス期間 (SPs) およびその他の類似のパラメータを持つ。)
(3)「Solicited Trigger TWT
・Trigger TWT setup (negotiated):
-Setup of TWT parameters is the same as for basic TWT operation with the following additions:
・The HE non-AP STA may request scheduling of a TF at the start of each TWT
・The AP confirms scheduling of a TF at the start of each TWT
・Trigger TWT operation:
-AP schedules a TF at the beginning of each TWT SP
-Non-AP STAs wake up at the TWT, wait for the TF and get ready for MU DL/UL exchange
・STAs are not supposed to contend during the TWT SP but rather wait for the TFs sent by the AP
・During the TWT SP, STAs can exchange PS-Polls, APSD trigger frames, UL/DL BUs, etc. upon reception of TFs.
・STAs that negotiate TWT need not wake up to read the Beacon frame
-DL BU availability is notified during the TWT SP itself.
-STAs can renegotiate their TWTs when a traffic pattern changes」(スライド10)
([当審仮訳]:
勧誘トリガーTWT
(図略)
・トリガーTWT設定(ネゴシエート):
-TWTパラメータの設定は、基本的なTWT操作と同じですが、以下の追加がある。
・HE非AP STAは、各TWTの開始時にTFのスケジューリングを要求することができる。
・AP は各 TWT の開始時に TF のスケジューリングを確認する。
・トリガTWT動作:
-APは各TWT SPの開始時にTFをスケジュールする。
-非APのSTAはTWTで起きてTFを待ち、MUのDL/UL交換に備える。
・STAはTWTのSP中に競合するのではなく、APから送られてくるTFを待つことになっている。
・TWT SP の間、STA は TF を受信すると、PS-Polls、APSD トリガフレーム、UL/DL BU などを交換することができる。
・TWTを交渉するSTAはビーコン枠を読むために目を覚ます必要はない。
-DL BU の利用可能性は TWT SP 自身の間に通知される。
-トラフィックパターンが変更された場合、STAはTWTを再交渉することができる。)
(4)「Benefits of TWTs
・TWT scheduling improves power saving for the SU case as exemplified in [1]
-It also eases contention as the STAs should not access the medium outside the TWT SPs
・For the MU case, the STA indicates/negotiates with the AP:
-The TWT SPs during which it is active and the rest of the times during which it is inactive
・Similar benefits to the SU case: STAs save power, eases channel contention,
-To send TFs at the start of the TWT SPs
・Enables MU operation during the TWT SP and protects the medium access for the STA
-Increases throughput as transmissions are protected at the receiver
-Increases network efficiency due to MU transmissions and reducing collisions
・The AP uses the TWT scheduling to:
-Spread out the wake up and access times of the STAs easing contention
-Allocate MU resources more efficiently (as it can be based on received feedback)
・Avoids allocating resources to STAs with no UL data
」(スライド12)
([当審仮訳]:
TWTのメリット
・TWTスケジューリングは、[1]で例示されているように、SUケースの省電力化を改善する。
-また、STAはTWT SPの外でメディアにアクセスすべきではないので、競合も緩和される。
・MUの場合、STAはAPとの指示/交渉を行う。:
-活動している間のTWTのSPと、活動していない間の残りの時間帯
・SUの場合と同様のメリット:STAは電力を節約し、チャネルの競合を緩和する。
-TWTのSP開始時にTFを送るために
・TWT SP中のMU動作を有効にし、STAのメディアアクセスを保護する。
-送信が受信機で保護されるため、スループットが向上する。
-MU伝送によるネットワーク効率が向上し、衝突が低減される。
・APはTWTスケジューリングを使用して:
-競合を緩和するためにSTAのウェイクアップとアクセスタイムを広める。
-MUのリソースをより効率的に割り当てることができる。
・ULデータを持たないSTAへのリソース割り当てを回避する。)
引用例1の上記記載、図面及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記「(1)」には、「複数のSTA は割り当てられた TWT SP 内でのみ起床し,その外で寝ることができる」、「"ブロードキャスト" TWT: TWTリクエストに関係なくAPによってスケジュールされ、複数のSTAのためにビーコンで示される」との記載がある。すなわち、「STAの起床は割り当てられたTWT SP内でのみされるものであり、その割り当てはAPからのブロードキャストTWTによってスケジュールされ、複数のSTAのためにビーコンで示される」ものである。また、上記「(3)」には、「APは各TWT SPの開始時にTFをスケジュールする」と記載されており、上記「(2)」には、「サービス期間 (SPs)」と記載、そして上記「(1)」には、「トリガーフレーム(TF)」と記載されている。これらのことから、STAは、「TWT SP(サービス期間)の開始時にTF(トリガーフレーム)がスケジュールされる」ことは明らかである。更に、上記「(1)」には、「APは、複数のSTAがトリガーフレーム(TF)を介してULフレームを送信することを可能にする」、「複数のMU STA は UL フレームを送信する前に TF を待つ」、「自分が意図したTFを受信すると,APに送信することができる。」との記載があるから、「複数のSTAはTFを受信することによって、ULフレームをAPに送信する」ものであるといえる。
イ また、上記「(1)」には、「11axのユースケースに適合する省電力のための他の有用な動作モードも可能にする」との記載があるから、上記(ア)に摘記した事項は、IEEE802.11axについての記載であることは自明であり、IEEE802.11axは無線LANの規格であることは技術常識である。
そうすると、上記(ア)に摘記したSTAは、「無線LANにおいて通信するSTA」について記載されているものであるといえる。
以上を総合すると、上記引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 無線LANにおいて通信するSTAであって、
STAの起床は割り当てられたTWT SP内でのみされるものであり、その割り当てはAPからのブロードキャストTWTによってスケジュールされ、複数のSTAのためにビーコンで示される、ものであり、
TWT SP(サービス期間)の開始時にTF(トリガーフレーム)がスケジュールされ、
複数のSTAはTFを受信することによって、ULフレームをAPに送信する、STA。」
2.引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された、特表2015-511077号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0149】
BSS内のSTAおよびAPは、MU-PCA送信および受信に先だって、MU-PCAについての能力およびプリファレンスを知らせることができる。例えば、APは、ビーコン内に、プローブ応答または他の任意のタイプのフレーム、APがMU-PCAに対応可能である旨のインジケータを含むことができる。そのようなインジケータは、能力についてのいくつかのインジケータとしても実施され得、例えば、1つのインジケータは、UL MU-PCAについての能力のために使用され得、および/または別のインジケータは、DL MU-PCAについての能力のために使用され得る。別の例では、4つのインジケータが、すなわち、DL MU-PCA可能、UL MU-PCA可能、DL SU-PCA可能、またはUL MU-PCA可能が存在し得る。MU-PCA能力インジケータは、任意の管理もしくは制御フレーム、もしくは他の任意のタイプのフレーム内の、またはMACもしくはPLCPヘッダ内のIEなど、任意の既存または新規フィールド内に含まれ得る。」
上記引用例2の記載によれば、「APは、ビーコン内に、プローブ応答または他の任意のタイプのフレーム、APがMU-PCAに対応可能である旨のインジケータを含むことができる。」、「別の例では、4つのインジケータが、すなわち、DL MU-PCA可能、UL MU-PCA可能、DL SU-PCA可能、またはUL MU-PCA可能が存在し得る。」ものである。そして、APが送信するビーコンはSTAに受信されることは技術常識である。
そうすると、引用例2には、「STAが、インジケータ(DL MU-PCA可能、UL MU-PAC可能、DL-SU-PCA可能)を含んでいるビーコンフレームを受信する」という技術事項が記載されている。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「無線LAN」、「STA」は、本願発明1の「ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)システム」、「ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)」に相当する。
また、引用発明の「STA」は、無線LANによる通信を行うものであるから、「ベースバンドプロセッサ」及び「アンテナに結合されたトランシーバ」を有することは自明である。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)システムにおいて通信するワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)」であって、「ベースバンドプロセッサおよびアンテナに結合されたトランシーバを備え」る点で一致する。
イ 引用発明の「TWT」が、ターゲットウェイクタイムを表していることは技術常識であるから、引用発明の「TWT SP」はターゲットウェイクタイムサービス期間であり、本願発明1の「ターゲットウェイクタイム期間」に相当する。そして、「STAの起床は割り当てられたTWT SP内でのみされるものであり、その割り当てはAPからのブロードキャストTWTによってスケジュールされ、複数のSTAのためにビーコンで示される」、すなわち「TWT SPの割り当ては、APからのブロードキャストTWTによってスケジュールされ、複数のSTAのためにビーコンで示される」ものであり、ビーコンはビーコンフレームを用いてAPから送信され、STAのトランシーバによって受信されることは自明である。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「トランシーバは、ターゲットウェイクタイム期間の表示を含んでいるビーコンフレームを受信するように構成され」る点で共通する。
ウ 引用発明の「STA」は、「TWT SP(サービス期間)の開始時にTF(トリガーフレーム)がスケジュールされ」るものであるから、「TWT期間の開始をトリガするトリガーフレームを受信する」ものといえる。そして、トリガーフレームの受信もトランシーバにて行われることは自明である。
また、TWTとはターゲットウェイクタイムであるから、TWT SPではアウェイクであることは技術常識である。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「トランシーバは、TWT期間の開始をトリガーするトリガフレームを受信するように構成され、WTRUはTWT期間中にアウェイクである」点で一致する。
エ 引用発明の「複数のSTAはTFを受信することによって、ULフレームをAPに送信する」ものであるから、引用発明の「複数のSTA」は「TWT期間中に少なくとも1つのフレームを送信する」ものである。そして、「複数のSTA」が「ULフレームをAPに送信する」のだから、当該送信は「マルチユーザアップリンク送信」であり、当該送信はトランシーバから行われることは自明である。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「トランシーバは、TWT期間中に少なくとも1つのフレームを送信するように構成され、少なくとも1つのフレームはMUアップリンク送信である」点で共通する。
以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「 ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)システムにおいて通信するワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)であって、
ベースバンドプロセッサおよびアンテナに結合されたトランシーバを備え、
前記トランシーバは、ターゲットウェイクタイム期間(TWT)の表示を含んでいるビーコンフレームを受信するように構成され、
前記トランシーバは、前記TWT期間の開始をトリガーするトリガフレームを受信するように構成され、WTRUは前記TWT期間中にアウェイクであり、
前記トランシーバは、前記TWT期間中に少なくとも1つのフレームを送信するように構成され、前記少なくとも1つのフレームはMUアップリンク送信である、WTRU。」
(相違点1)
本願発明1の「ビーコンフレーム」は「TWT期間中の、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいる」のに対し、引用発明では、当該特定がされていない点。
(相違点2)
本願発明1の「少なくとも1つのフレーム」が「タイプ表示に基づくSUアップリンク送信またはMUアップリンク送信である」のに対し、引用発明は、「少なくとも1つのフレーム」が「MUアップリンク送信である」ことは特定されているものの、「タイプ表示に基づくSUアップリンク送信」を含むものであるかは特定がされていない点。
(2)相違点についての判断
相違点1に係る本願発明1の「ビーコンフレーム」は「TWT期間中の、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいる」という発明特定事項は、引用例1及び引用例2には記載も示唆もされておらず、また、原査定において他の請求項に係る発明に対して引用された引用例3ないし引用例5にも記載も示唆もされておらず、さらに、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明において、上記相違点1に係る「ビーコンフレーム」を「TWT期間中の、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいる」ものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、及び引用例2に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.本願発明2ないし6について
本願発明6は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明2、4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例3に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明5は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例5に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3.本願発明7について
本願発明7は、本願発明1を方法として記載したものあって、「ビーコンフレーム」を「TWT期間中の、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいる」との発明特定事項を含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用例2に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4.本願発明8ないし12について
本願発明12は、本願発明7の発明特定事項を全て含むから、本願発明7と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明8、10は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例3に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明9は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明11は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例5に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時補正により、本願発明1ないし12は「ビーコンフレーム」を「TWT期間中の、シングルユーザ(SU)アップリンク(UL)送信を示すことができ、およびマルチユーザ(MU)UL送信を示すことができるタイプ表示を含んでいる」という発明特定事項を有するものとなっており、当該発明特定事項は、上記第5の「1.」ないし「4.」で説示したとおり、原査定において引用された引用例1及び2には記載も示唆もされておらず、当該技術分野における周知技術であるともいえない。
したがって、本願の請求項1、6ないし7、12に係る発明は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願の請求項2、4、8、10に係る発明は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例3に記載の技術事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願の請求項3、9に係る発明は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例4に記載の技術事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願の請求項5、11に係る発明は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項並びに引用例5に記載の技術事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-006142