特許拒絶査定不服審判
2020-004398
スロットマシン
- 審判番号
- 2020-004398
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-236292外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月02日
- 審決日
- 2020年06月16日
- 公報発行日
- 2020年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .161-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-236292号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月14日出願公開、特開2018- 89190号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、平成28年12月5日の出願であって、令和1年9月26日付け拒絶理由通知に対して、同年12月2日付けで手続補正がされたところ、令和2年2月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和1年12月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認められる(記号A~Hは、分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 所定の表示手段と、
B 遊技媒体の総付与数に対応する値を記憶可能な第1記憶手段と、
C 特別遊技中における遊技媒体の総付与数に対応する値を記憶可能な第2記憶手段と
を備え、
D 第1記憶手段に記憶された値が所定の上限値に達している場合には、特別遊技中に遊技媒体が付与されても、第1記憶手段及び第2記憶手段に記憶されている値を更新せず、
E 第1記憶手段に記憶された値と、第2記憶手段に記憶された値とを用いて、特別役物比率を算出可能とし、
F 前記所定の表示手段の上位2桁により遊技履歴に関する種類情報を表示可能とし、下位2桁により遊技履歴に関する比率情報を表示可能とし、
G 前記所定の表示手段の横幅をm、縦幅をnとしたとき、
m×n÷4(「4」は前記所定の表示手段の桁数)≧36(平方ミリメートル)
を満たす
H ことを特徴とする遊技機。」
3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、令和1年9月26日付け拒絶理由通知書に記載された理由2は、概略、次のとおりのものである。
本願発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
記
1.特願2016-150020号(特開2018-15414号)
2.特願2016-186881号(特開2018-50663号)
4 先願明細書等の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特願2016-186881号(特開2018-50663号。当該特許出願について以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(1)「【請求項2】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールを遊技開始操作に基づいて回転させるとともに役の当否を決定する内部抽選を行い、停止操作を契機として内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させ、リールの停止状態に基づいて役の入賞の有無を判定し、小役の入賞に伴い遊技媒体を払い出す遊技機であって、
遊技機が払い出した遊技媒体の数である払出数を累積してカウントするものであって、遊技機が払い出した遊技媒体の総数である払出総数を記憶する払出数カウンタと、
第一種特別役物の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の数である連続役物払出数を累積してカウントするものであって、前記第一種特別役物の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の総数である連続役物払出総数を記憶する連続役物払出数カウンタと、
前記払出総数および前記連続役物払出総数に基づいて連続役物比率を算出する比率算出手段と、
前記比率算出手段によって算出された前記連続役物比率の数値を表示装置に表示させる制御を行う表示制御手段とを備え、
前記払出数カウンタは下限値から上限値の範囲内で更新され、
前記払出数カウンタの記憶値が前記上限値に達した場合に前記払出数カウンタによる前記払出数のカウントを停止するとともに当該遊技において前記連続役物払出数カウンタによる前記連続役物払出数のカウントも停止することを特徴とする遊技機。」
(2)「【背景技術】
【0002】
従来から外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
ところで、この種の遊技機に関する制御手法として、ボーナス遊技の移行契機となる役であるボーナスの当否を決定し、ボーナスの入賞に伴って移行したボーナス遊技では、通常遊技よりも小役の当選確率を上昇させることによって通常遊技よりも有利な遊技を行わせる手法が知られている・・・。すなわちボーナス遊技では、通常遊技よりも遊技者が遊技媒体を獲得し易くなっている。
【0004】
そしてこのようなボーナス遊技に遊技媒体の獲得性能を偏らせると射倖性が過度に高まってしまうため、遊技機が払い出した遊技媒体の数に対する役物の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の数の比率である役物比率、および遊技機が払い出した遊技媒体の数に対する第一種特別役物の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の数の比率である連続役物比率を一定範囲内に収めることが社会的に要請されている。ここで役物とは、入賞を容易にするための特別の装置であり、役物としては第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))、第二種特別役物(チャレンジボーナス(CB))、普通役物(シングルボーナス(SB))などが存在する。
・・・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そして近年では、不正行為防止の観点から、役物比率などが一定の範囲内に収まっているか否かをチェックできるようにすべく、役物比率などの実際の数値を取得できるようにすることが望まれている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の遊技情報を得ることができる遊技機を提供することにある。」
(3)「【0012】
本発明では、遊技機が払い出した遊技媒体の総数である払出総数、および第一種特別役物の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の総数である連続役物払出総数を記憶して連続役物比率を算出し、算出した連続役物比率の数値を表示装置に表示させるため、連続役物比率の実際の数値を得ることができ、連続役物比率が一定の範囲内に収まっているか否かをチェックすることができるようになる。
【0013】
また本発明では、払出数をカウントする払出数カウンタは下限値から上限値の範囲内で更新され、払出数カウンタの記憶値が上限値に達して払出数のカウントが停止した場合に連続役物払出数をカウントする連続役物払出数カウンタのカウントを継続させると連続役物比率として実際の数値とは違う間違った数値が算出されることとなるが、本発明によれば、払出数カウンタの記憶値が上限値に達した場合に払出数カウンタによる払出数のカウントを停止させるとともに当該遊技において連続役物払出数カウンタによる連続役物払出数のカウントも停止させるため、実際の連続役物比率の数値とは違う間違った数値が算出されることを防ぐことができるようになる。」
(4)「【0036】
図2は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
【0037】
本実施形態の遊技機は、遊技制御手段(制御基板)100によって制御される。遊技制御手段100は、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定キースイッチ250、設定変更スイッチ260、ドアセンサ270等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット320、比率表示装置327(表示装置の一例)、演出表示装置330、音響装置340等の出力手段の動作制御を行う。・・・」
(5)「【0144】
そして本実施形態では、記憶手段190は、図17に示すように、払出数、連続役物払出数、および役物払出数のそれぞれについて遊技400回における累計を記憶する400回累計記憶手段198(基準集計期間累計記憶手段の一例)と、払出数、連続役物払出数、および役物払出数のそれぞれについて遊技400回を1セットとして15セット分のデータを1セット毎に個別に記憶する15セット個別記憶手段199(基準集計期間累計個別記憶手段の一例)と、払出数、連続役物払出数、および役物払出数のそれぞれについて15セットの累計を記憶する15セット累計記憶手段200(所定集計期間累計記憶手段の一例)と、払出数、連続役物払出数、および役物払出数のそれぞれについて総累計を記憶する総累計記憶手段201とを備えている。
・・・・・
【0146】
そして比率算出手段178は、メダルが払い出されると、400回累計第1カウンタ198aの記憶値に払い出されたメダル数に相当する値(例えば、1枚分のメダルの払出数に相当する値「1」)を加算する処理を行う。なお本実施形態では、メダルが払い出されると、遊技区間、遊技状態、演出状態、およびRT状態に関わらずに400回累計第1カウンタ198aの記憶値を更新する処理を行う。これに対して400回累計第2カウンタ198bに関しては遊技状態がRBB状態である場合に限って、メダルが払い出されると、400回累計第2カウンタ198bの記憶値に払い出されたメダル数に相当する値(例えば、1枚分のメダルの払出数に相当する値「1」)を加算する処理が行われ、400回累計第3カウンタ198cに関しては遊技状態がRBB状態またはCBB状態である場合に限って、メダルが払い出されると、400回累計第3カウンタ198cの記憶値に払い出されたメダル数に相当する値(例えば、1枚分のメダルの払出数に相当する値「1」)を加算する処理が行われる。
・・・・・
【0152】
また比率算出手段178は、15セット個別記憶手段199に最新のデータが記憶されると、総累計記憶手段201の総累計第1カウンタ201aの記憶値に400回累計第1カウンタ198aの記憶値を加算し、総累計第2カウンタ201bの記憶値に400回累計第2カウンタ198bの記憶値を加算し、総累計第3カウンタ201cの記憶値に400回累計第3カウンタ198cの記憶値を加算する処理を行う。このように総累計記憶手段201では払出数、連続役物払出数、および役物払出数のそれぞれを累積してカウントすることによって総累計(払出総数、連続役物払出総数、および役物払出総数)を記憶し、400回の遊技が行われる毎に総累計を更新する。なお本実施形態では、400回の遊技が行われる毎に総累計を更新する場合に限られず、メダルの払い出しが発生する毎に総累計を更新するようにしてもよく、この場合には、総累計第1カウンタ201aに関してはメダルの払い出しが発生する毎に必ず更新し、総累計第2カウンタ201bに関しては遊技状態がRBB状態である場合に限ってメダルの払い出しが発生する毎に更新し、総累計第3カウンタ201cに関しては遊技状態がRBB状態またはCBB状態である場合に限ってメダルの払い出しが発生する毎に更新するようにしてもよい。
・・・・・
【0154】
また比率算出手段178は、総累計第1カウンタ201aに記憶されている払出数の総累計C1および総累計第2カウンタ201bに記憶されている連続役物払出数の総累計C2に基づいて、「(C2×100)/C1」の演算を行って総遊技回数における連続役物比率(%)を算出する処理、ならびに総累計第1カウンタ201aに記憶されている払出数の総累計C1および総累計第3カウンタ201cに記憶されている役物払出数の総累計C3に基づいて、「(C3×100)/C1」の演算を行って総遊技回数における役物比率(%)を算出する処理を行い、算出した連続役物比率および役物比率を比率記憶手段202の所定の記憶領域に上書きして記憶させる。
・・・・・
【0157】
・・・また総累計記憶手段201の3種類のカウンタ(総累計第1カウンタ201a、総累計第2カウンタ201b、および総累計第3カウンタ201c)、ならびに、総遊技回数カウンタ203および有利区間遊技回数カウンタ204はそれぞれ3B(バイト)で構成されているため、0(下限値の一例)~16777215(上限値の一例)の範囲でカウントできるようになっている。このため総累計記憶手段201の総累計第1カウンタ201a、総累計第2カウンタ201b、もしくは総累計第3カウンタ201c、または総遊技回数カウンタ203、もしくは有利区間遊技回数カウンタ204の記憶値が上限値に達する状況が発生し得るが、これらのカウンタのうち所定のカウンタの記憶値が上限値に達した場合にはカウントを停止するようになっている。具体的には、総累計記憶手段201の3種類のカウンタのうち最初に上限値に達するカウンタは払出数をカウントする総累計第1カウンタ201aであるため、総累計第1カウンタ201aの記憶値が上限値に達した場合には総累計第1カウンタ201aの更新を停止するとともに当該遊技(総累計第1カウンタ201aの記憶値が上限値に達した遊技)において総累計第2カウンタ201bおよび総累計第3カウンタ201cの更新も停止する。このように本実施形態では、総累計第1カウンタ201aの記憶値が上限値に達した場合に総累計第3カウンタ201cによる払出数のカウントを停止するとともに当該遊技において総累計第2カウンタ201bによる連続役物払出数および総累計第3カウンタ201cによる役物払出数のカウントも停止する。」
(6)「【0161】
そしてメイン基板10が収納されて封印された基板ケース350は、図19に示すように、メイン基板10上に設置された比率表示装置327の表示が上部前面扉UDを開放した状態で正面から視認可能となるように筐体内のリールユニットの上部に設置される。このため本実施形態では、上部前面扉UDを開放することで比率表示装置327の表示を視認することができるようになっている。・・・
【0162】
また本実施形態では、比率表示装置327は、7セグメント表示器のセグメントを駆動する回路であるセグメントドライバと、図20(A)に示すように、4桁の数字を表示可能な7セグメント表示器とから構成されている。また比率表示装置327を構成する7セグメント表示器の各桁の表示部は、図20(B)に示すように、数字の「8」の字状に配置された7つのセグメントA~GとセグメントA~Gの右下に配置されたドット形状のセグメントHとから構成されており、表示制御手段179が、8ビットのデータで8つのセグメントA~Hのそれぞれの点灯・消灯を制御することによって、数字や記号等の種々の表示が可能となっている。・・・
【0163】
そして表示制御手段179は、有利区間滞在比率(%)、遊技6000回における連続役物比率(%)および役物比率(%)、ならびに総遊技回数における連続役物比率(%)および役物比率(%)を比率表示装置327に表示させる制御を行う。具体的には、電源が投入されると、比率記憶手段202のデータに基づいて、比率算出手段178によって算出された、有利区間滞在比率の数値、遊技6000回における連続役物比率および役物比率の数値、ならびに総遊技回数における連続役物比率および役物比率の数値を比率表示装置327に順次表示させる。
【0164】
また本実施形態では、図21に示すように、有利区間滞在比率を示す識別記号として「7U」、遊技6000回における連続役物比率を示す識別記号として「6y」、遊技6000回における役物比率を示す識別記号として「7y」、総遊技回数における連続役物比率を示す識別記号として「6A」、総遊技回数における役物比率を示す識別記号として「7A」が予め設定されている。
【0165】
そして本実施形態では、比率表示装置327の4桁の数字を表示可能な表示部のうち、上位2桁の表示部を有利区間滞在比率等の識別記号を表示する表示領域とし、下位2桁の表示部を有利区間滞在比率等の数値を表示する表示領域として、下位2桁の表示部の表示に対応する識別記号を比率表示装置327の上位2桁の表示部に表示させることによって下位2桁の表示部の表示が、有利区間滞在比率、遊技6000回にまたは総遊技回数おける連続役物比率および役物比率のいずれであるかが明確となるようにしている。・・・」
(7)【図19】
(8)【図20】(A)
(9)「【0189】
以上に述べたように本実施の形態では、メイン基板10上に比率表示装置327を設け、比率表示装置327が設けられたメイン基板10を基板ケース350に収納し、当該基板ケース350を、メイン基板10上に設けられた比率表示装置327の表示が上部前面扉UDを開放した状態で正面から視認可能となるように筐体内に設置し、比率表示装置327に有利区間滞在比率、役物比率、連続役物比率などの所定の遊技情報を表示させるため、上部前面扉UDを開放することで遊技店の店員などが所定の遊技情報を得ることができるようになる。
【0190】
・・・ここで連続役物比率および役物比率に関しては一定の範囲内に抑えることが望まれており、本実施の形態によれば、連続役物比率および役物比率の実際の数値を得ることができるため、連続役物比率および役物比率が一定の範囲内に収まっているか否かをチェックすることができるようになる。特に本実施の形態では、連続役物比率は予め定められた上限値(例えば、60%)以下となるように設計され、役物比率も予め定められた上限値(例えば、70%)以下となるように設計されているため、遊技6000回または総遊技回数における連続役物比率の実際の数値が予め定められた上限値(例えば、60%)以下であるか否かをチェックすることができ、遊技6000回または総遊技回数における役物比率の実際の数値が予め定められた上限値(例えば、70%)以下であるか否かをチェックすることができるようになる。」
上記(1)~(9)の記載事項を総合すると、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる(記号a~hは、本願発明の記号A~Hに対応させて付した。)。
「a 表示装置(比率表示装置327)と、(【請求項2】、【0037】)
b 遊技機が払い出した遊技媒体の数である払出数を累積してカウントするものであって、遊技機が払い出した遊技媒体の総数である払出総数を記憶する払出数カウンタと、(【請求項2】)
c 第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の数である連続役物払出数を累積してカウントするものであって、前記第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の総数である連続役物払出総数を記憶する連続役物払出数カウンタと(【請求項2】、【0004】)
を備え、
d 前記払出数カウンタは下限値から上限値の範囲内で更新され、前記払出数カウンタの記憶値が前記上限値に達した場合に前記払出数カウンタによる前記払出数のカウントを停止するとともに当該遊技において前記連続役物払出数カウンタによる前記連続役物払出数のカウントも停止し、(【請求項2】)
e 前記払出総数および前記連続役物払出総数に基づいて連続役物比率を算出する比率算出手段を備え、(【請求項2】)
f 比率表示装置327の4桁の数字を表示可能な表示部のうち、上位2桁の表示部を総遊技回数における連続役物比率等の識別記号を表示する表示領域とし、下位2桁の表示部を総遊技回数における連続役物比率等の数値を表示する表示領域として、下位2桁の表示部の表示に対応する識別記号を比率表示装置327の上位2桁の表示部に表示させ、(【0165】、【0163】)
g 比率表示装置327は、4桁の数字を表示可能な7セグメント表示器を有する(【0162】)
h 遊技機。(【請求項2】)」
5 対比
本願発明と先願発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A~Hと先願発明の構成a~hについて、それぞれ(a)~(h)の見出しを付けて行った。)。
(a)先願発明の「表示装置(比率表示装置327)」は、本願発明の「所定の表示手段」に相当する。
(b)先願発明の「遊技機が払い出した遊技媒体の総数である払出総数」は、本願発明の「遊技媒体の総付与数」に相当する。
そうすると、先願発明の「遊技機が払い出した遊技媒体の数である払出数を累積してカウントするものであって、遊技機が払い出した遊技媒体の総数である払出総数を記憶する払出数カウンタ」は、本願発明の「遊技媒体の総付与数に対応する値を記憶可能な第1記憶手段」に相当する。
(c)先願発明の「第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中」は、本願発明の「特別遊技中」に相当するから、先願発明の「第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の総数である連続役物払出総数」は、本願発明の「特別遊技中における遊技媒体の総付与数」に相当する。
そうすると、先願発明の「第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の数である連続役物払出数を累積してカウントするものであって、前記第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の総数である連続役物払出総数を記憶する連続役物払出数カウンタ」は、
本願発明の「特別遊技中における遊技媒体の総付与数に対応する値を記憶可能な第2記憶手段」に相当する。
(d)前記(b)で検討したとおり、先願発明の「払出数カウンタ」は本願発明の「第1記憶手段」に対応するものであるから、先願発明の「前記払出数カウンタの記憶値が前記上限値に達した場合」は、本願発明の「第1記憶手段に記憶された値が所定の上限値に達している場合」に相当する。
また、先願発明の「払出総数」は、払出数カウンタに記憶されるものであり(構成b)、同「連続役物払出総数」は、連続役物払出数カウンタに記憶されるものであるところ(構成c)、前記(b)及び(c)で検討したとおり、先願発明の「払出数カウンタ」、「連続役物払出数カウンタ」は、それぞれ本願発明の「第1記憶手段」、「第2記憶手段」に対応するものであるから、先願発明の「前記払出総数」、「前記連続役物払出総数」は、それぞれ本願発明の「第1記憶手段に記憶された値」、「第2記憶手段に記憶された値」に相当する。そうすると、先願発明の「前記払出数カウンタによる前記払出数のカウントを停止する」こと及び「前記連続役物払出数カウンタによる前記連続役物払出数のカウントも停止」することは、本願発明の「第1記憶手段及び第2記憶手段に記憶されている値を更新」しないことに相当する。
さらに、先願発明の「払出数カウンタ」は、遊技機が払い出した遊技媒体の数である払出数を累積してカウントするものであり(構成b)、同「連続役物払出数カウンタ」は、第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の数である連続役物払出数を累積してカウントするものであるから(構成c)、先願発明の構成dは、払出数カウンタの記憶値が上限値に達した場合には、第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中(本願発明の「特別遊技中」に相当する。)に遊技機が遊技媒体を払い出しても、払出数カウンタによる払出数のカウント、及び、連続役物払出数カウンタによる連続役物払出数のカウントを停止するものであることは明らかである。
したがって、先願発明の「前記払出数カウンタは下限値から上限値の範囲内で更新され、前記払出数カウンタの記憶値が前記上限値に達した場合に前記払出数カウンタによる前記払出数のカウントを停止するとともに当該遊技において前記連続役物払出数カウンタによる前記連続役物払出数のカウントも停止」することは、
本願発明の「第1記憶手段に記憶された値が所定の上限値に達している場合には、特別遊技中に遊技媒体が付与されても、第1記憶手段及び第2記憶手段に記憶されている値を更新」しないことに相当する。
(e)前記(d)で検討したとおり、先願発明の「前記払出総数」、「前記連続役物払出総数」は、それぞれ本願発明の「第1記憶手段に記憶された値」、「第2記憶手段に記憶された値」に相当する。
また、先願発明の「連続役物比率」は、「前記払出総数および前記連続役物払出総数に基づいて」算出されるものであるところ、当該連続役物払出総数は第一種特別役物(レギュラーボーナス(RB))の作動中に遊技機が払い出した遊技媒体の総数であるから(構成c)、先願発明の「連続役物比率」は、本願発明の「特別役物比率」に相当する。
そうすると、先願発明の「前記払出総数および前記連続役物払出総数に基づいて連続役物比率を算出する比率算出手段を備え」ることは、本願発明の「第1記憶手段に記憶された値と、第2記憶手段に記憶された値とを用いて、特別役物比率を算出可能と」することに相当する。
(f)前記(a)で検討したとおり、先願発明の「比率表示装置327」は、本願発明の「前記所定の表示手段」に相当する。
また、先願発明の「総遊技回数における連続役物比率等」は、過去の遊技に係るものであって、遊技履歴を表すものといえるから、先願発明の「総遊技回数における連続役物比率等の識別記号」、「総遊技回数における連続役物比率等の数値」は、それぞれ本願発明の「遊技履歴に関する種類情報」、「遊技履歴に関する比率情報」に相当する。
そうすると、先願発明の「比率表示装置327の4桁の数字を表示可能な表示部のうち、上位2桁の表示部を総遊技回数における連続役物比率等の識別記号を表示する表示領域とし、下位2桁の表示部を総遊技回数における連続役物比率等の数値を表示する表示領域として、下位2桁の表示部の表示に対応する識別記号を比率表示装置327の上位2桁の表示部に表示させ」ることは、
本願発明の「前記所定の表示手段の上位2桁により遊技履歴に関する種類情報を表示可能とし、下位2桁により遊技履歴に関する比率情報を表示可能」とすることに相当する。
(g)前記(a)で検討したとおり、先願発明の「比率表示装置327」は、本願発明の「前記所定の表示手段」に相当する。
また、先願発明の「比率表示装置327」は、「4桁の数字を表示可能な7セグメント表示器を有する」ものであるから、横幅mと縦幅nを有するもの(方形)といえる。
そうすると、先願発明の「比率表示装置327は、4桁の数字を表示可能な7セグメント表示器を有する」ことと、
本願発明の「前記所定の表示手段の横幅をm、縦幅をnとしたとき、m×n÷4(「4」は前記所定の表示手段の桁数)≧36(平方ミリメートル)を満たす」こととは、
「前記所定の表示手段は横幅mと縦幅nを有し、その桁数は「4」である」点で共通する。
(h)先願発明の「遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
上記(a)~(h)により、本願発明と先願発明とは、
(一致点)
「A 所定の表示手段と、
B 遊技媒体の総付与数に対応する値を記憶可能な第1記憶手段と、
C 特別遊技中における遊技媒体の総付与数に対応する値を記憶可能な第2記憶手段と
を備え、
D 第1記憶手段に記憶された値が所定の上限値に達している場合には、特別遊技中に遊技媒体が付与されても、第1記憶手段及び第2記憶手段に記憶されている値を更新せず、
E 第1記憶手段に記憶された値と、第2記憶手段に記憶された値とを用いて、特別役物比率を算出可能とし、
F 前記所定の表示手段の上位2桁により遊技履歴に関する種類情報を表示可能とし、下位2桁により遊技履歴に関する比率情報を表示可能とし、
G’ 前記所定の表示手段は横幅mと縦幅nを有し、その桁数は「4」である
H 遊技機。」
である点で一致し、構成Gに関する以下の点で一応相違している。
(相違点)
本願発明では、「前記所定の表示手段の横幅をm、縦幅をnとしたとき、m×n÷4(「4」は前記所定の表示手段の桁数)≧36(平方ミリメートル)を満たす」のに対して、先願発明では、そのような条件を満たすか明らかでない点。
6 判断
上記相違点について検討するに、上記相違点に係る本願発明の構成Gにおける「前記所定の表示手段の横幅をm、縦幅をnとしたとき、m×n÷4(「4」は前記所定の表示手段の桁数)≧36(平方ミリメートル)を満たす」は、所定の表示手段が方形でありその桁数が4であることを前提として(なお、この点は先願発明と共通する。)、当該表示手段の1桁当たりの面積が36平方ミリメートル以上であることを特定したものと認められる。
そして、この36平方ミリメートルという下限値は、例えば6mm×6mmや4mm×9mmに相当する大きさであって、視認するには決して大きいとはいえない面積といえる。また、遊技機の技術分野において、1桁当たりの面積が36平方ミリメートル以上である表示手段自体は、例えば特開2016-192995公報(【0154】)、特開昭62-233182号公報(4頁左上欄)、登録実用新案第3028747号公報(【0017】)等にも記載されているように本願出願前に周知の技術である。
しかるところ、先願発明においては、「不正行為防止の観点から役物比率などが一定の範囲内に収まっているか否かをチェックできるように」(記載事項(2)、【0006】)することなどが目的とされ、先願明細書には、「メイン基板10上に比率表示装置327を設け、比率表示装置327が設けられたメイン基板10を基板ケース350に収納し、当該基板ケース350を、メイン基板10上に設けられた比率表示装置327の表示が上部前面扉UDを開放した状態で正面から視認可能となるように筐体内に設置し、比率表示装置327に有利区間滞在比率、役物比率、連続役物比率などの所定の遊技情報を表示させるため、上部前面扉UDを開放することで遊技店の店員などが所定の遊技情報を得ることができる」(記載事項(9)、【0189】)ことが記載されている。そして、遊技店では多数の遊技機が設置されるのが通常であるから、先願発明おいては、例えば遊技店の店員などが多数の遊技機について順次、上部前面扉UDを開放して筐体内に設置された比率表示装置327の表示を筐体の外側からチェックしていくような使用形態が想定されているといえる。
そうすると、先願発明において、表示手段(比率表示装置327)の1桁当たりの面積を、上記のような使用形態においても視認に支障のないような大きさにするのは当然であるから、一般的な遊技機における筐体の大きさやメイン基板の基板ケースの大きさなども考慮すれば、これを36平方ミリメートルという視認するには決して大きいとはいえない面積以上の周知のものとすることは、特段の事情のないかぎり、当業者であれば当然に実施すべき事項というべきである。
また、本願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面をみても、表示手段の1桁当たりの面積の下限値である36平方ミリメートルに臨界的な意義は認められないから、数値範囲の下限値をどのように規定するかは、観察者がどのような位置から表示手段を観察するかなどの使用形態等に応じて、視認に支障のないように当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。
したがって、上記相違点は、実質的には相違点とはいえないものである。
なお、請求人は審判請求書において、「遊技機に4桁の7セグメントディスプレイを設け、かつ、その大きさを「m×n÷4(「4」は前記所定の表示手段の桁数)≧36(平方ミリメートル)」とすることは、出願時の周知技術ではないと考える。」(第3頁第9~11行)と主張している。
しかしながら、上記に説明したとおり、遊技機の技術分野において、1桁当たりの面積が36平方ミリメートル以上である表示手段自体は本願出願前に周知の技術であり、また、先願発明において、表示手段の1桁当たりの面積を36平方ミリメートル以上とすることは、当業者であれば当然に実施すべき事項であるから、請求人の上記主張を根拠として、上記相違点が実質的な相違点であるということはできない。
したがって、本願発明は、先願発明と同一であり、しかも、本願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2020-004398